JP2006153787A - 大気情報予報装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】高層建築物にセンサを設置し、高さに対応したデータにより大気の状態を正確に知ることが出来る大気情報予報装置を提供する。
【解決手段】高層建築物からの情報により大気の状態を予測する大気情報予報装置1であって、監視部20と、監視部20に遠隔接続され、高層建築物の各所に設けられた外気温センサS1,S2…Snとを備え、監視部20は、監視地域の高層建築物の外気温センサS1,S2…Snからの外気温情報と、当該地域の地表面温度とを蓄積データと比較し、大気の逆転層の生成を判断して予報する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高層建築物からの情報により大気の状態を予測する大気情報予報装置に関する。
従来の技術としては、例えば特許文献1に示すようなものがある。
すなわち、特許文献1の特開2003−28967号公報には、GPSにより位置情報を取得する測位手段、気象データを測定する測定手段、観測情報を外部装置へ送信する送信手段を備えた情報端末を用意し、端末の現在位置付近の狭い範囲の天気予報を高精度に行うことができるとする技術が開示されている。
特開2003−28967号公報
しかしながら、このような従来の技術では、情報端末の位置が定められておらず、特に高さを要素とする情報は収集されず、大気の状態を知ることが出来ないという問題点があった。また、情報端末を別に用意しなければならないので、システムとして高価で煩雑なものになるという問題点があった。
本発明は、このような従来の技術が有する問題点を解決するものであり、高層建築物にセンサを設置し、高さに対応したデータにより大気の状態を正確に知ることが出来、また、通常設置される給湯器の装備を利用して簡便安価に構築した大気情報予報装置を提供することを目的としている。
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]高層建築物からの情報により大気の状態を予測する大気情報予報装置(1)であって、
監視部(20)と、該監視部(20)に遠隔接続され、高層建築物の各所に設けられた外気温センサ(S1,S2…Sn)とを備えて成り、
前記監視部(20)は、監視地域の高層建築物の前記外気温センサ(S1,S2…Sn)からの外気温情報に応じて、大気の逆転層の生成を判断して予報することを特徴とする大気情報予報装置(1)。
[2]高層建築物からの情報により大気の状態を予測する大気情報予報装置(1)であって、
監視部(20)と、該監視部(20)に遠隔接続され、高層建築物の各所に設けられた給湯器(10)に設けられた外気温サーミスタである外気温センサ(S1,S2…Sn)とを備えて成り、
前記監視部(20)は、監視地域の高層建築物の前記外気温センサ(S1,S2…Sn)からの外気温情報に応じて、大気の逆転層の生成を判断して予報することを特徴とする大気情報予報装置(1)。
[3]高層建築物からの情報により大気の状態を予測する大気情報予報装置(1)であって、
監視部(20)と、該監視部(20)に遠隔接続され、高層建築物の各所に設けられた給湯器(10)に設けられた外気温サーミスタである外気温センサ(S1,S2…Sn)と、該給湯器(10)に備えられた風量を計測するための質量流量センサ(V1,V2…Vn)とを備えて成り、
前記監視部(20)は、監視地域の高層建築物の前記外気温センサ(S1,S2…Sn)からの外気温情報に応じて、大気の逆転層の生成を判断するとともに、前記質量流量センサ(V1,V2…Vn)による大気密度の値とにより汚染濃度を予測して予報することを特徴とする大気情報予報装置(1)。
[4]高層建築物からの情報により大気の状態を予測する大気情報予報装置(1)であって、
監視部(20)と、該監視部(20)に遠隔接続され、高層建築物の各所に設けられた給湯器(10)に設けられた外気温サーミスタである外気温センサ(S1,S2…Sn)と、該給湯器(10)に備えられたファン(14)とを備えて成り、
前記監視部(20)は、監視地域の高層建築物の前記外気温センサ(S1,S2…Sn)からの外気温情報に応じて、大気の逆転層の生成を判断するとともに、前記ファン(14)の回転数と消費電力による大気密度の値とにより汚染濃度を予測して予報することを特徴とする大気情報予報装置(1)。
[5]前記監視部(20)は、予め大気の観測結果である温度データを記憶するデータ部(22)を備えて成り、
