JP2006147806A - 多接合型光電変換素子の特性制限要素セルの判定方法 - Google Patents

多接合型光電変換素子の特性制限要素セルの判定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006147806A
JP2006147806A JP2004335133A JP2004335133A JP2006147806A JP 2006147806 A JP2006147806 A JP 2006147806A JP 2004335133 A JP2004335133 A JP 2004335133A JP 2004335133 A JP2004335133 A JP 2004335133A JP 2006147806 A JP2006147806 A JP 2006147806A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell
spectral
current
element cell
photoelectric conversion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004335133A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4617141B2 (ja
Inventor
Akihiko Nakajima
昭彦 中島
Masahiro Goto
雅博 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Priority to JP2004335133A priority Critical patent/JP4617141B2/ja
Publication of JP2006147806A publication Critical patent/JP2006147806A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4617141B2 publication Critical patent/JP4617141B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

【課題】 複数の要素セルから構成される多接合太陽電池において、目的とするスペクトル条件下で例えば電流などの特性を制限する要素セルを正確に判定する方法を提供すること。
【解決手段】 試験セルの各要素セルと同等の分光感度を有する複数の疑似要素セルについて、特定スペクトル状態での短絡電流を測定し校正値とする工程、前記特定スペクトル条件に近い2点のスペクトル状態の試験光源下で、前記複数の疑似要素セルの短絡電流を測定し前記校正値により規格化する工程、前記特定スペクトル条件に近い2点のスペクトル状態の試験光源下で、前記試験セルの該特性を取得する工程、以上から2点のスペクトル状態間での特性の変化率である勾配を計算する工程、前記勾配の値により特性制限要素セルを判定する工程を含むことを特徴とする多接合光電変換素子試験セルの特性制限要素セルの判定方法とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、対象となる特定スペクトル条件下において、複数の要素セルからなる光電変換素子の内で、特性例えば電流が最も小さくなる要素セルを判定する方法に関するものである。
近年では薄膜太陽電池も多様化し、従来の非晶質薄膜太陽電池に加えて結晶質薄膜太陽電池も開発されている。薄膜太陽電池の変換効率を向上させる方法として、2以上の光電変換ユニット(以下要素セルと呼ぶ)を積層して多接合型(またはタンデム型とも呼ぶ)にする方法がある。この方法においては、薄膜太陽電池の光入射側に大きなバンドギャップを有する光電変換層を含む前方要素セルを配置し、その後方に順に小さなバンドギャップを有する光電変換層を含む後方要素セルを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたって光電変換を可能にし、これによって太陽電池全体としての変換効率の向上が図られる。
