JP2006137963A - 原油タンク用溶接継手及び原油タンク - Google Patents

原油タンク用溶接継手及び原油タンク Download PDF

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Abstract

【課題】耐食性に優れた原油タンク用溶接継手の提供。
【解決手段】母材及び溶接金属を有する溶接継手であって、母材が、C:0.01 〜0.2%、Si:0.01〜1%、Mn:0.05〜2%、P≦0.05%、S≦0.01%、Ni:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜2%、Cr≦0.1%、Al≦0.1%、N:0.001〜0.01%、O:0.0001〜0.005%を含むとともに、W:0.01〜1%及び/又はMo:0.01〜1%を含有し、残部はFeと不純物からなる鋼組成を有し、溶接金属が、C:0.01 〜0.2%、Si:0.01〜1%、Mn:0.2 〜2%、P≦0.03%、S≦0.01%、Ni:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜1%、Cr≦0.5%、Nb≦0.07%、V≦0.07%、Ti≦0.07%、B≦0.005%、Al≦0.05%、N:0.001〜0.03%、O:0.001〜0.05%に加えて、W:0.01〜1%及び/又はMo:0.01〜1%を含有する鋼からなり、更に、母材と溶接金属中のCu、Ni、W及びMo値が特定の条件式を満たす原油タンク用溶接継手。
【選択図】図1

Description

本発明は、原油タンク用溶接継手及び原油タンクに関し、詳しくは、積荷である原油を入れる原油タンカーのタンクや同様の腐食環境におかれた陸上タンクのように、原油が入った環境下での耐食性に優れた原油タンク用溶接継手及びその溶接継手を用いた原油タンクに関する。
原油タンカーに積まれる原油は、精製される前のもので、硫化水素(H2S)などの腐食性の成分を含んでいる。このため、原油と接する鋼材には、原油に含まれる腐食性成分による激しい腐食が生じる。そして、原油タンクが腐食すれば、タンク修理の必要が生じて修理費用が嵩むばかりか、タンクの稼働率も低下してしまう。また、原油タンクの腐食が甚だしい場合には、そのタンクを廃却して、新たに製造し直す必要も生じる。
原油タンク内の腐食については、上甲板裏と底板が問題となっている。上甲板裏は剥離性の腐食生成物をともなう全面腐食、底板は孔食(局部的な腐食)の形態であり、腐食速度はそれぞれ0.1〜0.3mm/年、1〜3mm/年である。
このため、原油タンクの腐食を防止するための技術が種々開示されている。
特許文献1には、原油タンク内の腐食形態に着目し、特定の化学組成を有するか、或いは特定の化学組成を有するとともに特定の組織と介在物を備える、耐全面腐食と耐局部腐食の両方の面に優れた鋼材が提案されている。
特許文献2には、石油や天然ガス等の輸送に使用されるラインパイプや、貯蔵に使用される容器等への使用に好適な、母材及び溶接金属を有する溶接鋼管であって、母材及び溶接金属がそれぞれ、特定の化学組成を有するとともに、(母材のMo含有量+0.2%)≦(溶接金属のMo含有量)を満足する、耐炭酸ガス腐食特性及び耐硫化水素割れ性に優れた溶接鋼管が提案されている。
特許文献3には、X線回折法で分析したとき、硫黄と硫化鉄を合計で1.0〜70%,α−FeOOHと非晶質成分を合計で20%以上含有する特定の化学組成を有する錆層が形成された、原油及び重油の貯蔵容器用耐食鋼材が提案されている。
特開2003−82435号公報 特開2001−294992号公報 特開2003−253393号公報
本発明の目的は、原油が入った環境下での耐食性に優れた原油タンク用溶接継手及びその溶接継手を用いた原油タンクを提供することである。
一般に、原油タンクは溶接によって組み立てられる。このため、溶接部の耐食性をいかにして高めるかが、原油タンク全体の腐食寿命を決定する重要な要素となる。
すなわち、原油タンクの母材となる鋼材の耐食性を向上させても、溶接部の耐食性を高めなければ、原油タンク全体の腐食寿命を高めることはできない。これは、溶接金属が圧延や鍛造などの加工を受ける母材とは異なって凝固ままの組織を呈するため、溶接部を母材と全く同じ状態にすることができず、したがって、溶接部と母材の腐食に対する感受性が異なるためである。
このように、原油タンク環境下で使用に耐える溶接継手を開発することは、耐食性に優れた原油タンクを製造する上で極めて重要である。
前述の特許文献1で開示された技術によれば、全面腐食や局部腐食に対する抵抗性に優れたカーゴオイルタンク用鋼材を提供できる。しかし、溶接継手部の耐食性についての配慮が十分にはなされておらず、例えば溶接継手が必ず存在する実際の原油タンカーにおいて、溶接継手部の耐食性が低下すると問題である。
特許文献2で開示された技術は、湿潤な炭酸ガスや硫化水素を多量に含み、低合金鋼では対処できないような非常に厳しい環境を対象とするものである。このため、少なくとも母材は、質量%で、Cr:10.0〜14.0%、Mo:2.0〜3.0%及びNi:3.0〜8.0%という多量の合金元素を含む高合金鋼とする必要があり、溶接継手部の耐食性も高めることができるもののコストが極めて高くなる。
特許文献3で開示された技術は、特殊な錆層を形成することを特徴とするものでしかなく、腐食性の成分を含む原油環境での耐食性に顕著な効果を有するWやMoを母材中に含んでいない。このため、摩擦などによって錆が除去されてしまうと母材部においても十分な耐食性を確保することができない。しかも、溶接部についてはほとんど言及されておらず、溶接継手部の耐食性の向上を如何にして成し遂げるかという大きな課題が残ったままである。
本発明者らは、上述のような問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、母材及び溶接金属それぞれの組成を適正化するとともに、質量%での、溶接金属中のCu、Ni、W及びMoの含有量から、それぞれ、母材中のCu、Ni、W及びMoの含有量を引いた値が特定の関係を有し、その特定の関係が満たす値を適正化することによって、原油が入った環境下で優れた耐食性を示す原油タンク用溶接継手を提供することができることを知見して、本発明を完成した。
本発明の要旨は、下記(1)〜(5)に示す原油タンク用溶接継手及び(6)に示す原油タンクにある。
(1)母材及び溶接金属を有する溶接継手であって、
前記母材が、質量%で、C:0.01 〜0.2%、Si:0.01〜1%、Mn:0.05〜2%、P:0.05%以下(0%を含まない)、S:0.01%以下(0%を含まない)、Ni:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜2%、Cr:0.1%以下(0%を含まない)、Al:0.1%以下(0%を含まない)、N:0.001〜0.01%、及びO(酸素):0.0001〜0.005%を含有するとともに、W:0.01〜1%及びMo:0.01〜1%のうちの少なくとも一方を含有し、残部はFe及び不純物からなる鋼組成を有し、
