JP2006107179A - 異常値検出装置、変化点検出装置及び異常値検出方法、変化点検出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モデル抽出部4は、データ記憶部2から一定期間の時系列データを系列ごとに読み出し、読み出した時系列データに基づいて部分空間を抽出し、抽出した部分空間の情報をモデル記憶部に記録する。ベクトル抽出手段3aは、データ記憶部2から時系列データを読み出し、読み出した時系列データに基づいてベクトルを抽出する。異常値類似度算出手段3bは、モデル記憶部6から時刻ごとの部分空間と、ベクトル抽出手段3aによって抽出されたベクトルとの角度を第1類似度として算出し、変化点類似度算出手段3cは、さらに、第1類似度と一時刻前の第1類似度に基づいて第2類似度を算出し、類似度記憶部7に記録する。異常値検出手段3d及び変化点検出手段3eは、第1類似度、第2類似度に基づいて異常値、変化点を検出する。
【選択図】 図1
Description
しかし、クレジットカードの不正利用や、ネットワーク侵入が行われた場合には、時系列データに過去とは異なる傾向が発生することが知られている。つまり、時系列データを解析し、そのような異なる傾向を検出することで、不正利用や侵入などによって発生する異常状態を動的に検出することが可能となる。時系列データに発生する異なる傾向とは、図21(a)に示すように正常な傾向からかけ離れた値となる場合や、図21(b)に示すように過去の傾向とは異なる別の傾向に変化する場合があり、前者が発生する箇所は、当該時系列データにおける「異常値」と呼ばれており、後者が発生する箇所は、当該時系列データにおける「変化点」と呼ばれている。
(1)全系列の中で2つの系列の組の相関関係によって検出する手法(特許文献1、非特許文献1参照)。
(2)全系列を発生させる確率モデルを仮定し、過去と現在における確率モデルの違いによって検出する手法(非特許文献2参照)。
(3)主成分分析を用い、主成分の違いによって検出する手法(非特許文献3参照)
(4)過去の系列から学習した予測式に基づいて検出する手法(特許文献2)
以下、この4つの手法について説明する。
最初に、手法(1)は、図22に示すように、例えば4つのデータ系列が入力された場合に、4つの系列の中から2つの系列を選択し、選択した2つの系列間における相関関係があるか否かを全ての組み合わせについて検出する。そして、相関のある2組の系列をルールとして記憶しておき、新たに入力されたデータと記憶しているルールとが乖離している場合に異常値として検出する手法である。なお、相関関係の検出は、例えば、図23に示すように、2つの系列間の距離に基づいて行うことが可能である。
次に、手法(2)は、図24に示すように、例えば4つのデータ系列が入力された場合に、入力された4つの系列を生成することができる確率モデルを過去の全系列から構成し、構成した確率モデルと、新たに入力されたデータを含めた全系列に基づいて構成した確率モデルとの差分が大きい場合を異常値として検出する手法である。また、手法(2)を利用して、変化点検出を行う場合には、過去の全系列から構成した確率モデルと、新たに入力されたデータを含めて構成した確率モデルとの差分が、過去のデータから得られた平均値に比べて大きく変化した場合を変化点として検出を行う。
なお、手法(2)において異常値の検出は、上述した通り確率モデルの変化によって判定するが、用いる確率モデルとしては、例えば、離散値の場合に適用されるヒストグラム法の確率密度関数や、連続値の場合に適用される混合正規分布がある。
次に、手法(3)は、図25に示すように全系列に対して主成分分析を行うことによって求められる第1主成分ベクトルと、新たに入力されたベクトルを構成するデータとの投影距離が過去の投影距離と比べて大きくなったか否かによって異常値を検出する手法である。
最後に、手法(4)は、図26に示すように過去と現在の系列データの一部の値から系列データをクラスに分類し、当該クラスに予め対応付けられている予測式から予測値を求め、実際の値との誤差の大きさに基づいて異常値を検出する手法である。
具体的には、最初に、図26の(1)に示すように、系列データのうち破線で囲まれたデータに基づいて該当するクラスを検出する。クラス分類の方法は予め過去のデータに基づいて学習されており、同図のデータはクラス2に分類されている。
