JP2006184004A - カンチレバーセンサシステム - Google Patents

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啓 石原
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Abstract

【課題】 単一のレーザー照射装置で複数のカンチレバーセンサでの測定が効率よくできるカンチレバーセンサシステムを提供する。
【解決手段】 レーザー照射装置から発光されたレーザー光を、シリンドリカルレンズ等により直線状に集光して複数のカンチレバーセンサに入力光として照射し、該カンチレバーセンサから反射されたレーザー光の受光素子上の照射位置変化を検知することにより、該カンチレバーセンサに生じた変位量を検出する。受光素子として、CCD又はCMOS受光素子を用い、受光素子から得られた画像を解析することにより測定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、レーザー照射装置から発光されたレーザー光を直線状に集光し、該集光されたレーザー光をカンチレバーセンサに入力光として照射し、該カンチレバーセンサから反射されたレーザー光を受光素子上に照射し、該受光素子上に照射されたレーザー光の照射位置変化を検知することにより、該カンチレバーセンサに生じた変位量を検出するカンチレバーセンサシステムに関する。
カンチレバーを用いたセンサについて、近年様々な開発が行われている。このセンサの動作原理は、検出対象とカンチレバーセンサ表面との相互作用により生じる表面応力の変化を、カンチレバーセンサの変位量(たわみ量)により検出するというものである。
このようなカンチレバーセンサの例としては、DNAハイブリダイゼーション検出センサ
(非特許文献1)、抗原抗体反応検出センサ(非特許文献2)、マイクロカンチレバー・バイオセンサ(特許文献1)などが挙げられる。
これらセンサにおいて、カンチレバーセンサの変位量は「光てこ」による光学的な手法で測定されることが一般的である。これは、光学的な手法は、圧電抵抗素子を用いた電気的な手法に比べて、感度が高いという利点を有するからである。具体的にはカンチレバー先端部に、レーザー光をレンズにより点状に集光し、そこからの反射光の位置をPSD(Position Sensitive Device)等により測定するというものである。
国際公開第WO98/50773号パンフレット Science, Vol.288(2000), pp.316-318 Sensors and Actuators B, Vol.79(2001),pp.115-126
ここで、これらカンチレバーセンサを用いた測定装置(カンチレバーセンサシステム)において、用いられるカンチレバーセンサの数は一つだけとは限らない。例えば、検出物質と相互作用するリガンドを表面に固定化した検出用のカンチレバーセンサと、生体物質等のリガンドを固定化していない参照用のカンチレバーセンサとの2つを同時に測定することによって、環境変化によるドリフトの影響を除いて、より正確な測定を行う構成が可能である。また、異なるリガンドを複数のカンチレバーセンサ表面にそれぞれ固定化して、これら複数のカンチレバーセンサにより同時に測定を行うことによって、複数の検出物質を同時に検出する構成も可能である。
しかしながら、従来の検出方法では、カンチレバーセンサが複数個ある場合はレーザー照射装置、レーザー受光装置を含めた光学系を、カンチレバーセンサの数だけ複数個用意しなくてはならず、システムが複雑になり、高価になってしまうという問題があった。
また、従来は、受光素子として、PSDを用いることが一般的であった。PSDは、カンチレバーセンサから反射されたレーザー光がスポット光状にPSD上に照射され、該照射されたスポット光の中心位置を求めることができる素子であるが、PSDに照射されるスポット光の数は1つである必要がある。同時に2つ以上のスポットをPSDに照射しても、各スポット光の中心位置をそれぞれ求めることはできない。従って、複数個のカンチレバーの変位量を測定する為には、PSDをカンチレバーセンサの数だけ複数個用意し、各PSDにそれぞれのカンチレバーセンサから反射されたレーザー光が照射されるように
調整する必要がある。他の方法として、例えば各カンチレバーセンサに入力光として照射するレーザー光を時系列で順番に点灯させれば、一つのPSDでも検出を行うことは可能であるが、いずれにしろ、この様なシステムは大型、複雑であり、高価なものになってしまうという問題があった。
本発明の発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、レーザー照射装置から発光されたレーザー光をシリンドリカルレンズ等で直線状に集光し、並列に配置した複数個のカンチレバーセンサの先端部に、該集光されたレーザー光を同時に入力光として照射し、該カンチレバーセンサからの複数個の反射光を受光素子上に照射し、該複数個の反射光の受光素子上の照射位置変化を検知することにより、前記のカンチレバーセンサに生じた変化量を検出することができることを見いだした。これにより、一つのレーザー照射装置から発光されたレーザー光により、複数のカンチレバーセンサのそれぞれの変位を測定することが可能となる。
