JP2006201278A - 楽曲の拍節構造の自動分析方法および装置、ならびにプログラムおよびこのプログラムを記録した記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも高次の拍節構造を分析できるようにする。
【解決手段】楽譜データMusicXMLおよびグルーピング構造分析結果GroupingXMLに基づき、楽曲中の各拍点の局所的な強さの値を算出し、各拍点に対応づけてその強さの値を記憶手段に記憶する(ステップS1)。その後、次の階層の拍節構造のすべての候補において、その候補に含まれる拍点の強さの値を記憶手段から読み出して総和を求め、それぞれの候補における拍点の強さの値の総和を比較し、総和が最も大きい候補を次の階層の拍節構造として選択する(ステップS2)。
【選択図】 図2
【解決手段】楽譜データMusicXMLおよびグルーピング構造分析結果GroupingXMLに基づき、楽曲中の各拍点の局所的な強さの値を算出し、各拍点に対応づけてその強さの値を記憶手段に記憶する(ステップS1)。その後、次の階層の拍節構造のすべての候補において、その候補に含まれる拍点の強さの値を記憶手段から読み出して総和を求め、それぞれの候補における拍点の強さの値の総和を比較し、総和が最も大きい候補を次の階層の拍節構造として選択する(ステップS2)。
【選択図】 図2
Description
本発明は、楽曲の拍節構造の自動分析方法および装置に関し、より詳しくは、4分音符/2分音符/1小節/2小節/3小節など、階層的に強拍と弱拍を同定する拍節構造の分析方法および装置に関する。
人間が音楽を聴くとき、初めて聞くような旋律でも心地よく感じたり、音が外れているように聞こえるのはなぜだろうか、このような問いに対する研究は古くから行われてきた。その中で、楽曲を音符列という符号化された情報であるという視点から構造的に分析し、音楽認識を客観的に捉えようという理論がある。Generative Theory of Tonal Music(GTTM)は、そのような理論の中の一つであり、様々な理由により計算機上での自動化が有望視されている。GTTMによる楽曲の分析が自動化されれば、これまでの音楽検索エンジンとは違ったアプローチによる楽曲検索エンジンの作成や、自動伴奏システム、作曲支援などへの応用が期待できる。
GTTMは、グルーピング構造分析、拍節構造分析、タイムスパン簡約、プロロンゲーション簡約という4つのサブ理論から構成される。このうち、拍節構造分析は、4分音符/2分音符/1小節/2小節/3小節など、それぞれの拍節レベル(階層)における強拍と弱拍を同定するもので、聴取者が曲に合わせて手拍子を打つタイミングや指揮者がタクトを振るタイミングを求めるような分析である。
拍節構造分析は、拍節構成ルール(Metrical Well-Formedness Rules:MWFR)と、拍節選好ルール(Metrical Preference Rule:MPR)の2種類によって定義されている。MWFRは、拍節構造が成立するために必要な条件の制約であり、MPRは、MWFRが成り立つ拍節構造が複数存在する場合に、どれが好ましいかを示すルールである。
拍節構造分析は、拍節構成ルール(Metrical Well-Formedness Rules:MWFR)と、拍節選好ルール(Metrical Preference Rule:MPR)の2種類によって定義されている。MWFRは、拍節構造が成立するために必要な条件の制約であり、MPRは、MWFRが成り立つ拍節構造が複数存在する場合に、どれが好ましいかを示すルールである。
上述したGTTMは、元々計算機上への実装を目指した理論ではない。このため、計算機上でのGTTMの自動化には多くの問題がある。第1に、MPRを適用する際に、ルールの適用順序が決まっていないので、ルールの競合がしばしば起きる。第2に、MPRの定義には、抽象的で曖昧な部分が多く含まれているので、計算機への実装が困難である。
一方、拍節構造を自動分析可能な従来の技術として、ビートトラッキング(拍節追跡)と呼ばれる技術がある(例えば、非特許文献1を参照)。このビートトラッキングを用いることにより、階層的な拍節構造を獲得できる。
ビートトラッキングでは、音楽ジャンルを限定して予めリズムパターンのテンプレートを用意し、小節の先頭を検出する。このリズムパターンのテンプレートは、繰り返しの単位である1小節程度の範囲までには有効であるが、2小節、4小節よりも広くなるとあまり機能しなくなる。このため、ビートトラッキングには、1小節程度よりも広い(つまり高次の)拍節構造を分析できない。
ビートトラッキングでは、音楽ジャンルを限定して予めリズムパターンのテンプレートを用意し、小節の先頭を検出する。このリズムパターンのテンプレートは、繰り返しの単位である1小節程度の範囲までには有効であるが、2小節、4小節よりも広くなるとあまり機能しなくなる。このため、ビートトラッキングには、1小節程度よりも広い(つまり高次の)拍節構造を分析できない。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
Masataka Goto, An Audio-based Real-time Beat Tracking System for Music With or Without Drum-sounds, journal of New Music Reserch, 30:2, pp.159-171,2001 Lerdahl, F., and R. Jackendoff. A Generative Theory of Tonalo Music. Cambrige, Massachusetts: MIT Press, 1983
Masataka Goto, An Audio-based Real-time Beat Tracking System for Music With or Without Drum-sounds, journal of New Music Reserch, 30:2, pp.159-171,2001 Lerdahl, F., and R. Jackendoff. A Generative Theory of Tonalo Music. Cambrige, Massachusetts: MIT Press, 1983
ビートトラッキングの例で説明したように、拍節構造を自動分析可能な従来の技術には、1小節程度よりも高次の拍節構造を分析できないという問題があった。
