本発明は、自動ドアの近傍の無目や壁面などに設置され、人体を検知した場合にドアの開閉制御装置などへ制御信号を出力する自動ドアセンサに関する。
従来、自動ドアの近傍の無目や壁面などに設置される自動ドアセンサには、外力による破損や粉塵による故障を防止するためや美観の向上などを目的として、その本体を外側から覆う化粧カバーを備えるものが多い。
このような自動ドアセンサでは、人体を検知するために、例えば、能動型赤外線(Active Infrared:以下「AIR」と記す)方式や受動型赤外線(Passive Infrared:以下「PIR」と記す)方式のセンサなどが内蔵されている。ここで、AIR方式のセンサは、近赤外線を投光する発光ダイオードと近赤外線を受光するフォトセンサと光学系で構成され、光学系で規定された検知エリア内で、発光ダイオードから投光された近赤外線が検知対象によって反射され、その反射光をフォトセンサで検出することで対象物の存在を検知するものである。一方、PIR方式のセンサは、遠赤外線に感度を持つ素子と光学系で構成され、全ての温度のあるものから発散している遠赤外線の変化を検出することができる素子を用いて温度のあるもの、例えば動物が検知エリアを移動による事によって得られる赤外線の変化を検出するものである。
また、このような自動ドアセンサでは、設置される場所や検知対象などによって適切とされる検知エリアの位置、範囲、方向などが異なるためと、実際の設置場所において確実な検知と誤検知の防止を図る必要性などから、検知エリアの変更や調節が可能となっているものがある。
これらのうち、検知エリアの形成方向(角度)の調節を可能とする従来技術としては、例えば、特許文献1の「人体感知センサーのカバー装置」が挙げられる。これは、自動ドア等の作動のために設置される人体感知センサーのカバー装置であって、人体感知センサーを覆うカバー体には人体感知センサーを保持する保持部材を設け、当該保持部材に保持される回転用部材を設けた人体感知センサーとからなり、前記カバー体に対して前記人体感知センサーは、前記回転用部材を中心として回動することにより角度調整可能としたことを特徴とするものである。
この他には、自動ドアセンサの本体内部に可変する光学部を配置することにより検知エリアの方向の変更を実現しているものがある。この場合、自動ドアセンサの本体を覆う化粧カバーを取り付けることで検知エリアの方向の変更はできなくなるので、設置時の検知エリア方向調整完了後に化粧カバーを取り付けると、それ以降に検知エリアの方向が不用意に変わってしまうことが防止される。
あるいは、自動ドアセンサの本体そのものの設置姿勢を可変できる構造を用いて検知エリアの方向の変更を実現しているものもある。この場合、自動ドアセンサの本体内部には検知エリア方向調整を可能とするための余分な空間を確保する必要がないため、自動ドアセンサの小型化が可能となる。その一例を、次に図面を参照して説明する。
図8は、従来技術の一例の自動ドアセンサ100の外観図である。図9は、この自動ドアセンサ100の設置ホルダー120の外観図である。図10は、この自動ドアセンサ100の本体130の外観図である。
この自動ドアセンサ100は、AIR方式によって人体を検知する本体130と、この本体130を壁面などに取り付けるとともに検知エリアの形成方向の角度調整を可能とする設置ホルダー120と、これらを外側から覆う化粧カバー110とを備えている。
自動ドアセンサ100は、図8に示すように、全体としては丸みを帯びた横長箱形状で可撓性を有する樹脂製の化粧カバー110で覆われている。この化粧カバー110は背面側全体が開口しており、さらに底面には、本体130の赤外線投受光窓134(後述)を外部に露出させるための底面開口部112が形成されている。
設置ホルダー120も可撓性を有する樹脂製であり、図9に示すように、横長矩形状でその周囲の上側、左側、および下側に亘って幅の狭い枠126T、枠126L、枠126Bが連続的に形成されている。設置ホルダー120の右側には、枠126Tの右端と枠126Bの右端とに連続するように、より幅の広い台形板状の本体支持部121Rが形成されている。さらに、この本体支持部121Rの下端は手前側の位置が高くなるように斜めに形成され、その下端手前側近傍に円い孔123Rが形成され、本体支持部121Rの上端手前側近傍の内面には、断面略三角形状の短い突条125が形成されている。
また、この本体支持部121Rに対向するように、設置ホルダー120の左側の枠126Lのやや内寄りに、本体支持部121Rと幅が同じで高さが小さい矩形板状の本体支持部121Lが形成されている。この本体支持部121Lの下端手前側近傍であって孔123Rとちょうど対向する位置には、孔123Rと同じ大きさの円い孔123Lが形成されている。