即ち、本発明の要旨は、レーザー照射装置から発光されたレーザー光を直線状に集光し、該集光されたレーザー光をカンチレバーセンサに入力光として照射し、該カンチレバーセンサにより反射されたレーザー光を受光素子上に照射し、該受光素子上に照射されたレーザー光の位置変化を検知することにより、該カンチレバーセンサに生じた変位量を検出することを特徴とする、カンチレバーセンサシステムに存する(請求項1)。これにより、一つのレーザー照射装置から発光されたレーザー光であっても、複数のカンチレバーセンサそれぞれの変位を測定することが可能となり、簡単なセンサシステムの構成により、レーザー照射装置間の強度の違いを生じることなく、高感度で検出することができる。
このとき、発光されたレーザー光が、シリンドリカルレンズにより直線状に集光されることが好ましい(請求項2)。これにより、効率的にレーザーを集光することが可能となる。
また、2以上のカンチレバーセンサのレーザー照射面が、それぞれ、直線状に集光されたレーザー光が入力光として照射されるように配置されており、かつ該カンチレバーセンサにより反射されたレーザー光が受光素子上に照射されるように配置されていることが好ましい(請求項3)。これにより、集光されたレーザー光を効率よく反射することができるので、出力光を感度良く検出することができる。
この際、各カンチレバーの先端部が直線に並ぶようにカンチレバーセンサが配置させることによって、直線状に集光されたレーザー光を、全てのカンチレバーセンサ先端部に同時に照射することを可能とすることができる。さらには、これらのカンチレバーセンサを平行、かつ同じ向きに配置させることにより、各カンチレバーセンサの変位量と、各カンチレバーからの反射光位置の移動量との関係が、全てのカンチレバーセンサにおいて同一となり、信号処理を容易にすることができる。さらには、カンチレバーセンサの方向と、直線状に集光されたレーザー光の直線方向とが、垂直に交差するような構成が望ましい。該角度が垂直でない場合、各カンチレバーセンサからの反射光が並んでいる方向と、該反射光の移動方向とが垂直でないということになり、その結果、該反射光を観察する為の受光素子として、より大きなものを用いる必要が生じてしまい、測定装置が高価になってしまうからである。なお、ここではカンチレバーの方向とは、カンチレバーセンサ支持部材から、カンチレバーセンサ先端部に向かう方向のことを指す。
また、2以上の反射されたレーザー光の受光素子上の照射位置変化が、同一の受光素子で検知されることが好ましい(請求項4)。また、受光素子が、CCD(Charge Coupled
Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)受光素子であることが好ましい(請求項5)。さらに、反射されたレーザー光の受光素子上の照射位置変化が
、受光素子から得られる画像を解析することにより測定されることが好ましい(請求項6)。このように、受光素子として、PSDではなく、CCDやCMOS受光素子等を用いることにより、出力光の受光素子上に照射されたレーザー光の照射位置変化を画像として得ることができ、得られた画像を画像解析処理により解析することにより、出力光の中心位置を求めることができる。これにより、同一受光素子上における複数個のカンチレバーセンサから反射されたレーザー光パターンの変化を取得することができ、各カンチレバーセンサの変位(たわみ)量を検出することが可能となる。また、PSDを用いずに画像解析処理により検出を行うことによって、レーザー光の時系列点灯で順番に点灯する必要もない。即ち、これらにより、簡単な構成のカンチレバーセンサ検出システムにより、効率よく、簡便に検出することができる。
以上により、複数個のカンチレバーセンサを用いたカンチレバーセンサシステムにおいて、レーザー照射装置、受光素子等の構成を簡略化することができ、安価なセンサシステムを実現することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
本発明のカンチレバーセンサシステムは、レーザー照射装置から発光されたレーザー光を直線状に集光し、該集光されたレーザー光をカンチレバーセンサに入力光として照射し、該カンチレバーセンサにより反射されたレーザー光を受光素子上に照射し、該受光素子上に照射されたレーザー光の位置変化を検知することにより、該カンチレバーセンサに生じた変位(たわみ)量を検出する。即ち、本発明のカンチレバーセンサは、図1に模式的に示すように、レーザー照射装置1から発光されたレーザー光を、ロッドレンズ14、シリンドリカルレンズA11、シリンドリカルレンズB12を用いて直線状に集光し、該集光されたレーザー光を複数のカンチレバーセンサ3に入力光として照射し、該カンチレバーセンサ3により反射されたレーザー光の照射位置変化をCCD、CMOS受光素子等の受光素子16により画像として検知し、得られた画像を解析することにより、該カンチレバーセンサに生じた変位量を検出する。
従来のカンチレバーセンサシステムは、図2に模式的に示すように、レーザー照射装置1から発光されたレーザー光を、通常のレンズ2を用いて点状に集光し、該集光されたレーザー光をカンチレバーセンサ3に入力光として照射し、該カンチレバーセンサ3によって反射されたレーザー光の照射位置変化をPSD15により検知し、該カンチレバーセンサ3に生じた変位量を検出するものである。前述したようにPSDは同時に2つ以上のスポットの中心位置をそれぞれ求めることができないため、同時に複数のカンチレバーセンサ3を用いて測定したい場合は、カンチレバーセンサ3と同数のレーザー装置とPSDが必要となる。
