JP2006213936A - 金属基材用保護皮膜、その形成方法及び保護皮膜付き金属基材 - Google Patents

金属基材用保護皮膜、その形成方法及び保護皮膜付き金属基材 Download PDF

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Abstract

【課題】耐腐食性と密着性のいずれにも優れ、しかも重金属を含まないため環境に悪影響を及ぼすことのない下地溶射皮膜とセラミックス溶射皮膜からなる金属基材用保護皮膜、その形成方法及び該方法により得られる保護皮膜付き金属基材を提供すること。
【解決手段】金属基材表面に形成された下地溶射皮膜及び該下地溶射皮膜上に積層されたセラミックス溶射皮膜からなる保護皮膜であって、下地溶射皮膜が、チタン粉末20〜80重量%及びアルミニウム粉末80〜20重量%からなる混合粉末を空気雰囲気中でプラズマ溶射して得られる、窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成される複合皮膜であることを特徴とする金属基材用保護皮膜、その形成方法及び該方法により得られる保護皮膜付き金属基材。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属基材用保護皮膜、その形成方法及び保護皮膜付き金属基材に関する。
腐食環境下等で使用される製紙用ロール、ポンプの回転軸等の金属製部材;その原料である鋼板等の金属基材表面に、耐腐食性、耐摩耗性等を付与するために、保護皮膜としてセラミックス溶射皮膜を形成することが行われている。
このような場合において、金属基材とセラミックス溶射皮膜との熱膨張係数の差を緩和する等のために、金属基材とセラミックス溶射皮膜との間に、ニッケル・クロム合金からなる下地溶射皮膜を形成することが行われている。しかし、この下地溶射皮膜には、ニッケルやクロムという重金属により環境に悪影響を及ぼすおそれがあり、又皮膜内部に気孔や亀裂などの欠陥があるため、保護皮膜の密着性と耐腐食性に問題があった。
また、金属基材とセラミックス溶射皮膜との間に、チタン粉末を大気中で溶射して得られる窒化チタンを主成分とする下地溶射皮膜を形成することが公知である(特許文献1参照)。しかし、この溶射皮膜では、通常、脆性の下地皮膜が形成されるために、亀裂、空孔等が発生し易く、皮膜の耐腐食性が十分ではなく、又皮膜の濡れ性が低いために、皮膜の密着性も不十分である。
更に、金属基材とセラミックス溶射皮膜との間に、アルミニウム粉末を溶射して得られるアルミニウムから構成される下地溶射皮膜を形成することが公知である(特許文献2参照)。しかし、この溶射皮膜では、アルミニウム下地皮膜の濡れ性は良いがその表面粗さが小さいため保護皮膜の密着性が低下することや皮膜の強度が不十分であるという問題があった。
特開平7−126827 特開2002−194524
本発明の目的は、耐腐食性と密着性のいずれにも優れ、しかも重金属を含まないため環境に悪影響を及ぼすことのない下地溶射皮膜とセラミックス溶射皮膜からなる金属基材用保護皮膜、その形成方法及び該方法により得られる保護皮膜付き金属基材を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、金属基材とセラミックス溶射皮膜との間に、チタン粉末及びアルミニウム粉末を特定割合で混合した粉末を空気雰囲気中でプラズマ溶射して得られる下地溶射皮膜を、形成することにより、耐腐食性と密着性のいずれにも優れる下地溶射皮膜とセラミックス溶射皮膜からなる金属基材用保護皮膜を形成できることを、見出した。本発明は、かかる新たな知見に基づいて、完成されたものである。
本発明は、以下の金属基材用保護皮膜、その形成方法及び保護皮膜付き金属基材に係るものである。
1.金属基材表面に形成された下地溶射皮膜及び該下地溶射皮膜上に積層されたセラミックス溶射皮膜からなる保護皮膜であって、下地溶射皮膜が、チタン粉末20〜80重量%及びアルミニウム粉末80〜20重量%からなる混合粉末を空気雰囲気中でプラズマ溶射して得られる、窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成される複合皮膜であることを特徴とする金属基材用保護皮膜。
2.金属基材が、鉄系基材である上記項1に記載の金属基材用保護皮膜。
3.混合粉末が、チタン粉末40〜60重量%及びアルミニウム粉末60〜40重量%からなる上記項1に記載の金属基材用保護皮膜。
