JP2006101935A - 表皮部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 表皮部材は、その表面の圧縮特性が最大荷重1cm2当り30g以下の領域での変位−荷重特性において、荷重30g/cm2における圧縮歪量が0.00527〜0.0110cm、圧縮回復性が56〜65%であり、上記表皮部材表面の平均摩擦係数が0.2〜0.4であることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
この車両用内装部材に使用される表皮部材には、見栄えが良いことだけでなく、乗員が触れたときの触感が良いことも重要な要素として要求されている。
更に、各圧縮特性値が上記範囲から外れると、良好ななじみ感を得ることが難しいからである。
更に、各圧縮特性値が上記範囲から外れると、より良好ななじみ感を得ることが難しいからである。
また、表皮部材表面の平均摩擦係数が0.2〜0.4であるので、好適な摩擦力を確保することができる。
(1)ステアリングホイールの摩擦特性
ステアリングホイールの摩擦特性を調べるためにステアリングホイールの握り力の測定を行った。様々な位置にセンサを取り付けた手袋を使用して、実際に走行している時に手にかかる荷重及び分布を調べた。
この測定により、実際に走行している時にステアリングホイールが30〜40Nの力で握られていることがわかった。また、走行時には、手のひらと中指第3関節のあたりを主に使用して握っており、それらがステアリングホイールに押し付けられるような状態で接していることがわかった。上記走行状態において、ステアリングを回すために必要な力である必要操舵力は8〜12Nであった。
従って、乗員に過度の負担がかかることなく、ステアリングホイールを回すための好適な摩擦力を確保するためには、ステアリングホイールの表面の平均摩擦係数μが0.2〜0.4であることが好ましい。
以下に人間の実際の感触に基づいた官能評価について説明する。
本実施形態では、人間の感触について体系的なデータを得るために、40人のメンバで構成されるグループ(評価会)を設定し、この評価会で種々の市販のステアリングホイールについてその感触(握り心地)を評価し、その感触品質のデータを採取した。
この官能評価では、8つのステアリングホイールのサンプル(S1〜S8とする)について、“握り心地が好き(Y)”を5段階で評価した。評価としては、“大変思う(Y=5とする)”、“かなり思う(Y=4)”、“やや思う(Y=3)”、“ふつう(Y=2)”、“思わない(Y=1)”を用いた。また、上記ステアリングホイールを握った時の握り心地に影響する感性因子として、“やわらかい”、“手に馴染む”、“滑らし易い”、“底つく感じ”、“つるつる”、“心地よい”、“べたべた”、“握り易い”を選択して評価した。上記官能評価に基づいて、“握り心地が好き”を目的変数とし、上記感性因子を説明変数として判別分析を行った。
図に示されるように、上記判別分析に基づく握り心地に最も影響を与える感性因子が“心地良い”であることが示されている。
また、“心地良さ”を得るためには、滑らし易さやべたつきにくさが求められる。上記のように、ステアリングホイールの表面の平均摩擦係数が0.2〜0.4である場合には、滑らし易く、べたつきにくいので心地良さを得ることができる。
次に、これらの官能評価と相関性を有する物理特性との関係について調べた。上記判別分析の結果に基づく握り心地の良いステアリングホイール及び握り心地の悪いステアリングホイールについて、その圧縮特性を評価するために、その変位―荷重特性を測定した。上記判別分析結果に示されるように、握り心地の良いステアリングホイールとしてはサンプルS2を選択し、握り心地の悪いステアリングホイールとしてはサンプルS6を選択した。なお、走行時の握り力に基づいて、圧縮特性の測定における最大荷重を30g/cm2と設定した。図3は、握り心地の良いステアリングホイールの変位―荷重特性の測定結果を示した説明図であり、図4は、握り心地の悪いステアリングホイールの変位−荷重特性の測定結果を示した説明図である。
圧縮仕事量(gf・cm/cm2)=aの面積+bの面積
圧縮回復仕事量(gf・cm/cm2)=bの面積
圧縮回復性(%)=(圧縮回復仕事量/圧縮仕事量)×100
圧縮剛さ(%)=(aの面積+bの面積)/三角形ABCの面積
圧縮歪量(mm)=T
圧縮損失仕事量(gf・cm/cm2)=aの面積
ここに、図中の矢印は荷重を加える工程及び荷重を取り除く工程を示しており、A点は測定開始位置を示し、B点は最大荷重を加えた時の荷重及び歪量の位置を示し、C点は最大荷重時における歪量(Tとする)の位置を示している。
