JP2006116854A - パーティクルボード - Google Patents

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Yosuke Kagotani
陽介 籠谷
Motosane Kikuta
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Abstract

【課題】 従来のパーティクルボードと同様の機械的強度と木口面の性状、見栄えを備えながら、より軽量化した(比重を小さくした)パーティクルボードを得る。
【解決手段】 内層と表層を備えるパーティクルボードにおいて、内層は15重量%以上のプレーナー屑と残り木材チップを含み、表層は50重量%以上のファイバーと残り木材チップを含む。全体の比重は0.5〜0.55の範囲である。
【選択図】 なし

Description

本発明はパーティクルボードに関し、特に、物性値(機械的強度)を低下させることなく軽量化を可能としたパーティクルボードに関する。
木材その他の植物繊維質のチップ(パーティクル)に合成樹脂接着剤を塗布して、人工的に成板した板状製品はパーティクルボードとして知られている。一般的に、パーティクルボードは表面精度が比較的粗いことから、機械的強度を保持しながら緻密な表面性を得るための改良がなされてきている。例えば、特許文献1には、内層と表層との多層構造とし、表層用として細かいチップを用いることにより表層の緻密性を確保し、内層用としても100メッシュ未満のきわめて細かいチップを所要範囲で分布させたチップを用いることで機械的強度を確保するようにしたパーティクルボードが提案されている。特許文献2(特開昭60−165205号公報)には、内層の上に表層を積層するに際して、表層用木材チップを送風により分級しながら積層することによって、表層の表面側により細かい径のチップを積層させることで、木口面の性状、見栄えを改善するようにしたパーティクルボードの製造方法が提案されている。
特開平06−166011号公報 特開昭60−165205号公報
上記のように、これまでパーティクルボードについて多くの改良技術が提案され、高い実用性を持つようになり、多くの分野で使用されている。しかし、現在、市場の要請に答え得る機械的強度と木口面の性状、見栄えとを備えたパーティクルボードの比重は0.7〜0.72の範囲のものが多く、MDFのような他の木質繊維版と比較して、重量が重くなっている。比重を低くすると、木口面の性状、見栄えが劣化し(疎な表面となる)、また機械的な強度が低下して、加工の際に、割れやチップ抜け、木口貼りの剥がれなどの不都合が発生する。
本発明は、パーティクルボードにおける上記の事情を解決することを目的としており、より具体的には、従来のパーティクルボードと同様の機械的強度と木口面の性状、見栄えを備えながら、より軽量化した(比重を小さくした)パーティクルボードを得ることを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく多くの実験を行うことにより、内層にはプレーナー屑を所定割合で分布させ、表層にはファイバーを所定割合で分布させることにより、機械的強度の確保と軽量化の双方を同時に満足する、新規なパーティクルボードが得られることを知見した。
本発明は、上記の知見に基づいており、本発明によるパーティクルボードは、基本的に、内層と表層を備えるパーティクルボードであって、内層は15重量%以上のプレーナー屑と残り木材チップを含み、表層は50重量%以上のファイバーと残り木材チップを含み、全体の比重が0.5〜0.55の範囲であることを特徴とする。
本発明によるパーティクルボードは、後の実施例に示すように、比重が0.5〜0.55の範囲であって従来のものと比較して軽量でありながら、従来法で製造した同程度の比重を持つパーティクルボードと比較して、高い機械的強度を持つ。また、木口面の性状、見栄えも大きく改善される。これは、内装に分布させたプレーナー屑と表層に分布させたファイバーとが有効に機能している結果と推測される。
本発明において、木材チップ自体は、従来のパーティクルボードの製造に用いられているものをそのまま用いることができる。また、内層の1エレメントであるプレーナー屑とは、木材のプレカット屑(工場でほぞ加工等をしたときにでる屑で、カール状をなしているもの)、おが屑(のこ屑)、鉋屑(平らな鉋引き屑)のように、木材の加工後に出てくる木材屑を総称しており、木材としては針葉樹が特に好ましい。表層の1エレメントであるファイバーとは、いわゆるファイバーボードの原料となるファイバーを総称しており、木材を蒸煮解繊処理して得られる常套のファイバーを意味している。
本発明のパーティクルボードにおいて、分布させるプレーナー屑およびファイバーの木質チップに対する割合(重量%)を変えることで、比重を調整することができ、上記のようにそれらの重量%を設定することにより、全体比重を0.5〜0.55の範囲とすることができる。内層のプレーナー屑が15重量%未満であると所望の機械的強度が得られず、また、表層のファイバーが50重量%未満であると、木口面の性状および見栄えが悪化する。
本発明において、木材チップとして、木質解体材や木材加工処理後の廃材をフレーキングした木材チップも有効に用いることができる。大きさは、現在パーティクルボードの製造で使用されてチップ厚である、ほぼ0.5〜1.0mmの厚さのものが好ましいが、これに限らない。好ましい態様において、内層の1エレメントであるプレーナー屑は厚さはほぼ0.1〜0.8mm、平均直径がほぼ4.6mm以上であり、表層の1エレメントであるファイバーは繊維長がほぼ0.5〜5mmである。
