JP2006133117A - ペプチドアレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】ペプチドアレイを用いる測定系において、生体分子の非特異的な影響を受けることなく、結合シグナルを増幅させることにある。特に表面プラズモン(SPR)測定に用いてプロテインキナーゼによるリン酸化を検出する際に、信頼性の高いデータを得ることのできるペプチドアレイを得ることにある。
【解決手段】酵素反応の基質となるペプチドが基板上に固定化されてなるペプチドアレイであって、基板に固定化される部位と基質となるペプチドとの間に親水性化合物、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)からなるスペーサー配列が挿入されることを特徴とする、特にSPRによるプロテインキナーゼによるリン酸化の検出に有用なペプチドアレイ。

Description

本発明は、物質相互作用の解析系に用いられるペプチドチップにおいて、非特異的な影響を受けることなく、標的とする物質間の結合シグナルを増大させることの可能なペプチドアレイに関する。
近年、生体分子の相互作用解析、発現分子のプロファイリング、もしくは診断に用いるバイオチップが注目を集めている。基板上に生体分子が固定化されることで操作が容易になり、場合によっては非常に多くの物質の相互作用を解析することができる。特に比較的分子量の小さなペプチドを基板上に固定化したペプチドアレイは、蛋白質のような変性の問題が比較的少なく、またコンビナトリアルケミストリーの側面が強いことから、近年酵素の基質探索や、あるいはインヒビターの探索などに広く用いられるようになってきている。
これら生体分子同士の相互作用を観察する際に問題になるのが非特異的吸着による影響である。非特異的吸着とは、本来であれば相互作用しない分子へ対象物質が非特異的に吸着する場合のことを言う。その結果、擬陽性の判定を与えるため好ましくない。非特異的な吸着を抑制するために、生体高分子が固定化された基板を、デキストラン、ポリエチレングリコール(PEGということもある)などの親水性高分子で表面をコートしたバイオチップが開発されている。例えば、カルボキシメチルデキストランのカルボキシル基を水溶性カルボジイミド(EDC)とN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化し、形成したスクシンイミド基と生体分子を固定化することに成功している(非特許文献1)。これらの親水性高分子には生体分子の非特異的吸着を抑制する効果があることが知られている。しかしながら、親水性高分子のコーティングによって、生体分子が親水性高分子中に埋没してしまい、生体高分子同士の相互作用が阻害されるという問題を生じる場合がある。
この生体高分子同士の相互作用の阻害は、測定シグナル低下の原因となる。この相互作用の阻害は、親水性高分子のコーティングに起因するだけでなく、生体高分子を基板に直接的に結合することによって生じることも少なくない。これは、生体高分子を基板に直接的に結合すると、生体高分子の自由度が抑制されるためである。バイオチップの測定シグナル向上のためには、生体高分子同士の相互作用を容易せしめる必要がある。
生体分子同士の相互作用をより容易に行わせるために、基板にスペーサーを介して生体分子を固定化する検討がなされている。しかしながら、特に高分子量のスペーサーを介して生体分子を固定化すると、固定化反応効率の低下や測定系への阻害などの悪影響が生じる可能性が高くなることもあり、必ずしも好ましくない。
特に、ペプチドを基板上に固定化するに際しては、高分子量のリンカーを介した固定化反応では、その収率が非常に低下し、測定シグナルの低下や非特異的なシグナルの増大を起こすことが頻繁に見られる。しかしながら、リンカーを介さない、もしくは低分子量のリンカーを介する固定化では、スペーサー効果が十分に機能しにくいため、固定化ペプチドの自由度が小さくなり、優れた測定結果が得られなくなる確率が高まるという問題がある。
Anal.Biochem.198,268,1991
本発明の課題は、生体分子の非特異的吸着を抑制しながらも、なおかつ標的物質における結合シグナルを増大することのできるペプチドアレイに関する技術を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示すような手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
1.親水性化合物により修飾された酵素反応の基質となるアミノ酸配列からなるペプチドが、基板上に固定化されていることを特徴とするペプチドアレイ。
2.親水性化合物により修飾された酵素反応の基質となるアミノ酸配列からなるペプチドが、チオール基を介して基板上に固定化されることを特徴とする1のペプチドアレイ。
3.親水性化合物がポリエチレングリコール(PEG)であることを特徴とする1又は2のペプチドアレイ。
