JP2006198507A - 液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、液滴付与方法、電気光学装置の製造方法および電子機器 - Google Patents

液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、液滴付与方法、電気光学装置の製造方法および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】ノズル孔から液滴を吐出したとき、その液滴が着弾する着弾位置の精度が高い液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、液滴付与方法、電気光学装置の製造方法および電子機器を提供すること。
【解決手段】液滴吐出ヘッド2は、液状材料111を液滴として吐出する複数のノズル25が形成されたノズルプレート128を有するものである。各ノズル25の内周面251は、液状材料111に対して撥液性を有し、複数のノズル25の少なくとも1つのノズル25(ノズル25R2)の内周面251において、当該内周面251の撥液性は、周方向に沿って変化しており、液滴をノズル25の軸線253に対して、撥液性の大なる部分のある方向に傾斜するように吐出する。
【選択図】図5

Description

本発明は、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、液滴付与方法、電気光学装置の製造方法および電子機器に関する。
液晶表示装置のカラーフィルタ等を製造する方法としては、液滴吐出装置(インクジェット描画装置)を用いて、カラーフィルタ基板上に形成された多数の画素(画素領域)に対し、インク等の液状材料を液滴として付与することにより、各画素を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の液滴吐出装置には、複数のノズル(ノズル孔)が形成されたノズルプレートを有する液滴吐出ヘッドが設置されている。この液滴吐出装置では、液滴吐出ヘッドを回転させることにより、ノズル同士の間隔、すなわち、ノズルピッチが画素ピッチに対応するように、ノズルピッチ(液滴吐出ヘッド)を調節している。さらに、この液滴吐出装置では、各画素に対応するノズルを選択して、その選択されたノズルから液滴を各画素に付与している。
しかしながら、このような液滴吐出装置(液滴吐出ヘッド)では、液滴を画素に吐出するとき、前記選択されたノズルが必ずしも画素の中心部を通過するとは限らないため、液滴が画素の中心部から外れた位置(例えば、画素の縁部や、液滴が付与されるべき画素と異なった画素等)に着弾するおそれがあった。
特開2002−273868号公報
本発明の目的は、ノズル孔から液滴を吐出したとき、その液滴が着弾する着弾位置の精度が高い液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、液滴付与方法、電気光学装置の製造方法および電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液滴吐出ヘッドは、液状材料を液滴として吐出するノズル孔が形成されたノズルプレートを有する液滴吐出ヘッドであって、
前記ノズル孔の内周面は、前記液状材料に対して撥液性を有し、
前記撥液性は、前記内周面の周方向に沿って変化しており、前記液滴を前記ノズル孔の軸線に対して、前記撥液性の大なる部分のある方向に傾斜するように吐出することを特徴とする。
これにより、ノズル孔から液滴を吐出したとき、その液滴が着弾する着弾位置の精度が高くなり得る。
本発明の液滴吐出ヘッドは、液状材料を液滴として吐出する複数のノズル孔が形成されたノズルプレートを有する液滴吐出ヘッドであって、
前記各ノズル孔の内周面は、前記液状材料に対して撥液性を有し、
前記複数のノズル孔の少なくとも1つのノズル孔の内周面において、該内周面の撥液性は、周方向に沿って変化しており、前記液滴を前記ノズル孔の軸線に対して、前記撥液性の大なる部分のある方向に傾斜するように吐出することを特徴とする。
これにより、ノズル孔から液滴を吐出したとき、その液滴が着弾する着弾位置の精度が高くなり得る。
本発明の液滴吐出ヘッドでは、前記内周面には、前記撥液性が最小となる撥液性最小部と、前記撥液性が最大となる撥液性最大部とが形成されており、
前記撥液性最小部から前記撥液性最大部にかけて、連続的または段階的に前記撥液性が増加していることが好ましい。
これにより、ノズル孔内の液状材料の液面を全体として、ノズル孔の軸線に対して確実に傾斜させることができ、よって、その方向に液滴を確実に吐出することができる。
本発明の液滴吐出ヘッドでは、前記撥液性最小部と前記撥液性最大部とは、前記ノズル孔の中心に対し互いに対向していることが好ましい。
これにより、ノズル孔内の液状材料の液面の軸線に対する傾斜方向を容易に調節(設定)することができる。
本発明の液滴吐出ヘッドでは、前記ノズル孔の内周面には、前記撥液性を有する撥液部が形成されており、
前記撥液性の大小は、前記軸線方向における、前記ノズルプレートの外面側の端部からの前記撥液部の距離に対応していることが好ましい。
これにより、ノズル孔内の液状材料の液面を全体として、ノズル孔の軸線に対して確実に傾斜させることができ、よって、その方向に液滴を確実に吐出することができる。
本発明の液滴吐出装置は、本発明の液滴吐出ヘッドと、
基体を保持するステージと、
前記ステージと前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、
前記液滴吐出ヘッドおよび前記移動手段の作動を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
これにより、ノズル孔から液滴を吐出したとき、その液滴が着弾する着弾位置の精度が高くなり得る。
本発明の液滴付与方法は、液状材料を塗布すべき塗布領域が形成された基体に対し、本発明の液滴吐出ヘッドを用いて液状材料を液滴として吐出して、該液滴を前記塗布領域に付与することを特徴とする。
これにより、ノズル孔から液滴を吐出したとき、その液滴が着弾する塗布領域に対する着弾位置の精度が高くなり得る。
本発明の液滴付与方法では、前記ノズル孔は、前記撥液性の大なる部分が前記塗布領域の中心部側に位置するように調節され、前記液滴が前記塗布領域の中心部に着弾することが好ましい。
これにより、ノズル孔内の液状材料の液面を全体として塗布領域の中心部に対向させることができ、よって、液滴を塗布領域の中心部に確実に着弾させることができる。
本発明の液滴付与方法では、前記液滴を吐出するとき、該液滴を吐出するノズル孔がそれに対応する前記塗布領域の中心部を通過しない場合には、前記ノズル孔は、前記撥液性の大なる部分が前記塗布領域の中心部側に位置するように調節されており、前記液滴が前記塗布領域の中心部に着弾することが好ましい。
これにより、ノズル孔内の液状材料の液面を全体として塗布領域の中心部に対向させることができ、よって、液滴を塗布領域の中心部に確実に着弾させることができる。
