JP2006111003A - 熱可塑性樹脂発泡シート - Google Patents

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Abstract

【課題】
緩衝性に優れる熱可塑性樹脂発泡シートを提供する。
【解決手段】
厚み方向断面において観察される柱状樹脂部が、下記要件(1)および(2)を満たす熱可塑性樹脂発泡シート。
(1)発泡シート厚み中心線と交差する柱状樹脂部の数密度が1〜20本/mm
(2)発泡シート厚み中心線と交差する柱状樹脂部の平均厚みが10〜500μm
【選択図】 図1

Description

本発明は熱可塑性樹脂発泡シートに関する。
熱可塑性樹脂発泡シートは、軽量性、リサイクル性、断熱性などに優れることから、自動車部品材料、建築材料、包装材料等、種々の用途に用いられている。とりわけ自動車内装材や建築材料として発泡シートを用いる場合には、クッション感、すなわち緩衝性が求められる。緩衝性に優れる熱可塑性樹脂発泡シートとして、気泡が厚み方向に圧縮された、すなわち発泡体厚み方向の気泡径が発泡シート幅方向および長手方向の気泡径よりも小さい気泡径を有するプロピレン系樹脂発泡体シートが知られている(特許文献1参照)。
特開平08−231745号公報
しかしながら前記のように厚み方向に圧縮された形状の気泡を有する発泡シートであっても、例えば自動車内装材のような用途に用いるには緩衝性が不十分であった。
本発明は、緩衝性に優れる熱可塑性樹脂発泡シートを提供する。
本発明は、厚み方向断面において観察される柱状樹脂部が、下記要件(1)および(2)を満たす熱可塑性樹脂発泡シートである。
(1)発泡シート厚み中心線と交差する柱状樹脂部の数密度が1〜20本/mm
(2)発泡シート厚み中心線と交差する柱状樹脂部の平均厚みが10〜500μm
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、緩衝性に優れるものである。
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、該発泡シートの厚み方向断面において、発泡シート厚み中心線と交差する柱状樹脂部の数密度が1〜20本/mmである。前記柱状樹脂部の数密度は、以下のとおりに定義される。
熱可塑性樹脂発泡シートをMD方向(発泡シート製造時の押出し方向)に沿ってシート厚み方向に切断し、MD方向の長さが5mm以上、シート厚み方向の全体が確認でき、かつ、断面構造が確認できる断面写真を撮影する。この断面写真において、発泡シート厚み中心線を引く。ここで発泡シート厚み中心線とは、発泡シートの厚み方向の中心を結ぶ線である。該断面写真において観察される、発泡シート厚み中心線と交差する全ての柱状樹脂部の数を数え、その結果から発泡シート厚み中心線の単位長さあたりの柱状樹脂部の数を算出する。これと同様の測定を、5cm以上離れた3箇所以上で行う。一方、上記と同じ熱可塑性樹脂発泡シートをTD方向(発泡シートのMD方向に垂直な、押出しの幅方向)に沿ってシート厚み方向に切断し、その断面に関して上記と同様の測定を5cm以上離れた3箇所以上で行う。このようにして得られた発泡シート厚み中心線の単位長さあたりの柱状樹脂部の数の6個以上のデータの平均値を、該熱可塑性樹脂発泡シートの柱状樹脂部の数密度と定義する。
さらに本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、発泡シート厚み中心線と交差する柱状樹脂部の平均厚みが10〜500μmである。柱状樹脂部の数密度を求めるときと同様の発泡シート断面写真において、厚み中心線と交差する全ての柱状樹脂部の厚さを測定する。MD方向断面について3ヶ所以上、TD方向断面について3ヶ所以上測定し、全ての柱状樹脂部の厚さを平均した値を、該熱可塑性樹脂発泡シートの柱状樹脂部の平均厚みと定義する。
厚み方向断面において観察される柱状樹脂部について、発泡シート厚み中心線と交差する柱状樹脂部の数密度が1〜20本/mmであり、かつ発泡シート厚み中心線と交差する柱状樹脂部の平均厚みが10〜500μmである本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、緩衝性に優れる発泡シートである。
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、図1に示すように、発泡シート表面近傍には球状または回転楕円状の気泡が存在し、発泡シート中心部は柱状樹脂部によって支えられている構造であることが好ましい。シートのMD方向に沿った厚み方向の断面において観察される気泡部のうち、厚み方向の最大長さに対するMD方向の最大長さの比が1以上である気泡部と、シートのTD方向に沿った厚み方向の断面において観察される気泡部のうち、厚み方向の最大長さに対するTD方向の最大長さの比が1以上である気泡部の、シートの厚み方向の最大長さの平均値が10μm〜500μmの範囲にあることが好ましい。このような本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、緩衝性と曲げ剛性に優れるものである。
