以下、この発明を実施するための最良の形態(以下では、単に「実施の形態」と称する)である位置検出装置および被検体内導入システムについて説明する。なお、図面は模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。なお、以下の説明では、位置検出のメカニズムとして、第1直線磁場、第2直線磁場および拡散磁場を用いた技術を例として説明するが、後述するようにかかる構成に限定して解釈するべきではないことはもちろんであり、複数の時刻に渡って位置依存性を有する位置検出用磁場を用いて検出対象の位置検出を行うものであれば、本発明を適用することが可能である。また、以下に示す実施の形態においては、特許請求の範囲における位置検出用の磁場として第2直線磁場を例として説明し、第2直線磁場を形成する第2直線磁場形成部を特許請求の範囲における磁場形成手段として説明を行うが、後述するように、この他の磁場および磁場形成部に対して本発明を適用することが可能であることはもちろんである。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる被検体内導入システムについて説明する。図1は、本実施の形態1にかかる被検体内導入システムの全体構成について示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態1にかかる被検体内導入システムは、被検体1の内部に導入されて通過経路に沿って移動するカプセル型内視鏡2と、カプセル型内視鏡2との間で無線通信を行うと共に、カプセル型内視鏡2に固定された対象座標軸と、被検体1に対して固定された基準座標軸との間の位置関係を検出する位置検出装置3と、位置検出装置3によって受信された、カプセル型内視鏡2から送信された無線信号の内容を表示する表示装置4と、位置検出装置3と表示装置4との間の情報の受け渡しを行うための携帯型記録媒体5とを備える。また、図1に示すように、本実施の形態1では、X軸、Y軸およびZ軸によって形成され、カプセル型内視鏡2に対して固定された座標軸である対象座標軸と、x軸、y軸およびz軸によって形成され、カプセル型内視鏡2の運動とは無関係に定められ、具体的には被検体1に対して固定された座標軸である基準座標軸とを設定しており、以下に説明する機構を用いて基準座標軸に対する対象座標軸の位置関係を検出することとしている。
表示装置4は、位置検出装置3によって受信された、カプセル型内視鏡2によって撮像された被検体内画像等を表示するためのものであり、携帯型記録媒体5によって得られるデータに基づいて画像表示を行うワークステーション等のような構成を有する。具体的には、表示装置4は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等によって直接画像等を表示する構成としても良いし、プリンタ等のように、他の媒体に画像等を出力する構成としても良い。
携帯型記録媒体5は、後述する処理装置12および表示装置4に対して着脱可能であって、両者に対する装着時に情報の出力および記録が可能な構造を有する。具体的には、携帯型記録媒体5は、カプセル型内視鏡2が被検体1の体腔内を移動している間は処理装置12に装着されて被検体内画像および基準座標軸に対する対象座標軸の位置関係を記憶する。そして、カプセル型内視鏡2が被検体1から排出された後に、処理装置12から取り出されて表示装置4に装着され、記録したデータが表示装置4によって読み出される構成を有する。処理装置12と表示装置4との間のデータの受け渡しをコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の携帯型記録媒体5によって行うことで、処理装置12と表示装置4との間が有線接続された場合と異なり、カプセル型内視鏡2が被検体1内部を移動中であっても、被検体1が自由に行動することが可能となる。
次に、カプセル型内視鏡2について説明する。カプセル型内視鏡2は、特許請求の範囲における検出対象の一例として機能するものである。具体的には、カプセル型内視鏡2は、被検体1の内部に導入され、被検体1内を移動しつつ被検体内情報を取得し、取得した被検体内情報を含む無線信号を外部に送信する機能を有する。また、カプセル型内視鏡2は、後述する位置関係の検出のための磁場検出機能を有すると共に駆動電力が外部から供給される構成を有し、具体的には外部から送信された無線信号を受信し、受信した無線信号を駆動電力として再生する機能を有する。
