JP2006085998A - 異方導電性粘着シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電気的接続と絶縁状態の確保とを高度なレベルで両立し得るよう構成される異方導電性粘着シートおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 粘着剤材料からなる絶縁シート11と、絶縁シート11中に含まれる導電性強磁性粒子12とを有し、導電性強磁性粒子12は複数の柱状体を形成するように配列し、柱状体は互いに粘着剤材料で隔てられていて、柱状体の長手方向は絶縁シート11の厚さ方向と実質的に平行である、異方導電性粘着シート1。当該シート1は、絶縁シート11に導電性強磁性粒子12が分散されてなる粘着シート10を加熱して粘着剤材料を軟化させた状態で、粘着シート10の少なくとも一方の主面側からパターン化された磁場をかけることで導電性強磁性粒子12を磁場のパターンに合わせて配列させる工程を経て好ましく製造される。
【選択図】 図1
【解決手段】 粘着剤材料からなる絶縁シート11と、絶縁シート11中に含まれる導電性強磁性粒子12とを有し、導電性強磁性粒子12は複数の柱状体を形成するように配列し、柱状体は互いに粘着剤材料で隔てられていて、柱状体の長手方向は絶縁シート11の厚さ方向と実質的に平行である、異方導電性粘着シート1。当該シート1は、絶縁シート11に導電性強磁性粒子12が分散されてなる粘着シート10を加熱して粘着剤材料を軟化させた状態で、粘着シート10の少なくとも一方の主面側からパターン化された磁場をかけることで導電性強磁性粒子12を磁場のパターンに合わせて配列させる工程を経て好ましく製造される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、異方導電性粘着シートおよびその製造方法に関する。
ICなどの電子機器やプリント配線基板など、微細な多点電気接続を達成するために、異方導電性シート、異方導電性粘着テープまたは異方導電性ペーストなどが用いられる。これらは、基本的には、絶縁ポリマー中に導電性粒子を分散させてなるものである(特許文献1)。図3は、従来の異方導電性シートおよびその使用を模式的に示す図である。用時には、ICなどの電子機器4と回路基板5とで異方導電性シート100を挟み熱圧着などによって固定することで、絶縁シート111に分散している導電性粒子112が電子機器4の端子42と回路基板5の端子52とを電気的に接続するよう図られる。
特開平9−3415号公報
一般に、異方導電性シート(粘着テープ、ペースト等)は、電子機器4や回路基板5といった接続対象物の対応する端子42、52同士を電気的に接続すると同時に、対応しない端子42、52の絶縁状態を確保することが期待される。しかしながら、上述の対応する端子42、52同士をより確実に電気的に接続するために導電性粒子112の量を多くすると、逆に、絶縁状態を確保すべき端子42、52間を導通する懸念が強まる。このように、従来の異方導電性シート100では電気的接続と絶縁状態の確保とが高度なレベルで両立しているとは言い難い。
電気的に接続すべき端子42、52間の電気的接続を確実にしようとすると、異方導電性シート100全体が導電性粒子で着色される程度にまで導電性粒子112を加える必要があった。したがって、用時に、電子機器4と回路基板5とで異方導電性シート100を挟む際に、電子機器4および回路基板5のそれぞれに対応する位置合わせマークを有する実装治具を用いる必要があった。上記異方導電性シート100の絶縁シート111が粘着剤材料からなる場合には位置ズレが生じた場合の修正がし難いので、電子機器4と回路基板5とを高精度に位置合わせするのが好ましいが、上記のように電子機器4と回路基板5とでそれぞれ異なる位置合わせマークを目標にする位置合わせでは位置合わせ精度の向上に限界がある。
本発明は、電気的接続と絶縁状態の確保とを高度なレベルで両立し得るよう構成され、好ましくは適用する電子機器4と回路基板5などとの高精度な位置合わせを実現し得る異方導電性粘着シートおよびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の特徴は以下のとおりである。
(1)粘着剤材料からなる絶縁シートと、前記絶縁シート中に含まれる導電性強磁性粒子とを有し、導電性強磁性粒子は複数の柱状体を形成するように配列し、柱状体は互いに粘着剤材料で隔てられていて、柱状体の長手方向は絶縁シートの厚さ方向と実質的に平行である、異方導電性粘着シート。