次に、図26の(2)に示すようにクラス2の予測式に基づいて時刻4の画素4に対応する予測値を算出する。各クラスに対応付けられている予測式は過去のデータに基づいて求められ、予め設定されている。そして、算出した予測値と実際の画素4、時刻4の値「23」との誤差を算出し、予め設定されている閾値1と閾値2に基づいて、誤差が閾値1を超える回数が閾値2を超えた場合に異常値として判定することができる。
図1は、本実施形態による検出装置10を示す概略ブロック図である。
検出装置10は、上述した異常値検出装置と変化点検出装置の両方の機能を有する。検出装置10において、データ入力部1は、異常値、変化点を検出する対象となる複数の時系列データを入力する。データ記憶部2は、データ入力部1によって入力されたデータを逐次を記憶する。モデル抽出部4は、データ記憶部2から過去の一定期間のデータを読み出し、読み出したデータに基づいて構成される部分空間、即ち検出のためのモデルを抽出し、抽出した部分空間の情報をモデル記憶部6に記録する。
また、上記の異常値類似度算出手段3bは、上述した第1の類似度算出手段に、変化点類似度算出手段3cは、上述した第2の類似度算出手段に対応する。
図6は、処理の流れの全体像を示した図である。最初に、過去X時点までのデータを読み出して、特徴となる部分空間の抽出を行う。そして、現時点のデータのベクトルを抽出し、抽出した現時点のデータのベクトルと、当該部分空間とに基づいて第1類似度と第2類似度を算出する。データを読み出す範囲である過去X時点までの一定期間は、新たなデータが入力されるごとに移動し、最新の過去データから特徴を捉えて異常値及び変化点を検出することが可能となる。
図7(a)のグラフに示すように異常値は、ある時点の第1類似度が過去の第1類似度の傾向と大きく異なる場合に存在する。異常値検出の処理は、第1類似度の傾向の変化、即ち現時点の第1類似度と一時点前の第1類似度との差分が予め設定されている第1閾値より大きい場合を異常値として判定することによって行う。
図8は、モデル抽出部4におけるモデル抽出の処理を示したフローチャートである。最初に、モデル抽出部4は、時刻t−1から時刻t−Lまでのデータをデータ記憶部2から読み出す。具体的には、図9に示すようにt=4、L=2、系列数=4の場合には過去の2時刻分を読み出すことになる(ステップSa1)。読み出したデータを用いて、図5で説明したモデル抽出の手法により部分空間、即ちモデルを求める(ステップSa2)。そして、求めた部分空間の情報をモデル記憶部6に記録する(ステップSa3)。
また、変化点類似度算出手段3cは、自ら第1類似度を算出した後に第2類似度を算出するようにしてもよいし、異常値類似度算出手段3bが算出した第1類似度を利用して第2類似度を算出するようにしてもよい。
最初に、図11(a)に示すように、ベクトル抽出手段3aによって抽出されたベクトルがベクトル「x1」として表され、部分空間がベクトル「y1」として表される場合について説明する。ここで、x1及びy1は、d次元ベクトルの転置によって表される。即ち、x1={x11,x12,…,x1d}T、y1={y11,y12,…,y1d}Tとして表現される。なお、Tは転置を意味する。
パターン1の場合に、第1類似度はベクトルとベクトルの内積をベクトルの大きさで規格化した値、即ちベクトル同士のなす角度の余弦として算出され、第1類似度をSとした場合に以下の式(4)によって求められる。
次に、図11(b)に示すように、ベクトル抽出手段3aによって抽出されたベクトルがベクトル「x1」として表され、部分空間が複数のベクトルによって構成される空間「y1,y2,y3」として表される場合について説明する。ここで、x1及びy1,y2,y3はそれぞれd次元ベクトルの転置として表される。即ち、x1={x11,x12,…,x1d}T、y1={y11,y12,…,y1d}T、y2={y21,y22,…,y2d}T、y3={y31,y32,…,y3d}Tとして表現される。なお、Tは転置を意味する。
パターン2の場合に、第1類似度Sは、以下の式(5)によって求められる。
次に、図11(c)に示すように、ベクトル抽出手段3aによって抽出されたベクトルが空間「x1,x2」として表され、部分空間が空間「y1,y2,y3」として表される場合について説明する。ここで、x1,x2及びy1,y2,y3は図11(b)と同じくd次元ベクトルの転置として表される。即ち、x1={x11,x12,…,x1d}T、x2={x21,x22,…,x2d}T、y1={y11,y12,…,y1d}T、y2={y21,y22,…,y2d}T、y3={y31,y32,…,y3d}Tとして表現される。なお、Tは転置を意味する。
