JP2006176649A - アクリル樹脂成形材料とそれを用いた板状成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 天然資源の有効活用とともに廃棄時の焼却処理を容易にし、脱ホルムアルデヒドによって、環境への負荷を軽減することができ、自動車内装部材あるいは建材分野などに好適な機械強度を有し、高温高湿下での強度保持率が高い板状成形品と、それに用いられるアクリル樹脂成形材料を提供する。
【解決手段】 水溶性アクリル樹脂を天然繊維に含浸し、乾燥させてなるアクリル樹脂成形材料であって、この水溶性アクリル樹脂が13〜50質量%の範囲で含有されていることとする。
【選択図】なし
【解決手段】 水溶性アクリル樹脂を天然繊維に含浸し、乾燥させてなるアクリル樹脂成形材料であって、この水溶性アクリル樹脂が13〜50質量%の範囲で含有されていることとする。
【選択図】なし
Description
本願発明は、アクリル樹脂成形材料とそれを用いた板状成形品に関するものである。
従来より、建築物においてはフェノール系樹脂やアミノ系樹脂組成物を用いた接着剤や建築板状成形品など多くのホルムアルデヒドを原料に用いた素材が使用されている。また、天井基材、サンシェード基材、ドアトリム基材、リアパッケージ基材、衝撃吸収材、吸音材などの自動車内装部材も同様にフェノール系樹脂が接着剤として用いられるとともに、ガラス繊維を用いた板状成形品類やSMC(シートモールディングコンパウンド)などが使用されている。
しかしながら、環境問題が大きく取上げられる現代社会においては、居住空間におけるホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)の存在によるシックハウス症候群の問題からVOC対策が求められており、自動車室内空間においてもホルムアルデヒドの低減が望まれている。ホルムアルデヒドの低減対策としては、熱処理によるホルムアルデヒド除去や各種ホルムアルデヒドキャッチャー剤の添加(例えば、特許文献1参照)などが実施されているものの、その低減には限界があり、いまだ満足できるレベルにまで到っていない。また、自動車内装部材に使用されているガラス繊維についても、焼却炉で焼却の際にガラス繊維が炉内で溶融し炉表面を傷めるなどの問題により、廃棄の際は埋め立て処理されている。しかしながら、埋め立て処理によるコストアップ、埋め立て場所の減少、環境保全のための廃棄量の減量化、不法投棄などの問題によりガラス繊維の他素材への代替検討がなされている。例えば、環境保全の観点から、ガラス繊維に替えて天然繊維を用い、バインダーとしてポリ乳酸系樹脂またはセルロース系生分解性プラスチックを用いた繊維系板状成形品(例えば、特許文献2、3参照)や、木質材料のパーティクルにバインダーを塗布し、この混合物をパーティクルマットにした後、加熱・加圧して成形する木質成形体の製造方法(例えば、特許文献4参照)が提案されている。しかしながら、いずれも、部材の品質、寿命の点で充分満足するものではなく、いまだそのほとんどがガラス繊維を使用しているのが実情である。
特開平10−316867号公報
特開2004−130796号公報
特開2000−127117号公報
特開2004−209660号公報
そこで、本願発明は、以上の通りの背景から、天然資源の有効活用とともに廃棄時の焼却処理を容易にし、脱ホルムアルデヒドによって、環境への負荷を軽減することができ、自動車内装部材あるいは建材分野などに好適な機械強度を有し、高温高湿下での強度保持率が高い板状成形品と、それに用いられるアクリル樹脂成形材料を提供することを課題としている。
本願発明のアクリル樹脂成形材料は、前記の課題を解決するものとして、第1には、水溶性アクリル樹脂を天然繊維に含浸し、乾燥させてなるアクリル樹脂成形材料であって、この水溶性アクリル樹脂が13〜50質量%の範囲で含有されていることを特徴とする。