このような多接合型光電変換素子は、複数の半導体接合からなる要素セルが積層した構造を有するものである。積層した要素セルは、直列接続あるいは並列接続を形成してなる。多接合型光電変換素子としては、太陽電池、フォトダイオード、センサー等が挙げられる。半導体接合の種類としては、pn接合、pin接合、MIS接合等が挙げられる。半導体材料としては、結晶質、多結晶質、微結晶質、非晶質のものが挙げられる。また、半導体物質としては、Si、SiGe、Ge、SiC、Cなどの4族あるいは化合物、GaAs、GaAlAs、InP、などの3−5族化合物、CdTe、CdS、Cu2S、Cu2O、ZnO、ZnSeなどの2−6族化合物、CuIn(S,Se)2、Cu(Ga,In)(S,Se)2、InGaNなどの化合物、有機半導体など、あるいは上記の化合物が挙げられる。
しかしながら、多接合型の光電変換素子の出力特性を正確に測定することには技術的な困難性が伴う。多接合太陽電池の出力電流及び最大出力電力は、出力電流が最も小さくなる光電変換ユニット(以下単に要素セルと記す)で制限される事が、最も大きな理由である。例えば、二つの要素セルを積層し直列に接続したタンデム型の太陽電池では、各要素セルの波長感度帯域が異なるため、光源の分光放射スペクトルの変化により、電流制限を受ける要素セルがいずれかに変化する。
電流制限の程度によって、太陽電池の出力特性は変化する。電流制限の程度は、光源の分光放射スペクトルの変化の影響を直接受けるので、これが多接合太陽電池の出力特性のスペクトル依存性として現れる。対象となるスペクトル条件下において、各要素セルから得られるはずの出力電流と、それに基づくタンデム型太陽電池の出力特性を、従来の単接合型太陽電池で用いられるスペクトルミスマッチ補正で検証することは困難である。これは、同時に対象となるスペクトル条件下において、いずれの要素セルによって電流制限を受けるかを確認することが困難であることと同義である。
一方で、多接合型の光電変換素子の電流制限を受ける要素セルを判定することは以下の理由から非常に重要である。
例えば、多接合太陽電池の要素セルの電流制限の程度の差異により、光源スペクトルの変化に対する出力特性の依存性には相違が生じる。屋外太陽光の分光放射スペクトルはエアマス及び大気混濁度、可降水量の影響を受けて変化するので、一日あるいは1年の間で周期的にスペクトル条件が変化することが知られている。多接合太陽電池の要素セルの電流制限の程度は、屋外太陽光下で高い出力が得られるように設計されるはずである。製造条件の変動により要素セル間の電流制限の程度は変移するので多接合太陽電池の出荷時の検査の際に、電流制限の程度が出荷規格の範囲にない場合、規格外品とされなければならない。しかし、電流制限の程度が正確に判定されなければ、屋外での規格出力を保障することが困難となる。また、製造工程の変化が電流制限の程度に与える影響が不明確であると、製品の品質を一定に保つための製造工程の安定化が困難となる。
(基準状態)
光電変換装置においては、上述したような規格のための太陽光照射条件として、基準状態の特性を用いることが一般に行われている。基準状態とは、以下の条件で規定される状態である。
(1)セル温度 25℃
(2)分光分布 AM1.5全天日射基準太陽光
(3)放射照度 100mW/cm2
ところが、測定光源として、屋外太陽光や近似太陽光光源を用いても基準スペクトルに合致する分光放射スペクトルを得ることは非常に困難である。基準スペクトルは、エアマス、大気混濁度、及び可降水量等が一定の大気条件の場合のスペクトルとして定義されており、屋外太陽光から基準スペクトルを得る機会は非常に限定されている。まして、近似太陽光光源のスペクトルは、入手可能なランプの分光放射スペクトルに光学フィルタによる修正を行って基準スペクトルに近似させているに過ぎないので、基準スペクトルそのものを得ることは不可能である。
以上は、基準スペクトルのみならず、対象となる定められた特定の分光放射スペクトル下での出力特性を得る事が困難であり、また、各要素セルの出力電流並びに要素セル間の電流制限の状態の程度を正確に予測する事が難しい事と同義である。
さらに、近似太陽光光源下で特定の要素セルの電流を増加するように光源の分光放射スペクトルを変化させて電流制限を受ける要素セルを判定しようとした場合においても、近似太陽光光源のスペクトル条件が特定されていなければ、電流制限を受ける要素セルを決定する際の光源の条件が曖昧なものとなってしまう。すなわち、電流制限を受ける要素セルを正確に判定するには、光源のスペクトル条件の定量化と、かかるスペクトル条件下での各要素セルの出力電流の正確な評価技術を要し、多接合太陽電池の基準状態下での出力測定と実質的に同等の技術課題を解決しなければならない。