前記溶接金属が、質量%で、C:0.01 〜0.2%、Si:0.01〜1%、Mn:0.2 〜2%、P:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.01%以下(0%を含まない)、Ni:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜1%、Cr:0.5%以下(0%を含まない)、Nb:0.07%以下(0%を含まない)、V:0.07%以下(0%を含まない)、Ti:0.07%以下(0%を含まない)、B:0.005%以下(0%を含まない)、Al:0.05%以下(0%を含まない)、N:0.001〜0.03%及びO(酸素):0.001〜0.05%に加えて、W:0.01〜1%及びMo:0.01〜1%のうちの少なくとも一方を含有する鋼からなり、
更に、下記(a)式で表されるfnの値が−0.3〜0.3を満足することを特徴とする原油タンク用溶接継手。
fn=△Cu+0.3×△Ni+0.2×△W+1.3×△Mo・・・(a)。
なお、上記(a)式中の△Cu、△Ni、△W及び△Moは、それぞれ、Cu、Ni、W及びMoの質量%での、溶接金属中の含有量から母材中の含有量を引いた値を表す。
(2)母材が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.005〜0.1%、Zr:0.005〜0.2%、Sb:0.01〜0.2%、Sn:0.01〜0.2%、Ca:0.0003〜0.01%及びMg:0.0003〜0.01%のうちの1種以上を含有する上記(1)に記載の原油タンク用溶接継手。
(3)母材が、Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%及びB:0.0003〜0.01%のうちの1種以上を含有する上記(1)又は(2)に記載の原油タンク用溶接継手。
(4)母材が、下記(b)式で表されるαが0.75以下、下記(c)式で表されるβが0.8以下及び下記(d)式で表されるCeq*が0.38以下であることを特徴とする上記(1)から(3)までのいずれかに記載の原油タンク用溶接継手。
α=(1−0.691×Cu)×(1−0.221×Ni)×(1−0.142×W)×(1−0.148Mo)・・・(b)、
β=(1−0.444×Cu)×(1−0.156×Ni)×(1−0.630×W)×(1−0.178Mo)・・・(c)、
Ceq*=C+(Mn/6)+(Ni/15)+(Cu/15)+(W/10)+(Cr/5)+(Mo/5)・・・(d)。
なお、(b)〜(d)式中の元素記号は、その元素の質量%での母材中の含有量を表す。
(5)少なくとも一部の面に防食処理が施された上記(1)から(4)までのいずかに記載の原油タンク用溶接継手。
(6)上記(1)から(5)までのいずれかに記載の原油タンク用溶接継手を用いた原油タンク。
以下、上記(1)〜(5)の原油タンク用溶接継手及び(6)の原油タンクに係る発明を、それぞれ「(1)の発明」〜「(6)の発明」という。また、総称して「本発明」ということがある。
本発明の原油タンク用溶接継手は、原油が入った環境下での耐食性に優れるので、積荷である原油を入れる原油タンカーのタンクや同様の腐食環境におかれた陸上タンクのような、原油タンク用溶接継手として利用することができる。また、本発明の原油タンク用溶接継手を用いた原油タンクは、原油が入った環境下での耐食性に優れるため、メンテナンス費用を大幅に削減することができる。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
(A)母材の成分について
C:0.01〜0.2%
Cは、材料としての強度を確保するために必要な元素であり、0.01%以上の含有量が必要である。しかしながら、0.2%を超えて含有させると溶接性が低下する。また、C含有量の増大とともに、酸性水による乾湿繰り返しの環境でカソードとなるセメンタイトの生成量が増えて腐食が促進される。特に、Cの含有量が0.2%を超えると、セメンタイトの生成量増大に伴う腐食の増大と溶接性の低下が著しくなる。このため、Cの含有量を0.01〜0.2%とした。
Si:0.01〜1%
Siは、脱酸に必要な元素であり、十分な脱酸効果を得るためには0.01%以上含有させる必要がある。しかしながら、1%を超えて含有させると母材及び溶接継手部の靱性が損なわれる。このため、Siの含有量を0.01〜1%とした。Siの好ましい含有量の範囲は0.01〜0.8%であり、より好ましい範囲は0.01〜0.5%である。
Mn:0.05〜2%
Mnは、低コストで鋼の強度を高める作用を有する元素であり、この効果を得るためには0.05%以上の含有量が必要である。しかし、2%を超えて含有させると溶接性が劣化するとともに溶接継手部の靱性も劣化する。このため、Mnの含有量を0.05〜2%とした。Mnの好ましい含有量の範囲は0.05〜1.8%であり、より好ましい範囲は0.05〜1.5%である。
P:0.05%以下(0%を含まない)
Pは、鋼中に含まれる不純物元素で、溶接性を低下させる。特に、その含有量が0.05%を超えると、溶接性の低下が著しくなる。このため、Pの含有量を0.05%以下(0%を含まない)とした。なお、Pは溶接性を低下させる一方で原油タンク内の耐全面腐食性及び耐孔食性を向上させる作用を有するので、これら耐食性を高めるために積極的にPを0.005%以上を含有させてもよい。Pの含有量の好ましい上限は0.04%で、より好ましい上限は0.03%である。なお、Pの含有量は低ければ低いほどよい。
S:0.01%以下(0%を含まない)
Sは、鋼中に含まれる不純物元素で、その含有量が0.01%を超えると鋼中にMnSが多く生成し、MnSが腐食の起点となって全面腐食及び孔食が生じる。このため、Sの含有量を0.01%以下(0%を含まない)とした。S含有量の好ましい上限は0.008%、より好ましい上限は0.005%である。なお、Sの含有量は低ければ低いほどよい。
Ni:0.01〜1.0%
Niは、H2Sを含まない乾湿繰り返し環境での耐全面腐食性を向上させる元素である。Niには、H2S環境において防食性の硫化物皮膜を形成して耐全面腐食性を高める効果や、耐孔食性を向上させる効果もある。これらの効果はNiを0.01%以上含有させることにより得られ、特に、0.05%以上含有させれば一層顕著な効果が得られる。しかし、Niを1%を超えて含有させても前記の各効果が飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、Niの含有量を0.01〜1%とした。なお、Niの好ましい含有量の範囲は0.05〜1%であり、より好ましい範囲は0.1〜1%である。
Cu:0.01〜2%
