JP2006171262A - 光学補償偏光板 - Google Patents

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直子 猿渡
Masahito Okabe
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Abstract

【課題】 本発明は、薄型軽量性に優れる光学補償偏光板を提供することを主目的とする。
【解決手段】 本発明は、基材と、上記基材上に形成され、二色性染料を含有する偏光層とを有する光学補償偏光板であって、上記偏光層は光学補償機能を有することを特徴とする光学補償偏光板を提供することにより、上記目的を達成するものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶表示素子等に用いられる光学補償偏光板に関するものである。
近年、液晶表示素子は、各種ディスプレイ用の表示装置として目覚ましい発展を遂げており、この液晶表示素子の薄型化に伴い、液晶表示素子に用いられる光学補償板や偏光板に対しても、薄型化や製造効率の向上等、様々な要求がある。
液晶は方向によって屈折率が異なるという屈折率異方性を有するため、液晶表示素子を斜め方向から見た場合には表示品位が低下してしまう。このような視野角依存性を改善するために光学補償板が必要となる。この光学補償板を液晶表示素子に組み込む際には、光学補償板と偏光板とを貼り合わせて用いている。
一般に用いられる偏光板としては、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸し、その表面にヨウ素や二色性染料等を吸着配向させたものが挙げられ、強度の付与や水分からの保護等の目的から、偏光板の両面にはトリアセチルセルロースフィルムのような透明保護フィルムが貼付されている。このような偏光板においては、通常延伸後のフィルムの厚みが30μm程度であることから薄型化が困難であるという問題があった。
そこで、特許文献1では、基材をラビング処理した後、コロナ処理を施し、その上に二色性染料を塗布し、ラビング方向に二色性染料を配向させてなる偏光板が提案されている。この偏光板は薄型化が可能であるが、偏光性能が不十分であることから実用化には至っていない。また、特許文献2および特許文献3には、リオトロピック液晶性を示す二色性染料を剪断力が加えながら塗布することにより配向させてなる偏光板が提案されている。この偏光板は、薄型化できるとともに、製造効率が良いという利点を有する。
一方、一般に用いられる光学補償板としては、延伸フィルムや液晶を用いたものが挙げられ、上述したように強度の付与や水分からの保護等の目的から、光学補償板の両面には透明保護フィルムが貼付されている。液晶を用いた光学補償板は、延伸フィルムに比べて異方性が大きいため、1/10の薄さで同じ機能が出せるという利点を有するが、液晶を配向させるための配向膜が必要となる。
このように、偏光板および光学補償板をそれぞれ薄型化することは可能であるが、これらを液晶表示素子に組み込む際には偏光板および光学補償板を貼り合わせて用いるため、例えば透明保護フィルム/偏光板/透明保護フィルム/透明保護フィルム/光学補償板/透明保護フィルムというように保護フィルムが何層も積層されることになり、光学補償偏光板が厚くなってしまう。さらに、積層数が多いほど層の界面において散乱が生じ、透過率が低下するという問題があった。
このような問題を解決するため、特許文献4では、リオトロピック液晶性を示す二色性染料を用いた偏光層と、液晶を用いた光学補償層とを直接積層した光学補償偏光板が提案されている。この方法は、リオトロピック液晶性を示す二色性染料を剪断力が加えながら塗布して配向させることにより偏光層を形成し、この偏光層の配向能を利用して、偏光層上に液晶を配向させて光学補償層を形成するというものである。このような光学補償偏光板では、液晶を配向させるための配向膜が必要なく、また、偏光層および光学補償層を直接積層しているので透明保護フィルムが何層も積層されることがなく、光学補償偏光板の薄型化および軽量化が可能であり、透過率の低下を抑制することができる。
また、特許文献5には、偏光板の両面に設けられる透明保護フィルムの一方に、所定の光学異方性を有するセルロースアセテートフィルムを用いることにより、偏光板に光学補償機能を付与する方法が提案されている。この方法では、構成部材を増やすことなく偏光板に光学補償機能が付与されるため、光学補償偏光板の薄型化および軽量化が可能であるが、偏光板としては上述したような延伸フィルムにヨウ素や二色性染料等を吸着配向させたものが用いられており、偏光板自体の薄型化については述べられていない。
以上のことから、光学補償偏光板の更なる薄型化および軽量化が求められている。
特開平3-54506号公報 特開2002−180052号公報 特開2002−277636号公報 特開2002−148441号公報 特開2001−249223号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、薄型軽量性に優れる光学補償偏光板を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、基材と、上記基材上に形成され、二色性染料を含有する偏光層とを有する光学補償偏光板であって、上記偏光層は光学補償機能を有することを特徴とする光学補償偏光板を提供する。
本発明においては、例えば二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を剪断応力を加えながら塗布することにより、二色性染料を一定方向に配向させることができるので、偏光機能および光学補償機能を有する偏光層とすることができる。これにより、光学補償偏光板の薄型化および軽量化が可能である。また、偏光板および光学補償板を別個に形成し貼り合わせたものと比較して、保護フィルムが介在しないので、保護フィルムによる屈折率変化を考慮する必要がなく、さらに積層数の多さによる透過率の低下を抑制することができる。
上記発明においては、上記二色性染料は、上記二色性染料の法線方向が上記基材の一定方向を向いて配列したカラム構造を形成しており、上記カラム構造は、上記基材の一定方向に複数配列していることが好ましい。この二色性染料からなるカラム構造が一定方向に複数配列することにより、偏光特性のよい偏光層とすることができるからである。
また、本発明においては、上記偏光層は、パターン状の凹部または凸部を有する樹脂層と、上記樹脂層上に形成され、上記二色性染料が上記樹脂層の凹部により配向した配向層とを有するものであってもよい。上記樹脂層の凹部を利用して上記二色性染料を配向させることにより、偏光機能および光学補償機能を有する偏光層とすることができるからである。また、上記二色性染料は上記樹脂層の凹部により配向するので、上記樹脂層の凹部または凸部のパターンを適宜選択することにより二色性染料の配向方向を制御することができ、偏光層の偏光軸を任意に設定することができるからである。
上記発明においては、上記基材は長尺の基材であり、上記偏光層の偏光軸が上記長尺の基材の長尺方向と交差していることが好ましい。このような光学補償偏光板を用いて液晶表示素子を作製する際には、光学補償偏光板と液晶セルとを所定の向きに配置して、連続的に液晶表示素子を作製することができるため、製造効率が向上するからである。
また、本発明においては、上記二色性染料は、溶液中でリオトロピック液晶性を示すものであることが好ましい。このような二色性染料は、溶液中で自己組織化によりカラム構造を形成し、リオトロピック液晶性を示すので、この二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布することにより、二色性染料からなるカラム構造を容易に配向させることができるからである。
本発明は、また、上述した光学補償偏光板と、電極層と、配向膜とを有することを特徴とする液晶表示素子用基板を提供する。
本発明の液晶表示素子用基板は、上述した光学補償偏光板を有することから、偏光層が偏光機能と光学補償機能とを兼ね備えるので、薄型化および軽量化が可能である。また、偏光板および光学補償板を別個に形成し貼り合わせたものと比較して、保護フィルムが介在しないので、保護フィルムによる屈折率変化を考慮する必要がなく、さらに積層数の多さによる透過率の低下を抑制することができる。さらに、光学補償偏光板の偏光層が基材よりも配向膜側に形成されている場合、本発明の液晶表示素子用基板を用いて液晶表示素子とした際に、基材の内側に偏光層が形成されることになるので、基材の複屈折による影響を受けなく、基材に用いる材料の選択肢が広がるため、液晶表示素子の薄型化および軽量化を図ることができ、さらには製造コストの削減にもつながる。また、上記偏光層がパターン状の凹部または凸部を有する樹脂層を有する場合、上述したように、光学補償偏光板の偏光軸を任意の角度に設定することができるので、本発明の液晶表示素子用基板を用いて液晶表示素子を作製する際には、光学補償偏光板を容易に所望の配置とすることができ、位置合わせによる光学補償偏光板の切れ端の無駄を省くことができる。
さらに、本発明は、上述した光学補償偏光板を用いることを特徴とする液晶表示素子を提供する。
本発明の液晶表示素子は、上述した光学補償偏光板を用いていることから、偏光機能と光学補償機能とを兼ね備える偏光層を有するので、上述した利点を有するものとすることができる。
また、本発明は、基材上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布し、上記二色性染料を配向させて塗膜を形成する塗膜形成工程と、上記塗膜を乾燥する乾燥工程と、上記二色性染料の配向状態を固定化する固定化工程とを行うことにより、光学補償機能を有する偏光層を形成することを特徴とする光学補償偏光板の製造方法を提供する。
