JP2006102828A - 気中放電加工方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】気中放電加工の加工速度が、加工間隙が微小で、加工間隙及び加工屑の冷却及び排出が充分でないことによる問題を解決する。
【解決手段】被加工体表面に回転筒状電極を微小間隙を隔てて相対向させ、筒状電極から加圧気体を前記間隙を介して外部に噴出させた状態で両者間に電圧パルスを印加し、放電を発生させて加工する気中放電加工において、加圧気体を加工間隙から外部に噴流排出させる筒状回転電極の外周に、所定の厚さで同軸状に包皮した状態の加圧気体噴流を形成させ、該同軸気体噴流に液体ミストを供給して含有させる。
【選択図】図1
【解決手段】被加工体表面に回転筒状電極を微小間隙を隔てて相対向させ、筒状電極から加圧気体を前記間隙を介して外部に噴出させた状態で両者間に電圧パルスを印加し、放電を発生させて加工する気中放電加工において、加圧気体を加工間隙から外部に噴流排出させる筒状回転電極の外周に、所定の厚さで同軸状に包皮した状態の加圧気体噴流を形成させ、該同軸気体噴流に液体ミストを供給して含有させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、電極と被加工体の間隙に加工媒体として高速気体流を介在せしめた状態で、前記間隙に間歇的にパルス放電を発生させて被加工体を加工する気中放電加工方法及び装置の改良に関する。
そして、更に詳しくは、前記加工用電極として通常外径がφ1〜10mm前後程度の比較的小径の筒状電極を用い、該電極を被加工体の所望加工領域表面に微小間隙を隔てて相対向させ、該筒状電極に軸または該軸と微小偏位した平行軸の廻りの回転運動を与えた状態とし、そして、さらに必要に応じて前記対向方向と直角方向の微小ストロークの相対的な並進運動を与えた状態で、被加工体の所定位置に対する穿孔加工、または、被加工体の所定の領域に対する所定微小切込み状態での順次のスキャンニングによる異形キャビティの創成加工等をする加工方法及び加工装置の改良技術を対象とするもので、前記加工電極として所謂ワイヤ電極を用い、該ワイヤ電極を一対のガイド間で位置決めした状態で軸方向に更新移動させながら被加工体を糸鋸加工状に切断又は切抜き等の加工をする所謂ワイヤ放電加工又はワイヤカット放電加工は本発明の対象外のものである。
前述、本発明が改良の対象とする気中放電加工で、前記筒状電極から加工間隙に高速度で噴流せしめる気体として、被加工体材と化学反応をする気体、例えば空気、酸素リッチ気体、酸素、又は窒素等を用いる気中放電加工方法及び装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
そして、斯種の気中放電加工方法は、従来の放電加工方法が加工媒体として用いている水、油等の所謂加工液に代えて気体を用いるところから環境に優しい加工方法である他に、
(1)同一加工条件下で工具電極の消耗が油中、水中の液中加工と比べて小である。
(2)加工反力が液中加工に比べて小さい。
(3)加工ギャップが狭い。
(4)加工変質層が薄い。
(5)真空中での加工が行なえる。
(6)表面改質が行える。
などの特徴があり、さらに例えば、前記(2)及び(3)などの特徴は、気中放電加工が、微細高精度加工に適するものであることを示しているものである。
(1)同一加工条件下で工具電極の消耗が油中、水中の液中加工と比べて小である。
(2)加工反力が液中加工に比べて小さい。
(3)加工ギャップが狭い。
(4)加工変質層が薄い。
(5)真空中での加工が行なえる。
(6)表面改質が行える。
などの特徴があり、さらに例えば、前記(2)及び(3)などの特徴は、気中放電加工が、微細高精度加工に適するものであることを示しているものである。
