JP2006094861A - Vegf結合性ポリペプチド - Google Patents

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Abstract

【課題】 固形ガンその他の血管新生を伴う疾病の治療に利用可能な、低分子のVEGF阻害剤を提供することを課題とする。
【解決手段】 VEGFレセプターFLTの細胞外領域の第1イムノグロブリン様ドメイン及び第2イムノグロブリン様ドメインを含み、かつ第6イムノグロブリン様ドメイン及び第7イムノグロブリン様ドメインを含まないポリペプチドが、VEGF阻害活性を有することを見い出した。
【選択図】 図6

Description

本発明は、血管新生阻害剤として有用なポリペプチド、およびその製造方法に関する。
幾つかの疾病では、その症状や病因と密接に関連した病理的血管新生を伴うことが知られている。中でも代表的な疾病は固形ガンで、ガン組織が直径1〜2mmを越えて増殖するためには、既存血管から新生血管が延びてガン組織まで到達することが必要であり(J. Folkman, J.Natl. Cancer Inst., 82:4 (1990))、 また血管がガン組織に到達するとガン組織の増殖が爆発的に加速される。また、糖尿病性網膜症では網膜に病理的血管新生を伴い、それが原因でしばしば失明することがある。更に慢性関節リューマチ、乾癬、血管腫、強皮症、血管新生緑内障などの疾病においても病理的血管新生を伴い、それが主な症状の一つとなっている(J. Folkman, N. Engle. J. Med., 320:1211 (1989))。従って血管新生を阻害する物質はガンや前述の疾病の治療に利用できる可能性がある。
血管内皮細胞は血管の最も内側の層を形成している細胞である。血管新生は血管内皮細胞が成長因子や生理活性物質または機械的損傷などの刺激を受けて、増殖することによって行われる。直接または間接的に血管内皮細胞の増殖を刺激する成長因子として、bFGF(basic Fibroblast Growth Factor)、aFGF(acidic Fibroblast Growth Factor)、VEGF(Vascular Endothelial cell Growth Factor)、PD−ECGF(Platelet-Derived Endothelial Cell Growth Factor)、TNF−α(Tumour Necrosis Factor-α)、PDGF(Platelet Derived Growth Factor)、EGF(Epidermal Growth Factor)、TGF−α (Transforming Growth Factor-α)、TGF−β(Transforming Growth Factor-β)、HGF(Hepatocyte Growth Factor)が知られている(L. Diaz-Flores et al., Histol.Histopath., 9:807 (1994))。特にVEGFは、血管内皮細胞に極めて特異的に作用する点で他の成長因子と区別できる。言い換えれば、VEGFのレセプターは、血管内皮細胞以外ではごく限られた細胞でしか発現していない。
VEGFは分子量4万〜4万5千の糖タンパク質で2量体として存在する(P. W. Leung et al., Science 246:1306 (1989)、P. J. Keck et al., Science:246:1319(1989))。VEGFはVEGFレセプターに結合することによって作用し、細胞の増殖を促進し、また膜透過性を促進する。
VEGFとガンとの関係を示唆する以下のような報告がある。多くのガン細胞はVEGFを分泌する(S. Kondo et al., Bichem. Biophys. Res. Commun., 194:1234(1993))。ガン組織切片を抗VEGF抗体で染色するとガン組織およびその周辺の新生血管が強く染色される(H. F. Dvorak et al., J. Exp. Med. 174:1275(1991).、L. F. Brown at al., Cancer Res., 53:4727 (1993))。VEGFレセプターの一つが遺伝的に不活化されたマウスでは移植されたガンの増殖が抑制される(B. Millauer et al., Nature, 367:576 (1994))。抗VEGF中和抗体が担ガンマウスに対して抗腫瘍活性を示す(K. J. Kim et al., Nature, 362:841 (1993)、S. Kondo et al., Bichem. Biophys. Res. Commun., 194:1234(1993))。以上の事実から、ガン細胞が分泌するVEGFが腫瘍血管新生において主要な役割を果していると考えられる。
VEGFのレセプターは、ヒトではFLT(M. Shibuya, et al., Oncogene, 5:519 (1990))とKDR(B. I. Terman et al., Bichem. Biophys. Res. Commun., 187:1579 (1992))の2種類が知られている。FLTの細胞外領域は、図1 に示されるような7つのイムノグロブリン様ドメインからなる構造を有している(C. DeVries et al., Science, 255:989 (1992))。FLTに関しては、可溶性型レセプターのcDNAがクローニングされている(R. L. Kendal and K. A. Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 90:10705 (1993))。このcDNA によりコードされるポリペプチドは、FLTの細胞外領域の7つあるイムノグロブリン様ドメインのうち、第1〜第6イムノグロブリン様ドメインと対応しており、本来のFLTと同程度の親和性でVEGFと結合しVEGF活性を阻害した。また、KDRについても遺伝子工学的に発現させた細胞外領域の第1〜第6ドメインがVEGFに結合することが知られている(R. L. Kendal et al., Bichem. Biophys. Res. Commun., 201:326 (1994))。
マウスの抗VEGF中和モノクローナル抗体は抗腫瘍性を示すことから、抗ガン剤として利用可能であると期待できる。しかしながら、マウスの抗体を人に投与するとマウス抗体に対するヒト抗体が産生され、中和されたりアナフィラキシーショックを引き起こしたりする場合がある。このようなことを回避するためには、マウス抗体のキメラ化(S. L. Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 81:6851 (1989))やヒト化を行い、中和能を損なわないようにしながらマウス抗体のアミノ酸配列をヒト抗体のアミノ酸配列に近づける必要がある。そのためには高度の技術と知識、経験、労力が必要であり、成果はケースバイケースで必ずしも成功するとは限らない。またこの方法でも100%はヒト化できない。他の方法としてはヒト抗体そのものを産生するトランスジェニックマウスを用いて免疫する方法があるが(S. Wagner et al., Nucleic Acid Res., 22:1389(1994))、やはり高度の専門的な技術が必要である。
前述のように、VEGFレセプターの細胞外領域は、VEGFに対し特異的に高親和性で結合しVEGF活性を阻害できるので、血管新生阻害剤として利用することが考えられる。しかも元々ヒト由来のポリペプチドであるために人に投与しても抗体出現率は低いことが期待できる。しかしながら本来体内に多量に存在しないポリペプチドを投与すると極めて速やかに代謝されてしまうことが報告されている。例えば、HIVのレセプターであるCD4の可溶性型の血中半減期は15分であり(D. J. Capon et al., Nature, 337:525 (1989))、インターフェロンγの場合は血中半減期は30分であった(I. Rutenfranz and H. Kirchner, J. Interferon Res., 8:573 (1988))。
血中半減期を延長する方法として、抗体分子のような血中半減期の長い分子との融合ポリペプチドを遺伝子工学的に作成し利用する方法が知られている。CD4の例では抗体IgG1のFc領域とのキメラにした場合に血中半減期が15分から48時間に延長された(D. J. Capon et al., Nature, 337:525 (1989))。また抗体のFc領域との融合ポリペプチドにすることによって抗体が持っているエフェクター機能、即ち捕体依存性細胞障害活性(D. B. Amos et al., Transplantation, 7:220 (1969))および抗体依存性細胞障害活性(A. Y. Liu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 84:3439 (1987))を誘導できる効果も期待 できる。更にFc領域を介して2量体化されるので、1分子が2箇所でリガンドに結合できるようになるため、膜表面や細胞外マトリクスなどの固相上のリガンドに結合する場合には親和性が見かけ上、格段に向上する効果も期待できる。
抗体との融合ポリペプチドを利用する場合には、融合により分子量が大きくなるので、元のポリペプチドは分子量が小さいことが望ましい。何故なら、分子量が大きいと遺伝子操作で融合ポリペプチドを生産する組換え宿主を作成する際に、扱うDNAの分子量が大きくなるからである。一般に導入するDNAの分子量が大きい程、宿主への導入効率が悪くなり、組換え体が得られる頻度が低下する。また一般に生産させようとする組換えポリペプチドの分子量が大きい程、産生量が低くなる傾向がある。更に固形ガンの治療に利用する場合には、分子量の大きいポリペプチドは患部への浸潤性が悪いことが報告されている(D. M. Lane et al., Br. J. Cancer, 70:521 (1994))。