(2)導電性強磁性粒子の平均粒子径が10μm以下である上記(1)記載の異方導電性粘着シート。
(3)100℃における粘着剤材料の複素せん断弾性率が1×105Pa以下である上記(1)または(2)記載の異方導電性粘着シート。
(4)粘着剤材料100体積部に対して10〜100体積部の導電性強磁性粒子を有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の異方導電性粘着シート。
(5)当該シートの厚さ方向の光透過率が50%以上である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の異方導電性粘着シート。
(6)粘着剤材料からなる絶縁シートと前記絶縁シート中に分散されてなる導電性強磁性粒子とを有する粘着シートを加熱して、上記粘着剤材料を軟化させた状態で、粘着シートの少なくとも一方の主面側からパターン化された磁場をかけることで導電性強磁性粒子を磁場のパターンに合わせて配列させる工程を有する、異方導電性粘着シートの製造方法。
(7)上記粘着シートは、粘着剤材料100体積部に対して40〜50体積部の導電性強磁性粒子が分散されてなるものである上記(6)記載の製造方法。
(1)粘着剤材料からなる絶縁シートと、前記絶縁シート中に含まれる導電性強磁性粒子とを有し、導電性強磁性粒子は複数の柱状体を形成するように配列し、柱状体は互いに粘着剤材料で隔てられていて、柱状体の長手方向は絶縁シートの厚さ方向と実質的に平行である、異方導電性粘着シート。
(2)導電性強磁性粒子の平均粒子径が10μm以下である上記(1)記載の異方導電性粘着シート。
(3)100℃における粘着剤材料の複素せん断弾性率が1×105Pa以下である上記(1)または(2)記載の異方導電性粘着シート。
(4)粘着剤材料100体積部に対して10〜100体積部の導電性強磁性粒子を有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の異方導電性粘着シート。
(5)当該シートの厚さ方向の光透過率が50%以上である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の異方導電性粘着シート。
(6)粘着剤材料からなる絶縁シートと前記絶縁シート中に分散されてなる導電性強磁性粒子とを有する粘着シートを加熱して、上記粘着剤材料を軟化させた状態で、粘着シートの少なくとも一方の主面側からパターン化された磁場をかけることで導電性強磁性粒子を磁場のパターンに合わせて配列させる工程を有する、異方導電性粘着シートの製造方法。
(7)上記粘着シートは、粘着剤材料100体積部に対して40〜50体積部の導電性強磁性粒子が分散されてなるものである上記(6)記載の製造方法。
本発明の異方導電性粘着シートは、粘着剤材料からなる絶縁シート中で導電性強磁性粒子が柱状体を構成するように配置しているため、当該シートの厚さ方向へは電気を通しやすく、面拡張方向へは絶縁性が確保される。したがって、用時に、低い接触荷重にて、接続対象の電子機器と回路基板などとの電気的接続を図ることができる。また、当該シート中の導電性強磁性粒子の存在比率が少なくても電気的接続を図れるので当該シート全体が透明になるように構成することができる。当該シート全体が透明であれば、電子機器や回路基板などを接続する際の位置合わせを容易かつ精度よくなし得る。本発明の異方導電性粘着シートの製造方法は、超伝導磁場発生装置などといった特殊な装置を要さず、永久磁石や電磁石などといった簡便な磁場発生装置を用いるため、大面積の異方導電性粘着シートの製造も容易である。
図1は、本発明の異方導電性粘着シートならびにその使用と製造を示す図であり、図1(A)、(B)は本発明の異方導電性粘着シートの製造工程を順に示していて、同図(C)、(D)は本発明の異方導電性粘着シートの使用を模式的に示す。本発明の異方導電性粘着シート1は、粘着剤材料からなる絶縁シート11と、絶縁シート11中に含まれる導電性強磁性粒子12とを有する。
<粘着剤材料>
本発明で用いる粘着剤材料は、電子機器4および回路基板5に粘着し得て、常温でシートの形状を維持し得る絶縁材料であればよく、例えば、有機樹脂からなる公知の粘着剤材料を用いることができる。粘着剤材料の具体例として、シリコーン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ゴム(クロロプレンゴムやニトリルゴムなど)などが挙げられる。粘着の強さはガラス板に対する180°ピール強さで評価することができ、好ましくは3N/10mm幅以上であり、より好ましくは5〜10N/10mm幅である。