非特許文献1には、多接合太陽電池の要素セルの出力電流を推定する方法としては、要素セルと相対分光感度が一致した単接合型光電変換素子を擬似要素セルとして用いる方法が提案されている。擬似要素セルは、相対分光感度を模擬するために複数の光学フィルタと光電変換素子の組み合わせしたものが用いられる。近似太陽光光源下で擬似要素セルの短絡電流値を測定し、擬似要素セルの校正値で補正する事により光源の放射照度が求められ、結果として試料の要素セルの電流値を推定できるはずである。
R. Shimokawa, F. Nagamine, M. Nakata, K. Fujisawa and Y. Hamakawa: Jpn. J. Appl. Phys. 28 (1989) L845
本発明は、上述の問題を個々にあるいは包括的に解決するためのもので、測定対象である多接合太陽電池の種類や接合数、及び光電変換素子の受光面積に関わらず、対象となる特定スペクトル条件下での大面積太陽電池モジュールなどの例えば電流などの特性を制限する要素セルを正確に決定できるようにすることを目的とする。
本発明の判定方法は、複数の要素セルを積層した多接合型光電変換素子からなる試験セルの特定スペクトル状態での特性制限要素セルの判定方法であって、前記試験セルの各要素セルと同等の分光感度を有する複数の疑似要素セルについて、前記特定スペクトル状態での短絡電流を測定し校正値とする工程、前記特定スペクトル条件に近い2点のスペクトル状態の試験光源下で、前記複数の疑似要素セルの短絡電流を測定し前記校正値により規格化する工程、前記特定スペクトル条件に近い2点のスペクトル状態の試験光源下で、前記試験セルの該特性を取得する工程、下記(式1)から勾配Bを計算する工程、前記勾配Bの値により特性制限要素セルを判定する工程を含むことを特徴とする多接合光電変換素子試験セルの特性制限要素セルの判定方法である。
つまり、2点のスペクトル状態間での特性の変化率である勾配を計算する工程、前記勾配の値により特性制限要素セルを判定する工程を含むことを特徴とする多接合光電変換素子試験セルの特性制限要素セルの判定方法である。
Figure 2006147806
前記特性としては電流であることが好ましい。
また、前記特定スペクトル条件に近い2点のスペクトル状態が、試験光源と前記試験セルとの間に光学的フィルターを挟むか、挟まないかにより得られる2点のスペクトル状態であると、簡便な多接合光電変換素子試験セルの特性制限要素セルの判定方法となる。
さらに、スペクトル条件の変更は、試験光源として近似太陽光光源を用いて、エアマスフィルタ、光学フィルタ、補助光源、複数光源、及び光源パルス幅から選ばれる少なくとも1つを調整する事により実現することもできる。
本発明の判定方法では、正確かつ簡便に、複数の要素セルを積層した多接合型光電変換素子からなる試験セルの特定スペクトル状態での特性制限要素セルを判定することができる。
また、本発明の判定方法は、試料と同一の光学構造を有する多接合太陽電池の出力特性のスペクトル依存性を用いて、広がり角の相違する光源の実効的なスペクトル条件を見積もるものであり、対象となるスペクトル条件下での電流が最も小さくなる要素セルを正確に決定する事が出来る。
本発明者は、上述した従来技術を多接合光電変換素子の電流制限要素セルの判定に適用しようとした結果、以下に述べる問題があることを発見し、本発明を考案するに到った。
つまり、非特許文献1の要素セルと相対分光感度が一致した単接合型光電変換素子を擬似要素セルとして用い、その校正値で補正する事により基準状態に近いスペクトル条件を得ようとしても、実際には光源の広がり角や擬似要素セルと試料構造の差異により試料が受ける放射照度に差異が生じてしまう。特に試料として1m2程度の有効面積を有する太陽電池モジュールは機械強度を確保するために4mm厚程度のガラス基板が太陽電池前面に配置されるので、光源が厳密に並行光で無い場合には各波長の光の屈折の差異によりモジュールが受ける実効的な分光放射スペクトルは擬似要素セルが受光するものと異なってくるということを見出した。
以下、本発明の判定方法の例として、実施の最良の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
(測定方法)