なお、この設置ホルダー120は、例えば、不図示のネジ孔などを利用してその背面側を壁面などにネジ止め固定することが可能である。
自動ドアセンサ100の本体130は、図10に示すように、横長箱形状で下部の厚みの方がやや大きく、底面は手前側の位置がやや高くなるように湾曲している。この底面には、両端部分を除くほぼ全体に亘って赤外線投受光窓134が配置されている。この本体130内部の赤外発光ダイオード(不図示)から投光された近赤外線は、この赤外線投受光窓134を透過して外部に照射される。そして、その近赤外線が人体などで反射されると、その反射光が再びこの赤外線投受光窓134を透過して本体130内部のフォトセンサ(不図示)で受光され、人体などの存在が検知されることになる。
本体130の右側面の下端手前側近傍には、孔123Rに適合する外径で短く円い軸131Rが突出するように形成されるとともに、本体130の左側面にも同様の短く円い軸(ただし、図10では直視できない位置にあるため不図示)が形成されている。さらに、本体130の右側面の上端手前側近傍には、複数の上下方向の短い溝133が互いに隣接するように形成されている。ここで、この溝133の長さは、設置ホルダー120の本体支持部121Rに形成されている突条125の長さとほぼ同じである。
本体130の正面には、各種設定を行うためのディップスイッチ135a、検知感度を調整するためのボリューム135b、検知エリアの範囲を調整するためのボリューム135cなどが配置されており、自動ドアセンサ100の設置作業時にこれらの適切な設定および調整を行う。
なお、実際にはドア制御信号などを出力するケーブルなどが本体130内部から引き出されているが、図示は省略している。
自動ドアセンサ100を設置する際は、まず、設置ホルダー120だけを壁面などにネジなどで固定する。
次に、本体130の軸131R先端を設置ホルダー120の本体支持部121Rの孔123Rに挿入するとともに、本体130の左側面に軸131Rと同様に形成されている軸の先端を設置ホルダー120の本体支持部121Lの孔123Lに挿入することで、本体130と設置ホルダー120とを連結する。ここで、設置ホルダー120の孔123Rと孔123Lとの間の距離d123と、本体130の軸131R先端と本体130の左側面に軸131Rと同様に形成されている軸の先端との間の距離d131とを比較すると、距離d131の方がわずかに長いため、そのままでは本体130と設置ホルダー120とを連結させることはできないようになっている。そこで、本体130と設置ホルダー120とを連結させるときには、設置ホルダー120の本体支持部121Rと本体支持部121Lとをそれぞれ外側に撓曲させるように強めの外力を加えて距離d123を一時的に広げる必要がある。
本体130と設置ホルダー120との連結が済んだ後は、外力を除くことで距離d123が元の長さに戻るので、本体130と設置ホルダー120との連結が不用意に外れることはない。
本体130と設置ホルダー120とが連結されると、設置ホルダー120の本体支持部121R内面側の突条125が本体130の右側面の複数の溝133のいずれかと咬合しており、本体130はそのときの姿勢のままで保持される。
本体130に対してその姿勢を変えるような外力を加えていくと、設置ホルダー120の本体支持部121R内面側の突条125は断面略三角形状に形成されているので、本体支持部121Rが外側に逃げるようにわずかに撓曲する。すると、突条125と溝133のいずれかとの咬合が外れ、本体130の姿勢が変化する。そして、突条125がそれまで咬合していた溝133のいずれかの隣の位置まで達すると、本体支持部121Rの撓曲が元に戻り、突条125が再び溝133と咬合する。このように、本体130に対して外力を加えることで、軸131Rを中心とする本体130の段階的な揺動とその姿勢での保持が容易に行えるようになっており、これにより検知エリアの形成方向を段階的に調節することができる。なお、本体130の姿勢が大きく変わると、本体130の背面の上部あるいは下部のいずれかが設置ホルダー120に当接するので、軸131Rを中心とする本体130の揺動範囲は所定角度範囲内に制限されることになる。
また、必要に応じて、本体130の正面に配置されているディップスイッチ135aの設定変更や、ボリューム135bおよびボリューム135cの調整なども行う。
