JP2006098665A - 光散乱フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光散乱フィルムを連続的に製造する際に、継ぎ目が目立たない(シームレスな)大サイズの製品を得る上で好適な手法を提案し、面付け〜断裁における生産性の向上や、断裁によって生じる廃棄される余剰部分の低下など、低コスト化の面でも有効な製造方法を提供する。
【解決手段】光散乱フィルムによる光散乱方向/範囲を決定することになる、屈折率の高低からなるパターンをフィルム表面に規定するための原版を通して、光重合性組成物層に光線を照射するにあたって、前記原版として、屈折率の高低からなるパターンに相当するように、領域毎に光線透過率が変化してなるパターンが形成された可撓性の高いフィルム状の原版を用いることを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】光散乱フィルムによる光散乱方向/範囲を決定することになる、屈折率の高低からなるパターンをフィルム表面に規定するための原版を通して、光重合性組成物層に光線を照射するにあたって、前記原版として、屈折率の高低からなるパターンに相当するように、領域毎に光線透過率が変化してなるパターンが形成された可撓性の高いフィルム状の原版を用いることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、光散乱特性に異方性を有する光散乱フィルムの製造方法に関する。
本発明は、特に、TN型液晶に代表されるツイスト配向された液晶素子と、光学補償用としてディスコティック液晶とを用いた液晶表示装置における一層のコントラストおよび視野角の向上に寄与するための光散乱フィルムの製造方法に関するものであり、前記液晶表示装置での下方向以外のコントラストおよび視野角を補償することを主目的とする。
本発明は、特に、TN型液晶に代表されるツイスト配向された液晶素子と、光学補償用としてディスコティック液晶とを用いた液晶表示装置における一層のコントラストおよび視野角の向上に寄与するための光散乱フィルムの製造方法に関するものであり、前記液晶表示装置での下方向以外のコントラストおよび視野角を補償することを主目的とする。
本願において、用語「異方性」とは、入射方向に応じて出射光の散乱特性が異なるような「入射角度選択性」と、散乱光の出射範囲・強度分布が異なるような「出射光の指向性」の双方の特性を含むものとする。
また、本願では、「光散乱」および「光拡散」は同義語であり、形態「シート」や「フィルム」や「板」も同義語として取り扱うため、「光散乱フィルム」や「拡散シート」や「拡散板」や「散乱体」などの用語を、以降は混同して用いることもある。
また、本願では、「光散乱」および「光拡散」は同義語であり、形態「シート」や「フィルム」や「板」も同義語として取り扱うため、「光散乱フィルム」や「拡散シート」や「拡散板」や「散乱体」などの用語を、以降は混同して用いることもある。
従来の拡散シートとしては、表面をマット状に加工した樹脂シートや、内部に拡散材を包含した樹脂シートなどが用いられている。
表面をマット状に加工した拡散フィルムの場合、フィルム表面をサンドブラスター処理のように物理的に加工してマット面を形成したり、あるいは、酸性またはアルカリ性の溶液による溶解処理により化学的にマット面を形成する手法が採用される。
マット面(凹凸の形状など)の制御により、散乱光の出射範囲/方向(出射光の散乱指向性)を制御することは可能であるが、光の入射角度に応じて散乱特性が変化するようなフィルムは、原理的に困難である。
マット面(凹凸の形状など)の制御により、散乱光の出射範囲/方向(出射光の散乱指向性)を制御することは可能であるが、光の入射角度に応じて散乱特性が変化するようなフィルムは、原理的に困難である。
また、内部に拡散材を包含した拡散フィルムにおいても、散乱性を制御するために、拡散材の屈折率,大きさ,形状などを制御する試みも為されているが、技術的に難易度が高く、実用上十分であるとは言えないのが現状である。
上記2種類(マット加工/拡散材)のフィルムでは、光散乱特性に指向性を持たせることは可能ではあるが、軸外しの光散乱特性(入射光とは、光軸を外して散乱光を出射する特性)を持たせることは原理上困難であり、指向性の制御の上で自由度が小さく、表示装置に適用しても、表示特性(明るさやコントラスト)の点で、向上に限度がある。
また、入射角度に応じた光散乱特性の変化(入射角度選択性)を持たせることは困難であり、その意味では、上記フィルムは「等方性」の光散乱特性を有するものである。
また、入射角度に応じた光散乱特性の変化(入射角度選択性)を持たせることは困難であり、その意味では、上記フィルムは「等方性」の光散乱特性を有するものである。
異方性を有する散乱板としてホログラムを用いた透過型液晶表示装置に係る特許出願が、(例えば、特許文献1参照)に示されている。
上記出願は、バックライトを有する液晶表示装置からの出射表示光を散乱させるものであり、散乱板としてホログラムを採用しているため、入射角度選択性や散乱指向性を制御することも容易ではあるが、必然的に分光(波長分散)を伴ってしまうため、観察する視点を移動するに応じて、表示光の色が変化して視覚されることになる。
上記出願は、バックライトを有する液晶表示装置からの出射表示光を散乱させるものであり、散乱板としてホログラムを採用しているため、入射角度選択性や散乱指向性を制御することも容易ではあるが、必然的に分光(波長分散)を伴ってしまうため、観察する視点を移動するに応じて、表示光の色が変化して視覚されることになる。
表示光の色変化を回避するため、分光を伴う回折現象に基づかない異方性光散乱機能を奏する光散乱フィルムに関して、本出願人は提案している。(例えば、特許文献2参照)
特許文献2に開示される光散乱フィルムは、
フィルム内部での、屈折率の異なる部分の分布に応じて、
フィルム表面では、屈折率の高低からなるパターンが形成されており、屈折率の異なる部分の形状が、一様に縦長(あるいは、横長)となっており、
フィルム断面では、屈折率の異なる部分が、フィルムの厚さ方向に対して傾斜して分布している構造を有している光散乱フィルムであって、
フィルム表面での屈折率の異なる部分の形状に応じて、光散乱特性が、水平方向に大きく(あるいは、垂直方向に大きく)なるような指向性を持つと共に、
屈折率の異なる部分が分布する傾斜方向に沿った角度で入射する光に対しては、光散乱が生じ、
