JP2006097932A - バックストップ - Google Patents

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Abstract

【課題】 弾丸を粉砕させずに捕捉して、容易に回収でき、しかもライフル銃等のより強力な銃による射撃訓練にも使用可能なバックストップを提供する。
【解決手段】 実弾を用いた射撃を行うための射撃場において射撃手Aから見て標的Tの後方に配設されるバックストップ1であって、射撃手Aに対向するように射撃手Aに対して前後方向に並設された複数の平板状の繊維入り硬質ゴム素材よりなるトラップ材2、または繊維入り硬質ゴム素材よりなるトラップ材21と鋼板よりなるトラップ材22とで構成される複数のトラップ材2と、複数のトラップ材2の下方には弾丸Sを回収するための弾丸回収装置4とを備え、トラップ材2は、射撃手Aに対向する面にトラップ材2の破損を防止するためのプラスチックとゴムとを合成させた素材よりなる破損防止材6が貼付されており、その間隔が射撃に使用される弾丸Sの長さより大きくなるように配設されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、バックストップに係り、特に、弾丸を粉砕させずに捕捉し回収可能なバックストップに関する。
実弾を用いた射撃を行うための射撃場においては、射撃手が発砲して標的を外したり標的を貫通した弾丸が飛散することを防止するために、通常、標的の後方に弾丸を捕捉するためのバックストップが設けられる。
バックストップとしては、従来から、傾斜地の法面が利用されたり、土壌や砂を盛り上げて法面状に形成したりすることが多かった(例えば、特許文献1乃至特許文献3等参照)。しかし、このようなバックストップでは、弾丸が法面にめり込み、或いは法面に衝突して粉砕される。このように法面にめり込んだ弾丸や粉砕によって生じた鉛粉塵のすべてを回収することは必ずしも容易ではなく、弾丸やその破片、粉塵が回収されずに放置されると、弾丸から鉛粉塵が飛散して環境を汚染する、いわゆる鉛公害が発生してしまう。
そのため、発射された弾丸を飛散させずに捕捉し、しかも弾丸やその破片、粉塵を回収可能なバックストップとして、例えば、2枚の板状部材の間に緩衝材を詰め込んで構成されるバックストップ(特許文献4参照)や、枠体等で構成される筐状のバックストップの内部に防弾膜を吊り下げたもの(特許文献5参照)などが提案されている。
特許文献4に記載のバックストップでは、緩衝材が板状部材を貫通した弾丸を捕捉し、緩衝材と弾丸とを分離することで弾丸を回収する。また、特許文献5に記載のバックストップでは、防弾膜は弾丸速度を減速させるための減速材と弾丸を貫通させないための保護材に巻かれた板材とからなり、板材に衝突して落下した弾丸を回収するようになっている。
特開2000−154998号公報 特開2000−189943号公報 特開2004−20169号公報 特開2003−53272号公報 特開2002−139300号公報
しかしながら、例えば、前記特許文献4に記載のバックストップでは、実際には緩衝材と弾丸とを分離することは必ずしも容易でなく、分離に手間がかかり人件費等でコストがかさむという問題が生じる。
また、前記特許文献5に記載のバックストップでは、弾丸が板材に衝突して粉砕され、鉛粉塵が生じることがある。さらに、ライフル銃等のより強力な銃を用いた射撃訓練では、弾丸が減速材のみならず板材やその後方に配置された鋼板製の被弾防護板をも貫通してしまうという問題があった。
そこで、本発明の目的は、弾丸を粉砕させずに捕捉して、容易に回収でき、しかもライフル銃等のより強力な銃による射撃訓練にも使用可能なバックストップを提供することである。また、本発明は、ランニングコストを低減可能なバックストップおよびそのメンテナンス方法を提供することをも目的とする。
前述の問題を解決するために、請求項1に記載のバックストップは、
実弾を用いた射撃を行うための射撃場において、射撃手から見て標的の後方に配設されるバックストップであって、
射撃手に対向するように射撃手に対して前後方向に並設された平板状の繊維入り硬質ゴム素材よりなる複数のトラップ材、または繊維入り硬質ゴム素材よりなるトラップ材と鋼板よりなるトラップ材とで構成される複数のトラップ材と、
前記複数のトラップ材の下方に設けられ弾丸を回収するための弾丸回収装置と
を備え、
