JP2006198158A - 家畜用受精卵・精子注入器 - Google Patents

家畜用受精卵・精子注入器 Download PDF

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鈴木  達行
Koji Mori
広史 森
Takeshi Taniguchi
武志 谷口
Kazuto Tanaka
一人 田中
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Abstract

【課題】 押出し棒の押動操作を手の大きさに関係なく、安定してスムーズに行うことが出来る注入器を提供する。
【解決手段】 受精卵叉は精子を収納したストロー管5を装着する注入管1と、この注入管に進退自在に挿通される押出し棒2とからなる注入器本体と、この注入器本体に外装する鞘管3を備えてなる家畜用受精卵・精子注入器において、前記注入管1に挿入され該注入管の後端から後方に突出する押出し棒2の押し込み操作を、注入管後部と押出し棒とに掛ける指の開き間隔を狭くし、連続して段階的に行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ストロー管に収納された家畜の受精卵を雌牛などの家畜の子宮内に注入したり、或いはストロー管に収納された家畜の精子を雌牛などの家畜の子宮内に注入するのに使用する注入器に関する
家畜改良増殖の促進を目的として、受精卵注入器(胚移植・細胞融合機器)や精子注入器(人工授精機器)の開発が行われている。
この注入器は、金属製の細いパイプからなる注入管と、この注入管に進退可能に挿通された金属製の細い棒杆からなる押出し棒とで構成されている。そして、使用に際しては、受精卵叉は精子を収納したストロー管を前記注入管に装着し、更に注入管の外側に、先部に注入口を開設した鞘管を該注入管の全長に亘って被せ、前記注入管にける後端の開口より押出し棒を挿入する。尚、鞘管を装着した注入器を家畜の子宮に挿入する場合、該鞘管の先部に開設されている注入口が子宮への挿入過程(膣から頚管)で雑菌等に触れるのを防止するために、鞘管の外側にカバーのパイプを被せて挿入し、所定位置へ挿入後、前記カバーの先端を突き破って鞘管の先部を突出させる。
叉、上記注入器の先部を子宮内の所定位置に案内挿入する手法は、注入器を持つ手とは別の手を直腸から膣内に挿入し、その膣内に挿入した手で子宮頚管内を通る注入器の方向などを手触りで探りながら案内し、子宮内の所定位置へ挿入する直腸膣法が採用されている。
そして、子宮内の所定位置へ注入管の先部を挿入後、該注入管の後端鍔部より突出する押出し棒を該注入管に押し込んで、注入管内に装着したストロー管内の栓を押動して該ストロー管内に収納された受精卵、或いは精子を、鞘管の注入口から子宮内に注出する。
上記押出し棒の押動ストロークは、前記注入管内に装着するストロー管の長さによって決定され、現在使用されているストロー管としては容量が0.25ml用と0.5ml用の二種類が存在するが、長さは何れも130mm程である。従って、ストロー管内に収納された受精卵、或いは精子を押し出すためには、少なくともストロー管の管長に相当する長さ分だけ注入管の後端から押出し棒が突出していることになる。そして、その注入管の後端より突出する押出し棒の押動操作は、前記した直腸膣法との関係により、片手で操作するのが一般的である(図1参照)。
しかし、注入管の後端から突出する押出し棒の突出長さは前記したようにストロー管の長さに相当する130mm前後あり、従って、注入管の後端に取り付けられた指掛け鍔部14と、押出し棒の後端に取り付けられた指当て鍔部15とに亘って指を掛けるためには、図6に示すように、手を目一杯開いて、注入管後端の指掛け鍔部と押出し棒後端の指当て鍔部に指を掛けることになる。よって、注入器の位置を固定して押出し棒を押動スライドする操作を片手で行なうことは、不安定な状況下で行う為、非常に大変で、ぶれることがある。
押出し棒の押動時に注入器の後部がぶれた場合、そのぶれは子宮内に挿入された注入器の先端部においてその何倍もの変位になり、その結果、子宮粘膜を傷付けたり、出血を招くこともある。
そして、そのことは受胎率低下の大きな要因になっている。
尚、上記した注入操作は男性の獣医師のみならず、最近では女性獣医師も多く従事しており、特に手の小さい女性獣医師は更に大変である。
実公平7−10741号公報
