JP2006190572A - 燃料電池の運転方法および制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 起動時におけるアノードでの燃料ガス不足を解消する。
【解決手段】 膜−電極接合体のアノードに燃料ガス、カソードに酸化ガスが供給されて発電する燃料電池の起動方法であって、アノード及びカソードへのガス供給状態を酸化ガス不足の状態にして燃料電池を発電させ、該発電に伴いカソードで発生した燃料ガスをアノードに供給する。その後、アノードへの燃料ガス濃度が所定値以上となった場合は、前記発電に伴いカソードで発生した燃料ガスのアノードへの供給を停止する。
【選択図】 図1
【解決手段】 膜−電極接合体のアノードに燃料ガス、カソードに酸化ガスが供給されて発電する燃料電池の起動方法であって、アノード及びカソードへのガス供給状態を酸化ガス不足の状態にして燃料電池を発電させ、該発電に伴いカソードで発生した燃料ガスをアノードに供給する。その後、アノードへの燃料ガス濃度が所定値以上となった場合は、前記発電に伴いカソードで発生した燃料ガスのアノードへの供給を停止する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料電池の運転方法および制御装置に係り、特に、起動時におけるアノードでの燃料ガス不足の解消に有効な技術に関する。
例えば固体高分子電解質型の燃料電池では、そのアノード側で水素を水素イオンと電子にする反応が行われるが、起動時はアノード側の水素ガス濃度が極端に低く、特に放置後の再始動時にはセル電圧(特に端部セル)が低下してしまうことから、特許文献1には、走行用の水素タンク(メインタンク)とは別個に起動用の水素タンク(サブタンク)を備えることによって、起動を確実にする技術が開示されている。その他、燃料電池停止中に水素を供給することによって、停止中の触媒酸化を防止する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−012062号公報
特開2004−179054号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術は、起動用の水素タンクが走行用の水素タンクよりも小容量であるとはいえ、走行用と起動用とで複数の水素タンクが必要となるため、燃料電池を含む燃料電池システム全体が大型化するという課題がある。
そこで、本発明は、起動用のタンクを特に必要とすることなく、起動時におけるアノードでの燃料ガス不足を解消することのできる燃料電池の運転方法および制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池の起動方法は、膜−電極接合体のアノードに燃料ガス、カソードに酸化ガスが供給されて発電する燃料電池の起動方法であって、アノード及びカソードへのガス供給状態を酸化ガス不足の状態にして燃料電池を発電させ、該発電に伴いカソードで発生した燃料ガスをアノードに供給する。
また、本発明に係る燃料電池の制御装置は、膜−電極接合体を備えた燃料電池のアノード及びカソードへのガス供給状態と、カソードからのオフガス排出先とを制御する燃料電池の制御装置であって、燃料電池の起動時は、カソードからのオフガス排出先をアノード側に設定すると共に、アノード及びカソードへのガス供給状態を酸化ガス不足の状態に設定して燃料電池を発電させる。
これらの構成において、酸化ガス不足の状態としては、例えば、目標発電量に対応する酸化ガス供給量よりも実際の酸化ガス供給量を低減させた状態や、酸化ガス供給量/燃料ガス供給量の比が通常運転時の設定よりも低くなるように酸化ガス供給量を低減させた状態等がある。また、酸化ガス不足の状態には、カソードへの酸化ガス供給が完全に断たれた状態も含まれる。
以上の構成において、例えば燃料ガスとして水素ガスを用いた場合には、図2に示すように、アノードでは水素を水素イオンと電子にする反応が行われ、水素イオンが膜−電極接合体を通ってカソード側に移動する。一方、カソードでは、図3に示す通常の燃料電池反応であれば、水素イオンと酸素イオンと電子とから水を生成する反応が行われるが、本発明では、燃料電池へのガス供給状態が酸化ガス不足の状態になっている結果、余剰水素イオンと電子が反応して水素が発生し、この水素がアノードに供給されて該アノード側の水素ガス濃度が上昇するので、アノードでの水素ガス不足は解消される。
このようにしてカソード側で発生した水素ガスは、例えば、アノード出口側からの水素オフガスをアノード入口側へと還流させる水素循環系に供給してもよい。
かかる構成によれば、発電に伴いカソード側で発生した水素ガスは、アノードから排出された水素オフガス中の水素ガスと共に再びアノードに供給されて発電に供される。
