JP2006133073A - 回転機の部分放電検出装置及び部分放電遠隔監視システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来の部分放電遠隔監視システムでは、部分放電強度またはパルスデータだけを監視サーバに送信しているので、部分放電強度だけだとノイズ分離が不適切な場合に正しく監視できず、パルスデータを送信する場合には監視周期を短くできない。
【解決手段】 部分放電検出装置4が、回転機の部分放電を検出する部分放電センサの出力から部分放電とノイズを含むパルスを検出するパルス検出回路4A、該パルス検出回路で検出されるパルスを所定時間計測したデータであるパルスデータからノイズを除去して部分放電強度を計算する演算部4C、部分放電強度を計算するごとに部分放電強度を保存し、部分放電強度を計算する全回数の中の一部の回数ではパルスデータも保存するデータ保存部4D、回転機の部分放電を遠隔監視する遠隔監視装置との間の通信を行い、保存したパルスデータ及び部分放電強度を送信する通信モジュール4Eを備えた。
【選択図】 図1
Description
別の監視システムでは部分放電も監視することを示すだけで、具体的な監視方法を示していないものもある。(例えば、特許文献2を参照)
部分放電センサ間でのパルス相関とは、同一パルスをそれぞれ異なる位置に設置された複数センサで計測して、センサで検出した信号強度の相関により、部分放電かノイズかを判断する方法である。複数センサでほぼ同じ振幅で検出されるパルスのグループをノイズとし、それ以外のパルスを部分放電とする。
周波数帯域間のパルス相関では、同一の部分放電センサで複数の周波数帯域での信号強度を計測し、複数の周波数帯域での信号強度の相関により、部分放電かノイズかを判断する。発生源から部分放電センサへ伝播する間でのノイズの高周波域成分は、それより低い周波数成分よりも減衰が大きいと考えられる。これに対して、部分放電の場合は、高周波帯域でも減衰がそれほど大きくないと考えられる。このことから、高域の信号強度が低域の信号強度に対する比率が所定値よりも低いパルスのグループをノイズとし、それ以外を部分放電とする。
レベル切換器は、放電強度が大きい場合でも小さい場合でも、増幅器が飽和せず、かつデジタル化した最大の放電強度が所定のビット数を有効に使用して表現できるように、入力信号のレベルを変更するものである。例えば、0〜255までの範囲でデジタル化して放電強度を表現する場合には、最大パルスが100〜230までの範囲内になるように、レベル切換器がレベル切換を行う。
この発明は、監視周期を短くし、かつ部分放電監視の精度を向上させることを目的とする。
図1は、この発明の実施の形態1による回転機の部分放電遠隔監視システムの構成を説明する図である。発電所1に設置されている回転機であるタービン発電機2の固定子内に設けられた部分放電センサ3(図示せず)がセンサ端子台3Aから回転機外部に出て、リード線3Bにより部分放電検出装置4に接続されている。この部分放電センサ3はタービン発電機2の固定子のU,V,Wの各相における部分放電が検出できるように3個ある。3個の部分放電センサ3は、1個の部分放電検出装置4に接続されている。
部分放電検出装置4は、部分放電センサ3からの信号を処理してパルスデータを検出して保存するハードウェアであるパルス検出回路4Aと、このパルス検出回路4Aを制御するパルスデータ検出部4Bと、パルスデータからノイズを分離して部分放電強度を計算する演算部4Cと、パルスデータと放電強度を保存するデータ保存部4Dと、他の装置との通信を行う通信モジュール4Eと、監視サーバ9から送信されてくるコマンドなどを処理し、各処理を制御する制御部4Fとを有する。
部分放電検出装置4はパルスデータ検出部4Bなどを実行するCPUと、通信モジュール4Eを有するCPUとの2CPU構成とする。通信モジュール4Eを有するCPUは、汎用のパソコンなどを利用できる。
なお、図1では発電所1と回転機2をそれぞれ1個しか図示していないが、発電所1は1個以上の何個でもよく、回転機2が1箇所に1個以上あれば何個でもよい。
部分放電監視データベース9Cは、回転機と日時を指定して部分放電強度とパルスデータを検索できるものであれば、効率的な検索ができないものでもよい。