そして、第2には、上記のアクリル樹脂成形材料において、水溶性アクリル樹脂は、ヒドロキシ基を架橋成分として有するアクリル酸共重合体であることを特徴とする。
また、本願発明のアクリル樹脂成形材料は、第3には、上記のアクリル樹脂成形材料において、水溶性アクリル樹脂は、水で10〜50質量%の範囲の濃度に希釈して配合されていることを、第4には、天然繊維は、長繊維マット状であることを、第5には、界面活性剤が含有されていることを特徴とする。
さらに、本願発明の板状成形品は、第6には、上記のいずれかのアクリル樹脂成形材料を加熱・加圧して成形してなることを特徴とする。
上記第1の発明のアクリル樹脂成形材料では、水溶性アクリル樹脂を天然繊維に含浸し、乾燥させてなるアクリル樹脂成形材料であって、この水溶性アクリル樹脂が13〜50質量%の範囲で含有されていることにより、天然資源の有効活用とともに廃棄時の焼却処理を容易にし、脱ホルムアルデヒドによって、環境への負荷を軽減することができる。そして、このアクリル樹脂成形材料を用いて、自動車内装部材あるいは建材分野などに好適な機械強度を有し、高温高湿下での強度保持率が高い板状成形品を製造することができる。
また、上記第2の発明では、水溶性アクリル樹脂が、ヒドロキシ基を架橋成分として有するアクリル酸共重合体であることにより、より機械強度を向上させることができ、高温高湿下での強度保持率が高い板状成形品を製造することができる。
上記第3の発明では、水溶性アクリル樹脂が、水で10〜50質量%の範囲の濃度に希釈して配合されていることにより、水溶性アクリル樹脂の天然繊維への含浸・絞りの作業性が向上するとともに、効率よく乾燥させることができる。
上記第4の発明では、天然繊維が、長繊維マット状であることにより、水溶性アクリル樹脂を天然繊維に含浸・絞り・乾燥する際の作業性を向上させることができるとともに、製造される板状成形品の機械強度を向上させることができる。
上記第5の発明では、界面活性剤が含有されていることにより、水溶性アクリル樹脂を天然繊維に含浸する際に浸透性を向上させることができ、より作業性を向上させることができる。
さらに、上記第6の発明では、上記のいずれかのアクリル樹脂成形材料を加熱・加圧して成形してなることにより、自動車内装部材あるいは建材分野などに好適な機械強度を有し、高温高湿下での強度保持率が高い板状成形品とすることができる。
本願発明は前記のとおりの特徴をもつものであるが、以下に、発明を実施するための最良の形態を説明する。
本願発明のアクリル樹脂成形材料は、水溶性アクリル樹脂を天然繊維に含浸し、乾燥させてなるアクリル樹脂成形材料であって、天然繊維にバインダーとして水溶性アクリル樹脂が混在するものである。そして何よりも特徴的なのは、この水溶性アクリル樹脂がアクリル樹脂成形材料全体に対して13〜50質量%の範囲で含有されていることである。水溶性アクリル樹脂の含有量が13質量%未満では、充分な機械強度を得ることができず、また、部分的な含浸バラツキが発生する。50質量%を超えると、このアクリル樹脂成形材料の成形時に発生する水分により膨れ、割れなどが生じる。
水溶性アクリル樹脂としては、ヒドロキシ基を架橋成分として有するアクリル酸共重合体を用いることが好ましい。アクリル酸共重合体は、例えば、アクリル酸とマレイン酸の共重合体が挙げられ、アクリル酸とマレイン酸はランダムに結合していてもブロック状に結合していてもよく、ヒドロキシ基の架橋反応によって、その硬化物が機械強度、耐熱性、耐湿性に優れたものとすることができる。
