JP2006083685A - 瓦屋根の融雪方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 融雪面積が広がるにつれて設備規模が大型化し、温水の確保が困難になって残雪処理に経費が嵩み燃費も増加してしまう。
【解決手段】 瓦屋根の屋根要素の表面に流下規正性能と雪の滑止め性能を持たせておく。この瓦屋根を複数の上下のブロックに分割し、各々のブロックに散水手段を設置する。順次に散水手段に通水しブロック毎の散水操作を行なうもので、出力時間可変のタイマーにより個々に散水時間をセットされ、最初のタイマーがタイムアップした後に後続のタイマーが起動し順次に作動してタイムアップしながらそれぞれが分担する開閉弁を順番に開閉して下段の散水ヘッダから上段の散水ヘッダにかけて順に散水を行ない、前記タイマーのすべてがタイムアップした後、これらのタイマーのすべてをリセットして再び最初のタイマーから順次に動作させるリセット手段により、残雪状況に応じて散水手段から散水を繰り返して行なえるようにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、少量の温水で瓦屋根の融雪を行なうための融雪方法に関する。
ここでいう瓦屋根とは、甍形式の屋根や波状の凹凸面を形成した屋根を総称したものである。
地下水を散水して瓦屋根の雪を溶かす方式は汎用されてきた融雪方法である。瓦屋根は平板屋根に比べてトンネルができやすいため多量の散水を行う必要があり、それだけに水量が不足しやすい。
瓦屋根は凹凸面の繰返し形状により雪層が凸部に乗った状態になり、雪層全体がズリやすく一挙に崩落することがある。必要水量が確保できなければ、中途半端な散水は危険が伴うため行わないのがよいとされてきた。
必要量の温水の入手には、ボイラーを設置し屋根からの戻り水や河川水を暖めて利用する方法がある。この方式の基本は、不足する熱量を補える能力のボイラーを設置する一方、排水を再利用するか河川水を導入するかして水量を確保し、散水手段から一斉に低温水の散水を行なうことで対応しようとするものである。しかしながら、この方法では、散水量は膨大であり、また散水した温水と低温の融雪水が混ざりあって流水の水温が低下し雪の融けが悪い。その結果、燃費の嵩む欠点がある。
特開2000−220321
解決しようとする問題点は、予定される瓦屋根の規模に対し確保できる温水の量が少ないと融雪に支障をきたし、補助熱源で対応するにしても高額の燃費を覚悟しなければならない点である。
本発明は、入手できる量の温水に見合う面積ごとに屋根を上下に小分けして散水を行ない、必要に応じ散水区域を移動させて広い融雪面をカバーすることを主要な特徴としている。
散水量が少なくてもそれに見合う面積を処理するので融雪面にトンネルと融けムラができにくく、けじめよく散水をきりあげられるので温水を無駄に流さなくてすむ。散水量が少ないのでボイラの高温水を希釈せず直接に散水して大量の雪を急速に短時間で処理することもできる。散水手段からの散水時間は各ブロックごとに調節できるので、ブロックごとの散水量を適正流量にセットでき散水に無駄がない。限られた量の温水を有効に利用できる利点がある。
少ない水量の温水で広い面積の瓦屋根を融雪するという目的を、簡単な操作手順のもとで実現した。
図1は、本発明に係る散水方法を説明するために用いた瓦屋根の斜視図である。図示した瓦屋根は、従来の粘土瓦やセメント瓦等の瓦要素を多数敷き詰めて造作した屋根、あるいは屋根瓦の並ぶ屋根面に見立てプレス成型した瓦要素の繰返し模様の金属板からなる屋根を描写している。
図1の瓦屋根はイメージとしては60平米規模のもので、散水区域は下段、中段、上段の3つのブロック1に分割されている。
これらブロック1の各々には散水手段2が設置されている。散水手段2は、図示の例では散水ヘッダである。散水ヘッダは30VPパイプが使用され、約45センチ間隔毎に設けた散水ノズル(穿孔、スプレイ具等)より毎分1リットルの温水を散水するイメージである。各段の散水手段の分担する屋根面積は約20平米、散水量は摂氏35度換算で20リットル、使用ボイラーの出湯能力は毎時4万5千キロカロリーである。