Cuは、H2Sを含まない乾湿繰り返し環境での耐全面腐食性を向上させる元素であり、この効果はCuを0.01%以上含有させることにより得られ、特に、0.1%以上含有させれば一層顕著な効果が得られる。Cuには、酸性水による乾湿繰り返しの環境での耐全面腐食性を高める効果、H2S存在下で難溶性の硫化物皮膜を形成して耐全面腐食性及び耐孔食性を著しく向上させる効果、更には、S存在下での孔食発生の抑制にも効果がある。これらの効果を得るためには、Cuは0.01%以上の含有量とする必要があり、0.1%以上含有させれば一層確実な効果が得られる。しかし、いずれの場合もCuを2%を超えて含有させてもその効果が飽和し、更に、溶接性の低下も生じる。したがって、Cuの含有量を0.01〜2%とした。なお、Cuの好ましい含有量の範囲は0.1〜2%である。
Cr:0.1%以下(0%を含まない)
Crは、酸性水による乾湿繰り返しの環境における耐全面腐食性を著しく低下させる。特に、その含有量が0.1%を超えると、上記環境での耐全面腐食性の低下が著しくなる。したがって、Crの含有量を0.1%以下(0%を含まない)とした。Cr含有量の好ましい上限は0.05%である。なお、Crの含有量は低ければ低いほどよい。
Al:0.1%以下(0%を含まない)
Alは、酸性水による乾湿繰り返しの環境における耐全面腐食性の著しい劣化を招き、更に、粗大な窒化物を形成して靱性の低下もきたす。特に、その含有量が0.1%を超えると、上記環境での耐全面腐食性の劣化が著しくなり、また、靱性の低下も大きくなる。したがって、Alの含有量を0.1%以下(0%を含まない)とした。Al含有量の好ましい上限は0.08%である。なお、Alの含有量は低ければ低いほどよい。
N:0.001〜0.01%
Nは、原油が入った環境下でアンモニアとなって溶解し、原油タンク底板孔食部のpH値の低下を抑制することにより耐孔食性を向上させる効果を有する。この効果は、Nを0.001%以上含有することにより得られるが、Nの含有量が0.01%を超えると溶接熱影響部の靱性が劣化する。したがって、Nの含有量を0.001〜0.01%とした。Nの好ましい含有量の範囲は0.001〜0.006%であり、より好ましい範囲は0.001〜0.005%である。
O(酸素):0.0001〜0.005%
O(酸素)は、フェライトの生成核となる酸化物を形成して組織を微細化し、溶接熱影響部の靱性を向上させる作用を有する元素であり、この効果を得るためには0.0001%以上含有させる必要がある。しかしながら、過度に含有すると、孔食の起点となりやすい酸化物系非金属介在物を形成して耐食性の低下を招くとともに母材の靱性を劣化させる。特に、Oの含有量が0.005%を超えると耐食性の低下及び母材の靱性劣化が著しくなる。したがって、Oの含有量を0.0001〜0.005%とした。なお、Oの好ましい含有量は、0.0002〜0.005%である
W:0.01〜1%及びMo:0.01〜1%のうちの少なくとも一方
W及びMoは、H2Sを含まない乾湿繰り返し環境での耐全面腐食性を向上させる元素である。W及びMoには、酸性水による乾湿繰り返し環境における耐食性を向上させる効果や、H2S環境において防食性の硫化物皮膜を形成して耐孔食性を向上させる効果がある。これらの効果は、特に、前記した量のNi及びCuとの共存下で、WとMoのうちの少なくとも一方を0.01%以上含有させることにより得られる。しかし、W及びMoの両元素とも、それぞれ、1%を超えて含有させても前記の効果は飽和しコストが嵩むし、溶接性の低下を招く。したがって、W:0.01〜1%及びMo:0.01〜1%のうちの少なくとも一方を含有させることとした。なお、Moを添加しないでWを単独で添加する場合、Wの含有量の好ましい下限は0.05%であり、より好ましい下限は0.1%である。また、Wを添加しないでMoを単独で添加する場合、Moの含有量の好ましい下限は0.05%、より好ましい下限は0.1%である。一方、WとMoを複合添加する場合には、Wの含有量の好ましい下限は0.01%で、より好ましい下限は0.05%であり、また、Moの含有量の好ましい下限は0.01%、より好ましい下限は0.05%である。
したがって、本発明(1)に係る原油タンク用溶接継手の母材を、上述した範囲のCから、W及びMoのうちの少なくとも一方までの元素を含み、残部はFe及び不純物からなる鋼組成を有するものとした。
なお、本発明(1)における母材は溶接金属との関係で、前記(a)式で表されるfnの値が−0.3〜0.3を満足する必要があるが、このことについては後述する。
本発明に係る原油タンク用溶接継手の母材には、必要に応じて、Feの一部に代えて、後述する第1群及び第2群のうちの少なくとも1群のうちから選んだ1種以上の元素を任意添加元素として添加し、含有させてもよい。
以下、任意添加元素に関して説明する。
第1群:Ti:0.005〜0.1%、Zr:0.005〜0.2%、Sb:0.01〜0.2%、Sn:0.01〜0.2%、Ca:0.0003〜0.01%及びMg:0.0003〜0.01%
Tiは、原油が入った環境下での耐食性を高める作用を有する。すなわち、Tiは、硫化物(TiS)を優先的に形成することによって腐食の起点となるMnSの生成を抑制し、耐全面腐食性及び耐孔食性を高める作用を有する。Tiには、鋼の強度を高める作用や鋼の靱性を向上させる作用もある。こうした効果を確実に得るには、Tiは0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Tiを0.1%を超えて含有させても前記の効果は飽和しコストが嵩むばかりである。したがって、添加する場合のTiの含有量を0.005〜0.1%とした。なお、添加する場合のTi含有量の下限は0.01%であることが更に好ましい。
Zrは、原油が入った環境下での耐食性を高める作用を有する。すなわち、Zrは、Tiと同様に硫化物(ZrS)を優先的に形成し、腐食の起点となるMnSの生成を抑制して、耐全面腐食性及び耐孔食性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Zrは0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Zrを0.2%を超えて含有させると靱性の低下を招く。したがって、添加する場合のZrの含有量を0.005〜0.2%とした。なお、添加する場合のZr含有量の下限は0.01%であることが更に好ましく、0.02%であれば一層好ましい。
Sbは、原油が入った環境下での耐食性を高める作用を有する。すなわち、Sbは、酸性水による乾湿繰り返し環境での耐全面腐食性を向上させる作用及び孔食部のpH値が低い環境における耐食性を高めることによる耐孔食性の向上作用を有する。こうした効果を確実に得るには、Sbは0.01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Sbを0.2%を超えて含有させても前記の効果は飽和する。したがって、添加する場合のSbの含有量を0.01〜0.2%とした。なお、添加する場合のSb含有量の下限は0.05%であることが更に好ましい。