上記傾斜方向とは垂直な角度で入射する光に対しては、単なる透明フィルムとして機能するような、光散乱性に入射角度選択性を持つことを特徴とする。
フィルム内部での、屈折率の異なる部分の分布に応じて、
フィルム表面では、屈折率の高低からなるパターンが形成されており、屈折率の異なる部分の形状が、一様に縦長(あるいは、横長)となっており、
フィルム断面では、屈折率の異なる部分が、フィルムの厚さ方向に対して傾斜して分布している構造を有している光散乱フィルムであって、
フィルム表面での屈折率の異なる部分の形状に応じて、光散乱特性が、水平方向に大きく(あるいは、垂直方向に大きく)なるような指向性を持つと共に、
屈折率の異なる部分が分布する傾斜方向に沿った角度で入射する光に対しては、光散乱が生じ、
上記傾斜方向とは垂直な角度で入射する光に対しては、単なる透明フィルムとして機能するような、光散乱性に入射角度選択性を持つことを特徴とする。
特許文献2で説明される光散乱フィルムの製造方法は、以下の通りである。
<作製手段1:ランダムマスクパターンを利用(図1参照)>
UV光源15から出た紫外光をコリメート光学系16により平行光17とし、マスク原版18を照射する。マスク原版18は、ガラス基板20とランダムパターンであるクロムパターンとからなる。
<作製手段1:ランダムマスクパターンを利用(図1参照)>
UV光源15から出た紫外光をコリメート光学系16により平行光17とし、マスク原版18を照射する。マスク原版18は、ガラス基板20とランダムパターンであるクロムパターンとからなる。
マスク原版18のUV照射側とは反対の面には感光材料19を密着して配置しており、マスク原版18のパターンを感光材料19に露光照射する。
この際、図示のようにUV平行光17とマスク原版18は所定角度αだけ傾いて配置されているため、パターン露光は感光材料19中で、所定角度傾いてなされることになる。
この角度が、光散乱フィルム中の屈折率の異なる部分の傾斜角度(すなわち、入射角度依存性の散乱ピーク角度)に相当する。
この際、図示のようにUV平行光17とマスク原版18は所定角度αだけ傾いて配置されているため、パターン露光は感光材料19中で、所定角度傾いてなされることになる。
この角度が、光散乱フィルム中の屈折率の異なる部分の傾斜角度(すなわち、入射角度依存性の散乱ピーク角度)に相当する。
<作製手段2:スペックルパターンを利用(図2参照)>
レーザー光源23から出たレーザー光24ですりガラス25を照射する。
すりガラス25のレーザー照射側とは反対の面には、所定距離Fをおいて感光材料19を配置し、すりガラス25で透過散乱したレーザー光が作り出す複雑な干渉パターンであるスペックルパターンが感光材料19に露光照射される。
レーザー光源23から出たレーザー光24ですりガラス25を照射する。
すりガラス25のレーザー照射側とは反対の面には、所定距離Fをおいて感光材料19を配置し、すりガラス25で透過散乱したレーザー光が作り出す複雑な干渉パターンであるスペックルパターンが感光材料19に露光照射される。
この際、図示のようにすりガラス25と感光材料19は所定角度αだけ傾いて配置されているため、スペックルパターンは感光材料中で、所定角度傾いて露光されることになる。
この角度が、光散乱フィルム中の屈折率の異なる部分の傾き(すなわち、入射角度依存性の散乱ピーク角度)に相当する。
この角度が、光散乱フィルム中の屈折率の異なる部分の傾き(すなわち、入射角度依存性の散乱ピーク角度)に相当する。
密着露光により、マスク原版のパターンを感光材料に記録する作製手段1における前記マスク原版としては、計算機を用いた乱数計算から作製した白黒パターンデータを、所謂フォトリソグラフィーの手法によりガラス基板20上の金属クロムパターン21としてエッチングしたものや、リス乾板を使った写真手法などにより作製したものが例示されている。
リジッドで比較的小サイズのマスク原版を用いる場合、連続的に供給されるフィルム状の感光材料にマスク原版のパターンを記録する際、マスク原版を露光済みの箇所から一旦離間させ、未露光の感光材料表面に移動した後、露光記録を行なうことになる。
このように製造される光散乱フィルムは、光散乱機能を奏する単位サイズがマスク原版のサイズに依存することになる。
単位サイズ間の隙間を小さくして、継ぎ目を目立たなくしようとしても、マスク原版が感光材料に接触することに起因して、特にマスク原版のエッジ部の形状に応じた境界線が感光材料表面で明確に形成されやすく、継ぎ目の解消は困難な現状にある。
このように製造される光散乱フィルムは、光散乱機能を奏する単位サイズがマスク原版のサイズに依存することになる。
単位サイズ間の隙間を小さくして、継ぎ目を目立たなくしようとしても、マスク原版が感光材料に接触することに起因して、特にマスク原版のエッジ部の形状に応じた境界線が感光材料表面で明確に形成されやすく、継ぎ目の解消は困難な現状にある。
従って、マスク原版を超えるサイズの光散乱フィルムを得たい場合には、必然的に継ぎ目が内部に存在することになり、外観上あるいは適用製品の機能上の問題につながってしまう。
特に、マスク原版を大きく超えるサイズの光散乱フィルムを得る場合には、単位サイズの光散乱フィルム内に存在する継ぎ目の数を少なくするための面付け処理を要するため、光散乱フィルムの断裁工程における取り扱いが一層困難となる。
特に、マスク原版を大きく超えるサイズの光散乱フィルムを得る場合には、単位サイズの光散乱フィルム内に存在する継ぎ目の数を少なくするための面付け処理を要するため、光散乱フィルムの断裁工程における取り扱いが一層困難となる。
本発明では、光散乱フィルムを連続的に製造する際の上記課題を解消し、継ぎ目が目立たない(シームレスな)大サイズの製品を得る上で好適な手法を提案し、面付け〜断裁における生産性の向上や、断裁によって生じる廃棄される余剰部分の低下など、低コスト化の面でも有効な製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、特許文献2で用いられる上記原版として、領域毎に光線透過率が変化してなるパターンが形成された可撓性の高いフィルム状の原版を用いることを特徴とする。
すなわち、請求項1記載の本発明は、
フィルム表面に形成された光重合性組成物層に、特定方向から光線を照射し、前記組成物を重合させル工程を備え、前記特定方向に対応する特定角度範囲の入射光のみを選択的に散乱する光散乱フィルムを製造する方法において、