これらの機能での部分放電遠隔監視システムの動作を説明するフローチャートを、図2〜図5に示す。図2がデータ計測保存機能であり、図3が異常監視機能である。そして、図4が個別計測機能であり、図5がノイズ除去条件遠隔設定機能である。図2〜図5において、監視サーバ9で動作するステップをS1○○と表現する。部分放電検出装置4で動作するステップは、S2○○で表現し破線で囲む。また、監視センタ8の運用者により実行されるステップは、2重枠で表現する。図2〜図5で示すフローチャートは動作の1例を説明するものであり、同様の機能を実現できるものであれば、別の手順となるフローチャートでもよい。
15分間隔の計測ごとにパルスデータも保存し、1日に1回保存したデータを監視サーバ9に送信する場合は、送信すべきデータ量は2×96=192GByte程度となる。192GByteを20Mbpsで送信するのに要する時間は、24時間である。これでは時間がかかりすぎであり、1日に96個のパルスデータを計測してそのすべてを送信することは実際的ではない。
なお、ADSLの高速公衆通信回線は安価に利用できるようになっており、20Mbps以上の常時接続を月額1万円以下で利用できる。ADSLは1つの例であり、これに限定するものではなく、所定の通信速度が確保できるものであれば、どのような通信網であってよい。
パルスデータを残す間隔も4時間間隔でなくてもよい。部分放電強度を計測する10回の中で1回目、4回目,7回目の3回ではパルスデータも残すなど、パルスデータを残す時間間隔が等間隔でなくてもよい。部分放電強度を計測する全回数の中の一部の回数でパルスデータも保存し、データ量を必要な程度までに低減できる方法であれば、どのような方法でもよい。データを圧縮して送信することにより、データ通信量を低減させる方法と併用してもよい。
部分放電検出装置4が保存するデータの期間は、監視サーバ9に送信する周期に想定する最大のデータ送信時間以上であればよく、データ送信時間が部分放電強度を計測する周期よりも短いことが保証されていれば、予備のデータ領域はなくてもよい。部分放電検出装置4で2日以上のデータを保存できるようにして、最も古い日のデータ領域を上書き使用するようにしてもよい。
トレンド監視で異常がなければ、処理を終了する。トレンド監視で異常があれば、ステップS123でノイズ除去条件解析を行う。ステップS124で、ノイズ除去条件解析によりノイズ除去が適切だったかどうかをチェックする。ここで、ノイズ除去は、非特許文献1の周波数帯域間のパルス相関と同様な方法により行うとする。この方法を2周波相関ノイズ除去法と呼ぶ。ノイズ除去条件解析では、部分放電検出装置4と同様にパルスデータをノイズと部分放電に分離し、それぞれについて運用者が位相分布特性などを調べ、ノイズが正しく除去できているかどうかを判断する。データ解析部9Dがパルスの位相分布特性などを表示して、ノイズ除去が適切にできているかどうかを運用者が検証することを支援する。
ステップS124でノイズ除去条件が適切だった場合と、ステップS128でノイズ除去条件を適切に変更しても異常がある場合には、ステップS129で回転機の所有者である顧客(回転機の所有者または管理者)に、回転機の部分放電に異常があることを連絡する。そして、ステップS130で、位相特性解析などの詳細解析を行い、その結果を追加情報として顧客に提示する。なお、状況によっては詳細解析を行わない場合もある。また、ステップS125で求めた適切なノイズ除去条件は、ノイズ除去条件遠隔設定機能により部分放電検出装置4に遠隔設定する。
条件が適切かどうかをチェックする場合は、ステップS163で、運用者が指定した日時に計測したパルスデータを使用して、入力した条件が適切であるかどうかを検証する。なお、パルスデータのデフォルトは、最新のものまたはトレンド監視で異常を検出したものとする。ステップS164で、ノイズ除去条件が適切かどうかをチェックする。適切でない場合は、ステップS161に戻る。適切な場合は、ステップS165で部分放電検出装置4にコマンドを送信する。そして、ステップS166で、部分放電検出装置4で送信されて来たノイズ除去条件をオンラインで使用する値として設定する。
