JP2006166466A - 表面波装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】SiO2膜による電極保護効果及び温度特性改善効果を有するだけでなく、挿入損失の劣化を抑制し得る弾性表面波装置を提供する。
【解決手段】回転YカットX伝搬LiTaO3基板と、LiTaO3基板上に形成されており、かつAlまたはAlを主成分とする金属からなる少なくとも1つのインターデジタルトランスデューサと、インターデジタルトランスデューサを覆うようにLiTaO3基板表面に形成されたSiO2膜と、反射器とを備え、SiO2膜の表面波の波長λで規格化された膜厚をHsとし、LiTaO3基板のカット角をθとしたときに、規格化膜厚Hsが所定の範囲にあり、かつ反射器がLiTaO3基板の端面により構成されており、それによって端面反射型の表面波装置とされていることを特徴とする、表面波装置。
【選択図】図1
【解決手段】回転YカットX伝搬LiTaO3基板と、LiTaO3基板上に形成されており、かつAlまたはAlを主成分とする金属からなる少なくとも1つのインターデジタルトランスデューサと、インターデジタルトランスデューサを覆うようにLiTaO3基板表面に形成されたSiO2膜と、反射器とを備え、SiO2膜の表面波の波長λで規格化された膜厚をHsとし、LiTaO3基板のカット角をθとしたときに、規格化膜厚Hsが所定の範囲にあり、かつ反射器がLiTaO3基板の端面により構成されており、それによって端面反射型の表面波装置とされていることを特徴とする、表面波装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、共振子や帯域フィルタなどに用いられる表面波装置に関し、より詳細には、LiTaO3基板上にAlまたはAlを主成分とする金属からなる電極が形成されており、かつSiO2膜からなる保護層を有する表面波装置に関する。
従来、弾性表面波装置を表面波基板として、36°及び39.5°〜46°回転Y板LiTaO3基板が広く用いられている。また、この表面波基板を用いた高周波用表面波フィルタでは、電極材料としてAlまたはAlを主成分とする合金が用いられている。この種の表面波装置では、インターデジタルトランスデューサ(IDT)などの電極の表面波の波長λで規格化された膜厚は、0.08〜0.10程度と比較的厚くされている。
また、このような表面波装置において、温度特性を改善するために、並びにIDTなどの電極を保護するためにSiO2膜を形成した構造が知られている。SiO2膜が形成された弾性表面波装置は、例えば、下記の特許文献1、特許文献2、特許文献3などに開示されている。
これらのうち、特許文献3に記載の表面波フィルタでは、複数のIDTが設けられている領域の表面波伝搬方向両側に反射器が形成されている構造において、IDT及び反射器を覆うようにSiO2膜が所定の膜厚となるように形成されている。この先行技術に記載の表面波フィルタでは、SiO2膜の形成により、電極の保護だけでなく、帯域幅の拡大が図られるとされている。
特開平2−37815号公報
特開平8−265088号公報
特開平9−186542号公報
しかしながら、表面波装置においてSiO2膜を形成した場合、SiO2膜の付加により挿入損失が劣化するという問題があった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、回転Y板X伝搬のLiTaO3基板上にAlまたはAlを主成分とする金属からなるIDTが形成されており、さらにIDTを覆うようにSiO2膜が形成されている構成において、SiO2膜による電極保護効果及び温度特性改善効果を有するだけでなく、挿入損失を効果的に低減し得る表面波装置を提供することにある。
本発明の広い局面によれば、回転YカットX伝搬LiTaO3基板と、前記LiTaO3基板上に形成されており、かつAlまたはAlを主成分とする金属からなる少なくとも1つのインターデジタルトランスデューサと、前記インターデジタルトランスデューサを覆うように前記LiTaO3基板表面に形成されたSiO2膜と、反射器とを備え、前記SiO2膜の表面波の波長λで規格化された膜厚をHsとし、LiTaO3基板のカット角をθとしたときに、規格化膜厚Hsが下記の(1)〜(8)のいずれかの範囲にあり、かつ前記反射器がLiTaO3基板の端面により構成されており、それによって端面反射型の表面波装置とされていることを特徴とする、表面波装置が提供される。
すなわち、本発明の表面波装置では、SiO2膜の膜厚Hsが上記特定の範囲とされているため、後述の具体的な実験例から明らかなように、SiO2膜を形成した場合であっても、弾性表面波の減衰定数αを小さくでき、それによって挿入損失を低減することができる。
本発明に係る表面波装置のある特定の局面では、IDTの表面波の波長λで規格化された膜厚をHaとしたときに、Haが0.04以下とされ、より好ましくは0.03以下とされ、それによってSiO2膜表面の凹凸が小さくなり、減衰定数αがより一層小さくなる。従って、挿入損失をより一層効果的に低減することができる。
本発明に係る表面波装置の他の特定の局面では、SiO2膜の規格化膜厚Hsが0.15〜0.4の範囲とされ、その場合には、温度特性TCFが−15ppm/℃〜+15ppm/℃の範囲となり、良好な温度特性を実現することができる。