本発明者らは、VEGFを特異的に阻害することにより血管新生を阻害できるポリペプチド、特にVEGFレセプターの細胞外領域に関するポリペプチドのうち分子量が小さいポリペプチドを見いだすことを目的として鋭意努力した。その結果、FLTの細胞外領域の第1イムノグロブリン様ドメインおよび第2イムノグロブリン様ドメインを含むポリペプチドがVEGFに特異的かつ高親和性で結合し、VEGF活性を阻害できることを見いだした。なお、本明細書において「ポリペプチド」とは、アミノ酸同士がペプチド結合によって共有結合しているもの一般を指し、長さの制限はないものとする。
本発明のポリペプチドには、FLTの細胞外領域の第1イムノグロブリン様ドメインおよび第2イムノグロブリン様ドメインのみからなるものの他に、他のドメインを含んでいるものも含まれる。例えば、第1イムノグロブリン様ドメイン〜第4イムノグロブリン様ドメインの全てを含むポリペプチド、第1イムノグロブリン様ドメイン〜第5イムノグロブリン様ドメインの全てを含むポリペプチドも本発明のポリペプチドに含まれる。なお、第1イムノグロブリン様ドメイン〜第6イムノグロブリン様ドメインの全てを含むポリペプチドまたは第1イムノグロブリン様ドメイン〜第7イムノグロブリン様ドメインの全てを含むポリペプチドは、分子量が大きすぎるので「組換えDNA技術による発現が行い易く、患部への浸潤も速やかである」という本願発明の効果を充分に奏し得ないものであると考えられ、本願発明のポリペプチドからは除外される。なお、FLTの各ドメインの境界は明確に区別されるものではないが、本明細書においては各ドメインは、それぞれ、以下の残基番号のアミノ酸配列を含むドメインと定義される。[なお、残基番号は、配列番号:1のものと同じである。即ち、成熟FLTのN末端(配列番号1の1位の「Ser」)から数えた残基番号を示す。]
第1イムノグロブリンドメイン 1〜110
第2イムノグロブリンドメイン 111〜208
第3イムノグロブリンドメイン 209〜311
第4イムノグロブリンドメイン 312〜407
第5イムノグロブリンドメイン 408〜535
第6イムノグロブリンドメイン 536〜640
第7イムノグロブリンドメイン 641〜736
更に本発明は、上記FLTの細胞外領域と他のタンパク質(例えば、イムノグロブリンのFc領域)とが融合したポリペプチドも含む。
本発明のポリペプチドはVEGF刺激による血管新生を阻害することができるので固形ガンその他の病理的血管新生を伴う疾病の治療に利用できる。また、ヒト由来のアミノ酸からなるのでヒトに長期投与しても抗体ができにくい。更に、従来のポリペプチド(R. L. Kendal and K. A. Thomas, Proc. Natl., Acad. Sci., U. S. A., 90:10705 (1993))より分子量が小さいので組換えDNAによる 発現が行い易く、患部への浸潤も速やかである。
これらのペプチドは次のような手順を経て生産することができる。ヒト血管内皮細胞、例えばヒト臍帯由来血管内皮細胞(岩城硝子、森永乳業、クラボウなどから販売)を培養し酸性フェノール法(P. Chomzynski and N. Sacchi, Anal. Biochem., 162:156 (1987))により全RNAを抽出し、オリゴdTセルロースに よってポリ(A)+RNAを調製する。これを鋳型として逆転写酵素とオリゴd T(12〜16)プライマーを用いて1本鎖cDNAまたは2本鎖cDNAを合成する。ポリ(A)+RNAの調製法、cDNAの調製法については「J. Sambrook et al.,”Molecular Cloning”,Cold Spring Harbor Laboratly Press, 1989」に従って行うことができる。また市販のポリ(A)+RNA調製試薬(Oligotex-dT30、宝酒造製)やcDNA合成キット(ファルマシアバイオシステム社 製)を用いても行うことができる。既にcDNAライブラリーからクローニングされたfltcDNAがある場合は、直接、発現させようとする領域のDNAを適当な制限酵素で切り出し、発現ベクターに導入してもよい。
次に得られたcDNAを鋳型としてPCR法(「”PCR Protocols”, Academic Press Inc., 1990」参照)により目的部分のDNAを増幅することができる。例えば、以下のようなプライマーを使用すればよい。プライマーDNAはDNA合成機(アプライドバイオシステムズ製、日本ミリポアリミテッド製など)で合成するか、カスタムDNAを注文することができる(サワディテクノロジー社)。例えば第1イムノグロブリン様ドメイン〜第4イムノグロブリン様ドメインをコードするcDNAを得る場合は、
上流プライマー:5'-N(3〜5)X(6)CGTCGCGCTCACCATGGTCAG-3'(配列番号:2)
下流プライマー:5'-N(3〜5)Y(6)TTATTCGTAAATCTGGGGTTTCAC-3'(配列番号:3)を用いればよい。
配列中、NはA、C、G、Tの何れか、XまたはYは制限酵素認識配列、括弧内の数字は塩基数を表す。具体的には、N(3〜5)はA、C、G、Tの何れかが3〜5個存在することを示し、X(6)またはY(6)は、6塩基を認識する制限酵素の認識部位を示す。これらの制限酵素認識配列は、増幅しようとするDNA断片およびそれを挿入しようとするベクターには存在しない配列にすることが望ましい。配列番号:1に記載の塩基配列を参考にして適宜下流プライマーを設計し、所望のC末端をコードするDNA断片を増幅することができる。また発現ベクターに組み込まれた時には、ポリペプチドのコーディング配列はプロモーターに対して順方向に配置していなければならない。プライマー配列中、fltDNA配列と対応する部分は必ずしも21塩基に限定する必要はなく17〜25塩基程度でもよい。PCRの条件は前述の「PCR Protocols」記載の標準的条件でよいが、鋳 型の量やプライマー配列によって反応の進み方が異なるので、効率よく行うために、各パラメーター(例えばMg++濃度、アニーリング温度、延長反応時間、サイクル数など)を適宜変更し、至適化することができる。PCRに使用するDNAポリメラーゼは、Taqポリメラーゼよりプルーフリーディング(3’エクソヌクレアーゼ)活性のあるPfuポリメラーゼ(Stratagene社)かTaqポリメラーゼにPfuポリメラーゼを添加したものを用いた方が、PCR増幅時の信頼性(Fiderity)が増す(W. M. Barnes, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 91:2216 (1994))。
この場合のPCRで増幅しようとするDNA断片は配列が既知なので、増幅後アガロースゲル電気泳動でサイズを確認し、またゲルより回収して、適当な制限酵素で消化し、その電気泳動パターンを調べることにより目的のDNA断片が得られたかどうか判断することができる。アガロースゲル電気泳動、DNA断片のゲルからの回収、制限酵素による切断は前述の「Molecular Cloning」に従って 行うことができる。またDNAのゲルからの回収には市販のグラスビーズを利用したキット(例えばPrep-A-Gene、バイオラッド社)を使用することができる。
回収したDNA断片は、X(6)およびY(6)を切断できる制限酵素で断片の両端を消化し、フェノール処理により除タンパクを行い、エタノール沈澱し、適当なバッファー、例えばTE(10mM Tris-HCl(pH7.5)/1 mM EDTA)に溶かす。同様にして適当な発現ベクターのクローニング用部位を、X(6)およびY(6)を切断できる制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動を行い、ベクターDNAを回収する。このようにすることによってX(6)およびY(6)切断部位間の小さな断片を除くことができる。これらの挿入しようとするDNA断片および切断したベクターDNAを例えば、ベクターDNA:挿入DNA断片の比が1:5〜1:10になるように加え、T4DNAリガーゼを用いてライゲーション反応を行う。ライゲーション産物を大腸菌コンピテント細胞に加え、形質転換を行い、ベクターにコードされた選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、カナマイシン耐性など)に対応する抗生物質を含む培地でまず抗生物質耐性の形質転換体を選択する。
発現ベクターにDNA断片が挿入された組換え体は、抗生物質耐性の各形質転換体が持つプラスミドの制限酵素切断パターンを調べて選択する。または各形質転換体を菌体ごと鋳型として、挿入しようとするDNA断片を増幅したプライマーを用いてPCRすることにより、目的とするDNA断片が増幅されるか否かで組換え体かどうか調べることができる。これらの大腸菌の組換え体を得る一連の操作は前述の「Molecular Cloning」に従って行うことができる。