最後に、本体130および設置ホルダー120の全体を化粧カバー110で覆うことで設置作業は完了する。
特開2003−194961号公報
しかしながら、上述の特許文献1に記載の従来技術では、回転用部材(3)に保持された人体感知センサー(4)を先にカバー体(2)の内側に取り付けた後に壁面などに固定する必要がある。検知エリアの形成方向を調整するには、壁面などから一旦取り外した後、カバー体(2)内での回転用部材(3)および人体感知センサー(4)の姿勢を変えてから、再び壁面などに固定するなどの作業を繰り返す必要があり、非常に面倒であって所要時間も長くなり得る。
自動ドアセンサの本体内部に可変する光学部を配置することにより検知エリアの方向の変更を実現しているものでは、検知エリアの形成方向の調整は化粧カバーを外したままでも可能であり、調整作業自体は容易である。ところが、本体内部に可変する光学部を配置するため、余分な空間を確保する必要が生じる。そのためには、レンズ面などを小さくする必要性などがあり、受光量が小さくなるので受光回路のS/N比が悪化する。また、S/N比を維持しようとする場合には、小型化が困難となる。
また、図8〜図10を参照して説明したような従来技術では、本体内部に可変する光学部を配置したりする必要はないため、受光回路のS/N比の悪化や小型化が困難となるような問題は生じない。しかし、検知エリアの調整作業完了後に化粧カバーを取り付けても、この化粧カバーが可撓性を有する樹脂製であるため、外部からの力を加えることで撓曲することがあり得る。このときに、自動ドアセンサの本体へも外力が伝わると、自動ドアセンサの本体の姿勢が不用意に変わってしまうことがあり、それによって調整済みの検知エリアの方向なども変化してしまう。変化してしまった検知エリアの方向は再調整をしない限り元には戻らないので、人体の確実な検知ができなくなるおそれがある。
従来技術のこのような課題に鑑み、本発明の目的は、簡単な構成によって、検知エリアの方向の調整作業が容易でありながら調整作業完了後は検知エリアの方向などが不用意に変化することがなく、受光回路のS/N比の悪化などの問題も生じさせず、小型化も図ることが可能な自動ドアセンサを提供することである。
上記目的を達成するため、本発明の自動ドアセンサは、検知エリアを形成するセンサ本体と、このセンサ本体を支持する本体支持部を有するホルダーと、前記本体支持部によって支持される前記センサ本体の姿勢を変更可能に保持する姿勢保持機構と、前記センサ本体を外側から覆うとともに、前記センサ本体を外側から覆ったときに前記センサ本体の姿勢を変更不能に規制する規制手段を有するカバーとを備えることを特徴とする。
ここで、前記自動ドアセンサが人体などを検知する方式としては、例えば、能動型赤外線方式や受動型赤外線方式などが挙げられるが、これらの方式に限るものではない。前記姿勢保持機構の構成としては、例えば、前記本体支持部の材質を可撓性を有する樹脂などにしておき、外力が加えられることによって前記本体支持部が所定方向に所定量以上撓曲した場合のみ、前記姿勢保持機構における前記センサ本体の姿勢変更が可能になるようにしてもよい。あるいは、金属バネなどのたわみを利用するようにしてもよい。前記規制手段の構成としては、例えば、前記本体支持部の前記所定方向への撓曲を規制するようにしてもよい。具体的には、例えば、前記カバー内面にリブ形状の部位を設けて、前記カバーが前記センサ本体を外側から覆ったときに、このリブ形状の部位が前記本体支持部に前記所定方向側から当接させるようにしてもよい。
この発明の自動ドアセンサによれば、前記カバーを取り外した状態では前記センサ本体の姿勢が変更可能であり、調整作業が完了して前記カバーで前記センサ本体を覆うと、前記カバーが有する前記規制手段によって前記センサ本体の姿勢が変更不能に規制される。これにより、設置時などの検知エリアの方向の調整作業が容易でありながら、調整作業完了後は検知エリアの方向などが不用意に変化することを防止できる。また、前記センサ本体内部に可変する光学部を配置したりする必要はないため、受光回路のS/N比の悪化や小型化が困難となるような問題も生じない。
また、本発明の自動ドアセンサにおいて、前記姿勢保持機構として、前記センサ本体および前記本体支持部のいずれか一方に係合部が設けられるとともに他方には複数の被係合部が設けられており、外力が加えられていない場合は、前記係合部が前記被係合部のいずれかと係合することによって前記姿勢保持機構における前記センサ本体の姿勢が保持されるとともに、外力が加えられることによって前記本体支持部が前記所定方向に前記所定量以上撓曲した場合のみ、前記係合部と前記被係合部との係合が外れることを特徴としてもよい。