なお、本発明に係る表面波装置は端面反射型の表面波装置である。端面反射型の表面波装置では、帯域外にスプリアスが発生しがちであるが、本発明に従ってSiO2膜を形成することにより、帯域外スプリアスを効果的に低減することができる。
本発明によれば、回転YカットX伝搬LiTaO3基板からなる圧電基板上にAlまたはAlを主成分とする金属からなる少なくとも1つのIDT及びSiO2膜が形成されている表面波装置において、SiO2膜の規格化膜厚Hs及びLiTaO3のカット角θが、上述した(1)〜(8)のいずれかの範囲を満たすように構成されているため、表面波の減衰定数αを小さくすることができる。よって、温度特性の向上やIDTなどの電極の保護のためにSiO2膜を形成した場合であっても、本発明によって挿入損失の劣化を効果的に抑制することができる。
従って、耐環境特性及び周波数温度特性が良好な表面波装置であって、低損失の表面波装置を提供することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1は、本発明の一実施例に係る弾性表面波装置としての縦結合共振子フィルタを説明するための平面図である。
弾性表面波装置11では、LiTaO3基板12の上面に、IDT13a、13b及び反射器14a,14bが形成されている。IDT13a,13b及び反射器14a,14bを覆うように、SiO2膜15が形成されている。
上記LiTaO3基板12としては、回転Y板X伝搬LiTaO3基板が用いられている。また、IDT13a,13b及び反射器14a,14bは、AlまたAlを主成分とする金属により構成される。
そして、本実施例では、SiO2膜の表面波の波長λで規格化された膜厚Hsが、LiTaO3基板のカット角をθとしたときに、下記の範囲とされている。
以下に述べる実験例から明らかなように、SiO2膜15の膜厚Hsが上記特定の範囲とされているため、本実施例の弾性表面波装置11では、挿入損失が低減される。
本願発明者等は、39.5°YカットX伝搬LiTaO3基板上に少なくとも1つのIDTを形成し、周波数温度特性を改善するためにSiO2膜を形成した場合に挿入損失が劣化する原因について種々検討した結果、SiO2膜の形成により表面波の減衰定数αが大きくなり、それによって挿入損失が劣化することを見出した。そこで、LiTaO3基板のカット角θ、AlからなるIDTなどの電極の規格化膜厚Ha及びSiO2膜の規格化膜厚Hsを種々の範囲で異ならせ、減衰定数αの変化を調べた。結果を図2〜図4に示す。
図2、図3及び図4には、それぞれ、IDTの規格化膜厚Haが、0.01、0.02及び0.03の場合の結果が示されている。また、図2〜図4においては、種々の規格化膜厚HsのSiO2膜を形成した場合の基板のカット角θと減衰定数αとの関係が示されている。
図2から明らかなように、SiO2膜の規格化膜厚Hs=0の場合には、減衰定数αはカット角θ=36°付近で最小となるが、規格化膜厚Hsが大きくなるに連れて、減衰定数αが大きくなることがわかる。しかしながら、LiTaO3基板の膜厚Hsを厚くしていった場合、減衰定数αが最小となるカット角θが次第に小さくなることがわかる。図3及び図4においても図2と同じ傾向のあることがわかる。
すなわち、IDTの規格化膜厚Haを変化させた場合であっても、SiO2膜の形成により大きくなる減衰定数αは、従来に比べて小さなカット角θのLiTaO3基板を用いることによりほぼ0とし得ることがわかる。そして、減衰定数αをほぼ0とし得るカット角θが、SiO2膜の規格化膜厚Hsに依存することがわかる。
図2〜図4に結果をふまえ、さらに、様々な規格化膜厚HaのIDTを形成し、図2〜図4と同様にして調べた。これらの結果を図5に示す。
図5の太線で囲まれた範囲であれば、減衰定数αを0.001Neper/λとすることができ、従って挿入損失を効果的に低下することができる。図5の太線で囲まれた領域は、前述した(1)〜(8)の範囲である。
すなわち、(1)〜(8)の範囲のいずれかを満たす範囲を選択することにより、減衰定数αを小さくでき、IDTなどの保護や温度特性TCFの改善のためにSiO2膜を形成してなる表面波装置において、挿入損失の悪化を低減することが可能となる。
さらに、本願発明者は、AlまたはAlを主成分とするIDTなどの電極の膜厚Haの影響についても検討した。カット角36°のLiTaO3基板からなる圧電基板を用いて、1ポート型の表面波共振子を作製した。ここでは、IDTは、Alで構成し、その規格化膜厚Haを0.01λ〜0.08λ、SiO2膜の規格化膜厚Hsを0〜0.3λの範囲で変化させた。このようにして得られた種々の1ポート型表面波共振子の共振抵抗Rrを評価した。表面波共振子の共振抵抗Rrは、フィルタ特性における挿入損失の劣化と関係することが知られている。
規格化膜厚Haが種々異なるIDTを有する種々の表面波共振子におけるSiO2膜の規格化膜厚Hsと共振抵抗Rrの変化量との関係を図6に示す。