光散乱フィルムによる光散乱方向/範囲を決定することになる、屈折率の高低からなるパターンをフィルム表面に規定するための原版を通して、光重合性組成物層に光線を照射するにあたって、
前記原版として、屈折率の高低からなるパターンに相当するように、領域毎に光線透過
率が変化してなるパターンが形成された可撓性の高いフィルム状の原版を用いることを特徴とする光散乱フィルムの製造方法である。
フィルム表面に形成された光重合性組成物層に、特定方向から光線を照射し、前記組成物を重合させル工程を備え、前記特定方向に対応する特定角度範囲の入射光のみを選択的に散乱する光散乱フィルムを製造する方法において、
光散乱フィルムによる光散乱方向/範囲を決定することになる、屈折率の高低からなるパターンをフィルム表面に規定するための原版を通して、光重合性組成物層に光線を照射するにあたって、
前記原版として、屈折率の高低からなるパターンに相当するように、領域毎に光線透過
率が変化してなるパターンが形成された可撓性の高いフィルム状の原版を用いることを特徴とする光散乱フィルムの製造方法である。
最終製品として得ようとするサイズの拡散フィルムと同程度の長さを有し、可撓性の高い材料からなる(内部に、散乱パターンの継ぎ目の無い)フィルム状の原版を、感光材料にラミネートし、前記原版のパターンを感光材料に露光記録(転写)することにより、特に原版のエッジ部での継ぎ目の目立たない拡散フィルムを作製することが可能となる。
原版が、無終端のループ状のものであると、感光材料フィルムの供給方向については、最大で感光材料フィルムの長さまで、サイズの制約がない大サイズの拡散フィルムを作製することが可能となる。
可撓性の高いフィルム状の原版を用いる事によって、感光材料上での露光記録(転写)の際に、1度に行なわれる露光単位の境界を不鮮明に出来、次の露光単位と重なり部分を持つように露光記録(転写)を行なうことにより、繋ぎ目のない拡散パターンが記録された、拡散フィルムを作製する事ができる。
また、このような拡散フィルムをTACフィルム、ゼオノアフィルム、ARTONフィルム等に直接形成する事により、この拡散フォルムと、もう一枚の透明支持体で、ポリビニールアルコールとヨウ素等からなる、偏光層を挟持する事により、拡散層を有した偏光板を容易に作製する事ができる。
また、継ぎ目の無いフィルム状の原版を用いる事によって、継ぎ目の無いフィルムを作製する事ができ、断裁時等での無駄を減らすことができる事から、コストを削減する事ができる。
また、このような拡散フィルムをTACフィルム、ゼオノアフィルム、ARTONフィルム等に直接形成する事により、この拡散フォルムと、もう一枚の透明支持体で、ポリビニールアルコールとヨウ素等からなる、偏光層を挟持する事により、拡散層を有した偏光板を容易に作製する事ができる。
また、継ぎ目の無いフィルム状の原版を用いる事によって、継ぎ目の無いフィルムを作製する事ができ、断裁時等での無駄を減らすことができる事から、コストを削減する事ができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
本発明における主要な特徴は、原版に形成される光散乱パターンが、透光部/非透光部からなる(または、光線透過率の変化)形態である。
本発明における主要な特徴は、原版に形成される光散乱パターンが、透光部/非透光部からなる(または、光線透過率の変化)形態である。
露光記録に用いる光線として紫外線が好適であるが、紫外線の光源としては、ショートアークのランプである、高圧水銀ランプ,超高圧水銀ランプ,メタロハライドランプなどが特に好適である。
これらのランプからの光を、凹面鏡または凸レンズで略平行な光にし、感光材料に照射する。これらのランプは、十分に高い出力を有するため、複製の際の高いラインスピードを得ることができる。
また、この際、フライアイレンズや拡散板を用いて、光量の分布を均一にして、均一性の高い拡散フィルムが得られるようにしても良い。
これらのランプからの光を、凹面鏡または凸レンズで略平行な光にし、感光材料に照射する。これらのランプは、十分に高い出力を有するため、複製の際の高いラインスピードを得ることができる。
また、この際、フライアイレンズや拡散板を用いて、光量の分布を均一にして、均一性の高い拡散フィルムが得られるようにしても良い。
また、原版に記録されたパターン(光散乱フィルムにおける、屈折率の高低からなるパターンに相当する、領域毎に光線透過率が変化してなるパターン)内の一部の光線透過率を周辺と異ならせることで、原版の特徴(ID),ロット番号,サイド(表裏),後加工,フィルムの種類,フィルムの向き(用途に応じた天地)などの指示を意味する文字,数字,記号,マーク,カケ,突起などを原版に記録することにより、光散乱フィルム(製品)に、前記の各種情報を記録することが出来、光散乱フィルムの後加工を行なう際に、取り違えや、加工手順の間違い、適用する際の向きを間違えることなどを抑制することができる。
原版に記録されたパターンは、スペックルのような不規則な形状,サイズであっても良いし、アレイ状の整然とした配列からなるパターンであっても良い。
後者の場合、周期的な配列であることに起因するモアレの問題を考慮する必要もあるが、セル(アレイの単位要素)が目視で視認することが難しい程度に小さければ、セルが周期的に配置されていることによる問題が顕在化しない。
後者の場合、周期的な配列であることに起因するモアレの問題を考慮する必要もあるが、セル(アレイの単位要素)が目視で視認することが難しい程度に小さければ、セルが周期的に配置されていることによる問題が顕在化しない。
上記原版に記録されたパターンとして、透光領域と遮光領域の比率は、10:90〜90:10の範囲で選択できる。
特定の計測領域における平均の光線透過率は、透光領域の光線透過率と透光領域の面積比との積によって求められるが、通常の透明フィルムでの光線透過率は、80〜95%程度であるため、透光領域と遮光領域の比率が90:10である場合は、フィルム状の原版の透過率は、72〜85.5%となる。逆に、透光領域と遮光領域の比率が10:90である場合は、フィルム状の原版の透過率は、8〜9.5%となる。
特定の計測領域における平均の光線透過率は、透光領域の光線透過率と透光領域の面積比との積によって求められるが、通常の透明フィルムでの光線透過率は、80〜95%程度であるため、透光領域と遮光領域の比率が90:10である場合は、フィルム状の原版の透過率は、72〜85.5%となる。逆に、透光領域と遮光領域の比率が10:90である場合は、フィルム状の原版の透過率は、8〜9.5%となる。
