JP2006142421A - 動圧溝の電解加工工具、電解加工工具の製造方法、電解加工装置および電解加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 円柱形状や円筒形状を有する部材の外周表面に高精度な動圧溝を形成し、かつ加工時間を短縮する。
【解決手段】 電解加工工具8は、シャフト1の外周表面1aに動圧溝を加工するための電解加工装置5に用いられ、シャフト1回りに配置される電極21、22と、電解加工部20とを備えている。電解加工部20は、電極21、22の内周面に形成されている。
【選択図】 図3
【解決手段】 電解加工工具8は、シャフト1の外周表面1aに動圧溝を加工するための電解加工装置5に用いられ、シャフト1回りに配置される電極21、22と、電解加工部20とを備えている。電解加工部20は、電極21、22の内周面に形成されている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、動圧溝の加工を行うための電解加工工具、その製造方法、電解加工装置および電解加工方法に関する。
従来、ハードディスクなどに用いられる小型の駆動装置には、高速化および低振動化を目的として動圧軸受が採用されている。動圧軸受は、軸と軸受部材との間に軸受流体を充填し、軸が回転する際に発生する動圧により軸を軸受部材と非接触状態で支持するものである。軸を非接触状態で支持しているため、従来のボールベアリングなどと比べて耐衝撃性に優れ、低振動、低騒音となり、回転精度が向上し回転の高速化が可能となる。軸受部材の内周面には、複数の動圧発生用溝(以下、動圧溝と記載)が形成されており、軸が回転すると動圧溝の部分で軸受流体に動圧が発生する。軸受部材の動圧溝の加工方法の一つとして、電解加工法が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
電解加工は、被加工物の加工部位に電極工具を対向させ、電解液を介在させた状態で電解溶出を集中させることにより行うものである。被加工物は、加工用電源の正極側に接続されており、負極側には電極工具が接続されている。この場合、被加工物としてはステンレス鋼(SUS304)等が用いられる。電解液は、循環ポンプなどの供給手段により被加工物と電極工具との間に供給される。被加工物と電極工具との間に電解液を流動させた状態で、両者間に電圧をかけ通電が行われることにより、被加工物が電気化学的に溶出していき、電極工具の形状を反転した形状が被加工物に形成される。
動圧軸受に動圧溝を加工する場合は通常、特許文献1のように、筒状の軸受部材に円筒状の電極工具を挿入し、軸受部材の内周面と電極工具との間に電解液を流す。電極工具には、動圧溝のパターンに対応した突起からなる電解加工部が形成されており、軸受部材と電極工具との間に電解液を流動させた状態で、両者間に電圧をかけ通電させることで、電極工具の電解加工部に対向する部分のみ軸受部材の内周面が電解溶出し動圧溝が加工される。
しかし、シャフトなどのような円柱形状、あるいは円筒形状を有する部材の外周表面に動圧溝を加工する場合は、電解加工が困難であり、エンドミルを用いて機械的に加工していた。より具体的には、シャフトをNC旋盤に固定し、NC旋盤上に設置したスピンドルの先端に装着されたエンドミルによってシャフトの外周面に溝を形成していた。
特開平10−86020号公報
円柱形状や円筒形状を有する部材の外周表面に、動圧溝を加工・形成するニーズが高まったことにより、より高精度な動圧溝を短時間で加工することが要求されてきている。しかし、従来のエンドミルを用いた方法では、外周表面に微細な加工を短時間で高精度に施すことは困難であった。
そこで、本発明の目的は、軸受部材の外周表面に動圧溝を高精度に形成し、かつ加工時間を短縮することにある。
そこで、本発明の目的は、軸受部材の外周表面に動圧溝を高精度に形成し、かつ加工時間を短縮することにある。
請求項1に記載の電解加工工具は、軸受部材の外周表面に動圧溝を加工するための電解加工装置の工具であって、軸受部材の回りに配置されるリング部材と、リング部材の内周面に設けられた電解加工部とを備えている。
この電解加工工具によって、軸受部材の外周表面に動圧溝を高精度に加工し、かつ加工時間を大幅に短縮することが可能となる。
この電解加工工具によって、軸受部材の外周表面に動圧溝を高精度に加工し、かつ加工時間を大幅に短縮することが可能となる。