本発明においては、二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を例えば剪断応力が加わる塗布方法により塗布することにより、二色性染料を配向させることができるので、偏光機能および光学補償機能を有する偏光層を形成することができる。これにより、光学補償偏光板の薄型化および軽量化が可能となり、積層数の多さによる透過率の低下を抑制することができる。
上記発明においては、上記塗膜形成工程では、上記偏光層形成用塗工液に対し剪断応力が加わる塗布方法が用いられることが好ましい。剪断応力が加わる方法を用いることにより、塗布方向に沿って二色性染料を配列させることができるからである。
また、本発明においては、上記塗膜形成工程前に、上記基材上にパターン状の凹部または凸部を有する樹脂層を形成する樹脂層形成工程が行われてもよい。この樹脂層が形成されることにより、樹脂層の凹部により二色性染料を配向させることができ、上述した機能を有する偏光層を形成することができるからである。また、樹脂層の凹部または凸部のパターンを選択することにより二色性染料の配向方向を制御することができるので、偏光層の偏光軸を任意の角度に設定することが可能であるからである。これにより、本発明により製造された光学補償偏光板を液晶表示素子に組み込む場合、位置合わせによる光学補償偏光板の切れ端の無駄を省くことができ、製造コストの削減および製造工程の簡略化が可能である。
上記発明においては、上記塗膜形成工程では、スプレーコート法、ディップコート法、インクジェット法、またはフレキソ印刷法が用いられることが好ましい。このような方法を用いることにより、上記二色性染料を上記樹脂層の凹部により容易に配向させることができるからである。
また、上記発明においては、上記樹脂層形成工程は、上記基材上またはパターン状の凸部または凹部を有する凹部形成用基板上に硬化性樹脂組成物を塗布する塗布工程と、上記基材および上記凹部形成用基板を、上記硬化性樹脂組成物を挟んで重ね合わせる配置工程と、上記硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化性樹脂とする硬化工程と、上記硬化性樹脂組成物または上記硬化性樹脂から上記凹部形成用基板を剥離してパターン状の凹部または凸部を形成する凹部形成工程とを有することが好ましい。上記樹脂層は、凹部形成用基板の凸部または凹部が複製されることにより形成されるものであることから、凹部形成用基板の凸部または凹部のパターンを適宜選択することにより、偏光層の偏光軸を任意に設定することができるからである。また、凹部形成用基板の原版を一度作製するだけで、所望の光学特性を有する光学補償偏光板を大量に製造できるため、製造効率が向上するからである。
さらに、本発明においては、上記固定化工程では、上記二色性染料を架橋する方法が用いられることが好ましい。これにより、二色性染料からなるカラム構造の配向性が安定し、耐熱性に優れた偏光層を形成することができるからである。
本発明においては、偏光層が偏光機能と光学補償機能を兼ね備えているので、光学補償偏光板の薄型化および軽量化が可能である。また、偏光板および光学補償板を別個に形成し貼り合わせたものと比較して、保護フィルムによる屈折率変化を考慮する必要がなく、積層数の多さによる透過率の低下を抑制することができるという効果を奏する。
以下、本発明の光学補償偏光板、これを用いた液晶表示素子用基板および液晶表示素子、ならびに光学補償偏光板の製造方法について詳細に説明する。
A.光学補償偏光板
まず、本発明の光学補償偏光板について説明する。
本発明の光学補償偏光板は、基材と、上記基材上に形成され、二色性染料を含有する偏光層とを有する光学補償偏光板であって、上記偏光層は光学補償機能を有することを特徴とするものである。
本発明の光学補償偏光板について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の光学補償偏光板の一例を示す概略断面図である。図1に示すように、本発明の光学補償偏光板11は、基材1と、この基材1上に形成され、二色性染料を含有する偏光層2とを有するものである。
本発明においては、偏光層を形成する際、例えば二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を剪断応力を加えながら塗布することにより、二色性染料を一定の方向に配向させることができるので、偏光性および屈折率異方性を有する層とすることが可能である。また、このように偏光層が屈折率異方性を有するので、光学補償機能が発現するのである。さらに、本発明における偏光層は偏光機能と光学補償機能とを兼ね備えているので、光学補償偏光板の薄型化および軽量化が可能である。また、偏光板および光学補償板を別個に形成し貼り合わせたものと比較して、保護フィルムが介在しないので、保護フィルムによる屈折率変化を考慮する必要がなく、さらに積層数の多さによる透過率の低下を抑制することができる。
以下、このような光学補償偏光板の各構成部材について説明する。
1.偏光層
まず、本発明に用いられる偏光層について説明する。本発明に用いられる偏光層は、後述する基材上に形成され、二色性染料を含有する層である。また、偏光層中で二色性染料は配向しており、これにより偏光層は偏光性および屈折率異方性を有するので、偏光機能および光学補償機能を有する層とすることができる。
本発明における偏光層は、二色性染料を含有し、偏光機能および光学補償機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、好ましい態様として、二色性染料を含有する単一層である場合(第1の態様)と、パターン状の凹部または凸部を有する樹脂層と、上記樹脂層上に形成され、上記二色性染料が上記樹脂層の凹部により配向した配向層とを有する場合(第2の態様)とが挙げられる。以下、各態様について説明する。
(1)第1の態様
本発明における偏光層の第1の態様は、偏光層が二色性染料を含有する単一層である場合である。上記偏光層が単一層であることにより、本発明の光学補償偏光板を薄型化および軽量化することが容易となる。
本態様に用いられる二色性染料としては、配向することにより偏光性および屈折率異方性を有する層を形成することができるものであれば特に限定されるものではない。このような二色性染料としては、例えばアントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ナフタロシアニン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、インダンスレン系色素、アクリジン系色素、ペリレン系色素、ピラゾロン系色素、アクリドン系色素、ピランスロン系色素、およびイソビオラントロン系色素からなる群より選ばれる色素等が挙げられる。
また、本態様における二色性染料は、二色性染料の法線方向が基材の一定方向を向いて配列したカラム構造を形成するものであることが好ましい。この二色性染料からなるカラム構造は、例えば二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を剪断応力を加えながら塗布することにより容易に配向するので、偏光特性のよい偏光層とすることができるからである。
図2(a)は、本態様に用いられる二色性染料のモデル構造および法線方向を示した図であり、図2(b)は、本態様における偏光層の概略斜視図である。図2(b)に示すように、この偏光層においては、二色性染料12は、二色性染料12の法線方向nが基材1の一定方向を向いて配列したカラム構造12´を形成し、このようなカラム構造12´が複数配列して偏光層を構成している。このように二色性染料12が複数配列して構成される偏光層においては、複数のカラム構造12´のカラムの軸方向が基材1の一定方向を向いており、これにより偏光性および屈折率異方性を有する偏光層とすることができる。
また、図2(b)においては、二色性染料12からなるカラム構造12´が二色性染料12の法線方向nに沿って配向するので、カラム構造12´の配向方向は二色性染料12の法線方向nと略平行になる。偏光層の偏光軸はカラムの軸方向となることから、二色性染料12の法線方向nに対して略平行に向くと考えられる。
このような二色性染料としては、柱状に積層することによりカラム構造を形成することができるものであれば特に限定されるものではない。カラム構造を形成する二色性染料としては、例えば、スルホン酸基等の親水性基を有する二色性染料、または長鎖のアルキル基等の疎水性基を有する二色性染料が挙げられる。中でも、親水性基を有する二色性染料を用いることが好ましい。親水性基を有する二色性染料は、この親水性基が小さく、隣接するカラム構造同士の距離が近いため、容易にカラム構造を配列させることができるからである。また、スルホン酸基等の親水部を中和して水に難溶もしくは不溶とすることで固定化処理が容易となるからである。
上記親水性基としては、スルホン酸基、スルホン酸ナトリウム基、スルホン酸アンモニウム基、スルホン酸リチウム基、スルホン酸カリウム基等のスルホン酸系の親水性基、およびカルボキシル基、カルボン酸ナトリウム基、カルボン酸アンモニウム基、カルボン酸リチウム基、カルボン酸カリウム基等のカルボン酸系の親水性基、水酸基、アミノ基などが挙げられる。中でも、スルホン酸系の親水性基であることが好ましい。
なお、二色性染料がカラム構造を形成しているとは、X線回折装置を用いて測定することにより確認することがきる。
本態様に用いられる二色性染料としては、上記の中でも、溶液中でカラム構造を形成し、リオトロピック液晶性を示すものであることが好ましい。このように溶液中でリオトロピック液晶性を示す二色性染料は自己組織化力が高いからである。例えば溶液中でリオトロピック液晶性を示す二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布することにより、二色性染料の自己組織化を利用してカラム構造を容易に配向させることができる。