本発明のポリペプチドを生産させるために様々な宿主を利用することができる。例えばEscherichia coli、Pseudomonos属細菌、Bacillus subtilis、 Bacillus brevis、Bacillus liqueniformis、Bacillus thuringensisなどのグラム陰性 またはグラム陽性細菌、Pichia pastoris、Schizosaccharomyces pombe、Saccharomises cerevisiaeなどのような酵母、Aspergillus属のような真菌類、Sf9(Spodoptera frugiperda由来)、Sf21、TN5(Trichoplusia ni由来)、BN4(Bombyx moli由来)などのような昆虫細胞、CHO(cninese hamster ovary由来)、C OS細胞(サル腎臓由来)などのようなほ乳類細胞が利用できる。ベクターは宿主の種によってそれぞれ適したベクターを利用すればよい。最終的な形質転換細胞を得る前に、本発明のポリペプチドを生産しようとする宿主と大腸菌とのシャトルベクターを用い、一度大腸菌で組換えDNAを得るのがより容易であろう。本発明のポリペプチドを生産する組換え宿主を得るための形質転換方法は、大腸菌ではコンピテント細胞、Bacillus属ではコンピテント細胞法(K. Bott and G. A. Willson, J. Bacteriol., 94:562 (1967))、プロトプラスト法(M. Mandel and A. Higa, J. Mol. Biol., 53:159(1970))、酵母ではプロトプラスト法(M. Broker et al., BioTechniques, 5:516 (1987))、昆虫細胞およびほ乳類細胞ではリポフェクチン法(R. W. Malone et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 86:6077 (1989))、リン酸カルシウム法(F. L. Graham and A. J. van der Eb, Virology, 52:456 (1973))により行うことができる。またエレクトロポレーション法(BIORAD社パンフレット等参照)は前述の全ての細胞に応用可能である。
基本的には使用する宿主内で複製可能なプラスミドまたはウイルスDNAを用い、発現させたい部分をコードするDNAをその宿主内で機能する強力なプロモーターの下流に組入れればよい。発現させようとする遺伝子に翻訳開始コドンがない場合にはこれを付加する必要がある。また原核細胞を宿主に用いる場合はリボソーム結合配列が(J. R. MacLaughlin et al., J. Biol. Chem., 256:11283 (1981))必要である。宿主染色体DNAの一部を有し、宿主内で複製できないベクターを用いて宿主染色体と相同組換えを起こさせ、宿主染色体内にベクターごと組込む方法も利用することができる(特開平4−278092号公報、D. J. King et al., Biochem. J., 281:317 (1992))。また培養細胞ではなく、動物または植物固体を宿主とする方法も利用可能である。例えばカイコのウイルスであるBmNPVの組換えウイルスを作成しカイコに接種することにより、培養細胞を宿主とする場合に比べ、より高い生産性でカイコ体液からポリペプチドが得られるであろう(河合秀樹、下群洋一郎、バイオインダストリー、8:39 (1991) )。pSV系ベクターの組換え体で形質転換したマウスミエローマ細胞をSCIDマウスやヌードマウスの腹腔に移植し腹水から、組換えポリペプチドを回収することも可能であろう。本発明のDNAを用いたトランスジェニック動物(G. Wright at al., Bio/Technology, 9:830 (1991))またはトランスジェニック植物(M. Owen et al., Bio/Technology, 10:790 (1992))を宿主として利用することも可能であろう。
本発明のポリペプチドを細胞外に分泌させるには、真核細胞を宿主に用いる場合はFLTのシグナルペプチドコーディング部分をそのまま使用すればよい。細菌では使用する宿主の分泌ポリペプチドのシグナルペプチドをコードするDNAを利用することができるであろう。例えば、大腸菌では外膜タンパク質であるOmpA、OmpF、フォスファターゼであるPhoA、マルトース結合タンパク質であるMalB
、Bacillus属では塩基配列が既知のアミラーゼ、アルカリフォスファターゼ、セリンプロテアーゼなどのシグナルペプチドをコードするDNAを利用することができる。また細胞内に発現させる場合には開始コドン以外のシグナルペプチドコーディング部分を除いて利用すればよい。細菌の細胞内で外来性のポリペプチドを高発現させた場合にはしばしば封入体の形成が起こるが、その場合は8M尿素で可溶化後、数μg/mlのポリペプチド濃度まで希釈し透析により徐々に尿素を除くことで活性の何割かが回収できるであろう。また、大腸菌内で、大腸菌チオレドキシンを同時に高発現させることにより、封入体を生じさせにくくさせることも可能である。
前述のような方法で得られた本発明のポリペプチドは、一般的な生化学的方法により精製することができる。例えば硫酸アンモニウム沈澱、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、疎水性クロマトグラフィーなどを利用することができる。本発明のポリペプチドはヘパリン親和性を有するので、ヘパリン樹脂によるアフィニティクロマトグラフィーを利用することができる。他のポリペプチドとの融合ポリペプチドの場合は、相手のポリペプチドが有する特性を利用して精製することが可能である(M. Uhlen et al., Methods Enzymol.,185:129 (1990))。例えば融合ポリペプチドの相手が抗体のFc領域である場合にはプロテインAセファロースまたはプロテインGセファロース(E. Harlow and D. Lane, "Antibodies", Cold Spring Harbor Laboratoly Press,1988)、グルタチオントランスフェラーゼ(GST)である場合にはグルタチオンセファロース(D. B. Smith and F. S. Johnson, Gene, 67:31 (1988))、クロラムフェニコールトラン スフェラーゼである場合にはクロラムフェニコールセファロース、ヒスチジンオリゴマーである場合にはNi++-NTA(nitryltriacetic acid)アガロースを用いたアフィニティクロマトグラフィー(F. H. Arnold, Bio/Tecnology, 9:151 (1991) )を利用することができる。
本発明のポリペプチドを含む画分は本ポリペプチドに反応する抗体を用いたEIAまたはウェスタン解析によって検出することができる。本発明のポリペプチドと反応する抗体は、N末端より24番目〜30番目にアミノ酸配列に対応するオリゴペプチドを合成し、牛血清アルブミンまたはKLH(keyhole lymphet hemocyanine)などのキャリアータンパク質とのコンジュゲイトを作成しウサギなどに標準的な方法で免疫することで得られる(E. Harlow anr D. Lane, "Antibodies", Cold Spring Harbor Press,1988)。また本発明ポリペプチドと他のポリペプチドとの融合ポリペプチドを大腸菌で生産し、前述のように融合相手のポリペプチドの特性を利用して精製して免疫原として用いても本発明のポリペプチドに反応する抗体は得られる。
本発明のポリペプチドはVEGFに結合するので、その活性を指標として精製することもできる。例えばEIA用に抗体固相化プレートを調製するのと同様の要領で、精製前の本発明のポリペプチドを含む溶液を適当に希釈し、96穴のポリスチレン製マイクロタイタープレートをコートしてブロッキング処理したプレートを作成する。このプレートはVEGFを特異的に結合するので、125I標識 VEGFを使用すればウェルに残る放射活性から結合が確認できる。本発明のポリペプチドを精製するために行ったクロマトグラフィーの画分と125I−VEGFをプレインキュベートしてからこのプレートのウェルに移し、残る放射活性を測定する。その画分に本発明のポリペプチドが存在すればプレインキュベーション中にVEGFに結合し、プレート上の本発明のポリペプチドと拮抗してプレートに結合しにくくなることで存在が確認できる。
本発明のポリペプチドはVEGFに高い親和性(Kd=5x10-11程度)で結合してVEGFがVEGFレセプターに結合することを阻害する。従って本発明のポリペプチドは低濃度でVEGF活性を阻害することができる。本発明のポリペプチドはVEGF活性を阻害するのでVEGF刺激による血管内皮細胞の増殖を阻害する。また、本発明のポリペプチドはVEGFによる血管透過性促進を阻害する。更に、本発明のポリペプチドはインビボでVEGFによる血管新生を阻害し、本腫瘍の増殖を阻害する。
I.第1〜第4イムノグロブリン様ドメインおよび第1〜第5イムノグロブリン様ドメインからなるポリペプチドに関する実施例
[実施例1]FLT細胞外領域を発現する組換えバキュロウイルスの作成
1)FLTの第1〜第4イムノグロブリン様ドメインを発現する組換えウイルスの作成 基本的にはサンブルック(J. Sambrook)らの「Molecular Cloning」に記載された方法に従い図2に示す手順でベクターの構築を行った。FLTの第1〜第4イムノグロブリン様ドメインを発現する組換えウイルスを得るために、プラスミドpflt3−7(M. Shibuya et al., Oncogene, 5:519 (1990))のDNAを 制限酵素EcoRIおよびNdeIで消化し、アガロースゲル電気泳動により分離した約1.6kbpのEcoRI-NdeI DNA断片を調製した。一方プラスミドpME18SNeoのDNAを制限酵素EcoRIおよびXhoIで消化し、アガロースゲル電気泳動により分離した約5.5kbpのEcoRI−XhoIDNA断片を調製した。NdeI末端をXhoI末端に変換するためにアダプターとして、「5'TATTAATGATCTAGATGAC 3'」(配列番号:4)と「5'TCGAGTCATTCTAGATCATTAA 3'」(配列番号:5)のオリゴヌクレオチドを室温で混合し、更に前記「1.6kbpのEcoRI-NdeIDNA断片」と「5.5kbpのEcoRI−XhoI DNA断片」とを混合してT4DNAリガーゼを用いて連結反応を行い、大腸菌に導入した。得られた組換えプラスミドDNAをEcoRIおよびNotIで消化し、得られた1.6kbpのDNA断片を回収し、pVL1393(PharMingen社)のEcoRI/NotI部位に導入した。このプラスミドDNAを精製し、ポヘドリンコード領域を欠失したバキュロウイルスDNAであるBaculoGold(PharMingen社)を用いてマニュアルに従って組換えウイルスを得た。この組換えバキュロウイルスを「B4N」と名付けた。組換えバキュロウイルス「B4N」をSf9細胞を用いてマニュアルに従って増幅し、以降の実験に使用した。なお、「B4N」はFLTのN末端から457残基までのアミノ酸配列をコードするDNAを含んでいる。
