JP2006113298A - オーディオ信号分析方法、その方法を用いたオーディオ信号認識方法、オーディオ信号区間検出方法、それらの装置、プログラムおよびその記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オーディオ信号をフィルタ処理して複数の帯域に分割し、各帯域の基本周期を推定し、周期性成分と非周期性成分とに分離してその周期成分パワーを抽出し、その抽出した周期成分パワーをヒストグラムなどの方法で正規化した上でエントロピーを求め、オーディオ信号の特徴パラメータとしてパターン識別、音声区間検出などに使用することで実環境における頑健性を得る。
【選択図】図7
Description
帯域通過フィルタバンク11では、複数の帯域通過デジタルフィルタ111,…,11Bを用いて、入力された離散音声信号を帯域分割して出力する(ステップS1)。ここで用いられる帯域通過フィルタバンク11は、例えば聴知覚の特性に基づく、等価矩形帯域幅の大きさに対応した中心周波数を持つガンマトーンフィルタバンクを用いるとよい(M.Slaney,“An Efficient Implementation of the Patterson-Holdsworth Auditory Filter Bank,”Apple Computer Technical Report ♯35,1993)。このガンマトーンフィルタバンクでは、帯域通過フィルタ11b(b=1,…,B)であるガンマトーンフィルタを、通過帯域が重なり合うように、かつそれぞれのフィルタの中心周波数が等価矩形帯域幅の大きさ(おおよそ対数スケール)に従うように、例えば24帯域分用意する。このフィルタバンク11の各フィルタの周波数特性の例を図3に示す。図3には複数の帯域通過フィルタ111,…,1124(ガンマトーンフィルタ)の周波数特性が同時に示されている。入力である離散音声信号をフィルタバンク11中のそれぞれの帯域通過フィルタ111,…,11Bでフィルタ処理した結果としてフィルタ数Bだけの離散信号が帯域通過フィルタバンク11から出力される。帯域通過フィルタバンク11の入力信号と出力信号の例として、帯域通過フィルタ11bとして図3に示した24個のフィルタ特性のうちの3つの特性をそれぞれもつガンマトーンフィルタを用いた場合を図4に示す。図4Aは入力離散音声信号の時間的変化を示す波形を示し、図4Bは中心周波数がfc1,fc2及びfc3の帯域通過フィルタ11bの各周波数特性をそれぞれ示し、図4Cはこれら3つの帯域通過フィルタの各出力信号波形をそれぞれ示す。
図5Aに入力信号波形の例を、図5Bにこの自己相関関数係数をそれぞれ示す。次に、この自己相関関数係数におけるiの一定の探索範囲内、例えば80≦i≦200(サンプリング周波数16,000Hzの場合の80Hzから200Hzの周期に該当)の範囲内においてaciが最大となるiを検出する。その結果得られたiをnとする。このnは入力信号の探索範囲において最も支配的な周期性成分の周期長を表し、入力信号が単一の完全な周期信号(例えば正弦波)の場合にはその周期長に相当する値になる。周期推定手段13の各周期推定部131,…,13Bから各推定周期nが出力される。
H(z)=1−z-n
音声波形切出手段12の出力信号をこの離散櫛型フィルタによってフィルタ処理することで得られる出力信号は、その櫛型フィルタの周波数特性における零点に相当する部分(基本周波数成分とその整数倍の周波数成分)のパワーが抑圧された離散信号となる。各周期推定部13b(b=1,…,B)で推定された周期nは櫛型フィルタ14の対応するフィルタ部14bに設定され、各切出部12bよりの分析区間ごとの帯域離散音声信号が対応するフィルタ部14bに入力される。図4に示した帯域通過周波数特性中から選んだ3個と帯域通過フィルタの出力信号を音声波形切出手段12によりそれぞれ切り出した信号波形例を図6Aに、これら信号からそれぞれ推定された周期に設定された離散櫛型フィルタのそれぞれの周波数特性を図6Bに、その各フィルタ処理された各出力信号を図6Cにそれぞれ示す。
W=Σj=1 Nsj 2