本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴付与方法を用いて、基体上の所定の領域に液状材料の液滴を付与する工程を有することを特徴とする。
これにより、ノズル孔から液滴を吐出したとき、その液滴が着弾する着弾位置の精度が高い電気光学装置の製造を行なうことができる。
本発明の電子機器は、本発明の電気光学装置の製造方法により製造された電気光学装置を備えることを特徴とする。
これにより、ノズル孔から液滴を吐出したとき、その液滴が着弾する着弾位置の精度が高い電子機器を提供することができる。
以下、本発明の液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、液滴付与方法、電気光学装置の製造方法および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、以下の説明では、液晶表示装置に用いるカラーフィルタ基板10を製造する場合を想定しているが、本発明は、これに限定されず、カラーフィルタ基板10以外の各種の電気光学装置の製造に適用することができる。
(液滴吐出装置の全体構成)
図1は、本発明の液滴吐出装置の斜視図である。なお、図1(図4も同様)は、Z軸方向の長さを拡大して(誇張して)描かれている。
図1に示すように、液滴吐出装置1は、複数の液滴吐出ヘッド2をキャリッジ105に搭載してなるヘッドユニット103と、ヘッドユニット103を水平な一方向(以下、「X軸方向」と言う)に移動させるキャリッジ移動機構(移動手段)104と、後述する基体10Aを保持するステージ106と、ステージ106をX軸方向に垂直であって水平な方向(以下、「Y軸方向」と言う)に移動させるステージ移動機構(移動手段)108と、制御手段112とを備えている。
また、液滴吐出装置1の近傍には、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の液状材料111をそれぞれ貯留する3個のタンク101が設置されている。各タンク101と、ヘッドユニット103とは、液状材料111を送液する流路となるチューブ110を介して接続されている。各タンク101に貯留された液状材料111は、例えば圧縮空気の力によって、ヘッドユニット103の各液滴吐出ヘッド2に送液(供給)される。
本発明において「液状材料」とは、カラーフィルタ基板10の画素を形成するための材料を含み、液滴吐出ヘッド2のノズル(ノズル孔)25から吐出可能な粘度を有する材料をいう。この場合、材料が水性であると油性であるとを問わない。また、ノズル25から吐出可能な流動性(粘度)を備えていれば十分で、固体物質が分散していても全体として流動体であればよい。
本実施形態における液状材料111は、当該液状材料111を塗布すべきカラーフィルタ基板10の画素(塗布領域)のフィルタ層を形成するための顔料が有機溶剤中に溶解または分散してなる有機溶剤インクである。
なお、以下の説明では、赤、緑、青の液状材料111を区別して言うときには、111R、111G、111Bの符号を付し、色を区別しないで総称して言うときには、単に「液状材料111」と言う。
キャリッジ移動機構104の作動は、制御手段112により制御される。本実施形態のキャリッジ移動機構104は、ヘッドユニット103をZ軸方向(鉛直方向)に沿って移動させ、高さを調整する機能も有している。さらに、キャリッジ移動機構104は、Z軸に平行な軸の回りでヘッドユニット103を回転させる機能も有しており、これにより、ヘッドユニット103のZ軸回りの角度を微調整することができる。
ステージ106は、X軸方向とY軸方向との双方に平行な平面を有する。また、ステージ106は、カラーフィルタ基板10を製造するための基体10Aをその平面上に固定、または保持できるように構成されている。
ステージ移動機構108は、X軸方向およびZ軸方向の双方に直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させ、その作動は、制御手段112により制御される。さらに、本実施形態のステージ移動機構108は、Z軸に平行な軸の回りでステージ106を回転させる機能も有しており、これにより、ステージ106に載置された基体10AのZ軸回りの傾斜を微調整して真っ直ぐになるように補正することができる。
上述のように、ヘッドユニット103は、キャリッジ移動機構104によってX軸方向に移動させられる。一方、ステージ106は、ステージ移動機構108によってY軸方向に移動させられる。つまり、キャリッジ移動機構104およびステージ移動機構108によって、ステージ106に対するヘッドユニット103の相対位置が変わる。
なお、制御手段112の詳細な構成および機能は、後述する。
(ヘッドユニット)
図2は、図1に示す液滴吐出装置におけるヘッドユニットおよび基体を示す平面図である。
図2に示すヘッドユニット103は、複数の液滴吐出ヘッド2がキャリッジ105に搭載された構成となっている。図2中では、キャリッジ105を仮想線(二点鎖線)で表している。また、液滴吐出ヘッド2を示す実線は、液滴吐出ヘッド2のノズル面(ノズルプレート128)の位置を示している。
ヘッドユニット103には、赤色の液状材料111Rを吐出する第1ヘッド21Rとなる液滴吐出ヘッド2と、緑色の液状材料111Gを吐出する第2ヘッド21Gとなる液滴吐出ヘッド2と、青色の液状材料111Bを吐出する第3ヘッド21Bとなる液滴吐出ヘッド2との、計3個の液滴吐出ヘッド2が設置されている。
以下の説明では、これらの液滴吐出ヘッド2を総称する場合には、「液滴吐出ヘッド2」と言い、個々を区別して説明する必要がある場合には、「第1ヘッド21R、第2ヘッド21G、第3ヘッド21B」のように言う。
図2に示す基体10Aは、ストライプ配列のカラーフィルタ基板10を製造するためのものである。この基体10Aには、赤の画素(吐出領域)18Rと、緑の画素(吐出領域)18Gと、青の画素(吐出領域)18Bとがそれぞれ多数設けられている。液滴吐出装置1は、画素18Rには赤色の液状材料111Rを付与し、画素18Gには緑色の液状材料111Gを付与し、画素18Bには青色の液状材料111Bを付与するように作動する。
各画素18R、18G、18Bは、ほぼ長方形をなしている。基体10Aは、画素18R、18G、18Bの長軸方向がY軸方向に平行になり、短軸方向がX軸方向に平行になるような姿勢でステージ106上に保持される。基体10A上には、X軸方向に沿っては画素18R、18G、18の順に3色の画素が繰り返し配列され、Y軸方向に沿っては同色の画素が配列されている。X軸方向に並ぶ一組の画素18R、18G、18Bは、製造されたカラーフィルタ基板10の一画素分に相当する。
(液滴吐出ヘッド)