ステップS302では、レンジ制御のための計測を実施して、部分放電センサで検出したパルスの強度に応じてパルス検出回路4Aのレベル切換器のレベルを変更して、計測レンジを最適レンジに自動調整する。自動調整では、1秒間の計測を最適レンジになるまで繰り返す。ステップS303では、10秒間のパルスデータを計測する。これが本計測である。計測したパルスデータはデジタル化されており、部分放電検出装置4内のメモリに保存しておく。ステップS304では、2周波相関ノイズ除去法でノイズを分離し、60ppsの部分放電強度を出力する。ここで、ppsはPulse Per Secondの略であり、60ppsは1秒間中のパルスの中で大きい方から60個目のパルスの大きさである。60Hzの商用周波数では、60ppsは1サイクル中の最大パルスの大きさに相当する。
ステップS305では、U相、V相、W相の全てで計測が終了したかチェックする。終了していなければ、ステップS301に戻る。終了していれば、ステップS306では部分放電強度を保存領域に保存する。そして、処理を終了する。
1個の発電機2に対する場合として処理を説明したが、監視サーバ9は複数の発電機2を順番に処理する。なお、監視サーバ9が複数の発電機2に対して同時に並列して処理できるようにしてもよい。
インターネットを利用するので、安価に遠隔監視を行うことができる。
定時計測だけでなく任意の時点で放電強度を計測できるようにしているので、監視サーバ9で必要なときに現在のデータを取得できる。
監視サーバ9を1個としたが、監視サーバ9を2重化してもよい。また、複数の監視サーバ9を常時は対象回転機を分割して処理し、全監視サーバ9が全部分放電検出装置4からのデータを保存するようにして、どれかの監視サーバ9が使用できない状態になった場合は、他の監視サーバ9から監視できるようにしてもよい。
異常と判断した場合は、顧客や監視センタの運用者など、回転機ごとに決められた所定の個所に自動で警報を送信する。顧客に誤情報を送信することを避けることを重視する場合は、運用者に警報を送付し、運用者がトレンド監視を行い、運用者も異常と判断する場合に顧客に連絡する。
自動トレンド監視は、部分放電検出装置4で最新の部分放電強度を計測するつど行うようにしてもよい。部分放電検出装置4で自動トレンド監視を行う場合は、異常を検出した場合に監視サーバ9に警報を送るものとする。
このようにすると、回転機の部分放電の監視を自動で効率的に行うことができる。
以上のことは、他の実施の形態でもあてはまる。
実施の形態2は、部分放電検出装置4が計算した部分放電強度を基準値と比較して、部分放電強度が基準値以上の場合に警報を監視サーバ9に送るように実施の形態1を変更したものである。回転機の遠隔監視システムの構成は、図7である。実施の形態1の場合である図1と比較して、部分放電検出装置4に部分放電強度を監視して異常を検出する異常検出部4Gがある点が異なる。
(1)部分放電検出装置4側の動作として、ステップS202の部分放電計測の後に、異常検出部4Gによる動作であるステップS208〜S209を追加している。ステップS208では、U相、V相、W相の何れかで、部分放電強度が基準値以上であるかどうかをチェックする。基準値以上の場合は、ステップS209で警報とともに今回計測したものも含めて保存してある部分放電強度と今回の部分放電強度の計測で使用したパルスデータを監視サーバ9に送信する。
(2)監視サーバ9の動作として、部分放電検出装置4から送信されて来たデータを保存するステップS107の後に、ステップS110〜S111を追加している。ステップS111では、保存したデータが警報付きかどうかをチェックする。警報付きの場合は、入出力部9Eが警報を出す。警報が発生すると、警報が発生した回転機に関して、運用者が図3に示す異常監視機能の処理を行う。
さらに、部分放電検出装置4が異常を検知すると、監視サーバ9で警報が自動で発生し、運用者による監視を異常検知後直ちに開始することができる。警報は、音声、光、振動、映像、及びこれらの組合せなど、監視センタ8の運用者に届くものであればどのようなものでもよい。例えば、夜間など監視センタ8が無人となる時間帯では、運用者がいる場所で警報を出したり、運用者が携帯する携帯電話などにメールまたは音声を送ったりするようにしてもよい。携帯電話を利用するのは、運用者が監視センタ8内にいる場合に実施してもよい。