Snは、原油が入った環境下での耐食性を高める作用を有する。すなわち、Snは、Sbと同様に、酸性水による乾湿繰り返し環境での耐全面腐食性を向上させる作用及び孔食部のpH値が低い環境における耐食性を高めることによる耐孔食性の向上作用を有する。こうした効果を確実に得るには、Snは0.01%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Snを0.2%を超えて含有させても前記の効果は飽和する。したがって、添加する場合のSnの含有量を0.01〜0.2%とした。なお、添加する場合のSn含有量の下限は0.05%であることが更に好ましい。
Caは、原油が入った環境下での耐食性を高める作用を有する。すなわち、Caは、腐食反応時に水に溶けてアルカリとなり鋼材界面のpH値の低下を抑制することにより耐食性を向上させる作用があって、低pH環境である原油タンク内の気相部及び底板の孔食部での耐食性向上に効果を有する。この効果を確実に得るには、Caは0.0003%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Caを0.01%を超えて含有させても前記の効果は飽和する。したがって、添加する場合のCaの含有量を0.0003〜0.01%とした。なお、添加する場合のCa含有量の上限は0.006%であることが更に好ましく、0.005%であれば一層好ましい。
Mgは、原油が入った環境下での耐食性を高める作用を有する。すなわち、Mgは、Caと同様に、腐食反応時に水に溶けてアルカリとなり鋼材界面のpH値の低下を抑制することにより耐食性を向上させる作用があって、低pH環境である原油タンク内の気相部及び底板の孔食部での耐食性向上に効果を有する。この効果を確実に得るには、Mgは0.0003%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Mgを0.01%を超えて含有させても前記の効果は飽和する。したがって、添加する場合のMgの含有量を0.0003〜0.01%とした。なお、添加する場合のMg含有量の上限は0.006%であることが更に好ましく、0.005%であれば一層好ましい。
なお、上記のTi、Zr、Sb、Sn、Ca及びMgはいずれか1種のみ、又は2種以上の複合で添加することができる。
第2群:Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%及びB:0.0003〜0.01%
Nbは、鋼の強度を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Nbは0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Nbを0.1%を超えて含有させると靱性の低下を招く。したがって、添加する場合のNbの含有量を0.005〜0.1%とした。なお、添加する場合のNb含有量は0.005〜0.06%であることが更に好ましく、0.005〜0.05%であれば一層好ましい。
Vは、鋼の強度を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Vは0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Vを0.1%を超えて含有させると靱性及び溶接性の低下を招く。したがって、添加する場合のVの含有量を0.005〜0.1%とした。なお、添加する場合のVの含有量は0.005〜0.06%であることが更に好ましく、0.005〜0.05%であれば一層好ましい。
Bは、鋼の強度を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Bは0.0003%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Bを0.01%を超えて含有させると靱性の低下を招く。したがって、添加する場合のBの含有量を0.0003〜0.01%とした。なお、添加する場合のB含有量は0.0003〜0.006%であることが更に好ましく、0.0003〜0.005%であれば一層好ましい。
なお、上記のNb、V及びBはいずれか1種のみ、又は2種以上の複合で添加することができる。
上記の理由から、本発明(2)に係る原油タンク用溶接継手の母材の鋼組成を、本発明(1)における原油タンク用溶接継手の母材のFeの一部に代えて、Ti:0.005〜0.1%、Zr:0.005〜0.2%、Sb:0.01〜0.2%、Sn:0.01〜0.2%、Ca:0.0003〜0.01%及びMg:0.0003〜0.01%のうちの1種以上を含有することと規定した。
また、本発明(3)に係る原油タンク用溶接継手の母材の鋼組成を、本発明(1)又は本発明(2)における原油タンク用溶接継手の母材のFeの一部に代えて、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%及びB:0.0003〜0.01%のうちの1種以上を含有することと規定した。
なお、本発明者らの詳細な実験によって、本発明に係る原油タンク用溶接継手の母材は、下記(b)式で表されるαを0.75以下とすれば原油が入った環境下での耐全面腐食性を一層高めることができ、更に、下記(c)式で表されるβを0.8以下とすれば前記環境での耐孔食性を一層高めることができることが明らかになった。なお、(b)式及び(c)式は実験によって得られた実験式である。
α=(1−0.691×Cu)×(1−0.221×Ni)×(1−0.142×W)×(1−0.148Mo)・・・(b)、
β=(1−0.444×Cu)×(1−0.156×Ni)×(1−0.630×W)×(1−0.178Mo)・・・(c)。
そして、原油タンク用鋼材は、通常、溶接施工によってタンクに組み立てられるが、炭素当量である下記(d)式で表されるCeq*を0.38以下とすれば、良好な溶接性を確保することが可能である。
Ceq*=C+(Mn/6)+(Ni/15)+(Cu/15)+(W/10)+(Cr/5)+(Mo/5)・・・(d)。
したがって、本発明(4)に係る原油タンク用溶接継手の母材の鋼組成を、上記(b)式で表されるαが0.75以下、上記(c)式で表されるβが0.8以下及び上記(d)式で表されるCeq*が0.38以下である本発明(1)から本発明(3)までのいずれかに記載のものと規定した。
(B)溶接金属の成分について
C:0.01 〜0.2%
Cは、母材同様溶接金属としての強度を確保するために必要な元素であり、0.01%以上の含有量が必要である。しかし、0.2%を超えて含有させると溶接金属に高温割れを生じたり溶接金属の靱性が低下する。また、C含有量の増大とともに、酸性水による乾湿繰り返しの環境でカソードとなって腐食を促進するセメンタイトの生成量が増大するとともに溶接性が低下する。特に、Cの含有量が0.2%を超えると、腐食が著しくなるとともに溶接性の低下も著しくなる。このため、Cの含有量を0.01〜0.2%とした。
Si:0.01〜1%
Siは、脱酸に必要な元素であり、十分な脱酸効果を得るためには0.01%以上含有させる必要がある。しかし、1%を超えて含有させると溶接金属の靱性が損なわれる。このため、Siの含有量を0.01〜1%とした。Siの好ましい含有量の範囲は0.01〜0.8%であり、より好ましい範囲は0.01〜0.5%である。