前記トラップ材は、射撃手に対向する面にトラップ材の破損を防止するためのプラスチックとゴムとを合成させた素材よりなる破損防止材が貼付されており、かつ、その間隔が射撃に使用される弾丸の長さより大きくなるように配設されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、発射された弾丸を、高弾性素材である繊維入り硬質ゴム素材よりなる複数のトラップ材や、繊維入り硬質ゴム素材よりなるトラップ材と鋼板よりなるトラップ材とで構成される複数のトラップ材を貫通させながら、その運動エネルギーを徐々に奪い取ることによって失速させて落下させ、下方の弾丸回収装置で回収する。また、バックストップには、射撃手に対向する面にプラスチックとゴムとを合成させた素材よりなる破損防止材が貼付されたトラップ材が並設され、例えば、射撃に使用する弾丸を隣接するトラップ材の間隙に挿入した際に、弾丸とトラップ材との間隔が弾丸の前後で1mmずつ離間するように、トラップ材の間隔が弾丸の長さより2mm以上大きくなるように配置される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のバックストップにおいて、前記複数のトラップ材は、射撃手に対して前後方向および横方向に複数配置され、かつ、射撃手から見た場合に横方向に隣接する前記トラップ材同士の継ぎ目が前後方向に一直線に並ばないように配設されており、かつ、前記複数のトラップ材の後方に、前記複数のトラップ材に平行に配設された鋼板を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、バックストップを射撃手から見て横方向に並べた場合に、横方向に隣接するトラップ材の継ぎ目が一直線に並ぶことがなく、継ぎ目の後方には必ずトラップ材の本体が存在するようになる。また、バックストップの複数のトラップ材の後方に、トラップ材に平行に鋼板が設けられる。
請求項1に記載の発明によれば、発射された弾丸を、高弾性素材である繊維入り硬質ゴム素材よりなるトラップ材を貫通させることで、弾丸を破損することなく弾丸に強いブレーキをかけることができ、複数のトラップ材を貫通させることで、弾丸の運動エネルギーを効果的に奪い取って弾丸を失速させて落下させ、下方の弾丸回収装置で回収するため、弾丸を破砕させることなく効率良く捕捉することができる。またそのため、弾丸の粉砕による鉛粉塵の発生がなく、鉛公害の発生を確実に防止することが可能となる。また、繊維入り硬質ゴム素材よりなるトラップ材と鋼板よりなるトラップ材とで構成される複数のトラップ材を用いれば、ライフル銃等のようなより強力な銃を用いる場合でも、弾丸を破砕させることなく効率良くその運動エネルギーを奪うため、前記と同様の効果を発揮させることができる。
また、請求項1に記載のバックストップでは、トラップ材の間隔を弾丸の長さより大きくなるように配設するため、運動エネルギーを失った弾丸がほぼ自動的に下方の弾丸回収装置に落下して回収され、或いは弾丸がトラップ材に食い込んでいても棒等で叩き落すことで容易に回収されるから、弾丸の回収を非常に容易に行うことができ、弾丸の回収に余分な人件費をかけず或いは低減することが可能となる。
さらに、請求項1に記載のバックストップは、複数枚のトラップ材を吊り下げるだけなので、従来のように土壌や砂を盛り上げて法面状に形成するような場合に比べて設置スペースが小さくて済む。
また、バックストップのトラップ材の射撃手に対向する面には、プラスチックとゴムとを合成させた素材よりなる破損防止材が貼付されているため、破損防止材に弾丸の貫通により生じた穴を縮小させる性質を持たせることができ、弾丸の貫通により破損され易いトラップ材の面を効果的に保護し、破損を防止することができる。また、それにより、トラップ材の耐久力が増し、トラップ材がより多くの弾丸の貫通に耐えるようになるため、ランニングコストの低減を図ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、バックストップを射撃手から見て横方向に並べた場合に、横方向に隣接するトラップ材の継ぎ目が一直線に並ぶことがなく、継ぎ目の後方には必ずトラップ材の本体が存在するようになるから、弾丸が継ぎ目部分を貫通または通過しても必ず後方のトラップ材2に着弾する。そのため、弾丸が一直線に並ぶ継ぎ目部分を通過してバックストップの後方に飛び出るような事態を回避することができ、貫通する弾丸の運動エネルギーを奪い取って捕捉するという前記請求項1に記載の発明の効果を確実に発揮させることができる。