このような溶液中でリオトロピック液晶性を示す二色性染料としては、水溶液中でリオトロピック液晶性を示す二色性染料、または有機溶媒中でリオトロピック液晶性を示す二色性染料が挙げられる。上記の溶液の種類は、上記二色性染料の置換基によって異なるものであり、二色性染料がスルホン酸基等の親水性基を有する場合は水溶液が用いられ、長鎖のアルキル基等の疎水性基を有する場合は有機溶媒が用いられる。本態様においては、中でも、水溶液中でカラム構造を形成し、リオトロピック液晶性を示す二色性染料を用いることが好ましい。このような二色性染料は、水溶液中で自己組織化によりカラム構造を形成し、リオトロピック液晶性を示すので、この二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布することにより、カラム構造を容易に配向させることができるからである。さらに、上記二色性染料が水溶性であることにより、上記カラム構造を固定化するための固定化処理が容易となるからである。
上述したカラム構造を形成し、水溶液中でリオトロピック液晶性を示す二色性染料の具体例としては、下記化学式で示される物質が挙げられる。
Figure 2006171262
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上記各化学式中のアルキル基は、炭素原子1〜4個を有するものであることが好ましい。また、上記各化学式中のハロゲンとしては、Cl、Brであることが好ましい。さらに、上記各化学式中のカチオンとしては、H、Li、Na、K、CsまたはNH が挙げられる。これらの物質は単独でも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本態様における二色性染料としては、上記の物質の中でも上記化学式I〜Vで表される物質が好適に用いられる。
また、上記二色性染料としては、上述したようなリオトロピック液晶性を示すものに限定されるものではなく、サーモトロピック液晶性を示すものであってもよい。
さらに、本態様における偏光層としては、上記二色性染料の他に、液晶材料を含有していてもよい。例えば、二色性染料が塗布により配向しにくいものであっても、液晶材料を配向させることにより、この液晶材料の配向方向に沿って二色性染料を配向させることができるからである。上記液晶材料としては、一般に偏光層に用いることができる液晶材料を使用することができる。また、上記液晶材料と二色性染料との液晶組成物は、リオトロピック液晶性を示すものであっても、サーモトロピック液晶性を示すものであってもよいが、通常はサーモトロピック液晶性を示すものが用いられる。
本発明においては、後述する基材が長尺の基材であり、偏光層の偏光軸が長尺の基材の長尺方向と交差していることが好ましい。このような光学補償偏光板を用いて液晶表示素子を作製する際には、光学補償偏光板と液晶セルとを所定の向きに配置して、連続的に液晶表示素子を作製することができるため、製造効率が向上するからである。
上記偏光層の偏光軸は、基材の長尺方向と交差していれば特に限定されるものではなく、光学補償偏光板の用途によって異なるものである。例えば、偏光層の偏光軸を基材の長尺方向に対して45°方向に設定する場合は、偏光層の偏光軸と基材の長尺方向とのなす角度は45°±2°の範囲であることが好ましく、中でも45°±0.5°の範囲であることが好ましい。また例えば、偏光層の偏光軸を基材の長尺方向に対して直交するように設定する場合は、偏光層の偏光軸と基材の長尺方向とのなす角度は90°±2°の範囲であることが好ましく、より好ましくは90°±0.5°の範囲である。
なお、偏光層の偏光軸、および偏光層の偏光軸と基材の長尺方向とのなす角度は、位相差測定装置(王子計測機社製、商品名KOBRA)を用いて測定することができる。
上記偏光層の厚みは、本発明の光学補償偏光板の要求特性に応じて異なるものであるが、通常、10nm〜1000nmの範囲内が好ましく、20nm〜500nmの範囲内がより好ましく、50nm〜300nmの範囲内がさらに好ましい。偏光層の厚みが薄すぎると所望の光学異方性(偏光性および屈折率異方性)が得られない場合があり、一方、厚すぎると表面近傍で配向乱れを生じる場合があり、コスト的にも好ましくないからである。
なお、偏光層の形成方法については、後述する「D.光学補償偏光板の製造方法」の項で詳しく説明するので、ここでの記載は省略する。
(2)第2の態様
本発明における偏光層の第2の態様は、例えば図3に示すように、偏光層2が、パターン状の凹部を有する樹脂層3と、上記樹脂層3上に形成され、上記二色性染料が上記樹脂層3の凹部により配向した配向層4とを有する場合である。この配向層を形成する際には、パターン状の凹部を有する樹脂層上に例えば二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布することにより、樹脂層表面の凹部を利用して二色性染料を配向させることができるので、偏光性および屈折率異方性を有する配向層とすることができる。
また、本態様に用いられる二色性染料が、上記第1の態様に記載したようなカラム構造を形成する場合、図4に示すように、カラム構造12´が樹脂層3の凹部に沿って複数配列し、複数のカラム構造12´のカラムの軸方向が基材1の一定方向に揃うので、偏光性および屈折率異方性を有する配向層とすることができる。さらに、このような二色性染料からなるカラム構造は、樹脂層の凹部に沿って容易に配向するので、偏光特性のよい配向層を得ることができる。
また、図4における樹脂層3はストライプ状の凹部のパターンを有しており、上述したように二色性染料12からなるカラム構造12´は凹部に沿って配向するので、カラム構造12´の配向方向は、ストライプ状の凹部のパターンの溝方向(紙面の横断方向)と略平行になる。偏光層の偏光軸の向きは、カラム構造の軸方向となることから、ストライプ状の凹部のパターンの溝方向に対して略平行に向くと考えられる。
さらに、本態様においては、二色性染料は上述したように樹脂層の凹部により配向することから、樹脂層の凹部のパターンを適宜選択することにより、二色性染料の配向方向を制御することができる。すなわち、偏光層の偏光軸を任意に設定することが可能となる。さらに、パターン状の凹部または凸部を有する樹脂層は、例えば基材と表面に凸部または凹部を有する凹部形成用基板との間に樹脂組成物を挟み込んで樹脂組成物を硬化させ、凹部形成用基板を剥離することにより形成されることから、凹部形成用基板の凸部または凹部のパターンを選択することにより、所望の凹部または凸部のパターンを容易に形成することが可能である。本態様においては、このような樹脂層を有することにより、簡便な方法で二色性染料の配向方向を制御することができるので、所望の向きの偏光軸を有する光学補償偏光板を容易に得ることができる。例えば長尺の基材を用いた場合には、基材の長尺方向に対して45°や90°方向に偏光軸を設定することができる。
一般に、光学補償偏光板を液晶表示素子に組み込む際には、光学補償偏光板の偏光軸が液晶セルの液晶の配向方向と特定の角度をなすように配置されるものであるが、本態様においては、樹脂層が形成されていることにより、光学補償偏光板の偏光軸を所望の向きに設定することができるので、液晶セルにそのまま貼付することができ、位置合わせによる光学補償偏光板の切れ端の無駄を省くことができ、製造コストを削減することができる。
以下、このような偏光層の各構成について説明する。なお、配向層については、上述した第1の態様に記載した偏光層と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(樹脂層)
本態様に用いられる樹脂層は、後述する基材上に形成され、表面にパターン状の凹部または凸部を有するものである。このような凹部または凸部のパターンの形状としては、二色性染料からなるカラム構造を配向させて、配向能を有する層とすることが可能となる形状であれば特に限定されるものではないが、中でもストライプ状であることが好ましい。ストライプ状の凹部に沿って容易に二色性染料からなるカラム構造を配向させることができるからである。
上記凹部の幅としては、後述する二色性染料の種類等によっても異なるものであるが、通常0.1μm〜10μmの範囲内、より好ましくは0.2μm〜1μmの範囲内、特に0.2μm〜0.4μmの範囲内とすることが好ましい。凹部の幅を上記範囲よりも狭く形成するのは製造法的に困難であり、逆に凹部の幅を広くし過ぎると二色性染料からなるカラム構造を配列させることが困難となる場合があるからである。ここで、凹部の幅とは、例えば図5のaで示される幅であり、凹状に形成されている部分の幅をいうこととする。
また、凹部の深さとしては、通常0.05μm〜1μmの範囲内、中でも0.1μm〜0.2μmの範囲内であることが好ましい。凹部の深さが浅すぎると二色性染料からなるカラム構造を配向させる性能が低くなり、凹部の深さが深すぎると塗りムラが生じる可能性があるからである。ここで、凹部の深さとは、例えば図5のbで示される深さであり、凹部内の最深部から凹部の端部までの高さをいうこととする。
さらに、凹部のパターンの形状がストライプ状である場合、凹部の間隔は、二色性染料の種類等により異なるものであるが、通常隣接する凹部の端と凹部の端との間隔、すなわち凸部の幅が可視光の波長の半分以下であり、0.05μm〜2μmの範囲内、より好ましくは0.1μm〜1μmの範囲内、特に0.1μm〜0.2μmの範囲内であることが好ましい。隣接する凹部の端と凹部の端との間隔を上記範囲よりも狭く形成するのは製造法的に困難であり、逆に隣接する凹部の端と凹部の端との間隔を広くし過ぎると二色性染料からなるカラム構造を配列させることが困難となる場合があるからである。また、隣接する凹部の端と凹部の端との間隔が可視光の波長に近い値であると、光の回折により光学的に色付き等の不具合が生じる可能性があるからである。ここで、隣接する凹部の端と凹部の端との間隔とは、例えば図5のcで示される間隔である。