図2は、カプセル型内視鏡2の構成を示すブロック図である。図2に示すように、カプセル型内視鏡2は、被検体内情報を取得する機構として、被検体内情報を取得する被検体内情報取得部14と、取得された被検体内情報に対して所定の処理を行う信号処理部15とを備える。また、カプセル型内視鏡2は、磁場検出機構として磁場を検出し、検出磁場に対応した電気信号を出力する磁場センサ16と、出力された電気信号を増幅するための増幅部17と、増幅部17から出力された電気信号をディジタル信号に変換するA/D変換部18とを備える。
被検体内情報取得部14は、被検体内情報、本実施の形態1においては被検体内の画像データたる被検体内画像を取得するためのものである。具体的には、被検体内情報取得部14は、照明部として機能するLED22と、LED22の駆動を制御するLED駆動回路23と、LED22によって照明された領域の少なくとも一部を撮像する撮像部として機能するCCD24と、CCD24の駆動状態を制御するCCD駆動回路25とを備える。なお、照明部および撮像部の具体的な構成としては、LED、CCDを用いることは必須ではなく、例えば撮像部としてCMOS等を用いることとしても良い。
磁場センサ16は、カプセル型内視鏡2の存在領域に形成されている磁場の方位および強度を検出するためのものである。具体的には、磁場センサ16は、例えば、MI(Magneto Impedance)センサを用いて形成されている。MIセンサは、例えばFeCoSiB系アモルファスワイヤを感磁媒体として用いた構成を有し、感磁媒体に高周波電流を通電した際に、外部磁界に起因して感磁媒体の磁気インピーダンスが大きく変化するMI効果を利用して磁場強度の検出を行っている。なお、磁場センサ16は、MIセンサ以外にも、例えばMRE(磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)磁気センサ等を用いて構成することとしても良い。
図1にも示したように、本実施の形態1では、検出対象たるカプセル型内視鏡2の座標軸として、X軸、Y軸およびZ軸によって規定された対象座標軸を想定している。かかる対象座標軸に対応して、磁場センサ16は、カプセル型内視鏡2が位置する領域に形成された磁場について、X方向成分、Y方向成分およびZ方向成分の磁場強度を検出し、それぞれの方向における磁場強度に対応した電気信号を出力する機能を有する。磁場センサ16によって検出された、対象座標軸における磁場強度成分は、後述の無線送信部19を介して位置検出装置3に送信され、位置検出装置3は、磁場センサ16によって検出された磁場成分の値に基づいて対象座標軸と基準座標軸の位置関係を導出することとなる。
さらに、カプセル型内視鏡2は、送信回路26および送信アンテナ27を備えると共に外部に対して無線送信を行うための無線送信部19と、無線送信部19に対して出力する信号に関して、信号処理部15から出力されたものとA/D変換部18から出力されたものとの間で適宜切り替える切替部20とを備える。また、カプセル型内視鏡2は、被検体内情報取得部14、信号処理部15および切替部20の駆動タイミングを同期させるためのタイミング発生部21を備える。
また、カプセル型内視鏡2は、外部からの給電用の無線信号を受信するための機構として、受信アンテナ28と、受信アンテナ28を介して受信された無線信号から電力を再生する電力再生回路29と、電力再生回路29から出力された電力信号の電圧を昇圧する昇圧回路30と、昇圧回路30によって所定の電圧に変化した電力信号を蓄積し、上記した他の構成要素の駆動電力として供給する蓄電器31とを備える。
受信アンテナ28は、例えばループアンテナを用いて形成される。かかるループアンテナは、カプセル型内視鏡2内の所定の位置に固定されており、具体的にはカプセル型内視鏡2に固定された対象座標軸における所定の位置および指向方向を有するよう配置されている。
次に、位置検出装置3について説明する。位置検出装置3は、図1に示すように、カプセル型内視鏡2から送信される無線信号を受信するための受信アンテナ6a〜6dと、カプセル型内視鏡2に対して給電用の無線信号を送信するための送信アンテナ7a〜7dと、第1直線磁場を形成する第1直線磁場形成部8と、保持部材9によって保持され、第2直線磁場を形成する第2直線磁場形成部10a〜10dと、拡散磁場を形成する拡散磁場形成部11と、受信アンテナ6a〜6dを介して受信された無線信号等に対して所定の処理を行う処理装置12とを備える。