[I.カンチレバーセンサ]
本発明のカンチレバーセンサは、検出対象物質を検出するためのセンサであり、通常、カンチレバーと、カンチレバー表面に固定化された、上記検出対象物質と相互作用しうる生体物質とを有する。これにより、生体物質に検出対象物質を含む検体液が接触し、上記の検出対象物質と生体物質とが相互作用した場合には、カンチレバーセンサの表面に表面応力の変化が生じてカンチレバーセンサがたわむようになっている。したがって、このたわみの大きさ(以下適宜、「たわみ量」という)を測定すれば、検出対象物質の量、濃度、種類などを測定することが可能となる。
カンチレバーセンサのたわみ量は光学式の測定器で測定されるので、たわみ量測定部として、カンチレバーセンサシステムに、カンチレバーセンサに光を照射する光源と、光源から照射された光がカンチレバーセンサに当たって反射したレーザー光を検出する光検出器とを備えさせ、また、カンチレバーセンサの表面には光源から照射された光を反射できるように表面処理(例えば、反射膜を形成する等)を施すようにすればよい。これにより、光源からカンチレバーセンサに光を照射し、カンチレバーセンサにより反射されたレーザー光を光検出器で検出して該レーザー光の反射角度を測定することによって、カンチレバーセンサのたわみ量を測定することができる。
[1.検出対象物質]
検出対象物質は、カンチレバーセンサを用いて検出しようとする対象となる物質である。その種類や状態に特に制限は無いが、通常は、検体液中に溶解又は分散した状態で検出に用いられる。また、検出対象物質は、1種を単独で検出するようにしてもよいし、2種以上を任意の組み合わせで検出するようにしても良い。
検出対象物質は、通常、生体物質と特異的に相互作用する物質(以下適宜、「作用物質」という)である。ここで、生体物質と作用物質との「相互作用」とは、特に限定されるものではないが、通常は、共有結合、疎水結合、水素結合、ファンデルワールス結合、及び静電力による結合のうち少なくとも1つから生じる物質間に働く力による作用を示す。ただし、本明細書に言う「相互作用」との用語は最も広義に解釈すべきであり、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。共有結合としては、配位結合を含有する。また静電力による結合とは、静電結合の他、電気的反発も含有する。また、上記作用の結果生じる結合反応、合成反応、分解反応も相互作用に含有される。
相互作用の具体例としては、抗原と抗体との間の結合及び解離、タンパク質レセプターとリガンドとの間の結合及び解離、接着分子と相手方分子との間の結合及び解離、酵素と基質との間の結合及び解離、アポ酵素と補酵素との間の結合及び解離、核酸とそれに結合する核酸又はタンパク質との間の結合及び解離、情報伝達系におけるタンパク質同士の間の結合及び解離、糖タンパク質とタンパク質との間の結合及び解離、糖鎖とタンパク質、ウィルス、細菌等の微生物との間の結合及び解離などが挙げられるが、この範囲に限定されるものではない。さらに、 例えば、イムノグロブリンやその派生物であるF(ab′
)2、Fab′、Fab、レセプターや酵素とその派生物、核酸、天然あるいは人工のペ
プチド、人工ポリマー、糖質、脂質、無機物質あるいは有機配位子、ウィルス、細胞、薬物等が挙げられる。
[2.カンチレバー]
図3及び図4は、本発明の一実施形態のカンチレバーセンサの要部を表わす模式的な斜視図である。図4に示すように、本実施形態のカンチレバーセンサ3は、カンチレバー5と、カンチレバー5上に固定された生体物質4とを有する。生体物質4は、カンチレバー5に対して直接固定化されていてもよく、間接的に固定化されていてもよい。なお、通常カンチレバー5上には、検知対象物質がカンチレバーセンサ表面と接触しうる部分(相互作用部)6を有している。例えば、図4においては、相互作用部6は、カンチレバー5の表面に成膜された金属膜9と、該金属膜9上に固定化された有機分子10と、有機分子10上に固定化された生体物質4を有するものである。なお、図3においては生体物質4の図示は省略してある。
本発明において用いるカンチレバー5に制限はなく、公知のカンチレバーを任意に用いることができる。
例えば、カンチレバー5の材料に制限は無く、任意の材料を用いることができるが、通常は、可撓性を有するものを用いる。カンチレバー5の材料の具体例としては、例えば、
シリコン、窒化シリコンなどが挙げられる。
また、カンチレバー5の形状にも制限は無いが、通常は、カンチレバー5は自由端と固定端とを有する直方体形状の部材として形成される。また、他の例としては、三角形の一辺を固定端とした形状や、更にその三角形の内側を打ち抜いた形状も可能である。本実施形態においては、カンチレバー5は、図3に示したように、支持部材7から直方体形状に延在して形成された部材であるとして説明する。