これに対し、GTTMは、拍節構造分析のルールが1小節よりも高次の拍節構造にも適用可能なように定義されており、高次の拍節構造分析も可能である。しかし、ルールの競合や定義の曖昧性から、GTTMの拍節構造分析を計算機上に実装し、自動化を図ることが困難であるという問題があった。
これに対し、GTTMは、拍節構造分析のルールが1小節よりも高次の拍節構造にも適用可能なように定義されており、高次の拍節構造分析も可能である。しかし、ルールの競合や定義の曖昧性から、GTTMの拍節構造分析を計算機上に実装し、自動化を図ることが困難であるという問題があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、従来よりも高次の拍節構造分析を自動化することにある。
このような目的を達成するために、本発明に係る楽曲の拍節構造の自動分析方法は、楽曲データに示される連続した個々の音の特性に基づき、楽曲中のそれぞれの拍点の強さの値を算出し、拍点に対応づけてその強さの値を記憶手段に記憶する第1のステップと、次の階層の拍節構造のそれぞれの候補において、その候補に含まれる拍点の強さの値を記憶手段から読み出して総和を求め、それぞれの候補における拍点の強さの値の総和を比較することにより、候補の中から次の階層の拍節構造を選択する第2のステップとを備えることを特徴とする。
ここで、第1のステップは、複数の評価指標と、それぞれの評価指標に対する重みとに基づき、拍点の強さの値を算出するようにしてもよい。
また、第1のステップは、評価指標に基づいて拍点の評価値と閾値とを比較し、その結果に基づき拍点の強さの値を増大させるようにしてもよい。
また、第2のステップは、強拍と弱拍とが交互に現れる頻度が低い候補ほど小さい重みを用い、この重みを拍点の強さの値の総和にかけた値を比較することにより、候補の中から次の階層の拍節構造を選択するようにしてもよい。
また、第1のステップは、評価指標に基づいて拍点の評価値と閾値とを比較し、その結果に基づき拍点の強さの値を増大させるようにしてもよい。
また、第2のステップは、強拍と弱拍とが交互に現れる頻度が低い候補ほど小さい重みを用い、この重みを拍点の強さの値の総和にかけた値を比較することにより、候補の中から次の階層の拍節構造を選択するようにしてもよい。
また、本発明に係る楽曲の拍節構造の自動分析装置は、楽曲データに示される連続した個々の音の特性に基づき、楽曲中のそれぞれの拍点の強さの値を算出する拍点強度算出手段と、拍点に対応づけてその強さの値を記憶する記憶手段と、次の階層の拍節構造のそれぞれの候補において、その候補に含まれる拍点の強さの値を記憶手段から読み出して総和を求め、それぞれの候補における拍点の強さの値の総和を比較することにより、候補の中から次の階層の拍節構造を選択する拍節構造選択手段とを備えることを特徴とする。
ここで、拍点強度算出手段は、複数の評価指標と、それぞれの評価指標に対する重みとに基づき、拍点の強さの値を算出するものであってもよい。
また、拍点強度算出手段は、評価指標に基づいて拍点の評価値と閾値とを比較し、その結果に基づき拍点の強さの値を増大させるものであってもよい。
また、拍節構造選択手段は、強拍と弱拍とが交互に現れる頻度が低い候補ほど小さい重みを用い、この重みを拍点の強さの値の総和にかけた値を比較することにより、候補の中から次の階層の拍節構造を選択するものであってもよい。
また、拍点強度算出手段は、評価指標に基づいて拍点の評価値と閾値とを比較し、その結果に基づき拍点の強さの値を増大させるものであってもよい。
また、拍節構造選択手段は、強拍と弱拍とが交互に現れる頻度が低い候補ほど小さい重みを用い、この重みを拍点の強さの値の総和にかけた値を比較することにより、候補の中から次の階層の拍節構造を選択するものであってもよい。
また、本発明に係る拍節構造分析プログラムは、上述した楽曲の拍節構造の自動分析方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
また、本発明に係る記録媒体は、拍節構造分析プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体である。
また、本発明に係る記録媒体は、拍節構造分析プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体である。
本発明では、楽曲中の各拍点の強さの値を算出し、各拍点の強さに基づき次の階層の拍節構造を選択する。
また、各拍点の強さの値の算出に、複数の評価指標と、各評価指標に対する重みとを用いる。これにより、評価指標の間の優先順位が決まり、評価指標の競合を防止できる。
また、各拍点の強さの値を算出するときに、拍点の評価値と閾値とを比較を行なう。このように閾値を設定することにより、たとえ評価指標の定義が曖昧であっても、評価指標を定式化することが可能となる。
これにより、ルールの競合や定義の曖昧性の問題があるGTTMのような音楽理論であっても、計算機上に実装し、拍節構造分析を自動化を図ることが可能となる。したがって、本発明によれば、従来よりも高次の拍節構造分析が可能となる。
また、各拍点の強さの値の算出に、複数の評価指標と、各評価指標に対する重みとを用いる。これにより、評価指標の間の優先順位が決まり、評価指標の競合を防止できる。
また、各拍点の強さの値を算出するときに、拍点の評価値と閾値とを比較を行なう。このように閾値を設定することにより、たとえ評価指標の定義が曖昧であっても、評価指標を定式化することが可能となる。
これにより、ルールの競合や定義の曖昧性の問題があるGTTMのような音楽理論であっても、計算機上に実装し、拍節構造分析を自動化を図ることが可能となる。したがって、本発明によれば、従来よりも高次の拍節構造分析が可能となる。
図1は、GTTMに基づく音楽分析の全体構成を示す図である。
この音楽分析は、グルーピング構造分析、拍節構造分析、タイムスパン簡約という3つの処理から構成される。本発明は、このうちの拍節構造分析に関するものである。
この音楽分析は、グルーピング構造分析、拍節構造分析、タイムスパン簡約という3つの処理から構成される。本発明は、このうちの拍節構造分析に関するものである。
図2は、本発明の一実施の形態に係る拍節構造分析方法の概要を示す図である。