しかしながら、かかる気中放電加工方法は、上述のように「加工ギャップが狭い」が故に、又高速とは言え加工媒体が気体であって低密度の故に加工間隙や発生加工屑の冷却及び加工屑の加工間隙からの排出能力が十分でなく、このため発生加工屑の電極、被加工体への再付着現象を惹起し、加工状態が多く不安定となり、加工面が仕上がらないことが大きな問題で、実用化の妨げとなっていた。
これに対し、前記気中放電加工の加工速度問題を解決せんとする技術を研究・開発の対象となされ既に種々知られて来ている(例えば、非特許文献1参照。)。
上記非特許文献1に記載された気中放電加工の加工速度を向上させるための技術の第1は(之は何も気中放電加工の際に限ったことではないと思惟するが)、従来設定、使用の放電パルスの電気条件を、放電パルスの幅を小さくして、その分放電電流のピーク値を反比例の関係で大きくし、そして放電パルス間休止幅を小さくして放電頻度を増大させると言うもので、加工速度、工具電極消耗率、及び表面あらさ等の加工性能を測定して、気中放電加工に適用して、上記の加工性能の全部を同時に満足させる可能性があると述べている。
そして、次に、上記非特許文献1の著者等の気中放電加工による深穴加工の経験、「加工が進行しても加工屑の排出状態が変化しない突合せ加工において、工具電極送り機構に圧電素子を用いた加工テーブルを加えることで、見かけ上の工具電極の送りサーボの応答性を向上させ、気中加工の短絡率を減少させることにより加工速度の向上が実現できた。」
と言うことを基に、実際の加工では工具電極が工作物内部に彫り込んで行く形態の加工が多く、加工屑排出状態が加工の進行とともに変化する場合が多いとの観点から、深穴加工を行い加工屑の排出状態の変化が加工速度におよぼす影響を調べ、圧電素子によるギャップ制御の応答性向上の効果について行なった調査の実験結果につき、次のように述べている。
・圧電素子による高応答性送り制御の効果が大きいのは、加工深さが2mmまでの浅い領域であること、
・そして、加工深さが深くなるにつれて加工速度が急激に減少し、加工深さが2mmを超えると加工速度が液中加工より遅くなり、3mm以上になると圧電素子による高応答性送り制御の効果が無くなる。
と言うことを基に、実際の加工では工具電極が工作物内部に彫り込んで行く形態の加工が多く、加工屑排出状態が加工の進行とともに変化する場合が多いとの観点から、深穴加工を行い加工屑の排出状態の変化が加工速度におよぼす影響を調べ、圧電素子によるギャップ制御の応答性向上の効果について行なった調査の実験結果につき、次のように述べている。
・圧電素子による高応答性送り制御の効果が大きいのは、加工深さが2mmまでの浅い領域であること、
・そして、加工深さが深くなるにつれて加工速度が急激に減少し、加工深さが2mmを超えると加工速度が液中加工より遅くなり、3mm以上になると圧電素子による高応答性送り制御の効果が無くなる。
そして、加工深さ15mm以上の加工を行なった加工穴の断面測定から得られた側面の加工ギャップによれば、「気中加工の側面ギャップが液中加工に比べて大きく」、その原因を「気中加工の場合、加工深さが深くなると、加工屑の排出が困難になり、工具電極側面で生じた加工屑が工具電極側面に付着することで工具電極直径の増大は加工屑の排出をますます困難にさせると同時に、工具電極側面での短絡の多発を招くため加工速度が低下するものと考えられる。」等と述べている。
そして、最後に、「深穴加工の気中加工において加工深さの増大にともなう加工速度の低下を防ぐには、工具電極側面への工作物の付着を防ぐとともに加工屑の排出をスムーズに行なえばよいと考えられる。」として、「加工屑を素早く固化させるために(筒状電極から放電間隙に噴出させる)酸素ガス中にミストを混入させて加工速度の向上を図った。」と言って実験結果を報告している。