また、バックストップの複数のトラップ材の後方に、トラップ材に平行に鋼板が設けられるため、前記請求項1に記載の発明の効果に加えて、弾丸が万一複数のトラップ材のすべてを貫通してしまった場合でも、この鋼板で最終的に弾丸の貫通を防止することが可能となる。
以下、本発明のバックストップおよびそのメンテナンス方法に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るバックストップの構成を示す概略斜視図であり、図2は、図1のバックストップを射撃場に配置した状態を示す側面図である。なお、図2に示す設置例では、標的Tの射撃手A側には、標的Tの下方の標的支持部を着弾から守るための防弾堤Bが設けられている。また、標的2は、図2等ではフロアに固定された固定型のものが記載されているが、この他にも、例えば、射撃手Aに対して前後方向に移動したり、或いは射撃手Aから見てバックストップ1の前方を横方向に移動するタイプの標的に対しても本実施形態のバックストップ1の機能は有効に発揮される。
バックストップ1は、射撃手Aから見て標的Tの後方に配設されており、本実施形態では、平板状のトラップ材2と、鋼板3と、弾丸を回収するための弾丸回収装置4とを備えている。
トラップ材2は、射撃手Aに対向するように射撃手Aに対して前後方向に並設されており、本実施形態では、10枚のトラップ材2が並設されている。本実施形態では、トラップ材2は、図2に示したように、訓練場の天井に固定された鉄板の下方部分にトラップ材2の上端部分をボルト締めすることにより取り付けられている。
その際、隣接するトラップ材2の間隔が、射撃に使用される弾丸の長さより大きくなるように配設されていることが好ましい。例えば、射撃に使用する弾丸を隣接するトラップ材2の間隙に挿入した際に、弾丸とトラップ材2との間隔が弾丸の前後で1mmずつ離間するように、トラップ材2の間隔が弾丸の長さより2mm以上大きくなるように配置される。なお、トラップ材2を取り付ける方法としては、図2に示したようにトラップ材2を鉄板を介して天井にボルト締めして取り付けてもよいが、その他にも、例えば、天井にフックを固定し、そのフックにトラップ材2の上端部分を係止して吊り下げるように取り付けることも可能である。
図3は、本実施形態に係るトラップ材の断面図である。トラップ材2は、高弾性素材より形成されることが好ましい。本実施形態では、トラップ材2は、高弾性素材である繊維入り硬質ゴム素材より形成されており、硬質ゴムの内部に4層の粗く編まれたビニルやポリアミドの繊維5が挟み込まれた繊維入り硬質ゴム素材が用いられている。
また、本実施形態では、トラップ材2の射撃手に対向する面には、弾丸の貫通によるトラップ材2の破損を防止するための破損防止材6が貼付されている。破損防止材6は、貼付プラスチックとゴムとを合成させた素材よりなり、弾丸が貫通すると貫通により生じた穴が縮小する性質を有している。なお、破損防止材6は、使用される銃や弾丸によってトラップ材2に貼付されるか否かが決定される。
図1および図2に示すように、複数のトラップ材2の射撃手から見て後方側には、平板状の鋼板3がトラップ材2に平行に配設されている。この鋼板3は、弾丸が万一複数のトラップ材2のすべてを貫通してしまった場合に最終的に弾丸の貫通を防止するために設置されるものであり、本実施形態では、厚さが4〜6mm程度の鋼板が用いられている。
複数のトラップ材2の下方には、弾丸を回収するための弾丸回収装置4が配設されている。本実施形態では、弾丸回収装置4として、上方が開放された箱型の弾丸回収装置4が採用されているが、この他にも、例えば、ベルトコンベア等のように落下してきた弾丸を受け止めて自動的に搬送して回収するような装置を用いることも可能である。
次に、本実施形態に係るバックストップ1の作用について説明する。
射撃手Aが標的Tに向かって弾丸を発射し、その弾丸が標的Tを外れてバックストップ1のトラップ材2に衝突すると、弾丸はトラップ材2を貫通する。しかし、その際、トラップ材2は弾丸に対してその進行を阻害する方向に力を及ぼす。前述したように、トラップ材2が高弾性素材、特に繊維入り硬質ゴム素材を用いて形成されていれば、弾丸が衝突しても弾丸を破損させる程の硬度はないため弾丸を破損させず、しかも、弾丸に強いブレーキをかけることができる。
そして、図4に示すように、弾丸Sは、トラップ材2を貫通するごとにその運動エネルギーをトラップ材2に奪われ、最終的に、トラップ材2に衝突しても貫通することができずに、下方に落下して弾丸回収装置4に回収される。また、その間、どのトラップ材2においても、前記のように弾丸Sを破損させることはないから、弾丸Sを破損されることなく弾丸回収装置4に回収することができる。