受信アンテナ6a〜6dは、カプセル型内視鏡2に備わる無線送信部19から送信された無線信号を受信するためのものである。具体的には、受信アンテナ6a〜6dは、ループアンテナ等によって形成され、処理装置12に対して受信した無線信号を伝達する機能を有する。
送信アンテナ7a〜7dは、処理装置12によって生成された無線信号をカプセル型内視鏡2に対して送信するためのものである。具体的には、送信アンテナ7a〜7dは、処理装置12と電気的に接続されたループアンテナ等によって形成されている。
なお、受信アンテナ6a〜6d、送信アンテナ7a〜7dおよび以下に述べる第1直線磁場形成部8等の具体的な構成としては、図1に示したものに限定されないことに注意が必要である。すなわち、図1はこれらの構成要素についてあくまで模式的に示すものであって、受信アンテナ6a〜6d等の個数は図1に示した個数に限定されることはなく、配置される位置、具体的な形状等についても、図1に示したものに限定されること無く任意の構成を採用することが可能である。
第1直線磁場形成部8は、被検体1内において所定方向の直線磁場を形成するためのものである。ここで、「直線磁場」とは、少なくとも所定の空間領域、本実施の形態1では被検体1内部のカプセル型内視鏡2が位置しうる空間領域において、実質上1方向のみの磁場成分からなる磁場のことをいう。第1直線磁場形成部8は、具体的には、図1にも示すように、被検体1の胴体部分を覆うように形成されたコイルと、かかるコイルに対して所定の電流を供給する電流源(図示省略)とを備え、かかるコイルに所定の電流を流すことによって、被検体1内部の空間領域内に直線磁場を形成する機能を有する。ここで、第1直線磁場の進行方向としては任意の方向を選択することとして良いが、本実施の形態1においては、第1直線磁場は、被検体1に対して固定された基準座標軸におけるz軸方向に進行する直線磁場であることとする。
図3は、第1直線磁場形成部8によって形成される第1直線磁場を示す模式図である。図3に示すように、第1直線磁場形成部8を形成するコイルは、被検体1の胴部を内部に含むよう形成されると共に基準座標軸におけるz軸方向に延伸した構成を有する。従って、第1直線磁場形成部8によって被検体1内部に形成される第1直線磁場は、図3に示すように、基準座標軸におけるz軸方向に進行する磁力線が形成されることとなる。
次に、特許請求の範囲における位置検出用磁場の一例として機能する第2直線磁場を形成し、特許請求の範囲において磁場形成手段の一例として機能する第2直線磁場形成部10a〜10dについて説明する。第2直線磁場形成部10a〜10dは、第1直線磁場とは異なる方向に進行し、強度に関して位置依存性を有する直線磁場である第2直線磁場を形成するためのものである。
図4は、本実施の形態1において、複数配置される第2直線磁場形成部10a〜10dと、第2直線磁場形成部10a〜10dを被検体1に対して固定する保持部材9の位置関係について示す模式図である。図4に示すように、第2直線磁場形成部10a〜10dのそれぞれは、被検体1の胴部を覆うよう形成された保持部材9上において、x軸方向およびy軸方向の端部の点である点P1〜P4上に配置され、磁場形成領域32a〜32dに対応した第2直線磁場を形成する機能を有する。ここで、「磁場形成領域」とは、位置検出の際に利用可能な強度の磁場が形成される領域をいい、本実施の形態1では、カプセル型内視鏡2に備わる磁場センサ16によって検出可能な強度の磁場のことをいう。図4に示すように、磁場形成領域32a〜32dのそれぞれは、検出対象たるカプセル型内視鏡2が位置しうる領域の一部、すなわち被検体1の全体領域の一部を含むよう形成される一方、それぞれの磁場形成領域を足しあわせた領域が、カプセル型内視鏡2が位置しうる領域の全体を含むよう形成される。
図5は、第2直線磁場形成部10aおよび拡散磁場形成部11の構成を示すと共に、第2直線磁場形成部10aによって形成される第2直線磁場の態様を示す模式図である。図5に示すように、第2直線磁場形成部10aは、基準座標軸におけるy軸方向に延伸し、コイル断面がxz平面と平行となるよう形成されたコイル33と、コイル33に対して電流供給を行うための電流源34とを備える。このため、コイル33によって形成される第2直線磁場は、図5に示すように、少なくとも被検体1内部においては直線磁場となると共に、コイル33から離れるにつれて徐々に強度が減衰する特性、すなわち強度に関して位置依存性を有することとなる。なお、図5においては第2直線磁場形成部10aのみについて示したが、第2直線磁場形成部10b〜10dも第2直線磁場形成部10aと同様の構成を有し、進行方向は異なるものの第2直線磁場形成部10aと同様の直線磁場を形成することとする。