また、フィルム状の原版は、透明支持体,パターン記録層,オーバーコート層からなる構成とすることができる。
このうち、パターン記録層は、透光/遮光により構成されるため、インキを用いた印刷による形態であったり、感光材料(銀塩やリスフィルムなど)による濃淡により形成するなど、各種の材料,手法が適宜に選択される。
このうち、パターン記録層は、透光/遮光により構成されるため、インキを用いた印刷による形態であったり、感光材料(銀塩やリスフィルムなど)による濃淡により形成するなど、各種の材料,手法が適宜に選択される。
インキを用いた印刷によるパターン記録の場合、近年、環境に対する関心の高まりから、石油系の溶剤を使用しないようなインキが広く用いられており、このような石油系の溶剤の代替品として、大豆油が広く用いられている。
パターンの印刷形成の場合、透明支持体である可撓性の高いフィルムに、グラビア印刷法,オフセット印刷法により直接印刷することにより、パターン記録層を省略することができる。
オーバーコート層としては、フッ素またはシリコンを含有することにより、感光材料との離型性を高めることが出来、製造工程の上で好適である。
このようなオーバーコート層表面では、水の接触角により、防護性を調べる事が出来、通常45°以上の接触角であり、望ましくは、90°以上である。
このようなオーバーコート層表面では、水の接触角により、防護性を調べる事が出来、通常45°以上の接触角であり、望ましくは、90°以上である。
オーバーコート層においても、作業環境の向上,環境への配慮から、水性コート剤が用いられるようになってきており、本発明の原版においても、そのようなコート剤を用いることができる。
前記拡散フィルム用原版の拡散パターン記録は、繋ぎ目の無いパターンである事が望ましい。このようなパターンを記録する方法としてオフセット印刷法または、グラビア印刷法により、繋ぎ目のない拡散パターンが記録されたフィルム状原版を作製する事ができる。
このような継ぎ目の無い拡散パターンを印刷するためのシリンダーを作成する方法としてはレーザービームによりグラビアシリンダー面に直接セルを形成する彫刻方式もしくはグラビアシリンダー面に感光剤を介して間接的にセルを形成する露光・現像・腐食方式で製版されたシリンダーを用いる事ができる。
このようなフィルム状の原版を透明支持体(PET、PEN、TAC、ARTONフィルム、ゼオノアフィルム、ポリカーボネート等)に感光材料を塗工し、感光材料にラミネートする事によって、感光材料フィルムを得る事ができる。
この感光材料に紫外線を照射する事によって、フィルム状の原版のパターンが感光材料層に記録され、容易に拡散フィルムを得る事ができる。
また、後の工程においても、フィルム原版をラミネートした状態で、工程を通す事ができ、加熱工程上で生じる異物の混入等を防止する事が可能であり、また表面の平滑性も高いものを得ることができる。また、折り返した形でのパスを通る事ができるため、加熱炉の長さを短くする事ができる。
この感光材料に紫外線を照射する事によって、フィルム状の原版のパターンが感光材料層に記録され、容易に拡散フィルムを得る事ができる。
また、後の工程においても、フィルム原版をラミネートした状態で、工程を通す事ができ、加熱工程上で生じる異物の混入等を防止する事が可能であり、また表面の平滑性も高いものを得ることができる。また、折り返した形でのパスを通る事ができるため、加熱炉の長さを短くする事ができる。
また、原版のパターンを感光材料フィルムに転写する際に、平行な紫外線又は電子線を照射する際に、その一部を遮蔽する事によっても、露光記録される拡散パターンの一部を欠如させたり、または非記録領域を設けることも出来、上述した、原版のパターンに各種情報を記録することと同様の作用を持たせることが可能となり、複製時の状態,ロット,後加工時の指示を表示する文字,数字,ロゴ,マークなどを感光材料フィルムに記録することが出来、後加工をやりやすくし、ミスも抑制できる。
通常の拡散フィルムと異なり、入射方向によって、散乱性の異なるフィルムを光を散乱するパターンをUV光等により感光性樹脂に転写することによって、感光性樹脂の屈折率がそのUV光の照射量にしたがって変化し、散乱性を有するフィルムを作成する事ができる。
<グラビア印刷法>
グラビア印刷法は、印刷版のセル(窪み)にインキを入れ、それを被印刷体に転写する方式で、一般的なオフセットや凸版等の印刷方式に比べてインキ量を多くできること、印刷スピードが速いこと、またインキが蒸発乾燥型なのでプラスチックフィルムなど浸透しない被印刷体への印刷に適していて、軟包装材印刷分野ではほとんどこの印刷方式が採用されている。
グラビア印刷法は、印刷版のセル(窪み)にインキを入れ、それを被印刷体に転写する方式で、一般的なオフセットや凸版等の印刷方式に比べてインキ量を多くできること、印刷スピードが速いこと、またインキが蒸発乾燥型なのでプラスチックフィルムなど浸透しない被印刷体への印刷に適していて、軟包装材印刷分野ではほとんどこの印刷方式が採用されている。
従来、上記のようなグラビア印刷物を得るための印刷版の製造法(以下、製版法という)として種々あるが、最も一般的な方法として、センシタイズされたカーボンチッシュに、グラビア用白線スクリーンと連続調ポジフィルムを焼き付け、それをグラビアシリンダーに転写・現像して、シリンダーを化学的に腐食する所謂コンベンショナルグラビア方式がある。
この製版法はカーボンチッシュを使用すること、化学的に腐食すること等工程数が多く時間を要し、かつ不安定要素が極めて多く、結果として広い面積の印刷物に部分的に色ムラ等が発生する危惧のある製版法であって、最近は多く使用されていない方式である。
この製版法はカーボンチッシュを使用すること、化学的に腐食すること等工程数が多く時間を要し、かつ不安定要素が極めて多く、結果として広い面積の印刷物に部分的に色ムラ等が発生する危惧のある製版法であって、最近は多く使用されていない方式である。
これら不安定要素等の改良法として、網点グラビア製版方式があり、その方式の一例として、ネガ型感光剤が塗布されたグラビアシリンダーに、グラビア用の網点ポジフィルムを介して露光現像し、化学的に腐食する製版法であり、不安定なカーボンチッシュや連続調ポジフィルムを使用していないので、比較的安定した版が得られ、少なくとも部分的に色ムラの発生の問題は解消されているが、カラーの階調再現性に劣るという問題がある。
