JP2006178118A - 液体現像剤の製造方法および液体現像剤 - Google Patents
液体現像剤の製造方法および液体現像剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006178118A JP2006178118A JP2004370232A JP2004370232A JP2006178118A JP 2006178118 A JP2006178118 A JP 2006178118A JP 2004370232 A JP2004370232 A JP 2004370232A JP 2004370232 A JP2004370232 A JP 2004370232A JP 2006178118 A JP2006178118 A JP 2006178118A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- liquid developer
- aqueous
- liquid
- toner
- dispersion medium
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Liquid Developers In Electrophotography (AREA)
- Emulsifying, Dispersing, Foam-Producing Or Wetting Agents (AREA)
Abstract
【解決手段】本発明の液体現像剤の製造方法は、高絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を製造する方法であって、着色剤と樹脂材料とを含む材料を混練して混練物を得る混練工程と、前記混練物を用いて、水系液体で構成された水系分散媒中にトナー用材料で構成された分散質が分散した水系乳化液を得る水系乳化液調製工程と、前記水系分散媒を除去して、乾燥微粒子を得る水系分散媒除去工程と、前記乾燥微粒子を前記高絶縁性液体中に分散させる分散工程とを有し、前記樹脂材料として自己分散型樹脂を用いることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
乾式トナーを用いる方法は、固体状態のトナーを取り扱うので、取り扱い上の有利さはあるものの、粉体による人体等への悪影響が懸念されるほか、トナーの飛散による汚れ、トナーを分散した際の均一性等に問題がある。また、乾式トナーでは、粒子の凝集が起こり易く、トナー粒子の大きさを十分に小さくするのが困難であり、解像度の高いトナー画像を形成するのが困難であるという問題がある。また、トナー粒子の大きさを比較的小さなものとした場合には、上述したような粉体であることによる問題が更に顕著なものとなる。
しかしながら、従来の液体現像剤の製造方法では、以下のような問題点があった。
本発明の液体現像剤の製造方法は、高絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を製造する方法であって、
着色剤と樹脂材料とを含む材料を混練して混練物を得る混練工程と、
前記混練物を用いて、水系液体で構成された水系分散媒中にトナー用材料で構成された分散質が分散した水系乳化液を得る水系乳化液調製工程と、
前記水系分散媒を除去して、乾燥微粒子を得る水系分散媒除去工程と、
前記乾燥微粒子を前記高絶縁性液体中に分散させる分散工程とを有し、
前記樹脂材料として自己分散型樹脂を用いることを特徴とする。
このような自己分散型樹脂は、水系液体に対する分散性が特に優れているため、分散剤を用いることなく、または、極めて少量の分散剤を用いるだけで、水系分散液を好適に調製することができる。
このような自己分散型樹脂は、水系液体に対する分散性が特に優れており、また、製造が比較的容易で、比較的安価に入手でき、その結果、液体現像剤の製造の更なる低コスト化を図ることができる。
これにより、トナーとして必要な特性をより効果的に維持しつつ、自己分散型樹脂を主材料とする分散質の分散性を向上させることができる。
これにより、水系乳化液中における分散質同士の結合(凝集)をより確実に防止することができるとともに、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。また、トナー粒子を、十分に円形度が高く、各粒子間(トナー粒子間)での特性、大きさ、形状の均一性が特に優れたものとして得ることができる。
これにより、トナー粒子を各構成成分がより均一に混ざり合ったものとして得ることができ、各トナー粒子間での特性(帯電特性等)のばらつきを特に小さくすることができる。
これにより、各トナー粒子間での形状、大きさのばらつきを特に小さくすることができ、各トナー粒子間での特性(帯電特性等)のばらつきを特に小さくすることができる。また、トナー粒子の粒径をより小さくすることができる。
これにより、水系分散媒除去工程等における粒子の不本意な凝集を、より効果的に防止することができ、結果として、トナー粒子の形状、大きさの均一性を特に優れたものとすることができる。また、溶媒の除去とともに、脱気処理を施すことができ、例えば、乾燥微粒子を複数個の分散質の凝集体として得る場合において、異形状の乾燥微粒子(トナー粒子)が形成されるのをより効果的に防止することができる。
これにより、水系分散媒除去工程等における粒子の不本意な凝集を、より効果的に防止することができ、結果として、トナー粒子の形状、大きさの均一性を特に優れたものとすることができる。
これにより、トナー粒子を、十分に円形度が高く、各粒子間(トナー粒子間)での特性、大きさ、形状の均一性が特に優れたものとして得ることができる。また、液体現像剤を用いて形成される画像の解像度を特に高いものとすることができる。
これにより、均一な形状を有し、粒度分布の幅の小さいトナーが分散した液体現像剤を提供することができる。
本発明の液体現像剤では、トナー粒子の平均粒径が0.1〜5μmであることが好ましい。
これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきを特に小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を特に高いものとしつつ、液体現像剤(トナー)により形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
本発明の液体現像剤では、各トナー粒子間での粒径の標準偏差が3.0μm以下であることが好ましい。
これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきが特に小さくなり、液体現像剤全体としての信頼性がさらに向上する。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