2)FLTの第1〜第5イムノグロブリン様ドメインを発現する組換えウイルスの作成
基本的にはサンブルック(J. Sambrook)らの「Molecular Cloning」に記載された方法に従い図3に示す手順でベクターの構築を行った。プラスミドpflt3−7DNAをEcoRIおよびHindIIIで切断し、1.9kbpのEco RI−HindIIIDNA断片を調製した。HindIII末端をXhoIに変換するためにアダプターとして、オリゴヌクレオチド「5'AGCTTTTAATGATCTAGAATGAC 3'」(配列番号:6)と「5'TCGAGTCATTCTAGATCATTAAA 3'」(配列番号:7)とを混合して加え、前述のプラスミドpME18SNeoの5.5kbpのEcoRI−XhoI DNA断片と連結し、これを用いて大腸菌を形質転換し、組換 えプラスミドを得た。得られた組換えプラスミドDNAをEcoRIおよびNotIで消化し、得られた1.9kbpのDNA断片を回収し、pVL1393(PharMingen社)のEcoRI/NotI部位に導入した。このプラスミドDNAを精製し、ポヘドリンコード領域を欠失したバキュロウイルスDNAであるBaculoGold(PharMingen社)を用いてマニュアルに従って組換えウイルスを得た。この組換えバキュロウイルスを「B5N」と名付けた。組換えバキュロウイルス「B5N」をSf9細胞を用いてマニュアルに従って増幅し、以降の実験に使用した。なお、「B5N」はFLTのN末端から560残基までのアミノ酸配列をコードするDNAを含んでいる。
[実施例2]発現産物の免疫化学的解析
昆虫細胞HiFive(Invitrogen Corp.製)をExCell400培地(岩城硝子社製)で培養し、組換えバキュロウイルス「B4N」または「B5N」を感染させ培養上清を回収した。このサンプルをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動しウェスタンブロッティングを行った。1次抗体にウサギ抗FLT細胞外領域ポリクローナル抗体を用い、2次抗体としてアルカリフォスファターゼ標識抗ウサギIgG使用し、NTB(Nitroblue tetazolium chrolide)/BCI P(5-Bromo-4-chrolo-3-indolylphosphate p-toluidine salt)(Gibco BRL製)で発色させた。その結果この抗体との特異的な反応性が確認された(図4)。レーン1はB4N感染細胞培養上清2μl、レーン2はB4N感染細胞抽出液10μl、レーン3はB5N感染細胞培養上清2μl、レーン4はB5N感染細胞抽出液10μlを泳動したものである。免疫化学的に反応したバンドの移動度は予想される分子量と一致した。以後これらの産物を「4N−FLT」および「5N−FLT」と称する。また培養上清サンプル中におよそ2μg/mlの「4N−FLT」または「5N−FLT」が含まれていると判定された。
[実施例3]発現産物のVEGFとの親和性
HiFive細胞に組換えウイルス「B4N」または「B5N」を感染させ、得られた培養上清をPBSで4倍に希釈しマイクロタイタープレート(「イムロン2」ダイナテック社製)のウェルに100μl入れ4℃で一夜置き、ウエルか ら除去した。ウェルをPBS−0.1%BSAで3回洗浄し、次にPBS−1%BSAを250μl入れ、室温で2時間放置しブロッキングした。ウェルの中の 液を捨て、100μl中に比活性66,000cpm/ngの125I−VEGF165(VEGF のN末端から165番目までの残基からなるペプチド/アマシャム社製)20280cpmに非標識のVEGF165を0〜15000pg混合した溶液を入れ室温で3時間放置した。ウェルの中の液を捨てPBS−0.1%BSAで3回洗浄し、各ウェルに残った放射活性ををγカウンターで測定しスカッチャード解析を行った(図5)。図5A、Bはそれぞれ「B4N」「B5N」発現培養上清をコートしたプレートを用いた結果である。この時にコントロールウイルス感染Sf9細胞の培養上清でコートしたプレートには125I−VEGF165はほとんど結合しないので、結合放射活性は挿入遺伝子からの発現産物への125I−VEGF165の結合であると考えられる。「B4N」または「B5N」感染細胞の培養上清中の発現産物のVEGF165に対する親和性は共にKd(解離定数)がおよそ3〜4.5×10-11でありFLT(J. Waltenberger, et al., J. Biol. Chem., 269:26988 (1994))または可溶性型FLT(R. L. Kendal and K. A. Thomas, Proc. Natl., Acad. Sci., U. S. A., 90:10705 (1993))について報告されている値に近かった。
[実施例4]発現産物によるVEGFの生物活性の阻害
1)VEGFの透過性促進活性の阻害
VEGFの透過性促進活性に対する「4N−FLT」または「5N−FLT」の阻害効果を調べた。モルモットの心臓内に0.5mlの1%エバンスブルー色素液を注入し、30分後にVEGFと共に0.2mlの「4N−FLT」または「5N−FLT」発現培養上清を剃毛した皮下に注入し、更に30分後に色素の漏出を観察した(表1)。この結果から「4N−FLT」および「5N−FLT」はVEGFの透過性促進活性を阻害することが明らかになった。
Figure 2006094861
2)ラット類洞壁内皮細胞のVEGF依存性増殖の阻害
VEGF依存性の増殖に対する「4N−FLT」または「5N−FLT」の阻害効果を調べた。ラットの肝臓より記載の方法で類洞壁内皮細胞を調製し、24穴プレートに104/ウェルで撒き、表2に示したサンプル存在下で4日間培 養し、ウェル内の細胞数を測定した。表2の細胞数の欄の数値は撒いた直後の細胞数を100と表した時の相対値である。「4N−FLT」「5N−FLT」のサンプルはそれぞれの組換えウイルス感染HiFive培養上清を使用し、含有量はウェスタン解析の結果を元に算出した。この結果から「4N−FLT」および「5N−FLT」はVEGFの内皮細胞増殖活性を投与量依存的に阻害することがわかる。
Figure 2006094861

II.第1〜第2イムノグロブリン様ドメインからなるポリペプチドに関する実施例
[実施例5]FLT細胞外領域(EDF)と反応するポリクローナル抗体の作成
1)ヒト臍帯由来血管内皮細胞(HUVEC)cDNAの調製
HUVEC(クラボウ製)約1×107個の細胞に1mlのISOGEN(和 光純薬工業製)を加えペッスルで細胞を破砕し更に9mlのISOGENを加え5分間振とうした。この溶液に1mlのクロロフォルムを添加し1分間振とうし、10,000rpmで10分間遠心し、上清液を回収し、1/10容の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)を添加して混合し更に2.5容のエタノールを添加した。遠心して沈澱を回収し、75%エタノールで沈澱を洗浄し乾燥して100μlの加熱滅菌した純水に溶解した。102μgのRNAが得られた。この溶液に10%SDSを1μl添加し100μlの「Oligotex-dT30(宝酒造製)」を添加し65℃で5分間保温した後、氷中にて急冷した。この溶液に20μlの5M塩化ナトリウムを混合し37℃で10分間保温した。この懸濁液を15,000rpmで15分間遠心し、沈澱を100μlの加熱滅菌した純水に懸濁し65℃で5分間保温した。この懸濁液を15,000rpmで15分間遠心した上清を回収してエタノール沈澱を行った。乾燥した沈澱を20μlの加熱滅菌した純水に溶解し、HUVECポリ(A)+RNAとした。以下この溶液を用いファルマシアのcDNA合成キットを用い、マニュアルに従ってオリゴdTでプライミングされたHUVEC2重鎖cDNA溶液100μlを得た。
2)FLT細胞外領域(EDF)コーディングDNAのクローニング
1)で得たHUVEC由来cDNAを鋳型として、以下の条件でPCRを行った。
Figure 2006094861
プライマー配列は、以下の通りである。
プライマー1: 5'-CTCGGATCCGGATCTAGTTCAGGTTCAAAA-3'(配列番号:8)
プライマー2: 5'-CTCGAATTCACTCCAGATTAGACTTGTCCGA-3'(配列番号:9)
「プライマー1」の下線部は成熟FLTのN末端コーディング配列に、「プライマー2」の下線部は、FLT細胞外領域C末端コーディング配列に対応する。
反応液200μlをミネラルオイルを除くために等量のクロロフォルムで処理し、水層を回収し、10%SDSを4μl添加し、60℃で5分間保温した。この溶液を等量のTE飽和フェノールで処理した水層を回収し、エタノール沈澱しDNA断片を回収した。乾燥した沈澱を30μlのTEに溶解し、アガロースゲル電気泳動にかけた。およそ2.2kbpのDNA断片を切り出し、「Prep-A-Gene」(BIORAD製)を使用しマニュアルに従いDNAを回収した。回収したDNA断片をHincII、HindIII、HhaIまたはPstIで消化し、切断パターンがFLT細胞外領域コーディングDNAの塩基配列から予想されるパターンと一致することを確認した。次にこのDNA断片をEcoRIおよびBamHIで消化し、その反応液を等量のTE飽和フェノールで処理し、水層から「Prep-A-Gene」を用いてEcoRI、BamHI消化DNA断片を回収した。同様にプラスミドベクターpGEX2T(ファルマシアバイオシステム製)1μgをEcoRIおよびBamHIで消化し、その反応液を等量のTE飽和フェノールで処理し、その水層から「Prep-A-Gene」を用いてEcoRI、BamHI消化pGEX2TDNAを回収した。