即ち、先ず、加工速度の向上効果に関し、加工深さ1mm付近の浅い領域では、「酸素ガスのみの加工および酸素ガスに混入するミスト量の大小(0〜25ml/min)にかかわらず加工速度は同程度であり、ミストの効果がない」が、「加工深さが深く(3.5mm)なるとミストの効果が表われ・・・・、ミスト量が0.6ml/minと少ない場合でも加工速度に与える効果が大きく、酸素のみの加工に比べて加工速度が2倍以上に向上している。」と述べている。
次に、工具電極に与える影響について、実験によって得られたデータ等から「ミスト量が増加するにつれて工具電極消耗率が増加している」と認めているものの、「3.5mmの加工深さにおいて、最も速い加工速度が得られたミスト量12.4ml/minでは工具電極消耗率が50%以上と大きい。一方、酸素ガスのみの加工に比べて2倍以上の加工速度が得られた0.6ml/minでは工具電極消耗率は1%以下であり、気中加工の特徴を失っていない・・・。よって、0.6ml/min程度の少ないミスト量で加工を行なえば、気中加工の特徴を失うことなく加工速度の向上が実現できる。」と意見を加えた見解を述べている。
上述従来の気中放電加工における加工速度向上の各手法につき検討するに、前記放電パルスの電気的条件の改良、変更設定は、加工ギャップが依然約5μm前後程度と狭いため、各放電パルスのエネルギを大きくすると加工屑が大きくなるので自づと限界があり、又放電パルスの頻度も気体のみの噴流では加工屑の排出能力が低いので、大幅な増大は難しいものと考えられる。
そして、次の工具電極の送り機構、或いは更に被加工体を設置するテーブルの水平軸方向の微動送り機構に圧電素子を用いて、高速応答での短絡解消のギャップ制御を行なう手法であるが、この短絡制御の手法のみでは、加工ギャップが狭いことへの対応が出来ず、又前述の冷却問題も解消されないから、加工速度の向上は困難なものと思われる。
そうしてみると、前述第3の手法の液体ミストを利用することが、前述加工屑及び加工間隙や工具電極等の冷却に少しは対応可能性があると思惟されるので検討することとするが、上記非特許文献1の当該事項に対応する前述の実験データ及びその評価にはいささか納得し難い。
即ち、ミスト利用の加工手法として、筒状電極から加工間隙に噴出させる酸素ガス中にミストを混入させて加工間隙に噴流させるようにすると、「外形が1mmのパイプ電極ではミストが得られるだけの気体流量を流すことができないため、8文字断面形状を持つ外径4mmの銅製キックパイプ(登録商標)を工具電極として用いた。」としながら、例えば、3.5mmの加工深さにおけるミスト量12.5ml/min、及び25ml/minの時の加工を、各その時の工具電極の消耗率の大きさ、約53%と約78%から見て推定される実質上の液中加工と看なしていない点等がある。
しかし、何れにしても、工具電極と被加工体間の加工ギャップの大きさは、一方に於いて、気中放電と言う放電加工の態様上、大幅に大きく出来ない上、他方に於いては微細高精度を求めるにはギャップを大きくしたくないと言う矛盾した要求が有って応えられない以上、加工ギャップの空間、電極・被加工体放電面、及び生成加工屑の冷却を促進させることが好適と思惟され、このためには電極から加工間隙へ噴流する気体として、低温(常温より低いの意味)気体や冷却(例えば、冷凍室冷却や液体窒素生成N2ガス)気体等を使用すること等も考えられるものの、前述液体ミストの使用も再考すべきものと考えられるものである。
即ち、前記非特許文献1に記載の気中放電加工の態様では、使用液体ミストが、前述加工ギャップ等を適度に冷却する程度に加工ギャップ等にミストの状態で介在させられなかったと思惟されるものである。
故に、本発明は前述気中放電加工に於いて、加工ギャップ間に適度に液体ミストを介在させることが出来、電極、被加工体を冷却し、かつ、生成加工屑の排出を促進するため、加工状態が安定化し、加工速度、電極消耗、加工面粗さを向上させることができたことにより提案されるものである。