これにより、トナー粒子の粒径を十分に小さいものとしつつ、トナー粒子の転写効率、機械的強度を特に優れたものとすることができる。
本発明の液体現像剤では、各粒子間での平均円形度の標準偏差が0.15以下であることが好ましい。
これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきが特に小さくなり、液体現像剤全体としての信頼性がさらに向上する。
図1は、水系乳化液の調製に用いる混練物を製造するための混練機、冷却機の構成の一例を模式的に示す縦断面図、図2は、本発明の液体現像剤の製造に用いられる乾燥微粒子製造装置の好適な実施形態を模式的に示す縦断面図、図3は、図2に示す乾燥微粒子製造装置のヘッド部付近の拡大断面図である。以下、図1中、左側を「基端」、右側を「先端」として説明する。
後述する混練工程で得られる混練物は、液体現像剤のトナーを構成する成分を含むものであり、少なくとも、結着樹脂(樹脂材料)と着色剤とを含むものである。
まず、混練物の調製に用いられる材料について説明する。
液体現像剤を構成するトナーは、通常、主成分としての樹脂(バインダー樹脂)を含む材料で構成されている。
そして、本発明では、混練物を構成する樹脂材料として、後述する水系液体に対して自己分散性を有する自己分散型樹脂を用いる。なお、本明細書中において、「自己分散性」とは、分散剤を用いなくても分散媒に対する分散性を有する性質のことを指す。そして、「自己分散型樹脂」とは、このような自己分散性を有する樹脂材料のことを指す。
自己分散型樹脂としては、特に限定されないが、例えば、後述する水性液体に対する親液性(親水性)を有する基を多数有する樹脂が挙げられる。
また、前述した基の中でも、特に、−COO−基、−SO3−基が好ましい。このような基を有する自己分散型樹脂は、水系液体に対する分散性が特に優れており、また、製造が比較的容易で、比較的安価に入手でき、その結果、液体現像剤の製造の更なる低コスト化を図ることができる。
例えば、−COO−基を有する自己分散型樹脂は、水難溶性または水不溶性の樹脂(原料樹脂)に不飽和カルボン酸類をグラフト共重合またはブロック共重合させること、または、熱可塑性樹脂を構成する単量体と不飽和カルボン酸類とをランダム共重合させることにより、製造することができる。
また、上記のような自己分散型樹脂は、例えば、前述したような官能基を有する前駆体(例えば、対応するモノマー(単量体)、ダイマー(2量体)、オリゴマー等)を重合させること等によっても製造することができる。
なお、混練物は、上述したような自己分散型樹脂以外の樹脂材料を含むものであってもよい。このような樹脂材料(自己分散型樹脂以外の樹脂材料)としては、例えば、上記で原料樹脂として例示したものを用いることができる。
また、トナーは、着色剤を含んでいる。着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、混練物の調製には、上記以外の成分を用いてもよい。このような成分としては、例えば、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、混練物の構成材料(成分)としては、例えば、無機溶媒、有機溶媒等の溶媒として用いられるような材料を用いてもよい。これにより、例えば、混練の効率を向上させることができ、各成分がより均一に混ざり合った混練物を容易に得ることができる。
次に、上記のような成分を含む原料K5を混練して、混練物K7を得る方法の一例について説明する。
混練物K7は、例えば、図1に示すような装置を用いて製造することができる。
混練に供される原料K5は、前述したような成分を含むものである。特に、原料K5が着色剤を含むことにより、本工程で原料K5中に含まれる空気(特に着色剤が抱き込んだ空気)を効率よく除去することができ、トナー粒子の内部に気泡が混入(残存)するのを効果的に防止することができる。混練に供される原料K5は、これらの各成分が予め混合されたものであるのが好ましい。
混練機K1は、原料K5を搬送しつつ混練するプロセス部K2と、混練された原料(混練物K7)を所定の断面形状に形成して押し出すヘッド部K3と、プロセス部K2内に原料K5を供給するフィーダーK4とを有している。
プロセス部K2は、バレルK21と、バレルK21内に挿入されたスクリューK22、スクリューK23と、バレルK21の先端にヘッド部K3を固定するための固定部材K24とを有している。
プロセス部K2の全長は、50〜300cmであるのが好ましく、100〜250cmであるのがより好ましい。プロセス部K2の全長が前記下限値未満であると、原料K5中の各成分を十分均一に混ぜ合わせることが困難となる可能性がある。一方、プロセス部K2の全長が前記上限値を超えると、プロセス部K2内の温度、スクリューK22、スクリューK23の回転数等によっては、熱による原料K5の変性が起こり易くなり、最終的に得られる液体現像剤(トナー)の物性を十分に制御するのが困難になる可能性がある。
プロセス部K2で混練された混練物K7は、スクリューK22とスクリューK23との回転により、ヘッド部K3を介して、混練機K1の外部に押し出される。
ヘッド部K3は、プロセス部K2から混練物K7が送り込まれる内部空間K31と、混練物K7が押し出される押出口K32とを有している。
内部空間K31内での混練物K7の具体的な温度(少なくとも押出口K32付近での温度)は、特に限定されないが、80〜150℃であるのが好ましく、90〜140℃であるのがより好ましい。内部空間K31内での混練物K7の温度が上記範囲内の値であると、混練物K7が内部空間K31で固化せず、押出口K32から押し出しやすくなる。
ヘッド部K3の押出口K32から押し出された軟化した状態の混練物K7は、冷却機K6により冷却され、固化する。
冷却機K6は、ロールK61、K62、K63、K64と、ベルトK65、K66とを有している。
ベルトK65は、ロールK61とロールK62とに巻掛けられている。同様に、ベルトK66は、ロールK63とロールK64とに巻掛けられている。
また、図示の構成では、スクリューを2本有する構成の混練機について説明したが、スクリューは1本であってもよいし、3本以上であってもよい。また、混練装置にディスク(ニーディングディスク)部があってもよい。
また、本実施形態では、冷却機として、ベルト式のものを用いた構成について説明したが、例えば、ロール式(冷却ロール式)の冷却機を用いてもよい。また、混練機の押出口K32から押し出された混練物の冷却は、前記のような冷却機を用いたものに限定されず、例えば、空冷等により行うものであってもよい。
次に、上述したような冷却工程を経た混練物K7を粉砕する。このように、混練物K7を粉砕することにより、後述する水系乳化液を、比較的容易に、より微小な分散質が分散したものとして得ることができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤においても、トナー粒子の大きさをより小さなものとすることができ、高解像度の画像形成に好適に用いることができる。