減算手段16の各減算部16bでは、パワー算出手段15Fの各計算部15Fbの出力パワー値、つまり音声波形切出手段12の切出部12bの出力信号のパワー値WPbから、対応するパワー算出手段15Aの計算部15Abの出力パワー値、つまり切出部12bの出力に対応する櫛型フィルタ14のフィルタ部14bの出力信号から算出されたパワー値WAbを減算する(ステップS6)。この結果、各減算部16bから櫛型フィルタ手段14の各フィルタ部14bによって抑圧された周波数成分のパワー値(powersp)、すなわち各帯域離散音声信号の周期成分パワー値WPbを求めることができる。この減算操作を次式に示す。
周期成分パワーベクトル化手段20Pは各周期成分パワーWPbが入力され、これらをその対応帯域通過フィルタ11b(b=1,…,B)の中心周波数順に整列したベクトルとし、非周期成分パワーベクトル化手段20Aは同様に各非周期成分パワーWAbをベクトルとする(ステップS7)。離散コサイン変換手段17Pでは、周期成分パワーベクトルに対しその対数値を取って離散コサイン変換を行う(この離散コサイン変換については例えば非特許文献2、14頁参照)。同様に離散コサイン変換手段17Aは非周期成パワーベクトルを離散コサイン変換する(ステップS8)。例えば24帯域分の帯域通過フィルタ11bを用いた場合、WPbおよびWAbはそれぞれ24通り算出される。これらをそれぞれ対応する帯域通過フィルタの中心周波数順に整列し、それぞれ24次元のベクトルとして扱う。その各ベクトルに対し、離散コサイン変換を例えば下記の式に従って行う。
ベクトル連結手段18は、離散コサイン変換手段17Pおよび17Aの出力であるWPbおよびWAbに対応するそれぞれN次元の離散コサイン係数ciPおよびciAを入力とし、それぞれの一部または全体を連結して一連のベクトルC=(c1,c2,…,ck)として出力する(ステップS9)。例えばWPbおよびWAbそれぞれの24次元の離散コサイン係数ciPおよびciAが入力とされた場合、それぞれ次数の低い方から12次元の係数を連結して一連の24次元ベクトルとして出力する。この分析方法を用いた場合、雑音下での音声認識において所定の頑健性が得られる。
Kentaro Ishizuka,Noboru Miyazaki,"Speech feature extractionmethod representing periodicity and aperiodicity in sub bands for robust speechrecognition ,"Proceedings of the 29th International Conference on Acoustics, Speech,and Signal Processing,Vol.1,pp.141-144,2004. 鹿野清宏,伊藤克亘,河原達也,武田一哉,山本幹雄 編著,"音声認識システム",オーム社,2001,4〜15頁
音声信号のみならず、音楽信号などの周期性成分と非周期性成分とが混在する音響信号の特徴を表現するパラメータの分析においても、非特許文献1、2の各方法を個別に適用しても、同様の問題が生じる。なお、音声信号および音楽信号などの周期性成分と非周期性成分とが混在する信号をオーディオ信号と総称する。
[第1実施形態]
この発明ではオーディオ信号を周期性成分と非周期性成分とに分離して周期成分パワーを抽出し、その抽出した周期成分パワーをヒストグラムなどの方法で正規化した上で求めたエントロピー値を出力するオーディオ信号分析を行う。第1実施形態では、周期成分パワーを求める方法として周期成分を抑圧する櫛型フィルタを用いて非周期成分パワーと帯域信号パワーとを求めた上で、上記帯域信号パワー値から上記非周期成分パワー値を減算することで周期成分パワーを求める形態である。図7にその機能構成例を図8に処理手順の例をそれぞれ示す。この信号分析手段10は、正規化手段21の具体的な実現例としてヒストグラム生成手段21Aを備え、エントロピー計算手段22を具備する。
櫛型フィルタ14では、周期推定手段13で得られた周期(基本周期)に基づいて音声波形切出手段12の出力信号をフィルタ処理する(ステップS14)。ここで用いる櫛型フィルタは基本周期成分を抑圧する周波数特性を有する。例えば図6に示した櫛型フィルタを用いれば、周波数特性における零点に相当する部分(基本周波数成分とその整数倍の周波数成分)のパワーが抑圧された離散信号が出力される。