パターン3の場合に、第1類似度Sは、X=[x1,x2]、Y=[y1,y2,y3]としたときに、以下の式(6)の最大固有値μmaxとして算出される。
図12は、異常値検出の実験の条件を示した表である。当該実験では、入力する系列数を4、対象とする期間を時刻100点分としている。また、図12の表は、サンプルとして設定した各時系列データの特徴を示している。
図13(a):系列1は、時刻50で変化なし、かつ時刻51から100において変化なしとしたデータである。
図13(b):系列2は、時刻50において異常値を発生させ、かつ時刻51から100において変化ありとしたデータである。
図14(c):系列3は、時刻50において異常値を発生させ、かつ時刻51から100において変化なしとしたデータである。
図14(d):系列4は、時刻50において変化なし、かつ時刻51から100において変化ありとしたデータである。
両方の結果において、時刻50で前後の第1類似度と大きく異なる第1類似度が検出されており、異常値検出ができていることが示されている。また、図15(a)と(b)では利用する過去のデータの個数によって第1類似度の変化に違いが見られ、(a)に比べて(b)の方が入力されたデータ全体の特徴がよく捉えられていることが分かる。
図16は、変化点検出の実験の条件を示した表である。当該実験では、入力する系列数を5、対象とする期間を時刻100点分としている。また、図16の表は、サンプルとして設定した各時系列データの特徴を示している。
図17(a):系列1は、時刻35で変化なし、かつ時刻36から100において波の形に変化ありとしたデータである。
図17(b):系列2は、時刻35で変化なし、かつ時刻36から100において波の形に変化ありとしたデータである。
図18(c):系列3は、時刻35で変化なし、かつ時刻36から100において変化なしとしたデータである。
図18(d):系列4は、時刻35で変化なし、かつ時刻51から100において変化なしとしたデータである。
図18(e):系列5は、時刻35で変化なし、かつ時刻51から100において変化なしとしたデータである。
両方の図において時刻35において変化が見られるが、第2類似度の差分で示した図19(b)の方がより明確に変化点が検出されていることが示されている。
2 データ記憶部
3 検出部
3a ベクトル抽出手段
3b 異常値類似度算出手段3b
3c 変化点類似度算出手段3c
3d 異常値検出手段
3e 変化点検出手段
4 モデル抽出部
6 モデル記憶部
7 類似度記憶部
10 検出装置
Claims (6)
- 複数の時系列データから異常値を検出する異常値検出装置であって、
前記複数の時系列データを記憶するデータ記憶手段と、
前記複数の時系列データを入力し、入力した前記時系列データを系列ごとに前記データ記憶手段に記録するデータ入力手段と、
前記データ記憶手段から一定期間の前記時系列データを系列ごとに読み出し、読み出した前記時系列データの系列数を次元数とする座標空間において、異なる系列の同一時点の前記時系列データに基づいて構成される部分空間を時刻ごとに抽出し、抽出した前記部分空間の情報をモデル記憶手段に記録するモデル抽出手段と、
前記データ記憶手段から最新の時系列データを読み出し、読み出した前記最新の時系列データに基づいて前記座標空間におけるベクトルを抽出するベクトル抽出手段と、
前記モデル記憶手段から時刻ごとの前記部分空間の情報を読み出し、読み出した前記部分空間の情報と、前記ベクトル抽出手段によって抽出された前記ベクトルとに基づいて第1類似度を算出し、算出した前記第1類似度を類似度記憶手段に記録する第1の類似度算出手段と、
前記最新の時系列データに対応する前記第1類似度と、前記類似度記憶手段に記憶されている最新以前の前記第1類似度とに基づいて前記最新の時系列データが異常値か否かを検出する異常検出手段と、
を備えたことを特徴とする異常値検出装置。 - 前記異常検出手段は、
前記最新の時系列データに対応する前記第1類似度と、前記類似度記憶手段に記憶されている最新以前の前記第1類似度との差分を求め、当該差分が予め定められた第1の閾値より大きい場合に前記最新の時系列データを異常値として検出することを特徴とする請求項1に記載の異常値検出装置。 - 複数の時系列データから変化点を検出する変化点検出装置であって、
前記複数の時系列データを記憶するデータ記憶手段と、
前記複数の時系列データを入力し、入力した前記時系列データを系列ごとに前記データ記憶手段に記録するデータ入力手段と、