また、この水溶性アクリル樹脂は、水で10〜50質量%の範囲の濃度に希釈して用いることが好ましい。水溶性アクリル樹脂を天然繊維に含浸させる際に、水溶性アクリル樹脂の濃度が10質量%未満の場合には、乾燥に時間がかかり生産効率が劣ってしまう場合がある。水溶性アクリル樹脂の濃度が50質量%を超える場合には、この水溶液の粘度が高くなってしまい、水溶性アクリル樹脂の天然繊維への含浸・絞りの作業性が低下する場合がある。
天然繊維としては、各種のセルロース系繊維を使用することができる。具体的には、ケナフ、アサ、ジュート、ヘンプなどの表皮繊維や、タケ、アシ、バガス、パピルスなどのイネ科植物が挙げられる。中でも、成長が極めて早く容易に栽培できる植物であり、光合成速度が速くCO2の吸収能力が高いこと、天然資源の有効活用および環境への負荷低減などの点から、一年性植物であるケナフの表皮繊維を使用することが好ましい。
天然繊維は、必要とする長さにカットされ、解繊機を用いて必要な繊維径に解繊される。天然繊維のカット長は、板状成形品において充分な機械強度を得るために20mm以上とすることが好ましく、それより短い場合には充分な機械強度を得られない場合がある。そして、この天然繊維は長繊維マット状であることが好ましい。例えば、マット機(カード機)を用いて天然繊維を綿状にしたものや、熱圧着もしくはニードルパンチなどにより不織マット状にしたものが考慮される。
以上の天然繊維には、軽量化・マットの強度付与などを目的として、PP、PET、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂繊維やポリ乳酸などの植物資源系樹脂繊維を混合していてもよい。
また、本願発明のアクリル樹脂成形材料は、天然繊維にバインダーとして水溶性アクリル樹脂が混在するアクリル樹脂成形材料に、補強用バインダーとして熱可塑性樹脂を混在させたものであってもよい。このようなアクリル樹脂成形材料は、機械強度をさらに向上させたものとすることができる。
そして、本願発明のアクリル樹脂成形材料は、界面活性剤が含有されていてもよい。例えば、ジアルキルサクシネートスルホン酸などのスルホン酸型、アルキルエーテル型などが好適なものとして挙げられる。このような界面活性剤は、水溶性アクリル樹脂を天然繊維に含浸する際に浸透性を向上させることができ、より作業性を向上させることができるものである。この界面活性剤の添加量としては、例えば、水溶性アクリル樹脂に対して0.2〜3質量%の範囲で添加することが好ましい。0.2質量%未満の場合には、天然繊維への水溶性アクリル樹脂の浸透性の効果が得られにくいため好ましくなく、3質量%を超える場合には、天然繊維への水溶性アクリル樹脂の浸透性にそれ以上の効果が得られない。
さらに、本願発明のアクリル樹脂成形材料は、必要に応じてアミノシラン、エポキシシランなどのシランカップリング剤、着色剤、離型剤が含有されていてもよい。離型剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸、カルボキシル基含有ポリオレフィン、パラフィンなどが挙げられる。また、離型剤は乳化剤などを用いて、エマルジョン化することができる。
以上のアクリル樹脂成形材料は、水溶性アクリル樹脂を天然繊維に含浸させ、乾燥することで得られる。例えば、水溶性アクリル樹脂を所定の水で希釈し、必要に応じて界面活性剤、離型剤などを加えて、ディスパーで攪拌する。そしてこのアクリル樹脂液を含浸槽に所定量投入し、天然繊維を浸漬させる。次いで、このアクリル樹脂液を含浸させた天然繊維を2軸ロールなどにより所定の重量までアクリル樹脂液を絞り、80〜100℃程度の温度で乾燥機により乾燥して製造することができる。
含浸の方法としては、上記のように含浸槽を用いること以外に、天然繊維のカット品もしくはマット状の天然繊維に所定量のアクリル樹脂液を塗布し、加圧ロールなどで天然繊維に染込ませるようにしてもよい。