この拍節構造分析方法は、現在の階層(拍節レベル)の拍節構造における各拍点の局所的な強さDi low-level(iは自然数)を算出するステップS1と、ステップS1の算出結果に基づいて次の階層(拍節レベル)の拍節構造の候補m(ハット)=1,2,3,4,5の中から1つを選択するステップS2とからなり、次の階層の拍節構造の拍点が1つになるまでステップS1,S2を再帰的に繰り返すことにより(ステップS3)、楽曲の階層的な拍節構造を獲得するものである。拍節構造分析の対象は、グルーピング構造分析により得られた楽曲のグループ内である。
この拍節構造分析方法は、現在の階層(拍節レベル)の拍節構造における各拍点の局所的な強さDi low-level(iは自然数)を算出するステップS1と、ステップS1の算出結果に基づいて次の階層(拍節レベル)の拍節構造の候補m(ハット)=1,2,3,4,5の中から1つを選択するステップS2とからなり、次の階層の拍節構造の拍点が1つになるまでステップS1,S2を再帰的に繰り返すことにより(ステップS3)、楽曲の階層的な拍節構造を獲得するものである。拍節構造分析の対象は、グルーピング構造分析により得られた楽曲のグループ内である。
ステップS1においては、例えばMusicXMLで記述された楽譜データ(楽曲データ)およびGroupingXMLで記述されたグルーピング構造分析結果を入力とし、評価指標としてGTTMの拍節選好ルールMPR1,2,3,4,5を適用して、現在の階層の拍節構造における各拍点の局所的な強さDi low-levelを算出する。
ステップS2においては、次の階層の拍節構造の候補m(ハット)=1,2,3,4,5のそれぞれについて、その候補に含まれる各拍点の局所的な強さDi low-levelの値の総和を求め、総和が最大となった候補を次の階層の拍節構造として選択する。
拍節構造の分析結果は、例えばMetricalXML形式で出力される。
ステップS2においては、次の階層の拍節構造の候補m(ハット)=1,2,3,4,5のそれぞれについて、その候補に含まれる各拍点の局所的な強さDi low-levelの値の総和を求め、総和が最大となった候補を次の階層の拍節構造として選択する。
拍節構造の分析結果は、例えばMetricalXML形式で出力される。
1.データ形式
[MusicXML]
MusicXMLは、XML(extensible mark-up language)に基づく楽譜表記の方法で、アトリビュートエレメントとノートエレメントとからなる。アトリビュートエレメントには、調記号、拍子記号および音部記号が記述され、ノートエレメントには、音高、音価およびノーテーションエレメントが記述される。ノーテーションエレメントには、タイ、スラー、フェルマータ、アルペジオ、強弱記号、装飾音、アーティキュレーションなどが記述される。
[MusicXML]
MusicXMLは、XML(extensible mark-up language)に基づく楽譜表記の方法で、アトリビュートエレメントとノートエレメントとからなる。アトリビュートエレメントには、調記号、拍子記号および音部記号が記述され、ノートエレメントには、音高、音価およびノーテーションエレメントが記述される。ノーテーションエレメントには、タイ、スラー、フェルマータ、アルペジオ、強弱記号、装飾音、アーティキュレーションなどが記述される。
[GroupingXML]
GroupingXMLは、グループエレメントと、ノートエレメントと、アプライドエレメントとからなる。すべてのノートエレメントは、発音時刻順に並んでおり、階層的なグループエレメントの内部に存在する。アプライドエレメントは、グループの終了タグと次のグループの開始タグとの間に位置し、GTTMのグルーピング選好ルールGPRの適用位置を表す。
GroupingXMLは、グループエレメントと、ノートエレメントと、アプライドエレメントとからなる。すべてのノートエレメントは、発音時刻順に並んでおり、階層的なグループエレメントの内部に存在する。アプライドエレメントは、グループの終了タグと次のグループの開始タグとの間に位置し、GTTMのグルーピング選好ルールGPRの適用位置を表す。
[MetricalXML]
MetricalXMLは、メトリックエレメントと、メトリックエレメントの内部にあるアプライドエレメント、ノートエレメントとからなる。メトリックエレメントは、楽曲中の拍の強さを最小拍節レベルの拍ごとに表し、アプライドエレメントは、各拍節レベルに適用されるルールを表す。
MetricalXMLは、メトリックエレメントと、メトリックエレメントの内部にあるアプライドエレメント、ノートエレメントとからなる。メトリックエレメントは、楽曲中の拍の強さを最小拍節レベルの拍ごとに表し、アプライドエレメントは、各拍節レベルに適用されるルールを表す。
2.拍節選好ルールMPRの適用
以下、MPR1,2,3,4,5a,5b,5c,5d,5eの適用について説明する。なお、評価関数Dik MPR1およびDi MPRj(=2,3,4,5a,5b,5c,5d,5e)は、各MPRが成立する度合いを表す関数であり、0から1の値で示される。
以下、MPR1,2,3,4,5a,5b,5c,5d,5eの適用について説明する。なお、評価関数Dik MPR1およびDi MPRj(=2,3,4,5a,5b,5c,5d,5e)は、各MPRが成立する度合いを表す関数であり、0から1の値で示される。
[基本変数の算出]
MusicXMLで記述された楽譜データから、5つの基本変数を算出する。5つの基本変数とは、拍点から始まる音のベロシティveloi、拍点の音価valui、連続する音量の長さvoli、拍点のスラーの長さsluri、拍点の音高numiである。各基本変数に付いている添え字のiは、現在の階層で何番目の拍点であるかを表している。各基本変数の平均値をそれぞれμvelo,μvalu,μvol,μslur,μnumとする。
連続する音量の長さvoliについて補足説明する。例えばピアノで、ある音がある音量で鳴っていた時間を考える。譜面上の音価が4分音符であって、実際には8分音符や16分音符の長さしか音量が持続しない場合がある。あるいはスタカートが付いている音符は、通常、譜面上の音価よりも短く演奏される。連続する音量の長さvoliとは、ある拍点から次の拍点まで鳴っていた時間を最大(例えば1.0)として、実際に音量が持続して音が鳴り続けた時間の割合を示す。
図3に、これら5つの基本変数の具体例を示す。