粉砕の工程は、複数回(例えば、粗粉砕工程と微粉砕工程との2段階)に分けて行ってもよい。また、このような粉砕工程の後、必要に応じて、分級処理等の処理を行ってもよい。分級処理には、例えば、ふるい、気流式分級機等を用いることができる。
水系乳化液の調製に混練物K7を用いることにより、以下のような効果が得られる。すなわち、トナーの構成材料中に、互いに分散または相溶し難い成分を含む場合であっても、混練を施すことにより、得られる混練物中においては、各成分が十分に相溶、微分散した状態とすることができる。特に、顔料(着色剤)は、通常、後述するような溶媒として用いられる液体に対する分散性が低いが、溶媒に分散する前に予め混練が施されることにより、顔料粒子の周囲を樹脂成分等が効果的にコーティングすることとなり、これにより、溶媒への顔料の分散性が向上し(特に溶媒への微分散が可能となり)、最終的に得られるトナーの発色性も良好となる。このようなことから、トナーの構成材料中に、後述する水系乳化液の分散媒(水系分散媒)に対する分散性に劣る成分(以下、「難分散性成分」とも言う。)や水系乳化液の分散媒に含まれる溶媒に対する溶解性に劣る成分(以下、「難溶性成分」とも言う。)が含まれる場合であっても、水系乳化液における分散質の分散性を特に優れたものとすることができ、また、この水系乳化液を用いて調製される水系懸濁液3(液滴9)においても、分散質31の分散性が優れたものとなる。その結果、最終的に得られる液体現像剤においても、各トナー粒子間での組成、特性のばらつきが小さくなり、全体としての特性が特に優れたものとなる。
これに対し、本発明では、上記のような混練物を水系乳化液の調製に用いることにより、最終的に得られるトナー粒子は、各成分が十分均一に相溶、分散(微分散)したものとなる。
次に、上記のような混練物K7を用いて、水系液体で構成された水系分散媒中に、トナー材料で構成された分散質が分散した水系乳化液を調製する(水系乳化液調製工程)。前述したように、混練物K7が自己分散型樹脂を含むものであるため、本工程で得られる水系乳化液は、分散質の分散状態が良好なものである。また、分散媒として、水系液体を用いるので、環境にも優しい方法で液体現像剤を製造することができる。
[混練物溶液(混練物の溶液)の調製]
本実施形態では、まず、混練物の少なくとも一部が溶解した混練物の溶液を得る。
溶液は、混練物と、混練物の少なくとも一部を溶解し得る溶媒とを混合することにより調製することができる。
このような溶媒としては、例えば、二硫化炭素、四塩化炭素等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、2−ヘプタノン等のケトン系溶媒、ペンタノール、n−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、アニソール等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、オクタン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、フラン、チオフェン等の芳香族複素環化合物系溶媒、クロロホルム等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、アクリル酸エチル等のエステル系溶媒、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒等の有機溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
なお、溶液中においては、混練物を構成する成分の少なくとも一部が溶解(膨潤を含む)していればよく、溶液中に、溶解していない不溶分が存在していてもよい。
次に、上記のような溶液を水系液体と混合することにより、水系乳化液を得る。この水系乳化液においては、通常、前述した溶媒と混練物の構成材料とを含む分散質が、水系液体で構成された水系分散媒中に分散している。
本発明において、「水系液体」とは、水および/または水との相溶性に優れる液体(例えば、25℃における水100gに対する溶解度が30g以上の液体)で構成されたもののことを指す。このように、水系液体は、水および/または水との相溶性に優れる液体で構成されたものであるが、主として水で構成されたものであるのが好ましく、特に、水の含有率が70wt%以上のものであるのが好ましく、90wt%以上のものであるのがより好ましい。このようなものを用いることにより、乾燥微粒子製造装置において、分散媒(水性液体)を回収するための液体回収装置(分散媒回収装置)を省略または簡素化しても、環境に優しい方法で、液体現像剤(トナー粒子)を製造することができる。
溶液と水系液体との混合の具体的な方法としては、例えば、容器内の水系液体中に溶液を加える方法(例えば、滴下する方法)、容器内の溶液中に水系液体を加える方法(例えば、滴下する方法)等が挙げられる。これらの場合、少なくとも、攪拌した状態の液体中に、他方の液体を加えるのが好ましい。これにより、上述した効果は更に顕著に発揮される。
水系乳化液中における分散質の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜5μmであるのが好ましく、0.1〜3μmであるのがより好ましい。これにより、水系乳化液中における分散質同士の結合(凝集)をより確実に防止することができるとともに、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、個数基準の平均粒径のことを指すものとする。
なお、上記の説明では、水系乳化液中において、混練物中の成分が分散質に含まれるものとして説明したが、混練物の構成成分の一部が分散媒中に含まれていてもよい。
また、水系乳化液中には、上記以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
前記磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、水系乳化液中には、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム等が添加されていてもよい。
上記のようにして得られた水系乳化液は、そのまま、後述する水系分散媒除去工程に供するものであってもよいが、本実施形態においては、(液状の分散質が水系分散媒中に分散した)水系乳化液から、固形状の分散質31が分散媒(水系分散媒)32中に分散した水系懸濁液3を得、当該水系懸濁液3を水系分散媒除去工程に供する。これにより、水系分散媒除去工程等における粒子の不本意な凝集を、より効果的に防止することができ、結果として、トナー粒子の形状、大きさの均一性を特に優れたものとすることができる。また、上述したように水系乳化液の分散質は、水系液体との親和性に優れた自己分散型樹脂を含む材料で構成されたものであるため、本工程で得られる水系懸濁液においても、分散質の良好な分散性を保持することができる。