これに対し近年のエレクトロニクスの進展に伴い、不安定な化学的腐食など必要とせず、ダイヤモンド針で回転するグラビアシリンダーに直接セル(cell:グラビア版の画像部となる窪み)を刻設する方式(以下、電子彫刻製版法という)が出現し、安定してカラーの階調再現性に優れ、かつ工程数も少なく製版時間も短い等のほか、さらに、この製版の前工程であるプリプレス部門でのディジタル化原稿データに対応が容易であることから現在の主流となってきた。
昨今、以上のような問題点の全てを解消しようという目的で開発され、実用化されているのが、レーザービームによる製版方法で、回転するグラビアシリンダーに直接あるいは間接的に丸形のセルを形成する方法である。この製版方法の特徴は、ディジタル化された原稿データの取り入れが容易で、レーザービームによるセル形成速度(彫刻速度)が速いので、ビームの走査線数(以下彫刻線数という)を多くでき、よって文字等細線の再現性に優れていることである。
このような方法のシリンダーを用いれば、フィルム原版に印刷されるパターンは、継ぎ目のないものを得る事ができ、このフィルム原版をラミネートした感光材料フィルムに平行な紫外線を照射する事によって、光の入射方向によって拡散性の異なるフィルムを得る事ができる。
このようなパターンでは、光の波長程度の繰り返しパターンができた状態では、光の回折に起因して、分光に伴う虹色の光が出てしまう。
また、繰り返しパターンを有していると、液晶表示装置のセルとの間で、モアレが生じてしまう。
また、繰り返しパターンを有していると、液晶表示装置のセルとの間で、モアレが生じてしまう。
このため、規則性を有しながらも、繰り返しでないパターンである事が望ましい。これを実現するために、2種類以上の大きさ、ピッチのパターンを用いても良い。
しかし、このようなパターンを記録する場合においては、繰り返しを有しない場合においては、すべての面でデータを作製することが必要となり、描画に必要なデータ量が莫大に量となってしまう。
しかし、このようなパターンを記録する場合においては、繰り返しを有しない場合においては、すべての面でデータを作製することが必要となり、描画に必要なデータ量が莫大に量となってしまう。
このような傾向は、特に大画面化を図る場合に、顕著になってしまい、大きな障害となってしまう。そこで、1ミリ角程度の中では、規則性を有しながらも、繰り返しでないパターンであり、それのパターンを全面に転写して行くことによってデータ量を大幅に削減しながらも、上記のような弊害が起きないような拡散フィルムの原版を作製することが可能となる。
一般的に広く光を拡散させるようなフィルムを作製する場合、細かいパターン(例えば、0.5〜5μm程度)の原版を使用する事によって、広い範囲に光を散乱する拡散フィルムを得ることができる。
また、(例えば、5〜50μm程度)のものを用いる事によって、狭い範囲に光を散乱する拡散フィルムを得る事ができる。
また、(例えば、5〜50μm程度)のものを用いる事によって、狭い範囲に光を散乱する拡散フィルムを得る事ができる。
このように、拡散フィルムの散乱性は拡散フィルムに記録された拡散パターンにより制御が可能であり、その拡散パターンはフィルムを作製する際の原版のパターンに依存する。従って、原版のパターンを所望のデータから作製する事によって、望ましい散乱性を有する拡散フィルムを作製する事が可能となる。
また、このようなパターンの光を遮断する部分と、光の透過する部分の比率を適切にすることにより、より入射角度の変化に対して、散乱性の変化が大きいものを得ることができる。
実験により、光を遮断する部分と光を透過する部分の比率を10:90、または、90:10としたもので、UVを略30度から反応性フィルムに入射することにより拡散フィルムを作製した場合、ヘーズが60程度で、垂直方向から平行光をフィルムの入射したときの透過輝度が30%以上であり、略30度から入射した際には、10%以下のものが得られた。
また、光を遮断する部分と光を透過する部分の比率を40:60〜60:40にしたものでは、垂直方向から平行光をフィルムの入射したときの透過輝度が40%以上であり、略30度から入射した際には、8%以下のものが得られた。
また、光を遮断する部分と光を透過する部分の比率を40:60〜60:40にしたものでは、垂直方向から平行光をフィルムの入射したときの透過輝度が40%以上であり、略30度から入射した際には、8%以下のものが得られた。
また、このようなフィルムを、ツイスト配向された液晶表示パネルに適用すると、位相差フィルムで位相差補償されない方向の光のみを拡散し、それ以外の光に対しては、光を透過するような特性とする事によって、正面でのボケの低減と、広視野角を実現可能である。
このような密度は、例えば原版の透過率を測ることより求めることができる。通常用いられるマスクブランクスでは、ソーダライムガラスや、石英ガラスで屈折率が約1.5であるため、ガラスの透過率は、表裏面の反射により90〜92%程度である。このガラス単体での透過率と、パターンが記録されている部分の原版の透過率から、原版に記録されているパターンの密度を測定する事ができる。
通常の拡散フィルムと異なり、入射方向によって、散乱性の異なるフィルムを光を散乱するパターンをUV光等により感光性樹脂に転写することによって、感光性樹脂の屈折率がそのUV光の照射量にしたがって変化し、散乱性を有するフィルムが公知である。このような拡散フィルムでは、感光性樹脂にパターンを転写する際、その元となる原版のパターンが転写する。そのため、原版のパターンは、光の散乱は、原版のパターンに大きく依存する。このようなパターンを描画する方法としては、電子線またはレーザー光等をレジストがコートされたガラス板上でスキャンする事によって、パターンをつくることができる。
これを原版として用いる事によって、この原版のパターン通り拡散フィルムを作製することができる。
このようなパターンでは、光の波長程度の繰り返しパターンができた状態では、光の回折に起因して虹色の光がでてしまう。
また繰り返しパターンを有していると、液晶表示装置のセルとの間で、モアレが生じてしまう。このため規則性を有しながらも、繰り返しでないパターンである事が望ましい。
このようなパターンでは、光の波長程度の繰り返しパターンができた状態では、光の回折に起因して虹色の光がでてしまう。
また繰り返しパターンを有していると、液晶表示装置のセルとの間で、モアレが生じてしまう。このため規則性を有しながらも、繰り返しでないパターンである事が望ましい。
