JP2006175931A - インパネリインホースメントおよびその製造方法 - Google Patents

インパネリインホースメントおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡単な構成で容易に安価で、周面に孔が形成されたパイプ材の内部に補強樹脂材を確実に設けたインパネリインホースメントおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のインパネリインホースメントの製造方法は、周面に孔1aが形成されたパイプ材1の内部に袋体2を配設し、この袋体2内に補強樹脂材料3を充填することにより、パイプ材1の内部に補強樹脂材3’を設ける。パイプ材1と補強樹脂材料3との間に袋体2が介在しているため、補強樹脂材料3がパイプ材1の孔1aから漏れ出ることなくパイプ材1内で膨張して、大径部10内に設けられることとなる。そのため、補強樹脂材料3の使用量に無駄が生じない。
【選択図】 図2

Description

本発明は、インパネリインホースメントおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは、自動車のインストルメンタルパネル(インパネと称する)を補強するなどのためのインパネリインホースメントおよびその製造方法に関するものである。
自動車の室内に配設されるインパネ(ダッシュボードともいう)には、その補強部材として、インパネリインホースメントが一般に設けられている。インパネリインホースメントは、一般に図2に参照されるように、運転席側が大径で助手席側が小径のパイプ材が用いられている。そして、インパネリインホースメントの周面には、インパネやステアリングコラムなどを取付けるための孔が形成されている。
ところで、インパネリインホースメントとして使用するパイプ材の剛性を向上させることなどを目的として、例えば特許文献1に参照されるように、その内部に補強樹脂材料を設けたものが知られている。
特許文献1には、補強すべきパイプに挿入する芯材と、この芯材から突出させ、前記パイプの内径よりやや大径とした突出部材とからなり、前記芯材及び前記突出部材の一方を発泡樹脂材料で形成し、パイプ内に圧入した芯材又は突出部材を発泡させ膨張させることで、パイプ内面と、芯材外面又は突出部材外面とを密着させたことを特徴とするパイプの補強構造などが開示されている。
特開2001−206241号公報
上記特許文献1に開示された従来の技術にあっては、パイプ材に取付けなどのための孔が形成されたものではなく、自動車のセンタピラーのような閉断面構造物の補強構造を対象としたものであるため、樹脂をパイプ材の内部で発泡させ膨張させることもできる。しかしながら、インパネリインホースメントのように孔が形成されたパイプ材では、補強樹脂材をパイプ材の内部で発泡させ膨張させようとすると、パイプ材の孔から補強樹脂材が漏れ出すため、特許文献1に開示されているようにパイプ材の内部で補強樹脂材を発泡させ膨張させることができないという問題があった。また、この問題を解決するためには、従来では一般に孔にテープを貼るなどして孔を塞ぐ処理をおこなっているが、かかる処理工程を必要とするためにコストがかかるという問題があった。さらに、従来の技術にあっては、パイプ材の補強樹脂材を設ける必要のない部分も含めて内部全体に補強樹脂材を設けていたため、補強樹脂材に無駄が生じるという問題もあった。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で容易に安価で、周面に孔が形成されたパイプ材の内部に補強樹脂材を確実に設けたインパネリインホースメントおよびその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1のインパネリインホースメントに係る発明は、上記目的を達成するため、周面に孔が形成されたパイプ材の内部に補強樹脂材を設けてなるインパネリインホースメントであって、前記周面に孔が形成されたパイプ材の内部に、前記補強樹脂材を袋体に入れた状態で設けたことを特徴とするものである。
また請求項2のインパネリインホースメントの製造方法に係る発明は、上記目的を達成するため、周面に孔が形成されたパイプ材の内部に補強樹脂材を設けてなるインパネリインホースメントの製造方法であって、前記周面に孔が形成されたパイプ材の内部に袋体を配設し、該袋体内に補強樹脂材料を充填することを特徴とするものである。
請求項1の発明では、周面に孔が形成されたパイプ材の内部に、補強樹脂材を袋体に入れた状態で設けることによって、補強樹脂材がパイプ材の孔から漏れ出すことなくパイプ材の内部に確実に設けられた構造のインパネリインホースメントが提供される。
請求項2の発明では、周面に孔が形成されたパイプ材の内部に袋体を配設して、この袋体内に補強樹脂材料を充填することにより、補強樹脂材をパイプ材の孔から漏れ出すことなくパイプ材の内部に確実に充填して設けることが可能なインパネリインホースメントの製造方法が提供される。
請求項1の発明によれば、周面に孔が形成されたパイプ材の内部に、補強樹脂材を袋体に入れた状態で設けたという簡単な構成で、補強樹脂材がパイプ材の孔から漏れ出すことなくパイプ材の内部に容易に且つ確実に設けられた構造のインパネリインホースメントを安価で提供することができる。