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、発泡倍率が5〜40倍、厚みが2〜50mm、独立気泡率が0〜30%であることが緩衝性と曲げ剛性の観点からより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートを構成する樹脂としては、公知の樹脂を挙げることができ、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等の炭素原子数が6以下のオレフィンホモポリマー、あるいは炭素原子数が2〜10のオレフィンから選択される2種類以上のモノマーを共重合させたオレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エステル系樹脂、アミド系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、アイオノマー樹脂などがあげられる。これらの樹脂は単独で使用してもよいし複数の樹脂のブレンド物として用いることもできる。これらの樹脂の中でも、成形性、耐油性、コストなどの観点からオレフィン系樹脂が好ましく用いられ、得られる発泡シートの剛性、耐熱性などの観点からプロピレン系樹脂が特に好ましく用いられる。
プロピレン系樹脂としては、プロピレンホモポリマーや、プロピレン由来のモノマー単位を50モル%以上含むプロピレン系共重合体をあげることができる。共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。好ましく用いられるプロピレン系共重合体の例としては、エチレンまたは炭素原子数4〜10のα−オレフィンとプロピレンとの共重合体を挙げることができる。炭素原子数4〜10のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセンおよび1−オクテンが挙げられる。プロピレン系共重合体中のプロピレン以外のモノマー単位の含有量は、エチレンについては15モル%以下、炭素原子数4〜10のα−オレフィンについては30モル%以下であることが好ましい。プロピレン系樹脂は1種類でもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
またプロピレン系樹脂の中でも、長鎖分岐プロピレン系樹脂や重量平均分子量が1×105以上の高分子量プロピレン系樹脂を、発泡層を構成する熱可塑性樹脂の50重量%以上用いることにより、より微細な気泡を有するプロピレン系樹脂発泡シートを得ることができる。
ここで長鎖分岐プロピレン系樹脂とは、分岐度指数[A]が0.20≦[A]≦0.98を満たすプロピレン系樹脂を指す。
分岐度指数[A]が0.20≦[A]≦0.98を満たす長鎖分岐プロピレン系樹脂の例としては、バゼル社製のプロピレンPF−814が挙げられる。
分岐度指数とは、重合体における長鎖分岐の程度を示すものであり、下記の式において定義される数値である。
分岐度指数 [A] =〔η〕Br/〔η〕Lin
ここで〔η〕Brは、長鎖分岐を有するプロピレン系樹脂の固有粘度であり、〔η〕Linは、該長鎖分岐を有するプロピレン系樹脂と同じモノマー単位および同じ重量平均分子量を有する、直鎖プロピレン系樹脂の固有粘度である。
固有粘度は極限粘度数とも呼ばれ、重合体の溶液粘度を増強する能力の尺度である。固有粘度は特にポリマー分子の分子量と、分岐度に依存する。したがって、長鎖分岐を有するポリマーの固有粘度と、該長鎖分岐を有するポリマーと同じ重量平均分子量の直鎖ポリマーの固有粘度とを比較することにより、該長鎖分岐を有するポリマーの分岐度の尺度とすることができる。プロピレン系樹脂の固有粘度の測定方法は、エリオット等[J.Appl.Polym.Sci.,14,2947−2963(1970)]により開示されているような従来知られている方法により測定することができ、例えば、プロピレン系樹脂をテトラリン又はオルトジクロロベンゼンに溶解し、135℃で固有粘度を測定することが可能である。
プロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、通常用いられる種々の方法で測定できるが、M.L.McConnelによって、American Laboratory,May,63−75(1978)に発表されている方法、即ち、低角度レーザー光散乱強度測定法が特に好ましく用いられる。
重量平均分子量が1×105以上の高分子量プロピレン系樹脂を重合する方法の例としては、特開平11−228629号公報に記載されたように、まず高分子量成分を重合した後に続いて低分子量成分を重合する方法などがあげられる。
長鎖分岐プロピレン系樹脂または高分子量プロピレン系樹脂の中でも、融点よりも30℃高い温度付近において下記の条件で測定した一軸溶融伸張粘度比η5/η0.1が5以上であるプロピレン系樹脂が好ましく、より好ましくは10以上の樹脂である。一軸溶融伸張粘度比とは、伸張ひずみ速度1sec-1で、一軸伸張粘度測定装置(例としてレオメトリックス社製一軸伸張粘度測定装置などがあげられる)などの装置を用いて測定される値であり、歪み開始から0.1秒後の一軸溶融伸長粘度をη0.1とし、5秒後の一軸溶融伸張粘度をη5とする。