MusicXMLで記述された楽譜データから、5つの基本変数を算出する。5つの基本変数とは、拍点から始まる音のベロシティveloi、拍点の音価valui、連続する音量の長さvoli、拍点のスラーの長さsluri、拍点の音高numiである。各基本変数に付いている添え字のiは、現在の階層で何番目の拍点であるかを表している。各基本変数の平均値をそれぞれμvelo,μvalu,μvol,μslur,μnumとする。
連続する音量の長さvoliについて補足説明する。例えばピアノで、ある音がある音量で鳴っていた時間を考える。譜面上の音価が4分音符であって、実際には8分音符や16分音符の長さしか音量が持続しない場合がある。あるいはスタカートが付いている音符は、通常、譜面上の音価よりも短く演奏される。連続する音量の長さvoliとは、ある拍点から次の拍点まで鳴っていた時間を最大(例えば1.0)として、実際に音量が持続して音が鳴り続けた時間の割合を示す。
図3に、これら5つの基本変数の具体例を示す。
[MPR1の適用]
MPR1では、並列的なグループは並列的な拍節構造を優先する。本実施の形態では、MPR1を式(1)のように定式化する。
MPR1では、並列的なグループは並列的な拍節構造を優先する。本実施の形態では、MPR1を式(1)のように定式化する。
next(j)はmin([n>j|velon>0])と定義され、拍点jの所にある音の次に現れる音の拍点を意味する。
xikは並列性を比較する両方のグループに含まれる音の総数、yikは発音時刻が一致する音の総数(音高変化の総数)、zikは発音時刻が一致する音のうち音高変化が一致する音の総数を表す。したがって、yik/xikはグループ間で発音時間が一致する割合(リズム方向の一致性)、zik/yikはグループ間で音高変化が一致する割合(音高方向の一致性)を意味する。それぞれ、値が大きい(1に近い)ほど並列性が高い。
具体例を図4に示す。この例では、発音時間が一致する割合(yik/xik)=6/7、音高変化が一致する割合(zik/yik)=2/6となる。
xikは並列性を比較する両方のグループに含まれる音の総数、yikは発音時刻が一致する音の総数(音高変化の総数)、zikは発音時刻が一致する音のうち音高変化が一致する音の総数を表す。したがって、yik/xikはグループ間で発音時間が一致する割合(リズム方向の一致性)、zik/yikはグループ間で音高変化が一致する割合(音高方向の一致性)を意味する。それぞれ、値が大きい(1に近い)ほど並列性が高い。
具体例を図4に示す。この例では、発音時間が一致する割合(yik/xik)=6/7、音高変化が一致する割合(zik/yik)=2/6となる。
これら2つの割合の重み付け和で並列の度合いを表現するために、調節可能なパラメータWr(0≦Wr≦1)を導入する。Wrは、リズム方向のずれと音高方向のずれとのどちらを重視するかを決める重みである。値が大きいほど音高の方を重視する。
また、拍点iと拍点kとが並列的であるか(評価関数Dik MPR1=1)、そうでないか(評価関数Dik MPR1=0)を決める閾値として、調節可能なパラメータTMPR1(0≦TMPR1≦1)を導入する。値が大きいほどMPR1が成立しにくくなる。
また、拍点iと拍点kとが並列的であるか(評価関数Dik MPR1=1)、そうでないか(評価関数Dik MPR1=0)を決める閾値として、調節可能なパラメータTMPR1(0≦TMPR1≦1)を導入する。値が大きいほどMPR1が成立しにくくなる。
比較対象となるグループは、拍点iを含み拍点が2つ以上ある最も小さなグループである。グループの先頭の拍点のiをistart、グループの終わりの拍点のiをiendとすると、istart≦i≦iendが成立している。kに付いても同様に、kstart≦k≦kendが成立している。MPR1では、グループをまたがるような旋律の並列性は考えないので、iとkの上限はそれぞれiendとkendである。
[MPR2の適用]
MPR2では、最も強い拍がグループの中で比較的早くでる拍節構造を優先する。したがって、MPR2を式(2)のように定式化する。評価関数Di MPR2は、拍点がグループの先頭に近いほど大きな値を示す関数である。評価関数Di MPR2をグラフ化したものを図5に示す。
Di MPR2=(iend−i)/(iend−istart) (2)
MPR2では、最も強い拍がグループの中で比較的早くでる拍節構造を優先する。したがって、MPR2を式(2)のように定式化する。評価関数Di MPR2は、拍点がグループの先頭に近いほど大きな値を示す関数である。評価関数Di MPR2をグラフ化したものを図5に示す。
Di MPR2=(iend−i)/(iend−istart) (2)
[MPR3の適用]
MPR3では、拍点に音符がある拍節構造を優先する。したがって、MPR3を式(3)のように定式化する。評価関数Di MPR3をグラフ化したものを図6に示す。
MPR3では、拍点に音符がある拍節構造を優先する。したがって、MPR3を式(3)のように定式化する。評価関数Di MPR3をグラフ化したものを図6に示す。
[MPR4,5a,5b,5cの適用]
MPR4では、強く弾いた拍が強拍となる拍節構造を優先する。MPR5a,5b,5cでは、相対的に長い音、長い音量、長いスラーが強拍となる拍節構造を優先する。
GTTMでは、具体的にどの程度のものが強く、どの程度のものが長いのかが定義されていない。そこで、本実施の形態では、それらの判断するための閾値として調節可能なパラメータTMPRj(0≦TMPRj≦1,j=4,5a,5b,5c)を導入し、MPRjを式(4)〜式(7)のように定式化する。ルールが成立する場合には評価関数Di MPRj=1、成立しない場合には評価関数Di MPRj=0となる。なお、TMPR4は、どの程度強く弾いた拍を強拍とするかを判断するための閾値であり、TMPR5a,TMPR5b,TMPR5cは、どの程度相対的に長い音、長い音量、長いスラーを強拍とするかを判断するための閾値である。値が大きいほどルールが成立しにくくなる。
MPR4では、強く弾いた拍が強拍となる拍節構造を優先する。MPR5a,5b,5cでは、相対的に長い音、長い音量、長いスラーが強拍となる拍節構造を優先する。