Mn:0.2 〜2%
Mnは、低コストで溶接金属の強度を高める作用を有する元素であり、この効果を得るためには0.2%以上の含有量が必要である。しかし、2%を超えて含有させると溶接金属の靱性が劣化する。このため、Mnの含有量を0.2〜2%とした。Mnの好ましい含有量の範囲は0.5〜1.8%であり、より好ましい範囲は0.6〜1.5%である。
P:0.03%以下(0%を含まない)
Pは、鋼中に含まれる不純物元素で、溶接金属に高温割れを生じさせる。特に、その含有量が0.03%を超えると、溶接金属における高温割れ発生の割合が著しく高くなる。このため、Pの含有量を0.03%以下(0%を含まない)とした。なお、Pは溶接金属に高温割れを生じさせる一方で原油タンク内の耐全面腐食性及び耐孔食性を向上させる作用を有するので、溶接金属における高温割れが避けられる場合には、これら耐食性を高めるために0.005%以上を含有させてもよい。Pの含有量の好ましい上限は0.025%で、より好ましい上限は0.02%である。なお、溶接金属においても、Pの含有量は低ければ低いほどよい。
S:0.01%以下(0%を含まない)
Sは、鋼中に含まれる不純物元素で、その含有量が0.01%を超えると鋼中にMnSが多く生成し、溶接金属においてもMnSが腐食の起点となって全面腐食及び孔食が生じる。このため、Sの含有量を0.01%以下(0%を含まない)とした。S含有量の好ましい上限は0.008%、より好ましい上限は0.005%である。なお、溶接金属においても、Sの含有量は低ければ低いほどよい。
Ni:0.01〜1.0%
Niは、溶接金属においても、H2Sを含まない乾湿繰り返し環境での耐全面腐食性を向上させる元素である。Niには、湿潤H2S環境において防食性の硫化物皮膜を形成して耐全面腐食性を高める効果や、耐孔食性を向上させる効果もある。これらの効果は溶接金属中にNiを0.01%以上含有させることにより得られ、特に、0.05%以上含有させれば一層顕著な効果が得られる。しかし、Niを1%を超えて含有させても前記の各効果が飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、Niの含有量を0.01〜1%とした。Niの好ましい含有量の範囲は0.05〜1%であり、より好ましい範囲は0.1〜1%である。
Cu:0.01〜1%
Cuは、溶接金属においても、H2Sを含まない乾湿繰り返し環境での耐全面腐食性を向上させる元素であり、この効果はCuを0.01%以上含有させることにより得られ、特に、0.1%以上含有させれば一層顕著な効果が得られる。Cuには、酸性水による乾湿繰り返しの環境での耐全面腐食性を高める効果、H2S存在下で難溶性の硫化物皮膜を形成して耐全面腐食性及び耐孔食性を著しく向上させる効果、更には、S存在下での孔食発生の抑制にも効果がある。これらの効果を得るためには、Cuは0.01%以上の含有量とする必要があり、0.1%以上含有させれば一層確実な効果が得られる。しかし、いずれの場合もCuを1%を超えて含有させてもその効果が飽和し、更に、溶接金属における高温割れ発生の割合が著しく高くなる。したがって、Cuの含有量を0.01〜1%とした。なお、Cuの好ましい含有量の範囲は0.1〜1%である。
Cr:0.5%以下(0%を含まない)
Crは、溶接金属においても、H2Sを含む乾湿繰り返し環境、すなわち、酸性水による乾湿繰り返しの環境における耐全面腐食性を著しく低下させる。特に、溶接金属においてはその組織形態から、Crの含有量が0.5%を超えると、上記環境での耐全面腐食性の低下が著しくなる。したがって、Crの含有量を0.5%以下(0%を含まない)とした。Cr含有量の好ましい上限は0.2%である。なお、溶接金属においても、Crの含有量は低ければ低いほどよい。
Nb:0.07%以下(0%を含まない)
Nbは、母材に含まれない場合でも溶接材料から溶接金属に混入してくる元素であり、溶接金属の強度を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、溶接金属におけるNbは0.003%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Nbの含有量が0.07%を超えると、溶接金属の靱性が劣化する。したがって、溶接金属におけるNbの含有量を0.07%以下(0%を含まない)とした。溶接金属におけるNbの好ましい含有量の範囲は0.003〜0.07%で、より好ましい範囲は0.003〜0.06%であり、極めて好ましい範囲は0.003〜0.05%である。
V:0.07%以下(0%を含まない)
Vは、母材に含まれない場合でも溶接材料から溶接金属に混入してくる元素であり、溶接金属の強度を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、溶接金属におけるVは0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Vの含有量が0.07%を超えると、溶接金属の靱性が劣化するとともに溶接性の低下をきたす。したがって、溶接金属におけるVの含有量を0.07%以下(0%を含まない)とした。溶接金属におけるVの好ましい含有量の範囲は0.005〜0.07%で、より好ましい範囲は0.005〜0.06%であり、極めて好ましい範囲は0.005〜0.05%である。
Ti:0.07%以下(0%を含まない)
Tiは、母材に含まれない場合でも溶接材料から溶接金属に混入してくる元素である。すなわち、Tiは溶接金属において脱酸剤として作用するため溶接ワイヤ中に添加されたものが溶接金属中に入る。そして、溶接金属中のTiは、溶接金属の組織を微細化する作用や組織微細化を通じて溶接金属の靱性を向上させる作用を有する。更に、TiSを形成することによって腐食の起点となるMnSの生成を抑制し、原油が入った環境下における溶接金属の耐全面腐食性及び耐孔食性を高める作用もある。これらの効果を確実に得るには、溶接金属におけるTiは0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、溶接金属にTiを0.07%を超えて含有させても前記の効果は飽和しコストが嵩む。したがって、溶接金属におけるTiの含有量を0.07%以下(0%を含まない)とした。溶接金属におけるTi含有量の下限は0.01%であることが更に好ましく、0.015%であれば一層好ましい。
B:0.005%以下(0%を含まない)
Bは、母材に含まれない場合でも溶接材料から溶接金属に混入してくる元素であり、溶接金属の焼入れ性を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、溶接金属におけるBは0.0003%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Bの含有量が0.005%を超えると、溶接金属における高温割れ発生の割合が著しく高くなる。したがって、溶接金属におけるBの含有量を0.005%以下(0%を含まない)とした。溶接金属におけるBの好ましい含有量の範囲は0.0003〜0.005%で、より好ましい範囲は0.0003〜0.004%であり、極めて好ましい範囲は0.0003〜0.0035%である。