また、凹部のピッチとしては、二色性染料の種類等により適宜選択されるものであるが、通常0.1μm〜10μmの範囲内、好ましくは0.2μm〜1μmの範囲内、特に0.2μm〜0.4μmの範囲内とすることが好ましい。凹部のピッチを上記範囲よりも狭く形成するのは製造法的に困難であり、逆に凹部のピッチを広くし過ぎると二色性染料からなるカラム構造を配列させることが困難となる場合があるからである。ここで、凹部のピッチとは、例えば図5のdで示されるピッチであり、隣接する凹部の中心から凹部の中心までの距離をいうこととする。
上記凹部の断面形状としては特に限定されるものではなく、例えば図3に示すように矩形であってもよく、台形等その他の断面形状であってもよいが、中でも、矩形であること好ましい。これにより、二色性染料からなるカラム構造を容易に配向させることが可能となるからである。
また、本態様に用いられる樹脂層は、硬化性樹脂からなることが好ましい。硬化性樹脂からなる樹脂層は、目的とする凹部または凸部に対応する凸部または凹部を表面に有する凹部形成用基板を準備し、この凹部形成用基板と後述する基材との間に硬化性樹脂組成物を挟んで硬化させることにより、容易に凹部または凸部を形成することができるからである。また、硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化性樹脂からなることにより、凹部または凸部の形状を安定化させることができるからである。
本態様に用いられる硬化性樹脂組成物としては、エネルギー線の照射により硬化するエネルギー線硬化性樹脂組成物、または熱により硬化する熱硬化性樹脂組成物を挙げることができる。本態様においては、中でもエネルギー線硬化性樹脂組成物が好ましい。上記エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、紫外線の照射により硬化するUV硬化性樹脂組成物、電子線の照射により硬化する電子線硬化性樹脂組成物等を挙げることができるが、中でもUV硬化性樹脂組成物が好ましい。エネルギー線として紫外線を用いる方法は、既に確立された技術であることから、本発明への応用が容易であるからである。
上記UV硬化性樹脂組成物としては、紫外線の照射により硬化するものであれば、特に限定されないが、多官能モノマー成分および/またはオリゴマー成分および/またはポリマー成分が光重合して硬化するものであることが好ましい。
上記多官能モノマー成分としては、特に限定されるものではないが、多官能アクリレートモノマーが好適に用いられる。具体的には、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等を例示することができる。
上記オリゴマー成分としては、特に限定されるものではないが、例えばウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシ、ビニルエーテル、ポリエン・チオール系等を挙げることができる。
また、上記ポリマー成分としては、特に限定されるものではないが、例えば光架橋型ポリマーが挙げられ、具体的には光二量化反応を起こすポリビニルケイ皮酸系樹脂等を使用することができる。
さらに、上記UV硬化性樹脂組成物に添加する光重合開始剤としては、紫外光、例えば365nm以下の紫外光で活性化し得る光ラジカル重合開始剤が用いられる。具体的には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。本発明では、これらの光重合開始剤を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような光重合開始剤の含有量は、UV硬化性樹脂組成物中に、0.5〜30重量%の範囲内、特に1〜10重量%の範囲内とすることが好ましい。
また、上記UV硬化性樹脂組成物に使用可能な溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;α−またはβ−テルピネオール等のテルペン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類を例示することができる。また、これらの溶剤の中から1種または2種以上を混合して使用することができる。
本態様においては、UV硬化性樹脂組成物に溶剤を添加せずに塗布する場合もある。よって、このような溶剤の含有量は、UV硬化性樹脂組成物中に、0〜99.9重量%の範囲内、特に0〜80重量%の範囲内とすることが好ましい。
上記光重合開始剤および溶剤を上述した範囲内に設定した理由は、以下の通りである。本態様においては、上記硬化性樹脂組成物を基材および凸部を有する凹部形成用基板の間に挟んで硬化することにより、凹部または凸部を有する樹脂層を形成することができる。よって、硬化性樹脂組成物は凹部形成用基板の凹凸の隙間に入り込むような所定の粘度を有していることが好ましく、光重合開始剤および溶剤が上述した範囲内であることにより、所望の粘度を有する硬化性樹脂組成物とすることができるのである。
また、上記樹脂層の厚みとしては、本発明の光学補償偏光板の種類によって異なるものではあるが、凹部の厚みが通常1μm以下、好ましくは0.2μm以下とする。凹部の厚みが厚すぎると、本発明の光学補償偏光板が重厚となる可能性があるからである。また、光学補償偏光板の薄型化を考慮すると凹部の厚みは薄い方が好ましいが、薄すぎるものを形成するのは困難であることから、凹部の厚みは通常0.1μm以上である。ここで、凹部の厚みとは、例えば図5のeで示されるような凹部が形成されている部分の厚みである。
また、本態様に用いられる樹脂層はその表面に凹部が形成されているため、樹脂層表面は撥水性が高くなり、二色性染料が十分に配向しない場合がある。配向層は、樹脂層上に偏光層形成用塗工液を塗布することにより形成されることから、樹脂層表面は親水性であることが好ましい。この場合、樹脂層上に親水性層が設けられていてもよく、また、樹脂層の表面が親水化処理されたものであってもよい。上記親水性層としては、例えばテトラエトキシシランのゾルゲル法によるシリカ膜等を挙げることができる。また、上記樹脂層の表面を親水性となるように表面処理する方法としては、アルゴンや水などを利用したプラズマ処理による親水性表面処理等が挙げられる。
2.基材
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材は、基板のみから構成されていてもよく、基板と機能層とから構成されていてもよい。以下、このような基材の各構成について説明する。
(1)基板
本発明に用いられる基板としては、一般に光学補償偏光板に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。
また、本発明に用いられる基板としては、長尺の基板であってもよく、ウェブ状の基板であってもよいが、上記偏光層が樹脂層と配向層とを有する場合は、長尺の基板であることが好ましい。上記偏光層が樹脂層を有する場合、基板の長尺方向に対して特定の角度をなす偏光軸を有する光学補償偏光板とすることが可能であるため、本発明の光学補償偏光板を用いて液晶表示素子を作製する際には、光学補償偏光板および液晶セルを所定の向きに配置して、連続的に光学補償偏光板を液晶セルに貼付することができ、製造効率が向上するからである。
さらに、長尺の基板の中でも、長尺の透明なフレキシブル材を用いることが好ましい。ロールトゥロールプロセスを経ることにより連続的に光学補償偏光板を作製することができ、製造効率のよい光学補償偏光板とすることが可能であるからである。このような長尺の透明なフレキシブル材としては、例えばポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ポリプロピレン等の透明樹脂フィルムを挙げることができる。
本発明おいては特に、TAC(トリアセチルセルロース)フィルムが好ましい。TACフィルムは、透明性が高く位相差が生じにくいといった光学特性、および汎用性に優れているからである。
(2)機能層
本発明においては、上記基板上に機能層が形成されていてもよい。本発明に用いられる機能層としては、一般に液晶表示素子に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えばカラーフィルタ層等を挙げることができる。
上記カラーフィルタ層としては、一般に液晶表示素子のカラーフィルタ層として用いられているものであれば特に限定されるものではなく、顔料や樹脂を用いたものを使用することができる。また、各色の間にブラックマトリックスが形成されていてもよい。
(3)その他
本発明においては、上記偏光層が樹脂層と配向層とを有する場合、基材と樹脂層との密着性を向上させるために、基材に表面処理を行ってもよい。具体的には、グロー放電処理、コロナ放電処理、UV処理、ケン化処理等を用いることができる。また、基材上にプライマー層を形成してもよい。さらに、硬化性樹脂から基材を保護する目的でプライマー層(バリア層)を設けてもよい。このようなプライマー層としては、例えばシラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
4.光学補償偏光板
本発明の光学補償偏光板の膜厚は、その光学補償偏光板の用途や種類により適宜選択されるものであるが、通常50μm〜500μmの範囲内とすることができる。
B.液晶表示素子用基板
次に、本発明の液晶表示素子用基板について説明する。
本発明の液晶表示素子用基板は、上述した光学補償偏光板と、電極層と、配向膜とを有することを特徴とするものである。