減算手段16の各減算部16bでは、パワー算出手段15Fの各計算部15Fbの出力パワー値、つまり各帯域信号パワーWPbから、対応するパワー算出手段15Aの計算部15Abの出力パワー値、つまり非周期成分パワーWAbを減算する(ステップS16)。この結果、各帯域の周期成分パワー値WPbを求めることができる。
各帯域の周期成分パワー値WPbと周期推定手段13の各周期推定部13bからの出力である各帯域の基本周期の情報を用いて、例えば以下のようなヒストグラムH(n)を計算することにより正規化された周期成分パワーを求めることができる。
なお、正規化手段21では、パワーを用いない以下のような方法もあり得る。
なお、エントロピー計算部22aからの出力は、音声波形切出手段12が実行されるごとに出力可能であり、エントロピー計算部22aからの出力をさらに時間的に正規化する方法もある。例えば次式で求められる時間正規化されたエントロピーNEiをエントロピー計算手段22の出力、つまり信号分析手段10の出力とする方法もある。
[変形実施形態]
変形例では、周期成分パワーを求める方法として周期成分を透過する櫛型フィルタを用いて周期成分パワーを求める形態である。図9にその機能構成例を図10に処理手順の例をそれぞれ示す。
櫛型フィルタ14’では、周期推定手段13で得られた周期(基本周期)に基づいて音声波形切出手段12の出力信号をフィルタ処理する(ステップS24)。ここで用いる櫛型フィルタは基本周期成分を透過する周波数特性を有する。例えば以下のような周波数特性を持つ櫛型フィルタを用いてもよい。
正規化手段21、エントロピー計算手段22は、第1実施形態と同じ機能構成であり、エントロピー計算手段22で求められるエントロピーEが信号分析手段10の出力となる。
[第2実施形態]
この発明では、第1実施形態又はその変形実施形態の音声信号分析手段10の出力を音声特徴パラメータEとし、音声有無判断手段71により音声区間、非音声区間の検出を行う。図13にその機能構成例を示す。
[第3実施形態]
この発明では、第1実施形態又はその変形実施形態の音声信号分析手段10の出力を音声特徴パラメータEとし、音声パターン識別手段81により音声認識を行う。図14にその機能構成例を示す。
[第4実施形態]
この発明では、第1実施形態又はその変形実施形態の音声信号分析手段10の出力を音声特徴パラメータEとし、音声有無判断手段71による音声区間、非音声区間の検出結果を利用して、音声パターン識別手段81により音声認識を行う。図15にその機能構成例を示す。
音声パターン識別手段81では、音声がある区間だけ第3実施形態で示した方法により特徴パラメータの学習や音声認識を行う。音声有無判断手段71の結果を利用することで、連続した音声信号入力に対して、音声パターン識別を開始するタイミングや終了するタイミングを学習時と認識時でそろえることが期待できる。
[実験例]
以下にこの発明の効果を示すために、この発明による音声信号分析方法によって得られた音声特徴パラメータを用いた音声認識装置と、[背景技術]項に記載の非特許文献1に示す音声認識装置(単に従来装置という)の、雑音下での数字認識における音声認識精度を比較のために行った実験を説明する。
Claims (20)
- 入力オーディオ信号をフィルタ処理して複数の帯域信号に分割し、
上記各帯域信号に含まれる基本周期を推定し、
上記各帯域信号を各基本周期に基づき櫛型フィルタで阻止又は通過の一方のフィルタ処理をしてその帯域信号に含まれる周期成分又は非周期成分を得、
各帯域の周期成分のパワーを計算し、
上記各帯域の周期成分パワー値を正規化し、
上記正規化された周期成分パワー値のエントロピー値を得る
ことを特徴とするオーディオ信号分析方法。 - 請求項1記載の方法において、
上記各帯域の周期成分パワー値の正規化方法として、上記各帯域の周期成分パワー値のヒストグラムを計算する
ことを特徴とするオーディオ信号分析方法。 - 入力オーディオ信号をフィルタ処理して複数の帯域信号に分割する帯域通過フィルタバンクと、
上記各帯域信号に含まれる基本周期を推定する基本周期推定部と、
上記各基本周期がそれぞれ設定され、その各帯域信号を阻止及び通過の一方のフィルタ処理をしてその帯域信号に含まれる周期成分又は非周期成分の対応する一方を出力する櫛型フィルタと、
各帯域の周期成分のパワーを計算するパワー計算手段と、
上記各帯域の周期成分パワー値を正規化する手段と、