本発明で用いる粘着剤材料は、電子機器4および回路基板5に粘着し得て、常温でシートの形状を維持し得る絶縁材料であればよく、例えば、有機樹脂からなる公知の粘着剤材料を用いることができる。粘着剤材料の具体例として、シリコーン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ゴム(クロロプレンゴムやニトリルゴムなど)などが挙げられる。粘着の強さはガラス板に対する180°ピール強さで評価することができ、好ましくは3N/10mm幅以上であり、より好ましくは5〜10N/10mm幅である。
本発明で用いる粘着剤材料は、100℃における複素せん断弾性率が、好ましくは1×105Pa以下であり、より好ましくは1×104〜0.5×105Paである。100℃にまで加熱したときの複素せん断弾性率が上記範囲内であれば、絶縁シート11中の導電性強磁性粒子12が磁場の作用によって移動することができ、後述する柱状体を形成するように配列させることが容易になる。粘着剤材料の100℃における複素せん断弾性率は、動的粘弾性測定装置(Rheometric Scientific社製、ARES 2K−FRTN)を用いることで測定できる。測定試料(直径7.9mm、厚さ1.5mm)に対して1方向に、引張りモード(Torsion rectangular mode、0.3%歪み)で、一定周波数で、昇温させ、100℃で測定する。貯蔵弾性率をG’、損失弾性率をG’’とするとき、複素せん断弾性率G*は、
G*=((G’)2+(G’’)2)1/2にて算出される。
G*=((G’)2+(G’’)2)1/2にて算出される。
<導電性強磁性粒子>
本発明で用いる導電性強磁性粒子は、導電性でありかつ強磁性を呈する粒子である。強磁性を呈するとは、外部磁界を加えなくても磁化をもつ、すなわち、自発磁化をもつことである。そのような粒子は、粒子全体が導電性と強磁性の両方を呈する材料から構成される粒子でもよいし、強磁性材料からなるコアに強磁性を呈しない導電性材料を被覆してなる粒子でもよいし、あるいは、強磁性を呈しない粒子に導電性と強磁性の両方を呈する材料を被覆してなる粒子でもよい。強磁性材料の種類は特に限定されず、鉄、ニッケル、コバルト、あるいはそれらを含む混合物や化合物が挙げられる。これらの粒子をそのまま導電性強磁性粒子として用いてもよいし、これらの粒子に対して、金、銀、パラジウム、ロジウムなどといった高導電性金属を無電解めっきなどによって被覆することで導電性を向上させてもよい。
本発明で用いる導電性強磁性粒子は、導電性でありかつ強磁性を呈する粒子である。強磁性を呈するとは、外部磁界を加えなくても磁化をもつ、すなわち、自発磁化をもつことである。そのような粒子は、粒子全体が導電性と強磁性の両方を呈する材料から構成される粒子でもよいし、強磁性材料からなるコアに強磁性を呈しない導電性材料を被覆してなる粒子でもよいし、あるいは、強磁性を呈しない粒子に導電性と強磁性の両方を呈する材料を被覆してなる粒子でもよい。強磁性材料の種類は特に限定されず、鉄、ニッケル、コバルト、あるいはそれらを含む混合物や化合物が挙げられる。これらの粒子をそのまま導電性強磁性粒子として用いてもよいし、これらの粒子に対して、金、銀、パラジウム、ロジウムなどといった高導電性金属を無電解めっきなどによって被覆することで導電性を向上させてもよい。
導電性強磁性粒子は、流動抵抗が小さくなる点から球状またはそれに類似した形状を持つことが好ましい。導電性強磁性粒子の平均粒子径は、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは0.01〜1μmであり、さらに好ましくは0.05〜1μmである。上記範囲内であれば粘着剤材料中で凝集し難く、分散性が良好になる。上記範囲内の導電性強磁性粒子は、容易に入手可能であり、具体的な供給メーカーは実施例の欄で例示する。導電性強磁性粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、型式LA−920)を用いて測定される。
本発明の異方導電性粘着シートに含まれる導電性強磁性粒子の量は、要求性能、粒子の種類、比重、大きさなどによって適宜設定すればよく、粘着剤材料100体積部に対して好ましくは10〜100体積部であり、より好ましくは20〜80体積部であり、さらに好ましくは40〜60体積部である。上記範囲内であれば必要な導電性と絶縁性とを両立させ易く、異方導電性粘着シート全体の光透過性が高くなる。