この場合は、例えば、前記係合部として突条を設けるとともに前記複数の被係合部として複数の溝を設けてもよい。具体的には、例えば、前記本体支持部の方に突条を設け、前記センサ本体の方に複数の溝を設けるようにしてもよい。
この発明の自動ドアセンサによれば、外力を加えて前記本体支持部を前記所定方向に前記所定量以上撓曲させることにより、前記係合部と前記被係合部との係合が外れるので前記センサ本体の姿勢を変更することが可能になる。外力を加えるのを止めると前記本体支持部の撓曲が元に戻るので、前記係合部が前記被係合部のいずれかと再び係合して前記センサ本体の姿勢が保持される。これにより、前記センサ本体の姿勢を正確かつ段階的に調整することが容易となる。
また、本発明の自動ドアセンサにおいて、外力が加えられていない場合は、前記センサ本体と前記本体支持部との間の摩擦力によって前記姿勢保持機構における前記センサ本体の姿勢が保持されるとともに、外力が加えられることによって前記本体支持部が前記所定方向に撓曲して前記摩擦力が減じることで、前記姿勢保持機構における前記センサ本体の姿勢変更が可能となることを特徴としてもよい。
この場合は、前記センサ本体と前記本体支持部との摩擦力が強くなるように、前記センサ本体および前記本体支持部のそれぞれの接触部位の形状や材質を選択することが好ましい。
この発明の自動ドアセンサによれば、外力を加えて前記本体支持部を前記所定方向に撓曲させることにより、前記センサ本体と前記本体支持部との間の摩擦力が減じることで、前記姿勢保持機構における前記センサ本体の姿勢変更が可能となる。外力を加えるのを止めると前記本体支持部の撓曲が元に戻るので、前記摩擦力が復元して前記センサ本体の姿勢がそのときのまま保持される。これにより、前記センサ本体の姿勢を連続的にきめ細かく調整することが容易となる。
本発明の自動ドアセンサによれば、前記カバーを取り外した状態では前記センサ本体の姿勢が変更可能であり、調整作業が完了して前記カバーで前記センサ本体を覆うと、前記カバーが有する前記規制手段によって前記センサ本体の姿勢が変更不能に規制される。これにより、設置時などの検知エリアの方向の調整作業が容易でありながら、調整作業完了後は検知エリアの方向などが不用意に変化することを防止できる。また、前記センサ本体内部に可変する光学部を配置したりする必要はないため、受光回路のS/N比の悪化や小型化が困難となるような問題も生じない。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<自動ドアセンサ1の各部構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る自動ドアセンサ1の外観図である。図2は、この自動ドアセンサ1の化粧カバー10を背面側から見た外観図である。図3は、この化粧カバー10の背面図である。図4は、この自動ドアセンサ1の設置ホルダー20の外観図である。図5は、この自動ドアセンサ1の本体30の外観図である。なお、以下の説明において左右を示す場合には、自動ドアセンサ1の正面から見たときを基準として用いる。したがって、背面側から見た図2および図3では、左右の意味は見かけとは逆になるので注意されたい。
この自動ドアセンサ1は、AIR方式によって人体を検知する本体30と、この本体30を壁面などに取り付けるとともに検知エリアの形成方向の角度調整を可能とする設置ホルダー20と、これらを外側から覆う化粧カバー10とを備えている。なお、人体を検知する方式としては、AIR方式に限るものではない。例えば、PIR方式であってもよい。
自動ドアセンサ1は、図1に示すように、全体としては丸みを帯びた横長箱形状で可撓性を有する樹脂製の化粧カバー10で覆われている。この化粧カバー10は背面側全体が開口しており、さらに底面11Bには、本体30の赤外線投受光窓34(後述)を外部に露出させるための矩形状の底面開口部12が形成されている。
また、図2および図3に示すように、この化粧カバー10の右側面11Rの内面の外周端近傍には、上下2ヶ所に補強リブ13Rが形成されている。同様に、化粧カバー10の左側面11Lの内面の外周端近傍にも、上下2ヶ所に補強リブ13Lが形成されている。この他に、化粧カバー10の右側面11Rの内面にリブ14Rが形成されるとともに、化粧カバー10の左側面11Lの内面にリブ14Lが形成されているが、これらについては図7を参照して後述する。