前記監視部(20)は、監視地域の高層建築物の前記外気温センサ(S1,S2…Sn)からの外気温情報と前記データ部(22)に記憶されたデータとを比較することによって、大気の逆転層の生成を判断することを特徴とする[1]〜[3]または[4]に記載の大気情報予報装置(1)。
[6]前記監視部(20)は、最低高度の外気温センサ(S1,S2…Sn)の示す温度から最高高度の外気温センサ(S1,S2…Sn)の示す温度までのデータ分布が所定の角度の勾配に近似するときは逆転層の生成を判断し、そのデータ分布の勾配が急角度であるときは逆転層の非生成を判断することを特徴とする[1]〜[3]または[4]に記載の大気情報予報装置(1)。
[7]前記監視部(20)は、地表面温度から最高高度の外気温センサ(S1,S2…Sn)の示す温度までのデータ分布が所定の角度の勾配に近似するときは逆転層の生成を判断し、そのデータ分布の勾配が急角度であるときは逆転層の非生成を判断することを特徴とする[1]〜[3]または[4]に記載の大気情報予報装置(1)。
[8]前記外気温センサ(S1,S2…Sn)は、給湯器(10)の動作停止から給湯熱の影響を受けなくなるまでの時間経過後のデータを使用することを特徴とする[2]〜[6]または[7]に記載の大気情報予報装置(1)。
[9]予報結果は、夏季は光化学スモッグ予報に、冬季は霜予報に利用することを特徴とする[1]〜[7]または[8]に記載の大気情報予報装置(1)。
[10]前記給湯器(10)に備えられた風量を計測するための質量流量センサ(V1,V2…Vn)または、ファン(14)の回転数と消費電力のデータ分布を検出し、風向風速動向により予報の方向性を判断することを特徴とする[2]〜[8]または[9]に記載の大気情報予報装置(1)。
[11]高層建築物からの情報により大気の状態を予測する大気情報予報装置(1)であって、
遠隔接続され高層建築物の各所に設けられた外気温センサ(S1,S2…Sn)からのデータを受信する入力部(21)と、判断部(23)と、前記判断部(23)からの予報に応じて警報を発する警報出力部(24)を備えて成り、
前記判断部(23)は、監視地域の高層建築物の前記外気温センサ(S1,S2…Sn)からの外気温情報に応じて、大気の逆転層の生成を判断して予報することを特徴とする大気情報予報装置(1)。
前記本発明は次のように作用する。
本発明に係る大気情報予報装置(1)は、高層建築物からの情報により大気の状態を予測するものである。高層建築物の各所に設けられた外気温センサ(S1,S2…Sn)によるそれぞれの高度での外気温情報は、遠隔接続された監視部(20)に送られる。高層建築物の住所等の地点情報や、部屋番号等に代表される階層による高度情報も当然に送られる。
監視部(20)は、監視地域の高層建築物の外気温センサ(S1,S2…Sn)からの高度別の外気温情報に応じて、大気の逆転層の生成を判断して予報する。または、監視部(20)は、監視地域の高層建築物の外気温センサ(S1,S2…Sn)からの高度別の外気温情報と、当該地域の地表面温度とに応じて、大気の逆転層の生成を判断して予報する。予報は、予め確認されている蓄積データと、外気温情報のデータ分布とを比較することによりなされる。または、外気温情報のデータ分布が所定の角度の勾配に近似するか否かによりなされる。概括的にいえば、各高度の温度に差がなければ、逆転層はできておらず、差があって所定の分布をしておれば逆転層ができている可能性があると判断される。または、地表面温度と各高度の温度とに差がなければ、逆転層はできておらず、差があって所定の分布をしておれば逆転層ができている可能性があると判断される。
高層建築物の各所に設けられた給湯器(10)に備え付けられている外気温サーミスタを外気温センサ(S1,S2…Sn)として用いる。この外気温センサ(S1,S2…Sn)によって測定された外気温情報が、地点情報と高度情報と共に監視部(20)に送られる。また、高層建築物の各所に設けられた給湯器(10)に備え付けられている外気温サーミスタである外気温センサ(S1,S2…Sn)に加えて、給湯器(10)に備えられた風量を計測するための質量流量センサ(V1,V2…Vn)からの風量情報も監視部(20)に送られる。風量の単位は、g/secである。
監視部(20)は、監視地域の高層建築物の外気温センサ(S1,S2…Sn)からの高度別の外気温情報に応じて、大気の逆転層の生成を判断するとともに、質量流量センサ(V1,V2…Vn)による大気密度とにより汚染濃度を予測して予報する。または、監視部(20)は、監視地域の高層建築物の外気温センサ(S1,S2…Sn)からの高度別の外気温情報と、当該地域の地表面温度とに応じて、大気の逆転層の生成を判断するとともに、質量流量センサ(V1,V2…Vn)による大気密度とにより汚染濃度を予測して予報する。