本発明者らの実験によれば、トラップ材2として厚さ8〜10mmの繊維入り硬質ゴム素材を用いた場合、弾丸Sが9mmパラベラム弾であれば、トラップ材2を5〜6層貫通した時点で弾丸Sを停止させて落下、回収することができる。従って、本実施形態のように、10枚のトラップ材2を用いてバックストップ1を構成すれば、弾丸Sがトラップ材2の後方に配置された鋼板3に達する手前のトラップ材2に当たって停止し回収される。このように、本発明のバックストップ1は、弾丸Sが複数のトラップ材2を貫通する中で停止させて捕捉するものであるから、弾丸Sが鋼板3にまで達する場合には、トラップ材2の数を増やす、トラップ材2の並べ方を変える、或いは新しいトラップ材2に交換する等の処置がとられる。
前述したように、隣接するトラップ材2の間隔が弾丸Sの長さより大きくなるように配設されていれば、弾丸Sを、トラップ材2の間隙をスムーズに落下させることができる。また、ごく一部の弾丸Sはトラップ材2に食い込んだ状態で停止することがあるが、その場合は、間隙に棒状のものを挿入して叩き落とせば容易に弾丸回収装置4に回収される。
前述したように、破損防止材6は、弾丸Sの貫通によるトラップ材2の破損を防止するために貼付される。銃から発射された弾丸Sには、その弾軸周りに強い回転が与えられているから、図5に示すように、トラップ材2を貫通する際にその入射する側の表面部分を破損する場合がある。しかし、破損防止材6を貼付しておけば、その貫通により生じた穴が縮小する性質により、破損したトラップ材2の飛散を防止することが可能となる。
ここで、本実施形態のバックストップ1のメンテナンス方法について述べる。本実施形態のバックストップ1は、前記のように、弾丸Sがトラップ材2を貫通するごとに弾丸Sから運動エネルギーを奪い、弾丸Sを失速させて回収するものである。そのため、例えば、本実施形態のように10枚設けられたトラップ材2のうち、射撃手に近い側のトラップ材2は弾丸Sの貫通量が多くなり、トラップ材2の耐久力が弱くなる。しかし、射撃手から遠い側のトラップ材2は弾丸Sの貫通量が少なく或いは貫通されておらず、耐久力は維持されている。
そこで、弾丸Sが数多く貫通した射撃手に近い側のトラップ材2を取り外し、その後方の弾丸の貫通量が少ないトラップ材2を射撃手に近い側に移し、その後方に必要数の新たなトラップ材2を補充して垂下させるようにするとよい。このようにすれば、本実施形態では10枚1組のトラップ材2を新たなトラップ材2と交換して、未だ全く弾丸Sが貫通していないトラップ材2や、ほとんど弾丸Sが貫通しておらず使用に耐えるトラップ材2を無駄に廃棄処分等することを防止することができ、効率良くトラップ材2を活用することができ、ランニングコストの低減を図ることが可能となる。
なお、本実施形態のトラップ材2は、弾丸Sとして9mmパラベラム弾を用い、弾丸Sの着弾部位を適度に分散させた場合には、トラップ材1m2あたり8000発程度の着弾、貫通に耐えることができ、その交換の要否は目視で確認することにより行われる。使用する銃や弾丸の種類や使用弾丸数を基準に交換の要否を決めることも可能である。
このように、本実施形態のバックストップ1によれば、発射された弾丸Sを、複数のトラップ材2を貫通させながらその運動エネルギーを徐々に奪い取ることによって失速させ、落下させて下方の弾丸回収装置4で回収するため、弾丸Sを破砕させることなく効率良く捕捉することができる。そのため、弾丸の粉砕による鉛粉塵の発生がなく、鉛公害の発生を確実に防止することが可能となる。
また、本実施形態のバックストップ1では、運動エネルギーを失った弾丸Sがほぼ自動的に下方の弾丸回収装置4に落下して回収されるから、弾丸Sの回収を非常に容易に行うことができ、弾丸の回収に余分な人件費をかけず或いは低減することが可能となる。
さらに、バックストップ1は、図1や図2に示したように、基本的に複数枚のトラップ材2を吊り下げるだけなので、従来のように土壌や砂を盛り上げて法面状に形成するような場合に比べて設置スペースが非常に小さくて済む。
なお、ライフル銃等のようなより強力な銃を用いる場合には、トラップ材2として、前記のような高弾性素材のトラップ材のほかに、鋼板よりなるトラップ材を用いることが好ましい。具体的には、例えば、図6に示すように、バックストップ1のトラップ部分を、厚さ9mm程度の前記繊維入り硬質ゴム素材よりなるトラップ材21と厚さ3〜4mm程度の鋼板よりなるトラップ材22とを交互に並設するようにして構成する。