GTTMでは、具体的にどの程度のものが強く、どの程度のものが長いのかが定義されていない。そこで、本実施の形態では、それらの判断するための閾値として調節可能なパラメータTMPRj(0≦TMPRj≦1,j=4,5a,5b,5c)を導入し、MPRjを式(4)〜式(7)のように定式化する。ルールが成立する場合には評価関数Di MPRj=1、成立しない場合には評価関数Di MPRj=0となる。なお、TMPR4は、どの程度強く弾いた拍を強拍とするかを判断するための閾値であり、TMPR5a,TMPR5b,TMPR5cは、どの程度相対的に長い音、長い音量、長いスラーを強拍とするかを判断するための閾値である。値が大きいほどルールが成立しにくくなる。
図7に、MPRjの適用例を示す。ベロシティveloi、音価valui、連続する音量の長さvoli、スラーの長さsluriがそれぞれ閾値TMPRj(j=4,5a,5b,5c)を超えるところでMPRjが成立する。
[MPR5dの適用]
MPR5dでは、相対的に長いアーティキュレーションパターンの繰り返しが強拍となる拍節構造を優先する。GTTMでは、アーティキュレーションパターンの繰り返しに関する具体的な定義がない。ここでは、非特許文献2での適用例から、MPR5aが連続して適用されている場所であると判断し、MPR5dを式(8)のように定式化する。MPR5aが連続している場合には評価関数Di MPR5d=1、連続していない場合には評価関数Di MPR5d=0となる。
MPR5dでは、相対的に長いアーティキュレーションパターンの繰り返しが強拍となる拍節構造を優先する。GTTMでは、アーティキュレーションパターンの繰り返しに関する具体的な定義がない。ここでは、非特許文献2での適用例から、MPR5aが連続して適用されている場所であると判断し、MPR5dを式(8)のように定式化する。MPR5aが連続している場合には評価関数Di MPR5d=1、連続していない場合には評価関数Di MPR5d=0となる。
[MPR5eの適用]
MPR5eでは、同一音高が連続している場合に強拍となる拍節構造を優先する。したがって、MPR5eを式(9)のように定式化する。次の拍点と音高が同じ場合にはDi MPR5e=1、異なる場合にはDi MPR5e=0となる。
MPR5eでは、同一音高が連続している場合に強拍となる拍節構造を優先する。したがって、MPR5eを式(9)のように定式化する。次の拍点と音高が同じ場合にはDi MPR5e=1、異なる場合にはDi MPR5e=0となる。
3.局所的な拍点の強さの算出
まず、各拍点において、Di MPRj(j=2,3,4,5a,5b,5c,5d,5e)の重み付け和Biを算出する。ここで、調節可能なパラメータSMPRj(0≦SMPRj≦1)を導入する。SMPRjは、各MPRjの相対的な強さを決める重みである。値が大きいほど、ルールの影響が強くなる。
次に、重み付け和Biを用いて、各拍点の局所的な強さDi low-levelを算出する。この際、式(10)に示すように、MPR1を反映させる。ここで、調節可能なパラメータSMPR1を導入する。SMPR1は、MPR1の強さを決める重みである。
まず、各拍点において、Di MPRj(j=2,3,4,5a,5b,5c,5d,5e)の重み付け和Biを算出する。ここで、調節可能なパラメータSMPRj(0≦SMPRj≦1)を導入する。SMPRjは、各MPRjの相対的な強さを決める重みである。値が大きいほど、ルールの影響が強くなる。
次に、重み付け和Biを用いて、各拍点の局所的な強さDi low-levelを算出する。この際、式(10)に示すように、MPR1を反映させる。ここで、調節可能なパラメータSMPR1を導入する。SMPR1は、MPR1の強さを決める重みである。
4.階層的な拍節構造の獲得
次の階層の拍節構造には、図8に示すような5つの候補m(ハット)=1〜5が考えられる。局所的な拍点の強さDi low-levelを用いて、これらの5つの候補の中から1つを次の階層の拍節構造として選択する。具体的には、各候補についてその候補に含まれる各拍点の局所的な強さDi low-levelの値の総和を求め、総和が最大となった候補を次の階層の拍節構造として選択する。
次の階層の拍節構造には、図8に示すような5つの候補m(ハット)=1〜5が考えられる。局所的な拍点の強さDi low-levelを用いて、これらの5つの候補の中から1つを次の階層の拍節構造として選択する。具体的には、各候補についてその候補に含まれる各拍点の局所的な強さDi low-levelの値の総和を求め、総和が最大となった候補を次の階層の拍節構造として選択する。
この際、MPR10を反映させる。MPR10では、強拍と弱拍とが交互に現れる拍節構造を優先する。ここでは調節可能なパラメータSMPR10(0≦SMPR10≦1)を導入し、式(11)のように定式化する。すなわち、強拍と弱拍とが交互に現れる頻度が低い候補m(ハット)=3,4,5でDi low-levelの値の総和を求める際に、Di low-levelの値を小さくするSMPR10を掛ける。SMPR10は、MPR10の強さを決める重みである。
現在の階層(拍節レベル)に拍点が2つ以上ある場合には、式(11)により次の階層の拍節構造が求まる。
現在の階層(拍節レベル)に拍点が2つ以上ある場合には、式(11)により次の階層の拍節構造が求まる。
5.拍節構造分析装置
次に、上述した拍節構造分析方法を実現する装置について説明する。
次に、上述した拍節構造分析方法を実現する装置について説明する。
[第1の構成例]
図9は、拍節構造分析装置の第1の構成例を示すブロック図である。
この拍節構造分析装置は、MusicXMLで記述された楽譜データから各種の基本変数(veloi,valui,voli,sluri,numi)を算出する基本変数算出部1と、GroupingXMLで記述されたグルーピング構造分析結果から各種の基本変数(istart,iend)を算出する基本変数算出部2と、基本変数算出部1,2において算出された基本変数を記憶する基本変数記憶部3と、各種のパラメータ(Wr,TMPRj(j=1,4,5a,5b,5c),SMPRj(j=1,2,3,4,5a,5b,5c,5d,5e,10)を設定するパラメータ設定部4と、各種の基本変数とパラメータから現在の階層の拍節構造における各拍点の局所的な強さDi low-levelを算出する局所的拍点強度算出部5と、Di low-levelを記憶する拍点強度記憶部6と、Di low-levelに基づいて次の階層の拍節構造を選択する拍節構造選択部7と、各階層の拍節構造を記憶する階層的拍節構造記憶部9と、階層的拍節構造記憶部9に記憶されている分析結果をMetricalXML形式で出力する分析結果出力部9とから構成される。