本発明の液晶表示素子用基板について図面を参照しながら説明する。図6は本発明の液晶表示素子用基板の一例を示す概略断面図である。図6に示すように、本発明の液晶表示素子用基板は、基材1、および上記基材1上に形成された偏光層2を有する光学補償偏光板11と、上記光学補償偏光板11の偏光層2上に形成された電極層5と、上記電極層5上に形成された配向膜6とを有するものである。
本発明の液晶表示素子用基板は、上述した光学補償偏光板を有することから、偏光層が偏光機能と光学補償機能とを兼ね備えるので、薄型化および軽量化が可能である。また、偏光板および光学補償板を別個に形成し貼り合わせたものと比較して、保護フィルムが介在しないので、保護フィルムによる屈折率変化を考慮する必要がなく、さらに積層数の多さによる透過率の低下を抑制することができる。さらに、光学補償偏光板の偏光層が基材よりも配向膜側に形成されている場合、本発明の液晶表示素子用基板を用いて液晶表示素子とした際に、基材の内側に偏光層が形成されることになるので、基材の複屈折による影響を受けなく、基材に用いる材料の選択肢が広がるため、液晶表示素子の薄型化および軽量化を図ることができ、さらには製造コストの削減にもつながる。
さらに、上記偏光層がパターン状の凹部または凸部を有する樹脂層を有する場合、上述したように光学補償偏光板の偏光軸を任意の角度に設定することができるので、本発明の液晶表示素子用基板を用いて液晶表示素子を作製する際には、光学補償偏光板を容易に所望の配置とすることができ、位置合わせによる光学補償偏光板の切れ端の無駄を省くことが可能である。
以下、このような液晶表示素子用基板の各構成について説明する。なお、基材、偏光層、樹脂層および光学補償偏光板については、上述した「A.光学補償偏光板」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
1.配向膜
本発明に用いられる配向膜は、本発明の液晶表示素子用基板を用いて液晶表示素子とした際に、液晶を配向させるものであり、液晶表示素子用基板の最表面に形成されるものである。
本発明に用いられる配向膜としては、液晶を配向させることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えばラビング膜、光配向膜等を用いることができる。この配向膜の形成位置としては、液晶表示素子用基板の最表面であれば特に限定されるものではなく、例えば図6に示すように、光学補償偏光板11の偏光層2が設けられている側の最表面であってもよく、また図示しないが、光学補償偏光板の基材が設けられている側の最表面であってもよい。
2.電極層
本発明に用いられる電極層としては、一般に液晶表示素子の電極層として用いられているものであれば特に限定されるものではなく、例えば酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)等の透明電極や、クロム、アルミニウム等の金属電極などが挙げられる。
上記電極層の形成位置としては、上記配向膜と光学補償偏光板の基材との間であれば特に限定されるものではない。上記配向膜が光学補償偏光板の偏光層側に形成されている場合、電極層は、例えば図6に示すように光学補償偏光板11の偏光層2と配向膜6との間に形成されていてもよく、図示しないが、光学補償偏光板の基材と偏光層との間に形成されていてもよい。また、基材が基板と機能層とを有する場合は、基板と機能層との間に電極層が形成されていてもよい。一方、上記配向膜が光学補償偏光板の基材側に形成されている場合、電極層は、光学補償偏光板の基材と配向膜との間に形成されていてもよく、基材が基板と機能層とを有する場合は基板と機能層との間に電極層が形成されていてもよい。
C.液晶表示素子
次に、本発明の液晶表示素子について説明する。
本発明の液晶表示素子は、上述した光学補償偏光板を用いることを特徴とするものである。
本発明の液晶表示素子は、上述した光学補償偏光板を用いていることから、偏光機能と光学補償機能とを兼ね備える偏光層を有するので、薄型化および軽量化が可能であり、偏光板および光学補償板を別個に形成し貼り合わせたものと比較して、保護フィルムによる屈折率変化を考慮する必要がなく、積層数の多さによる透過率の低下を抑制することができる。
本発明の液晶表示素子としては、液晶セルと光学補償偏光板とが積層されたものであれば特に限定されるものではない。また、液晶セルとしては、一般に液晶表示素子に用いられるものを使用することができる。
また、本発明においては、液晶表示素子が上述した液晶表示素子用基板を用いたものであることが好ましい。上記液晶表示素子用基板において、基材の内側に偏光層が形成されている場合、基材の複屈折による影響を受けなく、基材に用いる材料の選択肢が広がるため、液晶表示素子の薄型化および軽量化を図ることができるからである。これは、製造コストの削減にもつながるものである。
さらに、上記偏光層がパターン状の凹部または凸部を有する樹脂層を有する場合、上述したように光学補償偏光板の偏光軸を任意に設定することができるので、液晶セルの液晶の配向方向に対して偏光軸が所定の角度をなすように光学補償偏光板を配置する際には、位置合わせによる光学補償偏光板の切れ端の無駄を省くことができ、安価で製造効率のよい液晶表示素子とすることが可能である。
D.光学補償偏光板の製造方法
次に、本発明の光学補償偏光板の製造方法について説明する。
本発明の光学補償偏光板の製造方法は、基材上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布し、上記二色性染料を配向させて塗膜を形成する塗膜形成工程と、上記塗膜を乾燥する乾燥工程と、上記二色性染料の配向状態を固定化する固定化工程とを行うことにより、光学補償機能を有する偏光層を形成することを特徴とするものである。
本発明の光学補償偏光板の製造方法について図面を参照しながら説明する。図7は、本発明の光学補償偏光板の製造方法の一例を示す工程図である。図7に示すように、本発明の光学補償偏光板の製造方法においては、まず、基材1上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液22を剪断応力を加えながら塗布することより二色性染料を配向させ、塗膜を形成する(図7(a)、塗膜形成工程)。さらに、上記塗膜を乾燥させる乾燥工程を行い、この乾燥した塗膜22´上に疎水化処理液24を塗布して疎水化処理し、上記二色性染料の配向状態を固定化する(図7(b)、固定化工程)。次いで、上記疎水化処理液を洗浄して乾燥することにより、偏光層2を形成する(図7(c))。
本発明においては、二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を例えば剪断応力が加わる塗布方法により塗布することにより、二色性染料を配向させることができるので、偏光性および屈折率異方性を有する偏光層を形成することができる。また、偏光層が屈折率異方性を有するので、光学補償機能を発現させることができ、偏光機能および光学補償機能を併せ持った偏光層とすることができる。これにより、光学補償偏光板の薄型化および軽量化が可能となり、積層数の多さによる透過率の低下を抑制することができる。
また、本発明においては、上記塗膜形成工程前に、基材上にパターン状の凹部を有する樹脂層を形成する樹脂層形成工程が行われてもよい。この樹脂層が形成されることにより、樹脂層の凹部により二色性染料を配向させることができ、上述した機能を有する偏光層を形成することができるからである。
以下、このような光学補償偏光板の製造方法の各工程について説明する。
1.塗膜形成工程
本発明における塗膜形成工程は、基材上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布し、上記二色性染料を配向させて塗膜を形成する工程である。
本発明用いられる偏光層形成用塗工液は、二色性染料を含有するものであり、この二色性染料を溶媒に分散または溶解させたものである。なお、二色性染料については、上述した「A.光学補償偏光板」の偏光層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
上記偏光層形成用塗工液に用いられる溶媒としては、上述した二色性染料に導入された置換基によって適宜選択される。例えばスルホン酸基等の親水性基が導入されている場合は、溶媒としては水が用いられる。一方、長鎖のアルキル基等の疎水性基が導入されている場合は、有機溶媒が用いられる。このような有機溶媒としては、一般的なものを使用することができる。また、上記偏光層形成用塗工液は、必要に応じて例えばポリエチレングリコール等の界面活性剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
また、本発明に用いられる偏光層形成用塗工液は、上記の中でも、水系であることが好ましい。本発明に用いられる二色性染料として、カラム構造を形成し、親水性基を有しており、水溶液中でリオトロピック液晶性を示すものが好適に用いられるからである。
このような偏光層形成用塗工液の塗布方法としては、上記二色性染料を一定方向に配列させることができる方法であれば特に限定されるものではないが、本工程前に後述する樹脂層形成工程が行われているか否かにより2つの態様に分けることができる。すなわち、形成される偏光層が、単一層である場合(第3の態様)と、パターン状の凹部を有する樹脂層と、この樹脂層上に形成され、二色性染料が樹脂層の凹部により配向した配向層とを有する場合(第4の態様)である。以下、2つの態様に分けて説明する。
(1)第3の態様