図3は、液滴吐出ヘッドのノズル面(ノズルプレート)の一部と、基体の画素とを拡大して示す平面図、図4は、液滴吐出ヘッドのノズル面(ノズルプレート)の一部と、基体の画素とを拡大して示す正面図、図5は、図1に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は断面図、図8は、図5に示す液滴吐出ヘッドのノズルを示す斜視図、図9は、図5に示す液滴吐出ヘッドのノズルの他の構成例を示す斜視図である。なお、図3中では、液滴吐出ヘッド2のノズル面は、基体10Aに対向する方向、すなわち鉛直下方に向いて設けられているが、見易くするために、液滴吐出ヘッド2のノズル面を実線で示す。
液滴吐出ヘッド2のノズル面には、多数のノズル(ノズル孔)25がX軸方向に沿って等間隔に直線的に並んで形成されており、ノズル列を形成している。また、一つの液滴吐出ヘッド2に形成されるノズル25の数は、特に限定されないが、通常、数十〜数百個程度とされる。
図5(a)および(b)に示すように、液滴吐出ヘッド2は、インクジェットヘッドである。より具体的には、液滴吐出ヘッド2は、振動板126と、ノズルプレート128とを備えている。振動板126と、ノズルプレート128との間には、タンク101から孔131を介して供給される液状材料111が常に充填される液たまり129が位置している。
また、振動板126と、ノズルプレート128との間には、複数の隔壁122が位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122とによって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル25に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル25の数とは同じである。キャビティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129から液状材料111が供給される。
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、キャビティ120内に充填された液状材料111の圧力を変化させる駆動素子としての振動子124が位置する。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極124A、124Bと、を含む。この1対の電極124A、124Bとの間に駆動電圧を与えることで、対応するノズル25から液状材料111が液滴として吐出される。
制御手段112(図1)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立に信号を与えるように構成されていてもよい。つまり、ノズル25から吐出される材料111の体積が、制御手段112からの信号に応じてノズル25毎に制御されてもよい。
なお、液滴吐出ヘッド2は、図示のような圧電アクチュエータを駆動素子とするものに限らず、静電アクチュエータを用いるものや、電気熱変換素子を用いて液状材料111の熱膨張を利用して液滴を吐出する構成のものであってもよい。
(制御手段)
次に、制御手段112の構成を説明する。図6は、図5に示す液滴吐出ヘッドのノズルの他の構成例を示す斜視図である。
図6に示すように、制御手段112は、入力バッファメモリ200と、記憶手段202と、処理部204と、走査駆動部206と、ヘッド駆動部208と、キャリッジ位置検出手段302と、ステージ位置検出手段303とを備えている。
バッファメモリ200と処理部204とは相互に通信可能に接続されている。処理部204と記憶手段202とは、相互に通信可能に接続されている。処理部204と走査駆動部206とは相互に通信可能に接続されている。処理部204とヘッド駆動部208とは相互に通信可能に接続されている。また、走査駆動部206は、キャリッジ移動機構104およびステージ移動機構108と相互に通信可能に接続されている。同様にヘッド駆動部208は、複数の液滴吐出ヘッド2のそれぞれと相互に通信可能に接続されている。
入力バッファメモリ200は、外部情報処理装置から、液状材料111の液滴を吐出する位置に関するデータ、すなわち描画パターンデータを受け取る。入力バッファメモリ200は、この描画パターンデータを処理部204に供給し、処理部204は、描画パターンデータを記憶手段202に格納する。記憶手段202は、RAM、磁気記録媒体、光磁気記録媒体等で構成される。
キャリッジ位置検出手段302は、キャリッジ105、すなわちヘッドユニット103のX軸方向の位置(移動距離)を検出し、その検出信号を処理部204へ入力する。
ステージ位置検出手段303は、ステージ106、すなわち基体10AのY軸方向の位置(移動距離)を検出し、その検出信号を処理部204へ入力する。
キャリッジ位置検出手段302、ステージ位置検出手段303は、例えばリニアエンコーダ、レーザー測長器等で構成される。
処理部204は、キャリッジ位置検出手段302およびステージ位置検出手段303の検出信号に基づき、走査駆動部206を介して、キャリッジ移動機構104およびステージ移動機構108の作動を制御(クローズドループ制御)し、ヘッドユニット103の位置と、基体10Aの位置とを制御する。
さらに、処理部204は、ステージ移動機構108の作動を制御することにより、ステージ106すなわち基体10Aの移動速度を制御する。
また、処理部204は、前記描画パターンデータに基づいて、吐出タイミング毎のノズル25のオン・オフを指定する選択信号SCをヘッド駆動部208へ与える。ヘッド駆動部208は、選択信号SCに基づいて、液状材料111の吐出に必要な吐出信号ESを液滴吐出ヘッド2に与える。この結果、液滴吐出ヘッド2における対応するノズル25から、液状材料111が液滴として吐出される。
制御手段112は、CPU、ROM、RAMを含んだコンピュータであってもよい。この場合には、制御手段112の上記機能は、コンピュータによって実行されるソフトウェアプログラムによって実現される。もちろん、制御手段112は、専用の回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。
次に制御手段112におけるヘッド駆動部208の構成と機能を説明する。図7は、図6に示すヘッド駆動部に関する図であり、(a)はヘッド駆動部を示す模式図、(b)はヘッド駆動部における駆動信号、選択信号および吐出信号を示すタイミングチャートである。
図7(a)に示すように、ヘッド駆動部208は、1つの駆動信号生成部203と、複数のアナログスイッチASとを有する。図7(b)に示すように、駆動信号生成部203は、駆動信号DSを生成する。駆動信号DSの電位は、基準電位Lに対して時間的に変化する。具体的には、駆動信号DSは、吐出周期EPで繰り返される複数の吐出波形Pを含む。ここで、吐出波形Pは、ノズル25から1つの液滴を吐出するために、対応する振動子124の一対の電極間に印加されるべき駆動電圧波形に対応する。
駆動信号DSは、アナログスイッチASのそれぞれの入力端子に供給される。アナログスイッチASのそれぞれは、ノズル25のそれぞれに対応して設けられている。つまり、アナログスイッチASの数とノズル25の数とは同じである。