本発明は、上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、押出し棒の押動操作を手の大きさに関係なく、安定してスムーズに行うことが出来る注入器を提供することにある。
上記課題を達成するために本発明が講じた技術的手段は、注入時における長ストロークの押出し棒の押動を、複数回に分けて連続操作するようにした。
即ち、受精卵叉は精子を収納したストロー管を装着する注入管と、この注入管に進退自在に挿通される押出し棒とからなる注入器本体と、この注入器本体に外装する鞘管を備えてなる家畜用受精卵・精子注入器において、前記注入管に挿入され該注入管の後端から後方に突出する押出し棒の押し込み操作を、注入管後部と押出し棒とに掛ける指の開き間隔を狭くし、連続して多段階的に行うことが出来るようにした(請求項1)。
上記手段によれば、注入管の後端から押出し棒の突出する長さ分を、注入管後端からの指掛け位置を狭くして、多段連続して押動するため、1回毎の移動量は少なくとも従来の手を全開した時の半分位となり、安定した状態でストロークできる。
上記多段連続の押動を行なう具体的構造としては、前記押出し棒は、注入管に挿入セットした状態で該注入管後端から突出する長さ範囲内に、該押出し棒と係着して押出し棒を注入器側に移動可能とする中間指掛を設けたことを特徴とする(請求項2)。中間指掛の個数は1乃至複数個とする。
具体的には、例えば、その中間指掛を、ストローク長さ範囲の略中間位置に1個設けて、2段階押動とする(請求項3)。
上記手段によれば、注入管の後端から押出し棒に設けた中間指掛までの距離が短い為、注入管後端に設けた指掛と中間指掛とに亘って指を掛けることは緊張することなく自然にでき、従ってスムーズに押出し棒を押動することができる。そして、中間指掛が注入管後端の指掛に当接した後は注入管後端の指掛と押出し棒後端の指当てに指を掛けてスムーズに押動することが出来る。
本発明の家畜用受精卵・精子注入器は請求項1記載の構成により、押出し棒を押動するために注入管後端と押出し棒とに亘って指を掛ける距離が短い為、従来のように手を全開することで生じる緊張、及びそれによる不安定さは全く無く、非常にリラックスした安定状態で押出し棒の押動を行うことができる。従って、手の小さい女性の獣医師でもスムーズに注入作業を行うことができる。
それにより、注入器の先端で子宮粘膜に傷を付けたり、出血を招くといったことは解消でき、受胎率低下を防止することができる。
そして、請求項2、3記載の構成とした場合は、押出し棒のストローク長の範囲内に指掛を係着するだけの構造で、連続多段押し込みが可能な注入器を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を家畜用受精卵注入器について図面に基づき説明する。
図1乃至図4は、家畜用受精卵注入器の概略を示し、図中、1は注入管、2は前記注入管1に挿通される押出し棒で、前記注入管1と押出し棒2とで注入器本体Aが構成される。3は前記注入管1の外側に嵌装される鞘管、4は前記押出し棒2の後部の取り付けた指当て鍔、5は前記注入管1の内部に挿入セットされるストロー管である。
注入管1は、金属製の細いパイプ(例えば、ストロー管が0.25ccの場合は外径3mm、ストロー管が0.5ccの場合は外径4mm)で、且つ長さが体外より子宮頚管を通して子宮に挿入到達し得る長さ(約500mm)を有し、そのパイプの一方側部に、該注入管1の外側に嵌装する鞘管3の後端部を定着固定する固定手段を内蔵したホルダー6が外装固定されて構成されている。
従って、注入管1は長手方向の一方側部に取り付けられたホルダー6の端面から他方端(先端側)まで一直線に延び、開口されている。
注入管1の側部(後部)に取り付けられるホルダー6は、該注入管1の外側に嵌装される鞘管3の後部を、注入管1の外周面とで挾着する挟持片7を弾発揺動可能に装備し、且つ後部には押出し棒2を押動操作する方の手の指(例えば、中指と薬指)を引掛ける指掛け鍔8が一体に形成されている。
前記注入管1の後端開口より該注入管1内に挿通する押出し棒2は、注入管1の内部に挿入セットしたストロー管5内の後部栓を押動して該後部栓より前部に収納されている受精卵を注入器外に押し出すもので、そのために該押出し棒2は前記ストロー管5の内径より小径な金属製の棒杆2aと、その棒杆2aが適確にストロー管5内に案内挿入されるようにするために、前記棒杆2aの外側にストロー管5の外径と略同径のパイプ2bが嵌着固定されて構成されている。