しかし、このようなパターンを記録する場合においては、繰り返しを有しない場合においては、すべての面でデータを作製することが必要となり、描画に必要なデータ量が莫大に量となってしまう。
このような傾向は、特に大画面化を図る場合に、顕著になってしまい、大きな障害となってしまう。
そこで、1ミリ角程度の中では、規則性を有しながらも、繰り返しでないパターンであり、それのパターンを全面に転写して行くことによってデータ量を大幅に削減しながらも、上記のような弊害が起きないような拡散フィルムの原版を作製することが可能となる。
このような傾向は、特に大画面化を図る場合に、顕著になってしまい、大きな障害となってしまう。
そこで、1ミリ角程度の中では、規則性を有しながらも、繰り返しでないパターンであり、それのパターンを全面に転写して行くことによってデータ量を大幅に削減しながらも、上記のような弊害が起きないような拡散フィルムの原版を作製することが可能となる。
このように略周期的に配置されている拡散フィルムは、レーザー描画装置などにより、ある所望のパターンを形成したのち、それを繰り返しパターニングする事によって、作製することができる。このようにすることによって、パターニングに用いるデータのデーター量を極端に減らす事ができる。
また、一つのマスターとなる版を面付けしていく事によっても拡散フィルムを作製することができる。
この際に、パターンとして小さな円等からなる周期的なパターンでは、光の回折により、虹色の着色を起こす事がある。そのため、これらを抑制するために、2種類以上の大きさ、ピッチのパターンを用いてもよい。この際に極小さな領域(1μm〜10mm)程度の中では、完全な周期性を有していないが、この小さな領域をマスターとして、フィルム全体のパターンを形成することによって、パターニングの際のデータ量を減らす事が可能となる。
この際に、パターンとして小さな円等からなる周期的なパターンでは、光の回折により、虹色の着色を起こす事がある。そのため、これらを抑制するために、2種類以上の大きさ、ピッチのパターンを用いてもよい。この際に極小さな領域(1μm〜10mm)程度の中では、完全な周期性を有していないが、この小さな領域をマスターとして、フィルム全体のパターンを形成することによって、パターニングの際のデータ量を減らす事が可能となる。
上記方法により作製されたフィルム状の原版を透明支持体に感光材料を塗布し、フィルム状の原版をその感光材料の上にラミネートし、フィルム状の原版側から紫外線を照射することによって、フィルム状の原版のパターンを感光材料に転写することができる。
この際、用いる透明支持体としては、PETフィルム(東レ製ルミラー、 帝人デュポンフィルム製、三菱製、ダイヤフィルム等)または、ARTONフィルム、日本ゼオン製ゼオノアフィルム、TACフィルム(富士写真フィルム製 フジタック、コニカ製 コニタック)等を用いる事ができる。
また、この際、感光材料とフィルム状の原版の間に、ハードコート層をあらかじめ塗布してもよい。
この際、用いる透明支持体としては、PETフィルム(東レ製ルミラー、 帝人デュポンフィルム製、三菱製、ダイヤフィルム等)または、ARTONフィルム、日本ゼオン製ゼオノアフィルム、TACフィルム(富士写真フィルム製 フジタック、コニカ製 コニタック)等を用いる事ができる。
また、この際、感光材料とフィルム状の原版の間に、ハードコート層をあらかじめ塗布してもよい。
また、複製を行なっている途中で、原版を変更または、紫外線の照射量,照射角度を適宜変えることによって、一つの巻きの中に2つ以上の異なった品種のを混在させることができ、多品種小ロットの場合にも、容易に対応できる。
また、原版のパターンが記録されている面に直接感光材料が塗布され記録を行うため、振動等により、光源が変動しても、記録されるパターンへの影響が極めて少ないため、安定した露光が行える。
このようにして剥離した複製フィルムは感光材料等が露出しているので、これを巻き取るには、感光材料側に保護フィルムを貼り合わせる事により、傷等を予防する事ができる。
また、フィルムを後工程でシート状に断裁し、表示装置または、偏光板等に貼合して使用することも可能である。また、あらかじめ、拡散パターンが記録されていない領域の拡散層を剥離(トリミング)しても良い。
一般的に広く光を拡散させるようなフィルムを作製する場合、細かいパターン(例えば、0.5〜5μm程度)の原版を使用する事によって、広い範囲に光を散乱する拡散フィルムを得ることができる。
また、(例えば、5〜50μm程度)のものを用いる事によって、狭い範囲に光を散乱する拡散フィルムを得る事ができる。
このように、拡散フィルムの散乱性は拡散フィルムに記録された拡散パターンにより制御が可能であり、その拡散パターンはフィルムを作製する際の原版のパターンに依存する。従って、原版のパターンを所望のデータから作製する事によって、望ましい散乱性を有する拡散フィルムを作製する事が可能となる。
また、(例えば、5〜50μm程度)のものを用いる事によって、狭い範囲に光を散乱する拡散フィルムを得る事ができる。
このように、拡散フィルムの散乱性は拡散フィルムに記録された拡散パターンにより制御が可能であり、その拡散パターンはフィルムを作製する際の原版のパターンに依存する。従って、原版のパターンを所望のデータから作製する事によって、望ましい散乱性を有する拡散フィルムを作製する事が可能となる。
また、このようなパターンの光を遮断する部分と、光の透過する部分の比率を適切にすることにより、より入射角度の変化に対して、散乱性の変化が大きいものを得ることができる。実験より、光を遮断する部分と光を透過する部分の比率を30:70、または、70:30としたもので、UVを略30度から反応性フィルムに入射することにより拡散フィルムを作製した場合、ヘーズが60程度で、垂直方向から平行光をフィルムの入射したときの透過輝度が30%以上であり、略30度から入射した際には、10%以下のものが得られた。
また、光を遮断する部分と光を透過する部分の比率を40:60〜60:40にしたものでは、垂直方向から平行光をフィルムの入射したときの透過輝度が40%以上であり、略30度から入射した際には、8%以下のものが得られた。
また、光を遮断する部分と光を透過する部分の比率を40:60〜60:40にしたものでは、垂直方向から平行光をフィルムの入射したときの透過輝度が40%以上であり、略30度から入射した際には、8%以下のものが得られた。