次に、拡散磁場形成部11について説明する。拡散磁場形成部11は、磁場強度のみならず磁場方向に関しても位置依存性を有する拡散磁場を形成するためのものである。具体的には、拡散磁場形成部11は、図5にも示すようにコイル35と、コイル35に対して電流供給を行うための電流源36とを備える。
図6は、拡散磁場形成部11によって形成される拡散磁場の態様を示す模式図である。図6に示すように、拡散磁場形成部11に備わるコイル35は、被検体1の表面上に渦巻き状に形成されており、拡散磁場形成部11によって形成される拡散磁場は、図6に示すようにコイル35(図6にて図示省略)によって形成された磁場において、磁力線が放射状に一旦拡散し、再びコイル35に入射するよう形成されている。
なお、本実施の形態1において、第1直線磁場形成部8、第2直線磁場形成部10および拡散磁場形成部11は、それぞれ異なる時刻に磁場を形成することとする。すなわち、本実施の形態1では、第1直線磁場形成部8等は、同時に磁場を形成するのではなく、所定の順序に従って磁場を形成する構成とし、カプセル型内視鏡2に備わる磁場センサ16は、第1直線磁場、第2直線磁場および拡散磁場を別個独立に検出することとする。
次に、処理装置12の構成について説明する。図7は、処理装置12の具体的な構成を模式的に示すブロック図である。まず、処理装置12は、カプセル型内視鏡2によって送信された無線信号の受信処理を行う機能を有し、かかる機能に対応して、受信アンテナ6a〜6dのいずれかを選択する受信アンテナ選択部37と、選択した受信アンテナを介して受信された無線信号に対して復調処理等を行うことによって、無線信号に含まれる原信号を抽出する受信回路38と、抽出された原信号を処理することによって画像信号等を再構成する信号処理部39とを有する。
具体的には、信号処理部39は、抽出された原信号に基づき磁場信号S1〜S3および画像信号S4を再構成し、それぞれ適切な構成要素に対して出力する機能を有する。ここで、磁場信号S1〜S3は、それぞれ磁場センサ16によって検出された第1直線磁場、第2直線磁場および拡散磁場に対応する磁場信号である。また、画像信号S4は、被検体内情報取得部14によって取得された被検体内画像に対応するものである。なお、磁場信号S1〜S3の具体的な形態としては、カプセル型内視鏡2に対して固定された対象座標軸における検出磁場強度に対応した方向ベクトルによって表現され、対象座標軸における磁場進行方向および磁場強度に関する情報を含むものとする。また、画像信号S4は、記録部43に対して出力される。記録部43は、入力されたデータを携帯型記録媒体5に対して出力するためのものであり、画像信号S4以外にも、後述する位置検出の結果等についても携帯型記録媒体5に記録する機能を有する。
また、処理装置12は、カプセル型内視鏡2によって検出された磁場強度等に基づき、被検体1内部におけるカプセル型内視鏡2の位置を検出する機能と、被検体1に対して固定された基準座標軸に対してカプセル型内視鏡2に対して固定された対象座標軸のなす方位とを検出する機能を有する。具体的には、カプセル型内視鏡2によって送信され、信号処理部39によって出力される信号のうち、第1直線磁場および第2直線磁場の検出強度に対応した磁場信号S1、S2に基づき基準座標軸に対する対象座標軸のなす方位を導出する方位導出部40と、拡散磁場の検出強度に対応した磁場信号S3および磁場信号S2と、方位導出部40の導出結果とを用いてカプセル型内視鏡2の位置を導出する位置導出部41と、位置導出部41による位置導出の際に、拡散磁場を構成する磁力線の進行方向と位置との対応関係を記録した磁力線方位データベース42とを備える。これらの構成要素による方位導出および位置導出に関しては、後に詳細に説明する。
さらに、処理装置12は、カプセル型内視鏡2に対して駆動電力を無線送信する機能を有し、送信する無線信号の周波数を規定する発振器44と、発振器44から出力される無線信号の強度を増幅する増幅回路46と、無線信号の送信に用いる送信アンテナを選択する送信アンテナ選択部47とを備える。かかる無線信号は、カプセル型内視鏡2に備わる受信アンテナ28によって受信され、カプセル型内視鏡2の駆動電力として機能することとなる。