水系懸濁液3の調製は、水系乳化液から分散質を構成する溶媒を除去することにより行うことができる。
溶媒の除去は、例えば、水系乳化液を加熱(加温)したり、減圧雰囲気下に置くことにより行うことができるが、水系乳化液を減圧下で加熱することにより行うものであるのが好ましい。これにより、分散質31の大きさ、形状のばらつきが特に小さい水系懸濁液3を、比較的容易に得ることができる。また、上記のように溶媒を除去することにより、溶媒の除去とともに、脱気処理を施すことができる。これにより、水系懸濁液3中の気体の溶存量を低減させることができ、乾燥微粒子製造装置M1の分散媒除去部M3において、水系懸濁液3の液滴9から分散媒32を除去する際に、当該水系懸濁液3中に気泡等が発生するのを効果的に防止することができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中に異形状のトナー粒子(中空粒子、欠落粒子等)が混入するのをより効果的に防止することができる。
また、水系乳化液を減圧雰囲気下に置く場合、水系乳化液が置かれる雰囲気の圧力は、0.1〜50kPaであるのが好ましく、0.5〜5kPaであるのがより好ましい。水系乳化液が置かれる雰囲気の圧力が前記範囲内の値であると、異形状の分散質31の発生を十分に防止しつつ(水系乳化液の分散質の内部から溶媒が急激に気化(沸騰)するのを確実に防止しつつ)、溶媒を速やかに除去することができる。
なお、溶媒の除去は、少なくとも分散質が固形状となる程度に行われるものであればよく、水系乳化液中に含まれる実質的に全ての溶媒を除去するものでなくてもよい。
水系懸濁液3中における分散質31の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜5μmであるのが好ましく、0.1〜3μmであるのがより好ましい。これにより、分散質同士の結合(凝集)をより確実に防止することができるとともに、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。
次に、水系分散液(水系懸濁液3)から水系分散媒を除去することにより、水系分散液(水系懸濁液3)の分散質に対応する乾燥微粒子を得る(水系分散媒除去工程)。このようにして得られる乾燥微粒子は、液体現像剤のトナー粒子に相当するものである。
水系分散媒の除去は、いかなる方法で行ってもよいが、水系分散媒中に分散質が分散した分散液(水系分散液)の液滴を間欠的に吐出することにより行うのが好ましい。これにより、分散質の凝集等を効果的に防止しつつ、水系分散媒の除去をより効率良く行うことができ、液体現像剤の生産性が向上する。また、水系分散液の液滴を間欠的に吐出して水系分散媒の除去を行うことにより、前述した水系懸濁液の調製において、溶媒の一部が残存している場合であっても、この残存している溶媒を水系分散媒とともに効率良く除去することができる。
[乾燥微粒子製造装置]
図2に示すように、乾燥微粒子製造装置(トナー粒子製造装置)M1は、上述したような水系懸濁液(水系分散液)3を、液滴9として間欠的に吐出するヘッド部M2と、ヘッド部M2に水系懸濁液3を供給する水系懸濁液供給部(水系分散液供給部)M4と、ヘッド部M2から吐出された液滴状(微粒子状)の水系懸濁液3(液滴9)を搬送しつつ分散媒32を除去し、乾燥微粒子(トナー粒子)4とする分散媒除去部M3と、製造された乾燥微粒子(トナー粒子)4を回収する回収部M5とを有している。
ヘッド部M2は、分散液貯留部M21と、圧電素子M22と、吐出部M23とを有している。
分散液貯留部M21には、水系懸濁液3が貯留されている。
吐出部M23の形状は、特に限定されないが、略円形状であるのが好ましい。これにより、吐出される水系懸濁液3や、分散媒除去部M3内において形成される乾燥微粒子4の真球度を高めることができる。
このような撥液性を有する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂や、シリコーン系材料等が挙げられる。
この圧電素子M22は、振動源として機能するものであり、振動板M24は、圧電素子(振動源)M22の振動により振動し、分散液貯留部M21の内部圧力を瞬間的に高める機能を有するものである。
上記のような電圧の印加を所定の周期で行うことにより、圧電素子M22が振動し、粒状の水系懸濁液3が繰り返し吐出される。
また、分散液の吐出に圧電体の振動を用いることにより、より確実に分散液を所定間隔で吐出することができる。このため、吐出される液滴9同士が、衝突、凝集するのを効果的に防止することができ、異形状の乾燥微粒子4の形成をより効果的に防止することができる。
また、ヘッド部M2から吐出される液滴9の平均粒径は、水系懸濁液3中に占める分散質31の含有率等により若干異なるが、1.0〜100μmであるのが好ましく、5〜50μmであるのがより好ましい。液滴9の平均粒径をこのような範囲の値にすることにより、形成される乾燥微粒子4を適度な粒径のものにすることができる。
各ヘッド部M2は、ほぼ同時に水系懸濁液3(液滴9)を吐出するものであってもよいが、少なくとも隣り合う2つのヘッド部で、水系懸濁液3(液滴9)の吐出タイミングが異なるように制御されたものであるのが好ましい。これにより、隣接するヘッド部M2から吐出された液滴9から乾燥微粒子4が形成される前に、液滴9同士が衝突し、不本意な凝集が発生するのをより効果的に防止することができる。
また、ガス噴射口M7からガスが噴射されることにより、各ヘッド部M2から吐出される液滴9の間に気流カーテンが形成され、例えば、隣り合うヘッド部から吐出された各液滴間での衝突、凝集をより効果的に防止することが可能となる。
また、このようなガス流供給手段M10を有すると、ガス流の供給量を調整すること等により、吐出部M23から吐出された水系懸濁液3からの分散媒32の除去速度等を容易にコントロールすることも可能となる。
また、ガス噴射口M7から噴射されるガスの湿度は、例えば、50%RH以下であるのが好ましく、30%RH以下であるのがより好ましい。ガス噴射口M7から噴射されるガスの湿度が50%RH以下であると、後述する分散媒除去部M3において、水系懸濁液3に含まれる分散媒32を効率良く除去することが可能となり、乾燥微粒子4の生産性がさらに向上する。
また、図示の構成では、ハウジングM31内の圧力は、圧力調整手段M12により調整される構成となっている。このように、ハウジングM31内の圧力を調整することにより、より効率良く乾燥微粒子4を形成することができ、結果として、液体現像剤の生産性が向上する。なお、図示の構成では、圧力調整手段M12は、接続管M121でハウジングM31に接続されている。また、接続管M121のハウジングM31と接続する端部付近には、その内径が拡大した拡径部M122が形成されており、さらに、乾燥微粒子4等の吸い込みを防止するためのフィルターM123が設けられている。