個々の散水手段2に至る給水管3の途中位置には電動式の開閉弁4が配置されている。図示の給水管3は1本からなり3つの散水手段はこれを共有している。散水手段の不使用時には給水管の温水は落水するように工夫されている。
図2は、瓦屋根の瓦要素の1つを取り出し、その表面構造を示している。図3と4は図2の符合aとbが示す幅部分の表面構造を含む瓦要素の縦断面図である。図示の表面構造は、接着層30を介して金属地板31に一体化される吸水性に富んだ要素32を示している。この要素は温水の偏りを防ぎ雪の消えムラを無くすとともに、表面の摩擦抵抗力が大きく雪の滑りを止める性質を備えている。
規正流下性能と滑止めの性質は、例えば、本件出願と同一の出願人による特開平8−184216号(特願平6−339265)に記載されている。この公報にあるシートは織布から構成され、表面に載った雪は滑りにくい。流下する温水の挙動に規正を加えて流れを分散させる流下規正性能と、均一に広げた温水を雪の層に接触させる効率のよい熱交換性能を備えている。
前記シートは、液体含有量が少なく流下する熱媒体の一部を吸収し残りの部分が表面を滑る露出した速い流れの熱媒体の主流を形成する任意の幅の主要流下経路と、この主要流下経路の側部に位置し、前記主流よりも流速の遅い副流を形成する、主要流下経路に比べて液体含有量の大きな副流下経路とを有する吸液素材から構成されている。これら主要流下経路と副流下経路は、図3と図4の例ではそれぞれが33と34に相当している。表面構造のもっとも窪んだ部分には幅の広い副流下経路35が設置されている。
図5は、図1よりも大型の瓦屋根を例示している。具体的には、1200平米の屋根を想定している。作図の便宜上、屋根の瓦模様は省略した。
この瓦屋根は横に5列、縦に6分割された合計30の融雪のためのブロック1を形成している。これらブロック1の各々には散水手段2が設置されている。散水手段2は、図示の例では散水ヘッダである。散水ヘッダの上下の間隔は約4メートル、長さは約10メートル、口径は40φ、これに連絡する給水管3の口径は25φである。
各ブロック1の面積は40平米、それぞれの散水手段2は他から独立して1か所ずつ散水が行われる。1つの散水手段による散水量は1平米あたり約800cc、1ブロックあたり約32リットル/毎分である。積雪を10センチと仮定すれば、この積雪10センチを融雪するのに必要な散水時間は10分であるから、散水に要する時間は30ブロック全体で約5時間である。従って、24時間当たり48センチまでの積雪量に対処することができる。
個々の散水手段2に至る給水管3の途中位置には電動式の開閉弁4が配置されている。給水管3は主配管5に連結されている。主配管5は井戸もしくはボイラーに接続されている。ボイラーからの温水を使用する場合、処理時間を短縮するために摂氏30度から50度の高温水を使用することができる。30度散水であれば、ボイラーの能力は理論的には5万キロカロリの家庭用ボイラーで用が足りる。5時間あたりの積雪を20センチとするなら、このクラスのボイラー2基を使用して2箇所のブロックを個別に同時期に処理して処理時間の繰返し間隔を2倍に速めるか、または出湯量を2倍に増量して融雪能力を2倍にして対処する方法がある。
開閉弁4を開閉操作して順次に散水手段2に通水しブロック毎の散水操作が行なわれる。散水手段2と給水管3の相対的な位置関係から、図1とは異なり開閉弁4には3方弁が使われている。この3方弁は閉鎖状態で排水管4aから下流側の給水管3の排水を行なう。
開閉弁は、図2に示す開閉弁用の操作制御器により動作を管理されている。
開閉弁4の各々は作動出力を発する出力時間可変のタイマーにより個々に開放時間をセットされている。図示の例では、開閉弁4への出力時間は10分である。最初のタイマーAが起動して開閉弁4を10分開放する。図2のタイマーAの管理する開閉弁4は、図1の屋根左端の最下段の散水手段2に至る給水管3の開閉を行なう。10分経過してタイマーAはタイムアップし開閉弁4を閉じる。数分の時間差をおいて後続のタイマーBが起動して開閉弁4を20分開放し屋根左端の下から2段目の散水手段への温水の供給を開始する。10分経過してタイマーBはタイムアップし開閉弁4を閉じる。同様に、タイマーC、D、E、Fの順に作動とタイムアップを順番に繰り返し、それぞれが分担する開閉弁を順番に開閉してより下段から中段へ、そして上段の散水手段に移行しながら散水を行なう。