前述の本発明の目的は、(1)被加工体表面に対し微小間隙を隔てて筒状電極を相対向させ、該筒状電極を回転させるとともに、必要に応じ前記対向方向と直角方向に微小ストロークの相対的な並進運動を付与した状態とし、前記微小間隙に筒状電極から気体を加圧噴出させた状態で前記筒状電極と被加工体間に間歇的な電圧パルスを印加し、放電を発生させて前記対向方向の穿孔加工又は所望輪郭形状のキャビティを創成成形加工する気中放電加工方法において、
前記筒状電極の外周を所定の厚さで同軸状に包皮した状態の気体噴流を形成させ、該同軸気体噴流に液体ミストを供給し含有させる気中放電加工方法とすることにより達成される。
前記筒状電極の外周を所定の厚さで同軸状に包皮した状態の気体噴流を形成させ、該同軸気体噴流に液体ミストを供給し含有させる気中放電加工方法とすることにより達成される。
また、前述の本発明の目的は、(2)前記筒状電極から加工間隙に噴出させる気体が、空気、酸素リッチ空気または酸素、前記筒状電極周りの同軸噴流気体が加圧空気、そして前記同軸噴流気体に供給される液体ミストの液体が水道水を含む水、脱イオン水または蒸留水である前記(1)に記載の気中放電加工方法とすることにより達成される。
また、前述の本発明の目的は、(3)放電状態の検出により加工の安定と不安定状態を判別し、加工状態に応じて、液体ミスト量、筒状電極からの気体噴流圧若しくは噴流量、および、同軸気体噴流圧若しくは噴流量の内の1つ以上を調整する(1)または(2)に記載の気中放電加工方法とすることにより達成される。
また、前述の本発明の目的は、(4)被加工体表面に対し微小間隙を隔てて筒状電極を相対向させ、該筒状電極を中心軸または該軸から微小変位した平行軸の廻りに回転するように支持すると共に、該筒状電極から微小間隙に気体を加圧噴出するように加圧気体の供給源に接続し、前記筒状電極と被加工体とを休止時間を置いて間歇的に電圧パルスを印加する放電加工用電源に接続し、電極と被加工体間に対向方向の相対的な加工送りを与える送り制御装置と前記対向方向と直角方向に相対的に送りを与える送り装置を設けた気中放電加工装置において、
前記筒状電極の外周を同軸状に包皮して軸方向に気体を加圧噴出する同軸噴流ノズルを結合して設け、前記同軸噴流ノズルから噴出する同軸噴流気体に液体ミストを含有させる液体ミスト供給装置を設けた気中放電加工装置とすることにより達成されるものである。
前記筒状電極の外周を同軸状に包皮して軸方向に気体を加圧噴出する同軸噴流ノズルを結合して設け、前記同軸噴流ノズルから噴出する同軸噴流気体に液体ミストを含有させる液体ミスト供給装置を設けた気中放電加工装置とすることにより達成されるものである。
本発明によれば、供給された液体ミストが、適度に加工間隙に供給されるとともに、筒状電極及び被加工体と適度に接触して、夫々を適度に冷却し、加工屑の排出を促進することが出来るようになり、加工状態の安定化に寄与する。
即ち、加工間隙の加工屑を冷却して電極、被加工体への再付着を防止乃至は減少させ、放電頻度を増大安定させることができる。例えば、荒加工の加工条件の際には、主に冷却効果により加工屑の排出、加工間隙の絶縁回復に有効で、かつ加工状態の安定化により電極消耗を減ずることが出来る。
また、気中放電加工は、特に仕上げ加工において加工が不安定であったが、適度のミストの供給による冷却効果により、加工状態の安定化に寄与し、電極消耗が大きく減少し、加工速度が大幅に増大して効果が大きいものである。