また、ハウジングM31には、電圧を印加するための電圧印加手段M8が接続されている。電圧印加手段M8で、ハウジングM31の内面側に、乾燥微粒子4(液滴9)と同じ極性の電圧を印加することにより、これにより、以下のような効果が得られる。
また、ハウジングM31は、回収部M5付近に、図2中の下方向に向けて、その内径が小さくなる縮径部M311を有している。このような縮径部M311が形成されることにより、乾燥微粒子4を効率良く回収することができる。
上記のようにして得られる乾燥微粒子4は、通常、各分散質31に対応する大きさ、形状を有するものである。これにより、最終的に得られる液体現像剤は、比較的小粒径で、円形度(球形度)が高く、各粒子間での形状、大きさのばらつきの小さいトナー粒子を含むものとなる。
また、上記のようにして得られる乾燥微粒子4は、水系懸濁液3の分散媒32が除去されることにより得られる粒状物であればよく、例えば、その内部に分散媒の一部が残存していてもよい。
また、上記のような乾燥微粒子4に対しては、必要に応じて、分級処理、外添処理等の各種処理を施してもよい。
次に、上記のようにして得られた乾燥微粒子4を高絶縁性液体中に分散させる(分散工程)。これにより、乾燥微粒子4としてのトナー粒子が、高絶縁性液体(担持液)中に分散した液体現像剤が得られる。
高絶縁性液体は、十分に絶縁性の高い液体であればよいが、具体的には、室温(20℃)での電気抵抗が109Ωcm以上のものであるのが好ましく、1011Ωcm以上のものであるのがより好ましく、1013Ωcm以上のものであるのがさらに好ましい。
また、高絶縁性液体の誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
以上説明したような製造方法においては、比較的少量(例えば、樹脂材料100重量部に対して、2重量部以下)であれば分散剤を用いてもよいが、分散剤を用いないのが好ましい。これにより、最終的に得られる液体現像剤に分散剤が残存することによる悪影響の発生を防止することができる。
上記のようにして得られる液体現像剤は、トナー粒子の形状、大きさのばらつきが小さい。したがって、このような液体現像剤は、トナー粒子が高絶縁性液体中(液体現像剤中)で泳動し易く、高速現像にも有利である。また、トナー粒子の形状、大きさのばらつきが小さいため、トナー粒子の分散性に優れており、液体現像剤中でのトナー粒子の沈降や浮遊等が効果的に防止される。したがって、このような液体現像剤は、長期安定性にも優れている。
また、液体現像剤を構成するトナー粒子間での粒径の標準偏差は、3.0μm以下であるのが好ましく、0.1〜2.0μmであるのがより好ましく、0.1〜1.0μmであるのがさらに好ましい。これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきが特に小さくなり、液体現像剤全体としての信頼性がさらに向上する。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
これにより、トナー粒子の粒径を十分に小さいものとしつつ、トナー粒子の転写効率、機械的強度を特に優れたものとすることができる。
また、液体現像剤を構成するトナー粒子間での平均円形度の標準偏差は、0.5以下であるのが好ましく、0.001〜0.1であるのがより好ましく、0.001〜0.05であるのがさらに好ましい。これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきが特に小さくなり、液体現像剤全体としての信頼性がさらに向上する。
図4は、本発明の液体現像剤が適用される接触方式の画像形成装置の一例を示すものである。画像形成装置P1には、円筒状の感光体P2のドラムを有し、エピクロロヒドリンゴム等で構成された帯電器P3によりその表面が均一に帯電された後、レーザーダイオード等によって記録すべき情報に応じた露光P4が行なわれて静電潜像が形成される。
同様に、中間転写ローラP18から情報記録媒体P20へ転写後に中間転写ローラP18に残留した転写残りトナーは、ウレタンゴム等で構成されたクリーニングブレードP23によって除去される。
感光体P2上に形成されたトナー像は、中間転写ローラP18に対して転写された後に、二次転写ローラP19に転写電流を通電して、両者の間を通過する紙等の情報記録媒体P20に画像が転写され、紙等の情報記録媒体P20上でのトナー画像は図6に示す定着装置使用して定着が行われる。
なお、図4、図5共に一色の液体現像剤による画像形成について説明したが、複数色のカラートナーを用いて画像形成する場合には、複数色の現像器を用いて各色の画像を形成してカラー画像を形成することができる。
熱定着ロールF1は、外径25mm程度、肉厚0.7mm程度のパイプ材をロール基材F1bとして、その外周に厚み0.4mm程度の弾性体F1cを被覆して形成され、ロール基材F1bの内部に、加熱源として1,050W、2本の柱状ハロゲンランプF1aが内蔵されており、図に矢印で示す反時計方向に回転可能になっている。また、加圧ロールF2は、外径25mm程度、肉厚0.7mm程度のパイプ材をロール基材F2bとして、その外周に厚み0. 2mm程度の弾性体F2cを被覆して形成し、熱定着ロールF1と加圧ロールF2の圧接力を10kg以下、ニップ長を10mm程度で構成し、熱定着ロールF1に対向して配置し、図に矢印で示す時計方向に回転可能になっている。
例えば、乾燥微粒子製造装置を構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、または、その他の構成を追加することもできる。
また、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
このように、図示のような構成とすることにより、水系懸濁液3として、より粘度の高い材料や、凝集力の大きい材料を用いた場合であっても、乾燥微粒子4を所望の形状、大きさにコントロールすることができるので、材料選択の幅が特に広くなり、所望の特性を有するトナーをさらに容易に得ることができる。
さらに、図8〜図10に示すように、音響レンズM25と吐出部M23との間に、吐出部M23に向けて、収斂する形状を有する絞り部材M13等を配置してもよい。これにより、圧電素子M22が発生した圧力パルス(振動エネルギー)の収束を補助することができ、圧電素子M22が発生した圧力パルスをさらに効率よく利用することができる。