すなわち、監視部(20)は、最低高度から最高高度までの外気温センサ(S1,S2…Sn)の温度分布を検証し、最低高度から最高高度までの外気温センサ(S1,S2…Sn)の示す温度のデータ分布が所定の角度の勾配に近似するときは逆転層の生成を判断し、温度勾配が急角度であるときは逆転層の非生成を判断する。または、監視部(20)は、地表面温度から最高高度の外気温センサ(S1,S2…Sn)までの温度分布を検証し、地表面温度から最高高度の外気温センサ(S1,S2…Sn)の示す温度までのデータ分布が所定の角度の勾配に近似するときは逆転層の生成を判断し、温度勾配が急角度であるときは逆転層の非生成を判断する。
給湯器(10)が使用されていると、外気温サーミスタである外気温センサ(S1,S2…Sn)のデータに誤差が生ずるので、給湯器(10)の動作停止から給湯熱の影響を受けなくなるまでの時間経過後のデータを使用する。具体的には、例えば、各階に25室ある50階建てのビルであるとすると、0101号室(1階の1号室)から0125号室(1階の25号室)のうち、給湯器(10)の使用終了後4時間以上経過した器具の外気温センサ(S1,S2…Sn)のデータの平均値を1階のデータとすればよい。同様な方法で、50階までのデータを取得する。予報結果は夏季は光化学スモッグ予報に、冬季は霜予報に利用される。
また、各地点の給湯器(10)に備えられた風量を計測するための質量流量センサ(V1,V2…Vn)または、ファン(14)の回転数と消費電力のデータ分布を検出し、地域における風向風量動向や分布により予報の方向性を判断する。例えば風速が相当以上であると、逆転層は生成されない。また、風向の動向や分布を読むと、風の強弱の方向を推測することができ、光化学スモッグの移動を予測することもできる。給湯器には、単なる給湯器のほかに給湯暖房機や風呂装置なども含まれる。
また、大気情報予報装置(1)は、入力部(21)が遠隔接続され高層建築物の各所に設けられた外気温センサ(S1,S2…Sn)からのデータを受信し、判断部(23)は、監視地域の高層建築物の外気温センサ(S1,S2…Sn)からの外気温情報に応じて、大気の逆転層の生成を判断して予報し、警報出力部(24)は、その判断部(23)からの予報に応じて警報を発する。
本発明に係る大気情報予報装置によれば、高層建築物からの情報により大気の状態を予測するので、確実にデータを得ることができ、正確な大気の状態を予報することができる。高層建築物の各所に設置された給湯器の外気温サーミスタを外気温センサとして利用すれば、給湯器のもともとの機能を利用するので、安価簡便に大気情報予報装置を構成することができる。給湯器に備えられた風量を計測するための質量流量センサのデータを利用すれば、大気密度により汚染濃度をも予測することができ、より精度の高い大気の状態の予測をすることができる。さらに、質量流量センサのデータ分布を検出し、地域における風向風速動向や分布により予報の可能性を判断することができる。風速が相当以上であると、逆転層は生成されない。また、風向の動向や分布に応じて、光化学スモッグの移動を予測して、被害を未然に防止することができる。
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施の形態を説明する。
図1〜図5は本発明の一実施の形態を示している。
図2に示すように、各所の高層建築物の高度差のある各所に給湯器10が設置されており、給湯器10には、水管11と、水管11内を流れる水を加熱する熱交換器12と、燃焼部13とを備えており、給湯器10の燃焼室に送り込む空気の量(質量)を測るための質量流量センサVが設けられ、これによりファン14が運転制御される。また、給湯器10の周囲温度が下がり、水管11内の水が凍結して給湯器10が破損しないように図示されないヒーターの運転制御のための外気温サーミスタである外気温センサSが設けられている。外気温センサSおよび、質量流量センサVは多数箇所に設置された給湯器10に設けられているので、必要により、外気温センサS1,S2…Sn、質量流量センサV1,V2…Vnと呼ぶことにする。
図1に示すように、高層建築物の高度の違う各階や諸地域に給湯器10,10…が設置され、外気温センサS1,S2…Snおよび、質量流量センサV1,V2…Vnが設置されている。給湯器10,10…には、中継器T1,T2…Tnが設けられている。大気情報予報装置1は、これらセンサの情報と、住所またはGPS(衛星測位システム)等による地域情報、及び階層または部屋番号等による高度情報を公衆回線ネットワークLを介して監視部20に収集して大気の状態を予測するものである。地域情報には、給湯器10が設置されている方角をも含むようにしてもよい。監視部20は複数設けることができる。