4.金属基材表面に、チタン粉末20〜80重量%及びアルミニウム粉末80〜20重量%からなる混合粉末を空気雰囲気中でプラズマ溶射して、窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成される複合皮膜である下地溶射皮膜を形成し、次いで、該下地溶射皮膜上にセラミックス溶射皮膜を形成することを特徴とする金属基材用保護皮膜の形成方法。
5.金属基材が、鉄系基材である上記項4に記載の金属基材用保護皮膜の形成方法。
6.混合粉末が、チタン粉末40〜60重量%及びアルミニウム粉末60〜40重量%からなる上記項4に記載の金属基材用保護皮膜の形成方法。
7.上記項4に記載の方法により、金属基材表面に、窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成される複合皮膜である下地溶射皮膜並びに該下地溶射皮膜上にセラミックス溶射皮膜が形成されている保護皮膜付き金属基材。
金属基材用保護皮膜
本発明の金属基材用保護皮膜は、金属基材表面に形成された特定の下地溶射皮膜及び該下地溶射皮膜上に積層されたセラミックス溶射皮膜からなっている。この下地溶射皮膜は、チタン粉末20〜80重量%程度及びアルミニウム粉末80〜20重量%程度からなる混合粉末を空気雰囲気中でプラズマ溶射して得られるものであり、窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成されている複合皮膜である。
金属基材としては、鉄系基材が好ましい。また、混合粉末は、チタン粉末40〜60重量%及びアルミニウム粉末60〜40重量%程度からなるのが、好ましい。
図1は、本発明の保護皮膜の断面を示す模式図である。図1において、1は金属基材を、2は窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成されている下地溶射皮膜を、3はセラミックス溶射皮膜を、それぞれ示す。
金属基材用保護皮膜の形成方法
本発明の金属基材用保護皮膜は、金属基材表面に、チタン粉末20〜80重量%及びアルミニウム粉末80〜20重量%からなる混合粉末を空気雰囲気中でプラズマ溶射して、窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成される複合皮膜である下地溶射皮膜を形成し、次いで、該下地溶射皮膜上にセラミックス溶射皮膜を形成することにより、好適に形成することができる。
保護皮膜を形成する金属基材としては、上記プラズマ溶射が可能である限り、材質、形状等は限定されない。例えば、軟鋼等の各種炭素鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼等の各種合金鋼等の材質である鉄系基材;アルミニウム、各種アルミニウム合金、マグネシウム、各種マグネシウム合金、銅、各種銅合金等の材質である非鉄系基材が挙げられる。これらの内、特に、腐食等が問題となり易い鉄系基材に形成するのが好ましい。金属基材の形状としては、例えば、シート状、板状、ブロック状、立方体状、直方体状、円筒状、円柱状、ディスク状、これらの形状を任意に組み合わせた形状等を挙げることができる。また、これらの金属基材を加工した、製紙用、印刷用、製鋼プロセス用等のロール;ポンプの回転軸等の各種機械部品;半導体製造装置の静電チャンバー等の各種金属製部材を、金属基材とすることもできる。
上記金属基材は、下地溶射皮膜を形成するに際して、予め、例えば、JIS R6001で規定された粒度F12〜60程度の溶融アルミナ質、JIS Z 0311で規定された粒度G70〜120程度の鋳鋼製のブラスト用研削材等を用いてブラスト処理することによって、表面を粗面化しておくことが、該皮膜の密着性を向上せしめる点から、好ましい。
上記金属基材の表面に、チタン粉末20〜80重量%及びアルミニウム粉末80〜20重量%からなる混合粉末を空気雰囲気中でプラズマ溶射して、下地溶射皮膜を形成する。上記混合粉末は、チタン粉末40〜60重量%及びアルミニウム粉末60〜40重量%程度からなるのが、好ましい。
チタン粉末としては、通常、平均粒子径が20〜100μm程度のものを用いるのが好ましい。また、アルミニウム粉末としては、通常、平均粒子径が20〜100μm程度のものを用いるのが好ましい。
上記チタン粉末とアルミニウム粉末との混合粉末のプラズマ溶射は、市販のプラズマ溶射装置を用いて行うことができ、通常、プラズマ出力15〜40kW程度で、プラズマガスとして流量4〜20L/min程度のアルゴンガスと流量6〜20L/min程度の空気との混合ガスを用いて行うのが好ましい。溶射距離は50〜200mm程度とするのが好ましい。