また、前述した実施形態では圧電パルスによりヘッド部から分散液(水系懸濁液)を間欠的に吐出するものとして説明したが、分散液の吐出方法(噴射方法)としては、他の方法を用いることもできる。例えば、分散液を吐出(噴射)する方法としては、スプレードライ法や、いわゆるバブルジェット(「バブルジェット」は登録商標)法等の方法のほか、「分散液を、ガス流で平滑面に押し付けて薄く引き伸ばして薄層流とし、当該薄層流を前記平滑面から離して微小な液滴として噴射するようなノズルを用いて、分散液を液滴状に噴射する方法(特願2002−321889号明細書に記載されたような方法)」等を用いてもよい。スプレードライ法は、高圧のガスを用いて、液体(分散液)を噴射(噴霧)させることにより、液滴を得る方法である。また、いわゆるバブルジェット(「バブルジェット」は登録商標)法を適用した方法としては、特願2002−169348号明細書に記載された方法等が挙げられる。すなわち、分散液を吐出(噴射)する方法として、「気体の体積変化によりヘッド部から分散液を間欠的に吐出する方法」を適用することができる。
また、前述した実施形態では、水系懸濁液中の各分散質に対応する大きさ、形状の乾燥微粒子を得るものとして説明したが、乾燥微粒子は、例えば、水系懸濁液の複数個の分散質に対応する微粒子が凝集(接合)してなる凝集体であってもよい。
また、水系乳化液、水系懸濁液の調製方法は、前述したような方法に限定されない。例えば、固体状態の分散質が分散した分散液を加熱することにより、分散質を一旦液状として水系乳化液を得、当該水系乳化液を冷却することにより水系懸濁液を得てもよい。
(実施例1)
まず、自己分散型樹脂としての、側鎖に−SO3 −基(スルホン酸Na基)を有するスチレン樹脂(軟化温度:75℃):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。自己分散型樹脂は、当該自己分散型樹脂100g中に、−SO3 −基を0.1mol有するものであった。
これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
2軸混練押出機のプロセス部の全長は160cmとした。
また、プロセス部における原料の温度が125〜135℃となるように設定した。
また、スクリューの回転速度は120rpmとし、原料の投入速度は20kg/時間とした。
このような条件から求められる、原料がプロセス部を通過するのに要する時間は約4分間である。
なお、上記のような混練は、脱気口を介してプロセス部に接続された真空ポンプを稼動させることにより、プロセス部内を脱気しつつ行った。
このようにして2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を、図1中に示すような冷却機を用いて、冷却した。冷却工程直後の混練物の温度は、約40℃であった。
混練物の冷却速度は、−9℃/秒であった。また、混練工程の終了時から冷却工程が終了するのに要した時間は、10秒であった。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.5mmの粉末とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
一方、イオン交換水:700重量部からなる水系液体を用意した。
このような攪拌状態の水系液体中に、上記溶液(混練物のトルエン溶液)を滴下した。これにより、平均粒径が3μmの分散質が均一に分散した水系乳化液が得られた。
その後、温度、100℃、雰囲気圧力:80kPaの条件下で、水系乳化液中のトルエンを除去し、さらに、室温まで冷却することにより、固形微粒子が分散した水系懸濁液を得た。得られた水系懸濁液中には、実質的にトルエンは残存していなかった。得られた水系懸濁液の固形分(分散質)濃度は25.0wt%であった。また、懸濁液中に分散している分散質(固形微粒子)の平均粒径は1.8μmであった。なお、分散質の平均粒径の測定は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920)を用いて行った。
また、分散媒除去部のハウジングには、その内表面側の電位が−200Vとなるように電圧を印加し、内壁に水系懸濁液(乾燥微粒子)が付着するのを防止するようにした。
分散媒除去部内において、吐出した水系懸濁液から分散媒が除去され、各分散質に対応する形状、大きさの多数の乾燥微粒子(トナー粒子)が形成された。
分散媒除去部で形成された乾燥微粒子をサイクロンにて回収した。回収された乾燥微粒子の含水量は0.42wt%であった。
混練物のトルエン溶液調製時におけるトルエンの使用量、水系乳化液の調製時における水系液体の攪拌条件、溶液の滴下速度を変更することにより、水系乳化液中における分散質の平均粒径、含有率を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を調製した。
混練物の調製において、自己分散型樹脂として、側鎖に−PO4 −基を有するスチレン(軟化温度:105℃)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を調製した。なお、自己分散型樹脂は、当該自己分散型樹脂100g中に、−PO4 −基を0.1mol有するものであった。
乳化液の調製に混練物ではなく、スチレン樹脂(前記実施例1で用いたのと同様のスチレン樹脂):80重量部と、シアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部との混合物を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を調製した。
まず、前記実施例1と同様にして混練物の粗粉砕物(平均粒径:1.5mm)を得た。
次に、ジェットミル粉砕機を用いて、この粗粉砕物を微粉砕し、平均粒径:3.5μmの微粉末とした。
その後、上記のようにして得られた微粉砕物を、高絶縁性液体としてのアイソパーH(エクソン化学社製)中に分散させることにより、液体現像剤を得た。この高絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は1.5×1015Ωcm、高絶縁性液体の誘電率は2.2であった。
オクタデシルメタクリレート:100g、トルエン:150gおよびイソプロパノール:50gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度75℃に加温した。2,2’−アゾビス(4−シアノ吉草酸):30gを加え8時間反応した。冷却後、メタノール:2リットル中に再沈し白色粉末を凝集後、乾燥した。得られた白色粉末:50g、酢酸ビニル:3.3g、ハイドロキノン:0.2gおよびトルエン:100gの混合物を温度40℃に加温して、2時間反応した。次に70℃に昇温し、100%硫酸:3.8×10−3mlを加え10時間反応した。温度25℃まで冷却し酢酸ナトリウム三水和物:0.02gを加え30分間攪拌した後、メタノール:1リットル中に再沈し、凝集後、乾燥し、分散安定用樹脂を得た。