外気温センサS1,S2…Snは、凍結温度を監視するためにもともと給湯器10に備えたものを利用することができる。質量流量センサV1,V2…Vnは、給湯器10の燃焼性能を監視するためにもともと設けられ、本来はファン14作動時におけるファン14からの送風量(燃焼室に送り込む送風量)を測るものである。給湯器10周囲に風がある時は、ファン14を回転させていなくても燃焼室に空気の流れが生じる。つまり、ファン14作動時におけるファン14からの送風量を測ることのみならず、給湯器10周囲のファン14以外の自然の風の情報を収集するのに質量流量センサV1,V2…Vnを利用することができる。質量流量センサV1,V2…Vnは、質量を流量として検出することにより風量を計測するものであり、質量を通じて空気の濃度も検出できるものである。
中継器T1,T2…Tnは、ターミナルアダプタ、モデム、ルータ、電話機等であり、公衆回線ネットワークLの仕様に応じたものである。公衆回線ネットワークLとしては、電話網、インターネット、独自ネットワーク等がある。
図3に示すように、外気温センサS1,S2…Snが遠隔接続される監視部20は、外気温センサS1,S2…Snからの高度別の外気温情報、質量流量センサV1,V2…Vnからの風速・空気濃度情報、それに地域情報、高度情報を公衆回線ネットワークLを介して受信することによって受け取る入力部21と、蓄積データを記憶するデータ部22と、データ部22のデータと外気温センサS1,S2…Snからの高度別の外気温情報および、質量流量センサV1,V2…Vnからの風速・空気濃度情報とを比較して大気の状態を判断する判断部23と、判断部23が逆転層の生成を判断したとき、警報信号を出力する警報出力部24とを備えている。
監視部20は、入力部21に入力される監視地域の高層建築物の外気温センサS1,S2…Snからの高度別の外気温情報と、地域情報および高度情報とを受け取り、その高度別の外気温情報とデータ部22の蓄積データとを判断部23により比較し、またはその外気温情報のデータ分布の角度により、大気の逆転層の生成を判断するとともに、質量流量センサV1,V2…Vnからの大気密度情報データに必要によりファン14の回転数等の情報を加えて、汚染濃度を予測して予報するものである。
または、監視部20は、入力部21に入力される監視地域の高層建築物の外気温センサS1,S2…Snからの高度別の外気温情報と、地域情報および高度情報とを受け取り、その高度別の外気温情報と当該地域の地表面温度とを判断部23によりデータ部22の蓄積データと比較し、またはその外気温情報とその地表面温度とのデータ分布の角度により、大気の逆転層の生成を判断するとともに、質量流量センサV1,V2…Vnからの大気密度情報データに必要によりファン14の回転数等の情報を加えて、汚染濃度を予測して予報するものである。
なお、質量流量センサV1,V2…Vnに代えて、ファン14の回転数と消費電力により、大気密度情報データを得ることもできる。大気密度が高いと仕事量が増えるので、大気密度とファン14の回転数および消費電力とは相関関係があるからである。
つまり、監視部20は、各地域での、最低高度の外気温センサS1,S2…Snから最高高度の外気温センサS1,S2…Snまでの温度分布を検証し、高度情報に基づく最低高度から最高高度までの外気温センサS1,S2…Snの示す温度のデータ分布がデータ部22の蓄積データと比較し近似するとき、または所定の角度の勾配に近似するときは逆転層の生成を判断し、温度勾配が急角度であるときは逆転層の非生成を判断するものである。
または、監視部20は、各地域での、地表面温度から最高高度の外気温センサS1,S2…Snまでの温度分布を検証し、高度情報に基づく地表面温度から最高高度の外気温センサS1,S2…Snの示す温度までのデータ分布がデータ部22の蓄積データと比較し近似するとき、または所定の角度の勾配に近似するときは逆転層の生成を判断し、温度勾配が急角度であるときは逆転層の非生成を判断するものである。
外気温センサS1,S2…Snは、給湯器10の動作停止から給湯熱の影響を受けなくなるまでの時間経過後のデータを使用し、予報結果は夏季は光化学スモッグ予報に、冬季は霜予報に利用することができる。
また、監視部20は、各地点の給湯器10に備えられた風量を計測するための質量流量センサV1,V2…Vnのデータ分布を検出し、地域における風向風速動向や分布により予報の可能性を判断する。風速が相当以上であると、逆転層は生成されない。また、風向の動向や分布に応じて、光化学スモッグの移動を予測することができる。
次に作用を説明する。