発泡シートを形成するために使用される発泡剤は、いわゆる化学発泡剤および物理発泡剤のいずれでもよく、これらを併用してもよい。上記化学発泡剤としては、例えば分解されて窒素ガスを発生する熱分解型発泡剤(アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)など)、分解されて炭酸ガスを発生する熱分解型無機発泡剤(炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなど)など公知の熱分解型発泡性化合物が挙げられる。物理発泡剤としては、具体的にはプロパン、ブタン、水、炭酸ガス等があげられる。上記例示の発泡剤のうち、シートが真空成形時の加熱において2次発泡による変形を生じにくいことや、高温条件や、火に対して不活性な物質であることから、水や炭酸ガス等が好適に用いられる。発泡剤の使用量は所望の発泡倍率が得られるように、用いる発泡剤や樹脂の種類に応じて適宜選択されるものであり、通常熱可塑性樹脂100重量に対して発泡剤0.5〜20重量部である。
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、充填剤(フィラー)、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、剥離剤、流動性付与剤、滑剤などがあげられる。上記充填剤の例としては、具体的にはガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維、タルク、クレー、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の無機粒子等があげられる。
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法としては、以下の方法を挙げることができる。
まず公知の方法、例えばフラットダイ(Tダイ)やサーキュラーダイを用いた押出発泡成形により原反となる熱可塑性樹脂発泡シートを製造する。得られた原反熱可塑性樹脂発泡シートを真空成形することにより、本発明の熱可塑性樹脂発泡シートを得ることができる。
原反熱可塑性樹脂発泡シートとしては、発泡倍率が2〜5倍、厚みが0.8〜10mm、独立気泡率が30〜60%のものが好ましく用いられる。また、以下の方法で本発明の熱可塑性樹脂発泡シートを製造する場合、短時間で冷却固化されて形状を維持できることから、原反熱可塑性樹脂発泡シートがプロピレン系樹脂からなることが好ましい。
前記真空成形は、それぞれの成形型の成形面より真空吸引可能な一対の成形型を有する成形装置を用いた、以下の工程を含む真空成形方法により行うことができる。
(1)熱可塑性樹脂発泡シートを加熱して軟化させる工程
(2)前記両成形型間に、工程(1)で軟化された熱可塑性樹脂発泡シートを供給する工程
(3)前記軟化された熱可塑性樹脂発泡シートを前記成形型間で保持しつつ、両成形型の成形面外縁部間のクリアランスが、該シートの厚み以下の所定の値になるまで両成形型を閉じる工程
(4)両成形型の成形面外縁部間のクリアランスが、前記軟化された熱可塑性樹脂発泡シートの厚みに達した後、かつ前記工程(3)に定義された所定の値に達するまでの任意の時点において、または、両成形型の成形面外縁部間のクリアランスが前記工程(3)に定義された所定の値にある状態で、両方の成形型の成形面より真空吸引を開始する工程
(5)真空吸引を継続しながら、前記シートを成形型の成形面で形成される形状に賦形する工程
(6)真空吸引を停止して成形型を開き、成形品を取り出す工程
このようにして得られる成形品が、本発明の熱可塑性樹脂発泡シートである。
以下、前記の真空成形方法を図2に基づき詳細に説明する。
成形型としては、それぞれの成形型の成形面より真空吸引可能な一対の成形型を用いる。使用する成形型としては、一方が雄型、他方が雌型の成形型や、雌型同士の成形型、一対の板状の成形型などが例示できる。
成形型の成形面より真空吸引可能な成形型としては、その成形面の少なくとも一部が焼結合金から構成される型や、成形面の少なくとも一部に孔が設けられた型などが例示される。成形型に設けられる前記孔の数や位置、孔径は特に限定されるものではなく、該孔を通じて真空吸引することにより、成形型間に供給された原反熱可塑性樹脂発泡シートを成形型成形面状に賦形することができるものであればよい。
成形型の材質は特に限定されるものではないが、通常寸法安定性、耐久性、熱伝導性などの観点から金属製であり、コストや軽量性などの面からアルミ製であることが好ましい。
また成形型は、ヒーターや熱媒などにより温度調整可能な構造であることが好ましい。発泡シートとの滑り性を高める観点や、成形完了前に発泡シートが冷却されてしまうことを防止する観点から、成形型の成形面を30〜80℃とすることが好ましく、50〜60℃とすることがさらに好ましい。
少なくとも一方の成形型は、気密性保持機能を有する成形型であることが好ましい。このような成形型を用いた場合、真空吸引した際にキャビティ内の真空度を維持しやすくなり、きわめてひけの小さい成形品を得ることができる。
気密性保持機能を有する成形型としては、例えば成形型の成形面外縁部が、対向する成形型方向に可動である成形型が挙げられる。このような成形型の場合、型閉め時は該可動部の表面が成形面外縁部と同じレベルとなるよう、可動部が成形型に収納可能である構造が好ましい。このような成形型は、型を開くに従い可動部が突出するように構成されるため、この成形型を用いると後述する型開き工程においてキャビティ内の真空度を維持しやすくなる。