処理部204は、ノズル25のオン・オフを表す選択信号SCを、アナログスイッチASのそれぞれに与える。ここで、選択信号SCは、アナログスイッチAS毎に独立にハイレベルおよびローレベルのどちらかの状態を取り得る。一方、アナログスイッチASは、駆動信号DSと選択信号SCとに応じて、振動子124の電極124Aに吐出信号ESを供給する。具体的には、選択信号SCがハイレベルの場合には、アナログスイッチASは電極124Aに吐出信号ESとして駆動信号DSを伝播する。一方、選択信号SCがローレベルの場合には、アナログスイッチASが出力する吐出信号ESの電位は基準電位Lとなる。振動子124の電極124Aに駆動信号DSが与えられると、その振動子124に対応するノズル25から液状材料111が吐出される。なお、それぞれの振動子124の電極124Bには基準電位Lが与えられている。
図7(b)に示す例では、2つの吐出信号ESのそれぞれにおいて、吐出周期EPの2倍の周期2EPで吐出波形Pが現れるように、2つの選択信号SCのそれぞれにおいてハイレベルの期間とローレベルの期間とが設定されている。これによって、対応する2つのノズル25のそれぞれから、周期2EPで液状材料111が吐出される。また、これら2つのノズル25に対応する振動子124のそれぞれには、共通の駆動信号生成部203からの共通の駆動信号DSが与えられている。このため、2つのノズル25からほぼ同じタイミングで液状材料111が吐出される。
このような液滴吐出装置1では、ステージ移動機構108の作動により、ステージ106上に保持された基体10AをY軸方向に移動させ、ヘッドユニット103の下を通過させつつ、ヘッドユニット103の各液滴吐出ヘッド2のノズル25から液状材料111の液滴を吐出して、基体10A上の各画素18R、18G、18Bに付与する(着弾させる)ように作動する。以下、この動作を「ヘッドユニット103と基体10Aとの主走査」と言うことがある。
ヘッドユニット103全体として基体10Aに対し液状材料111を吐出可能なX軸方向の長さ(全吐出幅W)よりも、基体10AのX軸方向の幅が小さいものである場合には、ヘッドユニット103と基体10Aとの主走査を1回行うことにより、基体10Aの全体に対して液状材料111を付与することができる。
これに対し、ヘッドユニット103の全吐出幅Wよりも、基体10AのX軸方向の幅が大きいものである場合には、ヘッドユニット103と基体10Aとの主走査と、キャリッジ移動機構104の作動によるヘッドユニット103のX軸方向の移動(これを「副走査」と呼ぶ)とを交互に繰り返し行うことにより、基体10Aの全体に対して液状材料111を付与することができる。
次に、液滴吐出ヘッド2のノズルプレート128について詳細に説明する。なお、第1ヘッド21Rのノズルプレート128、第2ヘッド21Gのノズルプレート128および第3ヘッド21Bのノズルプレート128は、それぞれ、構成がほぼ同一であるため、以下、第1ヘッド21Rのノズルプレート128について代表的に説明する。
図3および図4に示すように、第1ヘッド21R(液滴吐出ヘッド2)のノズルプレート128には、複数のノズル25が形成されているが、これらのノズ25のうち、ノズル25R1が画素18R1に対応し、ノズル25R2が画素18R2に対応し、ノズル25R3が画素18R3に対応している。すなわち、第1ヘッド21Rのノズルプレート128では、画素18R1に液滴が塗布されるときに用いられるノズル25は、ノズル25R1であり、画素18R2に液滴が塗布されるときに用いられるノズル25は、ノズル25R2であり、画素18R3に液滴が塗布されるときに用いられるノズル25は、ノズル25R3である。
第1ヘッド21Rの作動により、液滴が吐出されるとき、ノズル25R1は、画素18R1のY軸方向(描画方向)における中心部181を通過する。
また、同様に液滴が吐出されるとき、ノズル25R2は、画素18R2の中心部181を通過しない、すなわち、画素18R3の中心部18に対して図3中右側(図4も同様)を通過する。
また、同様に液滴が吐出されるとき、ノズル25R3は、画素18R3の中心部181を通過しない、すなわち、画素18R3の中心部18に対して図3中左側(図4も同様)を通過する。
さて、このようなノズルプレート128の外面(液滴吐出面)252および各ノズル25の内周面251は、それぞれ、液状材料111に対して撥液性を有している。本実施形態では、これらの面に撥液性を持たせるために、当該撥液性を有する撥液膜(撥液部)27が外面252と各内周面251とに連続して形成されている(図4、図5参照)。
図4に示すように、ノズル25R1の内周面251には、撥液膜27R1が形成されており、ノズル25R2の内周面251には、撥液膜27R2が形成されており、ノズル25R3の内周面251には、撥液膜27R3が形成されている。
液滴が吐出されるとき画素18Rの中心部181からズレた位置を通過するノズル、すなわち、ノズル25R2およびノズル25R3では、それぞれの内周面251の撥液性の大きさが内周面251の周方向に沿って変化している。ノズル25R2およびノズル25R3の構成は、軸線253に対し、左右が反転していること以外は、ほぼ同一であるため(図4参照)、以下、ノズル25R2を代表的に説明する。
この撥液性の大きさ(大小)は、Z軸方向(ノズル25R2の軸線253方向)における、ノズル25R2の外面252側の端部254からの撥液膜27R2の距離L(高さ)に対応している。例えば、撥液性が大きい(高い)部分は、撥液膜27R2の距離Lが長く、撥液性が小さい(低い)部分は、撥液膜27R2の距離Lが短い。
また、図8(図5)に示すように、撥液膜27R2(内周面251)は、撥液性最小部271と、撥液性最大部272とを有している。撥液性最小部271は、内周面251において撥液性が最小となる部位、すなわち、撥液膜27R2の距離Lが最小(Lmin)となる部位である。また、撥液性最大部272は、内周面251において撥液性が最大となる部位、すなわち、撥液膜27R2の距離Lが最大(Lmax)となる部位である。
また、撥液膜27R2は、その距離L(撥液性)が撥液性最小部271から撥液性最大部(撥液性の大なる部分)272にかけて連続的に増加している(図8参照)。
このような撥液性最小部271と撥液性最大部272とが設けられていることにより、ノズル25R2(キャビティ120)内の液状材料111のメニスカスによる湾曲状の液面113が内周面251から受ける力にアンバランスが生じて、液面113自体が軸線253に対して非対称となる、すなわち、液面113が全体として、軸線253に対して撥液性最大部272のある方向(以下、この方向を「撥液性最大部方向(図5中の矢印で示す方向)」という)に確実に傾斜し得る(図5参照)。これにより、液面113の撥液性最大部272側が撥液性最小部27側より遅れてノズル25R2から吐出するため、換言すれば、液面113に垂直な方向に液滴が吐出されるため、その結果、液滴を確実に撥液性最大部方向に吐出させることができ、よって、その液滴が画素18R2に着弾する着弾位置の精度を高く設定することができる。