上記の白色ラテックス粒子:30g、上記ニグロシン分散物:2.5g、オクタデセン/半マレイン酸オクタデシルアミド共重合体:0.07gをアイソパーG:1リットルに希釈することにより液体現像剤を得た。
混練物の調製において、自己分散型樹脂の代わりに、分子内に親水性官能基を有さないスチレン樹脂(軟化温度:120℃)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして水系懸濁液の調製を試みた。しかしながら、上記スチレン樹脂で構成された微粒子を分散させることができなかった。すなわち、水系懸濁液を得ることができなかった。したがって、比較例4では、液体現像剤を得ることができなかった。
[2]液体現像剤の評価
上記のようにして得られた各液体現像剤について、画像濃度、解像度および保存性の評価を行った。
図4に示すような画像形成装置、図6に示すような定着装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙上に形成し、記録紙上の画像濃度を、X−Rite社製の色彩色差計により測定した。
[2.2]解像力
図4に示すような画像形成装置、図6に示すような定着装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙上に形成し、目視にて解像力を調べた。
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を、温度:15〜25℃の環境下に、6ヵ月間静置した。その後、液体現像剤中のトナーの様子を目視にて確認し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:トナー粒子の浮遊および凝集沈降がまったく認められない。
○:トナー粒子の浮遊および凝集沈降がほとんど認められない。
△:トナー粒子の浮遊または凝集沈降がわずかに認められる。
×:トナー粒子の浮遊および凝集沈降がはっきりと認められる。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象の粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象の粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
これに対し、比較例の液体現像剤では、トナー粒子の形状、大きさのばらつきが大きかった。また、比較例の液体現像剤では、トナー粒子が不定形状をなし、円形度も低かった。
また、着色剤として、シアン系顔料の代わりに、ピグメントレッド122、ピグメントイエロー180、カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)を用いた以外は、上記と同様に液体現像剤の製造、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
Claims (15)
- 高絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を製造する方法であって、
着色剤と樹脂材料とを含む材料を混練して混練物を得る混練工程と、
前記混練物を用いて、水系液体で構成された水系分散媒中にトナー用材料で構成された分散質が分散した水系乳化液を得る水系乳化液調製工程と、
前記水系分散媒を除去して、乾燥微粒子を得る水系分散媒除去工程と、
前記乾燥微粒子を前記高絶縁性液体中に分散させる分散工程とを有し、
前記樹脂材料として自己分散型樹脂を用いることを特徴とする液体現像剤の製造方法。 - 前記自己分散型樹脂は、その分子内に親水基を含むものである請求項1に記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記親水基は、−COO−基および/または−SO3 −基である請求項2に記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記自己分散型樹脂に含有されている前記親水基のmol数が前記自己分散型樹脂100gに対して0.001〜0.050molである請求項2または3に記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記水系乳化液中の分散質の平均粒径は、0.01〜5μmである請求項1ないし4のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記混練工程は、前記樹脂材料の軟化温度以上の温度で行う請求項1ないし5のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記混練物の少なくとも一部を溶解可能な溶媒に溶解して得られる溶液を用いて、前記水系乳化液の調製を行う請求項1ないし6のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記水系乳化液から前記溶媒を除去することにより得られる水系懸濁液を前記水系分散媒除去工程に供する請求項7に記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記水系乳化液を用いて、固形の分散質が前記水系分散質中に分散した水系懸濁液を得、当該水系懸濁液を前記水系分散媒除去工程に供する請求項1ないし8のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記水系懸濁液中の分散質の平均粒径は、0.01〜5μmである請求項8または9に記載の液体現像剤の製造方法。
- 請求項1ないし10のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする液体現像剤。
- トナー粒子の平均粒径が0.1〜5μmである請求項11に記載の液体現像剤。
- 各トナー粒子間での粒径の標準偏差が3.0μm以下である請求項11または12に記載の液体現像剤。
- トナー粒子についての下記式(I)で表される円形度Rの平均値(平均円形度)が0.85以上である請求項11ないし13のいずれかに記載の液体現像剤。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。) - 各粒子間での平均円形度の標準偏差が0.15以下である請求項11ないし14のいずれかに記載の液体現像剤。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004370232A JP4479498B2 (ja) | 2004-12-21 | 2004-12-21 | 液体現像剤の製造方法 |
