JP2006216646A - 電磁波発生素子 - Google Patents

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信之 大塚
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Abstract

【課題】 プラズマ波の強度が小さいこと。
【解決手段】半導体基板5と、ナノワイヤ状の半導体層4と、絶縁膜7と、複数のゲート電極1と、ドレイン電極3と、ソース電極2を含み、半導体層4に励起されたプラズマ波の波長の周期でゲート電極1を配置し、ゲート電極のゲート長を周期の1/4とすることでプラズマ波の強度がゲート電極の本数倍される。
【選択図】 図1

Description

本発明は1THz程度の高周波領域で動作する半導体素子に関する。
従来の半導体素子は、主に素子構造を微細化することによりその動作速度を向上してきた。たとえば高電子移動度トランジスタは2次元的に分布した2次元電子ガスを利用して不純物散乱を効果的に抑制しているが、数百GHzまでの高速動作が報告されている素子のゲート形成には少なくとも30nm以下の超微細加工技術が要求される。これは信号伝達に電荷(電子)移動を利用しており、その移動速度は材料の飽和速度で制限される為、チャネル走行時間に起因する遅延を免れることができないためである。
この課題に対する従来技術として信号伝達に直接電荷移動を伴わない半導体素子がいくつか提案されている。一つはM. Shurらが提案したFETチャネル内の高濃度電子流体のプラズマ振動を利用する素子である(非特許文献1および2参照)。図6は、非特許文献1に示されるプラズマ波素子の構造である。高電子移動度電界効果トランジスタ(FET、HEMT)と同様な構造を有している。非特許文献2では、二次元電子ガス54において1THz程度で振動するプラズマ波が形成されることを観測している。
また井出下は図7に示される正孔と電子、あるいいは重い電子と軽い電子からなる重い流体と軽い流体の二流体が共存する系で起こる二流体不安定性現象を利用した電磁波増幅素子を提案している(特許文献1参照)。図7(b)のように、櫛型電極構造の遅波回路61を用いることで、入力部65に導入したテラヘルツ波が増幅されて出力部66より取り出されるとしている。
本願では複数の周期的なゲート電極を設けている。プラズマ波を発生するという目的は有していないが、一般的技術水準を示す周期的電極構造素子として、X.G. Peraltaらによる光伝導素子(非特許文献3参照)を図8(a)に、A.M. Hashimらによるコンダクタンス変調素子(非特許文献4参照)を図8(b)に示しておく。
特開平8−139306号公報 Phys. Rev. Lett. V71(1993)p2465 Appl. Phys. Lett. 84(2004)2331 Appl. Phys. Lett. 81(2002)1627 Ext. Abst. 2004 Int. Conf. Solid State Dev. and Mat. (2004)664
特許文献1および非特許文献1および2において、理論検討では高周波での動作が可能とされているものの、実際には電磁波が極めて微弱であったり、動作範囲が限定されていたり、構造が極めて複雑になるなどの問題があり、実用性に乏しかった。特に、非特許文献2による構造では、外部から光などの照射を行わないでも高周波での電磁波発振が観測された初めてのケースではあるが、出力は数nWと極めて小さくなっており、実用化を阻む要因の一つとして考えられる。
非特許文献3および4に示した構造は、周期的な電極構造となっているが、これらは電磁波を発生することを目的としておらず、外部から照射されたプラズマ波と効率的に結合することを目的としている。そのため、FETのゲート長に相当する電極の幅aはプラズマ波の周期Λの半分であるa=Λ/ 2となっている。