粘着剤材料と導電性強磁性粒子との体積比率は、両者の比重を勘案した上で配合重量を調節することによって容易に調節することができる。粘着剤材料と導電性強磁性粒子との比率を重量で記述すると、粘着剤材料100重量部に対して、導電性強磁性粒子の量は好ましくは10〜1000重量部である。
粘着剤材料と導電性強磁性粒子との体積比率は、両者の比重を勘案した上で配合重量を調節することによって容易に調節することができる。粘着剤材料と導電性強磁性粒子との比率を重量で記述すると、粘着剤材料100重量部に対して、導電性強磁性粒子の量は好ましくは10〜1000重量部である。
本発明の異方導電性粘着シート1では、導電性強磁性粒子12は粘着剤材料からなる絶縁シート11内に複数の柱状体を形成するように配列している。ここで、柱状体とは、電気的接続が保たれる程度に導電性強磁性粒子12が配列してなる集合体であって、該集合体の一方向が他の方向よりも長い形状をもつ。柱状体の長手方向は絶縁シート11の厚さ方向と実質的に平行であり、柱状体どうしは互いに粘着剤材料で隔てられる。「実質的に平行である」とは、柱状体が絶縁シート11の一方の主面側から他方の主面側へと導通し得るよう構成されていることを意味し、ここで、「導通し得る」とは、絶縁シート11の一方の主面側と他方の主面側に導体(例えば端子42、52)を接触または圧力をかけて押し当てたときに、両導体間が電気的に接続し得る程度に導電性強磁性粒子12が密集していることを意味する。
個々の柱状体の大きさおよび隣合う柱状体間のピッチなどは異方導電性粘着シートの目的に応じて適宜設定すればよく、隣合う柱状体間のピッチは例えば10〜200μm程度である。
本発明の異方導電性粘着シートの厚さは使用目的などによって適宜設定すればよく、特に微細なピッチを要する小型の電子機器に好適に用い得ることから、例えば10〜50μmであり、好ましくは10〜30μmである。
<製法>
上述のように導電性強磁性粒子12を配列させる好ましい方法を図1を参照しながら説明する。しかし、以下の記載は本発明の異方導電性粘着シートの製法を限定するものではない。
まず、導電性強磁性粒子が分散されてなる粘着シートを調製する(図1(A))。粘着シート10では、上述の粘着剤材料からなる絶縁シート11に導電性強磁性粒子12が分散されている。この段階では、導電性強磁性粒子12は柱状体を形成している必要はなく、粘着シート10中で好ましくは均一に分散している。導電性強磁性粒子12を粘着剤材料からなる絶縁シート11に分散させる方法は特に限定されず、粘着剤材料と溶剤とを含む粘着剤溶液に導電性強磁性粒子12を分散させた後に上記溶液を乾燥して溶剤を除去する方法などが挙げられる。電気的な短絡を防ぐために、使用前に導電性強磁性粒子12を濾過の処理に供したり、適切な分散剤を併用することにより、導電性強磁性粒子の二次凝集体の混入、生成を防ぐことが好ましい。
上述のように導電性強磁性粒子12を配列させる好ましい方法を図1を参照しながら説明する。しかし、以下の記載は本発明の異方導電性粘着シートの製法を限定するものではない。
まず、導電性強磁性粒子が分散されてなる粘着シートを調製する(図1(A))。粘着シート10では、上述の粘着剤材料からなる絶縁シート11に導電性強磁性粒子12が分散されている。この段階では、導電性強磁性粒子12は柱状体を形成している必要はなく、粘着シート10中で好ましくは均一に分散している。導電性強磁性粒子12を粘着剤材料からなる絶縁シート11に分散させる方法は特に限定されず、粘着剤材料と溶剤とを含む粘着剤溶液に導電性強磁性粒子12を分散させた後に上記溶液を乾燥して溶剤を除去する方法などが挙げられる。電気的な短絡を防ぐために、使用前に導電性強磁性粒子12を濾過の処理に供したり、適切な分散剤を併用することにより、導電性強磁性粒子の二次凝集体の混入、生成を防ぐことが好ましい。
このように導電性強磁性粒子12が分散している粘着シート10を加熱して上記粘着剤材料を軟化させた状態で、粘着シート10の少なくとも一方の主面側からパターン化された磁場をかけることで導電性強磁性粒子12を磁場のパターンに合わせて配列させる(図1(B))。そのように配列させることにより、導電性強磁性粒子12は上述した柱状体を形成し得る。