そして、このアクリル樹脂成形材料を1枚もしくは複数枚重ね合わせ、例えば、加熱温度150〜300℃、圧力0.98〜6.0MPa、時間1〜30分間の条件で、金型で加熱・加圧成形し、水溶性アクリル樹脂を架橋させて板状成形品を製造することができる。
以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん以下の例によって本願発明が限定されることはない。
<アクリル樹脂成形材料の製造>
アクリル樹脂成形材料を以下の手順で製造した。
1)水溶性アクリル樹脂(45wt%品)に所定量の水、離型剤(ステアリン酸亜鉛1wt%)を加え、ディスパーで10分間攪拌する。水溶性アクリル樹脂は、BASF社製「アクロデュア945L」(ヒドロキシ基を架橋成分として有するアクリル酸共重合体)を使用した。
2)上記1)で得られたアクリル樹脂液を含浸槽に入れ、所定の目付け重量のケナフ長繊維マットを浸漬する。ケナフ長繊維マットは揮発分10%のものを使用した。
3)上記2)でアクリル樹脂液を含浸させたケナフ長繊維マットを、2軸ロールなどにて所定の重量まで樹脂液を絞る。
4)上記3)で得られたアクリル樹脂液が含浸されたケナフ長繊維マットを、100℃の乾燥機にて所定の含有水分を目標に乾燥する。
<成形加工>
1)上記で得られたアクリル樹脂成形材料を1枚、もしくは2枚重ね合わせたものを準備する。
2)上記1)で準備したアクリル樹脂成形材料を、200℃に昇温させた金型にて、圧力2.5MPaにて1分間加熱・加圧成形して硬化させ板状の成形品を得た。
<評価>
(1)成形性
平板金型にて、250*200*2.5mmの成形を実施し、膨れ、変形、繊維毛羽立ちなどの外観異常の有無を目視にて判定した。
(2)臭気
成形品を20mm角に切断して試験片とした。この試験片を密閉した5Lの容器中で120℃*30分加熱し、室温まで冷却した。その後、この密閉容器中のガスをホルムアルデヒド検知管にて臭気測定した。
(3)強度
強度1:成形品を150*50mmに切断した試験片を、オートグラフにてスパン距離100mm、試験速度(ヘッドスピード50mm/min.)の試験条件にて、23℃の雰囲気下にて曲げ破壊強度(N)を測定した。
強度2:成形品を150*50mmに切断した試験片を、オートグラフにてスパン距離100mm、試験速度(ヘッドスピード50mm/min.)の試験条件にて110℃雰囲気下にて10分間保持後曲げ破壊強度(N)を測定した。
強度3:成形品を150*50mmに切断した後、50℃、95%RHにて48hr放置した試験片をオートグラフにてスパン距離100mm、試験速度(ヘッドスピード50mm/min.)の試験条件にて23℃雰囲気下にて曲げ破壊強度(N)を測定した。
(4)アクリル樹脂含浸状態
アクリル樹脂液の天然繊維への樹脂未含浸部分の有無を目視にて観察した。
<実施例1>
25質量%に希釈した水溶性アクリル樹脂及び目付け重量500g/m2に調整された繊維長150mmからなるケナフ長繊維マットを使用した。アクリル樹脂成形材料中の水溶性アクリル樹脂/ケナフ長繊維マットの比率が絶乾後に25/75になるように調整し目付け重量625g/m2のアクリル樹脂成形材料を得た。上記、アクリル樹脂成形材料を2枚重ねて用い、200℃に加熱したプレスに2.5mmのスペーサーと共に挟み込み、圧力2.5MPaにて1分間加熱加圧成形を行った。得られた板状成形品の目付け重量は1125g/m2であった。この板状成形品について成形性、臭気、強度、アクリル樹脂含浸状態を評価した。この結果を表1に示す。
<実施例2>
15質量%に希釈した水溶性アクリル樹脂及び目付け重量750g/m2に調整された繊維長150mmからなるケナフ長繊維マットを使用した。アクリル樹脂成形材料中の水溶性アクリル樹脂/ケナフ長繊維マットの比率が絶乾後に15/85になるように調整し目付け重量880g/m2のアクリル樹脂成形材料を得た。上記、アクリル樹脂成形材料を2枚重ねて用い、200℃に加熱したプレスに2.5mmのスペーサーと共に挟み込み、圧力2.5MPaにて1分間加熱加圧成形を行った。得られた板状成形品の目付け重量は1620g/m2であった。この板状成形品について成形性、臭気、強度、アクリル樹脂含浸状態を評価した。この結果を表1に示す。