本発明に係る大気情報予報装置1は、高層建築物からの情報により大気の状態を予測するものである。各所の高層建築物の高度差のある各所に設けられた外気温センサS1,S2…Snおよび、風量を計測するための質量流量センサV1,V2…Vnは、住所またはGPS(衛星測位システム)等による地域情報、及び階層または部屋番号等による高度情報と関係付けられる。これら各所のデータは、中継器T1,T2…Tnから、公衆回線ネットワークLを介して、遠隔接続された監視部20に送られる。
監視部20は、監視地域の高層建築物の外気温センサS1,S2…Snからの外気温情報および、風量を計測するための質量流量センサV1,V2…Vnからの風量情報とに応じて、大気の逆転層の生成を判断して予報する。予報は、予め確認されているデータと、外気温情報のデータ分布とを比較することによりなされる。または、外気温情報のデータ分布が所定の角度の勾配に近似するか否かによりなされる。概括的にいえば、最低高度の温度又は各高度の外気温とに差がなければ、逆転層はできておらず、差があって所定の分布をしておれば逆転層ができている可能性があると判断される。ここで外気温の温度差とは、最低高度の外気温と各階の高度における外気温との差、又は各階の高度における外気温との差をいう。
または、監視部20は、監視地域の高層建築物の外気温センサS1,S2…Snからの外気温情報および、風量を計測するための質量流量センサV1,V2…Vnからの風量情報と、当該地域の地表面温度のデータとに応じて、大気の逆転層の生成を判断して予報する。予報は、予め確認されているデータと、外気温情報のデータ分布とを比較することによりなされる。または、外気温情報のデータ分布が所定の角度の勾配に近似するか否かによりなされる。概括的にいえば、地表面温度と各高度の外気温とに差がなければ、逆転層はできておらず、差があって所定の分布をしておれば逆転層ができている可能性があると判断される。ここで外気温の温度差とは、地表面温度と各階の高度における外気温との差、又は各階の高度における外気温との差をいう。
また、質量流量センサV1,V2…Vnからの風量情報であるデータが所定値以上であると、逆転層が発生することはないと判断される。
図4は、晴天の日における大気の観測結果のデータを示す図表であり、Aは外気温、各曲線についた数字は測定時刻、Cは高度(m)を表している。この図表によれば、6時の曲線が一定の勾配で外気温が分布していることから大気が停滞していると見られ、逆転層の生成が見られる。これに対し、12時の曲線は高度による外気温の温度差がなく、大気が混合して温度差がなくなっている混合層の生成が見られる。また、18時の曲線は、大気が停滞する方向に変化する様子が見られる。このように晴天の日には、日の出とともに、太陽からの熱で地面が熱せられるため、地面に接している大気の塊り(大気塊)は地面からの熱で暖められて膨張し、密度が小さくなって上昇する。このため、地表付近から気温が上昇して、日中には地表付近が高温で上空が低温という気温の鉛直分布が出現する。大気の上層と下層との間に温度差が生じることにより、上昇気流が発生して、鉛直方向に対流が発生する。この対流が発生している混合層では、地表付近で排出された汚染物質を含む大気塊は、対流により上空に運ばれて拡散し、大気汚染物質の濃度が薄まる。逆に、逆転層が生じている場合は、汚染物資が上空へ運ばれず地表面付近に堆積し、大気汚染濃度が高まる。また、冬の夜間などには、地面から空に向かって熱が放射されるため、地表付近は熱が奪われて冷え霜が降りることがある。この場合は、地表付近は低温で上空が高温となる。なお、図4内の高度150mのところに点線を引いているが、これは高層建築物50階の高さを表している。
図5は、図4における高層建築物の50階までの晴天の日における大気の観測結果の温度データを示す図表である。Aは外気温、各曲線についた数字は測定時刻、Bは数字の時刻での地表面温度、縦軸は高層建築物の階を表している。実際の高層建築物の高さには現実的な限りがあるので、図4に示したデータほど記憶している必要はなく、図5程度のデータがデータ部22に蓄積データとして記憶されている。もちろんのことながら、図4に示したデータを記憶していてもよい。
つまり、外気温情報は、高層建築物の各所に設けられた給湯器10に設けられた外気温サーミスタを外気温センサS1,S2…Snとして、この外気温センサS1,S2…Snから情報が監視部20に送られる。また、高層建築物の各所に設けられた給湯器10に設けられた外気温サーミスタである外気温センサS1,S2…Snに加えて、給湯器10に備えられた風量を計測するための質量流量センサV1,V2…Vnからの情報も監視部20に送られる。