このようにして得られたDNA断片とプラスミドDNAを10:1のモル比で混合し、ライゲーション(ライゲーションキット、宝酒造製)を行った。このライゲーション溶液を用いて大腸菌JM109のコンピテントセル(宝酒造製)を形質転換し、75μg/mlのアンピシリンを含む2×TY培地(1l中16gトリプトン、10g酵母エキス、5g塩化ナトリウム、1.5g寒天)にプレーティングし37℃で一夜培養した。出現するアンピシリン耐性コロニーを爪楊枝で突き、前述のPCR反応液から鋳型を除いた溶液15μlに移し、サイクル数を30回にして前述と同様にPCRを行った。PCR後の反応液をアガロースゲル電気泳動し、2.2kbpのバンドを与えるコロニーから更にシングルコロニーを単離し、少量の培養液からプラスミドDNAを調製した。(「J. Sambrook,et al.,"Molecular Cloning", Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989」の方法に従った。)これらのプラスミドDNAをBamHIおよびEcoRIで消化し、2.2kbpのDNA断片が生じることを確認した。これらのプラスミドDNAの一つを前記「primer1」または「primer2」を用いて配列決定を行い(「J. Sambrook,et al.,"Molecular Cloning", Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989
」の方法に従った)、上流および下流から約150塩基の配列を調べたところ、FLT細胞外領域(EDF)コーディングDNAの塩基配列と一致した。
3)GST−EDF融合ポリペプチドの調製
前述の塩基配列の一部を確認したプラスミドを有する大腸菌クローンを500mlの50μg/mlアンピシリンを含む2×TY培地で、30℃で振とう培養を行い、波長600nmの吸光度が1.0に達した時にIPTGを0.1mMとなるように添加し、更に20時間培養した。遠心して細胞を回収し、グルタチオンセファロース(ファルマシアバイオシステム)を用いてマニュアルに記載された方法に従って、純度60%程度のGST−EDF融合ポリペプチドを約7.1mg調製した。レムリ法でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動した結果、この融合ポリペプチドは分子量60,000であり、GSTの分子量28,000を差し引くと融合ポリペプチドの相手の分子量は32,000程度である。グルタチオンセファロースに結合することからGST部分はほとんど分解していないと考えられるので、EDFのN末端側が分子量32,000程度残り、EDFの後半部が欠失していると考えられた。
4)GST−EDF融合ポリペプチドに対する抗体の調製
上記3)で調製したGST−EDF融合ポリペプチドをフロイントコンプリートアジュバントと混合し、ウサギ1羽につきGST−EDF融合ポリペプチドを初回200μg、以後2週間ごとに100μgずつ、7回皮下に免疫した。抗原をコートしたプレートによって力価測定を行った結果、血清を64,000倍以上希釈しても十分な免疫反応があった。ウサギ2羽の血清から「E. Harlow and D. Lane」の「Antibodies」に記載された方法に従い、150mgのIgG画分 を得た。
[実施例6]
EDFおよびその部分断片を発現する組換えバキュロウイルスの作成
1)EDFおよびその部分断片を発現する組換えバキュロウイルスの作成用組換えトランスファーベクターの構築
プラスミドpflt3−7(M. Shibuya et al., Oncogene, 5:519 (1990))を鋳型として以下の条件でPCRを行った。
Figure 2006094861
上記反応に用いたプライマー配列は、以下の通りである。
プライマー3:5'-TTTCTCGGATCCTATAAATATGGTCAGCTACTGGGACACC-3'(配列番号:10)
プライマー4:5'-GTGGTGGTGGTGGTGGTGACGCTCCAGATTAGACTTGTCCGA-3'(配列番号:11)
「プライマー3」の下線部は成熟FLTのN末端コーディング配列に、「プライマー4」の下線部は、FLT細胞外領域C末端コーディング配列に対応する。
またポリアデニレーションシグナルを含むDNA断片を得るために、プラスミドpRc/RSV(Invitrogen corp.製)を鋳型として牛成長ホルモン遺伝子由来のポリアデニレーションシグナルを含むDNA(0.3kbp)を得るために以下の条件でPCRを行った。
Figure 2006094861
上記反応に用いたプライマー配列は、以下の通りである。
プライマー5:5'-CACCACCACCACCACCACTAACTAGAGCTCGCTGATC-3'(配列番号:12)
プライマー6:5'-TTCTCGAATTCTCCCCAGCATGCCTGC-3'(配列番号:13)
「プライマー5」「プライマー6」の下線部は、pRc/RSVのウシ成長ホルモン 遺伝子由来のポリアデニレーションシグナルの前後に対応する。
得られた各々の反応液 200μlを等量のクロロフォルムで処理し、水層を回収 し、0.5%SDS、0.1M Tris-HCl(pH6.8)、5 mM EDTA、200μg/mlプロテネースK(proteinase K)となるように各試薬を添加し、37℃で30分間保温した。これらの溶液をTE飽和フェノールで処理し、水層をエタノール沈澱し、EDFをコードするDNA断片およびポリアデニレーションシグナルを含むDNAをTEに溶解した。これらのDNA溶液をアガロースゲル電気泳動にかけ、各々から2.2kbp、0.3kbpのDNA断片を回収し、各々50μlのTE溶液とした。次にこれらのDNA断片をPCRにより融合させる(R. Higuchi, "PCR Protocols", Academic Press Inc.,177 (1990)参照)ために以下の条件でPCRを行った。
Figure 2006094861
得られた反応液 200μlを等量のクロロフォルムで処理し、水層を回収し、0.5%SDS、0.1M Tris-HCl(pH6.8)、5 mM EDTA、200μg/mlプロテネースKとなるよう に各試薬を添加し、37℃で30分間保温した。この溶液をTE飽和フェノールで処理し、水層をエタノール沈澱し、DNAをTEに溶解した。このDNA溶液をアガロースゲル電気泳動にかけ、EDFをコードするDNA断片とポリアデニレーションシグナルを含むDNA断片が融合したと考えられる2.5kbpのDNA断片を回収し50μlのTE溶液として調製した。このDNA断片の両端をBamHIおよびEcoRIで消化したDNA断片を調製した。一方組換えバキュロウイルス用トランスファーベクターであるプラスミドpVL1393(PharMingen社)の1μgをBamHIおよびEcoRIで切断したものを実施例5の2)に記載したのと同様の方法で調製した。このプラスミドDNAとプラスミドpflt3−7からPCRにより増幅したEDFをコードするDNA断片をBamHIおよびEcoRIで消化したDNA断片をモル比およそ1:5で混合し、ライゲーションキット(宝酒造製)で処理し、大腸菌JM109のコンピテントセルに形質転換し、実施例5の2)に記載したのと同様の方法で組換えプラスミドを有するクローンを6種選択した。各クローンの3mlの培養液からアルカリ法でプラスミドDNAを調製し、塩基配列の決定を行い、挿入断片の上流約300塩基と下流約500塩基を調べたところ正しい配列は2種類のクローン由来のプラスミドであった。これらのプラスミドを「pEDFH10」および「pEDFH11」と名付けた。これらのプラスミドを持つ大腸菌を50μg/mlのアンピシリンを含む100mlの2×TY培地で37℃で1夜培養し、回収した菌体からアルカリ法(「J. Sambrook,et al.,"Molecular Cloning", Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989」の記載に従う)でプラスミドDNAを抽出し、マニュアルに従ってイオン交換カラム(Diagen GimbH、QIAGEN社製)で精製し、各々200μlのTEに溶解した約 100μgのプラスミドDNAを得た。
2)EDFおよびその部分断片を発現する組換えバキュロウイルスの作成
TMN−FH培地(PharMingen社製)で培養した80%コンフルエンシーの状態のSf9細胞(Invitrogen Corp.社製)をピペッティングで剥し、2x106 個の細胞を直径60mmのディッシュに撒き30分放置して表面に吸着させた後、培地を無血清培地であるEx−Cell400(岩城硝子製)2mlに置換した。「pEDFH10」または「pEDFH11」を8μl(4μg)、欠失バキュロウイルスDNA(BaculoGold、PharMingen社製)2μl(40ng)を16μl中に混合した溶液と、リポフェクチンを滅菌純水で2倍希釈した溶液16μlとを混合し15分放置した後、全量32μlを前述のディッシュに添加し混合した。このディッシュを湿潤箱に入れ27℃で6時間30rpmで振とう培養した後、培地を2.5mlのTMN−FHに置換し27℃で5日間静置培養した。培地を回収し遠心した上清をオリジナルウイルスストック(それぞれ「BEDFH10」、「BEDFH11」と称する)とした。「Invitrogen corp.」のマニュアルに従いプラークアッセイを行った結果、これらのウイルスタイターは共におよそ3×106であった。各々のウイルスについて2クローンずつ(「BEDFH 10」からは「BEDFH101」「BEDFH102」、「BEDFH11」からは「BEDFH111」「BEDFH112」)プラーク単離を行い、Invitrogen corp. のマニュアルに従って4段階に増幅したウイルス溶液約200ml(タイターはおよそ5×107/ml)を得た。