上記構成において、アノードへの燃料ガス濃度が所定値以上となった場合、あるいは、上記水素循環系を流通する循環ガス中の水素ガス濃度が所定値以上であることを検知した場合には、前記発電に伴いカソードで発生した燃料ガスのアノードへの供給を停止する、あるいは、前記発電に伴いカソードで発生した水素ガスの当該水素循環系への供給を停止する。
かかる構成によれば、起動時におけるアノードでの燃料(水素)ガス不足を解消しつつ、カソード側からアノード側への不純物混入を必要最小限に抑制することが可能となる。
本発明によれば、アノード及びカソードへのガス供給状態を酸化ガス不足の状態にして燃料電池を発電させることにより、アノードに供給した燃料(水素)ガス由来の燃料(水素)ガスをカソード側で発生させ、これをアノードに供給するようにしているので、アノードでの燃料(水素)ガス不足が解消される。よって、起動用の燃料タンクを別個に必要とすることなく、起動時に安定した発電が行えるようになる。
図1は、本発明の一実施の形態による燃料電池の制御装置を備えた燃料電池システムを示す概略構成図である。この燃料電池システムは、燃料電池車両の車載発電システムに適用可能である他、例えば定置用発電システムへの適用が可能である。
同図に示すように、酸化ガスとしての例えば空気(外気)は、空気供給路11を介して燃料電池20のカソード入口側に供給される。空気供給路11には、空気から微粒子を除去するエアフィルタ、空気を加圧するコンプレッサ12、燃料電池20に空気を供給しあるいは供給を停止する空気供給バルブ13等が設けられている。コンプレッサ12は、補機モータ(負荷)によって駆動される。排気路15には、排気圧を検出する圧力センサ、及び圧力調整弁等が設けられている。
燃料ガスとしての例えば水素ガスは、水素供給源30から燃料供給路31を介して燃料電池20のアノード入口側に供給される。水素供給源30は、例えば高圧水素タンクが該当するが、いわゆる燃料改質器や水素吸蔵合金等であっても良い。
燃料供給路31には、水素供給源30から水素ガスを供給しあるいは供給を停止する水素供給バルブ、燃料電池20への水素ガスの供給圧力を減圧して調整する少なくとも1つの調圧弁、燃料電池20のアノード側入口と燃料供給路31とを連通/遮断するFC入口弁等が設けられている。
燃料電池20で消費されなかった水素ガスは、水素オフガスとして水素循環路35に排出され、燃料供給路31に戻される。水素循環路35には、燃料電池20のアノード側出口と水素循環路35を連通/遮断するFC出口弁、水素オフガスから水分を回収する気液分離器、水素オフガスを加圧する水素ポンプ36、当該水素循環路35を流通する循環ガス中の水素ガス濃度を検出する水素センサ37等が設けられている。水素センサ37の検出信号は、制御部60に送られる。
本実施の形態では、水素循環路35と、該水素循環路35と連通する燃料電池20内のガス流路とにより、水素循環系が構成されている。なお、水素循環路35は、パージ弁を介して排気路(図示略)に接続されており、水素オフガスは適宜燃料電池システムの外部に排出(パージ)される。
水素循環路35には、排気路15中に含まれる水素ガスを燃料電池20のアノード側に還流させるための還流路41が接続されている。燃料電池20のカソード側からのオフガスは、カソードからのオフガス排出先を切り替える流路切替弁16によって、排気路15を通ってそのまま燃料電池システム外部に排出される場合(図5)と、還流路41及び水素循環路35を介して燃料供給路31に合流してアノード側に還流される場合(図4)とがある。この流路切替弁16は、イグニッションON等の起動信号や水素センサ37の検出信号に応じて制御部60によって制御される。
燃料電池20は、燃料ガスと酸化ガスが供給されると下記式1,2の電気化学反応(図3参照)により発電するセルを所要数積層した燃料電池スタックとして構成されている。セルは、MEA(膜−電極接合体)と、MEAを挟持する一対のセパレータとを備えて構成されている。MEAは、高分子材料のイオン交換膜からなる電解質膜と、この電解質膜を両面から挟んだ一対の電極(アノードおよびカソード)とで構成されている。
アノード側:H2→2H++2e- …式1
カソード側:2H++2e-+(1/2)O2→H2O …式2
燃料電池20が発生した電力は、図示しないパワーコントロールユニットに供給される。パワーコントロールユニットは車両の駆動モータ(負荷)を駆動するインバータと、コンプレッサモータや水素ポンプ用モータなどの各種の補機類(負荷)を駆動するインバータと、二次電池への充電や二次電池からのモータ類への電力供給を行うDC−DCコンバータなどが備えられている。図1では、これらの負荷を一纏めにして負荷71として図示しており、遮断スイッチ72により燃料電池20と接続される。