プレーナー屑の厚さが0.1mm未満のものは十分な機械的強度が得られず、また、0.8mmより厚くても機械的強度の面で向上が見られない。ファイバーの長さが0.5mm未満のものはファイバー相互の絡みが不十分となり好ましくなく、5mmより長いものはファイバー相互の絡みに粗密が出現する等により見栄えが悪化するのでやはり好ましくない。
本発明において、パーティクルボードの製造方法は、上記のようにエレメントを分布した内層材料と表層材料を用いることを除き、従来のパーティクルボードの製造方法と実質的に同じであってよい。接着剤も同様であり、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、水溶性イソシアレート樹脂等を適宜用いることができる。例えば、3層構成のパーティクルボードの場合には、上記の木材チップとプレーナー屑あるいはファイバーを接着剤とともに混合した表層材料と内層材料とを調整し、それを、フォーミングベルトの上に、表層材料、内層材料、表層材料の順に積層する。そして、定法により、それを熱圧プレスする。表層と内層の比率(表層/内層)に特に制限はないが、0.20〜0.50程度の範囲とすることにより、全体の比重が0.5〜0.55の範囲であるパーティクルボードを得やすくなる。
本発明によれば、従来のパーティクルボードと同様の機械的強度と木口面の性状、見栄えを備えながら、より軽量化した(比重を小さくした)パーティクルボードを得ることができる。
以下、実施例と比較例により本発明を説明するが、本発明が以下の実施例に限られないことは当然である。
[実施例1〜3]
木質解体材を、刃先角38〜42度の切削刃を用い、回転数900〜1200rpmでフレークして、0.5〜1mmの厚さの木材チップを得た。また、針葉樹の鉋屑をフレーキングして厚さ0.1〜0.8mm、平均径4.6〜5.0mmのプレーナー屑を作った。さらに、定法により木材を蒸煮解繊処理して、繊維長0.5〜5mmのファイバーを作った。
木材チップとプレーナー屑とを85重量%対15重量%で混ぜ合わせて内層チップとした。また、木材チップとファイバーとを50重量%対50重量%で混ぜ合わせて表層チップとした。それぞれをドライヤーで乾燥した後、表2示すような添加割合(重量%)で接着剤を塗布した。内層チップおよび表層チップのウエット含水率は表1に示すように、9.2%、17.7%とした。
表層チップ/内層チップの比が、0.25(実施例1)、0.34(実施例2)、0.46(実施例3)となるようにして、フォーミングベルトの上に敷き詰めた。厚さは実施例1と2では30mm、実施例3では25mmとした。その後、熱圧プレスして実施例1〜3のパーティクルボードを得た。なお、圧力は9〜11kgf/cm,温度は165〜170℃で行い、プレスタイムは、実施例1と2では8分、実施例3では6分とした。
[比較例1]
表層チップとしてファイバーを混入しないもの、および内層チップとしてプレーナー屑を混入しないもの、すなわち、100%木材チップの表層チップと内層チップを用いた以外は、実施例1と同様にしてパーティクルボードを得た。
Figure 2006116854
Figure 2006116854
[性能試験]
実施例1〜3と比較例1について、JISA5908に準じて性能試験を行った。その結果を表3に示す。また、表面および木口面を目視により観察したところ、実施例1〜3のものは凹凸のない滑らかな面であったが、比較例1のものは比較して疎面であった。さらに、鋸でカットしてカット面を目視により観察したところ、実施例1〜3のものはチップ抜けはほとんど観察されなかったが、比較例1のものは比較して多くのチップ抜けが観察された。
Figure 2006116854
[評価]
表3に示すように、比重が比較例1とほぼ同じでありながら、実施例1〜3のものは曲げ強度、剥離強度、木ネジ保持力のいずれにおいても高い値を示しており、実施例のものは、軽量でありながら機械的強度の高いパーティクルボードであることが示される。これは、内層チップに接着に適したプレーナー屑を分散させた結果であると推測される。また、表層チップにファイバーを分散させたことにより、高い木口面の性状と見栄えが得られたものと推測される。
なお、表3に示される実施例1〜3の機械的強度はいずれも比重0.7〜0.72程度の従来法によるパーティクルボードの持つ強度に相当しており、このことからも本発明の優秀性がわかる。より具体的には、曲げ強度8N/mm以上はJIS8タイプに相当し、剥離強度0.2N/mmはJIS13タイプに相当し、木ネジ保持力400N以上はJIS13タイプに相当している。

Claims (3)

  1. 内層と表層を備えるパーティクルボードであり、内層は15重量%以上のプレーナー屑と残り木材チップを含み、表層は50重量%以上のファイバーと残り木材チップを含み、全体の比重が0.5〜0.55の範囲であることを特徴とするパーティクルボード。
  2. 内層および表層の木材チップは、木材をほぼ0.5〜1.0mmの厚さにフレークしたものであることを特徴とする請求項1に記載のパーティクルボード。
  3. 内層のプレーナー屑は厚さがほぼ0.1〜0.8mm、平均直径がほぼ4.6mm以上であり、表層のファイバーは繊維長がほぼ0.5〜5mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のパーティクルボード。
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