タイマーGは屋根の左から2番目の列の最下段の散水手段2に至る給水管3の開閉を行なう。10分経過してタイマーGはタイムアップし開閉弁4を閉じる。数分の時間差をおいて後続のタイマー(図示せず)が起動して開閉弁(図示せず)を10分開放し、屋根の左から2番目の列の下から2段目の散水手段2への温水の供給を開始する。10分経過してこのタイマーはタイムアップし開閉弁を閉じる。同様に、後続のタイマーは順に作動とタイムアップを繰り返し、それぞれが分担する開閉弁を順番に開閉してより上段の散水手段に移行しながら散水を行なう。
前記タイマーのすべてがタイムアップした後、必要とあらば、これらのタイマーのすべてをリセットして再び最初のタイマーから順次に動作させる目的で、リセット手段X1を設置して置くことができる。リセット手段にはオン/オフ動作するリセットタイマーを使用できる。例えば、一連のタイマーがタイムアップしたままの状態でこれらタイマーの電源をオフにし、所定時間が経過してオン出力を発してタイマーの時系列動作を再開させることができる。
雪が降り続いている場合、または残雪状況に応じて、前記リセット手段X1の働きによりタイマーA〜の出力機能を回復させ、散水手段から散水を繰り返して行なえるようにできる。X2は押しボタン式の手動のリセット手段を表している。目視により残雪が認められるときには、この押しボタンを押して一連のタイマーをリセットして散水を再開することもできる。
Yはリセット手段X1の作動時間を予め決めておく時限タイマーである。この時限タイマーにより、リセット手段の繰返し動作を意図的に停止させるのを忘れても安全装置として機能し、不必要に散水を繰返すのをなくせる。
操作者が留守をするような場合、24時間のオン/オフタイマーZを作動させてリセット手段X1の動作開始時刻と終了時刻を予めセットしておくことができる。
散水手段の段数に関わりなく長尺の積雪面を処理できるため、小規模の井戸施設またはボイラー設備を使用して、工場、駅舎、公共施設のような数千平米から数万平米の長尺屋根はもとより数キロに及ぶ鉄道路床や路面にも応用できる。
瓦屋根の斜視図である。 瓦屋根を構成する瓦要素の表面構造を示す斜視説明図である。 瓦要素の表面構造の幅部分aの縦断面図である。 瓦要素の表面構造の幅部分bの縦断面図である。 ブロックに分けて散水手段を配列した屋根の斜視図である。 散水制御手段の説明図である。
符合の説明
1 ブロック
2 散水手段
3 給水管
4 開閉弁
32 瓦要素の表面構造
A〜G タイマー
X1 リセット手段
Y 時限タイマー

Claims (2)

  1. 瓦屋根が、液体含有量が少なく流下する熱媒体の一部を吸収し残りの部分が表面を滑る露出した速い流れの熱媒体の主流を形成する任意の幅の主要流下経路と、この主要流下経路の側部に位置し、前記主流よりも流速の遅い副流を形成する、主要流下経路に比べて液体含有量の大きな副流下経路とでなる規正流下表面を備えた瓦要素から構成されていて、この瓦屋根を少なくとも上下の関係で複数のブロックに分割し、各々のブロックの上流側に散水手段を設置する一方で、個々の散水手段に至る給水管の途中位置に電動式の開閉弁を配置し、それぞれの開閉弁を開閉操作して順次に散水手段に通水しブロック毎の散水操作を行なうもので、前記開閉弁の各々は作動出力を発する出力時間可変のタイマーにより個々に開放時間をセットされ、最初のタイマーがタイムアップした後に後続のタイマーが起動し順次に作動してタイムアップしながらそれぞれが分担する開閉弁を順番に開閉して下段の散水ヘッダから上段の散水ヘッダへと順番に散水を行ない、前記タイマーのすべてがタイムアップした後、これらのタイマーのすべてをリセットして再び最初のタイマーから順次に動作させるリセット手段により、残雪状況に応じて下段の散水手段から上段の散水ヘッダへと散水を繰り返して行なえるようにした瓦屋根の融雪方法。
  2. 請求項1に記載された瓦屋根の融雪方法において、前記リセットタイマーに電力を供給する電源系に時限タイマーを介在させ、リセット手段の作動時間を時限タイマーで設定した通電時間内に限定するようにした瓦屋根の融雪方法。
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