[実施例7]組換えウイルス感染Sf9細胞発現産物の解析
1)125I−VEGF121との共有結合架橋産物
上記の組換えウイルスをm.o.i.0.3(m.o.i.とはウイルス粒子:細胞数の比のこと)で感染させたSf9細胞2×105に、125I−VEGF121(150,000cpm/ng)を180,000cpm添加し、100μlのPBS−0.1%BSA中で室温で1時間置いた。遠心により2回、同バッファーで洗浄し、再度100μlのPBS−0.1%BSAに懸濁した。この溶液に50mMジサクシニルスベレート(disuccinylsuberate)/ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide)を1/10容混合し室温で40分間置いた後、1M Tris-HCl(pH6.8)を1/10容混合した。このサンプルをレムリ法で還元条件でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った後、オートラジオグラフィによりシグナルを検出した(図7)。プラスミド「pEDFH10」を用いて作成した組換えウイルスである「BEDFH10」から分離した2クローンの感染細胞では、分子量130,000の共有結合架橋産物が検出できた(図7A、レーン1、2)のに対して、プラスミド「pEDFH11」を用いて作成した組換えウイルスである「BEDFH11」から分離した2クローンの感染細胞では分子量50,000の共有結合架橋産物が観察された(図7A、レーン3、4)。一方、EDFをコードするDNAをプロモーターとは逆向きに挿入した組換えトランスファーベクターを用いて作成したコントロールウイルス感染細胞では共有結合架橋産物は検出できなかった。図7Bのレーン1はコントロールウイルス感染細胞を使用し、レーン2は「BEDFH11」感染細胞を使用し、レーン3はレーン2の反応に214倍の非標識VEGFを添加したサンプルである。VEGF121モノマーの分子量が20,00 0であるので、それぞれの共有結合架橋産物の分子量から差し引くと、110,000と30,000である。このことから「BEDFH10」感染細胞はEDFの全長を生産しており「BEDFH11」感染細胞はEDFの断片を発現していると考えられた。「BEDFH11」から発現されるEDFの断片を「EDFΔ11」と名付けた。
2)VEGFとの親和性
Sf9細胞に組換えウイルス「BEDFH10」または「BEDFH11」をm.o.i.5で感染させ、7日間培養した培養上清をマイクロタイタープレート(イムロン2、ダイナテック社製)のウェルに100μl入れ4℃で一夜置いた。 その後ウェルの中の液を捨て、PBS−0.1%BSAで3回洗浄し、次にPBS−1%BSAを250μl入れ、室温で2時間放置しブロッキングした。ウェルの中の液を捨て、100μl中に比活性78,000cpm/ngの125I−VEGF165(アマシャム社製)11300cpmに非標識のVEGF165を0〜12500pg混合した溶液を入れ室温で3時間放置した。ウェルの中の液を捨てPBS−0.1%BSAで3回洗浄し、各ウェルに残った放射活性をγカウンターで測定しスカッチャード解析を行った(図8)。図8A、BはそれぞれEDFまたは「EDFΔ11」の発現培養上清をコートしたプレートを用いた結果である。この時にコントロールウイルス感染Sf9細胞の培養上清でコートしたプレートには125I−VEGF165ほとんど結合しないので、結合放射活性は挿入遺伝子からの発現産物への125I−VEGF165の結合であると考えられる。「BEDFH10」または「BEDFH11」感染細胞の培養上清中の発現産物のVEGF165に対する親和性は共にKd(解離定数)がおよそ5×10-11でありFLT(J. Waltenberger, et al., J. Biol. Chem., 269:26988 (1994))または可溶性型FLT(R. L. Kendal and K. A. Thomas, Proc. Natl., Acad. Sci., U. S. A., 90:10705 (1993))について報告されている値に近かった。
3)組換えトランスファーベクターへの挿入DNAの塩基配列解析
プラスミド「pEDFH10」および「pEDFH11」にクローニングしたDNAの塩基配列を確認するために塩基配列の決定を行った結果、「pEDFH10」の挿入DNAのFLT細胞外領域と対応する領域の塩基配列はFLTと完全に一致していた。「pEDFH11」の挿入DNAのFLT細胞外領域と対応する領域の塩基配列はFLTと比較して、配列番号:1で1053番目のCが欠失していた。その結果、オープンリーディングフレームが配列番号:1のFLTアミノ酸配列のー22番から246番までに対応するようになっていた。この部分はFLTの第一ドメインと第二ドメインを含んでいる。
4)発現産物の精製
100mlの三角フラスコに30mlTMN−FHを入れ27℃、70rpmで培養したSf9細胞90ml(1.5×106/ml)に組換えウイルス「BEDFH10」または「BEDFH11」をm.o.i.5で感染させ、20時間後に遠心して培地を60ml(30ml×2)のEx−cell405(岩城硝子製)に置換して48時間培養し、1/100容の330mMフェニルメチルスルフォニルフルオライド(phenylmethylsulfonyl fluoride)/エタノールと1/1000容の100μg/mlアンチパイン(antipain)、200μg/mlアプロチニン(aprotinin)、200μg/mlロイペプチン(leupeptin)を添加し上清を回収した。「BEDFH10」感染細胞の培養上清は「Immercible CX-10」(日本ミリポアリミテッド製)で8倍濃縮し、20 mM Tris-HCl(pH7.8)/50 mM KCl/0.1% ノニデット(Nonidet)P-40/1 mM イミダゾール-塩酸(pH7.8)で平衡化したNi++-NTA(QIAGEN、Diagen GimbH)を添加して4℃で1時間混合した。10,000rpmで遠心して沈澱に30mlの150 mM KCl/0.1% ノニデット P-40/40 mM イミダゾール-塩酸(pH7.8)を添加し4℃で15分間混合し、遠心して沈澱を回収し、更に2回同バ ッファーで洗浄した。沈澱に0.2mlの250 mM イミダゾール-塩酸(pH7.8)を 添加し室温で15分間混合し遠心して上清を回収した。再度沈澱に0.2mlの250 mMイミダゾール-塩酸(pH7.8)を添加し同様にして上清を回収し、前回の上清と併せて精製EDFサンプルとした。「BEDFH11」感染細胞の培養上清は0.3MになるようNaClを添加してFPLC(ファルマシアバイオシステム製)でヘパリンカラム(ファルマシアバイオシステム製)を用いて分画した。サンプル負荷のあと0.1Mリン酸バッファー(pH7.0)−0.3M NaClで280nmの吸光度が十分下がるまで洗浄し、0.3−1.0M NaClのリニアグラディエントで溶出した。280nmの吸収がある画分を回収しVEGFアフィニティクロマトグラフィーを行った。PBSでサンプルを2倍に希釈して、1.4mgのVEGFをセファロース4Bに共有結合したカラム0.4mlに負荷した。20mlのPBS−0.5M NaClでカラムを洗浄し、10mM酢酸ナトリウム(pH4.0)で、0.05mlの2M Tris-HCl(pH8.0)を入れたチューブに0.5ml/チューブで溶出した。各フラクションをレムリ法でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動後、銀染色した(図9A、レーン番号はフラクション番号と一致)。また各フラクションをPBS−0.1%BSAで10倍希釈して、等容の125I−VEGF165と混合し、1時間後に100μlの混合液を実施例3の2)で使用したマイクロタイタープレートでVEGFの 結合を調べた。その結果、電気泳動で共有結合架橋実験での予想とほぼ一致する分子量35,000バンドが観察されたフラクションにVEGFの結合阻害が見られた(図9B)。
5)免疫化学的解析
EDFまたは「EDFΔ11」をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動し、「E. Harlow and D. Lane」の「Antibodies」に記載の方法に従ってウェス タンブロティングを行った。1次抗体として実施例1の4)の抗体を2μg/mlで使用し、2次抗体としてアルカリフォスファターゼ標識抗ウサギIgG(E. Y. Laboratories)を5000倍希釈して使用し、NTB(Nitroblue tetazolium chrolide)/BCIP(5-Bromo-4-chrolo-3-indolylphosphste p-toluidine salt)(Gibco BRL社製)で発色させた。その結果、約35kdの単一バンドが観察され、この抗体との特異的な反応性が確認された(図10B)。以上のことから「EDFΔ11」はFLTのN末端267に相当するポリペプチドであることがわかった。図10Aにおいてレーン1はヘパリンカラム後のサンプル、レーン2はVEGFアフィニティクロマトグラフィー後のサンプルを電気泳動して銀染色したものである。図10Bは、図10Aと同じサンプルでウェスタンブロットを行った図である。
6)VEGFの生物活性の阻害