実施の形態3は、監視サーバ9で異常を検出した以降の絶縁劣化進行の診断と絶縁更新の要否を判定する過程も実施するように、実施の形態1を変更したものである。図9に、この実施の形態3での回転機の遠隔監視システムの構成を示す。実施の形態1の場合と比較して、可搬型の部分放電診断装置12が追加されている。図9では、可搬型の部分放電診断装置12には、センサ端子台3Aからのリード線3Bを分岐させて接続する。また、別のセンサを臨時に設置して部分放電診断装置12に接続してもよい。
絶縁劣化の進行の診断と絶縁更新の要否を判定する過程は、以下のようになる。なお、第2段階までは、実施の形態1または実施の形態2でも実施している。
(1)第1段階:実施の形態1または実施の形態2で説明したのと同様な方法で遠隔監視を行い、絶縁劣化の予兆判定を行う。予兆判定は遠隔監視により部分放電強度が以上と判断された時や、部分放電強度が異常レベルには至っていないが大きな変化が見られた時に、第2段階の処置を行う。
(2)第2段階:得られたデータが真に部分放電であるかどうかのノイズ除去条件解析を、監視サーバ9上で行う。部分放電検出装置4で使用するノイズ除去の条件が不適切になり、ノイズを部分放電と誤認する場合がある。その理由は、運転状態の変化や周辺補機の状態変化などによりノイズ特性が変化したためなどである。ノイズ除去条件解析によりノイズ除去条件が不適切であった場合には、適切な条件に変更して部分放電強度を計測する。ノイズ除去条件が適切であった場合と、不適切だったものを適切に変更した後でも部分放電強度が異常である場合の、何れかの場合は、第3段階に進む。それ以外の場合は、異常なしとして遠隔監視を続ける。
(4)第4段階:分解点検と停止中試験を行って絶縁寿命を推定する。停止中試験では、回転機内の目視点検や、部分放電試験や絶縁抵抗試験、誘電正接試験、直流試験などの従来から行われている各種試験を実施する。これらの試験の結果により、絶縁余寿命を推定し、絶縁更新計画を立案する。
さらに、可搬型の部分放電診断装置12を備えるので、運転中で固定子コイルの余寿命を推定し、停止中試験の必要性を正確に判断でき、本当に停止中試験が必要な場合にだけ、停止中試験を実施することができ、予防保全コストを低減できる。なお、可搬型の部分放電診断装置12による試験も必要な場合だけ実施するので、その点でも予防保全コストを低減している。
実施の形態4は、発電所1内で監視サーバ9と同様な機能を実施できるように、実施の形態1を変更したものである。図10に、この実施の形態4での回転機の遠隔監視システムの構成を示す。実施の形態2の場合と比較して、発電所1内に可搬型の現場用監視サーバ13が追加されている。現場用監視サーバ13は監視サーバ9と同等の機能を有する。図10では、現場用監視サーバ13を部分放電検出装置4に接続した状態を示している。
現場用監視サーバ13を部分放電検出装置4に接続して部分放電監視を行うのは、以下の2つの場合である。(1)回転機に部分放電検出装置4を最初に設置する場合。(2)監視サーバ9で異常を検出して、現場で原因究明や絶縁更新の対策を検討する場合。
まず、(1)の場合の動作について説明する。回転機に部分放電検出装置4を最初に設置する場合は、設置技術者が発電所などに行って計測及び監視条件設定を行う。その際に、運転状態で部分放電センサ3の信号が確実に計測できるように部分放電センサ3と部分放電検出装置4を調整することが必要である。設置技術者が現場用監視サーバ13を部分放電検出装置4に接続して、計測とデータ収集を行う。収集したデータをもとに、設置技術者が計測条件やノイズ除去条件を決定する。こうして、最適な条件が求まると、その条件を部分放電検出装置4に設定し、その後は監視センタ8の監視サーバ9から遠隔監視を行う。
現場用監視サーバ13を監視サーバ9と同等の機能を有するとしたが、劣っていてもよい。通信モジュール9A、部分放電監視データベース9Cを有し、ノイズ除去条件解析を実行できるものであれば、回転機に部分放電検出装置4を最初に設置する場合に使用でき、作業を効率化できるという効果が有る。