上記プラズマ溶射により、金属基材上に、窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成される複合皮膜である下地溶射皮膜が形成される。下地溶射皮膜を構成する窒化チタンと酸化チタンの固溶体は、プラズマ溶射時にチタンと空気中の窒素又は酸素とが反応して生成したものであり、又アルミニウムは通常上記固溶体の間隙を埋める状態で混在したり、皮膜表面の一部を覆ったりしている。
下地溶射皮膜の厚さは、通常、50〜200μm程度とするのが、適当である。
次いで、上記下地溶射皮膜上に、セラミックス溶射皮膜を形成する。形成されるセラミックス溶射皮膜のセラミックスとしては、例えば、ホワイトアルミナ、グレーアルミナ、チタニア、ジルコニア等を挙げることができる。溶射するセラミックスとしては、通常、平均粒子径が20〜50μm程度の粉末を用いるのが好ましい。セラミックス溶射方法としては、プラズマ溶射、フレーム溶射等の方法を採用することができるが、プラズマ溶射を採用するのが好ましい。
セラミックスをプラズマ溶射する場合には、市販のプラズマ溶射装置を用いて行うことができ、通常、プラズマ出力20〜120kW程度で、プラズマガスとして流量10〜120L/min程度のアルゴンガス、流量4〜60L/min程度のアルゴンガスと流量8〜100L/min程度の空気又はヘリウムとの混合ガス等を用いて行うのが好ましい。溶射距離は50〜200mm程度とするのが好ましい。
上記セラミックス溶射皮膜の厚さは、通常、100〜400μm程度とするのが、適当である。
かくして、上記方法により、金属基材表面に、窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成される複合皮膜である下地溶射皮膜並びに該下地溶射皮膜上にセラミックス溶射皮膜が形成されている保護皮膜付き金属基材を、好適に収得することができる。
本発明によれば、次のような顕著な効果が奏される。
(1)本発明の下地溶射皮膜及び該下地溶射皮膜上に積層されたセラミックス溶射皮膜からなる保護皮膜は、金属基材の耐腐食性に優れている。
この優れた耐腐食性は、下地溶射皮膜を構成する窒化チタンと酸化チタンの固溶体が金属基材よりも耐腐食性が高いこと、更に下地溶射皮膜を構成するアルミニウムが金属基材よりも優先的に腐食することで該基材が腐食することを抑制する犠牲防食効果があること、下地溶射皮膜において上記固溶体の間隙を埋めるようにアルミニウムが混在しているため該皮膜内部の亀裂等の欠陥が極めて少なく緻密な構造であること等により、発揮されるものと考えられる。
(2)本発明の下地溶射皮膜及び該下地溶射皮膜上に積層されたセラミックス溶射皮膜からなる保護皮膜は、強度が大きく、しかも金属基材に対する密着性に優れている。その理由は、次のように、推定される。
窒化チタンと酸化チタンとの固溶体は、硬質であり表面粗さが大きいが、その一方、単独では亀裂、空孔等の欠陥を生じる。しかし、本発明においては、チタン粉末とアルミニウム粉末を混合して,空気雰囲気中で金属基材上にプラズマ溶射するので、基材表面において、先に融点の高い窒化チタンと酸化チタンの固溶体が凝固し、次いでこの固溶体層にある亀裂、空孔等の欠陥を埋めるように融点の低いアルミニウムが凝固する。従って、硬質の上記固溶体の隙間等にアルミニウムが存在することにより、緻密で強度の大きい下地溶射皮膜が形成される。
また、下地溶射皮膜の表面は、該皮膜を構成する上記固溶体の表面粗さが大きいため高いアンカー効果が発揮されること及び該皮膜を構成するアルミニウム表面の濡れ性が良いことから、下地溶射皮膜とその上に形成されるセラミックス溶射皮膜との密着性が高くなる。また、下地溶射皮膜には、金属基材特に鉄系基材と合金化し易いアルミニウムが含まれていることから、該基材との密着性が高い。
本発明により保護皮膜が形成された金属基材において、例えば、金属基材が軟鋼板でセラミックスがホワイトアルミナである場合において、金属基材とセラミックス溶射皮膜との間の密着強さは、JIS H 8666に準拠して測定して、通常、30〜50MPa程度と十分な強さである。
(3)本発明の保護皮膜は、金属基材上に、チタン粉末とアルミニウム粉末を混合して大気中でプラズマ溶射し、次いでセラミックスを溶射するという極めて簡便な方法で形成することが出来る。また、重金属を含まないので環境負荷が低い皮膜を形成することが可能になる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。各例において、「%」は重量基準による。