設置ホルダー20も化粧カバー10と同様に可撓性を有する樹脂製であり、図4に示すように、横長矩形状でその周囲の上側および下側に幅の狭い枠26Tおよび枠26Bがそれぞれ形成されている。設置ホルダー20の右側には、設置ホルダー20の右端からやや内寄りに枠26Tの右端と枠26Bのとに連続するように、より幅の広い板状の本体支持部21Rが形成されている。さらに、この本体支持部121Rの下端手前側近傍に円い孔23Rが形成され、本体支持部21Rの上端手前側近傍の内面には、断面略三角形状の短い突条25が形成され、本体支持部21Rの突条25と孔23Rの中間付近には、上側がやや広い扇型の孔24が形成されている。本体支持部21Rの外面奥側の下方には、本体支持部21Rの外側方向への撓曲を抑制する三角板状の補強リブ22Rが形成されている。
また、この本体支持部21Rに対向するように、設置ホルダー20の左端からやや内寄りに、本体支持部121Rと幅が同じで高さが小さい矩形状の本体支持部21Lが形成されている。この本体支持部21Lの下端手前側近傍であって孔23Rとちょうど対向する位置には、孔23Rと同じ大きさの円い孔23Lが形成されている。本体支持部21Lの外面奥側の下方には、補強リブ22Rと同様に、本体支持部21Lの外側方向への撓曲を抑制する三角板状の補強リブ(不図示)が形成されている。
なお、この設置ホルダー20は、例えば、不図示のネジ孔などを利用してその背面側を壁面などにネジ止め固定することが可能である。ネジ孔の形状を工夫することによって壁面などへの脱着を容易とするような構造としてもよい。
自動ドアセンサ1の本体30は、図5に示すように、横長箱形状で左側手前全体および右側手前の下部は大きく角が取られるように形成されており、底面は手前側の位置がやや高くなるように湾曲している。この底面には、ほぼ全体に亘って赤外線投受光窓34が配置されている。この本体30内部の赤外発光ダイオード(不図示)から投光された近赤外線は、この赤外線投受光窓34を透過して外部に照射される。そして、その近赤外線が人体などで反射されると、その反射光が再びこの赤外線投受光窓34を透過して本体30内部のフォトセンサ(不図示)で受光され、人体などの存在が検知されることになる。
本体30の右側面の下端手前側近傍には、孔23Rに適合する外径の円い軸31Rが突出するように形成されるとともに、本体30の左側面にも同様の円い軸31Lが形成されている。本体30の右側面の上端手前側近傍には、複数の上下方向の短い溝33が互いに隣接するように形成されている。ここで、この溝33の長さは、設置ホルダー20の本体支持部21Rに形成されている突条25の長さとほぼ同じである。さらに、この溝33の下方には、設置ホルダー20の孔24の高さに適合する長さの突条32が上下方向に形成されている。
本体30の正面には、各種設定を行うためのディップスイッチ35a、検知感度を複数段階に切り替えるためのスイッチ35b、検知エリアの範囲を調整するためのボリューム35cなどが配置されており、自動ドアセンサ1の設置作業時にこれらの適切な設定および調整を行う。
なお、実際にはドア制御信号などを出力するケーブルなどが本体30内部から引き出されているが、図示は省略している。
<自動ドアセンサ1の設置作業の手順>
自動ドアセンサ1を設置する際は、まず、設置ホルダー20だけを壁面などにネジなどで固定する。
次に、本体30の軸31R先端および突条32を設置ホルダー20の本体支持部21Rの孔23Rおよび孔24にそれぞれ挿入するとともに、本体30の軸31Lの先端を設置ホルダー20の本体支持部21Lの孔23Lに挿入することで、本体30と設置ホルダー20とを連結する。ここで、設置ホルダー20の孔23Rと孔23Lとの間の距離d23と、本体30の軸31R先端と軸31L先端との間の距離d31とを比較すると、距離d31の方がわずかに長いため、そのままでは本体30と設置ホルダー20とを連結させることはできないようになっている。そこで、本体30と設置ホルダー20とを連結させるときには、設置ホルダー20の本体支持部21Rと本体支持部21Lとをそれぞれ外側に撓曲させるように強めの外力を加えて距離d23を一時的に広げる必要がある。
本体30と設置ホルダー20との連結が済んだ後は、外力を除くことで距離d23が元の長さに戻るので、本体30と設置ホルダー20との連結が不用意に外れることはない。なお、軸31R先端および軸31L先端にそれぞれネジ穴を形成し、本体30と設置ホルダー20との連結後に、孔23Rおよび孔23Lより大きなワッシャーを挟むようにしてネジ固定すれば、連結が外れることを確実に防止できる。