図1は、本発明気中放電加工方法の一実施例の実施状況を説明するための要部の一部断面拡大図で、1は図示しない水平方向に2軸にNC制御移動する加工テーブル上に設置された被加工体、2は前記被加工体1と前記2軸平面とほぼ直交して相対向するように形彫り放電加工機の加工ヘッドに回転及び軸送り可能に取り付けられた電極ホルダの先端ガイド11に保持されている筒状電極で、図示していないが、気中に配置された対向微小間隙3で所定の気中放電加工が行われるように、所望の気体、例えば窒素、空気、酸素リッチ空気、又は酸素等の圧力気体の供給源に接続されており、該圧力気体4は図示のように筒状電極2中より加工間隙3に所定の圧力、流量、流速で噴出せしめられる。
前記筒状電極2は、後述するように通常直径が数mm前後程度以内、例えば内径φ0.41で、外径φ1.0mmの銅−タングステン筒状電極が、使用され、また径の大きい電極の場合には、被加工体1表面上に内径が大きいことによる加工取り残しの突起が形成されないように、パイプ断面開口が、長さ方向にわたって、例えば十字に仕切られた多穴管(前述[キックパイプ]登録商標)が使用され、内径は実質上、微小径の狭いものであるから、前記筒状電極2内の圧力気体流4中に液体ミストを混合させたとしても、管内流路長の関係もあって、液体ミスト状を保って加工間隙3に到達するミストは少なく、水滴と気体とが分離してしまい、そこで、液体ミストの混合量を増大させると、電極・被加工体の加工間隙の対向表面が液体に漏れた状態となり、気中放電加工としての特徴を失うこととなるものである。
そこで本発明は、図示するように加工部の近傍から、液体ミスト5を加工部の廻りに供給して介在させ、その一部を加工間隙に流入介在させて、液体ミスト5介在下での気中放電加工を実現したものである。
即ち、図1の場合、筒状電極2を保持する電極ホルダの先端周りに、ノズルブロック6を設け、該ノズルブロック6を挿通する筒状電極2の廻りに、軸に同軸に所定包皮厚さの同軸気体圧噴流7を形成させる同軸噴流ノズル8を形成させ、図示しない外部の圧力気体供給源からの供給圧力気体を供給パイプ9からノズルブロック6内の供給路6Aを介して供給し前記ノズル8から噴出させる。5Aはパイプ電極2の廻りに2〜3本等複数本設けた液体ミスト噴出ノズルで、前記ノズルブロック6の被加工体2側前縁と被加工体2表面との間に於いて前記同軸の気体圧噴流7に液体ミスト5が混合又は流れに乗るように供給するもので、前記液体ミスト5は、加工部の近傍に配置された通常水系の液体ミストの生成供給装置5Bから所定の水分量となるように調整されてノズル5Aから噴出供給される。前記ノズル5Aによる液体ミスト5の同軸気体圧噴流7への混合供給位置は、前記同軸気体圧噴流7が、ノズルブロック6から噴出形成される同軸噴流ノズル8の開口の少し手前又は直前の位置でも良い。
このようにして気中放電加工を実行すると、圧力気体4が加工間隙廻りに噴出されるものの、筒状電極2には1000〜5000rpm程度以内の回転が与えられているので間隙には回転動圧が発生しており、又加工によっては電極2と被加工体1との対向方向と直角方向に数100μm前後程度の並進運動が与えられていることから、液体ミスト5は単にパイプ電極2の先端側外周に一部が接触又は被着して冷却する丈でなく、一部は加工間隙に入り込んで、加工間隙、加工屑、電極2、被加工体1を冷却することが出来、前記加工屑の再被着を減じて排出を促進し、間隙を絶縁回復させるので放電頻度を増すことが出来る。
符号10は、気中放電加工による加工屑の飛散状況を模式的に示したもので、溶解した加工屑は閃光を放ちながら気体流に沿って、放射線状に花火のように拡散排出する。火花の全体量が多く、大きな火花が発生しているときは、加工屑が多く排出されているわけで、加工速度が大きい加工状態にあることを示している。また、火花粒の大きさは、放電1発当たりで除去される加工体積(加工屑の体積)を示しており、放電クレータの大きさ、つまり加工面粗さを予測することが出来る。以上のことから、火花の全体量を多くし、かつ各火花の粒、1つ1つを小さくするように加工条件を設定すれば良いことになる。他方、フラッシュのような肉眼に残像が現れるような強烈な閃光が発生するようなら、電極の異常消耗や加工面の悪化が生じている可能性が高いため、放電パルスのピーク値を下げたり、電圧パルス間休止時間を長くするなどの対策が必要である。