実施例1
(1)下地溶射皮膜の形成
軟鋼板(JIS規格、SS400)を、ブラスト研削材である粒度F24のホワイトアルミナ研削材で5分間ブラスト処理して、表面を粗面化した。
この粗面化した軟鋼板上に、プラズマ溶射装置(商品名「APS7050」、エアロプラズマ社製)を用いて、平均粒子径70μmのチタン粉末50%及び平均粒子径40μmのアルミニウム粉末50%の割合で均一に混合してなる混合粉末を、空気雰囲気中で、溶射皮膜の厚さが100μmとなるようにプラズマ溶射して下地溶射皮膜を形成した。プラズマ溶射は、出力20kWで、プラズマガスとして流量5L/minのアルゴンガスと流量10L/minの空気の混合ガスを用いて行った。溶射距離は100mmとした。
図2は、上記で得られた下地溶射皮膜のX線回折図である。図2から、アルミニウムのピーク、及び窒化チタンと酸化チタンの固溶体のピークが確認できることより、この下地溶射皮膜がアルミニウムと窒化チタン及び酸化チタンの固溶体とから構成されていることが示される。また、粉末状の金属チタンは、溶射中にプラズマガス中の空気および空気雰囲気中の窒素又は酸素と反応して、窒化チタンと酸化チタンの固溶体になることが示される。
また、上記下地溶射皮膜の算術平均粗さRaは、JIS B 0601に準拠した測定により、14μmであり、大きいことから、高いアンカー効果を発揮し得ることが判る。
(2)セラミックス溶射皮膜の形成
前記で得られた下地溶射皮膜の上に、プラズマ溶射装置(商品名「APS7050」、エアロプラズマ社製)を用いて、平均粒子径30μmのホワイトアルミナ粉末を、空気雰囲気中で、溶射皮膜の厚さが300μmとなるようにプラズマ溶射してセラミックス溶射皮膜を形成した。プラズマ溶射は、出力100kWで、プラズマガスとして流量40L/minのアルゴンガスと流量70L/minの空気の混合ガスを用いて行った。溶射距離は100mmとした。
かくして、軟鋼板表面に、窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成される複合皮膜である下地溶射皮膜並びに該下地溶射皮膜上にホワイトアルミナ溶射皮膜が形成されている保護皮膜付き金属基材を得た。
図3は、この保護皮膜付き金属基材断面の走査型電子顕微鏡(倍率200倍)写真である。図3において、4は軟鋼板を、5は窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成されている下地溶射皮膜を、6はホワイトアルミナ溶射皮膜を、それぞれ示す。また、図3の下地溶射皮膜5において、コントラストの明るい部分が窒化チタンと酸化チタンの固溶体であり、暗い部分がアルミニウムである。これにより、窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムが、該固溶体の間隙等をアルミニウムが層状に埋める状態で、混在していることが判る。
また、この保護皮膜付き金属基材において、軟鋼板とホワイトアルミナ溶射皮膜との間の密着強さは、JIS H 8666に準拠して測定して、50MPaであった。
実施例2及び3
実施例1の(1)において、チタン粉末50%及びアルミニウム粉末50%の混合粉末に代えて、チタン粉末80%及びアルミニウム粉末20%の混合粉末(実施例2)又はチタン粉末20%及びアルミニウム粉末80%の混合粉末(実施例3)を用いる以外は、実施例1と同様にして、下地溶射皮膜を形成した。次いで、実施例1の(2)と同様にして、下地溶射皮膜上に、ホワイトアルミナ溶射皮膜を形成した。
かくして、軟鋼板表面に、窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成される複合皮膜である下地溶射皮膜並びに該下地溶射皮膜上にホワイトアルミナ溶射皮膜が形成されている、実施例2及び3の保護皮膜付き金属基材を得た。
実施例2の保護皮膜付き金属基材において、軟鋼板とホワイトアルミナ溶射皮膜との間の密着強さは、JIS H 8666に準拠して測定して、50MPaであった。また、実施例3の保護皮膜付き金属基材において、軟鋼板とホワイトアルミナ溶射皮膜との間の密着強さは、JIS H 8666に準拠して測定して、30MPaであった。
比較例1及び2