図9は、拍節構造分析装置の第1の構成例を示すブロック図である。
この拍節構造分析装置は、MusicXMLで記述された楽譜データから各種の基本変数(veloi,valui,voli,sluri,numi)を算出する基本変数算出部1と、GroupingXMLで記述されたグルーピング構造分析結果から各種の基本変数(istart,iend)を算出する基本変数算出部2と、基本変数算出部1,2において算出された基本変数を記憶する基本変数記憶部3と、各種のパラメータ(Wr,TMPRj(j=1,4,5a,5b,5c),SMPRj(j=1,2,3,4,5a,5b,5c,5d,5e,10)を設定するパラメータ設定部4と、各種の基本変数とパラメータから現在の階層の拍節構造における各拍点の局所的な強さDi low-levelを算出する局所的拍点強度算出部5と、Di low-levelを記憶する拍点強度記憶部6と、Di low-levelに基づいて次の階層の拍節構造を選択する拍節構造選択部7と、各階層の拍節構造を記憶する階層的拍節構造記憶部9と、階層的拍節構造記憶部9に記憶されている分析結果をMetricalXML形式で出力する分析結果出力部9とから構成される。
局所的拍点強度算出部5は更に、式(1)を計算することによりMPR1を評価するMPR1評価部51と、式(2)を計算することによりMPR2を評価するMPR2評価部52と、式(3)を計算することによりMPR3を評価するMPR3評価部53と、式(4)〜(7)を計算することによりMPR4,5a〜5cを評価するMPR4,MPR5a〜5c評価部54と、式(8)を計算することによりMPR5dを評価するMPR5d評価部55と、式(9)を計算することによりMPR5eを評価するMPR5e評価部56と、評価関数Di MPRj(j=2,3,4,5a,5b,5c,5d,5e)の重み付け和Biを算出する重み付け和算出部57と、式(10)を計算することにより拍点の強さDi low-levelを算出する拍点強度算出部58とから構成される。
図10は、図9に示した拍節構造分析装置の動作の流れを示すフローチャートである。
MusicXMLで記述された楽譜データが入力されると(ステップS11)、基本変数算出部1において各種の基本変数(veloi,valui,voli,sluri,numi,μvelo,μvalu,μvol,μslur,μnum)を算出し(ステップS12)、算出結果を基本変数記憶部3に記憶する(ステップS13)。
また、GroupingXMLで記述されたグルーピング構造分析結果が入力されると(ステップS14)、基本変数算出部2において各種の基本変数(istart,iend)を算出し(ステップS15)、算出結果を同じく基本変数記憶部3に記憶する(ステップS16)。
MusicXMLで記述された楽譜データが入力されると(ステップS11)、基本変数算出部1において各種の基本変数(veloi,valui,voli,sluri,numi,μvelo,μvalu,μvol,μslur,μnum)を算出し(ステップS12)、算出結果を基本変数記憶部3に記憶する(ステップS13)。
また、GroupingXMLで記述されたグルーピング構造分析結果が入力されると(ステップS14)、基本変数算出部2において各種の基本変数(istart,iend)を算出し(ステップS15)、算出結果を同じく基本変数記憶部3に記憶する(ステップS16)。
パラメータ設定部4から各種のパラメータ(Wr,TMPRj(j=1,4,5a,5b,5c),SMPRj(j=1,2,3,4,5a,5b,5c,5d,5e,10)が設定されると(ステップS17,YES)、局所的拍点強度算出部5において現在の階層の拍節構造における各拍点の局所的な強さDi low-levelを算出し、拍点強度記憶部6に記録する(ステップS18)。
より詳しくは、まずMPR1評価部51において、基本変数記憶部3から、拍節構造分析対象のグループの基本変数veloi,numi,istart,iendと、比較対象のグループの基本変数velok,numk,kstart,kendとを読み出し、パラメータWr,TMPR1を用いて式(1)を計算することによりDik MPR1を求め、拍点強度算出部58に出力する。
また、MPR2評価部52において、基本変数記憶部3から基本変数istart,iendを読み出し、式(2)を計算することによりDi MPR2を求め、重み付け和算出部57に出力する。
また、MPR3評価部53において、基本変数記憶部3から基本変数veloiを読み出し、式(3)を計算することによりDi MPR3を求め、重み付け和算出部57に出力する。
また、MPR4,MPR5a〜5c評価部54において、基本変数記憶部3から基本変数veloi,valui,voli,sluri,μvelo,μvalu,μvol,μslurを読み出し、パラメータTMPRj(j=4,5a,5b,5c)を用いて式(4)〜式(7)を計算することによりDi MPRj(j=4,5a,5b,5c)を求め、重み付け和算出部57に出力する。Di MPR5aについては、MPR5d評価部56にも出力する。
また、MPR5d評価部55において、入力されたDi MPR5aを用いて式(8)を計算することによりDi MPR5dを求め、重み付け和算出部57に出力する。
また、MPR5e評価部56において、基本変数記憶部3から基本変数numiを読み出し、式(9)を計算することによりDi MPR5eを求め、重み付け和算出部57に出力する。
また、MPR2評価部52において、基本変数記憶部3から基本変数istart,iendを読み出し、式(2)を計算することによりDi MPR2を求め、重み付け和算出部57に出力する。
また、MPR3評価部53において、基本変数記憶部3から基本変数veloiを読み出し、式(3)を計算することによりDi MPR3を求め、重み付け和算出部57に出力する。
また、MPR4,MPR5a〜5c評価部54において、基本変数記憶部3から基本変数veloi,valui,voli,sluri,μvelo,μvalu,μvol,μslurを読み出し、パラメータTMPRj(j=4,5a,5b,5c)を用いて式(4)〜式(7)を計算することによりDi MPRj(j=4,5a,5b,5c)を求め、重み付け和算出部57に出力する。Di MPR5aについては、MPR5d評価部56にも出力する。
また、MPR5d評価部55において、入力されたDi MPR5aを用いて式(8)を計算することによりDi MPR5dを求め、重み付け和算出部57に出力する。