<実施例3>
30質量%に希釈した水溶性アクリル樹脂及び目付け重量780g/m2に調整された繊維長150mmからなるケナフ長繊維マットを使用した。アクリル樹脂成形材料中の水溶性アクリル樹脂/ケナフ長繊維マットの比率が絶乾後に30/70になるように調整し目付け重量1100g/m2のアクリル樹脂成形材料を得た。上記、アクリル樹脂成形材料を2枚重ねて用い、200℃に加熱したプレスに2.5mmのスペーサーと共に挟み込み、圧力2.5MPaにて1分間加熱加圧成形を行った。得られた板状成形品の目付け重量は2025g/m2であった。この板状成形品について成形性、臭気、強度、アクリル樹脂含浸状態を評価した。この結果を表1に示す。
<実施例4>
45質量%に希釈した水溶性アクリル樹脂及び目付け重量1100g/m2に調整された繊維長150mmからなるケナフ長繊維マットを使用した。アクリル樹脂成形材料中の水溶性アクリル樹脂/ケナフ長繊維マットの比率が絶乾後に40/60になるように調整し目付け重量1760g/m2のアクリル樹脂成形材料を得た。上記、アクリル樹脂成形材料を1枚用い、200℃に加熱したプレスに2.5mmのスペーサーと共に挟み込み、圧力2.5MPaにて1分間加熱加圧成形を行った。得られた板状成形品の目付け重量は1620g/m2であった。この板状成形品について成形性、臭気、強度、アクリル樹脂含浸状態を評価した。この結果を表1に示す。
<実施例5>
水溶性アクリル樹脂を28質量%に希釈した水溶液に、目付け重量1100g/m2に調整された繊維長150mmからなるケナフ長繊維マット(サイズ:300mm*300mm)を浸漬させ浸透完了までの回数を測定したところ、3回にて浸透完了した。この結果を表1に示す。
<実施例6>
水溶性アクリル樹脂にポリエキシエチレンソルビタン酸モノステアレートを0.25質量%添加し、水溶性アクリル樹脂を28質量%に希釈した水溶液に、目付け重量1100g/m2に調整された繊維長150mmからなるケナフ長繊維マット(サイズ:300mm*300mm)を浸漬させ浸透完了までの回数を測定したところ、1回にて浸透完了した。この結果を表1に示す。
<比較例>
13質量%に希釈した水溶性アクリル樹脂及び目付け重量800g/m2に調整された繊維長150mmからなるケナフ長繊維マットを使用した。アクリル樹脂成形材料中の水溶性アクリル樹脂/ケナフ長繊維マットの比率が絶乾後に10/90になるように調整し目付け重量888g/m2のアクリル樹脂成形材料を得た。上記、アクリル樹脂成形材料を2枚重ねて用い、200℃に加熱したプレスに2.5mmのスペーサーと共に挟み込み、圧力2.5MPaにて1分間加熱加圧成形を行った。得られた板状成形品の目付け重量は1630g/m2であった。この板状成形品について成形性、臭気、強度、アクリル樹脂含浸状態を評価した。この結果を表1に示す。
アクリル樹脂成形材料を以下の手順で製造した。
1)水溶性アクリル樹脂(45wt%品)に所定量の水、離型剤(ステアリン酸亜鉛1wt%)を加え、ディスパーで10分間攪拌する。水溶性アクリル樹脂は、BASF社製「アクロデュア945L」(ヒドロキシ基を架橋成分として有するアクリル酸共重合体)を使用した。
2)上記1)で得られたアクリル樹脂液を含浸槽に入れ、所定の目付け重量のケナフ長繊維マットを浸漬する。ケナフ長繊維マットは揮発分10%のものを使用した。
3)上記2)でアクリル樹脂液を含浸させたケナフ長繊維マットを、2軸ロールなどにて所定の重量まで樹脂液を絞る。