このように構成すれば、前記の拳銃を用いた場合と同様に、ライフル銃から発射された弾丸が繊維入り硬質ゴム素材のトラップ材21や鋼板よりなるトラップ材22を貫通する間にその運動エネルギーを奪い取ることができ、弾丸を失速させて捕捉、回収することができる。また、鋼板よりなるトラップ材22を弾丸が貫通しても、トラップ材22の厚さが3〜4mm程度であれば弾丸を変形させたり粉砕させたりすることなく失速させるため、鉛公害の問題等の発生は回避できる。
弾丸が後方の鋼板3にまで達する場合には、トラップ材2の数を増やす、トラップ材2の並べ方を変える、或いは新しいトラップ材2に交換する等の処置がとられることは、前記の実施形態の場合と同様である。
また、実際の射撃場においては、図1や図2に示した標的Tが射撃手Aから見て横方向に複数台並べて配置されたり、比較的広い範囲を横方向に移動させたりする場合がある。そのような場合には、本実施形態のバックストップ1を横方向に複数並べて用いることができる。その際、横方向に隣接するトラップ材2の継ぎ目をピン等で固定するとよい。
さらに、前記の場合、このようにバックストップ1を単に横方向に並べて用いることも可能であるが、図7に模式的に示すように、横方向に隣接するトラップ材同士の継ぎ目が前後方向に一直線に並ばないように配設されていることが好ましい。仮に、継ぎ目が前後方向に一直線に並んでいると、発射された弾丸が継ぎ目部分を貫通または通過していく可能性が生じる。継ぎ目部分は、通常、トラップ材自体より弾丸の貫通を阻害してその運動エネルギーを奪う力が弱いから、弾丸が容易に後端の鋼板3に衝突して変形したり、鋼板3を貫通して後方のコンクリート壁C(図2参照)に衝突して粉砕されたりする事態が生じ得る。
しかし、図7に示したように、トラップ材2の継ぎ目が前後方向に一直線に並ばないように配置すれば、横方向に隣接するトラップ材2の継ぎ目の後方には必ずトラップ材2の本体が存在するようになるから、弾丸Sが継ぎ目部分を貫通または通過しても必ず後方のトラップ材2に着弾する。そのため、前記のような事態を回避することが可能となり、貫通する弾丸の運動エネルギーを奪うという本実施形態の効果を有効に発揮させることができる。
なお、前記実施形態では、図2に示したようにバックストップ1を室内の射撃場で使用する場合について述べたが、屋外の射撃場でも、例えば、支持板からバックストップ1のトラップ材2等を吊り下げるようにして使用することも可能である。
本実施形態に係るバックストップの構成を示す概略斜視図である。 図1のバックストップを射撃場に配置した状態を示す側面図である。 本実施形態に係るトラップ材の断面図である。 本実施形態に係るトラップ材の機能を説明する模式図である。 トラップ材が弾丸により破損される状態を説明する模式図である。 ライフル銃用のトラップ材の構成例を示す側面図である。 トラップ材の継ぎ目が一直線に並ばないように配置したバックストップを示す模式図である。
符号の説明
1 バックストップ
2 トラップ材
21 繊維入り硬質ゴム素材よりなるトラップ材
22 鋼板よりなるトラップ材
3 鋼板
4 弾丸回収装置
6 破損防止材
A 射撃手
S 弾丸
T 標的

Claims (2)

  1. 実弾を用いた射撃を行うための射撃場において、射撃手から見て標的の後方に配設されるバックストップであって、
    射撃手に対向するように射撃手に対して前後方向に並設された平板状の繊維入り硬質ゴム素材よりなる複数のトラップ材、または繊維入り硬質ゴム素材よりなるトラップ材と鋼板よりなるトラップ材とで構成される複数のトラップ材と、
    前記複数のトラップ材の下方に設けられ弾丸を回収するための弾丸回収装置と
    を備え、
    前記トラップ材は、射撃手に対向する面にトラップ材の破損を防止するためのプラスチックとゴムとを合成させた素材よりなる破損防止材が貼付されており、かつ、その間隔が射撃に使用される弾丸の長さより大きくなるように配設されていることを特徴とするバックストップ。
  2. 前記複数のトラップ材は、射撃手に対して前後方向および横方向に複数配置され、かつ、射撃手から見た場合に横方向に隣接する前記トラップ材同士の継ぎ目が前後方向に一直線に並ばないように配設されており、かつ、前記複数のトラップ材の後方に、前記複数のトラップ材に平行に配設された鋼板を備えることを特徴とする請求項1に記載のバックストップ。
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