図6から明らかなように、IDTの規格化膜厚Haが0.04よりも厚い場合には、SiO2膜の膜厚増による共振抵抗Rrの変化量が非常に大きいことがわかる。従って、好ましくは、IDTの規格化膜厚Haを0.04以下、より好ましくは0.03以下とすれば、SiO2膜を形成した場合のその規格化膜厚Hsの増加による共振抵抗Rrの変動を抑制し得ることがわかる。従って、本発明においては、好ましくは、IDTの規格化膜厚Haは0.04以下、より好ましくは0.03以下である。よって、(1)〜(8)のいずれかの範囲を満たすように圧電基板のカット角θ及びSiO2膜の規格化膜厚Hsを選択し、さらにIDTの規格化膜厚Haを0.03以下とすることにより、より一層特性の劣化の少ない表面波装置を提供し得ることがわかる。
次に、本願発明者は、SiO2膜の膜厚Hsを変化させた場合の温度特性TCFの変化を調べた。結果を図7に示す。
図7では、カット角θが23°、26°及び29°の回転Y板X伝搬LiTaO3基板を用いて構成された第1の実施例の表面波装置におけるSiO2膜の規格化膜厚Hsと温度特性TCFの関係を示す。
図7から明らかなように、カット角θが23°、26°及び29°のいずれの場合においても、SiO2膜の規格化膜厚Hsが、0.15〜0.40の範囲であれば、温度特性TCFを±15°ppm以内とし得ることがわかる。従って、(1)〜(8)のいずれかの範囲を満たすように構成された本発明の表面波装置において、挿入損失の劣化を抑制するだけでなく、良好な温度特性を得るには、SiO2膜の規格化膜厚Hsを0.15〜0.40の範囲とすればよいことがわかる。
図8は、本発明の第2の実施例としての端面反射型の縦結合型共振子フィルタを示す模式的平面図である。表面波フィルタ21は、図1に示した表面波フィルタ11における反射器14a,14bに代えて、LiTaO3基板の一対の端面を反射端面22a,22bとしたことを除いては同様に構成されている。すなわち、表面波フィルタ21は、SHタイプの表面波を利用した端面反射型の表面波フィルタである。
上記表面波フィルタ21を試作し、その減衰量周波数特性を測定した。結果を図9に示す。なお、図9の実線が第2の実施例の表面波フィルタの減衰量周波数特性を示す。ここでは、LiTaO3基板として、36°YカットX伝搬LiTaO3基板が用いられており、IDTは、Alからなり、その膜厚Haは0.017、SiO2膜の膜厚Hsは0.3とした。
また、図9の破線は、比較のために用意した端面反射型表面波フィルタの減衰量周波数特性を示す。この比較例は、SiO2膜を形成しなかったことを除いては、第2の実施例と同様にして構成されている。
図9から明らかなように、SiO2膜を形成した第2の実施例の表面波フィルタでは、挿入損失の劣化が小さいことがわかる。加えて、比較例では帯域外スプリアスが大きかったのに対し、第2の実施例の端面反射型表面波フィルタでは、帯域外スプリアスが効果的に抑圧されていることがわかる。これは、端面反射型の表面波装置で現れる帯域外スプリアスが、SiO2膜の形成により、帯域外スプリアスが抑制されていることによる。なお、第2の実施例では、カット角θは36°とされたが、他のカット角θでも同様の効果の得られることが確かめられている。
従って、本発明において、特に、端面反射型の表面波装置を構成した場合には、SiO2膜の形成により端面反射型表面波装置特有の帯域外スプリアスを効果的に抑制することができる。
なお、本発明は、上述した縦結合共振子型表面波フィルタや1ポート型表面波共振子に限らず、反射器付きの様々な表面波装置、あるいは反射器を有しない様々な表面波装置に適用することができる。
また、IDTはAlのみからなるものである必要はなく、Alを主成分とする合金により構成されていてもよい。
11…弾性表面波装置
12…LiTaO3基板
13a,13b…IDT
14a,14b…反射器
15…SiO2膜
21…端面反射型縦結合共振子型表面波フィルタ
22…LiTaO3基板
22a,22b…端面
12…LiTaO3基板
13a,13b…IDT
14a,14b…反射器
15…SiO2膜
21…端面反射型縦結合共振子型表面波フィルタ
22…LiTaO3基板
22a,22b…端面
Claims (3)
- 上記インターデジタルトランスデューサの表面波の波長λで規格化された膜厚をHaとしたときに、Haが0.04以下である、請求項1に記載の表面波装置。
- 前記SiO2膜の規格化膜厚Hsが0.15〜0.4の範囲にある、請求項1または2に記載の表面波装置。
Priority Applications (1)
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US9537464B2 (en) | 2010-06-17 | 2017-01-03 | Seiko Epson Corporation | Surface acoustic wave resonator, surface acoustic wave oscillator, and electronic apparatus |
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2005
- 2005-12-09 JP JP2005356102A patent/JP2006166466A/ja active Pending
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