カソード側:2H++2e-+(1/2)O2→H2O …式2
燃料電池20が発生した電力は、図示しないパワーコントロールユニットに供給される。パワーコントロールユニットは車両の駆動モータ(負荷)を駆動するインバータと、コンプレッサモータや水素ポンプ用モータなどの各種の補機類(負荷)を駆動するインバータと、二次電池への充電や二次電池からのモータ類への電力供給を行うDC−DCコンバータなどが備えられている。図1では、これらの負荷を一纏めにして負荷71として図示しており、遮断スイッチ72により燃料電池20と接続される。
制御部(制御装置)60は、CPU、ROM、RAM、HDD、入出力インタフェース及びディスプレイなどの制御コンピュータシステムによって構成されている。制御部60は、出力要求に応じて燃料電池20とバッテリとの出力配分を決定し、燃料電池20の目標発電量に対応する空気及び水素ガスが当該燃料電池20に供給されるよう、システム各部の弁類やモータ類の運転を制御する。
この制御部60は、例えばイグニッションON等の起動信号を検知すると、流路切替弁16を切り替えることによって、図4に示すように、燃料電池20のカソード側からのオフガスの排出先をアノード側に切り替えると共に、空気供給バルブ13を閉じて、コンプレッサ12から燃料電池20のカソード側への空気供給を停止し、この状態で水素供給源30から燃料電池20のアノード側への水素ガスの供給を許可する。
このとき、燃料電池20のカソードには空気が供給されていないので、アノード及びカソードへのガス供給状態は、酸化ガス不足の状態になっている。また、燃料電池20のカソード側から排出されたオフガスは、排気路15,還流路41,及び水素循環路35を介して燃料供給路31に合流し、燃料電池20のアノードへと供給される。
燃料電池20のアノード側では、上記式1の反応によって水素イオンが生成される一方、カソード側には空気が供給されていないため(図2参照)、当該カソード側で上記式2の反応は起きず、電解質膜を通ってアノード側から移動してきた水素イオンと、負荷71を含む外部回路73を通ってアノード側から移動してきた電子とによる下記式3の反応によって水素ガスが生成され、発電が行われる。
カソード側:2H++2e-→H2 …式3
この発電に伴いカソード側で発生した水素ガスは、排気路15,還流路41,及び水素循環路35を介して燃料供給路31に合流し、燃料電池20のアノードへと供給される。つまり、燃料電池20のアノードには、水素供給源30からの水素ガスと、アノードから排出された水素オフガス中の水素ガスとに加えて、カソードで発生した水素ガスが補充される結果、カソード側の水素ガス濃度が上昇するので、起動時におけるアノードでの燃料ガス不足は解消される。よって、走行用とは別個に起動用の燃料タンクを必要とすることなく、起動時に安定した発電が行えるようになる。
この発電に伴いカソード側で発生した水素ガスは、排気路15,還流路41,及び水素循環路35を介して燃料供給路31に合流し、燃料電池20のアノードへと供給される。つまり、燃料電池20のアノードには、水素供給源30からの水素ガスと、アノードから排出された水素オフガス中の水素ガスとに加えて、カソードで発生した水素ガスが補充される結果、カソード側の水素ガス濃度が上昇するので、起動時におけるアノードでの燃料ガス不足は解消される。よって、走行用とは別個に起動用の燃料タンクを必要とすることなく、起動時に安定した発電が行えるようになる。
燃料電池20の起動中、制御部60は水素センサ37の検出信号を監視しており、水素循環路35を流通する循環ガス中の水素ガス濃度が所定値(例えば、80%)以上であることを検知した場合は、図5に示すように、流路切替弁16をカソード側からのオフガスが排気路15を通ってそのまま燃料電池システム外部に排出されるように切り替え、発電に伴いカソードで発生した水素ガスの排気路15,還流路41,及び水素循環路35を介したアノードへの供給を停止し、通常運転時のガス供給状態に切り替える。
これにより、起動時におけるアノードでの燃料ガス不足を解消しつつ、カソード側からアノード側への不純物混入を必要最小限に抑制することが可能となる。なお、通常運転時のガス供給状態とは、例えば、酸化ガスとしての空気及び燃料ガスとしての水素ガスが燃料電池20の目標発電量に対応する供給量あるいは供給比で当該燃料電池20に供給される状態等をいう。
<他の実施形態>
上記実施形態は本発明を説明するための例示であり、本発明をこれに限定するものではなく、その要旨を逸脱しない限り各種構成部品を適宜設計することができる。例えば、上記実施形態では、起動時にカソードへの空気供給を完全に断っているが、カソードへの実際の空気供給量を燃料電池20の目標発電量に対応する空気供給量よりも減らすこととしてもよい。