また、このようなフィルムを、ツイスト配向された液晶表示パネルに適用すると、位相差フィルムで位相差補償されない方向の光のみを拡散し、それ以外の光に対しては、光を透過するような特性とする事によって、正面でのボケの低減と、広視野角を実現可能である。
<光散乱フィルム>
図3は、本発明により作製される拡散フィルムの断面の一例を示す説明図である。
同図に示すように、拡散フィルムの内部では、屈折率の異なる部分が分布し、屈折率の高低からなる濃淡(同図では、模式的に白−黒で表現するが、実際は、屈折率の高低に関わらず、一様に透明である)を形成している。
また、光の回折による色付きを抑制するため屈折率の異なる部分は微小な領域内(0.1〜1mm程度)では、非周期的であるが、そのサイズは規則的であり、その空間周波数は、どの場所をとっても、略一定となっている。
図3は、本発明により作製される拡散フィルムの断面の一例を示す説明図である。
同図に示すように、拡散フィルムの内部では、屈折率の異なる部分が分布し、屈折率の高低からなる濃淡(同図では、模式的に白−黒で表現するが、実際は、屈折率の高低に関わらず、一様に透明である)を形成している。
また、光の回折による色付きを抑制するため屈折率の異なる部分は微小な領域内(0.1〜1mm程度)では、非周期的であるが、そのサイズは規則的であり、その空間周波数は、どの場所をとっても、略一定となっている。
図3に示されるように、フィルム断面では、屈折率の異なる部分が略柱状で方向を揃えて分布している。また、この柱状構造の角度は、観察する角度等により、適時設定されるものである。
図3において、白で示した部分は屈折率n1であり、黒で示した部分は屈折率n2であると、その屈折率差Δn=|n1−n2|に応じた光路間の位相差に伴って回折現象が発生し、入射光が拡散して伝播することは公知である。
屈折率の異なる部分のフィルム表面上の形状が横長(あるいは、縦長)であると、その部分に入射する光が散乱出射する場合には、それぞれの部分からの出射光の光散乱特性が、縦長(あるいは、横長)となるような指向性を持つ。例えば、形状が横長であると、拡散フィルムからの散乱出射光は、縦長の楕円形となるような分布となる。
さらに、屈折率の異なる部分のフィルム表面上の形状が等方的例えば、円形であると、その部分に入射する光が散乱出射する場合には、それぞれの部分からの出射光の光散乱特性が、等方性となるよう散乱分布となる。縦横方向での散乱特性を制御するべく、縦横の長さ比は、30:1〜1:30程度の間で選ばれ、大きさは、1μmから100μmの範囲内で、所望の散乱性や散乱角度となるよう選ばれる。このような屈折率の異なる部分の表面での形状は拡散フィルムを作製する際に用いる原版に記録されているパターンによって制御する事ができる。このため、拡散フィルムでの散乱性をある程度制御する事ができる。
さらに、屈折率の異なる部分のフィルム表面上の形状が等方的例えば、円形であると、その部分に入射する光が散乱出射する場合には、それぞれの部分からの出射光の光散乱特性が、等方性となるよう散乱分布となる。縦横方向での散乱特性を制御するべく、縦横の長さ比は、30:1〜1:30程度の間で選ばれ、大きさは、1μmから100μmの範囲内で、所望の散乱性や散乱角度となるよう選ばれる。このような屈折率の異なる部分の表面での形状は拡散フィルムを作製する際に用いる原版に記録されているパターンによって制御する事ができる。このため、拡散フィルムでの散乱性をある程度制御する事ができる。
拡散する度合い(ヘーズ)は、前記屈折率差Δnとフィルム内を通過する近接する2光路の光路長Lとによって決まり、ΔnとLの積が、入射光の半波長の奇数倍となる場合に、屈折率n1の部分を透過する光と屈折率n2の部分を透過する光とが打ち消し合うように干渉し、最もヘーズが高くなる。
逆に、Δn×Lが、入射光の波長の整数倍(半波長の偶数倍)となる場合に、屈折率n1の部分を透過する光と屈折率n2の部分を透過する光とが強め合うように干渉し、最もヘーズが低くなり、入射光は拡散することなく透過する。
特定のフィルム断面を表す図3では、前記帯状の濃淡の伸びる方向が、フィルムの厚み方向に対して略垂直方向にそろって、屈折率の異なる領域が分布している。
図3の拡散フィルムの光学特性について、まず、図3で考える。液晶表示装置において、正面からも良好な画像が得られ、視域が反転してしまうような領域でも拡散フィルムを付加する事によりその反転が改善されるような拡散層としては、垂直方向からの光に対しては比較的散乱せず、斜め方向からの光に関しては、散乱するようなフィルムが望ましい。このようなフィルムを得る為に、屈折率の異なった領域の屈折率差をその層との厚みとの関係において、
Δn×L =λ/2
となるようにする事により、柱状構造に沿った光の散乱性は高く、それと異なった方向からの光に対しては、散乱性が低くなるような拡散層を得る事ができた。
Δn×L =λ/2
となるようにする事により、柱状構造に沿った光の散乱性は高く、それと異なった方向からの光に対しては、散乱性が低くなるような拡散層を得る事ができた。
本発明による拡散フィルムでは、図3における白黒パターンの細かさに関しては、適用する応用分野・機器に応じて任意に変更可能とし、一方で、前記Δn×Lを、可視光の半波長の奇数倍の範囲とする。前記Δn×Lの実用的な範囲は、等倍の200nmから300nmである。
図3の場合、フィルム内の柱状構造に沿って入射する光に対するΔn×Lの値を、可視光の半波長の等倍とすることで、上記の説明のように、散乱性を高くして、特定方向から入射してくる光に対してのみ光を散乱するフィルムとして機能するものとしている。
垂直方向から一定の範囲を外して入射する光(例えば、フィルムに斜めに入射する光)は、フィルム中を通過する際の光路長が長くなるため、自ずとΔn×Lの値が大きくなり、上記「可視光の半波長の等倍」の値からは外れ、散乱性が下がる。
また、垂直方向から一定の範囲を外して入射する光のうちの近接する2光路は、それぞれ一定の屈折率の媒体内のみを通過するわけではなく、フィルム内で種々の屈折率の部分を、微視的な反射,屈折を受けながら通過するため、透明フィルム中の通過とは異なる結果(何らかの散乱が生じる)となる。
散乱が生じる度合いは、フィルム内で屈折率の異なる部分の、周囲との屈折率差や、そのサイズや形状にも影響される。
散乱が生じる度合いは、フィルム内で屈折率の異なる部分の、周囲との屈折率差や、そのサイズや形状にも影響される。