請求項2に記載の電解加工工具では、請求項1において、電解加工部は、軸方向に離れて配置された第1電解加工部と第2電解加工部とを有している。
この電解加工工具によって、軸受部材の外周表面の2カ所に動圧溝を高精度に加工し、かつ加工時間を大幅に短縮することが可能となる。
この電解加工工具によって、軸受部材の外周表面の2カ所に動圧溝を高精度に加工し、かつ加工時間を大幅に短縮することが可能となる。
請求項3に記載の電解加工工具は、軸受部材の外周表面に動圧溝を加工するための電解加工装置の工具であって、内周面に設けられた第1電解加工部を有する第1リング部材と、内周面に設けられた第2電解加工部を有する第2リング部材と、軸受部材の回りに配置され、第1リング部材と第2リング部材を軸方向に離れた位置に保持する保持リング部材とを備えている。
この電解加工工具によって、軸受部材の外周表面の2カ所に動圧溝を高精度に加工し、かつ加工時間を大幅に短縮することが可能となる。特に、第1リング部材と第2リング部材を別々に加工可能であるため、加工される部分の高さが低くなっており、そのため、それぞれについて機械加工が可能になる。その結果、加工精度が向上する。
この電解加工工具によって、軸受部材の外周表面の2カ所に動圧溝を高精度に加工し、かつ加工時間を大幅に短縮することが可能となる。特に、第1リング部材と第2リング部材を別々に加工可能であるため、加工される部分の高さが低くなっており、そのため、それぞれについて機械加工が可能になる。その結果、加工精度が向上する。
請求項4に記載の電解加工工具では、請求項3において、保持リング部材は導電体からなる。電解加工工具は、保持リング部材の内周面において第1電解加工部と第2電解加工部の間の部分を覆う絶縁体をさらに備えている。
この電解加工工具によって、電解加工時に、軸受部材の非加工部に導電体が接触しなくなる。
この電解加工工具によって、電解加工時に、軸受部材の非加工部に導電体が接触しなくなる。
請求項5に記載の電解加工工具の製造方法は、軸受部材の外周表面に動圧溝を加工するための電解加工装置の電解加工工具を製造する方法であって、以下の工程を備えている。
◎導電体からなるリング部材の内周面に凹部を形成する第1工程
◎凹部に絶縁体を設けて電解加工部を形成する第2工程
この製造方法では、軸受部材の外周表面に高精度に短時間で溝を形成することができる電解加工工具を製造できる。
◎導電体からなるリング部材の内周面に凹部を形成する第1工程
◎凹部に絶縁体を設けて電解加工部を形成する第2工程
この製造方法では、軸受部材の外周表面に高精度に短時間で溝を形成することができる電解加工工具を製造できる。
請求項6に記載の電解加工工具の製造方法は、軸受部材の外周表面に動圧溝を加工するための電解加工装置の電解加工工具を製造する方法であって、以下の工程を備えている。
◎導電体からなる第1リング部材の内周面に凹部を形成する第1工程
◎導電体からなる第2リング部材の内周面に凹部を形成する第2工程
◎第1リング部材と第2リング部材を保持リング部材の軸方向に離れた位置に取り付ける第3工程
◎第1リング部材及び第2リング部材の凹部に絶縁体を設けることで、軸方向に離れた第1電解加工部と第2電解加工部とを形成する第4工程
この製造方法では、軸受部材の外周表面の2ヶ所に高精度に短時間で溝を形成することができる電解加工工具を製造できる。特に、第1及び第2工程において第1及び第2リング部材をそれぞれ別々に加工可能であるため、加工される部分の高さが低くなっており、そのため、それぞれについて機械加工が可能になる。その結果、加工精度が向上する。
◎導電体からなる第1リング部材の内周面に凹部を形成する第1工程
◎導電体からなる第2リング部材の内周面に凹部を形成する第2工程
◎第1リング部材と第2リング部材を保持リング部材の軸方向に離れた位置に取り付ける第3工程
◎第1リング部材及び第2リング部材の凹部に絶縁体を設けることで、軸方向に離れた第1電解加工部と第2電解加工部とを形成する第4工程
この製造方法では、軸受部材の外周表面の2ヶ所に高精度に短時間で溝を形成することができる電解加工工具を製造できる。特に、第1及び第2工程において第1及び第2リング部材をそれぞれ別々に加工可能であるため、加工される部分の高さが低くなっており、そのため、それぞれについて機械加工が可能になる。その結果、加工精度が向上する。