さらに、カンチレバー5の寸法にも制限は無いが、通常は、長さL(即ち、自由端から固定端までの距離)が、カンチレバー表面と検出対象物質との相互作用により生じるたわみを確実に測定できるだけ充分に長く形成されていることが好ましい。寸法の一例を挙げれば、カンチレバー5を直方体形状に形成した場合、通常、長さLは10μm〜1000μm、幅Wは5μm〜500μm、厚さTは0.1μm〜5μmの範囲にそれぞれ設定することが好ましい。
また、カンチレバー5の作製方法にも制限はなく、公知の方法を任意に用いることができる。例えば、既存の半導体プロセスなどにより、AFM(原子間力顕微鏡)中で使用されるようなカンチレバーと同様にして作製することができる。
半導体形成プロセスを利用してカンチレバーを作製した場合、同一条件で作製した場合であっても、作製ロット間、ウエファ間、さらには同一ウエファ内の場所間で、膜厚や材質に差異が生じてしまうことがある。これには、半導体形成プロセス以外の技術においても生じうる。
上記の膜厚や材質の差異は、同一製造ロット同士であれば小さくなり、さらに同一ウエファ内から取り出したもの同士であればより小さくなる。さらに、同一ウエファ内でも、取り出した場所が近いところであればあるほど、その違いはさらに小さくなる。これを利用して、同一測定で用いられる複数のカンチレバーセンサ3のカンチレバー5は、同一のウエファから作製されることが好ましく、ウエファ上でも隣り合った位置で作製されることがより好ましい。
また、同一測定で用いられる複数のカンチレバーセンサ3は互いに切り離さずに一体のまま用いることも好ましい。切り離さないことによって、これら複数のセンサを組み合わせて測定を行なうことが明示されるとともに、複数のカンチレバーセンサ3の取り付け作業も簡易化される。
カンチレバー5表面には、相互作用部6に凹凸が形成されるよう、図3に示すように凹凸パターン8を形成することが好ましい。これにより、カンチレバーセンサ3の検出感度を高めることができる。
[3.生体物質]
カンチレバーセンサの相互作用部6は、前述のように、通常、検出対象物質と相互作用することによってカンチレバーにたわみが生じるように、生体物質4を有している。
生体物質4は、その目的に応じて、任意の物質を用いることができる。具体例を挙げれば、酵素、抗体、レクチン、レセプター、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、糖タンパク質等のタンパク質、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、核酸、糖、オリゴ糖、多糖、シアル酸誘導体、シアル化糖鎖等の糖鎖、脂質、低分子化合物、上述以外の高分子有機物質、無機物質、若しくはこれらの融合体、または、ウイルス、若しくは細胞を構成する分子などの生体分子が挙げられる。また、このほか、例えば細胞等の生体
分子以外の物質を生体物質4として用いることもできる。なお、本発明の生体物質固定担体を分析に用いた場合には、これら生体物質は、検体中の検出対象物質と生体物質との相互作用(結合性等)を測定する際の標的物質となる。
また、上記の生体物質4の例の中でも、タンパク質としては、タンパク質の全長であっても、結合活性部位を含む部分ペプチドであってもよい。また、アミノ酸配列、及びその機能が既知のタンパク質でも、未知のタンパク質でもよい。これらは、合成されたペプチド鎖、生体より精製されたタンパク質、あるいはcDNAライブラリー等から適当な翻訳系を用いて翻訳し、精製したタンパク質等でも標的物質として用いることができる。合成されたペプチド鎖は、これに糖鎖が結合した糖タンパク質であってもよい。これらのうち好ましくは、精製されたタンパク質である。
さらに、核酸としては、特に制限はなく、DNA、RNAの他、アプタマー等の核酸塩基、PNA等のペプチド核酸を用いることもできる。また、塩基配列あるいは機能が、既知の核酸でも、未知の核酸でもよい。好ましくは、タンパク質に結合能力を有する、核酸としての機能及び塩基配列が既知のものか、あるいは、ゲノムライブラリー等から制限酵素等を用いて切断単離してきたものを用いることができる。
また、糖鎖としては、その糖配列あるいは機能が、既知の糖鎖でも未知の糖鎖でもよい。好ましくは、既に分離解析され、糖配列あるいは機能が既知の糖鎖が用いられる。
また、低分子化合物としては、相互作用する能力を有する限り、特に制限はない。機能が未知のものでも、あるいはタンパク質に結合する能力が既に知られているものでも用いることができるが、医薬候補化合物等が好適に用いられる。
また、生体物質4は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
なお、カンチレバーセンサの相互作用部6は、通常、検出対象物質と相互作用することによってカンチレバーにたわみが生じればよいので、検出対象物質と相互作用する合成化学物質が固定化されていてもよいし、場合によっては、特に物質が固定化されていない状態であっても構わない。
[4.生体物質の固定化法]
カンチレバー5表面に生体物質4を固定して相互作用部6を形成する手法に制限は無いが、例えば、以下の固定化手法により固定化を行なうことができる。
図4は、下記の固定化手法により生体物質4を固定化した場合の相互作用部6近傍を拡大して模式的に示す断面図である。なお、図4において図1、図2、又は図3と同符号のものは、図1、図2、又は図3と同様のものを表わす。