また、MPR5e評価部56において、基本変数記憶部3から基本変数numiを読み出し、式(9)を計算することによりDi MPR5eを求め、重み付け和算出部57に出力する。
続いて、重み付け和算出部57において、入力されたDi MPRj(j=2,3,4,5a,5b,5c,5d,5e)に重みSMPRjを掛けてから加算して重み付け和Biを求め、拍点強度算出部58に出力する。
そして、拍点強度算出部58において、入力されたBi,Dik MPR1および重みSMPR1を用いて式(10)を計算し、拍点iの強さDi low-levelを算出する。すなわち、拍点iに並列的な拍点kがない場合には、単に重み付け和BiをDi low-levelとする。これに対し、拍点iに並列的な拍点kがある場合には、すべての拍点kの重み付け和Bkに重みSMPR1を掛けたものの総和をとり、これに拍点iの重み付け和Biを加算したものをDi low-levelとする。そして、Di low-levelを拍点強度記憶部6に記録する。
そして、拍点強度算出部58において、入力されたBi,Dik MPR1および重みSMPR1を用いて式(10)を計算し、拍点iの強さDi low-levelを算出する。すなわち、拍点iに並列的な拍点kがない場合には、単に重み付け和BiをDi low-levelとする。これに対し、拍点iに並列的な拍点kがある場合には、すべての拍点kの重み付け和Bkに重みSMPR1を掛けたものの総和をとり、これに拍点iの重み付け和Biを加算したものをDi low-levelとする。そして、Di low-levelを拍点強度記憶部6に記録する。
拍節構造分析対象のグループ内のすべての拍点istart〜iendに対して以上の処理を行ない、各拍点の局所的な強さDi low-levelを拍点強度記憶部6に記録する。
その後、拍節構造選択部7において、拍点強度記憶部6からすべての拍点の局所的な強さDi low-levelを読み出し、重みSMPR10を用いて式(11)を計算する。
具体的には、まず、強拍と弱拍とが交互に現れる候補m(ハット)=1について、そこに含まれる各拍点((i−1)mod2=0)の局所的な強さDi low-levelの値の総和を求める。候補m(ハット)=2も強拍と弱拍とが交互に現れるので、同様の処理を行う。
次に、候補m(ハット)=3について、強拍と弱拍とが交互に現れる頻度が低いので、そこに含まれる各拍点((i−3)mod2=1)の局所的な強さDi low-levelの値に1以下の重みSMPR10をものの総和を求める。候補m(ハット)=4,5も強拍と弱拍とが交互に現れる頻度が低いので、候補m(ハット)=3と同様の処理を行う。
そして、5つの候補における総和を比較し、総和が最大となる候補を次の階層の拍節構造として選択し、階層的拍節構造記憶部8に記録する(ステップS19)。
具体的には、まず、強拍と弱拍とが交互に現れる候補m(ハット)=1について、そこに含まれる各拍点((i−1)mod2=0)の局所的な強さDi low-levelの値の総和を求める。候補m(ハット)=2も強拍と弱拍とが交互に現れるので、同様の処理を行う。
次に、候補m(ハット)=3について、強拍と弱拍とが交互に現れる頻度が低いので、そこに含まれる各拍点((i−3)mod2=1)の局所的な強さDi low-levelの値に1以下の重みSMPR10をものの総和を求める。候補m(ハット)=4,5も強拍と弱拍とが交互に現れる頻度が低いので、候補m(ハット)=3と同様の処理を行う。
そして、5つの候補における総和を比較し、総和が最大となる候補を次の階層の拍節構造として選択し、階層的拍節構造記憶部8に記録する(ステップS19)。
次の階層の拍点の数が2つ以上であれば(ステップS20,YES)、この階層において、各拍点の局所的な強さの算出(ステップS18)と、さらに次の階層の拍節構造の選択(ステップS19)を再び行う。そして、この再帰的処理を次の階層の拍点の数が1つになるまで繰り返す(ステップS20,NO)。これにより、階層的な拍節構造を獲得できる。
階層的拍節構造記憶部8に記録された階層的な拍節構造を、分析結果出力部9を介してMetricalXML形式で出力する(ステップS21)。
この後、パラメータ設定部4からパラメータの設定が変更されたときには(ステップS22,YES)、ステップS18〜S21の一連の処理を繰り返し行う。
この後、パラメータ設定部4からパラメータの設定が変更されたときには(ステップS22,YES)、ステップS18〜S21の一連の処理を繰り返し行う。
[第2の構成例]
図11は、拍節構造分析装置の第2の構成例を示すブロック図である。
この拍節構造分析装置は、第1の構成例の諸機能をコンピュータ70により実現するものである。コンピュータ70は、演算処理部71と記憶部72a,72bとインターフェース部(I/F部)73a,73b,73cとがバス74により接続された構成となっている。I/F部73a、73bは、それぞれコンピュータ70の外部装置である操作卓75、表示装置76とインタフェースをとる。
図11は、拍節構造分析装置の第2の構成例を示すブロック図である。
この拍節構造分析装置は、第1の構成例の諸機能をコンピュータ70により実現するものである。コンピュータ70は、演算処理部71と記憶部72a,72bとインターフェース部(I/F部)73a,73b,73cとがバス74により接続された構成となっている。I/F部73a、73bは、それぞれコンピュータ70の外部装置である操作卓75、表示装置76とインタフェースをとる。
コンピュータ70の動作を制御するプログラム78は、光磁気ディスク、半導体メモリその他の記録媒体77に記録された状態で提供される。この記録媒体77がI/F部73cに接続されると、演算処理部71は記録媒体77に書き込まれたプログラム78を読み出し、記憶部72aに格納する。その後、操作卓75からの指示に基づき、演算処理部71が記憶部72aに格納されたプログラム78を実行し、図9に示した各部1〜9の機能を実現する。
なお、プログラム78が、インターネットなどのディジタル通信網を介して提供されてもよい。
なお、プログラム78が、インターネットなどのディジタル通信網を介して提供されてもよい。
6.実験結果
本実施の形態による拍節構造分析の性能の評価を、適合率P(precision)と再現率R(reca11)とを組み合わせたF値で評価する。F値は、適合率と再現率が高いほど、高くなる。