上記正規化された周期成分パワー値のエントロピー値を得る手段と、
を具備するオーディオ信号分析装置。 - 請求項3記載の装置において、
上記各帯域の周期成分パワー値を正規化する手段として、上記各帯域の周期成分パワー値のヒストグラムを計算する手段と
を具備することを特徴とするオーディオ信号分析装置。 - 請求項1又は2記載のオーディオ信号分析方法によりエントロピー値を得、
オーディオ信号の有無を判断する
ことを特徴とするオーディオ信号区間検出方法。 - 入力オーディオ信号から請求項1又は2記載のオーディオ信号分析方法によりエントロピー値を得、
閾値と比較することでオーディオ信号の有無を判断する
ことを特徴とするオーディオ信号区間検出方法。 - 請求項3又は4記載のオーディオ信号分析手段と
オーディオ信号有無判断手段と
を具備することを特徴とするオーディオ信号区間検出装置。 - 請求項3又は4記載のオーディオ信号分析手段と、
上記オーディオ信号分析部から得られた入力オーディオ信号のエントロピー値と閾値とを比較する手段と
を具備するオーディオ信号区間検出装置。 - 請求項1又は2記載のオーディオ信号分析方法によりエントロピー値を得、
オーディオ信号パターンを識別する
ことを特徴とするオーディオ信号認識方法。 - 事前に学習のために請求項1又は2記載のオーディオ信号分析方法によりエントロピー値を得、
学習データとして上記エントロピー値を格納し、
入力オーディオ信号から請求項1又は2のオーディオ信号分析方法によるエントロピー値を得、
上記学習データのエントロピー値と入力オーディオ信号のエントロピー値とを比較する
ことを特徴とするオーディオ信号認識方法。 - 請求項3又は4記載のオーディオ信号分析手段と、
オーディオ信号パターン識別手段と
を具備することを特徴とするオーディオ信号認識装置。 - 請求項3又は4記載のオーディオ信号分析手段と、
学習データとして上記オーディオ信号分析手段から事前に得たエントロピー値を蓄積する蓄積手段と、
上記オーディオ信号分析手段から得られた入力オーディオ信号のエントロピー値と蓄積された学習データであるエントロピー値とを比較する手段と
を具備するオーディオ信号認識装置。 - 請求項1又は2記載のオーディオ信号分析方法によりエントロピー値を得、
オーディオ信号の有無を判断し、
オーディオ信号パターンを識別する
ことを特徴とするオーディオ信号認識方法。 - 入力オーディオ信号から請求項1又は2記載のオーディオ信号分析方法によりエントロピー値を得、
閾値と比較することでオーディオ信号の有無を判断し、
オーディオ信号パターンを識別する
ことを特徴とするオーディオ信号認識方法。 - 事前に学習のため請求項1又は2記載のオーディオ信号分析方法によりエントロピー値を得、
学習データとして上記エントロピー値を格納し、
入力オーディオ信号から請求項1又は2記載のオーディオ信号分析方法によりエントロピー値を得、
入力オーディオ信号の有無を判断し、
上記学習データのエントロピー値と入力オーディオ信号のエントロピー値とを比較する
ことを特徴とするオーディオ信号認識方法。 - 請求項3又は4記載のオーディオ信号分析手段と
オーディオ信号有無判断手段と
オーディオ信号パターン識別手段と
を具備することを特徴とするオーディオ信号認識装置。 - 請求項3又は4記載のオーディオ信号分析手段と
上記オーディオ信号分析手段から得られた入力オーディオ信号のエントロピー値と閾値とを比較する手段と
オーディオ信号パターン識別手段と
を具備することを特徴とするオーディオ信号認識装置。 - 請求項3又は4記載のオーディオ信号分析手段と
オーディオ信号有無判断手段と
学習データとして上記オーディオ信号分析手段から事前に得たエントロピー値を蓄積する蓄積手段と、
上記オーディオ信号分析手段から得られた入力オーディオ信号のエントロピー値と蓄積された学習データであるエントロピー値とを比較する手段と
を具備するオーディオ信号認識装置。 - コンピュータを、請求項3、4、7、8、11、12、16〜18のいずれかに記載した装置として機能させるプログラム。
- 請求項19に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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