気密性保持機能を有する成形型の他の例としては、図3に示すような、成形型の成形面の外縁部に緩衝材を有する成形型が挙げられる。通常発泡シートは、表面に微小な凹凸を有している。緩衝材を有する成形型の場合には、型閉めにより緩衝材が微小な凹凸のある発泡シート表面と密着するため、真空吸引した場合にキャビティ内の真空度を維持しやすい。緩衝材としては、ゴムや発泡体等が挙げられる。
図4に示すような、型閉めしたときに一方の成形型の外周に設けられた気密性保持部によって、他方の成形型が覆われるような構成の一対の成形型を用いることもできる。
成形型は、その成形面および/または成形面の外縁部には、原反発泡シートを固定するための手段が設けられていてもよい。かかる手段としては、例えば、粘着材や、ピン、フック、クリップ、スリットなどが挙げられる。このような固定手段を有する成形型を用いることにより、原反発泡シートを成形面状に賦形することが容易となる。
成形装置は、型閉めしたときに形成されるキャビティの高さが、工程(1)で軟化された発泡シート厚みの0.8〜2倍程度の成形型を用いることが好ましい。キャビティの高さとは、成形型間に供給した発泡シートの厚み方向に対応する成形面間の距離である。キャビティは、その高さがキャビティの全ての場所で一定である必要はなく、所望の成形品の形状に対応したキャビティであればよい。型締め完了時のキャビティの高さが低すぎると型閉め時に発泡シートの気泡をつぶしてしまうことがあり、高すぎると後述するように真空吸引しても成形型の成形面と発泡シート表面とを接触させて賦形することが困難となり、接触させた場合でも破泡が生じやすくなる。
図2−(1)は、原反熱可塑性樹脂発泡シートを加熱して軟化させる工程(1)を示している。工程(1)では、通常クランプ枠で発泡シートを挟み、遠赤外ヒーター、近赤外ヒーター、接触式熱板などの加熱装置で発泡シートを加熱する。短時間で効率的に加熱できることから、遠赤外ヒーターを用いることが好ましい。加熱処理は、発泡シートの表面温度が、発泡シートを構成する樹脂が結晶性樹脂であれば該樹脂の融点付近、非晶性樹脂であればガラス転移温度付近となるように加熱することが好ましい。
図2−(2)は、それぞれの成形型の成形面より真空吸引可能な一対の成形型間に、工程(1)で得られる原反熱可塑性樹脂発泡シートを供給した状態を示している。
図2−(3)は、軟化された原反熱可塑性樹脂発泡シートを成形型間で保持しつつ、成形面外縁部間のクリアランスが、該シートの厚み以下の所定の値となるまで両成形型を閉じた状態を示している。型閉めは、両成形型の対向した成形面が相対的に接近するように行われればよい。例えば、一方の成形型を固定し、他方の成形型を前記固定された成形型に向けて移動させることができる。また、両方の成形型が接近するように両方の成形型を移動させてもよい。
図2−(4)は、両方の成形型の成形面より真空吸引を行っている状態を示している。工程(4)において、真空吸引は、両成形型の成形面外縁部間のクリアランスが、前記軟化された原反熱可塑性樹脂発泡シートの厚みに達した後、かつ該シートの厚み以下の所定の値に達するまでの任意の時点において、または、両成形型の成形面外縁部間のクリアランスが前記工程(3)に定義された所定の値にある状態で真空吸引を開始する。真空吸引しながら前記所定の厚みまでさらに型を閉じてもよいし、クリアランスが前記所定の厚みになると同時、または前記所定の厚みとなったのちに真空吸引を開始してもよい。前記所定の厚みとなったのちに真空吸引を行う場合には、発泡シートが冷却される前、前記所定の厚みとなった時点から通常3秒以内に真空吸引を行うことが好ましい。
厚み中心線を挟んで対称な内部構造の成形品を得るためには、各成形型から真空吸引を開始するタイミングは同時であることが好ましいが、原反発泡シートが冷却されない時間内であれば時間差をつけることも可能である。一方の成形型から真空吸引を開始した後に他方の成形型から真空吸引を開始する場合には、開始時間の差が3秒以内であることが好ましい。
真空吸引の程度は特に限定されるものではないが、キャビティ内の真空度が−0.05MPa〜−0.1MPaになるように真空吸引することが好ましい。真空度とは、大気圧に対するキャビティ内の圧である。すなわち「真空度が−0.05MPa」とは、キャビティ内の圧力が大気圧よりも0.05MPaだけ低いことを示す。真空度が高いほど成形型に原反発泡シートが強く吸い付けられるため、原反発泡シートをキャビティ形状により近い形状に賦形することが可能になる。キャビティの真空度とは、真空吸引する孔のキャビティ側口で測定される値である。
図2−(5)は、成形面間の前記シ−トが所望の成形品厚みになるまで型開きして賦形した状態である。型開きは真空吸引を継続しながら行う。型開きの速度や型開き時の真空度は、発泡シ−トが所望の成形品形状に賦形されるように調整すればよい。
所定厚みまで型開きした状態で、発泡シートを十分冷却したのち、真空吸引を停止して成形型を開き、成形品、すなわち本発明の熱可塑性樹脂発泡シートを取り出す。図2−(6)は、成形品を取り出すため成形型(図示せず)を開いた状態を示している。