実施の形態5は、1台の部分放電検出装置4を用いて発電機定格電圧、容量、構造が同じ複数台の発電機を監視するようにした場合の例を示す図である。図11に、この実施の形態5での回転機の遠隔監視システムの構成を示す。図11では、発電機定格電圧、容量、構造が同じ5台の発電機が有る発電所で、5台の中の3台に部分放電検出装置4を設置して遠隔監視を行う場合である。部分放電強度の計測及び遠隔監視は実施の形態3の場合と同様に行う。なお、発電機定格電圧、容量、構造が同じ発電機のことを僚機と呼ぶことにする。
なお、発電機の精密検査を行う場合には、全コストの中で検査する発電機の数に比例する部分の割合はそれほど大きくなく、部分放電検出装置4を設置していない発電機の精密検査を行うことはそれほどコスト増加にはならない。そのため、精密検査時のコスト増加よりも部分放電検出装置4を少なくすることによる装置コストの低減幅の方が大きく、コスト低下につながる。
ここでは、一部の回転機に部分放電検出装置4を全く接続しなかったが、複数の回転機の部分放電モニタ3を切換て1個の部分放電検出装置4に接続可能として、順番に部分放電強度を監視するようにしてもよい。
実施の形態6は、監視サーバ9を発電所などの監視対象の回転機が設置されている構内に設置する場合である。図12に、この実施の形態6での回転機の遠隔監視システムの構成を示す。図12では、ファイヤウオール5、インターネット7、ファイヤウオール10などがなく、監視サーバ9が構内LAN6に接続されている。この実施の形態6では、監視サーバ9は発電所の中央操作室に設置する。
部分放電強度の計測と監視の動作は、実施の形態4の場合と同様である。
さらに、インターネット7を経由しないで遠隔監視できるので、セキュリティ確保のためのファイヤウオールなどが不要になり、低コストで遠隔監視システムを実現できるという効果が有る。また、電力会社や独立発電事業者(IPP)など、自社の保守部門で遠隔監視を行いたいという事業者にとって、設備保全環境を構築するための有効な道具立てを提供できるという効果が有る。
なお、ここでは、発電所の中央操作室に設置するとしたが、回転機の設置個所の構内でセキュリティが確保できる場所であればどこでもよい。セキュリティが不要な場合には、セキュリティが確保されていない場所であってもよい。また、専用の通信回線を使用する場合は、回転機の設置個所の構外に監視サーバ9を設置してもよい。
実施の形態7は、監視センタ8と各発電所1を専用通信回線で接続した場合である。図13に、この実施の形態7での回転機の遠隔監視システムの構成を示す。図13では、ファイヤウオール5、インターネット7、ファイヤウオール10がなく、その替わりに専用通信回線14が有る。専用通信回線14は、発電所1の構内LAN6と監視センタ8の構内LAN11を接続する。発電所1の構内LAN6と監視センタ8の構内LAN11は、インターネット7などの公衆ネットワークとは完全に分離して設置する。
部分放電強度の計測と監視の動作は、実施の形態2の場合と同様である。
さらに、インターネット7などの公衆ネットワークとは完全に分離しているので、より高度なセキュリティを確保できる。なお、十分に厳重なファイヤウオールが存在する場合は、発電所1の構内LAN6または監視センタ8の構内LAN11にファイヤウオールを介してインターネット7にも接続する端末を備えるようにしてもよい。
実施の形態8は、部分放電検出装置4を2個のCPUで構成する場合の具体的な機能分担を示す実施の形態である。図14に、この実施の形態8での回転機の遠隔監視システムの構成を示す。実施の形態1での図1と比較して、部分放電検出装置4の内部構成だけが異なっている。部分放電検出装置4に、パルス検出回路4Aを制御するパルスデータ検出部4Bの機能を実施する第1CPU4Hと、演算部4C、データ保存部4D、通信モジュール4E、制御部4Fの機能を実施する第2CPU4Jとが追加されている。第2CPU4Jは、市販のパソコンなどを使用する。第1CPU4Hは、安価な制御用CPUなどを使用する。