図6は、本体30と設置ホルダー20とが連結されたときの本体支持部21Rおよびその周辺の部分拡大図であり、(a)および(b)はそれぞれ少し異なる方向から見たものである。
本体30と設置ホルダー20とが連結されると、図6(a)および(b)に示すように、設置ホルダー20の本体支持部21R内面側の突条25が本体30の右側面の複数の溝33のいずれかと咬合しており、本体30はそのときの姿勢のままで保持される。
本体30に対してその姿勢を変えるような外力を加えていくと、設置ホルダー20の本体支持部21R内面側の突条25は断面略三角形状に形成されているので、本体支持部21Rが外側に逃げるようにわずかに撓曲する。すると、突条25と溝33のいずれかとの咬合が外れ、本体30の姿勢が変化する。そして、突条25がそれまで咬合していた溝33のいずれかの隣の位置まで達すると、本体支持部21Rの撓曲が元に戻り、突条25が再び溝33と咬合する。このように、本体30に対して外力を加えることで、軸31Rおよび軸31Lを中心とする本体30の段階的な揺動とその姿勢での保持が容易に行えるようになっており、これにより検知エリアの形成方向を段階的に調節することができる。なお、本体130の姿勢が大きく変わると、本体30の突条32の左右いずれかの側面が設置ホルダー20の孔24の左右いずれかの内側面に当接するので、軸31Rおよび軸31Lを中心とする本体30の揺動範囲は所定角度範囲内に制限されることになる。また、孔24の中の突条32の位置によって調節角度を表示する目盛りも兼ねるようにしてもよい。
また、必要に応じて、本体30の正面に配置されているディップスイッチ35aの設定変更、スイッチ35bの切り替え、およびボリューム35cの調整なども行う。
最後に、本体30および設置ホルダー20の全体を化粧カバー10で覆うことで設置作業は完了する。
図7は、本体30および設置ホルダー20の全体を化粧カバー10で覆ったときの内部の状況を説明するために、自動ドアセンサ1の一部を切り開いて右下方から見た部分拡大図である。
図7に示すように、本体30および設置ホルダー20の全体を化粧カバー10で覆ったとき、化粧カバー10の右側面11Rの内面に形成されているリブ14R(図2および図3も併せて参照)の端面は、設置ホルダー20の本体支持部21Rの外面上方(図7では奥側に相当)に当接している。同様に、化粧カバー10の左側面11Lの内面に形成されているリブ14L(図3も併せて参照)の端面も、設置ホルダー20の本体支持部21Lの外面上方に当接している。そのため、設置ホルダー20の本体支持部21Rおよび本体支持部21Lは、リブ14Rおよびリブ14Lによっていずれも撓曲可能な方向が規制される。すなわち、本体支持部21Rおよび本体支持部21Lは外側への撓曲がリブ14Rおよびリブ14Lによって阻止される。したがって、本体30に対してその姿勢を変えるような外力を加えても、突条25と溝33のいずれかとの咬合が外れることはなく、本体30のそのままの姿勢が確実に保持される。
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明の一実施形態に係る自動ドアセンサの外観図である。
図1の自動ドアセンサの化粧カバーを背面側から見た外観図である。
図1の自動ドアセンサの化粧カバーの背面図である。
図1の自動ドアセンサの設置ホルダーの外観図である。
図1の自動ドアセンサの本体の外観図である。
図1の自動ドアセンサの本体と設置ホルダーとが連結されたときの本体支持部およびその周辺の部分拡大図であり、(a)および(b)はそれぞれ少し異なる方向から見たものである。
図1の自動ドアセンサの本体および設置ホルダーの全体を化粧カバーで覆ったときの内部の状況を説明するために、自動ドアセンサの一部を切り開いて右下方から見た部分拡大図である。
従来技術の一例の自動ドアセンサの外観図である。
図8の自動ドアセンサの設置ホルダーの外観図である。
図8の自動ドアセンサの本体の外観図である。
符号の説明
1 自動ドアセンサ
10 化粧カバー
12 底面開口部
13R 補強リブ(右側)
13L 補強リブ(左側)
14R リブ(右側)
14L リブ(左側)
20 設置ホルダー
21R 本体支持部
21L 本体支持部
22R 補強リブ(右側)
23R 孔(右側)
23L 孔(左側)
24 孔
25 突条
26T 枠(上側)
26B 枠(下側)
30 センサ本体
31R 軸
31L 軸
32 突条
33 溝
34 赤外線投受光窓
35a 各種設定用ディップスイッチ
35b 検知感度切替スイッチ
35c 検知エリア範囲調整用ボリューム