前記データ記憶手段から一定期間の前記時系列データを系列ごとに読み出し、読み出した前記時系列データの系列数を次元数とする座標空間において、異なる系列の同一時点の前記時系列データに基づいて構成される部分空間を抽出し、抽出した前記部分空間の情報をモデル記憶手段に記録するモデル抽出手段と、
前記データ記憶手段から最新の時系列データを読み出し、読み出した前記最新の時系列データに基づいて前記座標空間におけるベクトルを抽出するベクトル抽出手段と、
前記モデル記憶手段から時刻ごとの前記部分空間の情報を読み出し、読み出した前記部分空間の情報と、前記ベクトル抽出手段によって抽出された前記ベクトルとに基づいて第1類似度を算出し、算出した前記第1類似度を類似度記憶手段に記録する第1の類似度算出手段と、
前記最新の時系列データに対応する前記第1類似度と、前記類似度記憶手段に記憶されている最新以前の前記第1類似度とに基づいて第2類似度を算出し、算出した前記第2類似度を前記類似度記憶手段に記録する第2の類似度算出手段と、
前記最新の時系列データに対応する前記第2類似度と、前記類似度記憶手段に記憶されている最新以前の前記第2類似度とに基づいて前記最新の時系列データが変化点か否かを検出する変化点検出手段と、
を備えたことを特徴とする変化点検出装置。 - 前記第2の類似度算出手段は、
前記最新の時系列データに対応する前記第1類似度と、前記類似度記憶手段に記憶されている最新以前の前記第1類似度との差分を第2類似度として、前記類似度記憶手段に記録し、
前記変化点検出手段は、
前記最新の時系列データに対応する前記第2類似度と、前記類似度記憶手段に記憶されている最新以前の前記第2類似度との差分を求め、当該差分が予め定められた第2の閾値より大きい場合に前記最新の時系列データを変化点として検出することを特徴とする請求項3に記載の変化点検出装置。 - 複数の時系列データから異常値を検出する異常値検出方法であって、
前記複数の時系列データを入力する過程と、
入力した前記時系列データを系列ごとに前記データ記憶手段に記録する過程と、
前記データ記憶手段から一定期間の前記時系列データを系列ごとに読み出す過程と、
読み出した前記時系列データの系列数を次元数とする座標空間において、異なる系列の同一時点の前記時系列データに基づいて構成される部分空間を時刻ごとに抽出する過程と、
抽出した前記部分空間の情報をモデル記憶手段に記録する過程と、
前記データ記憶手段から最新の時系列データを読み出す過程と、
読み出した前記最新の時系列データに基づいて前記座標空間におけるベクトルを抽出する過程と、
前記モデル記憶手段から時刻ごとの前記部分空間の情報を読み出す過程と、
読み出した前記部分空間の情報と、抽出された前記ベクトルとに基づいて第1類似度を算出する過程と、
算出した前記第1類似度を類似度記憶手段に記録する過程と、
前記最新の時系列データに対応する前記第1類似度と、前記類似度記憶手段に記憶されている最新以前の前記第1類似度とに基づいて前記最新の時系列データが異常値か否かを検出する過程と、
からなることを特徴とする異常値検出方法。 - 複数の時系列データから変化点を検出する変化点検出方法であって、
前記複数の時系列データを入力する過程と、
入力した前記時系列データを系列ごとに前記データ記憶手段に記録する過程と、
前記データ記憶手段から一定期間の前記時系列データを系列ごとに読み出す過程と、
読み出した前記時系列データの系列数を次元数とする座標空間において、異なる系列の同一時点の前記時系列データに基づいて構成される部分空間を時刻ごとに抽出する過程と、
抽出した前記部分空間の情報をモデル記憶手段に記録する過程と、
前記データ記憶手段から最新の時系列データを読み出す過程と、
読み出した前記最新の時系列データに基づいて前記座標空間におけるベクトルを抽出する過程と、
前記モデル記憶手段から時刻ごとの前記部分空間の情報を読み出す過程と、
読み出した前記部分空間の情報と、前記ベクトルとに基づいて第1類似度を算出する過程と、
算出した前記第1類似度を類似度記憶手段に記録する過程と、
前記最新の時系列データに対応する前記第1類似度と、前記類似度記憶手段に記憶されている最新以前の前記第1類似度とに基づいて第2類似度を算出し、算出した前記第2類似度を前記類似度記憶手段に記録する過程と、
前記最新の時系列データに対応する前記第2類似度と、前記類似度記憶手段に記憶されている最新以前の前記第2類似度とに基づいて前記最新の時系列データが変化点か否かを検出する過程と、
からなることを特徴とする変化点検出方法。
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