本発明の多接合光電変換素子の電流制限要素セルの判定方法においては、対象となる特定のスペクトル条件近傍での2点の照射光源スペクトルの状態を表す電流比の変化に対する出力特性の変化率を用いて、多接合太陽電池を構成する要素セルのうち最も出力電流が小さくなるものを判定する。
具体的には、対象となるスペクトル条件近傍で、スペクトル条件を微小に変化させて異なる条件2点の下で測定した多接合太陽電池の出力特性について、同時に測定した擬似要素セルから得られる短絡電流の要素セル間の比の変化に対する比率を求める。その方法について説明するために以下に多接合光電変換素子のスペクトル依存性について説明する。
(スペクトル依存性)
ここでまず、具体的に、多接合太陽電池のスペクトル依存性について実際の例に基づいて説明する。要素セルが直列に接続された場合、多接合太陽電池の出力特性は電流を制限する要素セルにより制限される。図2は図1で示した相対分光感度を有するタンデム型太陽電池のスペクトル依存性の一例である。
この図2はキセノンランプ、ハロゲンランプ、及び光学フィルタ等からなる近似太陽光光源下においてランプ光量等の調整により放射スペクトルを変化させたときの太陽電池の各出力の測定結果(縦軸)である。そして横軸は、タンデム型太陽電池の各要素セルであるトップ層、及びボトム層の分光感度と相対的に一致した分光感度を有する各擬似要素セルの各々の放射スペクトル条件下での短絡電流から求まる値である。
ここで、トップ用の擬似要素セルとしては単接合型アモルファスシリコン太陽電池に、複数の色ガラスフィルターを付与したものを用い、タンデム型太陽電池のトップ層の相対分光感度と実質的に一致させている。また、ボトム用の擬似要素セルとしては単接合型微結晶シリコン太陽電池に色ガラスフィルターを付与し、タンデム型太陽電池のボトム層の相対分光感度と実質的に一致させている。
そして、図2の横軸のIb/Itはここでは特定のスペクトル状態として基準状態を例としており各要素セルの光電流がバランスしているタンデム型太陽電池の電流ミスマッチ比に該当し、光源の基準状態からのズレを表し、1の時には基準状態である。つまり、基準状態において各要素セルの光電流がバランスしているタンデム型太陽電池に対しては、光源スペクトルの基準状態からの差異により、1より小さいときにはスペクトルによるトップ層電流過多、1より大きいときはスペクトルによるボトム電流過多の状態を反映している状態である。
ここで、It、及びIbの具体的な値としてはそれぞれ、近似太陽光光源下で各擬似要素セルが出力する短絡電流値を、基準状態下での各疑似要素セルの短絡電流地(校正値)で除算したものであり、具体的な短絡電流値としてItm、及びIbmが以下の(式2)が成り立つように近似太陽光光源のスペクトルはランプ照度が調整される。
Figure 2006147806
つまり、ItmとIbmは基準状態に近い但し青赤比があっていない状態の近似太陽光光源下でのトップ擬似要素セルとボトム擬似要素セルの短絡電流値。It0とIb0は基準状態に近く青赤比があっている状態のトップ擬似要素セルとボトム擬似要素セルの短絡電流値であって一般に校正値と呼ばれる。δは基準状態からの変化率を表す。
上式に基づくスペクトル依存性の評価方法は、多接合太陽電池の基準状態からの変化率として出力特性のスペクトル依存性を評価する手法であるため、高精度で再現良くスペクトル依存性を提供する手法である。
(電流制限要素セルの判定方法)
さて、多接合型光電変換素子の1例であるトップセル、及びボトムセルからなる2段タンデム太陽電池においては、短絡電流はトップセルとボトムセルの電流が一致するスペクトル条件下で最大となる。要素セル間の電流が異なる場合、多接合太陽電池の電流は出力電流が小さい方で制限される。より具体的には、最大出力Pmaxは最大出力点電圧Vmaxで得られる要素セルの出力電流の最小値で制限されることになる。Pmaxのスペクトル依存性も短絡電流のスペクトル依存性と同様に要素セル間の電流が一致するときに最大値となる。例えば、図2で例示したタンデム型太陽電池の短絡電流及び最大出力は、要素セル間の電流比(Ib/It)が1.05より大きい範囲においてはトップセルの電流(It)で制限され、以下(式1)で示される勾配率Bは負となる。
Figure 2006147806
ここで、P1とP2は、それぞれ対象となるスペクトル条件近傍での異なる2つのスペクトル条件で測定した出力特性を表す。(Ib/It)1と(Ib/It)2はそれぞれ異なる2つのスペクトル条件に相当する疑似要素セル間の電流比を表す。