4.親水性化合物の分子量が100〜1000であることを特徴とする1〜3のいずれかのペプチドアレイ。
5.親水性化合物の分子量が400〜1000であることを特徴とする1〜4のいずれかのペプチドアレイ。
6.基板に固定化される部位としてシステイン残基が付加されていることを特徴とする1〜5のいずれかのペプチドアレイ。
7.アレイ表面が金であることを特徴とする1〜6のいずれかのペプチドアレイ。
8.基板が透明基板であることを特徴とする1〜7のいずれかのペプチドアレイ。
9.固定化されるペプチドがプロテインキナーゼによりリン酸化を受ける基質として機能しうることを特徴とする1〜8のいずれかのペプチドアレイ。
10.2種類以上のペプチドが同一基板上に固定化されることを特徴とする1〜9のいずれかのペプチドアレイ。
11.アレイが表面プラズモン共鳴(SPR)解析に用いられることを特徴とする1〜10のいずれかのペプチドアレイ。
12.親水性化合物により修飾された酵素反応の基質となるアミノ酸配列からなるペプチドを、基板上に固定化することを特徴とするペプチドアレイの製造方法。
本発明におけるペプチドアレイは、スペーサーとして親水性化合物を付加した基質ペプチドが固定化されることにより、酵素の作用効率が増し測定シグナルを向上させ、更に非特異的吸着が抑制された精度のよいペプチドチップを用いた測定系を得ることができる。
本発明におけるペプチドの基板上への固定化方法は特に限定されるものではないが、例えばチオール基を介してペプチドを固定化する方法が挙げられる。固定化されるペプチドに関しては、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。ここで用いられるペプチドは一般的に用いられる意味のものを指し、アミノ酸が2個以上ペプチド結合により連結されたものであって、酵素の基質として機能しうる性質を有するものをいう。その基質配列部位のアミノ酸残基の数は特に限定されないが、通常は5〜60残基程度であり、10〜25残基程度がより好ましい。分析する目的に応じて、アミノ酸残基のうち1乃至数残基において化学的な修飾を加えられたアミノ酸が含まれていてもよい。また特に限定されるものではないが、特定の酵素に対して基質としての機能を有しているペプチドを少なくとも1種は含むことが好ましい。
ここで、基板に固定化される部位とは、具体的には例えば固定化されるペプチドのアミノ酸配列において少なくとも1箇所以上のシステイン残基が存在する状態のものをいう。システイン残基は固定化されるペプチドが本来の機能を奏するために必要なアミノ酸配列として必須な残基として存在している場合であっても、あるいはペプチドが本来の機能を奏するために必要なアミノ酸配列に対してさらに付加された場合であってもよい。固定化されるペプチドにおけるシステイン残基の存在位置は特に限定されないが、好ましくは少なくとも一方の末端に、より好ましくは一方の末端のみに付加されてなる方がよい。また、別な態様として、固定化されるペプチドに対して、チオール基を有する化合物が1箇所以上のいずれかのアミノ酸残基において化学結合されている状態のものも挙げられる。この場合に該化合物の結合箇所も特に限定はされないが、いずれかの末端のアミノ酸残基に結合されていることが好ましい。
本発明においては、上記基板に固定化される部位と基質配列部位との間にスペーサーとして親水性化合物があらかじめ挿入されていることを特徴とする。親水性化合物の分子量は特に限定されないが、100〜1000が好ましく、400〜1000がより好ましい。また、上記親水性化合物とともに、アミノ酸残基数が2〜10個、より好ましくは2〜6個からなるスペーサー配列を更に付加させてもよい。スペーサー配列を構成するアミノ酸残基の種類は特に限定されるものではないが、高次構造の形成を起こしにくいアミノ酸を含むことが好ましい。具体的には、少なくとも1つはグリシン残基を含むことが好ましい。より好ましくは、1残基のグリシン(G)、2残基のグリシン(GG)、グリシンとアラニン(GAもしくはAG)、あるいはグリシンとセリン(GSもしくはSG)残基の繰り返しを1回以上、更に好ましくは2回以上含んでなる。
ここで、親水性化合物とは水に可溶もしくは水に膨潤する性質をもつ、繰り返し単位をもつ化合物のことを言い、合成物であっても天然物であってもよい。具体的に例示すると、親水性高分子としては、例えば、PEG、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、カルボン酸もしくはその塩やスルホン酸もしくはその塩を含有するモノマーまたはポリエチレングリコール等の親水性部分を共重合させたポリエステルやポリウレタン、カルボキシメチルセルロース、さらにはキトサン、カラギーナン、グルコマンナンなどの多糖類が挙げられる。なかでも、PEGが特に好ましい。こうしたスペーサーを付加させることにより、固定化された基質ペプチドの自由度を向上させることができ、それにより酵素により受ける作用の効率を高めることが可能となる。