監視部20では、監視地域の高層建築物の外気温センサS1,S2…Snからの高度別の外気温情報をデータ部22の蓄積データと判断部23で比較し、ファンを回転させていない時の質量流量センサVのデータと合わせて、大気の逆転層の生成を判断する。この判断とともに、ファンを回転させて、その時に器具内に流れると予想される風速(m/sec)と、質量流量センサVによる風量(g/sec)との関係から求められる大気密度とにより汚染濃度を予測して予報する。なお、データ部22の蓄積データを判断部23で比較することのみならず、外気温情報の温度分布が所定の角度の勾配に近似しているか否かによって判断できる。
または、監視部20では、監視地域の高層建築物の外気温センサS1,S2…Snからの高度別の外気温情報と、当該地域の地表面温度とをデータ部22の蓄積データと判断部23で比較し、ファンを回転させていない時の質量流量センサVのデータと合わせて、大気の逆転層の生成を判断する。この判断とともに、監視部20からの指示により、給湯器10を燃焼させていないにもかかわらず(つまり、お湯を沸かしていないにもかかわらず)、ファンを回転させる。その時に器具内に流れると予想される風速(m/sec)と、質量流量センサVによる風量(g/sec)との関係から求められる大気密度とにより汚染濃度を予測して予報する。なお、データ部22の蓄積データを判断部23で比較することのみならず、外気温情報の温度分布が所定の角度の勾配に近似しているか否かによって判断できる。
ここで、予測・予報に用いられる情報としては、(1)高度別外気温情報、(2)風量情報、(3)風向風速動向、(4)汚染濃度(風速(m/sec)と風量(g/sec)の比較)の4つを挙げた。この中で(1)は、大気の逆転層の生成を判断するのに必須の情報である。(2)は、(1)とともに大気の逆転層の生成を判断するのに用いる。(3)と(4)は、精度の向上、内容の充実等をさせるものである。より具体的には、霜の予想には、(4)の情報は不要である。(3)の情報も基本的には不要であるが、内容を充実させるために用いてもよい。なお、(1)は外気温センサS1,S2…Snからの外気温情報、(2)は質量流量センサVからのデータ、(3)は複数の質量流量センサV1,V2…Vnからのデータ、(4)も(3)と同じく複数の質量流量センサV1,V2…Vnからのデータにより得ることができる。
また、質量流量センサV1,V2…Vnに代えて、ファン14の回転数と消費電力をデータとして利用することができる。大気密度が高いと仕事量が増えるので、大気密度とファン14の回転数および消費電力とは相関関係があり、この関係から、得られた大気密度により汚染濃度を予測して予報する。
すなわち、監視部20は、最低高度から最高高度までの外気温センサS1,S2…Snの示す温度のデータ分布を蓄積データと比較し、またはその温度データ分布が所定の角度の勾配に近似するときは逆転層の生成を判断し、温度勾配が急角度であるときは逆転層の非生成を判断する。
または、監視部20は、地表面温度から最高高度までの外気温センサS1,S2…Snの示す温度のデータ分布を蓄積データと比較し、またはその温度データ分布が所定の角度の勾配に近似するときは逆転層の生成を判断し、温度勾配が急角度であるときは逆転層の非生成を判断する。
また、各地点の給湯器10に備えられた風量を計測するための質量流量センサV1,V2…Vnの地域における風向風速動向や分布により予報の可能性を判断する。風速が相当以上であると、逆転層は生成されない。また、風向の動向や分布を用いると、光化学スモッグの移動を予測することができる。
風向風速動向について説明する。同一階の給湯器10のファン14が回転していない時(つまり、非燃焼時)の質量流量センサVからのデータ分布が0より一定以上離れていない(偏差がない)状態であると、ほぼ風速0であると考えられる。逆に、質量流量センサVからのデータ分布が0より一定以上離れていれば、風があると判断できる。そして、風がある時は、建物の方向によって、風上は風圧が強く、風下は風圧が弱くなる。具体的には、北風の場合、北に面していれば風を強く感じるが、南に面していれば風は強くない。つまり、地域情報に含まれている給湯器10が設置されている方角及び質量流量センサVの分布を検出し、風向風速動向により、どちらの方角に警報を発しなければならないかという予報の方向性をも判断することができる。たとえば、建物の南側に設置されている給湯器10の質量流量センサVからのデータが0であるのに、他の北側、東側、又は西側に設置されている給湯器10の質量流量センサVからのデータが風があることを示すデータ分布である場合には、その北側、東側、又は西側に設置されている給湯器10の質量流量センサVからのデータより風速動向がわかり、南側が風下とわかることから風向動向がわかる。したがって、もしも汚染物質が発生している場合には南側に流れ込むことが予想される。