Al:0.05%以下(0%を含まない)
Alは、溶接金属においても、酸性水による乾湿繰り返しの環境における耐全面腐食性の著しい劣化を招き、特に、その含有量が0.1%を超えると、上記環境での耐全面腐食性の劣化が著しくなる。したがって、Alの含有量を0.05%以下(0%を含まない)とした。Al含有量の好ましい上限は0.01%である。なお、溶接金属におけるAlの含有量は低ければ低いほどよい。
N:0.001〜0.03%
Nは、溶接金属においても、原油が入った環境下でアンモニアとなって溶解し、原油タンク底板孔食部のpH値の低下を抑制することにより耐孔食性を向上させる効果を有する。この効果は、Nを0.001%以上含有することにより得られるが、Nの含有量が0.03%を超えると、溶接金属の靱性が劣化する。したがって、Nの含有量を0.001〜0.03%とした。Nの好ましい含有量の範囲は0.001〜0.006%であり、より好ましい範囲は0.001〜0.005%である。
O(酸素):0.001〜0.05%
O(酸素)は、フェライトの生成核となる酸化物を形成して組織を微細化し、溶接金属の靱性を向上させる作用を有する。この効果を得るためには、溶接金属におけるOの含有量を0.001%以上とする必要がある。しかしながら、過度に含有すると、孔食の起点となりやすい酸化物系非金属介在物を形成して耐食性の低下を招くとともに却って溶接金属の靱性を劣化させる。特に、溶接金属におけるOの含有量が0.05%を超えると、溶接金属における耐食性と靱性の低下が著しくなる。したがって、Oの含有量を0.001〜0.05%とした。なお、Oの好ましい含有量は、0.002〜0.05%である
W:0.01〜1%及びMo:0.01〜1%のうちの少なくとも一方
W及びMoは、溶接金属においても、H2Sを含まない乾湿繰り返し環境での耐全面腐食性を向上させる元素であり、酸性水による乾湿繰り返し環境における耐食性を向上させる効果や、H2S環境において防食性の硫化物皮膜を形成して耐孔食性を向上させる効果を有する。Moには、片面サブマージアーク溶接などの大入熱溶接の場合に、溶接金属の組織を改善してその強度及び靱性を高める効果もある。上記の各効果は、特に、前記した量のNi及びCuとの共存下で、WとMoのうちの少なくとも一方を0.01%以上含有させることにより得られる。しかし、W及びMoの両元素とも、それぞれ、1%を超えて含有させても前記の効果は飽和しコストが嵩むだけでなく、溶接性の低下が生じる。したがって、W:0.01〜1%及びMo:0.01〜1%のうちの少なくとも一方を含有させることとした。なお、溶接金属がWを単独で含む場合におけるWの含有量の好ましい下限は0.05%である。また、溶接金属がMoを単独で含む場合におけるMoの含有量の好ましい下限は0.1%、より好ましい下限は0.15%である。一方、溶接金属がWとMoを複合して含む場合のW含有量の好ましい下限は0.05%であり、また、Mo含有量の好ましい下限は0.05%である。
したがって、本発明(1)に係る原油タンク用溶接継手の溶接金属を、上述した範囲のCから、W及びMoのうちの少なくとも一方までの元素を含有する鋼からなることと規定した。
なお、本発明(1)における溶接金属は母材との関係で、前記(a)式で表されるfnの値が−0.3〜0.3を満足する必要があるが、このことについては後述する。
溶接金属における上述のCから、W及びMoのうちの少なくとも一方までの元素の含有量は、母材のCから、W及びMoのうちの少なくとも一方までの元素の含有量と、溶接材料のCから、W及びMoのうちの少なくとも一方までの元素の含有量を勘案することによって、経験的に制御することができる。
また、常用される溶接材料を用いて溶接する限り、溶接金属は上述した量のCから、W及びMoのうちの少なくとも一方までの元素を含む鋼からなりさえすればよく、他の元素については特に規定する必要はない。
(C)母材と溶接金属との成分差について
原油が入った環境下で、原油タンク用溶接継手に十分な耐食性を確保させるためには、△Cu、△Ni、△W及び△Moを、それぞれ、Cu、Ni、W及びMoの、溶接金属中の含有量から母材中の含有量を引いた値として、下記(a)式で表されるfnの値が−0.3〜0.3を満足する必要がある。
fn=△Cu+0.3×△Ni+0.2×△W+1.3×△Mo・・・(a)。
以下、上記の事柄に関して詳しく説明する。
原油タンク用溶接継手の母材及び溶接金属が、それぞれ、前記(A)項で述べた母材の成分及び(B)項で述べた溶接金属の成分を有する場合であっても、成分の母材中含有量と溶接金属中含有量との差が大きければ母材の耐食性と溶接金属の耐食性に大きな差が生じ、局部電池を形成して母材又は溶接金属の腐食が著しく進むことが想定される。しかし、溶接金属の成分組成は、溶接法や溶接条件などによって変化するため、母材の成分と溶接金属の成分とを全く同一にすることは困難である。
そこで、本発明者らは、原油タンク用溶接継手に十分な耐食性を確保させるために、母材及び溶接金属を、それぞれ、前記(A)項で述べた母材の成分及び(B)項で述べた溶接金属の成分としたうえで、溶接継手における成分の母材中含有量と溶接金属中含有量との差が、原油が入った環境下で溶接継手の腐食挙動に及ぼす影響について詳細な検討を行った。
その結果、Cu、Ni、W及びMoの母材中含有量と溶接金属中含有量との差が、上記環境下での溶接継手の腐食挙動に大きな影響を及ぼすことが明らかになり、回帰分析を行った結果、前記(a)式が得られた。
図1は、前記(a)式で表されるfnの値が、溶接金属の腐食速度と母材の腐食速度の比に及ぼす影響を示す図である。なお、図1では、「溶接金属の腐食速度と母材の腐食速度の比」を「腐食速度比(溶金/母材)」と表記した。
(a)式で表されるfnの値は、「溶接金属の腐食速度と母材の腐食速度の比」と直線関係にあり、fnの値が−0.3より小さい場合には、溶接金属の耐食性が不足するために溶接金属側が選択的に腐食して、「溶接金属の腐食速度と母材の腐食速度の比」は大きな値となる。一方、fnの値が0.3より大きい場合には、母材の耐食性が不足するために母材側が選択的に腐食して、「溶接金属の腐食速度と母材の腐食速度の比」は小さな値となる。このいずれの場合にも、溶接継手の耐食性としては不十分である。
これに対して、fnの値が−0.3〜0.3の範囲の場合には、母材と溶接金属の耐食性の差が小さくなって、選択腐食を防止することができる。
溶接継手が溶接金属及び母材のいずれにもWを含まない場合には、前記(a)式で表されるfn中の「△W」が0となるため、fnは、「fn=△Cu+0.3×△Ni+1.3×△Mo」となり、また、溶接金属及び母材のいずれにもMoを含まない場合には、前記(a)式で表されるfn中の「△Mo」が0となるため、fnは、「fn=△Cu+0.3×△Ni+0.2×△W」となるが、式の技術的意味づけとしては同じである。