本発明において樹脂層形成工程が行われない場合、すなわち、形成される偏光層が単一層である場合、上記偏光層形成用塗工液の塗布方法としては剪断応力が加わる方法であることが好ましい。剪断応力が加わる方法を用いることにより、塗布方向に沿って二色性染料を配列させることができるからである。また、上記二色性染料がカラム構造を形成している場合は、例えば図2(b)に示すように、塗布方向Aに沿ってカラム構造12´を配列させることができるからである。これにより、偏光性および屈折率異方性を有する偏光層を形成することができる。
このような剪断応力が加わる塗布方法としては、例えば、マイヤーバーコート、スロットダイコート、スライドコートが挙げられ、中でも、スロットダイコートを用いることが好ましい。
本態様においては、上述したように偏光層形成用塗工液の塗布方向に沿って二色性染料を配向させることができることから、塗布方向を適宜選択することにより二色性染料の配向方向を制御することができ、偏光層の偏光軸を任意に設定することが可能である。
(2)第4の態様
本発明において樹脂層形成工程が行われる場合、すなわち、得られる偏光層が、パターン状の凹部を有する樹脂層と、この樹脂層上に形成され、二色性染料が樹脂層の凹部により配向した配向層とを有する場合、上記偏光層形成用塗工液の塗布方法としては剪断応力が加わらない方法であることが好ましい。剪断応力が加わる方法を用いると、上述したように塗布方向に二色性染料が配列し、上記樹脂層の凹部により二色性染料が配列しにくくなる可能性があるからである。
このような剪断応力が加わらない塗布方法としては、例えばスプレーコート、ディップコート、インクジェット法、フレキソ印刷法等が挙げられる。中でも、インクジェット法を用いることが好ましい。
2.乾燥工程
本発明における乾燥工程は、上記塗膜形成工程にて形成された塗膜を乾燥する工程であり、上記偏光層形成用塗工液中に含有される溶媒を乾燥させる工程である。本発明においては、この乾燥工程を設けることにより、後述する固定化工程を円滑に行うようにしている。
本発明に用いられる乾燥方法としては、二色性染料の配向性を阻害したり、また、上記塗膜形成工程前に樹脂層形成工程が行われる場合、樹脂層の凹部のパターンを変形させたりするものでなければ特に限定されるものではなく、一般的に溶媒の乾燥に用いられている方法、例えば加熱乾燥、常温乾燥、凍結乾燥、遠赤外乾燥等を用いることができる。
3.固定化工程
本発明における固定化工程は、上記二色性染料の配向状態を固定化する工程である。本発明においては、このような固定化工程を行うことにより、偏光層に耐水性を付与することができ、空気中の湿気等により二色性染料の配向性が乱れることなく、配向安定性に優れたものとすることができる。
本発明に用いられる二色性染料の配向状態の固定化方法としては、二色性染料を架橋させる方法を用いることができる。この二色性染料の架橋方法としては、上記二色性染料に導入された置換基によって異なるものである。
上記二色性染料がスルホン酸基等の親水性基を有する場合は、この親水性基を疎水化処理する架橋方法が用いられる。上記二色性染料の親水性基を疎水化処理すると、隣接する二色性染料間で架橋が形成され、二色性染料の配向状態が固定化されるのである。上記二色性染料が水溶液中でリオトロピック液晶性を示すものであるときは、このような疎水化処理を行わないと、耐水性が悪く、空気中の湿気等により配向状態が乱れ易く、不安定となる場合がある。
また、上記疎水化処理の際に用いられる疎水化処理液としては、上記親水性基を疎水化できるものであれば特に限定されるものではなく、用いられる二色性染料の親水性基により異なるものであるが、隣接する二色性染料間で架橋を形成できるものであることが好ましい。このような疎水化処理液としては、例えばマグネシウム、カルシウム、バリウム等の2価の金属の塩の水溶液を用いることができる。具体的には、塩化バリウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液、塩化カルシウム水溶液等が挙げられる。
隣接する二色性染料が架橋される機構は以下の通りである。例えば、二色性染料がSONa基を有しており、塩化バリウム水溶液を用いて疎水化処理する場合、二色性染料のSONa基のSOイオンと、塩化バリウム水溶液中のBaイオンとが結合することにより、隣接する二色性染料が架橋され、配向状態が固定化されるのである。すなわち、二色性染料の法線方向が一定方向を向いて配列した状態で、隣接する二色性染料が架橋されるので、カラム構造が固定化されるのである。
また、疎水化処理の方法としては、上記親水性の置換基を疎水化できる方法であれば特に限定されるものではなく、上記偏光層形成用塗工液を乾燥させた後、上記疎水化処理液を塗布する方法、上記疎水化処理液に浸漬する方法などが挙げられる。この疎水化処理液の塗布後または浸漬後は、洗浄および乾燥することにより、偏光層とすることができる。
一方、上記二色性染料が長鎖のアルキル基等の疎水性基を有する場合は、例えばアルキル側鎖の一部に重合性基を導入し、この重合性基を重合させることにより、二色性染料を線状または網目状に架橋させ、配向状態を固定化する架橋方法が用いられる。
さらに、上記偏光層形成用塗工液が上述した液晶材料を含有する場合は、この液晶材料を重合させることによっても二色性染料の配向状態を固定化することができる。この場合、上記液晶材料は重合性基を有している必要がある。
4.樹脂層形成工程
本発明においては、上述したように、上記塗膜形成工程前に、パターン状の凹部を有する樹脂層を基材上に形成する樹脂層形成工程が行われてもよい。この樹脂層が形成されることにより、樹脂層の凹部により二色性染料を配向させることができ、偏光機能および光学補償機能を有する偏光層を形成することができるからである。
また、樹脂層の凹部により上記二色性染料を配向させることから、樹脂層の凹部のパターンを適宜選択することにより二色性染料の配向方向を制御することができる。すなわち、偏光層の偏光軸を任意に設定することが可能である。これにより、例えば長尺の透明樹脂フィルムの長尺方向に対して特定の角度をなす偏光軸を有する光学補償偏光板や、ウェブ状のガラス基板の斜め方向に偏光軸を有する光学補償偏光板を容易に製造することができる。さらに、本発明により製造された光学補償偏光板は、上述したように所望の向きに偏光軸を設定することが可能であるため、液晶表示素子に組み込む際には、位置合わせによる光学補償偏光板の切れ端の無駄を省くことができ、製造コストの削減および製造工程の簡略化が可能である。
本発明における樹脂層形成工程は、基材上またはパターン状の凸部または凹部を有する凹部形成用基板上に硬化性樹脂組成物を塗布する塗布工程と、上記基材および上記凹部形成用基板を、上記硬化性樹脂組成物を挟んで重ね合わせる配置工程と、上記硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化性樹脂とする硬化工程と、上記硬化性樹脂組成物または上記硬化性樹脂から上記凹部形成用基板を剥離してパターン状の凹部または凸部を形成する凹部形成工程とを有することが好ましい。
例えば図8に示すように、本発明における樹脂層形成工程においては、まず、基材1上に硬化性樹脂組成物23を塗布し(図8(a)、塗布工程)、基材1およびパターン状の凸部を有する凹部形成用基板25を硬化性樹脂組成物23を挟んで重ね合わせ、エネルギー26を照射することにより硬化性樹脂組成物23を硬化させる(図8(b)、配置工程および硬化工程)。さらに、凹部形成用基板25を剥離することにより、パターン状の凹部を有する樹脂層3が形成される(図8(c)、凹部形成工程)。
このように樹脂層は、凹部形成用基板の凸部が複製されることにより形成されることから、凹部形成用基板の凸部のパターンを選択することにより、偏光層の偏光軸を任意に設定することができる。また、このような凹部形成用基板の原版を一度作製するだけで、所望の光学特性を有する光学補償偏光板を大量に製造できるため、製造効率が向上するという利点を有する。
以下、このような樹脂層形成工程の各工程について説明する。
(1)塗布工程
本発明における樹脂層形成工程においては、まず、基材上またはパターン状の凸部または凹部を有する凹部形成用基板上に硬化性樹脂組成物を塗布する塗布工程が行われる。
以下、本工程に用いられる凹部形成用基板および硬化性樹脂組成物の塗布方法について説明する。
(凹部形成用基板)
まず、本工程に用いられる凹部形成用基板について説明する。本工程に用いられる凹部形成用基板は、表面にパターン状の凸部または凹部を有するものである。また、この凸部または凹部は、目的とする樹脂層の凹部または凸部に対して対称となるように形成されているものである。
本発明に用いられる凹部形成用基板が有する凸部または凹部の形状としては、目的とする樹脂層の凹部または凸部を形成することができるようなものであれば、特に限定されるものではない。
また、本発明に用いられる凹部形成用基板は、二色性染料からなるカラム構造が長尺の基材の長尺方向と交差して配向するような樹脂層の凹部または凸部を形成するための凸部または凹部を有することが好ましい。凹部形成用基板の凸部または凹部を上述したようなものとすることにより、所望の光学特性を有する光学補償偏光板を容易に安価に製造することができるからである。
なお、凸部または凹部の幅、高さ、形状およびパターン等は、上記「A.光学補償偏光板」に記載した樹脂層の凹部と対応するものであるので、ここでの説明は省略する。
また、上記凹部形成用基板としては、可撓性を有するもの、例えば樹脂フィルム等であってもよいし、可撓性を有さないもの、例えばガラス等であってもよい。本発明においては、凹部形成用基板は繰り返し用いられるものであることから、所定の強度を有する材料が好適に用いられる。具体的には、ガラス、セラミック、金属、プラスチック等を挙げることができる。このような材料は、後述する凸部の形成方法により、適宜選択されるものである。さらに、上記凹部形成用基板は、後述する硬化工程における硬化性樹脂組成物を硬化させる際のエネルギーの照射方法により適宜選択される。すなわち、凹部形成用基板側からエネルギー線を照射する場合は、透明な材料であることが必要であるが、基材側からエネルギー線を照射する場合は、特に透明な材料に限定されるものではない。