上記実施形態は本発明を説明するための例示であり、本発明をこれに限定するものではなく、その要旨を逸脱しない限り各種構成部品を適宜設計することができる。例えば、上記実施形態では、起動時にカソードへの空気供給を完全に断っているが、カソードへの実際の空気供給量を燃料電池20の目標発電量に対応する空気供給量よりも減らすこととしてもよい。
また、カソードへの空気供給量を減らす代わりに、供給酸素濃度(酸化ガス濃度)を低くしても同様である。さらに、燃料電池へのガス供給状態を酸化ガス供給量/燃料ガス供給量の比が運転時の設定よりも低くなるような状態に設定して燃料電池を発電させるようにしてもよい。
さらに、空気供給バルブ13は必ずしも必須の構成ではなく、空気供給バルブ13を備えない構成下においては、コンプレッサ12を停止させることにより、カソードへの空気供給を停止してもよい。また、空気供給バルブ13を設ける代わりに、酸化ガス濃度を低下させる膜やフィルタ等を備えたバイパス流路を空気供給路11に設け、酸化剤供給源からの酸化剤をこのバイパス流路を流通させて燃料電池に供給してもよい。
20…燃料電池、12…コンプレッサ、13…空気供給バルブ、16…流路切替弁、30…水素供給源、37…水素センサ、41…還流路、60…制御部
Claims (7)
- 膜−電極接合体のアノードに燃料ガス、カソードに酸化ガスが供給されて発電する燃料電池の起動方法であって、
アノード及びカソードへのガス供給状態を酸化ガス不足の状態にして燃料電池を発電させ、該発電に伴いカソードで発生した燃料ガスをアノードに供給する燃料電池の起動方法。 - アノードへの燃料ガス濃度が所定値以上となった場合は、前記発電に伴いカソードで発生した燃料ガスのアノードへの供給を停止する請求項1に記載の燃料電池の起動方法。
- 膜−電極接合体を備えた燃料電池のアノード及びカソードへのガス供給状態と、カソードからのオフガス排出先とを制御する燃料電池の制御装置であって、
燃料電池の起動時は、カソードからのオフガス排出先をアノード側に設定すると共に、アノード及びカソードへのガス供給状態を酸化ガス不足の状態に設定して燃料電池を発電させる燃料電池の制御装置。 - 前記酸化ガス不足の状態とは、目標発電量に対応する酸化ガス供給量よりも実際の酸化ガス供給量を低減させた状態である請求項3に記載の燃料電池の制御装置。
- 前記酸化ガス不足の状態とは、酸化ガス供給量/燃料ガス供給量の比が通常運転時の設定よりも低くなるように酸化ガス供給量を低減させた状態である請求項3に記載の燃料電池の制御装置。
- 前記発電に伴いカソードで発生した水素ガスを、アノード出口側からの水素オフガスをアノード入口側へと還流させる水素循環系に供給する請求項3〜5のいずれかに記載の燃料電池の制御装置。
- 前記水素循環系を流通する循環ガス中の水素ガス濃度が所定値以上であることを検知した場合は、前記発電に伴いカソードで発生した水素ガスのアノードへの供給を停止する請求項6に記載の燃料電池の制御装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005001701A JP2006190572A (ja) | 2005-01-06 | 2005-01-06 | 燃料電池の運転方法および制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005001701A JP2006190572A (ja) | 2005-01-06 | 2005-01-06 | 燃料電池の運転方法および制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006190572A true JP2006190572A (ja) | 2006-07-20 |
Family
ID=36797572
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005001701A Pending JP2006190572A (ja) | 2005-01-06 | 2005-01-06 | 燃料電池の運転方法および制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
2005
- 2005-01-06 JP JP2005001701A patent/JP2006190572A/ja active Pending
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