また、撥液性最小部271と撥液性最大部272とは、ノズル25R2の中心(軸線253)に対し互いに対向するように設けられている。これにより、液面113の最も低い縁部113aと、液面113の最も高い縁部113bとがノズル25R2の中心に対し互いに対向することとなり、よって、液面113の傾斜方向を容易に調節(設定)することができる。換言すれば、効率よく所望の方向に液滴を吐出させることができる。
また、図4に示すように、ノズル25R2では、撥液性最大部(撥液性の大なる部分)272が画素18R2の中心部181側に位置している。これにより、液面113を全体として画素18R2の中心部181に対向させることができ、よって、液滴を確実に中心部181の方向(撥液性最大部方向)に吐出させることができる。従って、ノズル25R1からの液滴を中心部181に確実に着弾させることができる。
また、撥液性最小部271と撥液性最大部272とは、これらの高さの差が、液滴が中心部181に向って吐出するように調節されている。
液滴が中心部181に向って吐出する方向、すなわち、軸線253に対して傾斜した角度θが決定した場合、角度θは、tanθ=k(Lmax−Lmin)/dで表現することができる。なお、kは係数であり、Lmax−Lminはノズル25R2の撥液性最小部271と撥液性最大部272と高さの差であり、dはノズル25R2の直径である。
例えば、ノズル径dが20〜30μm程度であることが好ましく、差Lmax−Lminは、0.5〜2μm程度とすることができる。また、係数kは、0.8〜1.5程度とすることができる。
一例として、ノズル25R2が画素18R2の中心部181から15μmズレた位置を通過する場合、ノズル25R2の撥液性最小部271と撥液性最大部272と高さの差(Lmax−Lmin)を1.3μmと設定したならば、ノズル25R2からの液滴が軸線253に対し約3°傾斜した方向に吐出して、当該液滴を画素18R2の中心部181に着弾させることができる。なお、液滴が吐出するときのノズルプレート128の外面252と基体10Aの上面とは、0.3mm離間している。また、ノズル25R2の直径は、およそ25μmである。
なお、撥液膜27R2は、その距離Lが撥液性最小部271から撥液性最大部272にかけて連続的に増加しているが、これに限定されず、例えば、図9に示すように、前記距離Lが段階的に増加していてもよい。
本実施形態にあるような、微細な領域における液滴の形状は、段階的に撥液膜27R2が形成されていても液面113は段階的に形成されず、安定したメニスカスを形成することができる。すなわち、撥液性が段階的、あるいは、不連続になっていてもよく、選択することができるノズル製造方法がより増え、また、製造上の工程管理もし易くなる。
また、ノズル25R2の内周面251の撥液性の大少は、撥液膜27の距離Lの大小(長短)によるのに限定されず、例えば、撥液膜27の距離Lに大小の変化がなくとも、撥液性の強い撥水膜と、撥液性の弱い撥水膜とを設けることにより、内周面251の撥液性に差を生じさせることができる。
次に、ノズル25R1について説明する。ノズル25R1は、液滴が吐出されるとき画素18R1(画素18R)の中心部181を通過するノズルである。
図4に示すように、ノズル25R1では、撥液膜27R1の高さが内周面251の周方向に沿ってほぼ一定となっている、すなわち、撥液性が一定となっている。これにより、ノズル25R1の液面113が全体としてZ軸負方向に向く、すなわち、画素18R1の中心部181に対向することとなり、よって、液滴を画素18R1の中心部181に確実に着弾させることができる。
このように液滴が画素18Rの中心部181に確実に着弾することにより、ノズル25から吐出された液滴が、例えば、画素18Rの縁部や、当該液滴が付与されるべき画素(画素18R)と異なった画素等に着弾する(付与される)のを確実に防止することができる。
なお、ノズルプレート128の構成材料としては、特に限定されないが、各種金属材料を用いることができる。
また、撥液膜27の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、フルオロアルキル基、アルキル基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基等の撥水性官能基を有する各種カップリング剤、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、パーフルオロエチレン−プロペン共重合体(FEP)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、パーフロロアルキルエーテルのようなフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等の各種撥水性樹脂材料等を用いることができる。
また、撥液膜27R2をノズルプレート128に設ける方法としては、特に限定されないが、例えば、浸漬法によりノズルプレート128全体に撥液膜を形成し、その後、外面252と反対の面側からノズル25R2に向けて斜めにレーザ光を照射することにより、当該レーザ光に照射された部位の撥液膜を除去し、レーザ光の陰となった部位の撥液膜を残す。これにより、高さが異なる撥液膜、すなわち、撥液膜27R2得ることができる。
次に、上述したような液滴吐出装置1(液滴付与方法)を用いてカラーフィルタ基板10を製造する方法ついて、詳細に説明する。
図10は、カラーフィルタ基板10の製造方法を示す断面図である。図10に示すように、基体10Aは、光透過性を有する支持基板12と、支持基板12上に形成されたブラックマトリクス14と、ブラックマトリクス14上に形成されたバンク16とを含む。ブラックマトリクス14は、遮光性を有する材料で形成されている。
そして、ブラックマトリクス14とブラックマトリクス14上のバンク16とは、支持基板12上にマトリクス状の複数の光透過部分、すなわちマトリクス状の複数の画素(領域)18R、18G、18Bが規定されるように位置している。すなわち、支持基板12、ブラックマトリクス14およびバンク16によって、画素18R、18G、18Bが区画形成されている。画素18Rは、赤の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FRが形成されるべき領域であり、画素18Gは、緑の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FGが形成されるべき領域であり、画素18Bは、青の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FBが形成されるべき領域である。
カラーフィルタ基板10を製造する際には、まず、以下の手順にしたがって基体10Aを作成する。まず、スパッタ法または蒸着法によって、支持基板12上に金属薄膜を形成する。その後、フォトリソグラフィー工程によってこの金属薄膜から格子状のブラックマトリクス14を形成する。ブラックマトリクス14の材料の例は、金属クロムや酸化クロムである。なお、支持基板12は、可視光に対して光透過性を有する基板、例えばガラス基板である。続いて、支持基板12およびブラックマトリクス14を覆うように、ネガ型の感光性樹脂組成物からなるレジスト層を塗布する。そして、そのレジスト層の上にマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム密着させながら、このレジスト層を露光する。その後、レジスト層の未露光部分をエッチング処理で取り除くことで、バンク16が得られる。以上の工程によって、基体10Aが得られる。