VEGFによるヒト臍帯由来血管内皮細胞(HUVEC)のチミジン取り込み促進に対する「EDF」発現培養上清、「4N−FLT」発現培養上清または「EDFΔ11」発現培養上清による阻害を調べた。HUVEC(クラボウ社製)を96穴コラーゲンコートプレート(岩城硝子製)に3000個/ウェル/100μl(EGM−UV培地、クラボウ製)で撒き、37℃、5%CO2で24時間培養する。PBSで2回洗浄し、20ng/mlのVEGF165を50μlとサンプル50μlをウェルに添加して4日間培養した。50μCi/2nmoles/mlの3H−チミジンを10μlウェルに添加して更に24時間培養した。PBSで2回洗浄した後、トリプシン/EDTAで細胞を剥し、セルハーベスター(Cambridge Technology Inc.製)でグラスフィルターに回収し液体シンチレーションカウンターで放射活性を測定した(図6)。対照として用いた野生株(wt)ウイルス感染培養上清をサンプルとして添加した場合に比べ、組換えウイルスを用いた「EDF」「4N−FLT」「EDFΔ11」発現培養上清を添加した場合は、有意にVEGF依存性チミジン取り込みが阻害された。この結果から「EDF」「4N−FLT」または「EDFΔ11」は、VEGFによるHUVECのチミジン取り込みの促進、即ちDNA合成の促進を阻害することが明らかになった。
III.第1〜第2イムノグロブリン様ドメインとヒトIgG 1 −Fc領域との融合タンパク質に関する実施例
[実施例8]
1)ヒトIgG1−Fc cDNAの単離
IgG生産株であるヒトリンフォブラストーマ、IM9(大日本製薬)をRPMI1640培地で培養した上清を、Human IgG subclass profile kit(Zymed)を用いて調べたところ、ヒトIgG1を生産していることがわかった。4x107個のIM9細胞から、IIの[実施例5](1)記載と同様の方法でcDNA溶液を調製した。このcDNAから、表7に示す条件で2段階のPCRによりヒトIgG1−Fc cDNA断片を増幅した。
Figure 2006094861
プライマー配列は、以下の通りである。
プライマー7:5'-TCTTGTGACAAAACTCACACATGC-3'(配列番号:14)
プライマー8:5'-CGGAGACAGGGAGAGGCTCTTCTG-3'(配列番号:15)
プライマー9:5'-GAGCCCAAATCTTGTGACAAAA-3'(配列番号:16)
プライマー10:5'-TTCTCGGATCCTTATTTACCCGGAGACAGGGA-3'(配列番号:17)
Bam STP hIgG1-Fc term
プライマー10の「Bam」は制限酵素BamHI認識配列、「STP」は終止コドン、「hIgG1-Fc term」はヒトIgG1−Fcコーディング領域のC末端部分を意味する。ただしプライマー8とプライマー10はアンチセンス鎖である。ヒトIgG1−Fcコーディング領域とプライマー位置の対応を図11に示した。PCR反応液をIIの[実施例5](2)の記載と同様の方法で処理し、アガロースゲル電気泳動にかけ、約700bpのDNA断片を切り出し、フィルターチューブSUPEREC-01(宝酒造)で遠心しDNAを回収した。このDNA断片の AvaI、HpaII、RsaI、SmaIの各制限酵素切断パターン(表8)を調べ、既報のヒトIgG1−Fc cDNA配列(J.W. Ellison, B. J. Berson and L. E. Hood, Nucleic Acid Res., 10:4071 (1982))と合致することを確認した。
Figure 2006094861
[実施例9]
第1〜第2イムノグロブリン様ドメインとヒトIgG1−Fc領域との融合タンパク質の発現系の構築
1)大腸菌外膜タンパク質 OmpA のシグナルペプチドコーディングDNAの単離
大腸菌株HB101を3mlの2xTY培地で37℃、一夜培養し、遠心して菌体を回収し、0.5mlのTEバッファー(10mM Tris−HCl(pH7.5)/1mMEDTA)に懸濁した。20mg/mlの卵白リゾチームを25μl加えて室温に15分置き、溶菌させた後、50μlの10%SDSと0.5mlTE飽和フェノールを加え、5分間激しく振とうし、遠心して水層を回収し、当量のクロロホルムで処理し、フェノールを除いた。2容のエタノールを加えDNAを沈澱させ、70%エタノールで洗浄し、乾燥後、沈澱を200μlの20μg/mlのRNaseA溶液に溶解し、大腸菌ゲノムDNA溶液とした。これを鋳型として表9の条件でPCRを行い、OmpA のシグナルペプチドコーディングDNAを増幅した。
Figure 2006094861
プライマー配列は、以下の通りである。
プライマー11:5'-TAACCTGGCGATAACGAGGCGCAAATAATGAAAAAG -3'(配列番号:18)
trx term SD omp init
プライマー12:5'-CTGAACTAGATTTCGGAGCGGCCTGCGCTA-3'(配列番号:19)
mflt omp SP term
プライマー11の「trx term」は大腸菌チオレドキシン遺伝子(trxA)コーディング末端部分、「SD」は、omp Aのリボソーム結合配列、「omp init」は、omp Aの開始コドン周辺を意味する。プライマー12の「mflt」は成熟FLTのN末端コーディング領域、「omp SP term」は、Omp Aシグナルペプチドコーディング領域末端部分を意味する。ただし、プライマー12はアンチセンス鎖である。なおチオレドキシン遺伝子に関する配列は、「B. J. Wallace and S. R. Kushner, Gene 32:399 (1984)」を、omp Aに関する配列は「E. Beck and E. Bremmer, Nucleic Acid Res., 8:3011(1980)」を参考とした。このPCR反応液を前述と同様に処理し、得られたDNA断片をOmp AシグナルペプチドDNAとした(図12、図14)。
(2)大腸菌チオレドキシン遺伝子の増幅と単離
前述のように、大腸菌で外来性タンパク質を高発現させると不溶性の封入体となり易いことが知られている。封入体を変性・可溶化・再活性化するのは回収率が悪く労力を要する。このような場合に大腸菌内で、大腸菌チオレドキシンを同時に高発現させると、外来性タンパク質が正常なフォールディング構造をとることができ、封入体が生じにくくなることが報告されている(T. Yasukawa et al., J. Biol. Chem. 270:25328(1995))。そこでチオレドキシンを同時に高発現させるために遺伝子を単離した。
以下の条件でPCRを行い、大腸菌チオレドキシン遺伝子を増幅した。
Figure 2006094861
プライマー配列は、以下の通りである。
プライマー13:5'-TTCTCGAATTCCCTGTGGAGTTATATATGAGC-3'(配列番号:20)
Eco SD trx init
プライマー14:5'-GCCTCGTTATCGCCAGGTTAGCGTCGAGGA-3'(配列番号:21)
ompSD trx term
プライマー13の「Eco」は制限酵素 EcoRI の認識切断部位、「SD」は、大腸菌チオレドキシン遺伝子のリボソーム結合配列、「trx init」は、trxAの開始コドン周辺を意味する。プライマー14の「ompSD」は、omp Aのリボソーム結合配列を意味する。プライマー14はアンチセンス鎖である。このPCR反応液を前述と同様に処理し、得られたDNA断片をチオレドキシンDNAとした(図12、図14)。
(3)FLT第1〜第2イムノグロブリン様ドメインコーディングDNAとヒトIgG1−Fc領域コーディングDNAの融合
EDFΔ11バキュロ発現ベクターpEDFH11を鋳型として表11の条件でPCRを行い、FLT第1〜第2イムノグロブリン様ドメインコーディングDNAを増幅し、前述と同様にして精製し、EDF12 DNAとした(図13)。
Figure 2006094861
プライマー配列は、以下の通りである。
プライマー15:5'-CGCTCCGAAA TCTAGTTCAGGTTCAAAATT-3'(配列番号:22)
ompSP term mFLT
プライマー16:5'-TTTgTCACAAgATTTgggCTCT gTgCTTATTTggACATCTAT-3'
hIgG-Fc hinge 214-FLT-208
(配列番号:23)
プライマー16の「hIgG-Fc hinge」はヒトIgG1のヒンジコーディングDNA、「214-FLT-208」はFLTの208位〜214位のアミノ酸コーディングDNAを意味する。プライマー16はアンチセンス鎖である。
このようにして得たFLT第1〜第2イムノグロブリン様ドメインコーディングDNA(EDF12 DNA)と[実施例8]の(1)で得られたIgG1−Fc cDNAを鋳型として用い、表12の条件で組換えPCR(R. Higuchi, In "PCR Protocols", ed. by M. A. Innis et al., Academic Press Inc. (1990))を行い、両DNA断片を融合・増幅し、これまでと同様に精製し、EDF12Fc DNAとした(図13、図14)。
Figure 2006094861
(4)発現ベクターの作製
[実施例9]の(1)のOmp AシグナルペプチドDNAと[実施例9]の(2)のチオレドキシンDNAと[実施例9]の(3)のEDF12Fc DNAを鋳型として用い、表13の条件で組換えPCRを行い、3つのDNA断片を融合・増幅し精製した(図13、図14)。図13においてレーンM、1、2、3はそれぞれ、分子量スタンダード、EDF12 DNA、IgG1 Fc DNA、EDF12Fc DNAである。図14の「Ec」、「Bm」はそれぞれ、制限酵素EcoRI、BamHIの認識配列の存在箇所を表す。
Figure 2006094861