カンチレバー5表面に生体物質4を固定化する場合は、図4に示すように、カンチレバー5表面に金属膜9を成膜し、成膜した金属膜9上に有機分子10を固定して、この有機分子10上に糖鎖4を固定化することができる。これにより、相互作用部6は、カンチレバー5の表面に成膜された金属膜9と、金属膜9上に固定された有機分子10と、有機分子10上に固定化された生体物質4とを有する部分として形成される。なお、有機分子10は説明のため、有機分子10を個々に描くのではなく有機分子10が集合した層として描いてある。
金属膜9は、その表面に有機分子10を固定することができれば他に制限は無く、任意の材料で形成することができる。
また、金属膜9は1層のみを単独で形成した単層構造の膜としてもよく、2以上の層を
任意の組み合わせ及び厚みで積層した構造の膜としても良い。
ただし、金属膜9の最外層は、金で形成されていることが好ましい。即ち、金属膜9が単層構造を有している場合は金属膜9自体を金で形成し、積層構造を有している場合は有機分子10が固定される最も外側の層が金で形成されることが好ましい。これにより、金属膜9に有機分子10を簡単に固定することができる。
さらに、金属膜9が積層構造を有している場合は、金属膜9は、カンチレバー5の表面と金属膜9の最外層との間にクロムからなる層を有していることが好ましい。これにより、金属膜9とカンチレバー5表面との接着力が向上するという利点が得られる。
また、金属膜9の膜厚に制限は無く任意であるが、通常1nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下である。この範囲の下限を下回ると有機分子10の固定が不十分になってしまう虞があり、上限を上回ると良好な金属膜を成膜できなくなる虞があるためである。
さらに、上記の金属膜9の形成方法に制限は無く、公知の方法を任意に用いることができるが、通常は、スパッタリング、蒸着などにより形成する。
なお、カンチレバー5自体が金属により形成されている場合、カンチレバー5の表面を金属膜9として利用することも可能である。
上記の金属膜9上には、有機分子10が固定される。この有機分子10は、金属膜9に対して固定することができ、また、この有機分子10上に糖鎖4を固定化することができるものであればその種類に制限は無く、公知の有機分子から固定化する糖鎖4の種類等に応じて適当なものを任意に用いることができる。
ただし、上記の有機分子10は、その末端にメルカプト基(−SH基)を有していることが好ましい。この場合、有機分子10は金属膜9に対して、安定な「硫黄原子−金属結合」で固定されるため、有機分子10を金属膜9に強固に固定することが可能となる。
有機分子10の具体例を挙げると、16−メルカプトヘキサデカノイック・アシッドなどが挙げられる。
なお、有機分子10は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、有機分子10の固定量は任意であるが、通常は高密度に固定することが好ましい。これにより、固定化されている有機分子層の膜厚が均一化することができるという利点がある。
また、有機分子10は金属膜9表面に2次元的に固定してもよいが、3次元的に積層して構成するようにしても良い。さらに、有機分子10を層として形成する場合、単層構造であっても積層構造であっても良い。ただし、通常は単層構造とすることが望ましい。複数層であるよりも、単層構造である方が、有機分子層の膜厚を制御することが容易であるためである。なお、図4においては有機分子が単層に形成されたものを例として示した。
さらに、有機分子の固定方法に制限は無く、公知の方法を任意に用いることができるが、通常は、「硫黄原子−金属結合」により固定化される。
また、上記の有機分子10上には生体物質4が固定化され、これにより、金属膜9及び有機分子10を介して生体物質4がカンチレバー5表面に固定化されて、相互作用部6が形成されている。
ここで、生体物質4はどのような結合により有機分子10に固定化されていてもよいが
、通常は、共有結合によって固定化されていることが望ましい。これにより、生体物質4を有機分子10に強固に固定化することができる。このような場合、生体物質4は、例えばエステル結合、アミド結合、−C=N−結合、エーテル結合、チオエーテル結合、炭素原子による結合などを介して固定化されていることが望ましい。なお、生体物質4は1種の結合により固定化されていても良く、任意の2種以上の結合により固定化されていても良い。
また、生体物質4には、固定化するための官能基が結合していても良い。
また、有機分子10上に生体物質4を固定化する場合、その具体的な操作は任意である。通常は、生体物質4の溶液を有機分子10に接触させることにより、有機分子10上に生体物質4を固定化する。この場合に生体物質を希釈させる溶媒や分散媒は、生体物質の活性や構造の安定性等を考慮して調整することが好ましい。
[II.カンチレバーセンサシステム]
本発明のカンチレバーセンサシステムは、上述したカンチレバーセンサと、レーザー光を発光するレーザー照射装置、発光したレーザー光を直線状に集光する集光装置、カンチレバーセンサで反射されたレーザー光を検知する受光装置を有する。また、受光装置が画像として反射されたレーザー光を検知する場合は、検知された画像の解析処理装置を有することが好ましい。
[1.レーザー照射装置]