また本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、以下のような方法によっても製造することができる。すなわち、前記と同様の原反熱可塑性樹脂発泡シートを用いて、成形型の成形面より真空吸引可能な第1の成形型と、少なくとも成形面外縁部にシート固定部材を有する第2の成形型を有する成形装置を用いた、以下の工程を含む真空成形方法である。
(1)原反熱可塑性樹脂発泡シートを加熱して軟化させる工程
(2)第1の成形型と第2の成形型との間に、工程(1)で軟化された原反熱可塑性樹脂発泡シートを供給する工程
(3)前記軟化された原反熱可塑性樹脂発泡シートを成形型間で保持しつつ、両成形型の成形面の外縁部間のクリアランスが、該シートの厚み以下の所定の値となるまで両成形型を閉じ、第2の成形型の成形面全面と前記発泡シート表面の一方の表面とを接触させる工程
(4)工程(3)で第2の成形型の成形面全面と前記発泡シート表面とが接触した後に、第1の成形型の成形面より真空吸引を開始する工程
(5)真空吸引を継続しつつ、成形面間の前記シートが所望の成形品厚みになるまで型開きして賦形する工程
(6)真空吸引を停止して成形型を開き、成形品を取り出す工程
上記真空成形方法の概略図を図5に示した。成形型の成形面より真空吸引可能な第1の成形型(12)と、少なくとも成形面外縁部にシート固定部材(14)を有する第2の成形型(13)を有する成形装置を用いて、第1の成形型の成形面のみから真空吸引すること以外は、前記したそれぞれの成形型の成形面より真空吸引可能な一対の成形型を用いて両成形型から真空吸引して成形する方法とほぼ同様の方法によって、本発明の熱可塑性樹脂発泡シートを得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、発泡シート厚み中心線と交差する柱状樹脂部の数密度が1〜20本/mmであって、かつ発泡シート厚み中心線と交差する柱状樹脂部の平均厚みが10〜500μmである発泡層を少なくとも1層含んでおればよく、単層であっても多層であってもよい。多層シートの場合は、非発泡層を有していてもよく、前記条件を満たさない発泡層を有していてもよい。多層発泡シートの場合は、共押出しで製造してもよく、単層または多層の発泡シートとその他の材料(例えば、表皮材)とをドライラミネーション、サンドラミネーション、熱ロール貼合、熱風貼合などにより貼り合わせて製造してもよい。
発泡シートと積層する他の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマーなどの樹脂、ゴム、麻などの天然繊維、けい酸カルシウムなどの鉱物などがあり、その形態はフィルム、シート、不織布、織布などがあげられる。その他にも紙、プロピレン系樹脂やスチレン系樹脂などからなる合成紙、アルミニウムや鉄等の金属薄板や金属箔などを使用することができる。表皮材は単層でも多層でもよく、シボなどの凹凸模様や印刷や染色などが施されたものでもよい。本発明の熱可塑性樹脂発泡シートが自動車内装材である場合には、表皮材として熱可塑性樹脂製のシートや不織布、毛織物や麻などの天然繊維が好ましく用いられ、食品容器である場合には、エチレン-ビニルアルコール共重合体からなる層を有する単層または多層のガスバリア性フィルムやCPPフィルムなどが広く使用される。
真空成形法により本発明の熱可塑性樹脂発泡シートを製造する場合に、軟化された発泡シートを成形型間に供給する前に、一方あるいは両方の成形型の成形面に表皮材を載置して成形することによって、本発明の発泡シートの片面又は両面に表皮材が貼合された多層製品を得ることができる。この方法に適用可能な表皮材としては、該表皮材を通して真空吸引を行うことにより発泡シートを成形面状に賦形可能なものであれば、その材料や厚みは特に限定されるものではなく、前記したような表皮材を用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートは、食品容器などの包装材料や、自動車内装材、建築材料、家電製品などに使用することができる。自動車内装材の例としてはドアトリム、天井、トランクサイドなどが挙げられる。緩衝性に優れることから、とりわけドアトリムのような自動車内装材として好ましく用いられる。
また本発明の熱可塑性樹脂発泡シートの片面に穴をあけて吸音性能を付与し、これを、前記穴をあけた面を吸音したい側に向けて設置して自動車内装材料、建築材料として使用することもできる。例えば本発明の熱可塑性樹脂発泡シート表面に直径0.1mm〜5mm程度の穴を5mm〜50mm間隔で開けることで共鳴周波数が100〜5000Hz付近の音を吸収することができる。吸収する音の共鳴周波数はあける穴の大きさと間隔により調整することができる。本発明の熱可塑性樹脂発泡シートを自動車内装材として使用する場合には、1mm〜1.5mmの穴を30mm間隔で開けることにより1000〜2000Hz付近にピークを有する吸音特性を付与することができるため、車内の声や騒音を吸収し静寂感を持たせることができる。本発明の熱可塑性樹脂発泡シートを吸音材として使用する場合には、吸音率を高める観点からは厚みが厚く、独立気泡率が低いことが好ましく、広い領域の共鳴周波数を吸収するためには発泡シート中心部の柱状樹脂部で隔てられた空隙部分の形状がばらついていることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートを前記したような用途に用いる場合は、真空成形により得られた板状の熱可塑性樹脂発泡シートをさらに二次加工して所望の形状に賦形してもよいし、真空成形時に所定の形状に賦形してもよい。