4)上記3)で得られたアクリル樹脂液が含浸されたケナフ長繊維マットを、100℃の乾燥機にて所定の含有水分を目標に乾燥する。
<成形加工>
1)上記で得られたアクリル樹脂成形材料を1枚、もしくは2枚重ね合わせたものを準備する。
2)上記1)で準備したアクリル樹脂成形材料を、200℃に昇温させた金型にて、圧力2.5MPaにて1分間加熱・加圧成形して硬化させ板状の成形品を得た。
<評価>
(1)成形性
平板金型にて、250*200*2.5mmの成形を実施し、膨れ、変形、繊維毛羽立ちなどの外観異常の有無を目視にて判定した。
(2)臭気
成形品を20mm角に切断して試験片とした。この試験片を密閉した5Lの容器中で120℃*30分加熱し、室温まで冷却した。その後、この密閉容器中のガスをホルムアルデヒド検知管にて臭気測定した。
(3)強度
強度1:成形品を150*50mmに切断した試験片を、オートグラフにてスパン距離100mm、試験速度(ヘッドスピード50mm/min.)の試験条件にて、23℃の雰囲気下にて曲げ破壊強度(N)を測定した。
強度2:成形品を150*50mmに切断した試験片を、オートグラフにてスパン距離100mm、試験速度(ヘッドスピード50mm/min.)の試験条件にて110℃雰囲気下にて10分間保持後曲げ破壊強度(N)を測定した。
強度3:成形品を150*50mmに切断した後、50℃、95%RHにて48hr放置した試験片をオートグラフにてスパン距離100mm、試験速度(ヘッドスピード50mm/min.)の試験条件にて23℃雰囲気下にて曲げ破壊強度(N)を測定した。
(4)アクリル樹脂含浸状態
アクリル樹脂液の天然繊維への樹脂未含浸部分の有無を目視にて観察した。
<実施例1>
25質量%に希釈した水溶性アクリル樹脂及び目付け重量500g/m2に調整された繊維長150mmからなるケナフ長繊維マットを使用した。アクリル樹脂成形材料中の水溶性アクリル樹脂/ケナフ長繊維マットの比率が絶乾後に25/75になるように調整し目付け重量625g/m2のアクリル樹脂成形材料を得た。上記、アクリル樹脂成形材料を2枚重ねて用い、200℃に加熱したプレスに2.5mmのスペーサーと共に挟み込み、圧力2.5MPaにて1分間加熱加圧成形を行った。得られた板状成形品の目付け重量は1125g/m2であった。この板状成形品について成形性、臭気、強度、アクリル樹脂含浸状態を評価した。この結果を表1に示す。
<実施例2>
15質量%に希釈した水溶性アクリル樹脂及び目付け重量750g/m2に調整された繊維長150mmからなるケナフ長繊維マットを使用した。アクリル樹脂成形材料中の水溶性アクリル樹脂/ケナフ長繊維マットの比率が絶乾後に15/85になるように調整し目付け重量880g/m2のアクリル樹脂成形材料を得た。上記、アクリル樹脂成形材料を2枚重ねて用い、200℃に加熱したプレスに2.5mmのスペーサーと共に挟み込み、圧力2.5MPaにて1分間加熱加圧成形を行った。得られた板状成形品の目付け重量は1620g/m2であった。この板状成形品について成形性、臭気、強度、アクリル樹脂含浸状態を評価した。この結果を表1に示す。
<実施例3>
30質量%に希釈した水溶性アクリル樹脂及び目付け重量780g/m2に調整された繊維長150mmからなるケナフ長繊維マットを使用した。アクリル樹脂成形材料中の水溶性アクリル樹脂/ケナフ長繊維マットの比率が絶乾後に30/70になるように調整し目付け重量1100g/m2のアクリル樹脂成形材料を得た。上記、アクリル樹脂成形材料を2枚重ねて用い、200℃に加熱したプレスに2.5mmのスペーサーと共に挟み込み、圧力2.5MPaにて1分間加熱加圧成形を行った。得られた板状成形品の目付け重量は2025g/m2であった。この板状成形品について成形性、臭気、強度、アクリル樹脂含浸状態を評価した。この結果を表1に示す。
<実施例4>