レーザー照射装置は、レーザー光を発光できるものであれば特に制限はないが、通常、ガスレーザーが用いられるが、より安価であることから、半導体レーザーを用いることが好ましい。
[2.レーザー光の集光装置]
本発明のカンチレバーセンサシステムにおいては、直線状に集光したレーザー光を複数のカンチレバーセンサの表面、特に好ましくは先端部の表面に照射することにより、複数のカンチレバーセンサのたわみ量を同時に測定することができる。
集光装置によるレーザー光の集光方法に制限はないが、例えば、以下の方法により、レーザー照射装置から発光されたレーザー光を直線状に集光することができる。図1に示すように、レーザー光をまず、ロッドレンズ14により横方向に広げ、シリンドリカルレンズA11により、平行光にさせた後、シリンドリカルレンズB12により、直線状に集光する。カンチレバーセンサに照射される光は直線状であるが、カンチレバーセンサの存在しない部分からはレーザー光は反射されないため、各カンチレバーセンサに対応した部位のみから複数の反射光が得られることとなる。反射光は通常、スポット状となる。
また、シリンドリカルレンズの代わりに円筒凹面ミラーを用いることもできる。他にも、ロッドレンズの代わりに、円筒凸面ミラーを用いることもできる。さらには、レーザー照射装置から発光されるレーザー光のスポット光サイズが、カンチレバー間距離よりも大きい場合には、ロッドレンズ等を用いることなくレーザー光を1つのシリンドリカルレンズで直線状に集光するだけでカンチレバーに照射することができる。
[3.カンチレバーセンサの配置]
本発明のカンチレバーセンサによれば、一つのレーザー照射装置から発光されたレーザー光が直線状に集光された位置に複数のカンチレバーセンサを配置することにより、簡便な装置構成で各カンチレバーセンサの変位量を測定することができる。
複数のカンチレバーセンサは、各々検出用のカンチレバーセンサとして用いることもできるが、一つを補正用のカンチレバーセンサとすることによって、検出用カンチレバーセンサの精度を上げることができる。
補正用のカンチレバーセンサは、環境変化等によるたわみ量を影響を排除するべく、検出用のカンチレバーセンサのたわみ量に補正を加えるための補正値を測定する目的で使用するカンチレバーである。
カンチレバーセンサには、検出対象物質と生体物質とが相互作用することにより生じる表面応力の変化以外にも、温度や圧力等の環境の変化によっても、そのたわみ量が変化する。したがって、たわみ量の測定を行なう場合、環境変化によるたわみの影響を排除して、目的とする検出対象物質と生体物質とが相互作用したことにより生じたたわみ量のみを測定することが望ましい。補正用のカンチレバーセンサは、上記の環境変化によるたわみ量を排除するために用いられる。
本発明においては、例えば、検出用のカンチレバーセンサと補正用のカンチレバーセンサをそれぞれ1つずつ用意し、測定を行うことができる。検出用カンチレバーセンサの片面には、検出物質と相互作用する生体分子を固定化しておく。
補正用のカンチレバーセンサは、通常、表面全体に生体物質が固定化されていないことが好ましい。この場合、補正用のカンチレバーセンサの全表面が、生体物質を固定化されていない非固定化部として機能する。
さらに、補正用のカンチレバーセンサは、生体物質を固定化しないこと以外は、補正対象である検出用のカンチレバーセンサと可能な限り同様に形成することがより好ましい。具体的には、寸法及び材質等ができるだけ等しいことが好ましい。これにより、検出用のカンチレバーセンサ及び補正用のカンチレバーセンサそれぞれに同様の環境変化が加わったとき、両者には環境変化によるたわみが同じ量だけ生じる。したがって、検出用のカンチレバーセンサのたわみ量は相互作用によるたわみ量と環境変化によるたわみ量との和となり、一方、補正用のカンチレバーセンサのたわみ量は環境変化によるたわみ量のみとなるため、両者の差を算出することによって相互作用によるたわみ量を正確に測定することが可能となる。
ここで、これら2つのカンチレバーセンサは、互いに平行でかつ、同じ向きになるように配置することが好ましい。このことにより、2つのカンチレバーセンサにおいて、その変位量とカンチレバーセンサにより反射されるレーザー光位置の移動量との関係が、同一となり、信号処理が容易になる。
また、直線状に集光されたレーザー光を、カンチレバーセンサ表面の先端部に照射する為に、2つのカンチレバーセンサは同一平面上に平行に、かつ同じ向きに配置されていることが好ましい。さらには、2つのカンチレバーセンサがお互いに真横になるような位置関係にあることがより望ましい。
また、検出用のカンチレバーセンサの数は2つとは限らない。異なる生体物質を固定化した複数のカンチレバーセンサにより、測定を行うこともできる。この方法では、複数の生体物質に対する反応を比較することによって、複数の検出物質を同時に検出することができるという利点がある。このような場合、そのカンチレバーセンサの数は検出物質の数により適宜選択することができるが、例えば5〜10個となる。
また、補正用のカンチレバーセンサに、検出用のカンチレバーセンサに固定した生体物質4とは検出対象物質に対する相互作用の大きさが異なる別の補正用の生体物質(以下適宜、「補正用生体物質」という)を固定化しておいても良い。この場合、補正用生体物質が固定化された部位は相互作用部として機能する。例えば検出対象物質と全く相互作用を生じない適当な補正用生体物質を補正用のカンチレバーセンサに固定化した場合には、検出用カンチレバーセンサに生じる環境変化によるたわみに非常に近いたわみを補正用のカンチレバーセンサに生じさせ、検出用カンチレバーセンサに生じる相互作用によるたわみ