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
以下に示す方法により、発泡層の両面に非発泡層が積層された、二種三層の原反熱可塑性樹脂発泡シートを作製した。
(発泡層用材料)
特開平11−228629号公報に開示された方法により得た、下記の物性を有するプロピレン系重合体粉末100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、フェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010、チバスペシャルティケミカルズ社製)0.05重量部、フェノール系酸化防止剤(商品名:スミライザーBHT、住友化学工業(株)製)0.2重量部を加えて混合し、230℃で溶融混練して、プロピレン系重合体ペレット(i)を得た。プロピレン系重合体ペレット(i)のJIS K6758で測定されるメルトフローレート(MFR)は12g/10min(230℃ 2.16kgf)であった。該プロピレン系重合体ペレット(i)を発泡層用材料とした。
プロピレン系重合体の物性
成分(A)(特開平11−228629に開示された方法で得られたプロピレン系重合体に含まれる2成分のうちの高分子量成分)の極限粘度([η]A)=8dl/g、成分(A)中のエチレン由来の構成単位含量(C2inA)=0%、成分(B)の極限粘度([η]B)=1.2dl/g、成分(B)(特開平11−228629に開示された方法で得られたプロピレン系重合体に含まれる2成分のうちの低分子量成分)中のエチレン由来の構成単位含量(C2inB)=0%。レオメトリックス社製一軸伸張粘度測定装置を用いて測定した180℃、0.1sec-1におけるη5=71000Pa・s、η0.1=2400Pa・s。
(非発泡層用材料)
ポリプロピレン(ii)(住友化学工業(株)製ホモポリプロピレン FS2011DG2 MFR 2.5g/10min(230℃ 2.16kgf))、ポリプロピレン(iii)(バゼル社製長鎖分岐型ホモポリプロピレン PF814 MFR 3g/10min(230℃ 2.16kgf))、ポリプロピレン(iv)(住友化学工業(株)製プロピレン−エチレンランダム共重合体 W151 エチレン由来の構成単位含量4.5重量% MFR 8g/10min(230℃ 2.16kgf))、タルクマスターバッチ(v)(住友化学工業(株)製ブロックポリプロピレンベースタルクマスターバッチ MF110 タルク含有量70wt%)、チタンマスターバッチ(vi)(東京インキ(株)製チタンマスターバッチ PPM2924 チタン含有量60wt% ランダムポリプロピレンベース MFR 30g/10min(230℃ 2.16kgf))を、(ii)/(iii)/(iv)/(v)/(vi)=12/30/15/43/5の重量比でドライブレンドし、非発泡層用材料とした。
(原反熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法)
前記発泡層用材料、非発泡層用材料を使用し、図6および図7に示すような、発泡層押出用の50mmφ2軸押出機(16)と、非発泡層押出用の32mmφ単軸押出機(17)、に90mmφサーキュラーダイ(18)を取り付けた装置(15)により押出成形を行い、以下のようにして原反熱可塑性樹脂製発泡シートを得た。
発泡層用材料100重量部に対して核剤(三協化成製MB1023)0.1重量部をブレンドした原料を50mmφ2軸押出機(16)のホッパーに投入し、180℃に加熱したシリンダー内で混練した。
50mmφ2軸押出機(16)中で、発泡層用材料と核剤とが十分に溶融混練されて相溶し、核剤が熱により分解発泡した時点で、液化炭酸ガスボンベに接続したポンプ(19)より物理発泡剤として炭酸ガス1.3重量部を注入した。炭酸ガス注入後、さらに混練して炭酸ガスを含浸させた後、これらをサーキュラーダイ(18)に供給した。非発泡層用材料は32mmφ単軸押出機(17)により溶融混練してサーキュラーダイ(18)に供給した。
発泡層用材料は50mmφ2軸押出機のヘッド(21)よりサーキュラーダイ(18)の内部に導入され、流路(23a)によりダイ出口方向に送られ、その途中でパスPを通過して分岐され流路(23b)にも送られた。
非発泡層用材料は32mmφ単軸押出機(17)のヘッド(8)よりダイ内部に導入され、流路(24a)と(24b)に分割された後、流路(23a)の両面に積層するように供給されながらダイ出口方向に送られ、(25a)において積層化された。流路(24a)と(24b)に供給された非発泡層用材料は、その途中でパスPに類似した分割流路(図示せず)により分岐され流路(25c)、(25d)に送られた後、流路(23b)の両面に積層するように供給されながらダイ出口方向に送られ、(25b)において積層化された。
(25a)、(25b)において二種三層構造の円筒状となった溶融樹脂は、サーキュラーダイ(18)の出口(26)から押出され、この大気圧への開放により、発泡層用材料に含浸された炭酸ガスが膨張し、気泡が形成されて発泡層が形成された。