レンジ制御では、第1CPU4Hと第2CPU4Jとが共同で以下のように動作する。パルス検出回路4Aで計測したパルスデータは、第1CPU4Hでデジタル変換して、第2CPU4Jに送られ、第2CPU4Jが管理するメモリに一時保存される。一時保存したパルスデータの信号強度が最適計測レンジに入っているかどうかを、第2CPU4Jが判定し、入っていなければレンジ変更コマンドを第1CPU4Hに送る。第1CPU4Hでは、受信したコマンドで指示されたレンジになるようにパルス検出回路4Aを制御する。このような処理を、一時保存したパルスデータの信号強度が最適計測レンジに入るまで繰り返す。
計測レンジが最適化されたら、ステップS303の本計測を行い、第1CPU4Hでデジタル変換したパルスデータが、第2CPU4Jが管理するメモリに一時保存される。このパルスデータからノイズを除去して放電強度を求めるなどの処理は、第2CPU4Jにより行われる。
実施の形態9は、各発電所1から自発電所の発電機の部分放電監視に関する監視サーバ9が有する情報を参照できるようにした場合である。図15に、この実施の形態9での回転機の遠隔監視システムの構成を示す。実施の形態2での図7と比較して、以下の2点が異なる。
(1)監視サーバ9に遠隔監視する発電機の監視結果の情報を編集してインターネットから参照可能なページを作成する監視情報編集部9Fが有る。このページを、監視情報ページと呼ぶ。監視情報ページには、必要なアクセス制限を行い、セキュリティにも配慮する。所定の周期で、このページに表示する情報は最新のものに更新する。
(2)発電所1にインターネット閲覧ソフトを有するパソコン15が有る。
部分放電強度の計測と監視の動作は、実施の形態2の場合と同様である。
さらに、発電所1から最新の監視結果を参照できるので、回転機を保有する事業者にとって最も重要な関心事である、回転機の絶縁状態が緊急の対策を要するものかどうかを事業者が把握できるという効果が有る。発電所1から最新の監視結果を参照できない場合は、監視センタ8から連絡がない時に、異常がないから連絡がないのか、監視センタ8からの連絡が遅れているのかが、事業者には区別できない。
2 :タービン発電機(回転機)
3 :部分放電センサ
3A:センサ端子台
3B:リード線
4 :部分放電検出装置
4A:パルス検出回路
4B:パルスデータ検出部
4C:演算部
4D:データ保存部
4E:通信モジュール
4F:制御部
4G:異常検出部
4H:第1CPU(第1計算機)
4J:第2CPU(第2計算機)
5 :ファイヤウオール
6 :構内LAN
7 :インターネット
8 :監視センタ
9 :監視サーバ(遠隔監視装置)
9A:通信モジュール
9B:データ保存部
9C:部分放電監視データベース
9D:データ解析部(ノイズ除去検証部)
9E:入出力部
9F:監視情報編集部
10 :ファイヤウオール
11 :構内LAN
12 :部分放電診断装置
13 :現場用監視サーバ(現場監視装置)
14 :専用通信回線
15 :パソコン
Claims (14)
- 回転機の部分放電を検出する部分放電センサの出力から部分放電とノイズを含むパルスを検出するパルス検出回路と、該パルス検出回路で検出されるパルスを所定時間計測したデータであるパルスデータからノイズを除去して部分放電強度を計算する演算部と、該演算部が部分放電強度を計算するごとに部分放電強度を保存し、前記演算部が部分放電強度を計算する全回数の中の一部の回数ではパルスデータも保存するデータ保存部と、回転機の部分放電を遠隔監視する遠隔監視装置との間の通信を行い、前記データ保存部が保存したパルスデータ及び部分放電強度を送信する通信モジュールとを備えた回転機の部分放電検出装置。
- 前記パルス検出回路を制御する第1計算機と、前記演算部、前記データ保存部及び前記通信モジュールを実行する第2計算機とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の回転機の部分放電検出装置。
- 前記パルス検出回路において計測レンジが変更可能であり、前記第2計算機で前記パルス検出回路の計測レンジの値を決定し、前記第2計算機が決定した値に前記パルス検出回路の計測レンジを前記第1計算機が変更することを特徴とする請求項2に記載の回転機の部分放電検出装置。