一方、電流比(Ib/It)が0.95より小さい範囲においてはボトムセルの電流(Ib)で制限され上式で求められる勾配率Bは正となる。短絡電流や最大出力がピークとなる電流比は異なるが、ピークが得られる条件下では勾配率Bは実質的にゼロに漸近する。従って、電流制限に寄与する2組の要素セルの電流比に対する出力特性の勾配率を求めて、符号を判定する事によって、対象となるスペクトル条件下で電流制限を受ける要素セルを決定する事が出来る。
ここで照射光源のスペクトル状態を表す電流It及びIbは、要素セルと相対的に分光感度が一致する擬似要素セルを用いて測定される値である。
(擬似要素セル)
次に擬似要素セルについて説明する。本発明における、擬似要素セルは、多接合太陽電池を構成する要素セルと実質的に同等の相対分光感度を有するものである。単接合太陽電池に光学フィルタ等を重積する事により、擬似的に分光感度を模擬して作製した基準セルの一つである。さらに好ましくは、要素セルの放射照度に対する非線形性の影響を抑制するために、擬似要素セルを構成する単接合太陽電池の材料は要素セルと同じものであっても良い。
擬似要素セルの基準状態下の校正値は、前記の基準状態が確認された条件下で測定されて得られたものでなければならない。前記校正値を再現するように光源の放射照度を調整する事により、要素セルの基準スペクトル条件を確認する事が可能となる。さらに、対象となる任意のスペクトル条件における電流値は、基準スペクトルに対するスペクトルミスマッチ因子を用いて補正する事が可能であり、各擬似要素セルに対して補正を実施し、擬似要素セル間の電流比を求める事により、対象となるスペクトル条件に対応する電流比を、擬似要素セルを用いる事で決定する事が可能となる。
多接合太陽電池において電流制限している要素セルを決定する方法について、図3を用いて説明する。本発明の方法においては必要となるのは、試験セル、校正値付けされた疑似要素セル、及びスペクトル状態が可変な試験光源等である。まず、疑似要素セルについて説明する。
(疑似要素セルの作製)
ガラス基板上にトップ層(アモルファスシリコンセル)とボトム層(薄膜微結晶シリコンセル)の積層構造を有するタンデム型太陽電池を作製した。得られたタンデム型太陽電池について、カラーバイアス光を重責しながら単色光を照射することで、図1の実線に示したトップ層とボトム層の相対分光感度特性を得た。
トップ層の分光感度と相対的に一致する擬似要素セルを作製するために、ガラス基板上に単接合アモルファスシリコン太陽電池を作製し、CAW500(HOYA製)のガラスフィルターをセル上面に取り付けた。相対分光感度の合致度を向上させるために、アモルファスシリコンi層の膜厚について3000Aを中心に変化させた。
また、ボトム層の分光感度と相対的に一致する擬似要素セルを作製するために、ガラス基板上に単接合型薄膜微結晶シリコン太陽電池を作製し、A71(ATG製)とM30(HOYA製)のガラスフィルターをセル上面に取り付けた。相対分光感度の合致度を向上させるために、薄膜微結晶シリコンi層の膜厚について2μmを中心に変化させた。
(疑似要素セルの値付け)
トップ層とボトム層の擬似要素セルは、光照射により安定化させた後に(財)日本品質機構(JQA)にて、基準状態における校正値としての短絡電流の値付けを行った。
(試験セルのスペクトル依存性の測定)
次に、本発明の測定方法により電流律速要素セルが判定可能であることを確認するために、3個の試験セル(タンデム型太陽電池1、2、及び3)について、そのスペクトル依存性を予め測定し、スペクトル条件と電流律速要素セルとの正しい状況を把握した。
具体的には、トップ層及びボトム層の膜厚がそれぞれ異なる3種類のタンデム型太陽電池のスペクトル依存性を調べた。タンデム型太陽電池のIV特性のスペクトル依存性を評価するために、2灯式光源のキセノンランプとハロゲンランプの照度を変化させた。
電流比が0.818となる放射照度条件となるように、トップ層用擬似要素セルから校正値の1.1倍の短絡電流が、ボトム層用擬似要素セルから校正値の0.9倍の短絡電流が同時に得られるように調整し、タンデム型太陽電池のIV特性を測定した。
同様にして、電流比が0.8から1.2の範囲で2灯式光源のスペクトル条件を変化させる事により、図3の実線で示した短絡電流Iscに関するスペクトル依存性がえられた。ここで、電流比の範囲は、各要素セルの電流値の変化の範囲が約±10%である事を前提としている。これは、電流比が0.8より小さいか、または1.2より大きい範囲では要素セルの出力電流が基準状態で得られる電流値に対して10%以上変化するため、要素セルの放射照度に対する線形性が保証されなくなる事が理由である。