外気温サーミスタである外気温センサS1,S2…Snは、給湯器10内または給湯器10のケース外表面に取り付けられている。給湯器10が使用されていると、給湯器10内で燃焼が行われ、お湯を沸かすので、必然的に給湯器10自体が熱を持つ。このため、外気温サーミスタである外気温センサS1,S2…Snのデータは、外気の温度とは誤差が生じてしまう。したがって、給湯器10の動作停止から給湯熱の影響を受けなくなるまでの時間経過後のデータを使用する。つまり、給湯器10が動作しておらず、給湯器10の使用停止から一定時間が経過している場合に、外気温センサS1,S2…Snが検知するデータを監視部20に送付する。
具体的には、各階に25室ある50階建てのビルであるとすると、0101号室(1階の1号室)から0125号室(1階の25号室)のうち、給湯器10の使用終了後4時間以上経過した器具の外気温センサS1,S2…Snの外気温データだけを監視部20に送付する。この送付されてきた外気温データの平均値を1階の外気温データとすればよい。同様な方法で、50階までの外気温データを取得することができる。または、給湯器10の使用終了時の時刻データと外気温センサS1,S2…Snの外気温データの両方を受け取り、監視部20が給湯器10の使用終了後4時間以上経過した器具の外気温センサS1,S2…Snのデータだけを各階の平均値を求める計算に用いるようにしてもよい。この平均値を求める方法としては、単純加算平均法等が用いられる。
逆転層が生じている時は上空の空気の塊りが地上に落ちてくるので、予報結果は夏季は上空で発生した光化学スモッグが地上にそのままの形で落ちてきてどの程度の被害をもたらすかの予報に利用できる。更に、冬季は上空に来ている寒気団の冷たい空気の塊りが地上にそのままの形で落ちてくるので霜予報に利用される。ごみ焼却場で発生する焼却排ガスは煙突により上空にて大気に開放されるが、逆転層発生下では、この上空の排ガスは所定時間後にほぼ垂直に落下する。したがって、ごみ焼却場での夜間操業を制限して、ダイオキシンや夜間発生しやすい重粒子の大気汚染物質の落下を防止する。また、霜の発生が予報される場合は、霜が降りる前に農作物や植物の霜被害防止対策をすることができる。
なお、地表面温度の情報、上空に寒気団が来ているかどうかの情報の精度や大気密度測定の情報の精度を上げるための当該地域の気圧(ヘクトパスカル)等の情報は別途たとえば気象庁のデータを用いることにより、より利用範囲が広い情報・より精度の高い情報が得られる。これらは、公衆回線ネットワークLを用いて、気象庁のサーバー等から入手することもできる。
また、部屋番号(たとえば0321号室、1806号室の階を示す03や18を基に)から高度情報を求める方法としては、階を示す値に所定値、たとえば3(m)を乗じることで求めることもできる。
具体的には、たとえば、0421号室(4階)にある給湯器10の外気温センサSからは10度、1006号室(10階)にある給湯器10の外気温センサSからは16度、1813号室(18階)にある給湯器10の外気温センサSからは19度、2104号室(21階)にある給湯器10の外気温センサSからは23度…のデータが監視部20内の入力部21に送られてくると、判断部23は高度12mの気温は10度、高度30mの気温は16度、高度54mの気温は19度、高度63mの気温は23度…として判断できる。
なお、1つの高層建築物に取り付けられている複数の給湯器10からの情報を用いるだけであってもよいが、複数の高層建築物に取り付けられている複数の給湯器10からの情報を用いることによって、より広範囲で精度の高い予報を行うことができる。
外気温センサSのデータと併せて送られる地点情報や部屋番号等は、例えば給湯器10の製造ロット番号としてもよい。この場合、予め給湯器10が備え付けられた際又は給湯器10が売られた際に、製造ロット番号と地点情報や部屋番号等が関係付けられたデータをデータベースに格納しておく。監視部20では、そのデータベースを用いて、製造ロット番号から地点情報や部屋番号等を検索するようにしてもよい。製造ロット番号の代わりに顧客番号等であってもよい。
前記実施の形態では、給湯器で説明をしたが、同様の装備を備えた給湯暖房機や風呂装置などでも良いことはいうまでもない。
本発明の一実施の形態に係る大気情報予報装置を示す概念ブロック図である。 本発明の一実施の形態に係る大気情報予報装置に利用する給湯器の概念図である。 本発明の一実施の形態に係る大気情報予報装置の監視部を示す概念ブロック図である。 本発明の一実施の形態に係る大気情報予報装置の監視部のデータ部へ蓄積する大気の観測結果のデータを示す図表である。 本発明の一実施の形態に係る大気情報予報装置の監視部のデータ部へ蓄積する大気の観測結果のデータ(50階までのデータ)を示す図表である。