FETのチャネル内でのプラズマ波の屈折率が300程度ときわめて大きくなることを明らかにした(誘電率は屈折率の2乗)ことにより、例えば非特許文献3では、1本の電極下部には1〜2波長のプラズマ波が励起されていると考えることができるようになった。また、非特許文献4では、電極下部に形成されるプラズマ波の波長は0.15波長となっており、プラズマ波とまったく結合していないと思われる。非特許文献4では、期待されていた負のコンダクタンスも観測されていない。このように、ゲート電極が周期的に形成されていても、プラズマ波の発生を目的としていない場合には、プラズマ波の波長に対してマッチングするように電極の周期や幅は特定の値をとっていない。
さらに、上記の素子は、いずれも砒素を含んだ化合物半導体から構成されており、環境に影響を与える問題もあった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みて、安定に結合したプラズマ振動を利用し、新規の動作原理に基づく半導体素子を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の電磁波発生装置は、ゲート電極をプラズマ波の波長の周期Λで配置するとともに、ゲート電極の長さ(ゲート長)をΛ/4とすることで、ゲート電極の本数に比例して電磁波の強度を増大している。
また、半導体層の断面の一辺を400nm以下とすることにより、プラズマ波の波長の単一性を向上することで、電磁波の強度を向上している。
さらに、半導体層の断面の一辺を10nm以下とすることで、電子密度が最大となる領域を半導体層の略中心位置に形成して、電子密度増大による電磁は強度の増加を実現している。
また、砒素などを含んだ化合物半導体ではなく、Geを使用することにより、環境への影響を低減しながら、高出力動作を可能としている。
前述のように本発明は、ゲート電極をプラズマ波の周期の1/4 (Λ/4)とすることにより、プラズマ波強度の加算を可能とするとともに、半導体層の断面積の低減やアンテナ構造の導入によりQ値を増加させることで、高出力の電磁波発生素子を提供する。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電磁波発生素子の概略図である。図1以降においても、同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図1のA−A‘断面に示したように、基板5上に絶縁層6を挟んで半導体層4が堆積されている。ここでは半導体層にGeを用いているために、いわゆるGOI構造となっている。この半導体層4は、エッチングにより幅が400nm以下のナノワイヤ4構造となっている。これは、ナノワイヤ中に形成されるプラズマ波の波長が800nmであるため、単一横モードにするために半波長である400nm以下とする必要があるためである。ナノワイヤを細くしてゆくにつれて、表面散乱の影響を強く受けるようになり、電子電子散乱以外の散乱が顕著になってくる。そこで、ナノワイヤの幅は3nm以上にする必要がある。ナノワイヤ4の周囲は酸化ケイ素などによる絶縁膜7で覆って周囲の湿度などによる影響から保護している。絶縁膜7上にはナノワイヤ4と直行する方向にゲート電極1が形成されている。本実施の形態においては、半導体層にGeを用いている。これは、Siを用いた場合には有効質量が大きいために、プラズマ波の発生が不安定となるとともに、出力も小さくなるためである。従って、Siでは本実施の形態に示した特性の向上は認められない。Siより有効質量の小さいGeを用いることで初めて砒素を含まないIV族系元素を用いたプラズマ波素子を実現することができた。
ナノワイヤ4は、複数形成してよく、ワイヤの本数を多くするに従って電磁波の出力が増加する。ナノワイヤの本数は、10本以上にすることで、ナノワイヤ間の共鳴によるQ値の向上が確認される。ナノワイヤの幅が400nm程度であるため、500nmの周期で配置した。ゲート幅Wを100μmとしたので200本配置することができる。本実施の形態ではナノワイヤの本数を100本とした。ゲート幅Wを広げるほど電磁波の出力が増大するが、一方でナノワイヤの均一性が低下するなどしてQ値が低下する。従って、ナノワイヤは10本から200本程度が適当である。