量をより正確に測定することが可能となる。
また、補正用のカンチレバーセンサの反射膜として生体物質を固定化しにくい金属、具体的には、アルミニウム、銅、銀等の金属が最外層となるように反射膜を成膜すすることもできる。通常、金以外の金属を用いた場合、有機分子と金属との結合力は、金を用いた場合に比べて弱くなるため、補正用のカンチレバーセンサの生体物質を固定化する能力は、検出用のカンチレバーセンサの生体物質を固定化する能力よりも小さくなる。
補正用のカンチレバーセンサでは、検出時のなんらかの環境変化が生じた場合、検出用のカンチレバーセンサに生じる全たわみ量のうち環境変化に起因する分のたわみ量と同量だけ、たわみが生じる。
上記の検出用のカンチレバーセンサ3及び補正用のカンチレバーセンサのたわみ量は、図1に示すように画像解析処理装置17等の計測部でそれぞれ計測され、その計測結果は計算部18に送られる。
計算部18では、送られてきた測定結果から、検出用のカンチレバーセンサのたわみ量と補正用のカンチレバーセンサのたわみ量との差を算出する。算出された値は、環境変化によるたわみ量の影響を排除した、検出対象物質と生体物質との相互作用によるたわみ量であり、このたわみ量の差により検出対象物質の検出を正確に行なうことができる。なお、算出されたたわみ量の差は、出力装置(図示省略)へ出力される。
また、補正用のカンチレバーセンサを用いて補正を行なうようにすることにより、環境変化によるたわみの影響を排除し、相互作用によるたわみ量の正確な測定が可能となる。したがって、検出用のカンチレバーセンサの検出感度を更に高めることが可能となる。
ただし、本発明のカンチレバーセンサ及びセンサシステムは上述したものに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
[4.受光装置]
出力光の受光装置に用いる受光素子としては、通常、PSD(位置検出素子)、CCD(電荷結合素子)、CMOS受光素子等が用いられる。PSDには照射されたスポット光位置がそのまま出力値として得られる利点があるが、この様な動作をする様に特別に設計された素子である為、一つの素子で複数の出力光を個別に検知する様な用途には用いることができない。一方、CCD、CMOS受光素子は、出力光を画像として検知することができるので、後述するとおり、画像解析処理することにより一つの素子から得られた画像から、複数の出力光を個別に検知することができるため、好ましい。
[5.画像解析処理装置]
前述の受光装置により取得された画像を画像解析処理することにより、複数の出力光を個別に検知することができる。
即ち、例えば、複数のカンチレバーにより反射されたレーザー光を1つの上記受光素子上にスポット光として照射する。受光素子上に照射される複数のスポット光の中心位置は、得られる画像をそれぞれ画像解析処理することにより求められる。スポット光の中心位置の移動量から、各カンチレバーのたわみ量変化を測定することができる。
例えば、CCD上の2つに分けた各領域にのみ各スポット光が照射されるように設定しておき、その各領域内における光強度分布の重心位置を画像解析処理により求め、CCD上に照射される2つのスポット光の中心位置を算出し、スポット光の中心位置の移動量から、各カンチレバーのたわみ量変化を測定することができる。
光強度分布の重心位置を求める画像解析処理方法としては、質量分布の重心位置を求めるアルゴリズムをそのまま用いればよい(機械工学便覧 改訂第5版、第3編 P.7-8、日
本機械学会、1968年)。
以上により、1つの光源、及び1つの受光素子を用いて、複数個のカンチレバーのたわみ量変化をそれぞれ検出することが可能となる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
<実施例1>
厚さ0.8μm、長さ200μm、幅40μmの窒化シリコン製カンチレバー(オリンパス株式会
社製)を2つ用意した。該カンチレバーには、片面のみに金がコートされている。
2つのカンチレバーのうち1つを、16−メルカプトヘキサデカノイック・アシッドの10mMエタノール溶液中に12時間浸した後、エタノールで洗浄し、室温で乾燥させた。該カンチレバーを検出用カンチレバーとして、残り1つのカンチレバーを補正用カンチレバーとして、両者が同一平面上で平行かつ同じ向きになるように、測定用セルにセットした。この際、2つのカンチレバー間の距離は2mmとなるようにした。
測定用セルは、テフロン(登録商標)製の壁面及び底面からなるベース部をガラス基板で蓋をした構造になっており、該ガラス基板を介してカンチレバーにレーザーを照射し、該カンチレバーからの反射光を取り出すことができる。該測定用セルには、液体の注入口が設けられており、そこから測定用セル内の液体の入れ替えを行うようになっている。
次に、He-Neレーザーからの出力光を、図1に示すように、ロッドレンズと、2つのシ
リンドリカルレンズにより、幅50μm、長さ1cmの直線状になるように集光し、セルにセ