上記親水性化合物をペプチドに挿入する方法は特に限定されるものではなく、種々の化学合成に基づく手法が適用されうるものであるが、合成効率面から考えると、ペプチド合成に際した一連の流れの中に親水性化合物の結合反応を組み込むのが好ましい。ペプチド合成においては、一般的にFmoc基やtBoc基のような保護基の結合されたアミノ酸が用いられるが、こうした保護基により修飾された親水性化合物をアミノ酸と同様に用いるのが好ましい。具体的には、式(I)に示されるようなFmoc基で修飾されたPEG、式(II)に示されるようなN−CBZで修飾されたPEG、式(III)に示されるようなtBoc基で修飾されたPEGなどが例示される。式(I)、(II)、(III)においてnの値は2〜25程度が好ましく、4〜15程度がより好ましい。
Figure 2006133117
Figure 2006133117
Figure 2006133117
上述したようなチオール基を介してペプチドを固定化するに際しては、予め基板表面にアミノ基を導入させて、スクシンイミド(NHS)基とマレイミド(MAL)基を有するヘテロ二官能型架橋剤を用いてマレイミド表面を形成させて反応させる方法が推奨される。チップ上にアミノ基を導入する手段は特に限定されるものではない。基板表面に分子を整列させる自己組織化表面の手法、反応試薬を用いて導入する方法、官能基を有する物質をチップ上にコーティングする手段などが挙げられる。また、表面に導入しておいた官能基を起点として、架橋剤を用いてアミノ基を導入する手段なども含まれる。こうしたヘテロ二官能型架橋剤としては、種々市販されているものもあり、特に限定されるものではないが、例えばSuccinimidyl 4−[N−maleimidomethyl]cyclohexane−1−carboxylate(以下、SMCCと示す。)もしくはSulfosuccinimidyl 4−[N−maleimidomethyl]cyclohexane−1−carboxylate(以下、SSMCCと示す。)などを挙げることができる。またこれらの化合物と完全に同一構造のものでなくても、その機能を損なわない範囲でアナログ化された化合物も適用することが可能である。SMCC及びSSMCCのいずれも適用することが可能であるが、水に対する溶解性の点からは、緩衝液のような水系で反応させる場合においてはSSMCCを用いる方がより好ましい。また、その他にも、PEGのような高分子の末端にスクシンイミド(NHS)基とマレイミド(MAL)基を有するものも用いることができる。
本発明におけるペプチドチップの固定化方法はさまざまな用途に応用可能である。一般にアレイにおける検出手段としてよく用いられている蛍光性物質、化学発光性物質、放射性物質等による検出系においても有効であるが、特に表面プラズモン共鳴(SPR)や和周波発生(SFG)、局在プラズモン共鳴(LPR)、エリプソメトリなどの光学的検出方法に絶大な効果を発揮する。なかでも、SPRによる解析系において特に有用である。一般的なチップ、アレイにおいては、相互作用の検出方法として蛍光物質や放射線同位体によるラベル手段による検出が用いられる。この場合、最終的にラベル物質が結合したかどうかだけを検出することができ、相互作用に関係のない物質が非特異的に吸着しても、誤って検出されることはない。従って、相互作用する対象物質がネガティブコントロールに対して非特異的に吸着してなければ、正確に測定できているものと判断することができる。
しかし、ラベルフリーな光学的検出方法においては、どのような物質がチップ上に吸着してもシグナルとして検出される。すなわち、測定対象ではない物質が非特異的に吸着するのと、特異的な吸着を区別することが難しい。よって、よりシビアに非特異的な吸着を抑制する手段が求められるため、本発明の固定化方法は非常に効果的である。
ELISA法やラベル物質を用いる相互作用解析方法においてはブロッキング方法として牛血清アルブミンやカゼインなどによる物理吸着が一般的に選択されている。物理吸着の方法は容易ではあるが、安定しておらず、経時的にチップ表面から脱離する場合がある。上記の光学的検出方法にはブロッキング剤の脱離さえも検出するため、共有結合によるブロッキングを行うことが好ましい。特に未反応のマレイミド基表面をブロッキングする場合は、チオール基を有する化合物を用いるのが好ましく、特にPEGの誘導体が好適に用いられる。
SPR、SFG、LPR、エリプソメトリにおいては、金属基板が使用される。本発明において、基板の素材は、酸・アルカリ・有機溶媒などに非常に安定な金が好ましい。実際、金は上記光学的検出方法で多用される物質である。また、金を支持する物質は透明である方が好ましく、透明なガラスであるとより好ましい。透明なガラスは容易に入手できるだけでなく、SPRやLPRの測定に極めて適しているからである。