符号の説明
L…公衆回線ネットワーク
T…中継器
S…外気温センサ
V…質量流量センサ
1…大気情報予報装置
10…給湯器
11…水管
12…熱交換器
13…燃焼部
14…ファン
20…監視部
21…入力部
22…データ部
23…判断部
24…警報出力部

Claims (11)

  1. 高層建築物からの情報により大気の状態を予測する大気情報予報装置であって、
    監視部と、該監視部に遠隔接続され、高層建築物の各所に設けられた外気温センサとを備えて成り、
    前記監視部は、監視地域の高層建築物の前記外気温センサからの外気温情報に応じて、大気の逆転層の生成を判断して予報することを特徴とする大気情報予報装置。
  2. 高層建築物からの情報により大気の状態を予測する大気情報予報装置であって、
    監視部と、該監視部に遠隔接続され、高層建築物の各所に設けられた給湯器に設けられた外気温サーミスタである外気温センサとを備えて成り、
    前記監視部は、監視地域の高層建築物の前記外気温センサからの外気温情報に応じて、大気の逆転層の生成を判断して予報することを特徴とする大気情報予報装置。
  3. 高層建築物からの情報により大気の状態を予測する大気情報予報装置であって、
    監視部と、該監視部に遠隔接続され、高層建築物の各所に設けられた給湯器に設けられた外気温サーミスタである外気温センサと、該給湯器に備えられた風量を計測するための質量流量センサとを備えて成り、
    前記監視部は、監視地域の高層建築物の前記外気温センサからの外気温情報に応じて、大気の逆転層の生成を判断するとともに、前記質量流量センサによる大気密度の値とにより汚染濃度を予測して予報することを特徴とする大気情報予報装置。
  4. 高層建築物からの情報により大気の状態を予測する大気情報予報装置であって、
    監視部と、該監視部に遠隔接続され、高層建築物の各所に設けられた給湯器に設けられた外気温サーミスタである外気温センサと、該給湯器に備えられたファンとを備えて成り、
    前記監視部は、監視地域の高層建築物の前記外気温センサからの外気温情報に応じて、大気の逆転層の生成を判断するとともに、前記ファンの回転数と消費電力による大気密度の値とにより汚染濃度を予測して予報することを特徴とする大気情報予報装置。
  5. 前記監視部は、予め大気の観測結果である温度データを記憶するデータ部を備えて成り、
    前記監視部は、監視地域の高層建築物の前記外気温センサからの外気温情報と前記データ部に記憶されたデータとを比較することによって、大気の逆転層の生成を判断することを特徴とする請求項1〜3または4に記載の大気情報予報装置。
  6. 前記監視部は、最低高度の外気温センサの示す温度から最高高度の外気温センサの示す温度までのデータ分布が所定の角度の勾配に近似するときは逆転層の生成を判断し、そのデータ分布の勾配が急角度であるときは逆転層の非生成を判断することを特徴とする請求項1〜3または4に記載の大気情報予報装置。
  7. 前記監視部は、地表面温度から最高高度の外気温センサの示す温度までのデータ分布が所定の角度の勾配に近似するときは逆転層の生成を判断し、そのデータ分布の勾配が急角度であるときは逆転層の非生成を判断することを特徴とする請求項1〜3または4に記載の大気情報予報装置。
  8. 前記外気温センサは、給湯器の動作停止から給湯熱の影響を受けなくなるまでの時間経過後のデータを使用することを特徴とする請求項2〜6または7に記載の大気情報予報装置。
  9. 予報結果は、夏季は光化学スモッグ予報に、冬季は霜予報に利用することを特徴とする請求項1〜7または8に記載の大気情報予報装置。
  10. 前記給湯器に備えられた風量を計測するための質量流量センサまたは、ファンの回転数と消費電力のデータ分布を検出し、風向風速動向により予報の方向性を判断することを特徴とする請求項2〜8または9に記載の大気情報予報装置。
  11. 高層建築物からの情報により大気の状態を予測する大気情報予報装置であって、
    遠隔接続され高層建築物の各所に設けられた外気温センサからのデータを受信する入力部と、判断部と、前記判断部からの予報に応じて警報を発する警報出力部を備えて成り、
    前記判断部は、監視地域の高層建築物の前記外気温センサからの外気温情報に応じて、大気の逆転層の生成を判断して予報することを特徴とする大気情報予報装置。
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