実施例1の(1)において、チタン粉末50%及びアルミニウム粉末50%の混合粉末に代えて、チタン粉末100%の単独粉末(比較例1)又はアルミニウム粉末100%の単独粉末(比較例2)を用いる以外は、実施例1と同様にして、下地溶射皮膜を形成した。次いで、実施例1の(2)と同様にして、下地溶射皮膜上に、ホワイトアルミナ溶射皮膜を形成した。
かくして、軟鋼板表面に、窒化チタンと酸化チタンの固溶体単独又はアルミニウム単独で構成される下地溶射皮膜並びに該下地溶射皮膜上にホワイトアルミナ溶射皮膜が形成されている、比較例1及び2の保護皮膜付き金属基材を得た。
比較例1の保護皮膜付き金属基材において、軟鋼板とホワイトアルミナ溶射皮膜との間の密着強さは、JIS H 8666に準拠して測定して、8MPaであった。また、比較例2の保護皮膜付き金属基材において、軟鋼板とホワイトアルミナ溶射皮膜との間の密着強さは、JIS H 8666に準拠して測定して、20MPaであった。
比較例3
実施例1の(1)において、チタン粉末50%及びアルミニウム粉末50%の混合粉末に代えて、平均粒子径70μmのニッケル80%クロム20%の合金粉末を用いる以外は、実施例1と同様にして、下地溶射皮膜を形成した。次いで、実施例1の(2)と同様にして、下地溶射皮膜上に、ホワイトアルミナ溶射皮膜を形成した。
かくして、軟鋼板表面に、ニッケル・クロム合金単独で構成される下地溶射皮膜並びに該下地溶射皮膜上にホワイトアルミナ溶射皮膜が形成されている、比較例3の保護皮膜付き金属基材を得た。
比較例3の保護皮膜付き金属基材において、軟鋼板とホワイトアルミナ溶射皮膜との間の密着強さは、JIS H 8666に準拠して測定して、40MPaであった。
耐腐食性試験
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた各保護皮膜付き金属基材を試料として、JIS Z 2371に規定される塩水噴霧試験を行って、下地溶射皮膜との関係で、耐腐食性を比較評価した。
図4に、チタン粉末50%及びアルミニウム粉末50%の混合粉末をプラズマ溶射して得られた下地溶射皮膜を用いた実施例1の試料A、チタン粉末100%の単独粉末をプラズマ溶射して得られた下地溶射皮膜を用いた比較例1の試料B、ニッケル80%クロム20%の合金粉末をプラズマ溶射して得られた下地溶射皮膜を用いた比較例3の試料C、及びブランクとして下地溶射皮膜を形成していない試料Dについての耐腐食性試験の試験結果を示す。右列の最下段に示した通り、図4の噴霧時間4日(100時間)〜62日(1500時間)の結果の各写真において、4枚の試料は、左から、試料B、試料A、試料C、試料Dの結果を示している。図4の結果から、次のことが判る。
(1)実施例1の試料Aでは、噴霧時間200時間までは全く異常がなく、500時間においてごく一部分に白錆の発生による変色が見られる。1000時間において若干の赤錆と黒錆と水酸化アルミニウムによると思われる透明のゼリー状物の存在が認められるが、外観はほぼ白色を呈している。1500時間において、一部に赤錆も認められるようになるが、外観は概ね白色を呈している。
(2)これに対して、比較例1の試料B、比較例3の試料C及びブランクの試料Dでは、噴霧時間100時間で基板の軟鋼が腐食することで赤錆が発生し、200時間において全面に赤錆が発生した。
(3)上記(1)及び(2)の結果を比較すれば、本発明の実施例1により、下地溶射皮膜及びセラミックス溶射皮膜を形成した試料の場合においてのみ、金属基材である軟鋼板の腐食を抑制する高い効果があることが明らかである。
また、チタン粉末80%及びアルミニウム粉末20%の混合粉末をプラズマ溶射して得られた下地溶射皮膜を用いた実施例2の試料、チタン粉末20%及びアルミニウム粉末80%の混合粉末をプラズマ溶射して得られた下地溶射皮膜を用いた実施例3の試料、及びアルミニウム粉末100%の単独粉末をプラズマ溶射して得られた下地溶射皮膜を用いた比較例2の試料について、同様にして、JIS Z 2371に規定される塩水噴霧試験を行って、下地溶射皮膜との関係で、耐腐食性を比較評価した結果は、次の通りである。
実施例2の試料では、500時間においても外観は白色を呈しており、軟鋼板の腐食は起きていないが、840時間から一部に赤錆の発生が認められた。実施例3の試料では、500時間においても外観は白色を呈しており、軟鋼板の腐食は起きていないが、1000時間から一部に赤錆の発生が認められた。一方、比較例2の試料では、500時間からホワイトアルミナ溶射皮膜の一部に剥離が認められ、1500時間では顕著に剥離が生じていた.