請求項2の発明によれば、周面に孔が形成されたパイプ材の内部に袋体を配設して、この袋体内に補強樹脂材料を充填するという簡単な構成で、安価で補強樹脂材をパイプ材の孔から漏れ出すことなくパイプ材の内部に容易に且つ確実に充填して設けることが可能なインパネリインホースメントの製造方法を提供することができる。
本発明のインパネリインホースメントの製造方法の実施の一形態を図1および図2に基づいて詳細に説明する。なお、同様の部分または相当する部分については同一符号を付してその説明を省略する。
本発明のインパネリインホースメントの製造方法は、概略、周面に孔1aが形成されたパイプ材1の内部に袋体2を配設し、この袋体2内に補強樹脂材料3を充填することにより、パイプ材1の内部に補強樹脂材3’を設けるものである。
インパネリインホースメントを構成するパイプ材1は、運転席側に位置することとなる部分に大径部10が形成され、助手席側に位置することとなる部分に小径部11が成形されている。このような形状のパイプ材1は、大径パイプ材と小径パイプ材とを互いに接合したり、大径部10となる幅広部と小径部11となる幅狭部とを有する平板を所謂UO曲げ加工することなどによって成形することができる。このパイプ材1には、後にインストルメンタルパネルを取付けたり、ステアリングコラムを支持するための孔1aが穿設されている。また、パイプ材1には自動車のボデーに取付けるためのブラケット1bがそのほぼ中央に設けられており、大径部10と小径部11の端面にはそれぞれフランジ10a、11aが設けられている。
ここで、パイプ材1の特に大径部10は、ステアリングから受ける振動を吸収したり剛性を高めるなどの目的のために、内部に補強樹脂材3’がパイプ材1の内周面に密着するように設けられる。補強樹脂材3’は、パイプ材1が曲げ変形するときの断面形状変化を妨げ、その結果としてパイプ材1の剛性が向上したり、ステアリングから受ける振動を減衰させて吸収させることができる。一方、パイプ材1の小径部11は、助手席側に位置することとなることからステアリングコラムが取り付けられることはないので、その振動を受けることはなく、したがって、大径部10のように内部に補強樹脂材3’を設ける必要性はあまりない。
パイプ材1の内部に補強樹脂材3’を設けるに先だって、図1に示すように、大径部10が上方に開口するように起たせた状態とし、この実施の形態においては、発泡性の補強樹脂材料3を充填して発泡させたときに漏れないような樹脂製の袋体2を用意し、この袋体2を大径部10の端部開口から挿入する。そして、袋体2の端部開口2aを押さえリング4などによって押さえてパイプ材1の大径部10のフランジ10aとの間で挟持する。このとき、袋体2の底端部2bは、大径部10と小径部11の境界部など、所定の位置に達するよう保持される。次いで、樹脂注入機5から樹脂注入管6、樹脂注入ヘッド7を介して袋体2の中に発泡性の補強樹脂材料3を充填して常温で発泡させる。すると、パイプ材1と補強樹脂材料3との間に袋体2が介在しているため、補強樹脂材料3がパイプ材1の孔1aから漏れ出ることなくパイプ材1内で膨張して、比較的必要性の少ない小径部11に設けられることなく、大径部10内に設けられることとなる。そのため、補強樹脂材料3の使用量に無駄が生じない。なお、図1、2および後述する図3においては、パイプ材1の内周面と袋体2との間、およびパイプ材1の大径部10のフランジ10aと押さえリング4(図1)または蓋体8(図3)との間を引き離した状態で示したが、実際には密着した状態であることに注意されたい。
補強樹脂材3’は、パイプ材1の補強や剛性を向上させる目的によって、軟質や、半硬質、硬質、あるいは材料の種類としてポリウレタンなどのフォーム、あるいは、非発泡性の樹脂材料を選択し採用することができる。また、補強樹脂材料3は、この実施の形態のように常温で発泡するものに限定されることなく、加熱することによって発泡するものであってもよい。かかる場合においては、袋体2としてホットメルト系樹脂を採用することにより、パイプ材1の内周面と補強樹脂材3’とを固着させることができる。さらに、補強樹脂材料3として常温で発泡させることができる樹脂材料を採用する場合であっても、発泡後の硬化を促進するために、内部に袋体2を介して補強樹脂材3’が設けられたパイプ材1を、例えば60〜120度C程度の温度で加熱してもよい。
また、補強樹脂材3’の硬化が完了したら、袋体2の端部開口2aをそのままにしておいてもよいが、図2に示すように、溶着または接着などによって端部開口2aを閉じて袋体2を密封することもできる。袋体2を密封することにより、補強樹脂材3’が各種ガスを吸着、発散するのを防止あるいは低減させることができる。
このようにして製造されたインパネリインホースメントは、補強樹脂材3’を袋体2に入れた状態とした簡単な構成で、周面に孔1aが形成されたパイプ材1の内部に補強樹脂材3’を確実に設けることができる構造となっている。そして、袋体2としてホットメルト系樹脂を採用した場合には、パイプ材1の内周面と補強樹脂材3’とが確実に固着した構造とすることができる。さらに、図2に示すように袋体2を密封した場合には、補強樹脂材3’が各種ガスを吸着、発散するのを防止あるいは低減させることができる構造のインパネリインホースメントが提供される。このように構成されたインパネリインホースメントは、パイプ材1の周面に形成された孔1aにインストルメンタルパネルの係合部材やステアリングコラムの支持ボルトが、袋体2を介して設けられた補強樹脂材3’を変形させるかまたは孔開けすることにより挿通することができる。