上述のことから、本発明(1)に係る原油タンク用溶接継手は、前記(a)式で表されるfnの値が−0.3〜0.3を満足するものとした。
なお、本発明者らの検討により、溶接金属中のSi含有量が母材中のSi含有量より少ない場合にも、選択腐食が抑制されることが明らかになった。したがって、本発明に係る原油タンク用溶接継手は、選択腐食防止効果をより一層高めるために、「△Si<0」を満たすようにするのがよい。上記の△Siは、溶接金属中のSi含有量から母材中のSi含有量を引いた値を指す。
先に(B)項で述べたとおり、本発明に係る原油タンク用溶接継手の溶接金属におけるCから、W及びMoのうちの少なくとも一方までの元素の含有量は、母材のCから、W及びMoのうちの少なくとも一方までの元素の含有量と、溶接材料のCから、W及びMoのうちの少なくとも一方までの元素の含有量を勘案することによって、経験的に制御することができる。
そして、本(C)項における上記fnの値を満足する原油タンク用溶接継手は、溶接ワイヤの組成や組合せを適宜調節して溶接を行うことで得られ、また、サブマージアーク溶接以外の溶接、例えば、炭酸ガスアーク溶接などであっても、溶接材料と溶接条件を適宜選択することによって得られる。具体的には、例えば、前記(A)項で述べた成分組成を有する母材に対するCu、Ni、W及びMoの含有量の差が1%以内であるワイヤを用いて、入熱が5〜500kJ/cm、溶接速度が5〜150cm/分の条件で溶接を行うことによって、前記fnの値を満足する原油タンク用溶接継手を得ることができる。
また、上記△Siの値を満足する原油タンク用溶接継手も、例えば、前記(A)項で述べた成分組成を有する母材に対するSiの含有量の差が1%以内であるワイヤを用いて、入熱が5〜500kJ/cm、溶接速度が5〜150cm/分の条件で溶接を行うことによって得ることができる。
以上に説明した本発明に係る原油タンク用溶接継手は、そのままの状態で使用しても原油が入った環境下で良好な耐食性を示す。しかし、その表面に防食処理を施した場合には、すなわち、有機樹脂や金属からなる防食被膜で覆った場合には、耐食性がより一段と向上する。
このため、本発明(5)に係る原油タンク用溶接継手は、本発明(1)から本発明(4)までのいずれかの溶接継手において、少なくとも一部の面に防食処理が施されたものと規定した。
ここで、上述の有機樹脂からなる防食被膜としては、ビニルブチラール系、エポキシ系、ウレタン系、フタル酸系等の樹脂被膜を挙げることができ、また、金属からなる防食被膜としては、ZnやAl等のメッキ被膜や溶射被膜を挙げることができる。なお、上記の防食被膜で覆う防食処理は通常の方法で行えばよい。
本発明(1)から本発明(4)までのいずれかの原油タンク用溶接継手を用いた原油タンクは、原油が入った環境下での耐食性に優れ、また、本発明(5)の原油タンク用溶接継手を用いた原油タンクは、原油が入った環境下での耐食性により一層優れる。
したがって、本発明(6)に係る原油タンクは、本発明(1)から本発明(5)までのいずれかの原油タンク用溶接継手を用いたものと規定した。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
表1に示す化学組成を有する鋼A〜Qを真空溶解炉を用いて溶製して50kg鋼塊とした後、通常の方法で熱間鍛造して厚さが120mmのブロックを作製した。
Figure 2006137963
上記のようにして得た厚さ120mmのブロックを、1150℃で2時間加熱した後、仕上げ温度が750℃となるように熱間圧延し、室温まで大気中で放冷して厚さ20mmの鋼板を作製した。
次いで、これらの鋼板を母材として、表2に示す条件で手溶接又は「FCB(Flux Cu Backing)」法によって溶接継手を作製した。すなわち、上記の鋼板について、図2又は図3に示す開先加工を施し、図2に示す開先形状を施した鋼板は手溶接を行って、また、図3に示す開先形状を施した鋼板はFCB法によって、溶接継手を作製した。
Figure 2006137963
手溶接では、棒径が4.0mmのJIS Z 3211(1991)に記載されたD4301相当の被覆アーク溶接棒、すなわち、表3に示す市販の被覆アーク溶接棒(記号:DA)を用いた。
Figure 2006137963
FCB法では、表4に示す化学成分を有するワイヤ径が4.8mmのサブマージアーク溶接ワイヤ(記号:WA、WB)と表5に示す化学成分を有するサブマージアーク溶接フラックス(記号:FA、FB、FC)とを用いた。
サブマージアーク溶接ワイヤ「WA」と「WB」は、いずれもJIS Z 3351(1988)に記載されたYS−S6に相当する市販の溶接ワイヤである。
また、サブマージアーク溶接フラックス「FA」と「FB」は、いずれもJIS Z 3352(1988)に記載されたFS−BN1に相当する市販の高塩基性のボンドフラックスである。なお、「FA」にはFeMoを0.5〜5%添加し、溶接金属中に0.1〜0.2%のMoが含有されるように調節した。同様に、「FB」にはFeWを0.5〜5%添加して、溶接金属中に0.1〜0.2%のWが含有されるように調節した。
一方、サブマージアーク溶接フラックス「FC」はJIS Z 3352(1988)に記載されたFS−BT2に相当する市販の高塩基性のボンドフラックスであり、FCB片面溶接の裏当てフラックスとして用いた。なお、「FC」には、Fe粉を0.5〜5%添加して、溶け落ち防止と溶着量の増加効果が得られるようにした。
Figure 2006137963
Figure 2006137963
表6に、作製した各溶接継手における母材、溶接方法、被覆アーク溶接棒、サブマージアーク溶接ワイヤ及びサブマージアーク溶接フラックスの詳細を示す。なお、表6において、溶接条件が2の場合の「溶接材料」欄における「WA/FA/FC」等は、使用したワイヤ、表フラックス、裏フラックスの組み合わせを意味する。
Figure 2006137963
上記のようにして作製した溶接継手について、その溶接金属の化学成分の調査を行った。また、原油が入った原油タンク環境を模擬した腐食試験を実施した。
すなわち、各溶接継手のビード中央部から、JIS G 1253による分光分析用試験片を採取して溶接金属の成分分析を行った。
原油が入った原油タンク環境を模擬した腐食試験の詳細は次に示すとおりである。
先ず、各溶接継手から、長さ方向に20mm、幅方向に100mm、表面から板厚方向に4mmの寸法の試験片を、溶接ビードが中央となるように採取した後、表面を切削し、更に、エメリー紙600番まで研磨して、直径が5mmの円状の部分残して研磨面全体にスラッジ1−1を塗布し、これを腐食試験片2とした。なお、上記のスラッジ1−1を塗布しなかった直径が5mmの円状の部分はスラッジ欠陥1−2と見なした部分である。このスラッジ欠陥1−2を上記試験片の母材部分に設けたもの、及び溶接金属の中央部分に設けたものを作製し、それぞれ母材の耐食性評価用腐食試験片、溶接金属の耐食性評価用腐食試験片とした。