請求項7に記載の電解加工装置は、軸受部材の外周表面に動圧溝を加工するための装置であって、請求項1〜5に記載の電解加工工具と、軸受部材を電解加工工具に対して位置決めする位置決め部材と、軸受部材と電解加工工具の間隙に電解液を供給する電解液供給部と、電解加工工具と軸受部材に電圧を印加する電圧印加部とを備えている。
この電解加工装置では、軸受部材の外周表面に動圧溝を高精度に短時間で加工することが可能となる。
この電解加工装置では、軸受部材の外周表面に動圧溝を高精度に短時間で加工することが可能となる。
請求項8に記載の電解加工方法は、軸受部材の外周表面に動圧溝を加工する方法であって、以下の工程を備えている。
◎軸受部材を請求項1〜5に記載の電解加工工具に挿入する第1工程
◎軸受部材の位置決めを行う第2工程
◎電解加工工具と軸受部材との間に、電解液を供給する第3工程
◎電解加工工具と軸受部材との間に電圧をかけ、電解液を介して通電させ、軸受部材の表面に動圧溝を加工する第4工程
この電解加工方法では、軸受部材の外周表面に動圧溝を高精度に短時間で加工することが可能となる。
◎軸受部材を請求項1〜5に記載の電解加工工具に挿入する第1工程
◎軸受部材の位置決めを行う第2工程
◎電解加工工具と軸受部材との間に、電解液を供給する第3工程
◎電解加工工具と軸受部材との間に電圧をかけ、電解液を介して通電させ、軸受部材の表面に動圧溝を加工する第4工程
この電解加工方法では、軸受部材の外周表面に動圧溝を高精度に短時間で加工することが可能となる。
本発明に係る電解加工工具、その製造方法、電解加工装置および電解加工方法により、動圧溝を軸受部材の外周表面に高精度に加工し、かつ加工時間を大幅に短縮することが可能となる。
(1)動圧軸受のシャフト
図1に、本発明の一実施形態が適用される動圧軸受のシャフト1を示す。シャフト1は、流体動圧軸受装置において回転部材は又は固定部材の一方に固定される軸受部材である。シャフト1は、図示しないスリーブの中に挿入され、スリーブの内周面との間に微少間隙を介して配置される。この微少間隙内には潤滑油や気体等の流体が充填され、両部材が相対回転すると間隙において動圧が発生し、回転体が支持される。
図1に、本発明の一実施形態が適用される動圧軸受のシャフト1を示す。シャフト1は、流体動圧軸受装置において回転部材は又は固定部材の一方に固定される軸受部材である。シャフト1は、図示しないスリーブの中に挿入され、スリーブの内周面との間に微少間隙を介して配置される。この微少間隙内には潤滑油や気体等の流体が充填され、両部材が相対回転すると間隙において動圧が発生し、回転体が支持される。
シャフト1の外周表面1aには、流体中に動圧を発生させるための動圧溝2、3が軸線方向の表面上2箇所に形成されている。動圧溝2、3は回転方向に連続して並んだ複数の溝である。このように、スリーブの内周面と、シャフト1の外周表面1aと、その間の潤滑油とによって、2つのラジアル動圧軸受部が軸線方向に並んで構成される。このラジアル動圧軸受部では、流体動圧は動圧溝2、3の連結部において極大となり、必要な荷重支持圧を実現する。これら動圧溝の加工精度が低下すると、動圧軸受の性能低下を招くため、高精度な動圧溝の加工・形成は、動圧軸受の性能を確保する上で非常に重要である。また、加工時間はできるだけ短いことが好ましい。
(2)電解加工装置の構造
図2に、本発明に係る電解加工装置5の構造の一例を示す。電解加工装置5は、主に、電解加工部7と、電解液循環装置9と、図示しない加工用電源とから構成される。
図2に、本発明に係る電解加工装置5の構造の一例を示す。電解加工装置5は、主に、電解加工部7と、電解液循環装置9と、図示しない加工用電源とから構成される。
電解加工部7は、電解加工工具8を保持するとともにシャフト1を収容するための部材である。電解加工部7は、主に、スリーブ12と、シャフト突き当て棒13と、シャフト用チャック14と、電解加工工具8とを有している。スリーブ12は、筒状の部材であり、中心に中空部12aを有している。電解加工工具8(後述)は、スリーブ12の中空部12aの下端に装着されている。具体的には、電解加工工具8は、スリーブ12の中空部12aの下部12bに嵌入されており、軸方向内側への移動は環状の突部12cによって制限されている。シャフト突き当て棒13は、中空部12aの上部に配置されている。シャフト突き当て棒13は、セラミックス等から構成される。スリーブ12には、電解液循環装置9からの電解液が流入してくる電解液流入口15が形成されている。電解液流入口15の軸方向位置は、シャフト突き当て棒13の下端と、電解加工工具8との間である。
シャフト1は、上端及び溝加工部分がスリーブ12の中空部12a内に配置され、下端がスリーブ12の下方に飛び出ている。シャフト1の上端面には、シャフト突き当て棒13の先端面が当接している。シャフト1の下端部はシャフト用チャック14によって保持されている。シャフト1の溝加工部分は、電解加工工具8に対応して配置されている。以上に述べた状態で、シャフト1は電解加工工具8に対して正確に位置決めされている。
電解液循環装置9は、電解液漕32と、循環ポンプ34とを備えている。電解液漕32は、電解加工用の電解液33を貯留するためのもので、配管36aにより循環ポンプ34と接続されている。循環ポンプ34は、シャフト1と電解加工工具8との隙間40に電解液33を連続的に流すためのもので、スリーブ12の電解液流入口15に配管36bにより接続されている。スリーブ12の下部は、配管36cにより、電解液槽32に接続されている。
加工用電源は、シャフト1と電解加工工具8との間に電圧をかけ電解液33を介して通電させるためのものである。電解加工工具8には電極通電用プレート37を介して負極側電極が接続されており、シャフト1にはシャフト用チャック14を介して正極側電極が接続されている。
(3)電極工具の構造
図3に、本発明に係る電解加工工具8の構造を示す。電解加工工具8は、円柱、円筒部材の外周表面上に電解加工を行うものであり、2つの電極21、22からなる電解加工部20と、両電極21、22を保持し固定する電極結合リング23とから構成されている。
図3に、本発明に係る電解加工工具8の構造を示す。電解加工工具8は、円柱、円筒部材の外周表面上に電解加工を行うものであり、2つの電極21、22からなる電解加工部20と、両電極21、22を保持し固定する電極結合リング23とから構成されている。
電極結合リング23は、導電体からなり、2つの電極21、22を内周面において軸方向に離間して保持するための部材である。電極結合リング23は、軸方向の上側及び下側に分割電極21、22を嵌め込むための凹部23b、23cを有している。電極21、22は、導電体からなる本体21a、22aと、その内周面に設けられた第1及び第2電解加工部27、28をそれぞれ有している。本体21a、22aは、真鍮等の導電性部材からなる。第1及び第2電解加工部27、28は、導電部31と絶縁体38の組み合わせから構成されている。図6に示すように、導電部31は、電極本体21a、22aの内周面21b、22bに、動圧溝に対応する形状で形成されており、電極本体21a、22aの内周面21b、22bに形成された複数の溝35によって定められている。溝35内には、絶縁体38が配置されている。電極結合リング23の内周面23a(電極21、22の間の部分)は、絶縁体39によって覆われている。絶縁体39は絶縁体38に連続している。
図3に示すように、電解加工工具8とシャフト1の外周表面1aとの間には、半径方向に隙間40が確保されている。
(4)電解加工工具の製造方法
電解加工工具8の製造方法について説明する。
図4に示すように、電極本体21a、22aの溝35は、本体21a、22aの内周面21b、22bに、NC旋盤上に設置されたエアスピンドルの先端に装着されたエンドミル42で機械的にフライス加工する。この溝35の溝幅は、0.1〜0.3mmである。その際、図4に示すように、電極本体21a、22aは、その軸がNC旋盤のZ軸に対して平行になるよう設置する。また、エンドミル42の角度は、NC旋盤上のXY平面となす角が約30°〜60°となるように加工部に当て、電極本体21a、22aの内周面21b、22bに接触しない限り、なるべく鈍角となるようにする。すなわち、電極本体21a、22aの内周面21b、22bに対してなるべく垂直にエンドミル42を当てるように設定する。溝パターンがZ軸方向に長く、分割電極を用いてもエンドミルが非加工部位に接触し、電極の奥側まで刃先が届かない場合がある。その場合は、溝35を分割してフライス加工を行ってもよい。
電解加工工具8の製造方法について説明する。
図4に示すように、電極本体21a、22aの溝35は、本体21a、22aの内周面21b、22bに、NC旋盤上に設置されたエアスピンドルの先端に装着されたエンドミル42で機械的にフライス加工する。この溝35の溝幅は、0.1〜0.3mmである。その際、図4に示すように、電極本体21a、22aは、その軸がNC旋盤のZ軸に対して平行になるよう設置する。また、エンドミル42の角度は、NC旋盤上のXY平面となす角が約30°〜60°となるように加工部に当て、電極本体21a、22aの内周面21b、22bに接触しない限り、なるべく鈍角となるようにする。すなわち、電極本体21a、22aの内周面21b、22bに対してなるべく垂直にエンドミル42を当てるように設定する。溝パターンがZ軸方向に長く、分割電極を用いてもエンドミルが非加工部位に接触し、電極の奥側まで刃先が届かない場合がある。その場合は、溝35を分割してフライス加工を行ってもよい。
以上に述べたように、電極21の本体21aと電極22の本体22aを別々に加工可能であるため、加工される部分の軸方向高さが低くなっており、そのため、それぞれについて機械加工が可能になる。その結果、溝35の加工精度が向上する。
続いて、図5に示すように、電極本体21a、22aを電極結合リング23の内周面に形成されている凹部23b、23cにそれぞれ圧入にて嵌めこみ、固定する。電極結合リング23の内径は、電極本体21a、22aの内径より大きい。言い換えると、電極結合リング23の内周面23aは、電極本体21a、22aの内周面21b、22bより半径方向外側に凹んでいる。
続いて、図5に示すように、電極本体21a、22aを電極結合リング23の内周面に形成されている凹部23b、23cにそれぞれ圧入にて嵌めこみ、固定する。電極結合リング23の内径は、電極本体21a、22aの内径より大きい。言い換えると、電極結合リング23の内周面23aは、電極本体21a、22aの内周面21b、22bより半径方向外側に凹んでいる。
さらに、図6に示すように、電極本体21a、22aの溝35と電極結合リング23の内周面23aに絶縁体38、39を注入して、溝35及び内周面23aを覆う。この結果、第1電極21の第1電解加工部27と第2電極22の第2電解加工部28を含む電解加工部20ができる。絶縁材料を注入するだけでは絶縁体の内周面が均一な高さにならない場合、内周面に研磨等を行ってもよい。
従来であれば、軸方向に長い一つの電極部材に溝パターンを分割して形成していたため、非加工部位にもエンドミルが接触するという不具合が生じていた。しかし、本発明に係る実施形態では、軸方向離れた分割電極パターンを設ける際に、軸方向に短い2つの電極21、22を電極結合リング23によって固定しているため、そのような不具合は発生しない。
(5)加工部材の外周表面への電解加工方法および工程
以下、シャフト1の外周表面1aに電解加工する工程を説明する。
図2に示すように、電解加工装置5の電解加工部7の軸方向下部より、シャフト1を電解加工工具8及びスリーブ12の中空部12aに挿入する。続いて、シャフト用チャック14でシャフト1の下部を保持して、高さ方向(軸方向)の位置決めを行う。具体的には、シャフト1の下面をシャフト用チェック14の底面に合わせる。次に、可動式のシャフト突き当て棒13をシャフト1の上面に当接して、シャフト1を軸に対してズレないように固定する。シャフト1と電極21、22との隙間40の距離精度は、より高精度な動圧溝を加工する際に重要であり、本例では、50μmとした。
以下、シャフト1の外周表面1aに電解加工する工程を説明する。
図2に示すように、電解加工装置5の電解加工部7の軸方向下部より、シャフト1を電解加工工具8及びスリーブ12の中空部12aに挿入する。続いて、シャフト用チャック14でシャフト1の下部を保持して、高さ方向(軸方向)の位置決めを行う。具体的には、シャフト1の下面をシャフト用チェック14の底面に合わせる。次に、可動式のシャフト突き当て棒13をシャフト1の上面に当接して、シャフト1を軸に対してズレないように固定する。シャフト1と電極21、22との隙間40の距離精度は、より高精度な動圧溝を加工する際に重要であり、本例では、50μmとした。
続いて、循環ポンプ34を駆動して、電解液33を電解加工部7の内部に供給する。具体的には、電解液33は、スリーブ12の電解液流入口15に流れ込み、さらにスリーブ12の中空部12aから電解加工部20の隙間40を通過する。電解液33は、シャフト1下側より抜け出て、再び、電解液槽32に戻る。
この状態で、加工用電源によって電解加工工具8とシャフトチャック14に電圧をかけることにより、シャフト1の外周表面1aを溶融させて、所望の動圧溝2、3を形成する。
この状態で、加工用電源によって電解加工工具8とシャフトチャック14に電圧をかけることにより、シャフト1の外周表面1aを溶融させて、所望の動圧溝2、3を形成する。
(6)その他の実施形態
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
電解加工工具における電解加工部の形状や位置や個数は、前記実施例に限定されない。
軸受部材としては、円筒部材にも本発明を適用できる。さらに、コーン軸受に用いられるコーン形状の軸受部材にも本発明を適用できる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
電解加工工具における電解加工部の形状や位置や個数は、前記実施例に限定されない。
軸受部材としては、円筒部材にも本発明を適用できる。さらに、コーン軸受に用いられるコーン形状の軸受部材にも本発明を適用できる。
5 電解加工装置
7 電解加工部
8 電解加工工具
13 シャフト突き当て棒(位置決め部材)
14 シャフト用チャック(位置決め部材)
20 電解加工部
21 第1電極
21a 本体(リング部材、第1リング部材)
22 第2電極
22a 本体(リング部材、第2リング部材)
23 電極結合リング(保持リング部材)
27 第1電解加工部
28 第2電解加工部
31 導電部
35 溝
38 絶縁体
39 絶縁体
7 電解加工部
8 電解加工工具
13 シャフト突き当て棒(位置決め部材)
14 シャフト用チャック(位置決め部材)
20 電解加工部
21 第1電極
21a 本体(リング部材、第1リング部材)
22 第2電極
22a 本体(リング部材、第2リング部材)
23 電極結合リング(保持リング部材)
27 第1電解加工部
28 第2電解加工部
31 導電部
35 溝
38 絶縁体
39 絶縁体
Claims (8)
- 軸受部材の外周表面に動圧溝を加工するための電解加工装置の電解加工工具であって、
前記軸受部材の回りに配置されるリング部材と、
前記リング部材の内周面に設けられた電解加工部と、
を備えている電解加工工具。 - 前記電解加工部は、軸方向に離れて配置された第1電解加工部と第2電解加工部とを有している、請求項1に記載の電解加工工具。
- 軸受部材の外周表面に動圧溝を加工するための電解加工装置の電解加工工具であって、
内周面に設けられた第1電解加工部を有する第1リング部材と、
内周面に設けられた第2電解加工部を有する第2リング部材と、
前記軸受部材の回りに配置され、前記第1リング部材と前記第2リング部材を軸方向に離れた位置に保持する保持リング部材と、
を備えた電解加工工具。 - 前記保持リング部材は導電体からなり、
前記保持リング部材の内周面において前記第1電解加工部と前記第2電解加工部の間の部分を覆う絶縁体をさらに備えている、請求項3に記載の電解加工工具。 - 軸受部材の外周表面に動圧溝を加工するための電解加工装置の電解加工工具を製造する方法であって、
導電体からなるリング部材の内周面に凹部を形成する第1工程と、
前記凹部に絶縁体を設けて電解加工部を形成する第2工程と、
を備えた電解加工工具の製造方法。 - 軸受部材の外周表面に動圧溝を加工するための電解加工装置の電解加工工具を製造する方法であって、
導電体からなる第1リング部材の内周面に凹部を形成する第1工程と、
導電体からなる第2リング部材の内周面に凹部を形成する第2工程と、
前記第1リング部材と前記第2リング部材を保持リング部材の軸方向に離れた位置に取り付ける第3工程と、
前記第1リング部材及び前記第2リング部材の凹部に絶縁体を設けることで、軸方向に離れた第1電解加工部と第2電解加工部とを形成する第4工程と、
を備えた電解加工工具の製造方法。 - 軸受部材の外周表面に動圧溝を加工するための電解加工装置であって、
請求項1〜5に記載の電解加工工具と、
軸受部材を前記電解加工工具に対して位置決めする位置決め部材と、
前記軸受部材と前記電解加工工具の間隙に電解液を供給する電解液供給部と、
前記電解加工工具と前記軸受部材に電圧を印加する電圧印加部と、
を備えた電解加工装置。 - 軸受部材の外周表面に動圧溝を加工する電解加工方法であって、
軸受部材を請求項1〜5に記載の電解加工工具に挿入する第1工程と、
前記軸受部材の位置決めを行う第2工程と、
前記電解加工工具と前記軸受部材との間に、電解液を供給する第3工程と、
前記電解加工工具と前記軸受部材との間に電圧をかけ、前記電解液を解して通電させ、前記軸受部材の表面に前記動圧溝を加工する第4工程と、
を備えた電解加工方法。
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