金属基板を形成する方法としては、金属薄層をコーティングする方法が好ましい。金属をコーティングする方法は特に限定されるものではないが、一般的に蒸着法、スパッタリング法、イオンコーティング法などが選択される。光学的な検出方法に供するために、金属薄層の厚みをナノレベルでコントロールする必要がある。金属薄層の厚みも特に限定されるものではないが、一般的には30nmから80nmの範囲で選択される。金属薄層の剥離を抑制するため、0.5nmから10nmのクロム層やチタン層を予め基板にコーティングしておいてもよい。
このSPRを応用したSPRイメージング法は、広範囲に偏光光束を照射し、その反射像を解析することで、物質間の相互作用の様子を、画像処理技術等を駆使することによりモニター化する方法であり、複数の物質を固定化したチップをスクリーニングすることや、表面に吸着する物体のモルホロジーを高感度に観察することが可能である。
SPRイメージング法においては、反射像を解析するためにチップに広範囲で偏光光束を照射し、かつ光束の照度を十分に確保するための手段が必要である。図1においてその一例を示した。偏光光束の照度は明るいほどセンサーの感度が上昇してより好ましい。
光源の種類は特に限定されるものではないが、SPR共鳴角の変化が特に敏感になる近赤外光を含む光を用いるのが好ましい。具体的には、メタルハライドランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、白熱灯などの広範囲に光を照射することのできる白色光源を用いることができるが、なかでも得られる光の強度が十分に高く、光の電源装置が簡易で安価なハロゲンランプが特に好ましい。
通常の白色光源はフィラメント部に光の明暗ムラが生じる欠点がある。光源の光をそのまま照射すると、反射して得られる像に明暗ムラが生じ、スクリーニングやモルホロジー変化を評価するのが困難となる。したがって、チップに均一に光を照射する手段として、光をピンホールに通してから平行光にする方法が好ましい。ピンホールを通す手段は、明るさの均一な光束を得る手段としては好ましいが、そのままピンホールに光を通すと照度が低下する欠点がある。そこで、十分な照度を確保する手段として、ピンホールと光源の間に凸レンズを設置し、集光してピンホールを通す方法を用いることが好ましい。
白色光源は放射光であるため、集光する前に凸レンズを用いて平行光にする必要がある。凸レンズの焦点距離近傍に光源を設置することで、平行光を得ることができる。もう一枚凸レンズを設置し、そのレンズの焦点距離近傍にピンホールを設置することで集光した光をピンホールに通すことが可能である。ピンホール内で交差し、通過した光はカメラ用のCCTVレンズで平行光とするが、その際に得られる平行光束の断面面積は10〜1000mm2に調節するのが好ましい。この方法によって広範囲にわたるスクリーニングやモルホロジー観察が可能となる。
相互作用をモニターする際に、上記偏光光束は物質あるいは物質の集合体が固定化されている金属薄膜の反対面に照射される。上記偏光光束は物質もしくは物質の集合体が固定化されている金属薄膜の反対面に照射され、その反射光束が得られる。金属薄膜からの反射光束は近赤外波長の光干渉フィルターを通し、ある波長付近の光のみを透過させてからCCDカメラで撮影される。
光干渉フィルターの中心波長は、SPRの感度が高い600〜1000nmが好ましい。光干渉フィルターの透過率が極大時の半分になる波長の波長幅を半値巾と呼ぶが、半値巾は小さい方が波長の分布がシャープとなり好ましく、具体的には半値巾100nm以下が好ましい。光干渉フィルターを通してCCDカメラで撮影された像はコンピュータに取り込まれ、ある部分の明るさの変化をリアルタイムで評価することや、画像処理により全体像の評価が可能である。こうして複数の物質を固定化したチップをスクリーニングすることや、表面に吸着する物体のモルホロジーを高感度に観察することができる。
本発明において用いるSPR用のチップは好ましくは透明な基板上に金属薄膜が形成された金属基板からなり、上記金属薄膜上に直接的もしくは間接的に、化学的もしくは物理的に、物質もしくは物質の集合体が固定化されているスライドが用いられる。基板の素材は特に限定されるものではないが、透明なものを用いるのが好ましい。具体的にはガラス、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、アクリルなどのプラスチック類が挙げられる。中でもガラスが特に好ましい。
基板の厚さは0.1〜20mm程度が好ましく1〜2mm程度がより好ましい。金属薄膜からの反射像を評価する目的を達成するために、SPR共鳴角はできるだけ小さい方が撮影される画像がひしゃげる恐れがなく解析がしやすい。したがって、透明基板あるいは透明基板とそれに接触するプリズムの屈折率nDは1.5以上であることが好ましい。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。
[実施例1]