- 前記データ保存部が所定の期間の部分放電強度を保存し、最新の部分放電強度または所定の期間だけ前の時点での部分放電強度と最新の部分放電強度の差である異常検出項目に関して、異常検出項目ごとに予め設定された所定の基準値と異常検出項目の値とを比較して異常検出項目ごとの所定の条件により異常を検出し、異常を検出した場合に前記遠隔監視装置に警報を送信する異常検出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の回転機の部分放電検出装置。
- 複数の回転機に設置された複数の部分放電センサの出力信号を切替えて入力できることを特徴とする請求項1に記載の回転機の部分放電検出装置。
- 少なくとも1個の回転機の部分放電を遠隔監視する遠隔監視装置と、遠隔監視される回転機に設置された部分放電検出装置とを備え、前記部分放電検出装置が、部分放電を検出する部分放電センサの出力から部分放電とノイズを含むパルスを検出するパルス検出回路と、該パルス検出回路で検出されるパルスを所定時間計測したデータであるパルスデータからノイズを除去して部分放電強度を計算する演算部と、該演算部が部分放電強度を計算するごとに部分放電強度を保存し、前記演算部が部分放電強度を計算する全回数の中の一部の回数ではパルスデータも保存するデータ保存部と、前記遠隔監視装置との間の通信を行い、前記データ保存部が保存したパルスデータ及び部分放電強度を送信する通信モジュールとを有し、前記遠隔監視装置が、前記部分放電検出装置との間の通信を行う通信モジュールと、パルスデータ及び部分放電強度を保存する部分放電監視データベースとを有することを特徴とする回転機の部分放電遠隔監視システム。
- 前記部分放電検出装置が、前記パルス検出回路を制御する第1計算機と、前記演算部、前記データ保存部及び前記通信モジュールを実行する第2計算機とを有することを特徴とする請求項6に記載の回転機の部分放電遠隔監視システム。
- 前記パルス検出回路において計測レンジが変更可能であり、前記第2計算機で前記パルス検出回路の計測レンジの値を決定し、前記第2計算機が決定した値に前記パルス検出回路の計測レンジを前記第1計算機が変更することを特徴とする請求項7に記載の回転機の部分放電遠隔監視システム。
- 前記データ保存部が所定の期間の部分放電強度を保存し、最新の部分放電強度または所定の期間だけ前の時点での部分放電強度と最新の部分放電強度の差である異常検出項目に関して、異常検出項目ごとに予め設定された所定の基準値と異常検出項目の値とを比較して異常検出項目ごとの所定の条件により異常を検出し、異常を検出した場合に前記遠隔監視装置に警報を送信する異常検出部を前記部分放電検出装置が有することを特徴とする請求項6に記載の回転機の部分放電遠隔監視システム。
- 回転機の設置個所の構内で回転機を監視する現場監視装置を備え、前記部分放電検出装置の前記通信モジュールが前記現場監視装置との間の通信も行い、前記演算部が変更可能な条件を使用し、前記現場監視装置が、前記部分放電検出装置との間の通信を行う通信モジュールと、パルスデータ及び部分放電強度を保存する部分放電監視データベースと、前記演算部が使用する条件が適切かどうかを検証することを支援するノイズ除去検証部とを有することを特徴とする請求項6に記載の回転機の部分放電遠隔監視システム。
- 前記現場監視装置を可搬型とすることを特徴とする請求項10に記載の回転機の部分放電遠隔監視システム。
- 可搬型の部分放電診断装置を備え、前記遠隔監視装置により異常と判断された回転機に前記部分放電診断装置を接続して診断を行うことを特徴とする請求項6に記載の回転機の部分放電遠隔監視システム。
- 部分放電強度または所定の期間での部分放電強度の変化幅の何れかである回転機ごとの異常検出項目に関して、異常検出項目ごとに予め設定された所定の基準値と異常検出項目の値とを比較して異常検出項目ごとの所定の条件により異常を検出し、異常を検出した場合に回転機ごとに決められた所定の個所へ警報を送信する異常検出部を前記遠隔監視装置が有することを特徴とする請求項6に記載の回転機の部分放電遠隔監視システム。
- 回転機の設置箇所の構内から参照できるように遠隔監視する回転機の監視情報を作成する監視情報作成部を前記遠隔監視装置が有することを特徴とする請求項6に記載の回転機の部分放電遠隔監視システム。
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