また、処理装置12は、受信アンテナ選択部37および送信アンテナ選択部47によるアンテナ選択態様を制御する選択制御部48を備える。選択制御部48は、方位導出部40および位置導出部41によってそれぞれ導出されたカプセル型内視鏡2の方位および位置に基づき、カプセル型内視鏡2に対する送受信に最も適した送信アンテナ8および受信アンテナ7を選択する機能を有する。
また、処理装置12は、カプセル型内視鏡2の位置に基づき、複数配置された第2直線磁場形成部10a〜10dのいずれかを選択し、選択した第2直線磁場形成部10に対して第2直線磁場を形成するよう制御する機能を有する。具体的には、処理装置12は、磁場形成手段として機能する第2直線磁場形成部10a〜10dの位置の中から適切な位置を選択する位置選択部49と、位置選択部49によって選択された位置に対応する第2直線磁場形成部10に対して第2直線磁場を形成するよう制御を行う駆動制御部50と、処理装置12の各構成要素に対して駆動電力を供給する電力供給部51とを備える。
位置選択部49は、第1時刻から所定時間だけ経過した第2時刻における位置検出の際に位置検出用磁場を形成する磁場形成手段が存在すべき位置を選択するためのものである。本実施の形態1では、特許請求の範囲における磁場形成手段の例として第2直線磁場形成部10a〜10dを備えた構成を採用しており、位置選択部49は、第2直線磁場形成部10a〜10dが配置された位置P1〜P4の中から、第2時刻において第2直線磁場を形成する第2直線磁場形成部10が存在すべき位置を選択する機能を有する。
具体的には、位置選択部49は、あらかじめ第2直線磁場形成部10a〜10dの位置P1〜P4および磁場形成領域32a〜32dの範囲を把握する。そして、位置選択部49は、把握した位置等と、第1時刻におけるカプセル型内視鏡2の位置とに基づき、第2時刻において第2直線磁場を形成する磁場形成手段の位置として位置P1〜P4の中から最も適切な位置を選択し、選択した位置に関する情報を駆動制御部50に対して出力する機能を有する。
駆動制御部50は、位置選択部49によって選択された位置に対応する第2直線磁場形成部10を駆動させる機能を有する。具体的には、駆動制御部50は、第2直線磁場形成部10a〜10dのそれぞれに備わる電流源34に対して駆動制御を行う機能を有すると共に、位置P1〜P4と第2直線磁場形成部10a〜10dとの間の対応関係をあらかじめ把握する機能を有する。かかる機能に基づき、駆動制御部50は、位置選択部49から出力された選択位置に関する情報に対応する第2直線磁場形成部10に対して、所定の磁場形成領域32を形成するよう制御を行うと共に、選択位置に対応しない第2直線磁場形成部10に対して、磁場形成を停止するよう制御を行う。
次に、本実施の形態1にかかる被検体内導入システムの動作について説明する。以下では、第2直線磁場形成部10a〜10dの中から第2直線磁場形成部10aが選択された場合を例に、検出対象たるカプセル型内視鏡2の位置を検出する位置検出メカニズムについて説明し、その後、位置導出等に使用される第2直線磁場形成部10a〜10dの中から最適のものを選択する選択メカニズムについて説明する。
まず、位置検出装置3によって行われるカプセル型内視鏡2の位置検出について説明する。本実施の形態1にかかる被検体内導入システムでは、被検体1に対して固定された基準座標軸と、カプセル型内視鏡2に対して固定された対象座標軸との間で位置関係を導出する構成を有し、具体的には、基準座標軸に対する対象座標軸の方位を導出した上で、導出した方位を利用しつつ基準座標軸上における対象座標軸の原点の位置、すなわち被検体1内部におけるカプセル型内視鏡2の位置を導出することとしている。従って、以下ではまず方位導出メカニズムについて説明した後、導出した方位を用いた位置導出メカニズムについて説明することとなるが、本発明の適用対象がかかる位置検出メカニズムを有するシステムに限定されないことはもちろんである。
方位導出部40によって行われる方位導出メカニズムについて説明する。図8は、被検体1中をカプセル型内視鏡2が移動している際における基準座標軸と対象座標軸との関係を示す模式図である。既に説明したように、カプセル型内視鏡2は、被検体1内部を通過経路に沿って進行しつつ、進行方向を軸として所定角度だけ回転している。従って、カプセル型内視鏡2に対して固定された対象座標軸は、被検体1に固定された基準座標軸に対して、図8に示すような方位のずれを生じることとなる。