上記凹部形成用基板は、凹凸用円筒ドラムにより移動していてもよく、さらには凹部形成用基板自体が凹凸用円筒ドラムを構成している、すなわち凹凸用円筒ドラムの表面に凸部が形成されていてもよい。ロールトゥロールプロセスを経ることにより、基材上に凹部を連続的に複製することができ、製造効率が向上するからである。また、このような凹部形成用基板の原版を一度作製するだけで、所望の光学特性を有する光学補償偏光板を大量に製造できるため、製造効率をより一層向上させることができる。
このような凸部の形成方法としては、例えばガラスや樹脂フィルム等をパターニングする方法、ガラス等の表面に感光性樹脂層等を塗布して、この感光性樹脂層をパターニングする方法などを用いることができる。パターニング方法としては、一般的な方法を用いることが可能であり、例えばフォトリソグラフィー法、スパッタ法、また機械的に切削する方法等が挙げられる。さらに、斜め蒸着法、ラビング法等を用いることもできる。
(硬化性樹脂組成物の塗布方法)
本工程においては、硬化性樹脂組成物は、基材上に塗布してもよく、凹部形成用基板上に塗布してもよい。また、基材と凹部形成用基板とを所定の間隙をおいて固定し、その間に硬化性樹脂組成物を流し込み、塗布するものでもよい。
上記硬化性樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、ディップコート法、カーテンコート法(ダイコート法)等が挙げられる。
塗布された硬化性樹脂組成物の膜厚としては、0.1〜30μmの範囲内、特に0.2〜10μmの範囲内であることが好ましい。膜厚が上記範囲より薄すぎると、硬化性樹脂組成物への凹部の複製が十分に行われない可能性があるからである。また、膜厚が厚すぎると、本発明により製造された光学補償偏光板が厚くなり、薄型化が困難となるからである。また、基材がフィルムである場合、塗布面がカールしやすくなるという不具合が生じる可能性があるからである。
また、上記硬化性樹脂組成物が所望の膜厚となるように、塗布量を制御して上述した方法により塗布してもよく、塗布した後に余剰な硬化性樹脂組成物を取り除いてもよい。余剰な硬化性樹脂組成物を取り除く方法としては、ローラーを用いて取り除く方法、ドクターを用いて掻き取る方法等が挙げられる。また、このような余剰な硬化性樹脂組成物を取り除く工程は、塗布工程後に行ってもよく、後述する配置工程後に行ってもよい。
なお、硬化性樹脂組成物については、上述した「A.光学補償偏光板」の樹脂層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(2)配置工程
次に、本発明における樹脂層形成工程の配置工程について説明する。本発明における配置工程は、上記基材および上記凹部形成用基板を、上記硬化性樹脂組成物を挟んで重ね合わせる工程である。
上記基材および凹部形成用基板の配置方法としては、塗布された硬化性樹脂組成物が基材および凹部形成用基板と接するように配置されていれば特に限定はされないが、硬化性樹脂組成物が基材と密着するように配置されることが好ましい。硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化性樹脂からなる樹脂層は基材上に形成されるため、硬化性樹脂組成物が基材と密着することが好ましいからである。また、上記基材と上記凹部形成用基板とは、硬化性樹脂組成物が目的の膜厚となるように、間隙をおいて配置されることが好ましい。
また、上記基材と上記硬化性樹脂組成物との密着性を向上させるために、基材に表面処理行うことが好ましい。具体的には、グロー放電処理、コロナ放電処理、UV処理、ケン化処理等を用いることができる。また、基材上にプライマー層を形成してもよい。さらに、硬化性樹脂から基材を保護する目的でプライマー層(バリア層)を設けてもよい。このようなプライマー層としては、例えばシラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
(3)硬化工程
本発明における樹脂層形成工程においては、上記硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化性樹脂とする硬化工程が行われる。
上記硬化性樹脂組成物の硬化方法としては、エネルギー線を照射する方法、加熱する方法等を挙げることができるが、本発明においてはエネルギー線を照射する方法を用いることが好ましい。本発明でいうエネルギー線とは、硬化性樹脂組成物に含まれるモノマーおよびポリマーに対して重合を起こさせる能力があるエネルギー線を示すものである。
エネルギー線としては、硬化性樹脂組成物を重合せさることが可能なエネルギー線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光または可視光線が使用され、波長が150〜500nm、好ましくは250〜450nm、さらに好ましくは300〜400nmの照射光が用いられる。
本発明においては、紫外線(UV)をエネルギー線として照射する方法が好ましい方法であるといえる。活性放射線としてUVを用いる方法は、既に確立された技術であることから、用いる光重合開始剤を含めて、本発明への応用が容易であるからである。
この照射光の光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などが例示できる。なかでもメタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等の使用が推奨される。また、照射強度は、硬化性樹脂組成物の組成や光重合開始剤の多寡によって適宜調整されて照射される。
また、硬化性樹脂組成物を硬化することにより得られる硬化性樹脂の膜厚としては、0.1〜30μmの範囲内、特に0.2〜10μmの範囲内であることが好ましい。膜厚が厚すぎると、本発明により製造された光学補償偏光板が重厚となり、薄型化が困難となるからである。また、膜厚が薄すぎると、強靭性に劣るからである。
本発明において、硬化工程は、上記塗布工程後、上記配置工程後、または凹部形成工程中のいずれに行ってもよいものである。すなわち、硬化性樹脂組成物を基材または凹部形成用基板上に塗布した後に硬化させる(塗布工程後)、硬化性樹脂組成物を挟んで基材および凹部形成用基板を重ね合わせて配置した後に硬化させる(配置工程後)、または、硬化性樹脂組成物から凹部形成用基板を剥離した後に硬化させる(凹部形成工程中)のどの場合で行ってもよいものである。以下、各態様について説明する。
(第5の態様)
本発明において、硬化工程の第5の態様は、硬化性樹脂組成物を基材または凹部形成用基板上に塗布し、エネルギーを照射して上記硬化性樹脂組成物を硬化し、硬化して得られる硬化性樹脂を挟んで基材および凹部形成用基板を重ね合わせて配置し、上記硬化性樹脂から凹部形成用基板を剥離し、凹部または凸部を形成するものである。
この際、上記硬化性樹脂組成物を硬化させるためのエネルギー線の照射方向としては、基材または凹部形成用基板側からでもよく、硬化性樹脂組成物側からでもよい。ただし、基材または凹部形成用基板上に硬化性樹脂組成物を塗布し、基材または凹部形成用基板側から照射する場合は、基材または凹部形成用基板が透明材料である必要がある。
また、基材上に硬化性樹脂組成物を塗布して硬化させる場合は、硬化して得られる硬化性樹脂の表面に凹部形成用基板を配置して、凹部を複製することから、硬化後も硬化性樹脂は所定の粘度を有している必要がある。よって、硬化性樹脂組成物を完全に硬化させないことが好ましく、硬化性樹脂の表面に凹部形成用基板を配置した後、または硬化性樹脂から凹部形成用基板を剥離した後に、再度硬化させてもよい。
(第6の態様)
本発明において、硬化工程の第6の態様は、硬化性樹脂組成物を基材または凹部形成用基板上に塗布し、上記硬化性樹脂組成物を挟んで基材および凹部形成用基板を重ね合わせて配置し、エネルギーを照射して上記硬化性樹脂組成物を硬化し、硬化して得られる硬化性樹脂から凹部形成用基板を剥離し、凹部または凸部を形成するものである。
この際、上記硬化性樹脂組成物を硬化させるためのエネルギー線の照射方向としては、凹部形成用基板側からでもよく、基材側からでもよい。ただし、基材側から照射する場合は、基材が透明材料である必要があり、凹部形成用基板側から照射する場合は、凹部形成用基板が透明材料である必要がある。
(第7の態様)
本発明において、硬化工程の第7の態様は、硬化性樹脂組成物を基材または凹部形成用基板上に塗布し、上記硬化性樹脂組成物を挟んで基材および凹部形成用基板を重ね合わせて配置し、上記硬化性樹脂組成物から凹部形成用基板を剥離し、エネルギーを照射して上記硬化性樹脂組成物を硬化し、凹部または凸部を形成するものである。
この際、上記硬化性樹脂組成物を硬化させるためのエネルギー線の照射方向としては、硬化性樹脂組成物側からでもよく、基材側からでもよい。ただし、基材側から照射する場合は、基材が透明材料である必要がある。
また、硬化性樹脂組成物から凹部形成用基板を剥離した後に、硬化性樹脂組成物を硬化させることから、硬化性樹脂組成物は凹部形成用基板を剥離した後も凹部を維持している必要がある。よって、硬化性樹脂組成物が所定の粘度を有するように、硬化性樹脂組成物から凹部形成用基板を剥離する前に、予め半硬化状態とさせてもよい。
(4)凹部形成工程
本発明における樹脂層形成工程においては、上記硬化性樹脂組成物または上記硬化性樹脂から上記凹部形成用基板を剥離してパターン状の凹部または凸部を形成する凹部形成工程が行われる。
上記硬化性樹脂組成物もしくは上記硬化性樹脂から凹部形成用基板を剥離する方法としては、硬化性樹脂組成物もしくは硬化性樹脂が凹部形成用基板から剥がれ、基材に密着しており、かつ凹部が形成されていれば、特に限定されるものではない。