以上の結果、本発明によれば、荒加工の加工条件の領域では、主に冷却効果の作用による電極消耗率の低下が顕著に認められるのに対し、加工状態が不安定になり易い仕上げ加工の加工条件領域では、加工速度の向上と電極消耗率の低減とに顕著な効果があった。そして、加工面に対する加工屑の付着が少なくなるため加工面租さが改善され3〜4μmRmaxまで仕上げることが可能となった。
筒状電極2から加工間隙に噴流、噴出させる圧力気体は、加工屑、加工間隙等の冷却、及び加工屑の排出に加えて被加工体と化合して加工速度を増大させるためには、例えば、被加工体鉄材と化合する酸素を含有する空気、空気に酸素を付加等した酸素リッチ気体、又は酸素を所定の圧力気体状態として使用するものであり、之に対し筒状電極2の外周に所定の厚さで同軸状に包皮した状態の同軸状気体噴流7を形成させる気体は、加工作用に直接関与する割合が少ないので、回転圧縮機などの加圧空気を用いれば良い。
また、前記液体ミストの液体としては、前述のように気中放電加工の加工間隙や加工屑等の主として冷却であるから、又気中放電加工の環境に優しいと言う条件を損なわせないためにも、例えば、炭化水素系の鉱物油等は使用しないようにすべきものであり、最も手軽で安価に水道水等の水、又はワイヤ放電加工で使用する脱イオン水や、蒸留水が使用されるものであある。又、水にエタノール等の工業用アルコールを10〜20wt%添加した液体を使用すると、加工の安定化に寄与するようである。そして、同軸気体噴流7の噴流気体1lに対して液体として1ml以内、液体ミストとして0.5〜20ml/min程度を供給するようにするものである。なお、液体ミストは、高圧気体の霧吹きによって得られるものである。具体的には、例えば、前記ミスト用ノズル5Aが、中心に小径液体パイプ、該パイプの周りに同軸環状に高圧気体噴出ノズルを有する構造の、噴霧機や散粉機の長所を取り入れ、液体を噴射と高速気流によってミスト状に分散微粒子化(霧化)し、これを強力な送風で散布する所謂ミスト機が使用されるものである。
また、気中放電加工の加工状態の安定状態は、間隙電圧の検出や設定電圧パルス条件に対する放電頻度の検出等によっても勿論判別できるが、目視によっても比較的容易に判別することができる。例えば、加工が安定していて、綺麗な火花が出ていたら、充分な安定加工状態であるから、かかる場合には液体ミストの供給を減少調節することができるが如く加工安定状態で増減変更できるものであり、また、前述のように仕上げ加工の加工条件では、一般に加工状態が不安定なので、パイプ電極2内気体酸素3の噴流圧力を外部の同軸気体噴流7の圧力よりも低くなるように調節すると、同軸気体噴流7中の液体ミスト5がより多く加工間隙に入り込むためか、加工状態を安定化させられ得るものである。
即ち、加工状態の安定または不安定、良好または不良を調整、制御する手法として、電圧パルスや放電パルス等の電気的加工条件や、加工間隙の短絡防止等のサーボ送りの制御条件の外に、
液体ミストの供給量(ml/min)、
筒状電極からの気体噴流圧力若しくは流量、
及び同軸気体噴流の圧力若しくは流量等
が加工状態の安定化の調整、制御の要素としてある訳で、例えば、加工状態の不安定化移行に対応して、ミストの供給量を増加調整するように制御するか、筒状電極からの気体噴流圧を低下若しくは同軸噴流圧力を増大調整、制御するものである。そして、逆に、加工状態の安定度等により、上述の場合とは、ほぼ逆の微小の調整、制御をする場合がある外、予め取得した加工性能等のデータを基に、加工性能が最も高い加工状態や目的とする高精度等の加工性能が得られる加工状態の加工となるように、上述の調整、制御を行なうものである。