ットした2つのカンチレバー先端部表面に同時に照射した。各カンチレバーから反射された2つのレーザー光を、1つのCCDカメラで同時に観察した。CCDカメラの出力画像をパソコンに取り込み、画像処理を行うことによって、2つの反射されたレーザー光の中心位置を求め、各カンチレバーのたわみ量の時間変化を測定した。なお、ここでは、カンチレバーのたわみ量として、カンチレバー先端部の角度変化を測定した。
測定用セル内を水で満たした状態で測定を開始した後、20分経過したところで、水を除去し、EDC(1-Ethyl-3-(3-Dimethylaminopropyl)-Carbodiimide Hydrochloride)を濃度5m mol/L、NHS(N
−ヒドロキシコハク酸イミド)を濃度20m mol/L含む水溶液で満たした後、測定を継続
した。
図6に測定結果を示す。出力は、検出用カンチレバーの値から、補正用カンチレバーの値を差し引いたものを用いた。検出用カンチレバーの金表面に固定化されていた16−メルカプトヘキサデカノイック・アシッド膜の末端にNHSが結合する化学反応により、カンチレバーのたわみ量に変化が生じていることが、測定結果から分かる。
比較として、図7に検出用カンチレバーのみの値の変化を示す。液の入替による液面変化等の環境変化の影響を受け、該化学反応による変化を正確に評価できていないことが分かる。
本発明のカンチレバーセンサシステムは産業上の任意の分野で用いることが可能であるが、例えば、医療、診断、食品分析、生体分析などの分野に用いて好適である。
図1は、本発明の一実施形態について説明するためのものであり、カンチレバーセンサシステムの一例についてその要部を説明する模式的な概要図である。 図2は、従来の実施形態について説明するためのものであり、従来のカンチレバーセンサシステムの要部を説明する模式的な概要図である。 図3は、本発明に用いるカンチレバーセンサの要部を表す模式的な斜視図である。 図4は、本発明に用いるカンチレバーセンサの一実施形態について説明するためのものであり、生体物質を固定化した相互作用部近傍を拡大して模式的に示す断面図である。 図5は、本発明の一実施形態について説明するものであり、カンチレバーセンサに検出対象物質が相互作用した場合にたわみが生じる様子について説明する模式図である。図5中、13は検出対象を表す。 図6は、本発明の実施例について説明するものであり、カンチレバーセンサ上に固定化された16−メルカプトヘキサデカノイック・アシッド膜の末端にNHSが結合する化学反応により、カンチレバーのたわみ量に変化が生じていることを示すグラフである。検出用カンチレバーの出力値から補正用カンチレバーの出力値を差し引いた値の経時変化が示されている。 図7は、本発明の実施例について説明するものであり、カンチレバーセンサ上に固定化された16−メルカプトヘキサデカノイック・アシッド膜の末端にNHSが結合する化学反応により、カンチレバーのたわみ量に変化が生じていることを示すグラフである。検出用カンチレバーの出力値の経時変化が示されている。
符号の説明
1 レーザー照射装置
2 レンズ
3 カンチレバーセンサ
4 生体物質
5 カンチレバー
6 相互作用部
7 支持部材
8 凹凸パターン
9 金属膜
10 有機分子
11 シリンドリカルレンズA
12 シリンドリカルレンズB
13 検出対象物質
14 ロッドレンズ
15 受光装置(PSD)
16 受光装置
17 画像解析装置
18 計算装置


Claims (6)

  1. レーザー照射装置から発光されたレーザー光を直線状に集光し、該集光されたレーザー光をカンチレバーセンサに入力光として照射し、該カンチレバーセンサにより反射されたレーザー光を受光素子上に照射し、該受光素子上に照射されたレーザー光の照射位置変化を検知することにより、該カンチレバーセンサに生じた変位量を検出することを特徴とする、カンチレバーセンサシステム。
  2. レーザー照射装置から発光されたレーザー光が、シリンドリカルレンズにより直線状に集光されることを特徴とする、請求項1に記載のカンチレバーセンサシステム。
  3. 2以上のカンチレバーセンサを有し、該カンチレバーセンサの被レーザー照射面は、それぞれ、直線状に集光されたレーザー光が入力光として照射されるように配置されており、かつ、該カンチレバーセンサにより反射されたレーザー光が受光素子上に照射されるように配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のカンチレバーセンサシステム。
  4. 2以上のカンチレバーセンサから反射されたレーザー光の受光素子上の照射位置変化を、同一の受光素子で検知することを特徴とする、請求項3に記載のカンチレバーセンサシステム。
  5. 受光素子が、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)受光素子であることを特徴とする、請求項3又は4に記載のカンチレバーセンサシステム。
  6. カンチレバーセンサから反射されたレーザー光の受光素子上の照射位置変化を、受光素子から得られる画像を解析することにより測定することを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載のカンチレバーセンサシステム。
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