(ペプチド固定化)
末端官能基がチオール基である4armPEG(日本油脂製SUNBRIGHT PTE−100SH)を1mMの濃度で7mlのエタノール:水=6:1の混合溶液に溶解させた。4armPEGの分子量は10000であり、中心からほぼ同等の長さのPEG鎖が4つ存在する分子であり親水性が非常に高い。また、PEGの4つの末端はすべてチオール基であり、特に金に対する金属結合性を示す。
18mm四方、2mm厚のSF15ガラススライドにクロムを3nm蒸着し、金を45nm蒸着した金蒸着スライドを、上記4armPEGチオール溶液に3時間浸漬させ、金基板全体に4armPEGチオールを結合させた。
このスライドの上にフォトマスクを載せ、500W超高圧水銀ランプ(ウシオ電機製)で2時間照射し、UV照射部の4armPEGチオールを除去した。フォトマスクは500μm四方の正方形の穴が96個有し(8個×12個のパターンからなる。)、穴の中心間のピッチは1mmに設計されている。フォトマスクの穴があいている部分はUV光が透過し、スライドに照射されてパターン化される。照射されなかった部分は4armPEGが残り、チップのバックグラウンド(Background)部分としてレファレンス部として機能する。
8−Amino−1−Octanethiol, Hydrochrolide(8−AOT,同仁化学研究所製)の1mMエタノール溶液に1時間浸漬し、UV照射部に8−AOTの自己組織化表面を形成させた。SSMCC(ピアス製)をリン酸緩衝液(20mM リン酸、150mM NaCl;pH7.2)に0.4mg/mlで溶解し、金表面の8−AOTに室温で15分間反応させた。8−AOTのアミノ基とSSMCCのNHS基が反応して、MAL基は未反応のまま残り表面に導入することができた。
上記のようにして得られた表面に、図1下部に示すようにPKA(プロテインキナーゼA)の基質となるアミノ酸配列からなるペプチド(J.Biol.Chem.Vol.252巻,pp.252;1977に記載。)のC末端にシステイン残基を付加し、システイン残基と基質配列の間にスペーサー配列を挿入したペプチドの固定化を試みた。スペーサー配列としてはグリシン2残基を挿入したもの(GG−PKAと示す)、グリシン1残基をPEG(ポリエチレングリコールの繰り返しが12回)に置き換えたもの(PEG−PKAと示す)の2種を用意して、それぞれチロシンがリン酸化されたものもポジティブコントロールとして用いた。PEGの導入に際しては、Fmoc法によるペプチド合成に際して、Quanta製N−Fmoc−amino−dPEGTM−acid(n=12)を用いた。上述した式(I)において、nが12の場合に相当する化合物である。また、ネガティブコントロールとしてGG−PKA基質のセリン残基をアラニン残基に置換したペプチドを用いた。いずれのペプチドにおいてもリン酸緩衝液(20mMリン酸、150mM NaCl;pH7.2)に1mg/mlで溶解して、MultiSPRinterスポッター(東洋紡績製)を用いて10nlずつスポッティングを行った。その後、ウェットな環境下で室温、16時間静置させて固定化反応を行った。チップの表面に形成させたマレイミド基と基質ペプチド末端のシステイン残基が有するチオール基とが反応し、基質ペプチドを共有結合的に表面に固定化することができる。
(未反応マレイミド基のブロッキング)
基質ペプチドを固定化した表面をリン酸緩衝液で洗浄した後、未反応のマレイミド基をブロッキングするために、上記TEG−SHを1mM濃度になるようにリン酸緩衝液(20mMリン酸、150mM NaCl;pH7.2)に溶解して、250μlをチップ上に注出し、室温で1時間反応させた。また比較例として、片末端の官能基がチオール基、もう一方の官能基がメトキシ基であるPEGチオール(日本油脂製SUNBRIGHT MESH−50H)を1mM濃度になるようにリン酸緩衝液(20mMリン酸、150mM NaCl;pH7.2)に溶解して、250μlをチップ上に注出し、室温で30分間反応させた。ここで用いたPEGチオールの分子量は5,000である。
(SPR解析によるcSrcリン酸化の検出)
上記のようにブロッキングを行ったアレイを用いて、PKAによるリン酸化を行った。PKA溶液400μlをアレイ上にドロップして、30℃で4時間反応を行った。PKA溶液の組成は、cAMP−dependent protein kinase catalytic subunit(Promega製;80U/μl)1μl、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)275μl、1M塩化マグネシウム溶液20μl、10mM ATP4μlとした。その後、PBS及び水で3回ずつアレイの洗浄を行い、アレイ表面を乾燥した後、SPRイメージング機器(MultiSPRinter:東洋紡績製)にセットし、ランニングバッファーとして50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)を100μl/minの速度でフローセル内に流した。SPRからのシグナルが安定したのを確認した後に、リン酸化セリン抗体PSR−45(シグマ製)をSPR装置内のセルへ注入して作用させた。抗体は上記のランニングバッファーで2000倍希釈した溶液を用いて作用させた。シグナル上昇がプラトー状態になった時点で再度ランニングバッファーを送液して洗浄を行った。その際のSPRシグナルの変化を観察した。シグナル変化の観察は、各基質のスポット部位に加え、Backgroundにおいても実施した。