また、本発明においては、凹部形成用基板が凹凸用円筒ドラムにより移動し、基材が基材用円筒ドラムにより移動しており、上記二つの円筒ドラム上で硬化性樹脂組成物または硬化性樹脂を挟んで基材および凹部形成用基板を重ね合わせ、上記硬化性樹脂組成物または上記硬化性樹脂から上記凹部形成用基板を剥離し、上記基材上に連続的に凹部を複製することにより、凹部を有する樹脂層が形成されてもよい。さらに、上記凹部形成用基板が、凹凸用円筒ドラムであってもよい。ロールトゥロールプロセスを経ることにより、基材上に凹部の複製を連続的に行うことができ、製造効率が向上するからである。また、このような凹部形成用基板の原版を一度作製するだけで、任意の方向に偏光軸をもつ光学補償偏光板を大量に製造できるからである。
(5)その他
本発明においては、上記樹脂層形成工程の後、凹部を有する樹脂層表面を親水化する親水化処理工程が行われることが好ましい。通常、上述した樹脂層形成工程を行うと、形成された樹脂層表面は撥水性が高くなり、二色性染料が十分に配向しない可能性があるからである。なお、親水化処理方法に関しては、上述した「A.光学補償偏光板」の樹脂層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
5.その他
本発明の光学補償偏光板の製造方法を用いて、液晶表示素子用基板を製造することができる。例えば、上述した光学補償偏光板の製造方法により光学補償偏光板を形成する光学補償偏光板形成工程と、上記光学補償偏光板上に電極層を形成する電極層形成工程と、上記電極層上に配向膜を形成する配向膜形成工程とを行うことにより、液晶表示素子用基板を製造することができる。
電極層の形成方法としては、CVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の蒸着方法により形成することができる。
また、配向膜の形成方法としては、一般的な配向膜の形成方法を用いることができ、例えばラビング処理、光配向処理等が挙げられる。
なお、液晶表示素子用基板のその他の点に関しては、上述した「B.液晶表示素子用基板」に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、本発明の光学補償偏光板の製造方法を用いて、液晶表示素子を製造することもできる。この場合、上述した液晶表示素子用基板の製造方法を用いることが好ましい。上記液晶表示素子用基板と、基材上に電極層および配向膜を有する対向基板とを、それぞれの配向膜が向かい合うように配置し、その間に液晶層を形成することにより、液晶表示素子を製造することができる。
例えば、液晶表示素子用基板の配向膜上にスペーサーとしてビーズを分散させ、周囲にシール剤を塗布して、液晶表示素子用基板および対向基板をそれぞれの配向膜が対向するように貼り合わせ、熱圧着させる。そして、注入口からキャピラリー効果を利用して液晶を等方性液体の状態で注入し、注入口を紫外線硬化樹脂等により封鎖する。その後、液晶を徐冷することにより配向させる。さらに、対向基板の外側に偏光板を貼り合わせることにより、液晶表示素子を得ることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例]
(樹脂層の形成)
洗浄したITO付きガラス基板上に、エタノールに溶解した0.1wt%のシランカップリング剤をスピンナーを用いて塗布し、乾燥させて、10nmのアンカー層を形成した。このアンカー層上に、下記組成のUV硬化性アクリレート系樹脂組成物を塗布し、所望のパターン状の凸部を形成したポリカーボネート製の凹部形成用基板を押し付け、100kg/cmの圧力で1分間プレスしながら、約100mJ/cmの紫外線を照射して、上記UV硬化性アクリレート系樹脂組成物を硬化させた。さらに、凹部形成用基板を剥離し、3000mJ/cmの紫外線を照射して完全に上記UV硬化性アクリレート系樹脂組成物を硬化させて、パターン状の凹部を形成した。このパターン状の凹部は、凹部の幅:0.2μm、凸部の幅:0.2μm、ピッチ:0.4μm、深さ:0.2μmであり、ストライプ形状のパターンであった。これにより樹脂層を形成した。
<UV硬化性アクリレート系樹脂組成物>
・ゴーセラックUV−7500B(日本合成化薬社製) 40重量部
・1,6−へキサンジオールアクリレート(日本化薬社製) 35重量部
・ペンタエリスリトールアクリレート(東亜合成化学社製) 21重量部
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 2重量部
・ベンゾフェノン(日本化薬社製) 2重量部
(偏光層の形成)
よく洗浄した上記樹脂層上に、二色性染料を含有するインキ(Optiva社製、製品名:N015)をインクジェットを用いて塗布し、乾燥させた後、15%の塩化バリウム水溶液に約1秒間浸漬させた。さらに、これを洗浄して、再度乾燥させて、0.3μm厚の偏光層を形成した。この偏光層の偏光度は98%で、偏光軸はストライプ状の凹部に沿って平行方向であった。また、偏光層は良好な光学補償機能を示した。
本発明の光学補償偏光板の一例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる二色性染料を説明するための説明図である。 本発明の光学補償偏光板の他の例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる二色性染料を説明するための説明図である。 本発明に用いられる樹脂層の凹部を説明するための説明図である。 本発明の液晶表示素子用基板の一例を示す概略断面図である。 本発明の光学補償偏光板の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の光学補償偏光板の製造方法における樹脂層形成工程の一例を示す工程図である。
符号の説明
1 … 基材
2 … 偏光層
3 … 樹脂層
4 … 配向層
5 … 電極層
6 … 配向膜
11 …光学補償偏光板
12 … 二色性染料
12´ … カラム構造
n … 法線方向

Claims (13)

  1. 基材と、前記基材上に形成され、二色性染料を含有する偏光層とを有する光学補償偏光板であって、前記偏光層は光学補償機能を有することを特徴とする光学補償偏光板。
  2. 前記二色性染料は、前記二色性染料の法線方向が前記基材の一定方向を向いて配列したカラム構造を形成しており、前記カラム構造は、前記基材の一定方向に複数配列していることを特徴とする請求項1に記載の光学補償偏光板。
  3. 前記偏光層は、パターン状の凹部または凸部を有する樹脂層と、前記樹脂層上に形成され、前記二色性染料が前記樹脂層の凹部により配向した配向層とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学補償偏光板。
  4. 前記基材は長尺の基材であり、前記偏光層の偏光軸が前記長尺の基材の長尺方向と交差していることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の光学補償偏光板。
  5. 前記二色性染料は、溶液中でリオトロピック液晶性を示すものであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の光学補償偏光板。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の光学補償偏光板と、電極層と、配向膜とを有することを特徴とする液晶表示素子用基板。
  7. 請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の光学補償偏光板を用いることを特徴とする液晶表示素子。
  8. 基材上に二色性染料を含有する偏光層形成用塗工液を塗布し、前記二色性染料を配向させて塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜を乾燥する乾燥工程と、前記二色性染料の配向状態を固定化する固定化工程とを行うことにより、光学補償機能を有する偏光層を形成することを特徴とする光学補償偏光板の製造方法。
  9. 前記塗膜形成工程では、前記偏光層形成用塗工液に対し剪断応力が加わる塗布方法が用いられることを特徴とする請求項8に記載の光学補償偏光板の製造方法。
  10. 前記塗膜形成工程前に、前記基材上にパターン状の凹部または凸部を有する樹脂層を形成する樹脂層形成工程が行われることを特徴とする請求項8に記載の光学補償偏光板の製造方法。
  11. 前記塗膜形成工程では、スプレーコート法、ディップコート法、インクジェット法、またはフレキソ印刷法が用いられることを特徴とする請求項10に記載の光学補償偏光板の製造方法。
  12. 前記樹脂層形成工程は、前記基材上またはパターン状の凸部または凹部を有する凹部形成用基板上に硬化性樹脂組成物を塗布する塗布工程と、前記基材および前記凹部形成用基板を、前記硬化性樹脂組成物を挟んで重ね合わせる配置工程と、前記硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化性樹脂とする硬化工程と、前記硬化性樹脂組成物または前記硬化性樹脂から前記凹部形成用基板を剥離してパターン状の凹部または凸部を形成する凹部形成工程とを有することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の光学補償偏光板の製造方法。
  13. 前記固定化工程では、前記二色性染料を架橋する方法が用いられることを特徴とする請求項8から請求項12までのいずれかの請求項に記載の光学補償偏光板の製造方法。
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