以上の結果から、耐腐食性に関しては、チタン粉末80〜20%及びアルミニウム粉末20〜80%の混合粉末をプラズマ溶射して得られた下地溶射皮膜を用いることで良好な耐腐食性が得られることが判る。
本発明の保護皮膜の断面を示す模式図である。 実施例1の(1)で得られた下地溶射皮膜のX線回折図である。 実施例1で得られた保護皮膜付き金属基材断面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1、比較例1及び比較例3で得られた保護皮膜付き金属基材等の耐腐食性試験の試験結果である。
符号の説明
1 金属基材
2 窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成されている下地溶射皮膜
3 セラミックス溶射皮膜
4 軟鋼板
5 窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成されている下地溶射皮膜
6 ホワイトアルミナ溶射皮膜

Claims (7)

  1. 金属基材表面に形成された下地溶射皮膜及び該下地溶射皮膜上に積層されたセラミックス溶射皮膜からなる保護皮膜であって、下地溶射皮膜が、チタン粉末20〜80重量%及びアルミニウム粉末80〜20重量%からなる混合粉末を空気雰囲気中でプラズマ溶射して得られる、窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成される複合皮膜であることを特徴とする金属基材用保護皮膜。
  2. 金属基材が、鉄系基材である請求項1に記載の金属基材用保護皮膜。
  3. 混合粉末が、チタン粉末40〜60重量%及びアルミニウム粉末60〜40重量%からなる請求項1に記載の金属基材用保護皮膜。
  4. 金属基材表面に、チタン粉末20〜80重量%及びアルミニウム粉末80〜20重量%からなる混合粉末を空気雰囲気中でプラズマ溶射して、窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成される複合皮膜である下地溶射皮膜を形成し、次いで、該下地溶射皮膜上にセラミックス溶射皮膜を形成することを特徴とする金属基材用保護皮膜の形成方法。
  5. 金属基材が、鉄系基材である請求項4に記載の金属基材用保護皮膜の形成方法。
  6. 混合粉末が、チタン粉末40〜60重量%及びアルミニウム粉末60〜40重量%からなる請求項4に記載の金属基材用保護皮膜の形成方法。
  7. 請求項4に記載の方法により、金属基材表面に、窒化チタンと酸化チタンの固溶体及びアルミニウムで構成される複合皮膜である下地溶射皮膜並びに該下地溶射皮膜上にセラミックス溶射皮膜が形成されている保護皮膜付き金属基材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100995774B1 (ko) 2008-06-25 2010-11-22 주식회사 아스플로 세라믹이 코팅된 반도체 제조용 부품 제조방법
CZ304765B6 (cs) * 2013-02-15 2014-10-01 Ústav Fyziky Plazmatu Akademie Věd České Republiky, V. V. I. Způsob výroby keramického fotoaktivního plátu a keramický fotoaktivní plát vyrobený tímto způsobem
JP2015530737A (ja) * 2012-07-27 2015-10-15 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated 高度なデバイスのウェハ上の粒子性能に対して化学的適合性のあるコーティング材料

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