(観察の結果と考察)
SPRシグナル変化をグラフ化したセンサグラムの結果を図1に示した。センサグラムはスポットごとにおけるシグナルの平均値をプロットしている。Backgroundについては、基質ペプチドのスポット部分以外の任意に選択した箇所を測定ポイントとして得たシグナルの平均値をプロットしている。ポジティブコントロールにおいては、GG−PKA、PEG−PKA基質ともに同等の強い抗体結合によるシグナル上昇が確認されている。非リン酸化基質においては、いずれのPKA基質においてもシグナル上昇が認められているが、PEG−PKA基質の方がシグナルは強い。なお、ネガティブコントロール、ブランク及びBackgroundに関するシグナル変化は軽微なレベルである。この結果より、PEGを挿入した基質の方が検出感度が向上することが確認された。これは、PKAによるリン酸化の作用、もしくは抗体による作用を受けやすくなったためであると考えられる。
[実施例2]
実施例1と同じアレイを用いて、同じ条件でPKAによるリン酸化を行った場合の経時的な変化の対比を検討した。PKA反応を30分、1時間、4時間と行い、それぞれの基質におけるシグナル上昇を、各ポジティブコントロール基質におけるシグナル上昇との比(%)を算出した。結果を表1に示した。その結果、特にPKA反応の初期段階におけるリン酸化効率の点で、PEG−PKA基質の方が優れていることが確認された。
Figure 2006133117
本発明の方法により、ペプチドチップにおける結合シグナルを著しく増幅させることができつつ、非特異的吸着に関しても抑制することができ、より正確で高感度な測定が可能となる。非常に容易な改良系であり、今後産業界に大きく寄与することが期待される。
実施例1において、SPR解析を検討した結果を示す図である。

Claims (12)

  1. 親水性化合物により修飾された酵素反応の基質となるアミノ酸配列からなるペプチドが、基板上に固定化されていることを特徴とするペプチドアレイ。
  2. 親水性化合物により修飾された酵素反応の基質となるアミノ酸配列からなるペプチドが、チオール基を介して基板上に固定化されることを特徴とする請求項1のペプチドアレイ。
  3. 親水性化合物がポリエチレングリコール(PEG)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のペプチドアレイ。
  4. 親水性化合物の分子量が100〜1000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のペプチドアレイ。
  5. 親水性化合物の分子量が400〜1000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のペプチドアレイ。
  6. 基板に固定化される部位としてシステイン残基が付加されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のペプチドアレイ。
  7. アレイ表面が金であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のペプチドアレイ。
  8. 基板が透明基板であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のペプチドアレイ。
  9. 固定化されるペプチドがプロテインキナーゼによりリン酸化を受ける基質として機能しうることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のペプチドアレイ。
  10. 2種類以上のペプチドが同一基板上に固定化されることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のペプチドアレイ。
  11. アレイが表面プラズモン共鳴(SPR)解析に用いられることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のペプチドアレイ。
  12. 親水性化合物により修飾された酵素反応の基質となるアミノ酸配列からなるペプチドを、基板上に固定化することを特徴とするペプチドアレイの製造方法。

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