各要素セルのIscのピークが得られる電流比は異なっていた。トップ層とボトム層の電流が一致する擬似要素セルの電流比の相違は、3種のタンデム型太陽電池のトップ層とボトム層の電流比の差異に起因する。
(実施例)
前述した1、2及び3の3種のタンデム型太陽電池について、基準スペクトル条件下で電流制限を受ける要素セルを決定するために、短絡電流の電流比に対する勾配率を求めた。
まず、図2のスペクトル依存性を有するタンデム型太陽電池を用いて、製造ラインで用いられる1灯式のショートパルス型のキセノン拡散光源を用いてIV測定を行った。
その際、照射面に校正値が44.9mAのトップ用擬似要素セルと、校正値が24.4mAのボトム用擬似要素セルを配置して短絡電流を測るとそれぞれ37.5mAと18.9mAが得られた。またタンデム型太陽電池1、2、及び3について短絡電流を測定すると、それぞれ0.499A、0.503A、及び0.478Aであった。
次に、多接合太陽電池と光源の間に、光学的フィルターとして屈折率分散の大きいフィルムを配置し太陽電池が受光する光源の放射照度分布を変化させた結果、照射面に配置したトップ用擬似要素セルとボトム用擬似要素セルの短絡電流はそれぞれ34.4mAと17.8mAに変化した。その状態で、タンデム型太陽電池1、2、及び3について短絡電流を測定すると、それぞれ0.475A及び0.449A、0.454Aであった。
ここで、フィルム設置後にはフィルムの透過率分だけ全ての要素セルの出力電流は低下するので、実質的に図3のスペクトル依存性と同等の電流値を得るために、フィルム導入前後の各疑似要素セルの短絡電流の比の相乗平均である照度補正値Gを以下の(式3)によって求め、さらにGを用いてフィルム設置後の短絡電流を求める必要がある。
Figure 2006147806
この場合には、照度補正値Gとして1.092の値が得られた。
最後に、以下(式4)を用いて勾配率Bを求めた。この(式4)は前述した(式1)において異なる2つのスペクトル条件で測定した出力特性であるP1とP2が、短絡電流であるときに相当する。
Figure 2006147806
ここで、I0とIfはそれぞれフィルム設置前とフィルム設置後のタンデム型太陽電池の短絡電流を表す。また、(Ib/It)0と(Ib/It)fは、それぞれフィルム設置前後のトップ用擬似要素セルの短絡電流に対するボトム用擬似要素セルの短絡電流の電流比を表す。また、ItcalとIbcalはそれぞれトップ用擬似要素セルとボトム用擬似要素セルの校正値を表す。タンデム型太陽電池1及び2、3について、フィルムを配置する前後での短絡電流の変化から、前記電流比の変化を用いて勾配率を計算するとそれぞれ、0.00(接線6の勾配)及び−0.22(接線7の勾配)、0.31(接線8の勾配)が得られた。
勾配率から判定される基準スペクトル条件で電流制限を受ける要素セルは、タンデム型太陽電池1は勾配率がゼロに近いので実質的に電流が同等、タンデム型太陽電池2は勾配率が負であるためトップ層で制限、タンデム型太陽電池3は勾配率が正であるためボトム層で制限されることが分かった。以上の結果は図3で示した各モジュールに対するスペクトル依存性の結果と一致した。
本発明による判定方法により、対象となるスペクトル条件下での出力特性に対する勾配率を用いて、電流制限を受ける要素セルを正確に決定する事が出来た。
タンデム型太陽電池の相対分光感度の一例である。 タンデム型太陽電池のスペクトル依存性の一例である。 本発明の律則判定法を説明する概略図である。
1 タンデム型太陽電池のトップセルの相対分光感度
2 タンデム型太陽電池のボトムセルの相対分光感度
3 基準スペクトル条件下で短絡電流が電流マッチングとなるタンデム型太陽電池1のスペクトル依存性
4 基準スペクトル条件下で短絡電流がトップセルで制限されるタンデム型太陽電池2のスペクトル依存性
5 基準スペクトル条件下で短絡電流がボトムセルで制限されるタンデム型太陽電池3のスペクトル依存性
6 タンデム型太陽電池1の基準スペクトル条件での電流比に対する接線
7 タンデム型太陽電池2の基準スペクトル条件での電流比に対する接線
8 タンデム型太陽電池3の基準スペクトル条件での電流比に対する接線

Claims (3)

  1. 複数の要素セルを積層した多接合型光電変換素子からなる試験セルの特定スペクトル状態での特性制限要素セルの判定方法であって、
    該試験セルの各要素セルと同等の分光感度を有する複数の疑似要素セルについて、該特定スペクトル状態での短絡電流を測定し校正値とする工程、
    該特定スペクトル条件に近い2点のスペクトル状態の試験光源下で、該複数の疑似要素セルの短絡電流を測定し該校正値により規格化する工程
    該特定スペクトル条件に近い2点のスペクトル状態の試験光源下で、該試験セルの該特性を取得する工程、
    下記(式1)から勾配Bを計算する工程、
    該勾配Bの値により特性制限要素セルを判定する工程を含むことを特徴とする多接合光電変換素子試験セルの特性制限要素セルの判定方法。
    Figure 2006147806
  2. 前記特性が電流であることを特徴とする請求項1に記載の多接合光電変換素子試験セルの特性制限要素セルの判定方法。
  3. 前記特定スペクトル条件に近い2点のスペクトル状態が、試験光源と前記試験セルとの間に光学的フィルターを挟むか、挟まないかにより得られる2点のスペクトル状態であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の多接合光電変換素子試験セルの特性制限要素セルの判定方法。
JP2004335133A 2004-11-18 2004-11-18 多接合型光電変換素子の特性制限要素セルの判定方法 Active JP4617141B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004335133A JP4617141B2 (ja) 2004-11-18 2004-11-18 多接合型光電変換素子の特性制限要素セルの判定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004335133A JP4617141B2 (ja) 2004-11-18 2004-11-18 多接合型光電変換素子の特性制限要素セルの判定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006147806A true JP2006147806A (ja) 2006-06-08
JP4617141B2 JP4617141B2 (ja) 2011-01-19

Family

ID=36627149

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004335133A Active JP4617141B2 (ja) 2004-11-18 2004-11-18 多接合型光電変換素子の特性制限要素セルの判定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4617141B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011155225A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Dainippon Screen Mfg Co Ltd 太陽電池評価装置および太陽電池評価方法
WO2012090359A1 (ja) * 2010-12-28 2012-07-05 コニカミノルタセンシング株式会社 擬似参照セルおよび擬似参照セルシステム
JP2012186415A (ja) * 2011-03-08 2012-09-27 Kanazawa Inst Of Technology 光電変換素子の製造方法、光電変換素子およびタンデム型光電変換素子

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02254376A (ja) * 1989-03-28 1990-10-15 Sharp Corp 積層型太陽電池の特性測定方法
JP2002111030A (ja) * 2000-07-05 2002-04-12 Canon Inc 光電変換デバイスの、光電変換特性の測定または予測方法、および、スペクトル依存性の定量化方法、並びに、それらの装置
JP2002111029A (ja) * 2000-07-04 2002-04-12 Canon Inc 光電変換特性の測定方法およびその装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02254376A (ja) * 1989-03-28 1990-10-15 Sharp Corp 積層型太陽電池の特性測定方法
JP2002111029A (ja) * 2000-07-04 2002-04-12 Canon Inc 光電変換特性の測定方法およびその装置
JP2002111030A (ja) * 2000-07-05 2002-04-12 Canon Inc 光電変換デバイスの、光電変換特性の測定または予測方法、および、スペクトル依存性の定量化方法、並びに、それらの装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011155225A (ja) * 2010-01-28 2011-08-11 Dainippon Screen Mfg Co Ltd 太陽電池評価装置および太陽電池評価方法
WO2012090359A1 (ja) * 2010-12-28 2012-07-05 コニカミノルタセンシング株式会社 擬似参照セルおよび擬似参照セルシステム
JP2012186415A (ja) * 2011-03-08 2012-09-27 Kanazawa Inst Of Technology 光電変換素子の製造方法、光電変換素子およびタンデム型光電変換素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP4617141B2 (ja) 2011-01-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Domínguez et al. Current‐matching estimation for multijunction cells within a CPV module by means of component cells
Meusel et al. Spectral mismatch correction and spectrometric characterization of monolithic III–V multi‐junction solar cells
Emery Measurement and characterization of solar cells and modules
US6541754B2 (en) Method and apparatus for measuring photoelectric conversion characteristics of photoelectric conversion device
JP2004134748A (ja) 光電変換素子の測定方法および装置、光電変換素子の製造方法及び製造装置
Steiner et al. YieldOpt, a model to predict the power output and energy yield for concentrating photovoltaic modules
JP2006229063A (ja) 光電変換素子の電流電圧特性測定結果の補正方法および予測方法、光電変換素子の測定方法および装置、光電変換素子の製造方法および装置
Babaro et al. Spectral response measurements of multijunction solar cells with low shunt resistance and breakdown voltages
Emery Uncertainty analysis of certified photovoltaic measurements at the national renewable energy laboratory
Sellner et al. Advanced PV module performance characterization and validation using the novel Loss Factors Model
JP4613053B2 (ja) 多接合型光電変換素子試験セルの特性測定方法及び近似太陽光光源のスペクトル調整方法
Emery Photovoltaic calibrations at the National Renewable Energy Laboratory and uncertainty analysis following the ISO 17025 guidelines
Liu et al. Indoor and outdoor comparison of CPV III–V multijunction solar cells
Driesse et al. Spectrally selective sensors for PV system performance monitoring
Bliss et al. Indoor measurement of photovoltaic device characteristics at varying irradiance, temperature and spectrum for energy rating
Domínguez et al. Characterization of CPV modules and receivers
Domínguez et al. Characterization of multijunction concentrator solar cells
Osterwald et al. Effects of spectral error in efficiency measurements of GaInAs-based concentrator solar cells
JP4617141B2 (ja) 多接合型光電変換素子の特性制限要素セルの判定方法
JP2002111029A (ja) 光電変換特性の測定方法およびその装置
Hohl-Ebinger et al. Non-linearity of solar cells in spectral response measurements
Sutterlueti et al. Characterising PV modules under outdoor conditions: what’s most important for energy yield
Kenny et al. Performance measurements of CIS modules: outdoor and pulsed simulator comparison for power and energy rating
JP4617137B2 (ja) 多接合光電変換素子試験セルの出力測定方法及び同方法に使用する基準セルの選別方法
Peharz et al. Spectrometric outdoor characterization of CPV modules using isotype monitor cells

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070926

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100223

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100422

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20100422

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100708

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100903

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100930

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101025

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4617141

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131029

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131029

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250