図1のB−B’断面に示したように、ゲート電極は800nm程度の周期Λで配置した。電極の周期Λを変化させることにより、周期と一致する波長のプラズモンが励起される。従って、電極の周期を調整することでプラズモンの周波数や強度を変化させることができる。また、ゲート電極の幅aはΛ/4とした。その結果、各ゲート下部に独立したプラズマ波が形成されて、プラズマ波の強度がゲート電極の数ngに比例して増大することが明らかとなった。
図2を用いて、プラズマ波の状態を詳しく説明する。非特許文献1で示されている発振素子の構造の場合、ゲート電極1は1本であり、ゲート1下部には複数の次数のプラズマ波が生成されている。この場合のプラズマ波の出力はつぎのようになる。
P=CU0 2Wν0α2 …(1)
ここで、Cはゲート下部の容量、U0はゲート下部においてチャネルに印加される電圧のDC成分、Wはナノワイヤの幅、ν0は電子の速度、αはゲートに印加される電圧をU=U0+U1exp(−iωt)として示したときの変調度α=U1/U0 (=AC成分/DC成分)で定義される。特許文献1や非特許文献2〜4には複数のゲート電極を有する素子が開示されているがいずれも図2(b)に示したように、ゲート1下部には複数の次数あるいは1波長に満たないプラズマ波が形成されている。式(1)から出力がゲート長依存性を示さないことがわかる。本実施の形態では、この出力Pの式をゲート長Lの関数として次のように記述した。
P=(CU0 2WL)/(L/ν0)・α2 = (E/nm)・α2…(2)
分子はゲートに蓄えられるエネルギーE = CU0 2WLとなり、分母はゲート下部で行き来する電子の往復回数nm=L/ν0 となる。電極の長さLを増加させるのではなく、電極の個数ngを増加させることにより、電極に蓄えられるエネルギーはng倍になるが、電子の往復回数は増加しない。その結果、P‘=ng (E/nm)α =ng Pとなり、電磁波の出力はng倍となることがわかった。ここで、各電極下部で電子が正確に往復するためにはゲート1のソース2側は短絡となり、ドレイン3側は開放となっている必要がある。そこで、ゲート電極はプラズマ波の波長Λの間隔で配置するとともに、ゲート1の長さをΛ/4とした。Λ/2としなかったのは、それぞれのゲート電極1を並列接続するために、同じ位相の電界がゲートに誘起されている必要があるからである。ゲート電極1をこのように配置することにより、各ゲート電極下部で独立して電子の往復運動が生じて、プラズマ波が生成されるために、プラズマ波の強度P’を電極の本数分であるng倍とすることができるのである。
プラズマ波の屈折率を評価した結果、半導体層における電子濃度nsが1012cm-2の場合には、屈折率neffが300程度となることを明らかにした。これは、半導体中の光の屈折率が3程度であることからすれば、100倍程度の極めて大きな値となっている。この知見が、プラズマ波素子のナノワイヤ構造を光学系の導波路としてとらえるという展開に結びついて、本願の基本的な考え方のベースができあがった。電子濃度nsを2×1012cm-2へと大きくした場合には、屈折率の電子濃度依存性はΔneff /Δns=−6×10-12となるため、neffは294へと減少する。このように屈折率と電子濃度の関係が明らかとなったことから、半導体層中のプラズマ波の周波数を1THz以上にする場合には、プラズマ波の周期Λが0.8μmとなり、ゲート電極はΛ/4である200nm程度でよいことがわかった。従来最高速を実現しているInAlAs/InGaAs HEMTなどの場合であっても、ゲート長が200nmもあれば、ftやfmaxは300GHz程度と低くなってしまう。本実施の形態のプラズマ波発生素子では、ゲート長が200nmであっても1THz以上の電磁波を発生できるため、簡便なプロセスで超高周波を発生できるというメリットがある。
電磁波発生素子の作製方法の一例を図9に示す。Si基板5上にSiGe混晶4を成長した後、SiGeとSi基板の界面にO+イオンを注入して酸化膜層6として高温アニールを行った後、表面12を酸化する。その結果、Siと酸素が優先的に結合してSiGe層内のGe濃度が濃縮されて、SiO2よりなる絶縁膜6および12でサンドイッチされたGe薄膜4(膜厚が2〜10nm)よりなるGOI基板が作製される (a)。次に、絶縁膜12とGe薄膜をナノワイヤ構造4となるように、幅が200nmのストライプ状にドライエッチングする(b)。基板表面全体にSiO2よりなる絶縁膜7を堆積した後、レジストを塗布して電極部分を露光して除去し、銀を蒸着しリフトオフにより、ゲート長が200nmのゲート電極1を作製する(c)。最後にソース電極2とドレイン電極3を形成して電磁波発生素子を得る(d)。
図4に、本実施の形態の電磁波発生素子と非特許文献で示された素子との性能比較を行った結果を示す。有効質量m*はGeを用いた場合、非特許文献1で使用しているInGaAsに比べて20%程度大きくなってしまう。しかしながら、非特許文献1および2はいずれも砒素(As)を使用していることから、砒素フリーにする場合には、有効質量がわずかに大きいがGeの使用が望まれる。非特許文献2の場合には、ゲート長Leffが0.1μm以下となっており、バンドギャップが小さく、直接遷移であるためアバランシェ降伏が発生して電圧U0を0.08V程度しか印加できない。そのため、有効質量が0.042と極めて小さいにもかかわらず電磁波の出力は非特許文献1より小さくなっている。
一方、Geの場合は間接遷移であるため、0.5V程度電圧を印加しても動作が不安定となることは無い。その結果、非特許文献1と本実施の形態とはほぼ同じ電子のドリフト速度v0の最大値となっている。ゲート幅Wは、従来は通常のHEMT素子をベースとしているために100μm程度であるが、本実施の形態の場合には200nm程度にナノワイヤ化している。変調度αはいずれも0.5程度である。シートキャリア密度は、200nm程度のナノワイヤの場合1012cm-2程度となる。ゲート電極の長さLeffは、プロセスの容易性を考えて200nmとした。デバイス長は500μmとした。その結果、ゲート電極の個数は1本のナノワイヤあたり625個となる。ゲート電極の周期は、ゲート電極の長さの4倍である0.8μmとした。また、半導体層の本数nnは100本とした。その結果、非特許文献の出力P’が2mWであるのに対して、本実施の形態では25mWと10倍程度となった。THz波の出力P‘とゲート電極の長さLeffの関係を図5に示した。これから、THz波の出力はゲート電極の長さを短くするに従って、急速に増加することがわかる。また、ナノワイヤ4の本数nnに比例して増加することがわかった。
本実施の形態では、周期的に配置した電極を用いることで出力の向上を確認したが、ナノワイヤ構造を有していない非特許文献1および2にこの周期的電極構造を用いた場合には、図10に示したように、プラズマ波の波面が大きく乱れることになる。以下、その理由について説明する。図10(a)に示したように、ゲート1とソース2を短絡することにより、半導体層に印加されるゲート電圧U0は、ソース側2で低く、ドレイン側3に行くにつれて大きくなっている。その結果、プラズマ波の速度sは
s = (eU0/m)1/2…(3)
で示されるように、U0と同様な傾向を示す。伝播しているプラズマ波の周波数fp(波長)は
fp = s / 4L…(4)
と表されるが、空洞内ではfpは変化しないので、sが増加した分Lを大きくする必要がある。その結果、図10bに示したように、プラズマ波の波面(点線で表示)は矢印で波面の方向を示したようにドレインにいくほど曲がることになる。プラズマ波は二次元電子ガス54内を往復するため、二次元電子ガス内には複数の波面を持つプラズマ波が混在し、図10cに示したように非常にたくさんのモードが存在することになる。このように、複数のモードが同時に存在した場合には、共鳴現象が生じにくく、Q値が低下してプラズマ波が不安定になるという問題があった。しかしながら、本実施の形態のように、半導体層の幅を200nm程度に狭くしてナノワイヤ形状4とすることにより、横方向のモードは1つしか存在しえなくなる。また、図10dに示したように、波面が曲がることができなくなるために、ナノワイヤ全体で見ると部分的にプラズマ波の結合係数は低下するものの複数モードの発生は起こらない。その結果、安定したプラズマ波の発生が可能となる。このように、本実施の形態においては、ナノワイヤの幅をプラズマ波の波長と同程度あるいは波長以下とすることにより、ゲート電圧の不均一性の影響を受けないプラズマ波の発生が可能となり、複数の電極によるプラズマ波の増大が可能となった。
ところで、複数のナノワイヤを平行に配置した場合、ゲート電極およびドレイン電極によって各ナノワイヤ内の電磁波が結合することになる。その結果、ナノワイヤ全体にわたって同じ位相のプラズマ波が形成されて、著しく高いQ値が得られる。すなわち、ゲート電極の周期に対応した周波数において極めて線幅の狭い電磁波が発生する。非特許文献1および2に示された電磁波発生素子の場合には半導体層が分割されていないので、複数の共振器に対して同期をとる構造になっていない。式(2)では、電磁波の強度として、電磁波の周波数に対する積分強度を示しているが、このように高いQ値が得られた場合には、特定の周波数における電磁波のピーク強度はQ値が低い場合に対して極めて大きくなる。例えば、nn本程度のナノワイヤにおいて同期をとった場合には√nn倍の強度になると考えられるので、100本のナノワイヤの場合にはピーク強度においては1本の場合に対して、10倍の電磁波ピーク強度が得られることがわかった。その結果、Q値は、非特許文献の1.2に対して9.4と、8倍程度となった。
以上に示したように、ナノワイヤ化してゲート電極の長さがΛ/4となるゲート電極を周期的に配置することにより、出力およびQ値がいずれも10倍程度に改善することがわかった。また、プラズマ波の周波数fpは1.3THzとなり、非特許文献1と同程度の値となっており、ゲート長が200nmであっても1THz以上の電磁波を発生できるため、簡便なプロセスで超高周波を発生できることがわかった。
なお、本実施の形態において、ゲート電極として銀を含む多層膜としたが、プラズマ波が生じやすい材料であれば金やチタンやクロムなどの他の金属としても良い。
(実施の形態2)
実施の形態1では、ナノワイヤの幅を200nmとしたが、ナノワイヤの幅を小さくしていくに従って、ナノワイヤ中の電子密度ns=CU0/eが増加する。ナノワイヤの形状と電子密度の関係を図3dに示す。一方、プラズマ波の強度は電子密度の関数として次のように表される。
P = CU0 2Wν0α2 = e ns0 Wν0 α2…(5)
式(5)から、電子密度nsに比例してプラズマ波の強度Pが増大することがわかる。ここで、図3に、ナノワイヤ4の幅を変化させた場合(a〜c)の電子分布を示す。実施の形態1に示したように半導体層の幅を10〜400nmとした場合は、キャリアは電極側であるナノワイヤ4―絶縁膜7界面に集中してチャネル8を形成する(a)。一方、本実施の形態のように、ナノワイヤ4の幅Wを10nm以下にすることにより、キャリアはナノワイヤ4の中心付近で最大値を持つようになる(b)。その結果、図3dで示したように、電子密度nsは(a)で示した実施の形態1に対して(b)のほうが20%程度大きくなった。さらに、基板5の表面をドーピングして導電層9を形成すると、基板側にもポテンシャル壁が形成されて電子の閉じ込めが強くなる。その結果、ナノワイヤのより中心付近に電子が集まることになり、(c)に示したように電子密度が実施の形態1に対して2倍程度に増加する。このように、ナノワイヤ4の幅を小さくすることにより電子密度を増加させることができた。
ここで、本実施の形態のように電子の分布がチャネル内部に閉じ込められた場合には半導体層の中心部に電子密度のピークが位置するために、プラズマ波は3次元の分散関係を持つと一般的には考えられるが、プラズマ波の分散の検討を行った結果、本実施の形態のようなナノワイヤの場合にはプラズマ波は1次元の分散関係を持つことが明らかとなった。さらに、1次元の分散関係は実施の形態1で示した2次元の分散関係と等価であることを明らかにすることができた。10nm以下のナノワイヤであっても式(5)を適応することが可能であり、プラズマ波の強度が電子密度に比例することがわかった。その結果、実施の形態1の2倍程度のプラズマ波強度が得られることを明らかにすることができた。
式(5)より、電子密度を大きくするほどCが大きくなり、出力Pが大きくなるため、ナノワイヤ4の幅Wを小さくすることで単位ナノワイヤ幅あたりのプラズマ波の出力を増大できる。ただし、ナノワイヤの本数を一定としてナノワイヤ4の幅Wのみを小さくすると式(5)からわかるように、プラズマ波のトータルの強度が低下する。そこで、トータルのプラズマ波の強度を強くするために、ナノワイヤ4の幅を小さくした分、ナノワイヤ4を平行に複数個配置する必要がある。ナノワイヤ中のプラズマ波の分散の検討の結果、10nmのナノワイヤの場合は2000本程度のナノワイヤ4を形成することにより、実施の形態1に対して2倍程度のプラズマ波強度が得られることがわかった。
本発明にかかる電磁波発生素子は、ナノワイヤ半導体層と周期的ゲート電極を有し、1THz程度の発振素子等として有用である。
本発明の実施の形態1における電磁波発生素子の概略図 本発明の実施の形態1における電磁波発生素子のプラズマ波の説明図 本発明の実施の形態2における電磁波発生素子の電子密度の説明図 本発明の実施の形態1における電磁波発生素子のプラズマ波強度の説明図 本発明の実施の形態1における電磁波発生素子のプラズマ波出力とゲート電極の長さの関係図 従来の電磁波発生素子の概略図 従来の電磁波発生素子の概略図 従来の電磁波発生素子の概略図 本発明の実施の形態1における電磁波発生素子の製造方法の説明図 本発明の実施の形態1における電磁波発生素子のプラズマ波の波面の説明図
符号の説明
1 ゲート
2 ソース
3 ドレイン
4 ナノワイヤ
5 基板
6 絶縁膜
7 絶縁膜
8 チャネル
9 導電層
12 絶縁膜

20 反射板
21 放射孔
22 プラズマ素子
23 λ/2
24 反射波
25 放射波
26 多孔構造

51 ゲート
52 ソース
53 ドレイン
54 二次元電子ガス
55 基板
56 クラッド層
57 バリア層
61 遅波回路
62 電子層コンタクト
63 正孔層コンタクト
64 二流体層
65 入力部
66 出力部
71 ゲート
72 ソース
73 ドレイン
74 第1の量子井戸
75 第2の量子井戸
76 二次元電子ガス
77 基板
78 バリア層
79 バリア層

Claims (4)

  1. 半導体基板と、半導体層と、絶縁膜と、複数のゲート電極と、ドレイン電極と、ソース電極を含み、前記半導体層の断面の一辺が400nm以下であり、前記半導体層に励起されたプラズマ波の波長の周期で前記ゲート電極が配置されており、前記ゲート電極のゲート長が前記周期の1/4であることを特徴とする電磁波発生装置。
  2. 複数の半導体層が平行して配置されており、前記複数の半導体層上に形成されたゲート電極を共有していることを特徴とした請求項1記載の電磁波発生装置。
  3. 半導体層の断面は各辺が10nm以下であり、電子密度が最大となる領域が前記半導体層の略中心位置に形成されていることを特徴とする請求項1,2記載の電磁波発生装置。
  4. 半導体基板と半導体層の間に導電層を有することを特徴とする請求項3記載の電磁波発生装置。

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