US11/316,368 US20060166148A1 (en) | 2004-12-21 | 2005-12-21 | Method of producing liquid developer and liquid developer produced by the method |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004370232A JP4479498B2 (ja) | 2004-12-21 | 2004-12-21 | 液体現像剤の製造方法 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006178118A true JP2006178118A (ja) | 2006-07-06 |
JP2006178118A5 JP2006178118A5 (ja) | 2008-02-07 |
JP4479498B2 JP4479498B2 (ja) | 2010-06-09 |
Family
ID=36732296
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004370232A Expired - Fee Related JP4479498B2 (ja) | 2004-12-21 | 2004-12-21 | 液体現像剤の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4479498B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008020861A (ja) * | 2006-07-14 | 2008-01-31 | Seiko Epson Corp | 液体現像剤、液体現像剤の製造方法、画像形成方法、および画像形成装置 |
JP2008020860A (ja) * | 2006-07-14 | 2008-01-31 | Seiko Epson Corp | 液体現像剤、画像形成方法、および画像形成装置 |
-
2004
- 2004-12-21 JP JP2004370232A patent/JP4479498B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008020861A (ja) * | 2006-07-14 | 2008-01-31 | Seiko Epson Corp | 液体現像剤、液体現像剤の製造方法、画像形成方法、および画像形成装置 |
JP2008020860A (ja) * | 2006-07-14 | 2008-01-31 | Seiko Epson Corp | 液体現像剤、画像形成方法、および画像形成装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4479498B2 (ja) | 2010-06-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7566520B2 (en) | Liquid developer | |
US20090214976A1 (en) | Method of Producing Liquid Developer and Liquid Developer Produced by the Method | |
JP4442432B2 (ja) | 液体現像剤の製造方法 | |
JP4501693B2 (ja) | 液体現像剤の製造方法 | |
JP4479498B2 (ja) | 液体現像剤の製造方法 | |
EP1847885A1 (en) | Process for producing liquid developing agent, and liquid developing agent | |
JP4670380B2 (ja) | 液体現像剤の製造方法および液体現像剤製造装置 | |
JP4876485B2 (ja) | 液体現像剤、定着方法、画像形成装置および画像形成方法 | |
JP4720201B2 (ja) | 液体現像剤および液体現像剤の製造方法 | |
JP4453555B2 (ja) | 液体現像剤の製造方法および液体現像剤 | |
US20060166148A1 (en) | Method of producing liquid developer and liquid developer produced by the method | |
JP2007114227A (ja) | 液体現像剤および液体現像剤の製造方法 | |
JP2007114226A (ja) | 液体現像剤および液体現像剤の製造方法 | |
JP2006178117A (ja) | 液体現像剤の製造方法および液体現像剤 | |
JP2007121660A (ja) | 液体現像剤および液体現像剤の製造方法 | |
JP4760092B2 (ja) | 液体現像剤、画像形成方法および画像形成装置 | |
JP2006195298A (ja) | 液体現像剤の製造方法および液体現像剤 | |
JP4442516B2 (ja) | 液体現像剤 | |
JP4752344B2 (ja) | 液体現像剤、現像装置および画像形成装置 | |
JP4760147B2 (ja) | 液体現像剤、現像装置および画像形成装置 | |
JP4876484B2 (ja) | 液体現像剤、定着方法、画像形成装置および画像形成方法 | |
JP2006276503A (ja) | 液体現像剤 | |
JP5007530B2 (ja) | 液体現像剤および画像形成装置 | |
JP2007121661A (ja) | 液体現像剤および液体現像剤の製造方法 | |
JP4952096B2 (ja) | 液体現像剤および画像形成装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071214 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20071214 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091201 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100128 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100223 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100308 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130326 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140326 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |