JP2006138667A - 超音波流量計および流体漏洩検知装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定精度の高い超音波流量計を安価に提供する。
【解決手段】超音波流量計1は、被測定流体6の流路を規定する流路壁2と、流路壁2に固定され、超音波を送受信する1個の超音波センサ4と、流路壁2に設けられ、超音波の伝搬方向を変える変向部3と、超音波センサ4との間で電気信号を送受信する送受信部8と、被測定流体6および流路壁2の一部を伝搬する超音波の伝搬時間を計測する計測部9と、計測部9の信号に基づいて流量を算出する演算部10とを備えている。
【選択図】図2
【解決手段】超音波流量計1は、被測定流体6の流路を規定する流路壁2と、流路壁2に固定され、超音波を送受信する1個の超音波センサ4と、流路壁2に設けられ、超音波の伝搬方向を変える変向部3と、超音波センサ4との間で電気信号を送受信する送受信部8と、被測定流体6および流路壁2の一部を伝搬する超音波の伝搬時間を計測する計測部9と、計測部9の信号に基づいて流量を算出する演算部10とを備えている。
【選択図】図2
Description
本発明は、超音波を用いて流体の流量や流速を計測する超音波流量計、および当該超音波流量計を備えた流体漏洩検知装置に関している。
図16は、従来の超音波流量計の主要部の断面を示している。図示されている超音波流量計1は、被測定流体6が流れる流路空間を規定する流路壁2と、流路壁2に固定され、超音波5を送受信する2個の超音波センサ4a、4bを備えている。流路壁2は、ガスや液体などの被測定流体を流路空間内に閉じ込める構造を有しており、典型的には、円筒または矩形形状を有する管から構成されている。なお、図示されている被測定流体6は、点線矢印で示した方向へ流れている。
このような構成を有する公知の超音波流量計1では、ある動作時間において、超音波センサ4aから放射された超音波を超音波センサ4bで受け取り、その伝搬時間t1を計測する。そして、他の動作時間においては、超音波センサ4bから放射された超音波を超音波センサ4aで受けとり、その伝搬時間t2を計測する。通常、これらの計測を複数回繰り返して実行することにより、伝搬時間t1、t2の各々の平均値を測定値として得ることができる。
超音波センサ4aと超音波センサ4bとの間を伝搬する超音波5の速度(伝搬距離/伝搬時間)は、被測定流体6の流速に応じて変化する。被測定流体6が流れる方向を規定するベクトルと、超音波5の伝搬方向を規定する速度ベクトルとの間の角度が90°より小さいとき、超音波の伝搬速度は高くなり、両ベクトルのなす角度が90°よりも大きいとき、超音波の伝搬速度は低くなる。すなわち、伝搬時間t1、t2は、被測定流体6の流れの影響を受けて変化する。この伝搬時間t1、t2を測定することにより、被測定流体6の平均速度を求めることが可能である。更には、被測定流体6の平均速度と流路断面積との積により、流量を求めることが可能となる。
このようなタイプの超音波流量計では、流量の計測を行うために2つの超音波センサ4a、4bが必要であり、このことが超音波流量計の低価格化を妨げる要因となっていた。また、2つの超音波センサ4a、4bの間に特性の差異が存在すると、流量測定の誤差が生じるという問題もある。このような問題を解決するためには、超音波センサ4a、4bの特性管理を厳しく行なうことが必要となる。また、超音波センサ4a、4bの特性の差異に起因する測定誤差を最小限に抑えるため、送受信回路のインピーダンスを高精度に合わせる必要もある。
上記課題を解決するため、単一の超音波センサで流量の測定を行なう超音波流量計が検討され、特許文献1〜2に開示されている。特許文献1〜2に開示されている超音波流量計は、環状構造の流路を備えており、流体の滞留する部分を利用して流速や流量の測定を可能としている。
特開2001−165729号公報
特許第3341721号明細書
しかしながら、特許文献1〜2に開示されている超音波流量計は、流路の構造が複雑であるため、製造コストが上昇するという問題を有している。また、環状流路を構成するための屈曲部が流路に存在するため、屈曲部で被測定流体の流れが乱れるという問題もある。このような屈曲部により流れの乱れが生じると、測定の精度が大きく劣化してしまう。また、上記の流量計では、流体の滞留する部分における流速が略0(ゼロ)になるとの前提で流量計算を行っているが、実際には、滞留部分でも流速が0にならない。そのため、滞留部分の存在そのものが、流量測定に誤差を生じさせ、正確な流量測定の阻害要因となっている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、単一の超音波センサで精度の高い測定を実現できる超音波流量計を提供することにある。
本発明の超音波流量計は、被測定流体が流れる流路空間を規定する流路壁と、前記流路壁に固定され、超音波を送受信する1個の超音波センサと、前記流路壁に設けられた超音波の伝搬方向を変える変向部と、前記超音波センサに接続され、電気信号を送受信する送受信部と、前記被測定流体および前記流路壁の一部を伝搬する超音波の伝搬時間を計測する計測部と、前記計測部の信号に基づいて流量を算出する演算部とを備えている。
好ましい実施形態において、前記流路壁は、前記被測定流体と前記流路壁との間で超音波の透過効率を向上させる透過効率向上部を有する。
好ましい実施形態において、前記透過効率向上部は、前記被測定流体の音響インピーダンスと前記流路壁の音響インピーダンスとの間の大きさの音響インピーダンスを有する材料から形成されている。
好ましい実施形態において、前記透過効率向上部は、前記流路壁の一部が超音波の入出方向に対して実質的に垂直となるように傾斜した面から形成されている。
好ましい実施形態において、前記流路壁は、超音波を反射または減衰させる部分を有する。
好ましい実施形態において、前記変向部は、前記流路壁の音響インピーダンスよりも小さい音響インピーダンスを有する部分と前記流路壁との界面で超音波を反射させる。
好ましい実施形態において、前記流路壁は、超音波を伝搬させる超音波伝搬部を有する。
好ましい実施形態において、前記変向部は、前記超音波伝搬部と前記流路壁の境界部で超音波を反射させる。
好ましい実施形態において、前記超音波伝搬部は、前記被測定流体の音響インピーダンスと前記流路壁の音響インピーダンスとの間の大きさの音響インピーダンスを有する材料から形成されている。
好ましい実施形態において、前記変向部は、前記被測定流体の移動方向に平行な方向に超音波を反射する傾斜面を有している。
好ましい実施形態において、前記流路壁は、前記超音波センサを前記被測定流体と音響的に結合させ、かつ流体的に分離する流体制御部を有する。
好ましい実施形態において、前記超音波センサは、少なくとも異なる2方向に対して超音波を送受信する機能を有する。
好ましい実施形態において、前記超音波センサの送受信面は、前記被測定流体と接している。
好ましい実施形態において、前記超音波センサの送受信面は、前記流路壁の一部に対向している。
好ましい実施形態において、前記超音波センサの送受信面には音響整合層が設けられている。
好ましい実施形態において、前記超音波センサは、背面負荷材を有する。
好ましい実施形態において、前記超音波流量計は、超音波パルス信号により計測を行う。
好ましい実施形態において、前記超音波流量計は、超音波バースト信号により計測を行う。
本発明による流体漏洩検知装置は、上記いずれかの複数の超音波流量計と、前記複数の超音波流量計の各々からの出力に基づいて流体の漏洩を検知する比較器とを備えている。
本発明の超音波流量計によれば、単一の超音波センサで流体の流量が測定可能であるため、センサ特性の違いによる計測誤差を低減でき、また、測定回路を含む装置の価格を大幅に低減することができる。また、流路構造を複雑なものにする必要が無いため、被測定流体の流れを乱すことなく流量測定が可能になるため、正確な流量測定を実現することがきる。
以下、図面を参照しながら本発明による超音波流量計の実施形態を説明する。
[実施形態1]
まず、図1を参照しながら本発明による超音波流量計の第1の実施形態を説明する。
まず、図1を参照しながら本発明による超音波流量計の第1の実施形態を説明する。
図1に示されている超音波流量計1は、被測定流体が流れる流路空間を規定する流路壁2と、流路壁2に固定され、超音波を送受信する1個の超音波センサ4と、流路壁2に設けられた超音波4の伝搬方向を変える2つ変向部3および超音波伝搬部5を備えている。より具体的には、1個の超音波センサ4が流路壁2の一面に固定されており、流路壁2のうち、超音波センサ4が設けられている部分の壁面に対向する壁面には、流路壁2の一部としても機能する超音波伝搬部5が設けられている。各変向部3は、流路壁2と超音波伝搬部5の境界部で形成されている。
次に、図2を参照しながら、超音波流量計1の構成および動作を、より詳細に説明する。図2は、超音波流量計1のZY平面に平行な断面を示す図である。
図2の例において、被測定流体6は、図2の点線で示される矢印の方向へ移動しているものとする。超音波センサ4から放射された超音波7は、図の実線の矢印で示された径路上を右周りと左回りの2つの方向に伝搬することになる。
本実施形態で使用する超音波センサ4は、送受信部8から入力された電気信号に応答して超音波7を放射し、また、受け取った超音波7を電気信号に変換して送受信部8に出力する。送受信部8には計測部9が接続されており、計測部9は送受信部8からの信号に基づいて、超音波7の伝搬時間を測定する。計測部9には演算部10が接続されており、演算部10は、計測部9の出力に基づいて流量を算出する。
流路壁2は、被測定流体6を内部に保持し、外部に漏らさない機能を有している。測定すべき被測定流体6が流路壁2の内部を移動する。本実施形態において、被測定流体6は水である。このような流路壁2は、剛性、化学的安定性、加工性、およびコストなどの観点から、金属または樹脂などの材料から形成されることが好ましい。本実施形態の流路壁2は、ステンレスから形成されている。流路壁2の両端部に存在する開口部は、図示されていない管に接続されている。
本実施形態における流路壁2は、図1に示すように、ZX面に平行な断面が長方形の筒型形状を有している。流路壁2に規定される流路空間は、X方向、Y方向、およびZ方向のサイズは、それぞれ、70mm、200mm、および30mmである。流路壁2の肉厚は10mmである。ただし、これらのサイズは、本実施形態における値以外の種々の値をとり得る。
図2に示す例では、流路壁2に超音波センサ4を取付けるための孔が設けられており、超音波センサ4の2つの超音波送受信面40a、40bが被測定流体6に接するように流路壁2に取り付けられている。流路壁2の内壁面のうち、超音波センサ4が取り付けられている面に対向する面には、超音波伝搬部5と変向部3とが設けられている。
超音波センサ4における超音波送受信面40a、40bの向きが超音波7の伝搬方向を決めるため、超音波センサ4の向きを高い精度で調節することが好ましい。超音波センサ4の向きを適切な状態で流路壁2に固定するためには、図2に示すように、流路壁2に設ける孔の形状を超音波センサ4の形状に整合させておくことが好ましい。具体的には、図2に示すように直行する2つの超音波送受信面40a、40bに対応する傾斜面を形成するように流路壁2の一部に孔(開口部)を設けている。
図1および図2に示す例では、流路壁2に設けた孔に固定した超音波センサ4の長軸方向がZY平面に垂直となるため、変向部2に設けた孔の傾斜面もZY平面に垂直となることが好ましい。
一方、2つの変向部3を形成する傾斜面(反射面)の1つは、超音波センサ4の一方の超音波送受信面40aまたは40bから放射された超音波7を適切に受ける位置に配置される。2つの変向部2の傾斜面のうちの他の1つは、超音波センサ4の他方の超音波送受信面40bまたは40aから放射された超音波7を適切に受ける位置に配置される。
このようにして超音波センサ4の向きを決定した後、図2に示すように、被測定流体6が外部に漏洩しないように流路壁2の一部として機能する封止部21によって封止を行なう。封止は、被測定流体6と化学的に反応しない安定な材料を用いて行なうことが好ましい。流路内部が加圧される場合は、その圧力によって、被測定流体6が外部に漏れることがないように封止材料(例えばゴムや樹脂など)を適宜選択することができる。本実施形態では、エポキシ系の接着剤を用いて封止を行っている。
本実施形態で使用する超音波センサ4は、被測定流体6に接する2つ面40a、40bで超音波の送受波が可能である。このような超音波センサ4は、図3に示す構成を有している。すなわち、超音波センサ4は、直方体の形状を有するように成形された圧電体11と、圧電体11のX方向に垂直な各端面上に設けられた電極20とを有しており、圧電体11はX方向に分極している。
圧電体11は、圧電性を有する材料から形成されており、超音波の送受信効率を高くするためには圧電性能の高い材料から形成されることが望ましい。圧電体材料としては、圧電セラミック、圧電単結晶、圧電高分子などが有効に利用される。本実施形態では、圧電性の高い圧電セラミックであるチタン酸ジルコン酸鉛セラミックスを用いている。電極20は、電気インピーダンスの低い一般的な金属から形成され得る。本実施形態では銀を用いている。
このような圧電体11上に設けられた電極20に電気信号を与えると、その電気信号に応じて圧電体11が伸縮する。圧電体11は、分極方向に伸縮するとともに、分極方向に垂直な方向(超音波送受信方向)にも伸縮する。図4は、圧電体11の分極方向の変位と超音波送受信方向の変位との関係を示すグラフである。図4のグラフの横軸は時間を示し、縦軸は圧電体11の変位を示している。グラフ中の実線は超音波送受信方向における変位を示しており、点線は分極方向の変位を示している。なお、変位の振幅値は、それぞれの方向における最大振幅値で規格化されている。
図4からわかるように、圧電体11の伸縮のタイミングは、分極方向の伸縮と超音波送受信方向の伸縮との間には、1/2波長に相当するπラジアンの位相差が生じている。本実施形態では、分極方向(X方向)に垂直な2つの異なる方向(超音波送受信方向)に圧電体11が伸縮して放射される超音波を利用し、流量の測定を実行する。
一方、被測定流体6を伝搬してきた超音波が超音波センサ4の送受信面40a、40bに到達すると、超音波に応じた変形が圧電体に発生し、その変形に応じた電位差が一対の電極20に発生する。このように、本実施形態によれば、超音波センサ4のうち、被測定流体6に接している超音波送受信面40a、40bが交互に超音波の送信および受信を繰り返すことができるので、単一の超音波センサ4を用いて流量測定が可能になる。
超音波送受信面40a、40bは、いずれも、同じ共振周波数を有することが望ましい。後に詳しく説明するように、本実施形態における超音波センサ4では、図2に示す超音波送受信面40aから放射された超音波を超音波送受信面40bで受信し、また逆に、超音波送受信面40bから放射された超音波を超音波送受信面40aで受信する。超音波の送受信効率を高くするためには、単一の超音波センサ4における圧電体11の異なる面から放射される超音波の周波数を等しく設定することが好ましい。
同一圧電体11の異なる超音波送受信面40a、40bにおける共振周波数を等しくするためには、超音波送受信方向における圧電体のサイズを等しくすればよい。共振周波数は圧電体の音速および振動方向のサイズに依存するからである。
本実施形態では、送受信する超音波の周波数を200kHzに設定している。圧電体11の超音波送受信方向におけるサイズが、超音波の1/2波長に等しいとき、強く共振が生じ、効率が高くなる。本実施形態における圧電体11の材料(チタン酸ジルコン酸鉛セラミックス)の音速は3800m/sであるため、超音波送受信方向における圧電体11のサイズを、それぞれ、9.5mmに設定している。
一方、圧電体11の分極方向(X方向)におけるサイズは、200kHz付近で共振しないように設定されることが好ましく、本実施形態では、60mmに設定している。超音波を送受信するべき方向以外の方向に共振が生じると、超音波送受信方向における超音波の送受信効率が低下するからである。
再び図2を参照する。
流路壁2の内側面に設けられた超音波伝搬部5は、被測定流体6の内部を伝搬してきた超音波7を効率良く取り込み、変向部3にて方向を変えて超音波伝搬部5の内部を伝搬させる。超音波伝搬部5の内部を伝搬してきた超音波は、変向部3にて方向を変えて効率良く被測定流体6へ放射され、超音波センサ4の位置する方向へ向かうことになる。
このような超音波伝搬部5が超音波7を効率良く取り込むためには、その密度と音速の積で定義される音響インピーダンスが被測定流体6の音響インピーダンスに近いことが望ましい。また、超音波伝搬部5の内部を超音波が伝搬するときに超音波の減衰が生じにくいことが好ましい。
超音波伝搬部5の端部(流路壁2の境界部)に形成される変向部3では、超音波7の反射率が高いことが望ましい。そのため、超音波伝搬部5と流路壁2との間で音響インピーダンスが大きく異なることが望ましい。
本実施形態では、被測定流体6として水を用い、流路壁2としてステンレスを用いている。水は、密度が1.0×103kg/m3、音速が1500m/sであり、音響インピーダンスが1.5×106kg/m2/sである。ステンレスは、密度が7.9×103kg/m3、音速が5500m/s、音響インピーダンスが43.5×106kg/m2/sである。
ステンレスの音響インピーダンスは、水の音響インピーダンスの約30倍の大きさを有しているため、超音波伝搬部5の音響インピーダンスとして、水の音響インピーダンスに近い値を設定すると、超音波伝搬部5と流路壁2との間で音響インピーダンスの大きな差が生じる。
本実施形態では、超音波伝搬部5をエポキシ系樹脂から形成している。エポキシ系樹脂は、密度が1.2×103kg/m3、音速が2000m/s程度であり、音響インピーダンスが約2.4×106kg/m2/sである。このようなエポキシ樹脂の音響インピーダンスは、水の音響インピーダンスに近く、ステンレスの音響インピーダンスからは大きく離れている。
超音波伝搬部5の作製は、例えば、次のようにして行なうことができる。すなわち、流路壁2において、超音波センサ4に対向する領域内にX方向サイズが60mm、Y方向サイズが70mm、深さ5mmの凹部を形成した後、その凹部内をエポキシ樹脂で埋めこむ。このような凹部は、旋盤などを用いた加工を行なうことにより形成され得る。その後、恒温槽で約80℃2時間程度の加熱を行なうことにより、樹脂を硬化させ、樹脂からなる超音波伝搬部5の形成を完了する。
超音波伝搬部5と流路壁2との境界で形成される変向部3は、変向部3で反射された超音波7がZY面に平行な方向に伝搬するように、変向部3として機能する凹部側面における傾斜面をZY面に垂直に形成することが好ましい。また、変向部3の傾斜面がXY面に関して形成する傾斜角は、超音波センサ4から放射された超音波7が超音波伝搬部5を介して正確に超音波センサ4へ戻るように決定される。
超音波伝搬部5の内部で超音波7の多重反射が生じると、一方の変向部3から入射してきた超音波7が他方の変向部3に到達する前に、超音波7の一部が被測定流体6に漏洩しやすくなる。このような超音波7の漏洩が生じると、超音波センサ4に到達する超音波7の振幅が低下する。また、漏洩した超音波7の一部が不適切な経路を介して超音波センサ4に到達すると、測定誤差が生じる。このような超音波7の漏洩や、超音波7の減衰は、変向部3の傾斜角を調整することにより、抑制することができる。
超音波伝搬部5のうち、被測定流体6に露出している面の一部は、超音波を反射または減衰させる材料の膜によって被覆されていることが好ましい。このような構成を採用することにより、超音波伝搬部5から被測定流体6への超音波の漏洩を抑制し、高精度な流量測定が可能となる。ただし、このような膜によって変向部3近傍の超音波伝搬部5が覆われると、超音波の入力または超音波伝搬部5からの超音波の出力が効率的に行なえなくなる。このため、少なくとも変向部3が形成されている近傍の領域は、上記の膜で覆わないことが好ましい。
上記の構成を有する超音波流量計1では、1個の超音波センサ4から放射された超音波7が、被測定流体6と流路壁2を含む2つの異なる経路を通って再び超音波センサ4に入射する。このため、1個の超音波センサ4で被測定流体6の流れを乱すことなく、高精度の流量測定が可能となる。
以下、超音波流量計1の測定動作を説明する。
まず、超音波センサ4の電極間にパルス状の電気信号を印加する。この電気信号に応答して超音波センサ4の流体に面した超音波送受信面40a、40bから超音波パルスが被測定流体6に放射される。超音波送受信面40aから放射された超音波7は、被測定流体6中を伝搬し、超音波伝搬部5の表面に到達する。超音波伝搬部5の表面に達した超音波7の一部は超音波伝搬部5の内部に侵入し、変向部3で反射され、超音波伝搬部5内をY方向に伝播する。その後、超音波7は、もう1つの変向部3で反射され、伝搬方向を変え、超音波伝搬部5の内部から再度、被測定流体6へ放射される。被測定流体6へ放射された超音波7は、超音波センサ4の超音波送受信面40bに到達する。
超音波送受信面40bへ到達した超音波7は、超音波センサ4の電極間に電気信号を発生させるため、送受信部8が電気信号を検知する。一方、超音波送受信面40bから放射された超音波7は、逆の経路で伝搬し、超音波送受信面40aへ到達し、送受信部8で電気信号として検知される。
このように本実施形態では、同一の経路を反対回りに伝搬するため、反対回りの径路の各々について、送信から受信までの伝搬時間を計測部9が測定する。演算部10は、各伝搬時間に基づいて被測定流体6の流速、流量を測定することができる。
次に、伝搬時間と流量の関係を更に詳しく説明する。
ここで、超音波センサ4の超音波送受信面40aと、これに対応する変向部3との距離が、超音波送受信面40bと、これに対応する変向部3との距離が等しく、Lであると仮定する。また、被測定流体6の流れ方向(Y方向)と超音波7の伝搬経路との間の角度をθ、被測定流体6の流れの速度をv、被測定流体6中の音速をcとする。
超音波7が伝搬する経路のうち、超音波伝搬部5の内部を超音波7が伝搬する時間は、被測定流体6の流れに影響を受けないため、この部分を通過する超音波7の伝搬時間は、超音波伝搬部5を構成する材料の音速および伝搬距離によって定まり、この伝搬時間は既知である。
このため、図2に示すように超音波7の右回り(時計回り)の経路全体についての伝搬時間から、超音波伝搬部5を伝搬している時間を引いた値、すなわち被測定流体6を超音波7が伝搬している時間t1が計測可能である。また、左回り(反時計回り)の経路について、同様に被測定流体6を伝搬している伝搬時間t2が計測可能である。
ここで、t1およびt2は、それぞれ、以下の(数1)で表すことができる。
測定されたt1およびt2の逆数の差をΔfと定義すると、Δfを用いて被測定流体6の速度vは、以下の(数2)のように表すことができる。
すなわち、図2に示される同一経路を2つの異なる向きに伝搬する超音波の伝搬時間を測定することにより、被測定流体6の速度vを測定することが可能になる。ここで求めた速度vは、被測定流体6の平均速度である。この速度vに対し、流路壁2に囲まれた流路空間の断面積を掛けることにより、流量を求めることができる。
本実施形態の超音波流量計では、パルス状超音波を放射させるために駆動した圧電体に生じる振動の残響が流量測定を困難にする場合がある。すなわち、流量測定のために被測定流体6を伝搬してきた超音波を受けたときに圧電体に生じる振動が、残響による振動とから適切に判別されにくくなる場合がある。このような場合には、放射した超音波の残響がほぼ収まった後に、受信信号の計測を開始することが有効である。具体的には、被測定流体6の速度vによって変動する伝搬時間t1、t2を考慮して、計測開始位置を設定することになる。
本実施形態では、パルス状の電気信号を超音波センサ4に与えて発生するパルス状超音波を利用しているが、送受信する超音波の感度を向上させるために、超音波センサ4の共振に周波数を合わせたバースト状の電気信号を利用してもよい。この場合、同一経路を2つの反対周りに伝搬する超音波の間の時間差により、超音波バーストの持続時間が長くなることがある。そうなると、超音波信号が重なり合い、伝搬時間差t1、t2を測定することができなくなる可能性がある。
上記の問題を解決するには、同一径路を異なる向きに伝搬してきた2種類の超音波が重ね合わされた信号の振幅から、伝搬時間差に相当する位相差を読み取ることができる。以下、図5を参照しながら、このような位相差を読み取る方法を説明する。
図5(a)は、超音波送受信面40a、40bから放射された超音波の波形を示している。このような波形を有する超音波が所定の伝搬経路を通って超音波送受信面40b、40aに入射すると、入射した超音波は電圧信号として観測される。実際に観測される超音波は、超音波送受信面40a、40bに入射した超音波の重ね合わせである。
前述のように、被測定流体6の流れの影響により、所定経路を逆方向に進行する超音波の伝搬時間に差が生じる。その結果として、観測される超音波の波形に変化が生じることになる。図5(b)は、被測定流体6が静止した状態にあり、同一経路を2つの逆回りに伝搬してきた超音波の伝搬時間に差が無い場合に得られる超音波の波形である。図5(b)の波形の振幅は、異なる向きに伝播してきた超音波に位相差が生じていないため、最大化されている。
図5(c)は、被測定流体6の流量が少なく、受信される超音波の間に僅かの伝搬時間差が生じる場合に得られる波形を示している。図5(c)の波形における振幅は、図5(b)の波形における振幅よりも小さい。図5(d)は、2つの超音波の間の伝搬時間差が大きくなった場合の波形を示している。
このように、受信信号の振幅は、2つの超音波信号の間に生じる伝搬時間差に依存して変化する。図6は、観測される超音波の振幅と伝搬時間差に相関があるため、超音波の振幅を観測することにより流量の測定を行うことが出来る。図6において横軸は伝搬時間差であり、縦軸は受信振幅である。
以上のように、被測定流体6および流路壁2の一部に設けた超音波伝搬部5を、超音波の伝搬経路を逆回りに伝搬する伝搬時間差を用いることにより、単純な流路構成で流体の流れを乱すこと無く、高精度な流速および流量の測定が可能となる。
本実施形態における被測定流体6は水であるが、気体や蒸気などの流速および流量を測定することも可能である。気体や蒸気は、密度が低く、音速が遅い流体(音響インピーダンスが小さい流体)であるため、超音波の送受信効率を高めるためには、超音波伝搬部5は、相対的に音響インピーダンスの小さな材料から形成することが好ましい。このような材料としては、乾燥ゲルが優れている。乾燥ゲルは、ゾルゲル反応によって形成される多孔質体であり、極めて小さい密度および音速を有する。このため、乾燥ゲルから形成した部材を介在させることにより、一般的な液体や固体と気体との界面で効率の高い超音波の透過が可能になる。乾燥ゲルは、無機材料、有機高分子材料などから形成される。無機材料の固体骨格部としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタンなどを用いることができる。また、有機材料の固体骨格部としては、一般的な熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、フェノール硬化樹脂、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸メチルなど様々な材料を乾燥ゲルとして用いることができる。
[実施形態2]
次に、図7を参照して本発明による超音波流量計の第2の実施形態を説明する。図7は、本実施形態で使用する超音波センサ4の断面構成を示す図である。本実施形態の超音波流量計が実施形態1の超音波流量計と異なる点は、超音波センサ4が、圧電体11上に形成された音響整合層12と背面負荷材13とを備えている点にある。
次に、図7を参照して本発明による超音波流量計の第2の実施形態を説明する。図7は、本実施形態で使用する超音波センサ4の断面構成を示す図である。本実施形態の超音波流量計が実施形態1の超音波流量計と異なる点は、超音波センサ4が、圧電体11上に形成された音響整合層12と背面負荷材13とを備えている点にある。
圧電体11の音響インピーダンスと被測定流体6の音響インピーダンスとの間に大きな差が存在する場合、超音波の送受信効率が低くなるため、これらの音響インピーダンスの中間的な大きさの音響インピーダンスを有する音響整合層12を圧電体11と被測定流体6との間に挿入することが好ましい。
圧電体11の音響インピーダンスをZ1とし、被測定流体6の音響インピーダンスをZ0とするとき、以下の(数3)で示される音響インピーダンスZ2を持つ材料から音響整合層12を形成すると、送受信効率が高くなる。
音響整合層12は、超音波の波長の1/4程度の厚さを有するときに最も高い効果を発揮する。超音波の送受信効率を高くするという観点から、超音波の減衰が少ない材料を用いることが好ましい。
本実施形態における超音波センサ4では、圧電体11がチタン酸ジルコン酸鉛セラミックスから形成されているので、その密度は7.7×103kg/m3、音速は3800m/s、音響インピーダンスは30×106kg/m2/sである。被測定流体6である水の音響インピーダンスは1.5×106kg/m2/sであるため、圧電体11の音響インピーダンスは、水の音響インピーダンスの約20倍程度になり、両者の間には大きな差異が存在している。このような場合に音響整合層12を設けることが有効である。
本実施形態の例では、(数3)の関係を満足する音響インピーダンスZ2は6.7×106kg/m2/s程度になる。このような大きさの音響インピーダンスを有する材料としては、例えばセラミック粉末を樹脂と混合し固化させたものを用いることができる。本実施形態では、アルミナ粉末をエポキシ樹脂と混合し、固化したものから音響整合像12を形成している。この材料の密度は2.2×103kg/m3、音速は2800m/sであるので、音響インピーダンスは6.2×106kg/m2/sとなる。この音響インピーダンスは、上記の音響インピーダンスの最適値に極めて近い。音響整合層12の厚さは、超音波の1/4波長となるように3.5mmに設定している。音響整合層12はエポキシ系接着剤によって圧電体11に固着されている。
背面負荷材13は、圧電体11の背面側に伝搬する超音波を減衰させ、それによって周波数の広帯域化を実現する機能を発揮する。背面負荷材13としては、音響インピーダンスが圧電体11の音響インピーダンスに近く、超音波の減衰が大きい材料から形成されることが好ましく、金属フィラーをゴムと混練りして成形したものなどが好適に用いられる。本実施形態では、タングステン粉をゴムと混合し、固化したものから背面負荷材13を形成している。この材料の密度は4.0×103kg/m3、音速は2000m/s、音響インピーダンスは8.0×106kg/m2/sである。このような材料は特に超音波の減衰が大きいため、背面負荷材13の材料として好適に用いられる。背面負荷材13はエポキシ系接着剤によって圧電体11に固着されている。
音響整合層12および背面負荷材13の両方を圧電体11に固着する必要はなく、音響整合層12および背面負荷材13の一方のみを圧電体11に固着してもよい。
ただし、2つの方向へ放射する超音波の周波数特性が同じになるように、音響整合層12および背面負荷材13の材料および構造を設定する必要がある。例えば、2つの超音波送受信面の一方にのみ音響整合層12を配置することは好ましくなく、音響整合層12および背面負荷材13の配置は2つの方向に関して対称的であることが望ましい。
[実施形態3]
次に、図8を参照して本発明による超音波流量計の第3の実施形態を説明する。本実施形態の超音波流量計が実施形態1の超音波流量計と異なる点は、超音波センサ4と被測定流体6との間に流体制御部14を設けている点にある。
次に、図8を参照して本発明による超音波流量計の第3の実施形態を説明する。本実施形態の超音波流量計が実施形態1の超音波流量計と異なる点は、超音波センサ4と被測定流体6との間に流体制御部14を設けている点にある。
図8に示される超音波センサ4は、流路壁2の内壁面に凹凸を形成しないように、流路壁2の内壁面よりも被測定流体6の側に突出していない。このため、超音波センサ4と流路とを流体的に連通しないよう分離し、かつ超音波送受信を損なわないように流体制御部14が配置されている。このような構成によれば、被測定流体6の流れを乱すことなく、流量測定が可能となるため、流体の乱れによる測定誤差を低減することできる。
本実施形態では、流体制御部14として金属製のメッシュを用いているが、流路壁2に形成された凹部と流体制御部14とによって囲まれた空間は、乾燥ゲルなどの低音響インピーダンス材料で埋められてもよい。
[実施形態4]
次に、図9を参照して本発明による超音波流量計の第4の実施形態を説明する。本実施形態の超音波流量計が実施形態1の超音波流量計と異なる点は、流路壁2に超音波伝搬部5を設けていない点にある。
次に、図9を参照して本発明による超音波流量計の第4の実施形態を説明する。本実施形態の超音波流量計が実施形態1の超音波流量計と異なる点は、流路壁2に超音波伝搬部5を設けていない点にある。
被測定流体6に圧力が殆ど加わらず、また、流体に可燃性や爆発性が無く安全である場合、樹脂などの音響インピーダンスが低い材料から形成された流路壁2を用いることができる。そのような場合には、超音波伝搬部5を流路壁2の表面に設けなくとも、被測定流体5から直接に流路壁2に超音波を高い効率で透過させることができる。このため、より簡単な構成で超音波流量計を構成でき、コストの低減に役に立つ。
図9に示す構成では、流路壁2のうち、超音波センサ4と対向する部分の外側に細い溝が形成されており、この溝が変向部3として機能する。変向部3として機能する溝は、数μm程度以上の幅を有していれば、超音波の進行方向を変える機能を十分に果たす。この溝の幅や形状は、流路壁2の強度や加工精度に基づいて適宜変更され得る。
変向部3で超音波の反射率は、流路壁2と変向部3との間に発生する音響インピーダンスの差に依存して決まり、変向部3の傾斜面(溝の内壁面)の傾斜角度を調節することにより、超音波の反射方向を決定することができる。
変向部3における超音波の反射効率を向上させ、超音波送受信感度を高くするため、変向部3を形成している溝の内部を埋めている材料(本実施形態では空気)と流路壁2との間で音響インピーダンスが大きく異なることが望ましい。このような観点から、溝の内部を音響インピーダンスの低い乾燥ゲルのような材料などで充填してもよい。また、流路壁2が樹脂などから形成されている場合には、金属などの音響インピーダンスの高い材料で溝の内部を充填しても良い。
変向部3の反射面(溝の内壁面)の角度は、前述のように、流路壁2の内部を伝搬する超音波に多重反射が生じないように設定されることが好ましい。
変向部3の構成は、図9に示す溝に限定されるものではなく、音響インピーダンスと反射面角度の条件を満足すれば、他の形態を有していてもよい。例えば、流路壁3のうち変向部3として機能させる部分の音響インピーダンスを他の部分の音響インピーダンスから異なるようにすればよい。変向部3として機能する溝を形成する場合は、反射面の角度を適切に設定すれば、V字溝を用いても良い。
[実施形態5]
次に、図10を参照して本発明による超音波流量計の第5の実施形態を説明する。本実施形態の超音波流量計が実施形態4の超音波流量計と異なる点は、被測定流体6から流路壁2の超音波の入射面を超音波の伝搬経路に対してほぼ直角となるように構成した透過効率向上部15を設けている点にある。
次に、図10を参照して本発明による超音波流量計の第5の実施形態を説明する。本実施形態の超音波流量計が実施形態4の超音波流量計と異なる点は、被測定流体6から流路壁2の超音波の入射面を超音波の伝搬経路に対してほぼ直角となるように構成した透過効率向上部15を設けている点にある。
被測定流体6から流路2への超音波の入射角度は、超音波の透過効率に影響を与える。この角度を最適化することにより、超音波の透過効率を向上することができ、精度の高い測定が可能となる。一般に、超音波が流体から固体へ透過する場合、透過効率は入射角度が90度の時に最も大きくなる。このため、図10に示すように流路壁2の内壁面の一部に傾斜部を設け、超音波7の伝搬経路に対して配管壁2の向きに略垂直となるようにしている。この傾斜部が透過効率向上部15として機能する。
透過効率向上部15の影響により、被測定流体6の流れが乱れる場合がある。このため、被測定流体6の流れの乱れを抑制できるように透過効率向上部15の形状を設計することが好ましい。
透過効率向上部15には、被測定流体6と流路壁2との間で音響的な整合性を高めるように、音響整合層を配置してもよい。音響整合層は、音響インピーダンスが段階的に変化する多層構造を有していもよい。それにより、被測定流体6から流路壁2への超音波の透過効率を更に高めることができ、より精度の高い流量測定を可能にする。
[実施形態6]
次に、図11を参照して本発明による超音波流量計の第4の実施形態を説明する。本実施形態の超音波流量計が実施形態1の超音波流量計と異なる点は、超音波センサ4の送受信面40c、40dが、略平行であり、超音波センサ4から放射された超音波が流路壁2を伝播してから被測定流体6に入射する点にある。
次に、図11を参照して本発明による超音波流量計の第4の実施形態を説明する。本実施形態の超音波流量計が実施形態1の超音波流量計と異なる点は、超音波センサ4の送受信面40c、40dが、略平行であり、超音波センサ4から放射された超音波が流路壁2を伝播してから被測定流体6に入射する点にある。
図11に示す構成によれば、超音波センサ4の超音波送受信面40cから放射された超音波は、超音波送受信面40dで受け取られ、その伝播に要した伝搬時間が測定される。一方、超音波送受信面40dから放射された超音波は、超音波送受信面40cで受け取られ、その伝播に要した伝搬時間が測定される。
本実施形態では、図12に示すような構成を有する超音波センサ4を用いている。すなわち、この超音波センサ4は、圧電体11の平行な2面(超音波送受信面40c、40d)上に電極を設け、圧電体11は厚さ方向に分極されている。
このような超音波センサ4を流路壁2の凹部内に設置し、圧電体11の分極方向を被測定流体6の流れ方向に一致させる。圧電体11と流路壁2とは、超音波の伝搬効率が高くなるように密着していることが好ましい。本実施形態では、圧電体11上の電極表面にエポキシ樹脂を塗布した超音波センサを、流路壁2に設けた溝に挿入した後、加熱により、エポキシ樹脂を硬化させ、超音波センサ4を流路壁2に固着させている。
本実施形態では、超音波センサ4と流路壁2とを接着剤を介して密着させているが、超音波センサ4と流路壁2との間には何も介在させず、直接的に密着させてもよい。このような形態での密着が困難な場合は、圧電体11の音響インピーダンスと流路壁2の音響インピーダンスの中間的な大きさの音響インピーダンスを有する材料を介して圧電体11と流路壁2とを密着させてもよい。
本実施形態では、圧電体11が被測定流体6に露出していないため、被測定流体6の漏洩の危険性が極めて低い。このため、本実施形態の構成は、被測定流体6が可燃性や有毒性を有する流体である場合に好適に採用される。また、流体の流れを乱す凹凸が流路内に形成されないため、高精度な流量測定が可能となるという利点もある。
超音波の送受信効率を更に高くするためには、流路壁2から被測定流体6に超音波が入射する領域に、流路壁2の音響インピーダンスと被測定流体6の音響インピーダンスの中間的な大きさの音響インピーダンスを有する材料からなる層(音響整合層)を設けても良い。このようにすることにより、超音波の透過効率を高くし、高精度な流量測定が可能となる。
流路壁2のうち、超音波センサ4に対向する面の一部(超音波反射領域)は、超音波を高い反射率で反射することが好ましいが、それ以外の部分は超音波を反射しにくい材料で構成されていることが好ましい。具体的には、超音波反射領域以外の領域は、超音波を減衰させる層で覆うことが好ましい。このような層を設けることにより、所定の経路以外を伝搬する超音波を低減して、高精度な流量測定が可能となるものである。
上述のように、本実施形態の超音波流量計では、変向部3を流路壁2に設けた溝によって形成しているが、図13に示す本実施形態の改変例のように、流路壁2の外側に形成した段差部によって変向部3を形成してもよい。
図14は、流路壁2のうち、被測定流体と接する内壁面の一部に前述した超音波減衰部を設けるとともに、超音波の不要な反射を抑制するための伝搬部や透過部を超音波の経路上に配置した構成例を示している。伝搬部や透過部は、界面に生じる音響インピーダンスの変化を緩和する音響整合部材であり、その音響インピーダンスや層厚の選択は、前述した通りである。図14の実施例においては、透過部として図10に示したような透過効率向上部を用いてもよい。超音波センサの取付けられている流路壁の形状を超音波の伝搬方向と直交するようにする事も有効である。
[実施形態7]
図15は、上記いずれかの超音波流量計1を備えた流体漏洩検出装置の構成例を示している。図15に示される流体漏洩検出装置は、複数の超音波流量計1と、配管17と、二つの超音波流量計の流量値を比較するコンパレータ18と、コンパレータ18に接続された警報装置19とを備えている。
図15は、上記いずれかの超音波流量計1を備えた流体漏洩検出装置の構成例を示している。図15に示される流体漏洩検出装置は、複数の超音波流量計1と、配管17と、二つの超音波流量計の流量値を比較するコンパレータ18と、コンパレータ18に接続された警報装置19とを備えている。
被測定流体は配管17および超音波流量計1の内部を移動し、その流量が各超音波流量計1によって測定される。測定された流量値はコンパレータ18で比較され、2つの超音波流量計1で測定された流量値が異なるとき、コンパレータ18は、2つ超音波流量計1の間の配管17で流体漏洩が発生したと検知し、漏洩信号を警報装置19へ送信する。本発明によれば、高精度な流体漏洩検出装置を安価に提供することができる。
本発明の超音波流量計によれば、液体、気体、蒸気などの流体を高精度に測定できるため、従来の流量計を代替する装置としての普及が見込まれる。
1 超音波流量計
2 流路壁
3 変向部
4 超音波センサ
5 超音波伝搬部
6 被測定流体
7 超音波
8 送受信部
9 計測部
10 演算部
11 圧電体
12 音響整合層
13 背面負荷材
14 流体制御部
15 透過効率向上部
16 流体漏洩検出装置
17 配管
18 コンパレータ
19 警報装置
20 電極
40a 超音波送受信面
40b 超音波送受信面
2 流路壁
3 変向部
4 超音波センサ
5 超音波伝搬部
6 被測定流体
7 超音波
8 送受信部
9 計測部
10 演算部
11 圧電体
12 音響整合層
13 背面負荷材
14 流体制御部
15 透過効率向上部
16 流体漏洩検出装置
17 配管
18 コンパレータ
19 警報装置
20 電極
40a 超音波送受信面
40b 超音波送受信面
Claims (19)
- 被測定流体が流れる流路空間を規定する流路壁と、
前記流路壁に固定され、超音波を送受信する1個の超音波センサと、
前記流路壁に設けられた超音波の伝搬方向を変える変向部と、
前記超音波センサに接続され、電気信号を送受信する送受信部と、
前記被測定流体および前記流路壁の一部を伝搬する超音波の伝搬時間を計測する計測部と、
前記計測部の信号に基づいて流量を算出する演算部と、
を備えた超音波流量計。 - 前記流路壁は、前記被測定流体と前記流路壁との間で超音波の透過効率を向上させる透過効率向上部を有する請求項1に記載の超音波流量計。
- 前記透過効率向上部は、前記被測定流体の音響インピーダンスと前記流路壁の音響インピーダンスとの間の大きさの音響インピーダンスを有する材料から形成されている請求項2に記載の超音波流量計。
- 前記透過効率向上部は、前記流路壁の一部が超音波の入出方向に対して実質的に垂直となるように傾斜した面から形成されている請求項2に記載の超音波流量計。
- 前記流路壁は、超音波を反射または減衰させる部分を有する請求項1に記載の超音波流量計。
- 前記変向部は、前記流路壁の音響インピーダンスよりも小さい音響インピーダンスを有する部分と前記流路壁との界面で超音波を反射させる請求項1に記載の超音波流量計。
- 前記流路壁は、超音波を伝搬させる超音波伝搬部を有する請求項1に記載の超音波流量計。
- 前記変向部は、前記超音波伝搬部と前記流路壁の境界部で超音波を反射させる請求項7に記載の超音波流量計。
- 前記超音波伝搬部は、前記被測定流体の音響インピーダンスと前記流路壁の音響インピーダンスとの間の大きさの音響インピーダンスを有する材料から形成されている請求項7に記載の超音波流量計。
- 前記変向部は、前記被測定流体の移動方向に平行な方向に超音波を反射する傾斜面を有している請求項1に記載の超音波流量計。
- 前記流路壁は、前記超音波センサを前記被測定流体と音響的に結合させ、かつ流体的に分離する流体制御部を有する請求項1に記載の超音波流量計。
- 前記超音波センサは、少なくとも異なる2方向に対して超音波を送受信する機能を有する請求項1に記載の超音波流量計。
- 前記超音波センサの送受信面は、前記被測定流体と接している請求項1に記載の超音波流量計。
- 前記超音波センサの送受信面は、前記流路壁の一部に対向している請求項1に記載の超音波流量計。
- 前記超音波センサの送受信面には音響整合層が設けられている請求項1に記載の超音波流量計。
- 前記超音波センサは、背面負荷材を有する請求項1に記載の超音波流量計。
- 前記超音波流量計は、超音波パルス信号により計測を行う請求項1に記載の超音波流量計。
- 前記超音波流量計は、超音波バースト信号により計測を行う請求項1に記載の超音波流量計。
- 請求項1から18のいずれかに記載の複数の超音波流量計と、
前記複数の超音波流量計の各々からの出力に基づいて流体の漏洩を検知する比較器と、
を備える流体漏洩検知装置。
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KR20120108001A (ko) * | 2009-12-19 | 2012-10-04 | 카메론 인터내셔널 코포레이션 | 초음파 변환기, 유량계 및 방법 |
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2004
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