次に、本発明のインパネリインホースメントの製造方法の、別の実施の形態を図3に基づいて詳細に説明する。なお、上述した第1の実施の形態と同様の部分または相当する部分については同一符号を付してその説明を省略する。
この実施の形態では、樹脂注入ヘッド7を有する蓋体8を用意し、この蓋体8により袋体2の開口部2aを塞いだ状態とし、この密閉された状態の袋体2内に注入ヘッド7から補強樹脂材料3を注入する。また、必要に応じて、パイプ材1の小径部11の端面からマンドレル9を挿入して、袋体2の底端部2bを支持してその位置を規制する。これにより、袋体2は、パイプ材1の内周面と蓋体8とマンドレル9の先端とにより形成される空間内で補強樹脂材料3が注入されて安定した状態で発泡成形される。したがって、この実施の形態によれば、補強樹脂材3の形状が安定したインパネリインホースメントが提供される。
次に、本発明のインパネリインホースメントの製造方法の、別の実施の形態を図4および図5に基づいて詳細に説明する。なお、上述した第1および第2の実施の形態と同様の部分または相当する部分については同一符号を付してその説明を省略する。
この実施の形態におけるインパネリインホースメントの製造方法は、自動車に組込まれる電子部品20を補強樹脂材3’によりパイプ材1内に封止する。
図4に示した実施の形態では、電子部品を収納したケース(以下、ECUケース20という)が袋体2内に配置された状態で、袋体2内に補強樹脂材料3が注入される。袋体2内へのECUケース20の配置は、袋体2の内側に接着剤によってECUケース20を接着したり、接着剤層を有するテープによって固定するなど、任意の手法によることができる。この実施の形態によれば、袋体2内にECUケース20が配置されるため、補強樹脂材3’と袋体2とによってECUケース20を確実に封止することができるインパネリインホースメントが提供される。
図5に示した実施の形態では、ECUケース20が袋体2とパイプ材1の内周面との間に配置された状態で、袋体2内に補強樹脂材料3が注入される。ECUケース20の配置は、袋体2の外側またはパイプ材1の内周面に接着剤によってECUケース20を接着したり、接着剤層を有するテープによって固定するなど、任意の手法によることができる。この実施の形態によれば、ECUケース20が袋体2とパイプ材1の内周面との間に配置されるため、電子部品への配線の接続を容易に行うことができるインパネリインホースメントが提供される。
次に、本発明のインパネリインホースメントの製造方法の、さらに別の実施の形態を図6に基づいて詳細に説明する。なお、上述した第1〜3の実施の形態と同様の部分または相当する部分については同一符号を付してその説明を省略する。
この実施の形態におけるインパネリインホースメントの製造方法は、袋体2として、補強樹脂材料3が発泡時に透過しうる素材を用いている。
袋体2の、補強樹脂材料3が発泡するときに透過しうる素材としては、たとえば所定のメッシュの織物などにより構成することができる。このように織物などにより構成された袋体2を大径部10の端部開口から挿入してその開口部2aを保持し、内部に発泡性の補強樹脂材料3を充填して発泡させる。この補強樹脂材料3は、発泡するときに織物などからなる袋体2の内部から外部に滲み出てパイプ材1の内周面に接着することとなる。また、パイプ材1に穿設された孔1aと対応する部分では、補強樹脂材3がかかる孔1aに進出するよう突き出た状態で硬化することとなる。このように構成されたインパネリインホースメントは、補強樹脂材3はパイプ材1の内部で確実に固定されるため、上述した実施の形態と比較して、インパネリインホースメントの剛性が向上し、振動減衰特性を変化させることができる。
本発明のインパネリインホースメントの製造方法の実施の一形態を説明するために示した断面図である。 本発明により製造されたインパネリインホースメントの実施の一形態を示した断面図である。 本発明のインパネリインホースメントの製造方法の第2の実施の形態を説明するために示した断面図である。 本発明のインパネリインホースメントの第3の実施の形態を説明するために示した部分拡大断面図である。 図4の変形例を示す部分拡大断面図である。 本発明のインパネリインホースメントの第4の実施の形態を説明するために示した部分拡大断面図である。
符号の説明
1:パイプ材、 1a:孔、 2:袋体、 3:補強樹脂材料、 3’:補強樹脂材

Claims (2)

  1. 周面に孔が形成されたパイプ材の内部に補強樹脂材を設けてなるインパネリインホースメントであって、
    前記周面に孔が形成されたパイプ材の内部に、前記補強樹脂材を袋体に入れた状態で設けたことを特徴とするインパネリインホースメント。
  2. 周面に孔が形成されたパイプ材の内部に補強樹脂材を設けてなるインパネリインホースメントの製造方法であって、
    前記周面に孔が形成されたパイプ材の内部に袋体を配設し、
    該袋体内に補強樹脂材料を充填することを特徴とするインパネリインホースメントの製造方法。
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