上記の加熱の際の加熱温度は、粘着剤材料が軟化する温度であればよく、例えば、50〜150℃、好ましくは80〜120℃である。加熱のためには公知の加熱装置3を用いればよい。パターン化された磁場をかけるための公知の手段として超伝導磁場発生装置が挙げられる。しかし、超伝導磁場発生装置は高価であり大きな面積の処理に不向きであるから、好ましくは、永久磁石や電磁石が挙げられる。パターン化された磁場をかける好適な手段としての磁場配列プレートについて説明する。
図1(A)および(B)に記載の磁場配列プレート2は、厚さ方向に貫通する孔を有する非磁性体からなるプレート21と、前記孔内に充填された磁性体22とからなる。上述のように加熱によって粘着剤材料が軟化した状態で、粘着シート10の少なくとも一方の主面側に磁場配列プレート2を近接させることで、磁場配列プレート2の磁性体22による磁場によって導電性強磁性体粒子12が移動して、上述した柱状体を形成し得る。磁場配列プレート2の製造方法は特に限定されず、非磁性体からなるプレート21の所望の位置に穿孔して磁性体22を埋め込むことなどが挙げられる。このとき、非磁性体からなるプレート21に設ける孔の配列をパターニングすることで磁場をパターニングすることが可能になる。磁場配列プレート2の具体的な製造例は実施例にて挙げられる。
磁場配列プレート2の磁性体22の磁場が弱いのであれば、磁力の強い補助磁石(図示せず)を併用してもよい。磁場配列プレート2の磁性体22に由来する磁場が弱くて絶縁シート11内の導電性強磁性粒子12が不所望な箇所に留まってしまう場合であっても、補助磁石の強い磁場によって、導電性強磁性粒子12が絶縁シート11内で移動するきっかけを与えることができ、上述の柱状体を形成するように配列させ易くなる。
<使用例>
図1(C)および(D)は本発明の異方導電性粘着シートの使用例を模式的に示す。ICなどといった電子機器4と回路基板5とで本発明の異方導電性粘着シート1を挟み(図1(C))、当接させることで(図1(D))、電子機器4の端子42と回路基板の端子52とが導電性強磁性粒子12が形成する柱状体を介して電気的に接続する。前述の電気的接続に加え、絶縁シート11が粘着剤材料からなることに起因して、電子機器4と回路基板5とが機械的に固定される。
図1(C)および(D)は本発明の異方導電性粘着シートの使用例を模式的に示す。ICなどといった電子機器4と回路基板5とで本発明の異方導電性粘着シート1を挟み(図1(C))、当接させることで(図1(D))、電子機器4の端子42と回路基板の端子52とが導電性強磁性粒子12が形成する柱状体を介して電気的に接続する。前述の電気的接続に加え、絶縁シート11が粘着剤材料からなることに起因して、電子機器4と回路基板5とが機械的に固定される。
上記の「発明の効果」の欄で言及したとおり、本発明の異方導電性粘着シートでは、導電性強磁性粒子が当該シートの厚さ方向に配列していて、かつ、導電性強磁性粒子の配合量を少なくし得るので、異方導電性粘着シート全体として、高い透明性が期待される。本発明の好ましい態様の異方導電性粘着シートは、当該異方導電性粘着シートの厚さ方向の光透過率が50%以上であり、より好ましくは60%以上である。異方導電性粘着シートの光透過率が高ければ、電子機器や回路基板などの端子どうしの位置関係を当該異方導電性粘着シートの接触部分で確かめながら接続できるので、電子機器や回路基板など個々に対応した位置合わせマーカーに合わせるよりも位置合わせを容易かつ高精度になし得る。異方導電性粘着シートの光透過率は、村上色彩技術研究所製の光透過率計モデルHM−150を用いて、JIS K7361−1「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠して測定される。
以下、実施例を用いて本発明をより詳しく説明するが、これらの例は本発明を何ら限定するものではない。
(実施例1)
アクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体を溶剤(酢酸エチル)に溶解してなる粘着剤溶液に平均粒子径0.2μmの球状ニッケル粒子(三井金属鉱業製)を加えた。球状ニッケル粒子の配合量は、100体積部のアクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体に対して40体積部とした。球状ニッケル粒子を含む粘着剤溶液に対して、超音波分散装置(ギンセン製、US−600T)を用いて30分間、超音波分散処理を施した。ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ25μmの基材の片面上に、超音波分散処理を施した粘着剤溶液を塗布し、乾燥機で120℃に10分間保持することで、溶剤を除去して、絶縁シート中にニッケル粒子が分散した粘着シート(厚さ10μm)を基材上に得た。粘着シートの基材と接する面の反対側の面にポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ25μmのセパレータを貼り合わせた。
アクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体を溶剤(酢酸エチル)に溶解してなる粘着剤溶液に平均粒子径0.2μmの球状ニッケル粒子(三井金属鉱業製)を加えた。球状ニッケル粒子の配合量は、100体積部のアクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体に対して40体積部とした。球状ニッケル粒子を含む粘着剤溶液に対して、超音波分散装置(ギンセン製、US−600T)を用いて30分間、超音波分散処理を施した。ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ25μmの基材の片面上に、超音波分散処理を施した粘着剤溶液を塗布し、乾燥機で120℃に10分間保持することで、溶剤を除去して、絶縁シート中にニッケル粒子が分散した粘着シート(厚さ10μm)を基材上に得た。粘着シートの基材と接する面の反対側の面にポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ25μmのセパレータを貼り合わせた。
上記の粘着シートを処理するための磁場配列プレートの製造を図2を参照して説明する。
図2は、磁場配列プレート2の製造例を模式的に表す図である。同図(A)から(D)の順に製造工程が進行する。図2(A)に示す、アルミニウム板21(厚さ20μm)に、直径10μmの貫通孔をピッチ20μmにて格子状に穿孔した(図2(B))。穿孔は、フォトリソグラフィー・エッチング法で行った。穿孔したアルミニウム板21の片側の面にニッケル製のめっき用全面電極61を設け、反対側の面の電極62と組合わせて電解ニッケルめっきを施すことで(図2(C))、貫通孔にニッケルを埋め込んだ。その後、このアルミニウム板21全体を着磁処理することによって、ニッケルに磁性を付与して、パターニングされた磁性体22を有する磁場配列プレート2を得た(図2(D))。
図2は、磁場配列プレート2の製造例を模式的に表す図である。同図(A)から(D)の順に製造工程が進行する。図2(A)に示す、アルミニウム板21(厚さ20μm)に、直径10μmの貫通孔をピッチ20μmにて格子状に穿孔した(図2(B))。穿孔は、フォトリソグラフィー・エッチング法で行った。穿孔したアルミニウム板21の片側の面にニッケル製のめっき用全面電極61を設け、反対側の面の電極62と組合わせて電解ニッケルめっきを施すことで(図2(C))、貫通孔にニッケルを埋め込んだ。その後、このアルミニウム板21全体を着磁処理することによって、ニッケルに磁性を付与して、パターニングされた磁性体22を有する磁場配列プレート2を得た(図2(D))。
上述のようにして得た、ニッケル粒子が分散した粘着シートと磁場配列プレートとを用いて異方導電性シートを以下のように製造した(図1参照)。
磁性体22が同じようにパターニングされた磁場配列プレート2を2枚製造して、磁性体22のパターニングが上下で揃うようにして、絶縁シート11にニッケル粒子12が分散してなる粘着シート10を挟んだ(図1(A))。そのように挟んだものを乾燥機3内で100℃にて5分間保持した(図1(B))。尚、上述の方法で測定される粘着剤材料の100℃での複素せん断弾性率は1×104Paであった。その後、室温にまで冷却して、絶縁シート11を観察すると、もともとほぼ均一に分散していたニッケル粒子12は、磁場配列プレート2の配列にしたがって絶縁シート11の厚さ方向に連続的に配列して柱状体を形成していることが確認された。このようにして得られた異方導電性粘着シートの評価結果を表1にまとめる。
磁性体22が同じようにパターニングされた磁場配列プレート2を2枚製造して、磁性体22のパターニングが上下で揃うようにして、絶縁シート11にニッケル粒子12が分散してなる粘着シート10を挟んだ(図1(A))。そのように挟んだものを乾燥機3内で100℃にて5分間保持した(図1(B))。尚、上述の方法で測定される粘着剤材料の100℃での複素せん断弾性率は1×104Paであった。その後、室温にまで冷却して、絶縁シート11を観察すると、もともとほぼ均一に分散していたニッケル粒子12は、磁場配列プレート2の配列にしたがって絶縁シート11の厚さ方向に連続的に配列して柱状体を形成していることが確認された。このようにして得られた異方導電性粘着シートの評価結果を表1にまとめる。