ダイより押出された二種三層の発泡シートを最大径700mmのマンドレル(6)に沿わせながらチューブ状に引取り、拡大と冷却を行った。得られたチューブ状発泡シートの長手方向に2ヶ所でシートを切開することで幅1080mmの2枚の平坦なシートとし、引取ロールにより引取り、発泡倍率5倍、厚さ1.5mmの原反熱可塑性樹脂発泡シートを得た。
上記の方法により得られた原反熱可塑性樹脂発泡シートを使用し、真空成形機(株式会社佐藤鉄工所製VAIM0301)を用いて図3に示すようにして真空成形を実施した。成形型16、17は、いずれもエポキシ樹脂製であって、底面が300mm×300mmの正方形であり、側面が300mm×0.5mmである成形面を有し、該成形面外縁に幅15mmのパーティング面を有する雌型を用いた。各成形型は、成形面底面の4隅および成形面底面を構成する4辺上に直径1mmの真空吸引孔を10cm間隔で合計12個有していた。また成形時の型の温度は60℃に調整した。
発泡シート(13)をクランプ枠(14)で固定し、シート表面が160℃になるように赤外ヒーター(15)により加熱軟化させた。加熱軟化した発泡シートの厚みは1.5mmであった。
加熱軟化させた発泡シートをクランプ枠に固定したまま、成形型(16)及び成形型(17)の間に供給した。
成形型(16)と成形型(17)のパーティング面間のクリアランスが1mmとなるまで両成形型を接近させて両成形型を閉じた。型閉め完了と同時に両方の成形型から真空度−0.09MPaで真空吸引を開始した。
真空吸引開始から0.5秒後に、成形型をそれぞれ20mm/minで型開きし、キャビティ高さ、すなわち対向する成形面底面間の距離が3mmの地点で5秒間停止した。
真空吸引を停止して成形型を開き、成形品を取り出した。得られた成形品の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で用いたものと同様の原反熱可塑性樹脂発泡シートを用い、側面が300mm×0.5mmである成形面を有する以外は実施例1で用いたものと同じ成形型を使用し、以下の方法により真空成形を実施した。
成形時の型の温度は60℃に調整した。発泡シートをクランプ枠で固定し、シート表面が160℃になるように赤外ヒーターにより加熱軟化させた。加熱軟化した発泡シートの厚みは1.5mmであった。
加熱軟化させた発泡シートをクランプ枠に固定したまま、成形型及び成形型の間に供給した。
成形型と成形型のパーティング面間のクリアランスが1mmとなるまで両成形型を接近させて両成形型を閉じた。型閉め完了と同時に両方の成形型から真空度−0.09MPaで真空吸引を行い、10秒間停止した。
真空吸引を停止して成形型を開き、成形品を取り出した。得られた成形品の評価結果を表1に示す。
(発泡倍率測定)
水中置換式密度計((株)東洋精機製作所製 自動比重計 型式D−H100)を使用し、20mm×20mmにサンプリングした製品の比重を測定し、製品を構成する各材料の密度を用いて発泡倍率を計算した。
(独立気泡率)
JIS K7112に準拠し、エアピクノメーター(島津製作所製 アキュピック1330密度計)により求めたサンプル密度ρ1、水中置換法により求めたサンプル密度ρ2、シートを構成する材料の密度ρ0より、以下の式(1)を用いて独立気泡率Fcを得た。
Figure 2006111003
(発泡シート厚み中心線と交差する柱状樹脂部の数密度)
熱可塑性樹脂発泡シートをMD方向(発泡シート製造時の押出し方向)に沿って厚み方向に切断し、MD方向の長さが5mm以上、シート厚み方向の全体が確認でき、かつ、断面構造が確認できる断面写真を撮影した。この断面写真において、発泡シートの厚み方向の中心を結ぶ線である発泡シート厚み中心線を引いた。該断面写真において観察される、発泡シート厚み中心線と交差する全ての柱状樹脂部の数を数え、その結果から発泡シート厚み中心線の単位長さあたりの数を算出した。これと同様の測定を、5cm以上離れた3箇所以上で行った。一方、上記と同じ熱可塑性樹脂発泡シートをTD方向(発泡シートのMD方向に垂直な、押出しの幅方向)に沿ってシート厚み方向に切断し、その断面に関して上記と同様の測定を5cm以上離れた3箇所以上で行う。このようにして得られた発泡シート厚み中心線の単位長さあたりの柱状樹脂部の数の6個以上のデータの平均値を、これを該熱可塑性樹脂発泡シートの柱状樹脂部の数密度とした。
(厚み方向中心線と交差する柱状樹脂部の平均厚み)
柱状樹脂部の数密度を求めたときと同じ発泡シート断面写真を用いて、厚み中心線と交差する全ての柱状樹脂部の厚さを測定した。MD方向断面について3ヶ所以上、TD方向断面について3ヶ所以上測定し、全ての柱状樹脂部の厚さの測定値を平均し、該熱可塑性樹脂発泡シートの柱状樹脂部の平均厚みを求めた。
(発泡シートの厚み方向断面における気泡部の厚み方向最大長さの平均)
柱状樹脂部の数密度の測定に使用した発泡シート断面写真のうち、MD方向に沿った断面写真1枚とTD方向に沿った断面写真1枚を使用した。まず、発泡シートのMD方向に沿った断面写真において観察される気泡部のうち、厚み方向の最大長さに対するMD方向の最大長さの比が1以上である気泡部のシートの厚み方向の最大長さを測定した。一方、発泡シートのTD方向に沿った厚み方向の断面において観察される気泡部のうち、厚み方向の最大長さに対するTD方向の最大長さの比が1以上である気泡部の、シートの厚み方向の最大長さを測定した。このようにして求められた気泡部の厚み方向の最大長さの平均値を求めた。