次いで、40℃の人工海水3を入れたガラス容器4を準備し、腐食試験片2を人工海水3中に浸漬し、ガス供給口5及びガス排出口6を有するアクリル製の蓋7によって上記ガラス容器4の開口上端を密閉した。最後に、図4に示すように、密閉後のガラス容器3を40℃の恒温槽8内に設置し、28日間浸漬試験を実施した。その際、ガラス容器4内の人工海水3中に、前記のガス供給口5から、体積%で、13%CO2−5%O2−0.02%SO2−0.25%H2S−残部N2のガスを吹き込んだ。
28日間の腐食試験の後、各試験片について、溶接金属と母材の腐食速度を求めた。すなわち、試験後の腐食試験片の母材と溶接金属のそれぞれについて、孔食発生部の深さを、孔食の発生していない部分であるスラッジ1の塗布部分を基準として、マイクロメータを用いて測定した。なお、深さの最も大きい孔食値を孔食深さとして採用し、その孔食深さを試験期間で割った値から母材と溶接金属のそれぞれにおける腐食速度を求めた。
表7及び表8に、各溶接継手についての溶接金属の化学成分を示す。なお、表1に示す母材並びに、表4及び表5に示す溶接材料(つまり、表4のサブマージアーク溶接ワイヤ及び表5のサブマージアーク溶接フラックス)にNbやTiの記載がないのに、上記の表7、表8にNBやTi等の記載があるものは、溶接材料に含まれる合金元素が分析されたものと考えられる。
Figure 2006137963
Figure 2006137963
表9に、各溶接継手についての腐食試験の結果を示す。なお、表9の腐食試験結果は、上記のようにして求めた「溶接金属の腐食速度と母材の腐食速度の比」(表9中では、「腐食速度比(溶金/母材)」と表記した。)を示した。
Figure 2006137963
表7〜9に示す結果からわかるように、本発明で規定する条件を満たす溶接継手(溶接継手番号2〜8及10〜25)の場合、母材と溶接金属の耐食性がほぼ同等であり、選択腐食を起こさず耐食性に優れていることが明らかである。
これに対して、本発明で規定する条件から外れた溶接継手(溶接継手番号1及び9)の場合は、母材と溶接金属の耐食性のバランスが悪く溶接金属での腐食が大きく、耐食性が劣っている。
本発明の原油タンク用溶接継手は、原油が入った環境下での耐食性に優れるので、積荷である原油を入れる原油タンカーのタンクや同様の腐食環境におかれた陸上タンクのような、原油タンク用溶接継手として利用することができる。また、本発明の原油タンク用溶接継手を用いた原油タンクは、原油が入った環境下での耐食性に優れるため、メンテナンス費用を大幅に削減することができる。
(a)式で表されるfnの値が、溶接金属の腐食速度と母材の腐食速度の比に及ぼす影響を示す図である。なお、図では、溶接金属の腐食速度と母材の腐食速度の比を「腐食速度比(溶金/母材)」と表記した。 実施例で手溶接を行ったものに施した開先形状を示す図である。 実施例でFCB法を行ったものに施した開先形状を示す図である。 実施例で実施した原油が入った原油タンク環境を模擬した腐食試験方法を説明する図である。
符号の説明
1−1:スラッジ、
1−2:スラッジ欠陥、
2:腐食試験片、
3:人工海水、
4:ガラス容器、
5:ガス供給口、
6:ガス排出口、
7:アクリル製の蓋、
8:恒温槽。

Claims (6)

  1. 母材及び溶接金属を有する溶接継手であって、
    前記母材が、質量%で、C:0.01 〜0.2%、Si:0.01〜1%、Mn:0.05〜2%、P:0.05%以下(0%を含まない)、S:0.01%以下(0%を含まない)、Ni:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜2%、Cr:0.1%以下(0%を含まない)、Al:0.1%以下(0%を含まない)、N:0.001〜0.01%、及びO(酸素):0.0001〜0.005%を含有するとともに、W:0.01〜1%及びMo:0.01〜1%のうちの少なくとも一方を含有し、残部はFe及び不純物からなる鋼組成を有し、
    前記溶接金属が、質量%で、C:0.01 〜0.2%、Si:0.01〜1%、Mn:0.2 〜2%、P:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.01%以下(0%を含まない)、Ni:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜1%、Cr:0.5%以下(0%を含まない)、Nb:0.07%以下(0%を含まない)、V:0.07%以下(0%を含まない)、Ti:0.07%以下(0%を含まない)、B:0.005%以下(0%を含まない)、Al:0.05%以下(0%を含まない)、N:0.001〜0.03%及びO(酸素):0.001〜0.05%に加えて、W:0.01〜1%及びMo:0.01〜1%のうちの少なくとも一方を含有する鋼からなり、
    更に、下記(a)式で表されるfnの値が−0.3〜0.3を満足することを特徴とする原油タンク用溶接継手。
    fn=△Cu+0.3×△Ni+0.2×△W+1.3×△Mo・・・(a)
    なお、上記(a)式中の△Cu、△Ni、△W及び△Moは、それぞれ、Cu、Ni、W及びMoの質量%での、溶接金属中の含有量から母材中の含有量を引いた値を表す。
  2. 母材が、Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.005〜0.1%、Zr:0.005〜0.2%、Sb:0.01〜0.2%、Sn:0.01〜0.2%、Ca:0.0003〜0.01%及びMg:0.0003〜0.01%のうちの1種以上を含有する請求項1に記載の原油タンク用溶接継手。
  3. 母材が、Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%及びB:0.0003〜0.01%のうちの1種以上を含有する請求項1又は2に記載の原油タンク用溶接継手。
  4. 母材が、下記(b)式で表されるαが0.75以下、下記(c)式で表されるβが0.8以下及び下記(d)式で表されるCeq*が0.38以下であることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の原油タンク用溶接継手。
    α=(1−0.691×Cu)×(1−0.221×Ni)×(1−0.142×W)×(1−0.148Mo)・・・(b)
    β=(1−0.444×Cu)×(1−0.156×Ni)×(1−0.630×W)×(1−0.178Mo)・・・(c)
    Ceq*=C+(Mn/6)+(Ni/15)+(Cu/15)+(W/10)+(Cr/5)+(Mo/5)・・・(d)
    なお、(b)〜(d)式中の元素記号は、その元素の質量%での母材中の含有量を表す。
  5. 少なくとも一部の面に防食処理が施された請求項1から4までのいずれかに記載の原油タンク用溶接継手。
  6. 請求項1から5までのいずれかに記載の原油タンク用溶接継手を用いた原油タンク。
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