液体ミストの供給量(ml/min)、
筒状電極からの気体噴流圧力若しくは流量、
及び同軸気体噴流の圧力若しくは流量等
が加工状態の安定化の調整、制御の要素としてある訳で、例えば、加工状態の不安定化移行に対応して、ミストの供給量を増加調整するように制御するか、筒状電極からの気体噴流圧を低下若しくは同軸噴流圧力を増大調整、制御するものである。そして、逆に、加工状態の安定度等により、上述の場合とは、ほぼ逆の微小の調整、制御をする場合がある外、予め取得した加工性能等のデータを基に、加工性能が最も高い加工状態や目的とする高精度等の加工性能が得られる加工状態の加工となるように、上述の調整、制御を行なうものである。
本発明は、気中放電加工方法の加工速度を向上させる改良技術として有用なものである。
1 被加工体
2 筒状電極
3 加工間隙
4 噴流圧力気体
5 液体ミスト
5A 液体ミスト噴出ノズル
5B 液体ミストの生成供給装置
6 ノズルブロック
6A 圧力気体供給路
7 同軸圧力気体噴流
8 同軸噴流ノズル
9 供給パイプ
10 発生火花
2 筒状電極
3 加工間隙
4 噴流圧力気体
5 液体ミスト
5A 液体ミスト噴出ノズル
5B 液体ミストの生成供給装置
6 ノズルブロック
6A 圧力気体供給路
7 同軸圧力気体噴流
8 同軸噴流ノズル
9 供給パイプ
10 発生火花
Claims (4)
- 被加工体表面に対し微小間隙を隔てて筒状電極を相対向させ、該筒状電極を回転させるとともに、必要に応じ前記対向方向と直角方向に微小ストロークの相対的な並進運動を付与した状態とし、前記微小間隙に筒状電極から気体を加圧噴出させた状態で前記筒状電極と被加工体間に間歇的な電圧パルスを印加し、放電を発生させて前記対向方向の穿孔加工又は所望輪郭形状のキャビティを創成成形加工する気中放電加工方法において、
前記筒状電極の外周を所定の厚さで同軸状に包皮した状態の気体噴流を形成させ、該同軸気体噴流に液体ミストを供給し含有させることを特徴とする気中放電加工方法。 - 前記筒状電極から加工間隙に噴出させる気体が、空気、酸素リッチ空気または酸素、前記筒状電極周りの同軸噴流気体が加圧空気、そして前記同軸噴流気体に供給される液体ミストの液体が水道水を含む水、脱イオン水または蒸留水であることを特徴とする請求項1に記載の気中放電加工方法。
- 放電状態の検出により加工の安定と不安定状態を判別し、加工状態に応じて液体ミストの供給量、筒状電極からの噴出気体圧力若しくは噴流量、及び同軸気体噴流圧若しくは噴流量の内の1つ以上を調整することを特徴とする請求項1または2に記載の気中放電加工方法。
- 被加工体表面に対し微小間隙を隔てて筒状電極を相対向させ、該筒状電極を中心軸または該軸から微小変位した平行軸の廻りに回転するように支持すると共に、該筒状電極から微小間隙に気体を加圧噴出するように加圧気体の供給源に接続し、前記筒状電極と被加工体とを休止時間を置いて間歇的に電圧パルスを印加する放電加工用電源に接続し、電極と被加工体間に対向方向の相対的な加工送りを与える送り制御装置と前記対向方向と直角方向に相対的に送りを与える送り装置を設けた気中放電加工装置において、
前記筒状電極の外周を同軸状に包皮して軸方向に気体を加圧噴出する同軸噴流ノズルを結合して設け、前記同軸噴流ノズルから噴出する同軸噴流気体に液体ミストを含有させる液体ミスト供給装置を設けて成ることを特徴とする気中放電加工装置。
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JP2004289462A JP2006102828A (ja) | 2004-10-01 | 2004-10-01 | 気中放電加工方法及び装置 |
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