なお、バンク16に代えて、樹脂ブラックからなるバンクを用いてもよい。その場合は、金属薄膜(ブラックマトリクス14)は不要となり、バンク層は、1層のみとなる。
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基体10Aを親液化する。この処理によって、支持基板12と、ブラックマトリクス14と、バンク16とで規定されたそれぞれの凹部(画素の一部)における支持基板12の表面と、ブラックマトリクス14の表面と、バンク16の表面とが親液性を呈するようになる。さらに、その後、基体10Aに対して、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理を行う。4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、それぞれの凹部におけるバンク16の表面がフッ化処理(撥液性に処理)され、このことで、バンク16の表面が撥液性を呈するようになる。なお、4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、先に親液性を与えられた支持基板12の表面およびブラックマトリクス14の表面は若干親液性を失うが、それでもこれら表面は親液性を維持する。
なお、支持基板12の材質、ブラックマトリクス14の材質、およびバンク16の材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性および撥液性を呈する表面が得られることもあり、そのような場合には、上記表面処理を施さなくてもよい。
上記のようにして画素18R、18G、18Bが形成された基体10Aは、液滴吐出装置1のステージ106上に運ばれ、ステージ106に保持される。液滴吐出装置1は、ステージ移動機構108を作動させて基体10AをY軸方向に移動させてヘッドユニット103の下を通過させながら、各液滴吐出ヘッド2から液状材料111の液滴を吐出して、各画素18R、18G、18Bに付与する。このとき、図10(a)〜(c)に示すように、画素18Rに対しては、赤色の液状材料(カラーフィルタ材料)111Rを吐出し、画素18Gに対しては、緑色の液状材料(カラーフィルタ材料)111Gを吐出し、画素18Bに対しては、青色の液状材料(カラーフィルタ材料)111Bを吐出する。吐出された液状材料(液滴)は111R、111Gおよび111Bは、前述したように、それぞれ、画素18R、18Gおよび18Bの中心部181に確実に着弾することとなる。
各画素18R、18G、18Bに液状材料111R、111G、111Bが付与されたら、基体10Aを図示しない乾燥装置へ搬送し、各画素18R、18G、18B内の液状材料111R、111G、111Bを乾燥させる。これにより、各画素18R、18G、18B上にフィルタ層111FR、111FG、111FBが得られる。なお、液滴吐出装置1での液状材料111R、111G、111Bの付与と、乾燥装置での乾燥とを繰り返し行って積層することによって最終的なフィルタ層111FR、111FG、111FBを形成してもよい。
その後、基体10Aを図示しないオーブン内に搬送し、このオーブンにて、フィルタ層111FR、111FG、111FBを再加熱(ポストベーク)する。
次いで、基体10Aを図示しない保護膜形成装置へ搬送し、この保護膜形成装置にて、フィルタ層111FR、111FG、111FB、およびバンク16を覆う保護膜(オーバーコート)20を形成する。
フィルタ層111FR、111FG、111FB、およびバンク16を覆う保護膜20が形成された後に、乾燥装置にて保護膜20を完全に乾燥させる。さらに、図示しない硬化装置にて保護膜20を加熱して完全に硬化することで、基体10Aはカラーフィルタ基板10となる(図10(d)参照)。
以上説明したような本発明は、カラーフィルタ基板10の製造に限らず、例えばエレクトロルミネッセンス表示装置等の他方式の画像表示装置の製造にも適用することができる。
図11は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置30の製造方法を示す断面図である。以下、本発明により有機エレクトロルミネッセンス表示装置30を製造する場合について説明するが、前述したカラーフィルタ基板10を製造する場合との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図11に示す基体30Aは、有機エレクトロルミネッセンス表示装置30を製造するための基板である。この基体30Aは、マトリクス状に配置された複数の画素(吐出領域)38R、38G、38Bが形成されている。
具体的には、基体30Aは、支持基板32と、支持基板32上に形成された回路素子層34と、回路素子層34上に形成された複数の画素電極36と、複数の画素電極36の間に形成されたバンク40とを有している。支持基板32は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えばガラス基板である。複数の画素電極36のそれぞれは、可視光に対して光透過性を有する電極であり、例えば、ITO(Indium-Tin Oxide)電極である。また、複数の画素電極36は、回路素子層34上にマトリクス状に配置されており、それぞれが画素を規定する。そして、バンク40は、格子状の形状を有しており、複数の画素電極36のそれぞれを囲む。また、バンク40は、回路素子層34上に形成された無機物バンク40Aと、無機物バンク40A上に位置する有機物バンク40Bとからなる。
回路素子層34は、支持基板32上で所定の方向に延びる複数の走査電極と、複数の走査電極を覆うように形成された絶縁膜42と、絶縁膜42上に位置するともに複数の走査電極が延びる方向に対して直交する方向に延びる複数の信号電極と、走査電極および信号電極の交点付近に位置する複数のスイッチング素子44と、複数のスイッチング素子44を覆うように形成されたポリイミドなどの層間絶縁膜45とを有する層である。それぞれのスイッチング素子44のゲート電極44Gおよびソース電極44Sは、それぞれ対応する走査電極および対応する信号電極と電気的に接続されている。層間絶縁膜45上には複数の画素電極36が位置する。層間絶縁膜45には、各スイッチング素子44のドレイン電極44Dに対応する部位にスルーホール44Vが設けられており、このスルーホール44Vを介して、スイッチング素子44と、対応する画素電極36との間の電気的接続が形成されている。また、バンク40に対応する位置にそれぞれのスイッチング素子44が位置している。つまり、図11中の上側から観察すると、複数のスイッチング素子44のそれぞれは、バンク40に覆われるように位置している。