握り心地の良いステアリングホイールは、握り心地の悪いステアリングホイールに比して、低荷重時より大きく変形して圧縮歪量が大きく、また、圧縮仕事量と圧縮回復仕事量の差である圧縮損失仕事量が大きい。
図6は、心地良さを各圧縮特性パラメータにより判別分析した結果を示す説明図である。図6には、影響の強い圧縮特性パラメータが各分岐点に示され、その判定基準値が示されている。また、分析対象の数(N)と分析対象Nにおける“心地良さ”の平均値(Average)とが表示されている。また、判別後の各サンプルも図に表されており、“心地良さ”のスコアが高いグループ(S1、S2、S7及びS8)が二点鎖線により示されている。
このように圧縮歪量及び圧縮回復性が、心地良さに非常に影響を及ぼしている。上記判別分析より、“心地良さ”のスコアの高いサンプルは、“握り心地が好き”のスコアの高いサンプルと同様であった。
図7に示されるように、上記判別分析結果に基づく圧縮歪量が0.00527cm以上である場合には、良好な心地良さ(心地良さスコアが3以上)を得ることができるが、それ以下の場合には良好な心地良さを得ることが難しい。また、上記サンプルの圧縮歪量が0.0110cmであることが示されている。更に、圧縮歪量が0.010以上である場合には、より良好な心地良さ(心地良さスコアが4以上)を得ることができることが示されている。なお、図7にはこれらの数値について実線で示されている。
図8に示されるように、圧縮回復性が56〜65%である場合には、良好な心地良さ(心地良さスコアが3以上)を得ることができるが、上記範囲から外れると心地良さを得ることが難しい。更に、圧縮回復性が59〜62%である場合には、より良好な心地良さ(心地良さスコアが4以上)を得ることができる。なお、図8にはこれらの数値について実線で示されている。
図9に示されるように、圧縮歪量が0.00527〜0.0110cmであり、圧縮回復性が56〜65%である場合には、良好ななじみ感(なじみ感スコアが3以上)を得ることができる。更に、圧縮歪量が0.0100〜0.0110cm、圧縮回復性が59〜62%である場合には、より良好ななじみ感(なじみ感スコアが4以上)を得ることができる。なお、図9にはこれらの数値について実線で示されている。
また、表皮部材表面の平均摩擦係数が0.2〜0.4である場合には、好適な摩擦力を確保することができる。
図に示される上記ステアリングホイールS9の圧縮歪量は0.00710cmであり、圧縮回復性は58%であり、表面摩擦係数は0.21であり、良好な握り心地を得るための上記圧縮特性及び物理量を満たしている。
図に示される上記ステアリングホイールS10の圧縮歪量は0.0106cmであり、圧縮回復性は60%であり、表面摩擦係数は0.21である。
図10及び11に示されるように、表皮部材の下側にクッション材を挿入することにより、圧縮歪量および圧縮回復性が大きくなり、握り心地性を向上させることができ、より良好な握り心地性を得ることができる。
図に示されるように、本実施形態に係るステアリングホイールは、触感及びなじみ感について大幅に向上されていることがわかる。また、クッション材を重ね合わせることにより、触感及びなじみ感をより向上させることができることが示されている。
また、良好な握り心地性を得るために、表皮部材として、上記圧縮特性及び各物理量を満足するその他の材料が使用されてもよい。
Claims (6)
- 表皮部材表面の圧縮特性が最大荷重1cm2当り30g以下の領域での変位−荷重特性において、荷重30g/cm2における圧縮歪量が0.00527〜0.0110cm、圧縮回復性が56〜65%であり、上記表皮部材表面の平均摩擦係数が0.2〜0.4であることを特徴とする表皮部材。
- 請求項1記載の表皮部材において、
上記圧縮歪量が0.010〜0.011cm、上記圧縮回復性が59〜62%であることを特徴とする表皮部材。 - 請求項1又は2に記載の表皮部材において、
上記表皮部材が、天然皮革を主材料とすることを特徴とする表皮部材。 - 請求項1〜3の何れか一に記載の表皮部材において、
上記表皮部材が、車両用内装部材の表面に被覆成形されてなるものであることを特徴とする表皮部材。 - 請求項4記載の表皮部材において、
上記車両用内装部材は、乗員が操作する操作部材であることを特徴とする表皮部材。 - 請求項5記載の表皮部材において、
上記操作部材が、ステアリングホイール又は操作レバーのノブの何れか一方であることを特徴とする表皮部材。
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