棒杆2aに対するパイプ2bの取り付け長さは、棒杆2aが注入管1と略同じ長さに形成され、その棒杆2aの先端からストロー管5の収納物を押し出すのに必要な長さ分だけ後退した位置から、棒杆2aの後端から前記ストロー管5の長さの略半分の長さ分だけ前進した位置の間に取り付ける。
叉、棒杆2aとパイプ2bとの固定一体化は、パイプ2bの両端部を棒杆2aに対しろう付けして固定する。
そして、上記押出し棒2の後端、即ち棒杆2aの後端部には指当て鍔4が固着され、更に、パイプ2bにおける指当て鍔4寄りの端部、即ち、棒杆2aとパイプ2bの後端が固着された段差部9に係着して押出し棒2を注入器2内に押し込む中間指掛10が、前記指当て鍔4と段差部9との間にスライド可能に嵌着されている。
上記中間指掛10は、前記注入管1後部のホルダー6を支持する手の指(例えば、親指等)を当てて押動操作し得る面積を有する円板状に形成され、中心には棒杆2aが貫通される通孔11が開設され、その通孔11には該棒杆2aとの摩擦係合力を適度に保持するOリング12が装着されると共に、前記段差部9と当接する面には金属製ブッシュ13が取り付けられ、段差部9に対する中間指掛10の係着が安定して確実に行われるように構成されている。
上記の如く構成した押出し棒2は、該押出し棒2を注入管1に挿入セットした場合、注入管1後部のホルダー6端部より後方に前記押出し棒2が所定長さ(注入管内に挿入セットしたストロー管内の収納物を完全に押し出すに必要な長さ)突出する。そして、その突出した押出し棒2の略中間位置には段差部9に係着して中間指掛10が位置する。
従って、家畜の子宮内所定位置に挿入された注入器を操作してストロー管5に収納されている受精卵を子宮内に注入する作業は、図5(a)に示すように、ホルダー6の指掛け鍔を人差し指と中指で挟み、その手の親指を中間指掛10に掛けて、親指を人差し指と中指で支持するホルダー6側に押圧し、中間指掛10がホルダー6の後端面と当接する位置まで押動する。それにより、押出し棒2は押し出しに必要なストロークの約半分に相当する長さ分だけ押し出される。即ち、一段目の押し出しが完了する。
中間指掛10がホルダー6の後端面の当接した後、図5(b)に示すように、中間指掛10に掛けていた親指を押出し棒2後端の指当て鍔4に掛けて更に押動をすることで、残りの半分を押動することが出来る。これにより、二段目の押し出しが完了し、子宮内への受精卵の注入を完了する。
上記した実施の形態は、注入に必要なストロークを二段階に分けて押動するようにしたものであるが、本発明は二段階注入に限定されず、三段階、或いは四段階に分けてもよいものである。但し、段階数が多くなると1回分の移動量が少なくなり、ホルダーと指当て鍔との間に配置する中間指掛の数が多くなり、コスト高になる。
本発明に係る家畜用受精卵・精子注入器は、注入作業をスムーズに行うことができることで従来問題とされていた受胎率低下を防止でき、家畜の改良、及び増殖の促進に大きく貢献できる注入器である。
(a)は注入作業を示す説明図、(b)は注入器の要部を示す正面図。 注入器の全体を示す正面図で、先端部分を拡大し、断面して示す。 注入器を示す分解図。 要部の拡大断面図。 (a)は一段階目の押動操作を示す説明図、(b)は二段階目の押動操作を示す説明図。 従来の注入器による押出し棒を押動する状態を示す説明図。
符号の説明
1…注入管 2…押出し棒
3…鞘管 4…指当て鍔
5…ストロー管 6…ホルダー
9…段差部 10…中間指掛

Claims (3)

  1. 受精卵叉は精子を収納したストロー管を装着する注入管と、この注入管に進退自在に挿通される押出し棒とからなる注入器本体と、この注入器本体に外装する鞘管を備えてなる家畜用受精卵・精子注入器において、
    前記注入管に挿入され該注入管の後端から後方に突出する押出し棒の押し込み操作を、注入管後部と押出し棒とに掛ける指の開き間隔を狭くし、連続して多段階的に行うことが出来ることを特徴とする家畜用受精卵・精子注入器。
  2. 前記押出し棒は、注入管に挿入セットした状態で該注入管後端から突出する長さ範囲内に、該押出し棒と係着して押出し棒を注入管側に移動可能とする中間指掛を設けたことを特徴とする請求項1記載の家畜用受精卵・精子注入器。
  3. 前記中間指掛は、押出し棒のストローク長さ範囲の略中間位置に1個設けられていることを特徴とする請求項2記載の家畜用受精卵・精子注入器。
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