45質量%に希釈した水溶性アクリル樹脂及び目付け重量1100g/m2に調整された繊維長150mmからなるケナフ長繊維マットを使用した。アクリル樹脂成形材料中の水溶性アクリル樹脂/ケナフ長繊維マットの比率が絶乾後に40/60になるように調整し目付け重量1760g/m2のアクリル樹脂成形材料を得た。上記、アクリル樹脂成形材料を1枚用い、200℃に加熱したプレスに2.5mmのスペーサーと共に挟み込み、圧力2.5MPaにて1分間加熱加圧成形を行った。得られた板状成形品の目付け重量は1620g/m2であった。この板状成形品について成形性、臭気、強度、アクリル樹脂含浸状態を評価した。この結果を表1に示す。
<実施例5>
水溶性アクリル樹脂を28質量%に希釈した水溶液に、目付け重量1100g/m2に調整された繊維長150mmからなるケナフ長繊維マット(サイズ:300mm*300mm)を浸漬させ浸透完了までの回数を測定したところ、3回にて浸透完了した。この結果を表1に示す。
<実施例6>
水溶性アクリル樹脂にポリエキシエチレンソルビタン酸モノステアレートを0.25質量%添加し、水溶性アクリル樹脂を28質量%に希釈した水溶液に、目付け重量1100g/m2に調整された繊維長150mmからなるケナフ長繊維マット(サイズ:300mm*300mm)を浸漬させ浸透完了までの回数を測定したところ、1回にて浸透完了した。この結果を表1に示す。
<比較例>
13質量%に希釈した水溶性アクリル樹脂及び目付け重量800g/m2に調整された繊維長150mmからなるケナフ長繊維マットを使用した。アクリル樹脂成形材料中の水溶性アクリル樹脂/ケナフ長繊維マットの比率が絶乾後に10/90になるように調整し目付け重量888g/m2のアクリル樹脂成形材料を得た。上記、アクリル樹脂成形材料を2枚重ねて用い、200℃に加熱したプレスに2.5mmのスペーサーと共に挟み込み、圧力2.5MPaにて1分間加熱加圧成形を行った。得られた板状成形品の目付け重量は1630g/m2であった。この板状成形品について成形性、臭気、強度、アクリル樹脂含浸状態を評価した。この結果を表1に示す。
一方、水溶性アクリル樹脂の含有量が13質量%未満の場合(比較例)では、成形性、強度、強度保持率が充分でないことが確認された。
Claims (6)
- 水溶性アクリル樹脂を天然繊維に含浸し、乾燥させてなるアクリル樹脂成形材料であって、この水溶性アクリル樹脂が13〜50質量%の範囲で含有されていることを特徴とするアクリル樹脂成形材料。
- 水溶性アクリル樹脂は、ヒドロキシ基を架橋成分として有するアクリル酸共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル樹脂成形材料。
- 水溶性アクリル樹脂は、水で10〜50質量%の範囲の濃度に希釈して配合されていることを特徴とする請求項1または2に記載のアクリル樹脂成形材料。
- 天然繊維は、長繊維マット状であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のアクリル樹脂成形材料。
- 界面活性剤が含有されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のアクリル樹脂成形材料。
- 請求項1から5のいずれかに記載のアクリル樹脂成形材料を加熱・加圧して成形してなることを特徴とする板状成形品。
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JP2004371330A JP2006176649A (ja) | 2004-12-22 | 2004-12-22 | アクリル樹脂成形材料とそれを用いた板状成形品 |
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