(曲げ剛性)
発泡シートを幅50mm(TD方向)、長さ150mm(MD方向)にサンプリングした。スパン100mmに調整したオートグラフ(島津製作所製 型式AGS−500D)の曲げ測定用支持台の上に、サンプルと支持台の中心を合わせてサンプルをセットした。先端が曲率半径5の形状の棒状押し治具をサンプル中心部に当て、10mm/minでサンプルを曲げながら、変位(cm)と荷重(N)の相関曲線を作成し、最初に現れる勾配の傾き(N/cm)を曲げ剛性として評価した。
(緩衝性)
測定はJIS K−6767に準拠して実施した。
測定するシートを50mm角にサンプリングし、オートグラフ(島津製作所製 型式AGS−500D)の平坦なステージの上に厚さが25mm程度になるようサンプルを数枚重ねてセットした。サンプル中心を圧縮治具により10mm/minで圧縮し、圧縮前の厚さから25%圧縮し、20秒経過したときの荷重(N)を測定し、サンプル表面積(2500mm2)で割り戻した値を求めた。
Figure 2006111003
(吸音特性)
測定はJIS−A−1405に準拠して実施した。
実施例1で得られたシートを92mmφにサンプリングし、1mmφの穴を30mm間隔で4個、1.5mmφの穴を30mm間隔で5個開けた。サンプルを音響管(電子測器製 TYPE 3G−3E)にセットし、試験用信号発生器(電子測器製 TYPE 01022)で発生させた信号をサンプルに照射し、反射した信号を精密騒音計(RION社製 LR−06)で測定し、100〜2000Hz間の共鳴周波数における吸音率を求めた。さらに同じシートを40mmφにサンプリングし、1mmφの穴を30mm間隔で2個、1.5mmφの穴を30mm間隔で2個開け、同じ方法により1600〜5000Hz間の共鳴周波数における吸音率を求めた。測定した吸音率の結果を図8に示す。
本発明の熱可塑性樹脂発泡シートの厚み方向断面の模式図 本発明の熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法の一態様の概略図 本発明の熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法の他の一態様の概略図 本発明の熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法の他の一態様の概略図 本発明の熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法の他の一態様の概略図 原反熱可塑性樹脂発泡シートを製造する装置の概略図 原反熱可塑性樹脂発泡シートを製造する際に用いるサーキュラーダイの断面形状の概略図 実施例1で得られる熱可塑性樹脂発泡シートを用いて測定した吸音率の結果を示す図
符号の説明
1 本発明の熱可塑性樹脂発泡シートの厚み方向断面
2 柱状樹脂部
3 球状または回転楕円状の気泡
4 発泡シート厚み中心線
5 原反熱可塑性樹脂発泡シート
6 クリップ部材
7 赤外ヒーター
8 成形型
9 成形型
10 気密性保持部(緩衝材)
11 気密性保持部
12 成形型
13 成形型
14 シート固定部材
15 原反熱可塑性樹脂発泡シートを製造する装置
16 50mmφ2軸押出機
17 32mmφ単軸押出機
18 サーキュラーダイ
19 炭酸ガス供給用ポンプ
20 マンドレル
21 50mmφ2軸押出機のヘッド
22 32mmφ単軸押出機のヘッド
23a 流路
23b 流路
24a 流路
24b 流路
24c 流路
24d 流路
25a 流路
25b 流路
26 サーキュラーダイ出口

Claims (5)

  1. 厚み方向断面において観察される柱状樹脂部が、下記要件(1)および(2)を満たす熱可塑性樹脂発泡シート。
    (1)発泡シート厚み中心線と交差する柱状樹脂部の数密度が1〜20本/mm
    (2)発泡シート厚み中心線と交差する柱状樹脂部の平均厚みが10〜500μm
  2. シートのMD方向に沿った厚み方向の断面において観察される気泡部のうち、厚み方向の最大長さに対するMD方向の最大長さの比が1以上である気泡部と、シートのTD方向に沿った厚み方向の断面において観察される気泡部のうち、厚み方向の最大長さに対するTD方向の最大長さの比が1以上である気泡部の、シートの厚み方向の最大長さの平均値が10μm〜500μmの範囲にある請求項1に記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  3. 発泡倍率が5〜40倍、厚みが2〜50mm、独立気泡率が0〜30%である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂発泡シート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シートからなる自動車内装材。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂発泡シートからなる吸音材。
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