導通抵抗は、以下の測定用チップと測定用回路基板との間に異方導電性フィルムを介在させ、四端子法によって求めた。
〔測定用チップの仕様〕
サイズ:縦10mm×横10mm×厚み370μm
Al全面蒸着
〔測定用回路基板の仕様〕
基材:ガラスエポキシ基材(FR−4)
基板厚み:1.0mm
導体の線幅:150μm
導体厚み:15μm
導体の材質:銅/Ni・Auめっき
〔測定装置〕
AC mΩHi TESTER(HIOKI製)
〔測定用チップの仕様〕
サイズ:縦10mm×横10mm×厚み370μm
Al全面蒸着
〔測定用回路基板の仕様〕
基材:ガラスエポキシ基材(FR−4)
基板厚み:1.0mm
導体の線幅:150μm
導体厚み:15μm
導体の材質:銅/Ni・Auめっき
〔測定装置〕
AC mΩHi TESTER(HIOKI製)
短絡試験および絶縁抵抗は、以下の櫛型電極を2つ組合わせて配線したガラスエポキシ基材(FR−4、1.0mm厚)の上に測定対象の異方導電性フィルムを載せ、異方導電性フィルムの上に押さえガラス基板(10mm×20mm、1mm厚)を載せたときの、隣合う櫛型電極間が絶縁されていることを微少電流計(アドバンテスト製、TR8641)を用いた四端子法による絶縁抵抗の測定によって評価した。
〔櫛型電極〕
導体厚:8μm
導体幅:20μm
導体間ピッチ:40μm
材質:銅/Ni・Auめっき
〔櫛型電極〕
導体厚:8μm
導体幅:20μm
導体間ピッチ:40μm
材質:銅/Ni・Auめっき
(実施例2)
溶剤(トルエン)を含むシリコーン系感圧型粘着剤溶液に、無電解金めっき(厚さ0.1μm)を施した平均粒子径1μmの球状ニッケル粒子(三井金属鉱業製)を加えた。球状ニッケル粒子の配合量は、100体積部のシリコーン系樹脂に対して50体積部とした。この実施例で用いたシリコーン系感圧型粘着剤の100℃での複素せん断弾性率は1×104Paであった。球状ニッケル粒子を含む粘着剤溶液に対して、超音波分散装置(ギンセン製、US−600T)を用いて30分間、超音波分散処理を施した。ポリイミド樹脂からなる厚さ25μmの基材の片面上に、超音波分散処理を施した粘着剤溶液を塗布し、乾燥機で130℃に5分間保持することで、溶剤を除去して、絶縁シート中にニッケル粒子が分散してなる粘着シート(厚さ20μm)を基材上に得た。絶縁シートの基材と接する面の反対側の面にポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ25μmのセパレータを貼り合わせた。
溶剤(トルエン)を含むシリコーン系感圧型粘着剤溶液に、無電解金めっき(厚さ0.1μm)を施した平均粒子径1μmの球状ニッケル粒子(三井金属鉱業製)を加えた。球状ニッケル粒子の配合量は、100体積部のシリコーン系樹脂に対して50体積部とした。この実施例で用いたシリコーン系感圧型粘着剤の100℃での複素せん断弾性率は1×104Paであった。球状ニッケル粒子を含む粘着剤溶液に対して、超音波分散装置(ギンセン製、US−600T)を用いて30分間、超音波分散処理を施した。ポリイミド樹脂からなる厚さ25μmの基材の片面上に、超音波分散処理を施した粘着剤溶液を塗布し、乾燥機で130℃に5分間保持することで、溶剤を除去して、絶縁シート中にニッケル粒子が分散してなる粘着シート(厚さ20μm)を基材上に得た。絶縁シートの基材と接する面の反対側の面にポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ25μmのセパレータを貼り合わせた。
上記の絶縁シートを処理するための磁場配列プレートは、以下の点以外は実施例1と同様にして製造した。
・アルミニウム板21に穿孔する貫通孔の直径を20μmにし、ピッチを40μmにした。
・アルミニウム板21に穿孔する貫通孔の直径を20μmにし、ピッチを40μmにした。
上述のようにして得た、粘着シートと磁場配列プレートとを用いて異方導電性シートを実施例1と同様にして製造し、評価した。評価結果を表1にまとめる。
(比較例1)
実施例1と同様の、絶縁シート中に球状ニッケル粒子が分散してなる粘着シートを製造した。得られた粘着シートを磁場配列プレートを用いる処理に施すことなく、そのまま異方導電性粘着シートとして、実施例1と同様に評価した。結果を表1にまとめる。