このようにして得られた約1.7KbpのDNA断片は、プライマー10とプライマー13に含められた EcoRI と BamHI 認識切断配列を末端に持つ。この1.7Kbpの融合DNA断片をEcoRIとBamHIで消化した。一方、大腸菌発現ベクターpTTQ18((株)アマシャムジャパン製)をEcoRIとBamHIで消化した。これらの制限酵素消化反応液を[実施例5]の(2)と同様の方法で処理し、DNAを回収した。ライゲーションキット(宝酒造製)を用い、ベクター:インサートのモル比3:1で連結反応を行った。この反応液と大腸菌JM109のコンピテントセル(宝酒造製)を用いて形質転換を行い、アンピシリン含有寒天培地にて生育する形質転換体を選択した。更にこの中から[実施例5]の(2)と同様の方法で、1.7Kbpの挿入DNAを持つ組換え体が数クローン得られ、その一つをJM109(pEDF12Fc)とした。
図12レーンM、1、2、3、4、5、6はそれぞれ、分子量スタンダード、チオレドキシンDNA、Omp A シグナルペプチドDNA、EDF12Fc DNA、チオレドキシンDNA−Omp A シグナルペプチドDNA-EDF12Fc DNA融合断片、pEDF12Fc DNAのEcoRI+BamHI消化、pTTQ18 DNAのEcoRI+BamHI消化である。(丸印は未消化プラスミドである。)
[実施例10]発現した融合タンパク質の解析
(1)粗抽出液の調製
JM109(pEDF12Fc)を70mlの100μg/mlのアンピシリンを含む2xTY培地で、37℃で振とう培養をおこない、波長600nmの吸光度が1.0に達した時にIPTGを0.5mM添加し、更に12時間培養した。培養終了後、培養液を急冷し、培養液にプロテアーゼインヒビターとして、33μM pAPMSF(和光純薬工業)を70μlを添加し、遠心して菌体を回収した。菌体を5mlの10mM Tris−HCl(pH8.0)/33nM pAPMSFに懸濁し、ソニケーターを用いて菌体の95%以上を超音波破砕した。これを10,000xgで20分遠心し、沈澱を5mlの0.1M Tris−HCl(pH8.0)/1M KCl/33nM pAPMSF/5mM EDTA/1%TritonX100/0.1%Nonidet−P40に溶解し、20,000xgで遠心して不溶成分を除いた上清を粗抽出液として以下の解析に用いた。同時に対照としてベクター部分のみを持つJM109(pTTQ18)から同様にして粗抽出液を調製した。
(2)EIAによる融合タンパク質発現の確認
VEGFと抗ヒトIgG抗体を用いたサンドイッチEIAによって確認した。VEGFコートプレートを作成するために、VEGF165(R&D社製)を50ng/mlになるようにPBSで希釈し、イムロン2マイクロタイタープレートに1ウェル当たり100μl分注し、4℃で一夜置いた後、[実施例7]の(2)と同様にしてブロッキングした。JM109(pTTQ18)およびJM109(pEDF12Fc)の粗抽出液をPBS/0.1%BSAで20倍希釈した溶液100μlを、ウェルに加え室温で1時間置いた後、ウェルをPBS/0.1%BSAで6回洗浄した。次にPBS/0.1%BSAで1000倍希釈したペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgG抗体(MBL製#IM−0837)を100μl、ウェルに加え室温で1時間放置し、上述のようにウェルを6回洗浄した。この後、ペルオキシダーゼ基質溶液(20mM酢酸ナトリウム(pH5.2)、0.01%過酸化水素、オルトフェニレンジアミンタブレット(和光純薬製)1錠/20ml)100μlをウェルに加え、室温で30分呈色反応を行い、更に100μlの2N硫酸を加えて反応を停止し、492nmの吸光度を測定した。その結果、組換え体JM109(pEDF12Fc)抽出液は対照と比較して強く発色した(表14)。これはVEGFと抗ヒトIgG抗体とのサンドイッチEIAであるので、この結果から組換え体抽出液中に、VEGFに結合し、かつ抗ヒトIgG抗体と結合する分子が含まれることが示唆された。
Figure 2006094861
(3)組換えタンパク質の分子量の確認
組換えタンパク質の分子量を調べるため、[実施例7]の(5)と同様の方法で粗抽出液をウェスタンブロットにかけた。粗抽出液をレムリ法でSDS−ポリアクリルアミド電気泳動し、PDVF膜にエレクトロブロットし、ブロッキングした後、1次抗体として、抗ヒトIgG1−Fcモノクローナル抗体(MBL#IM−0280)0.4μg/mlで、2次抗体としてアルカリフォスファターゼ標識抗マウスIgG(Zymed製)を4000倍希釈して使用した。
その結果、JM109(pEDF12Fc)粗抽出液のレーンにのみ、還元条件でおよそ分子量6000の免疫化学的に反応するバンドが検出された(図15)。図15においてレーン1、2のサンプルはそれぞれ、JM109(pTTQ18)粗抽出液、JM109(pEDF12Fc)粗抽出液である。予想される組換え体は446アミノ酸残基であるので、妥当なサイズである。
(4)125VEGF165との共有結合架橋産物の解析
組換えタンパク質とVEGFとの結合複合体の分子量を調べるため、各粗抽出液100μlと125VEGF165 140,000cpmを混合し、2時間室温で置いた後、サンブルックらの「Molecular Cloning」記載の方法で、プロテインAセファロース(ファルマシア製)を用いて免疫沈降し、[実施例7]の(1)と同様の方法で架橋反応を行った。沈澱物をSDS−ポリアクリルアミド電気泳動し、オートラジオグラフィーによりシグナルを検出した(図16)。その結果、対照抽出液ではVEGFの弱いシグナルのみが検出される(レーン2)のに対し、組換え体JM109(pEDF12Fc)の抽出液では、還元条件で分子量がおよそ152万の架橋産物が検出された(レーン1)。この結果から、組換えタンパク質はVEGFに結合し安定な複合体を形成でき、プロテインAとも結合することがわかる。
(5)組換えタンパク質のVEGF親和性の測定
組換えタンパク質のVEGFに対する結合親和性を知るために[実施例7]の(1)と同様の方法でスカッチャード解析(N=3)を行った(図17A、B)。イムロン2にプロテインA(カッペル製)20μg/mlを1ウェル当たり150μlでコートし、ブロッキングした後、粗抽出液を1ウェル当たり150μl加え、室温で1時間置いた。PBS/0.1%BSA/1mM EDTA/0.25%ジェラチン/0.1%Nonidet−P40で3回洗浄した。125VEGF165を洗浄する時も同じバッファーで洗浄した。その結果、組換えタンパク質はEDFと同程度のVEGF親和性を有していることが示された。
以上の結果から本実施例の組換えタンパク質であるFLT第1〜第2イムノグロブリン様ドメイン−ヒトIgG1 Fc融合タンパク質は、EDFと同程度に高親和的にVEGFと結合し、ヒトIgG1 Fc特異的なモノクローナル抗体によって認識され、またプロテインAとも結合するというヒトIgG1 Fcの生化学的特性を有していることが示された。また本融合タンパク質は、EDFのVEGF親和性という生化学的特性が、融合によっても損なわれていないことから、EDFと同様にVEGFに結合し、VEGFの活性を阻害できると考えられる。
FLT細胞外領域のドメインの構成を表す模式図である。 4N−FLTを発現する組換えバキュロウイルスの構築過程の概要を示す図である。 5N−FLTを発現する組換えバキュロウイルスの構築過程の概要を示す図である。 B4NまたはB5N組換えバキュロウイルスを感染させた細胞の培養上清および抽出液のウェスタンブロットを示す図である。 4N−FLTまたは5N−FLTとVEGF断片との相互作用に関するスカッチャード解析を示す図である。 HUVECのVEGF依存性チミジン取り込み促進のEDF、4N−FLTまたはEDFΔ11発現培養上清による阻害を示す図である。 EDFまたはEDFΔ11を発現する組換えバキュロウイルスを感染させた細胞と125I−VEGF121との共有結合架橋産物の電気泳動後のオートラジオフラフィーを示す図である。 EDFまたはEDFΔ11とVEGF断片との相互作用に関するスカッチャード解析を示す図である。 EDFΔ11の精製過程のVEGFアフィニティクロマトグラムと各フラクションの電気泳動パターンを示す図である。 精製EDFΔ11の電気泳動パターンとウェスタン解析を示す図である。 ヒトイムノグロブリンIgG1のFc領域の模式図と、単離するのに用いたプライマーの位置の対応を示す図である。 PCRで増幅・精製したDNAと制限酵素切断した組換えプラスミドのアガロースゲル電気泳動パターンを示す図である。 PCRで増幅・精製したDNAのアガロースゲル電気泳動パターンを示す図である。 各DNA断片の単離からFLT第1〜第2−ヒトIgG1-Fc発現組換えプラスミド構築までの過程の概略を示す図である。 組換え大腸菌粗抽出液の抗ヒトIgG1-Fcモノクローナル抗体によるウェスタンブロットを示す図である。 組換え大腸菌粗抽出液と125I−VEGF165の共有結合架橋産物のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動パターンを示す図である。 Aは組換え大腸菌粗抽出液と125I−VEGF165結合曲線、Bはそのスカッチャード解析を示す図である。

Claims (6)

  1. VEGFに結合してVEGFの活性を阻害することができる、FLTの細胞外領域の第1イムノグロブリン様ドメインおよび第2イムノグロブリン様ドメインを含み、かつ第6イムノグロブリン様ドメインおよび第7イムノグロブリン様ドメインを含まないポリペプチド。
  2. 請求項1記載のポリペプチドをコードするDNA。
  3. 請求項2に記載のDNAを含むベクター。
  4. 請求項3に記載のベクターを保持する形質転換体。
  5. 請求項1記載のポリペプチドからなる医薬。
  6. 請求項1記載のポリペプチドからなる分析試薬。
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