このように、フィルム中の柱状向上に沿ってに入射する光に対しては、光散乱が生じ、入射光を所望の範囲に広げて出射することになる。一方、それと異なる方向からの入射する光に対しては、透明フィルムのように機能する。
さらに、屈折率の異なる部分は、フィルム表面では周期性がないため、光の回折現象によって引き起こされる色分散や、レンズアレイのようなモアレが生じない。
従って、本発明の拡散フィルムによれば観察位置による出射光の色変化は生じず、理想的な白色を呈し、液晶等と組み合わせた際に不要なパターンを生じない。
このような拡散フィルムの元となる原版に記録されるパターンも周期性がなく、規則性に乏しいためデータ量が増加してしまう。
そのため、この周期性のないパターンを小さな領域(例えば、0.05〜1mm程度)の領域でのみ定義し、それをフィルム全面に敷き詰める事によって、ほとんど、パターンを定義した領域を描画するときのデータ量と同様のデータ量で、大きな面積のフィルム用の原版を作製する事ができる。
従って、本発明の拡散フィルムによれば観察位置による出射光の色変化は生じず、理想的な白色を呈し、液晶等と組み合わせた際に不要なパターンを生じない。
このような拡散フィルムの元となる原版に記録されるパターンも周期性がなく、規則性に乏しいためデータ量が増加してしまう。
そのため、この周期性のないパターンを小さな領域(例えば、0.05〜1mm程度)の領域でのみ定義し、それをフィルム全面に敷き詰める事によって、ほとんど、パターンを定義した領域を描画するときのデータ量と同様のデータ量で、大きな面積のフィルム用の原版を作製する事ができる。
次に、本発明の拡散フィルムの構造について、更に詳細に説明する。上述したように、本発明の拡散フィルムの内部には、屈折率の異なる部分が不規則な形状・厚さで分布することにより、屈折率の高低からなる濃淡模様が形成されている。
この屈折率の差異は、小さすぎると散乱性が悪くなり、逆に大きすぎるとどのような角度で光が入射しても光散乱が生じてしまうことになり、入射角選択性の特性を持たせることが困難となる。
そのため、表面上の屈折率差だけでは光散乱が生じず、フィルム1に厚みがあることで十分な散乱性を持つような最適な屈折率差である必要がある。
そのため、表面上の屈折率差だけでは光散乱が生じず、フィルム1に厚みがあることで十分な散乱性を持つような最適な屈折率差である必要がある。
本発明では、上記条件に適合するように、屈折率差は0.001から0.2の範囲で適宜選択し、フィルム厚みは屈折率差に応じて1000μmから1μmの範囲で適宜選択している。
記録できる屈折率差は、フィルムの作製方法や記録材料などにより制限を受けるため、大きな屈折率差を持つ場合はフィルムを薄く、小さな屈折率差を持つ場合はフィルムを厚くすることで、本発明の拡散フィルムを実現することが可能である。
一例を挙げると、平均屈折率が1.52で厚みが20μmのフィルム中に、屈折率が1.56(屈折率差0.04)の部分を分布させて、濃淡模様を形成することで、十分な散乱性と入射角度選択性を持つ拡散フィルムを得ることができた。
屈折率の異なる部分の大きさは、光散乱を生じさせるために一定ではないが、必要な散乱性を持たせるために、その平均の大きさは直径で0.1μmから300μmの範囲内で、それぞれの用途での必要な散乱性に応じて適宜選択される。
一例として、12μmの平均の大きさを持つ屈折率の高低からなる濃淡模様とすることで、約±40°程度の散乱広がりをもつ散乱性が得られた。
また、光散乱に指向性を持たせるために、フィルムの縦方向と横方向とでは、屈折率の異なる部分の平均の大きさを異ならせている。一例として、縦方向に伸びた楕円状に光散乱を生じさせるために、縦方向での平均サイズは12μmであるが、横方向での平均サイズは50μmという横長の形状とすることで、縦方向に約±40°,横方向には約±10°という散乱指向性を持つ拡散フィルムが得られた。
また、このようなフィルムを、位相差補償フィルムを有するTN配向の液晶ディスプレイの前面に配置し、位相差補償されない方向に散乱フィルムの散乱する方向で配置する事によって、階調反転のない液晶ディスプレイを実現する事ができる。
また、本発明による拡散フィルムは、本明細書中ではフィルムという用語で統一して述べたが、例えば、ガラス基板や樹脂基板のような硬質基板上に形成されたシートであっても良い。
15・・・UV光源
16・・・コリメート光学系
17・・・平行光
18・・・マスク原版
19・・・感光材料
20・・・ガラス
21・・・金属クロムパターン
23・・・レーザー光源
24・・・レーザー光
25・・・すりガラス
16・・・コリメート光学系
17・・・平行光
18・・・マスク原版
19・・・感光材料
20・・・ガラス
21・・・金属クロムパターン
23・・・レーザー光源
24・・・レーザー光
25・・・すりガラス
Claims (5)
- フィルム表面に形成された光重合性組成物層に、特定方向から光線を照射し、前記組成物を重合させル工程を備え、前記特定方向に対応する特定角度範囲の入射光のみを選択的に散乱する光散乱フィルムを製造する方法において、
光散乱フィルムによる光散乱方向/範囲を決定することになる、屈折率の高低からなるパターンをフィルム表面に規定するための原版を通して、光重合性組成物層に光線を照射するにあたって、
前記原版として、屈折率の高低からなるパターンに相当するように、領域毎に光線透過率が変化してなるパターンが形成された可撓性の高いフィルム状の原版を用いることを特徴とする光散乱フィルムの製造方法。 - 領域毎に光線透過率が変化してなるパターンとして、遮光部内にスポット状あるいはスリット状の透光部が形成されてなる原版を用いることを特徴とする請求項1記載の光散乱フィルムの製造方法。
- 領域毎に光線透過率が変化してなるパターンとして、透光部内にスポット状あるいはスリット状の遮光部が形成されてなる原版を用いることを特徴とする請求項1記載の光散乱フィルムの製造方法。
- 領域毎に光線透過率が変化してなるパターン内には、文字,記号,マークを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光散乱フィルムの製造方法。
- 前記原版が無終端のループ状であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光散乱フィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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