基体30Aの画素電極36とバンク40とで規定される凹部は、画素38R、画素38G、画素38Bに対応する。画素38Rは、赤の波長域の光線を発光する発光層211FRが形成されるべき領域であり、画素38Gは、緑の波長域の光線を発光する発光層211FGが形成されるべき領域であり、画素38Bは、青の波長域の光線を発光する発光層211FBが形成されるべき領域である。
このような基体30Aは、公知の製膜技術とパターニング技術とを用いて製造することができる。
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、この基体30Aを親液化する。この処理によって、画素電極36とバンク40とで規定された画素38R、38G、38Bにおける画素電極36の表面、無機物バンク40Aの表面、および有機物バンク40Bの表面が、親液性を呈するようになる。さらに、その後、基体30Aに対して、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理を行う。4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、それぞれの凹部における有機物バンク40Bの表面がフッ化処理(撥液性に処理)されて、このことで有機物バンク40Bの表面が撥液性を呈するようになる。なお、4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、先に親液性を与えられた画素電極36の表面および無機物バンク40Aの表面は、若干親液性を失うが、それでも親液性を維持する。
なお、画素電極36の材質、無機バンク40の材質、および有機バンク40の材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性および撥液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくてもよい。
また、表面処理が施された複数の画素電極36のそれぞれの上に、対応する正孔輸送層37R、37G、37Bを形成してもよい。正孔輸送層37R、37G、37Bが、画素電極36と、後述の発光層211FR、211FG、211FBとの間に位置すれば、エレクトロルミネッセンス表示装置の発光効率が高くなる。
上記のようにして画素38R、38G、38Bが形成された基体30Aに対し、図11(a)〜(c)に示すように、本発明の液滴吐出装置1を用いて、前述したカラーフィルタ基板10の場合と同様に、各画素38R、38G、38Bに対し、それぞれ、液状材料211R、211G、211Bを付与する。液状材料211Rは、赤色の有機発光材料を含むものであり、液状材料211Gは、緑色の有機発光材料を含むものであり、液状材料211Bは、青色の有機発光材料を含むものである。
その後、基体30Aを乾燥装置へ移送して、各画素38R、38G、38Bに付与された液状材料211R、211G、211Bを乾燥させることにより、各画素38R、38G、38B上に発光層211FR、FG、FBが得られる。
次に、発光層211FR、211FG、211FB、およびバンク40を覆うように対向電極46を設ける。対向電極46は陰極として機能する。
その後、封止基板48と基体30Aとを、互いの周辺部で接着することで、図11(d)に示す有機エレクトロルミネッセンス表示装置30が得られる。なお、封止基板48と基体30Aとの間には不活性ガス49が封入されている。
有機エレクトロルミネッセンス表示装置30において、発光層211FR、211FG、211FBから発光した光は、画素電極36と、回路素子層34と、支持基板32と、を介して射出する。このように回路素子層34を介して光を射出するエレクトロルミネッセンス表示装置は、ボトムエミッション型の表示装置と呼ばれる。
以上、本発明を液晶表示装置(カラーフィルタ基板)の製造や、エレクトロルミネッセンス表示装置の製造に適用した場合について説明したが、本発明は、これらに限定されず、例えば、プラズマ表示装置の背面基板の製造や、電子放出素子を備えた画像表示装置(SED(Surface-Conduction Electron-Emitter Display)またはFED(Field Emission Display)と呼ばれることもある)の製造にも適用することができる。
<本発明の電子機器の実施形態>
前述したような方法で製造されたカラーフィルタ基板10を備えた液晶表示装置や、前述したような方法で製造されたエレクトロルミネッセンス表示装置等の画像表示装置1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図12は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
図13は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、画像表示装置1000を表示部に備えている。
図14は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、画像表示装置1000が表示部に設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
なお、本発明の電子機器は、上述したパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
以上、本発明の液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、液滴付与方法、電気光学装置の製造方法および電子機器を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。液滴吐出装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、一つの液滴吐出ヘッド2に形成されるノズル25の数は、通常、数十〜数百個程度とされるが、これに限定されず、1つであってもよい。
また、ノズルプレートの外面および各ノズルの内周面に撥液性を持たせるために、これらの面に撥液膜を設けるのに限定されず、例えば、ノズルプレート自体が撥液性を有する材料で構成されていてもよい。ノズルプレート自体が撥液性を有する材料で構成されている場合、撥液膜を設けていた面(部位)以外の面が、液状材料に対して親液性を有するように処理(親液処理)されている。
また、撥液膜の距離Lminは、零であってもよい。