F値=2×(P×R)/(P+R) (12)
ただし、
P:適合率(正解データの拍点と同じ拍点が、装置の出力に含まれている割合)
R:再現率(装置が出力した拍点と同じ拍点が、正解データに含まれている割合)
本実施の形態による拍節構造分析の性能の評価を、適合率P(precision)と再現率R(reca11)とを組み合わせたF値で評価する。F値は、適合率と再現率が高いほど、高くなる。
F値=2×(P×R)/(P+R) (12)
ただし、
P:適合率(正解データの拍点と同じ拍点が、装置の出力に含まれている割合)
R:再現率(装置が出力した拍点と同じ拍点が、正解データに含まれている割合)
この実験では、クラッシック曲から切り出した8小節の長さの100個のメロディに対して、拍節構造分析の正解データを作成した。いくつかの具体例を以下に挙げる。
1.つむぎ歌
2.小犬のワルツ
3.ソルヴェイグの歌
4.アルルの女
5.タランテラ
6.モルダウの流れ
7.別れの曲
8.ダニューブ川の漣
9.ホフマンの舟歌
10.ジムノペティ
1.つむぎ歌
2.小犬のワルツ
3.ソルヴェイグの歌
4.アルルの女
5.タランテラ
6.モルダウの流れ
7.別れの曲
8.ダニューブ川の漣
9.ホフマンの舟歌
10.ジムノペティ
拍節構造は、パラメータの調整によって変化する。そこでまず、パラメータ調節前(ベースライン)の性能を求めた。パラメータの初期値は、Wr=0.5、TMPRj(j=4,5a,5b,5c)=0.5、SMPRj(j=1,2,3,4,5a,5b,5c)=0.5である。次に、手作業で1曲につき10分間でパラメータの調整を行った。
パラメータ調節前後のF値を図12に示す。横軸の番号は上記の曲の番号、縦軸の値はF値である。この図から、パラメータ調節により拍節構造分析の性能が向上することを確認できる。具体的には、平均でF値が0.06した。
パラメータ調節前後のF値を図12に示す。横軸の番号は上記の曲の番号、縦軸の値はF値である。この図から、パラメータ調節により拍節構造分析の性能が向上することを確認できる。具体的には、平均でF値が0.06した。
1,2…基本変数算出部、3…基本変数記憶部、4…パラメータ設定部、5…局所的拍節強度算出部、51…MPR1評価部、52…MPR2評価部、53…MPR3評価部、54…MPR4,MPR5a〜5c評価部、55…MPR5d評価部、56…MPR5e 評価部、57…重み付け和算出部、58…拍点強度算出部、6…拍点強度記憶部、7…拍節構造記憶部、8…階層的拍節構造記憶部、9…分析結果出力部、70…コンピュータ、71…演算処理部、72a,72b…記憶部、73a〜73c…インターフェース部、74…バス、75…操作卓、76…表示装置、77…記録媒体、78…プログラム。
Claims (10)
- 楽曲データに基づきその楽曲の階層的な拍節構造を分析する方法において、
前記楽曲データに示される連続した個々の音の特性に基づき、前記楽曲中のそれぞれの拍点の強さの値を算出し、前記拍点に対応づけて前記強さの値を記憶手段に記憶する第1のステップと、
次の階層の拍節構造のそれぞれの候補において、その候補に含まれる拍点の強さの値を前記記憶手段から読み出して総和を求め、それぞれの候補における前記拍点の強さの値の総和を比較することにより、前記候補の中から前記次の階層の拍節構造を選択する第2のステップと
を備えることを特徴とする楽曲の拍節構造の自動分析方法。 - 請求項1に記載の楽曲の拍節構造の自動分析方法において、
前記第1のステップは、複数の評価指標と、それぞれの評価指標に対する重みとに基づき、前記拍点の強さの値を算出することを特徴とする楽曲の拍節構造の自動分析方法。 - 請求項2に記載の楽曲の拍節構造の自動分析方法において、
前記第1のステップは、前記評価指標に基づいて前記拍点の評価値と閾値とを比較し、その結果に基づき前記拍点の強さの値を増大させることを特徴とする楽曲の拍節構造の自動分析方法。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載の楽曲の拍節構造の自動分析方法において、
前記第2のステップは、強拍と弱拍とが交互に現れる頻度が低い候補ほど小さい重みを用い、この重みを前記拍点の強さの値の総和にかけた値を比較することにより、前記候補の中から前記次の階層の拍節構造を選択することを特徴とする楽曲の拍節構造の自動分析方法。 - 楽曲データに基づきその楽曲の階層的な拍節構造を分析する装置において、
前記楽曲データに示される連続した個々の音の特性に基づき、前記楽曲中のそれぞれの拍点の強さの値を算出する拍点強度算出手段と、
前記拍点に対応づけて前記強さの値を記憶する記憶手段と、
次の階層の拍節構造のそれぞれの候補において、その候補に含まれる拍点の強さの値を前記記憶手段から読み出して総和を求め、それぞれの候補における前記拍点の強さの値の総和を比較することにより、前記候補の中から前記次の階層の拍節構造を選択する拍節構造選択手段と
を備えることを特徴とする楽曲の拍節構造の自動分析装置。 - 請求項5に記載の楽曲の拍節構造の自動分析装置において、
前記拍点強度算出手段は、複数の評価指標と、それぞれの評価指標に対する重みとに基づき、前記拍点の強さの値を算出することを特徴とする楽曲の拍節構造の自動分析装置。 - 請求項6に記載の楽曲の拍節構造の自動分析装置において、
前記拍点強度算出手段は、前記評価指標に基づいて前記拍点の評価値と閾値とを比較し、その結果に基づき前記拍点の強さの値を増大させることを特徴とする楽曲の拍節構造の自動分析装置。 - 請求項5〜7の何れか1項に記載の楽曲の拍節構造の自動分析装置において、
前記拍節構造選択手段は、強拍と弱拍とが交互に現れる頻度が低い候補ほど小さい重みを用い、この重みを前記拍点の強さの値の総和にかけた値を比較することにより、前記候補の中から前記次の階層の拍節構造を選択することを特徴とする楽曲の拍節構造の自動分析装置。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載の楽曲の拍節構造の自動分析方法をコンピュータに実行させるための拍節構造分析プログラム。
- 請求項9に記載の拍節構造分析プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体。
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