実施例1と同様の、絶縁シート中に球状ニッケル粒子が分散してなる粘着シートを製造した。得られた粘着シートを磁場配列プレートを用いる処理に施すことなく、そのまま異方導電性粘着シートとして、実施例1と同様に評価した。結果を表1にまとめる。
(比較例2)
実施例2と同様の、無電解金めっきを施した球状ニッケル粒子が絶縁シート中に分散してなる粘着シートを製造した。得られた粘着シートを磁場配列プレートを用いる処理に施すことなく、そのまま異方導電性粘着シートとして、実施例1と同様に評価した。結果を表1にまとめる。
実施例2と同様の、無電解金めっきを施した球状ニッケル粒子が絶縁シート中に分散してなる粘着シートを製造した。得られた粘着シートを磁場配列プレートを用いる処理に施すことなく、そのまま異方導電性粘着シートとして、実施例1と同様に評価した。結果を表1にまとめる。
1 異方導電性粘着シート
10 粘着シート
11 絶縁シート
12 導電性強磁性粒子
2 磁場配列プレート
3 加熱装置
4 電子機器
5 回路基板
10 粘着シート
11 絶縁シート
12 導電性強磁性粒子
2 磁場配列プレート
3 加熱装置
4 電子機器
5 回路基板
Claims (7)
- 粘着剤材料からなる絶縁シートと、前記絶縁シート中に含まれる導電性強磁性粒子とを有し、導電性強磁性粒子は複数の柱状体を形成するように配列し、柱状体は互いに粘着剤材料で隔てられていて、柱状体の長手方向は絶縁シートの厚さ方向と実質的に平行である、異方導電性粘着シート。
- 導電性強磁性粒子の平均粒子径が10μm以下である請求項1記載の異方導電性粘着シート。
- 100℃における粘着剤材料の複素せん断弾性率が1×105Pa以下である請求項1または2記載の異方導電性粘着シート。
- 粘着剤材料100体積部に対して10〜100体積部の導電性強磁性粒子を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の異方導電性粘着シート。
- 当該シートの厚さ方向の光透過率が50%以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の異方導電性粘着シート。
- 粘着剤材料からなる絶縁シートと前記絶縁シート中に分散されてなる導電性強磁性粒子とを有する粘着シートを加熱して、上記粘着剤材料を軟化させた状態で、粘着シートの少なくとも一方の主面側からパターン化された磁場をかけることで導電性強磁性粒子を磁場のパターンに合わせて配列させる工程を有する、異方導電性粘着シートの製造方法。
- 上記粘着シートは、粘着剤材料100体積部に対して40〜50体積部の導電性強磁性粒子が分散されてなるものである請求項6記載の製造方法。
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JP2004268825A JP2006085998A (ja) | 2004-09-15 | 2004-09-15 | 異方導電性粘着シートおよびその製造方法 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009004225A (ja) * | 2007-06-21 | 2009-01-08 | Nitto Denko Corp | コネクタ付結束同軸ケーブルの製造方法 |
JP2010065188A (ja) * | 2008-09-12 | 2010-03-25 | Fuji Polymer Industries Co Ltd | 導電性粘着シート |
JP2010135513A (ja) * | 2008-12-03 | 2010-06-17 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 実装体 |
JP2011102374A (ja) * | 2009-11-12 | 2011-05-26 | Jsr Corp | 接着剤組成物、回路接続部材および回路部材接続構造 |
JP2017095687A (ja) * | 2011-10-13 | 2017-06-01 | フレクスコン カンパニー インク | 電気泳動によって形成された電気伝導性材料 |
-
2004
- 2004-09-15 JP JP2004268825A patent/JP2006085998A/ja active Pending
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