本発明の液滴吐出装置の斜視図。 図1に示す液滴吐出装置におけるヘッドユニットおよび基体を示す平面図。 液滴吐出ヘッドのノズル面(ノズルプレート)の一部と、基体の画素とを拡大して示す平面図。 液滴吐出ヘッドのノズル面(ノズルプレート)の一部と、基体の画素とを拡大して示す正面図。 図1に示す液滴吐出装置における液滴吐出ヘッドを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図。 図1に示す液滴吐出装置のブロック図。 (a)はヘッド駆動部を示す模式図、(b)はヘッド駆動部における駆動信号、選択信号および吐出信号を示すタイミングチャート。 図5に示す液滴吐出ヘッドのノズルを示す斜視図。 図5に示す液滴吐出ヘッドのノズルの他の構成例を示す斜視図。 カラーフィルタ基板の製造方法を示す断面図。 有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法を示す断面図。 、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図。
符号の説明
1……液滴吐出装置 2……液滴吐出ヘッド 21R……第1ヘッド 21G……第2ヘッド 21B……第3ヘッド 25、25R1、25R2、25R3……ノズル 251……内周面 252……外面 253……軸線 254……端部 27、27R1、27R2、27R3……撥液膜 271……撥液性最小部 272……撥液性最大部 101……タンク 103……ヘッドユニット 104……キャリッジ移動機構 105……キャリッジ 106……ステージ 108……ステージ移動機構 110……チューブ 111、111R、111G、111B、211R、211G、211B……液状材料 112……制御手段 113……液面 113a、113b……縁部 120……キャビティ 122……隔壁 124……振動子 124A、124B……電極 124C……ピエゾ素子 126……振動板 128……ノズルプレート 129……液たまり 130……供給口 131……孔 200……バッファメモリ 202……記憶手段 203……駆動信号生成部 204……処理部 206……走査駆動部 208……ヘッド駆動部 AS……アナログスイッチ DS……駆動信号 SC……選択信号 ES……吐出信号 10A、30A……基体 10……カラーフィルタ基板 12、32……支持基板
14……ブラックマトリクス 16、40……バンク 20……保護膜 18R、18R1、18R2、18R3、18G、18B、38R、38G、38B……画素 181……中心部 111FR、111FG、111FB……フィルタ層 30……有機エレクトロルミネッセンス表示装置 34……回路素子層 36……画素電極 40A……無機物バンク 40B……有機物バンク 42……絶縁膜 44……スイッチング素子 44G……ゲート電極 44S……ソース電極 44D……ドレイン電極 44V……スルーホール 45……層間絶縁膜 46……対向電極 48……封止基板 49……不活性ガス 302……キャリッジ位置検出手段 303……ステージ位置検出手段 1000……画像表示装置 1100……パーソナルコンピュータ 1102……キーボード 1104……本体部 1106……表示ユニット 1200……携帯電話機 1202……操作ボタン 1204……受話口 1206……送話口 1300……ディジタルスチルカメラ 1302……ケース(ボディー) 1304……受光ユニット 1306……シャッタボタン 1308……回路基板 1312……ビデオ信号出力端子 1314……データ通信用の入出力端子 1430……テレビモニタ 1440……パーソナルコンピュータ 37R、37G、37B……正孔輸送層 211FR、211FG、211FB……発光層

Claims (11)

  1. 液状材料を液滴として吐出するノズル孔が形成されたノズルプレートを有する液滴吐出ヘッドであって、
    前記ノズル孔の内周面は、前記液状材料に対して撥液性を有し、
    前記撥液性は、前記内周面の周方向に沿って変化しており、前記液滴を前記ノズル孔の軸線に対して、前記撥液性の大なる部分のある方向に傾斜するように吐出することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 液状材料を液滴として吐出する複数のノズル孔が形成されたノズルプレートを有する液滴吐出ヘッドであって、
    前記各ノズル孔の内周面は、前記液状材料に対して撥液性を有し、
    前記複数のノズル孔の少なくとも1つのノズル孔の内周面において、該内周面の撥液性は、周方向に沿って変化しており、前記液滴を前記ノズル孔の軸線に対して、前記撥液性の大なる部分のある方向に傾斜するように吐出することを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 前記内周面には、前記撥液性が最小となる撥液性最小部と、前記撥液性が最大となる撥液性最大部とが形成されており、
    前記撥液性最小部から前記撥液性最大部にかけて、連続的または段階的に前記撥液性が増加している請求項1または2に記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 前記撥液性最小部と前記撥液性最大部とは、前記ノズル孔の中心に対し互いに対向している請求項1ないし3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  5. 前記ノズル孔の内周面には、前記撥液性を有する撥液部が形成されており、
    前記撥液性の大小は、前記軸線方向における、前記ノズルプレートの外面側の端部からの前記撥液部の距離に対応している請求項1ないし4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッド。
  6. 請求項1ないし5いずれかに記載の液滴吐出ヘッドと、
    基体を保持するステージと、
    前記ステージと前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させる移動手段と、
    前記液滴吐出ヘッドおよび前記移動手段の作動を制御する制御手段とを有することを特徴とする液滴吐出装置。
  7. 液状材料を塗布すべき塗布領域が形成された基体に対し、請求項1ないし5いずれかに記載の液滴吐出ヘッドを用いて液状材料を液滴として吐出して、該液滴を前記塗布領域に付与することを特徴とする液滴付与方法。
  8. 前記ノズル孔は、前記撥液性の大なる部分が前記塗布領域の中心部側に位置するように調節され、前記液滴が前記塗布領域の中心部に着弾する請求項7に記載の液滴付与方法。
  9. 前記液滴を吐出するとき、該液滴を吐出するノズル孔がそれに対応する前記塗布領域の中心部を通過しない場合には、前記ノズル孔は、前記撥液性の大なる部分が前記塗布領域の中心部側に位置するように調節されており、前記液滴が前記塗布領域の中心部に着弾する請求項7に記載の液滴付与方法。
  10. 請求項7ないし9のいずれかに記載の液滴付与方法を用いて、基体上の所定の領域に液状材料の液滴を付与する工程を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  11. 請求項10に記載の電気光学装置の製造方法により製造された電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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