一方で、第1直線磁場形成部8および第2直線磁場形成部10aは、それぞれ被検体1に対して固定される。従って、第1直線磁場形成部8および第2直線磁場形成部10aによって形成される第1、第2直線磁場は、基準座標軸に対して一定の方向、具体的には第1直線磁場は基準座標軸におけるz軸方向、第2直線磁場形成部10aを用いた場合の第2直線磁場はy軸方向に進行する。
本実施の形態1における方位導出は、かかる第1直線磁場および第2直線磁場を利用して行われる。具体的には、まず、カプセル型内視鏡2に備わる磁場センサ16によって、時分割に供給される第1直線磁場および第2直線磁場の進行方向が検出される。磁場センサ16は、対象座標軸におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の磁場成分を検出するよう構成されており、検出された第1、第2直線磁場の対象座標軸における進行方向に関する情報は、無線送信部19を介して位置検出装置3に対して送信される。
カプセル型内視鏡2によって送信された無線信号は、信号処理部39等による処理を経て、磁場信号S1、S2として出力される。例えば、図8の例においては、磁場信号S1には、第1直線磁場の進行方向として座標(X1、Y1、Z1)に関する情報が含まれ、磁場信号S2には、第2直線磁場の進行方向として座標(X2、Y2、Z2)に関する情報が含まれる。これに対して、方位導出部40は、磁場信号S1、S2の入力を受けて基準座標軸に対する対象座標軸の方位の導出を行う。具体的には、方位導出部40は、対象座標軸において、(X1、Y1、Z1)および(X2、Y2、Z2)の双方に対する内積の値が0となる座標(X3、Y3、Z3)を基準座標軸におけるz軸の方向に対応するものとして把握する。そして、方位導出部40は、上記の対応関係に基づいて所定の座標変換処理を行い、対象座標軸におけるX軸、Y軸およびZ軸の、基準座標軸における座標を導出し、かかる座標を方位情報として出力する。以上が方位導出部40による方位導出メカニズムである。
次に、導出した方位情報を用いた、位置導出部41によるカプセル型内視鏡2の位置導出メカニズムを説明する。位置導出部41は、信号処理部39から磁場信号S2、S3が入力され、方位導出部40から方位情報が入力されると共に、磁力線方位データベース42に記憶された情報を入力する構成を有する。位置導出部41は、入力されるこれらの情報に基づき、以下の通りにカプセル型内視鏡2の位置導出を行う。
まず、位置導出部41は、磁場信号S2を用いて、第2直線磁場形成部10aとカプセル型内視鏡2との間の距離の導出を行う。磁場信号S2は、カプセル型内視鏡2の存在領域における第2直線磁場の検出結果に対応するものであり、第2直線磁場は、第2直線磁場形成部10aが被検体1外部に配置されたことに対応して、第2直線磁場形成部10aから離隔するにつれてその強度が減衰する特性を有する。かかる特性を利用して、位置導出部41は、第2直線磁場形成部10a近傍における第2直線磁場の強度(第2直線磁場形成部10aに流す電流値より求まる)と、磁場信号S2から求まるカプセル型内視鏡2の存在領域における第2直線磁場の強度とを比較し、第2直線磁場形成部10aとカプセル型内視鏡2との間の距離rを導出する。かかる距離rを導出した結果、図9に示すように、カプセル型内視鏡2は、第2直線磁場形成部10aから距離rだけ離れた点の集合である曲面52上に位置することが明らかとなる。
そして、位置導出部41は、磁場信号S3、方位導出部40によって導出された方位情報および磁力線方位データベース42に記憶された情報に基づきカプセル型内視鏡2の曲面52上における位置を導出する。具体的には、磁場信号S3および方位情報に基づき、カプセル型内視鏡2の存在位置における拡散磁場の進行方向を導出する。磁場信号S3は、拡散磁場を対象座標軸に基づき検出した結果に対応する信号であるから、かかる磁場信号S3に基づく拡散磁場の進行方向に関して、方位情報を用いて対象座標軸から基準座標軸へ座標変換処理を施すことによって、カプセル型内視鏡2の存在位置における、基準座標軸における拡散磁場の進行方向が導出される。そして、磁力線方位データベース42は、基準座標軸における拡散磁場の進行方向と位置との対応関係を記録していることから、位置導出部41は、図10に示すように、磁力線方位データベース42に記憶された情報を参照することによって導出した拡散磁場の進行方向に対応した位置を導出し、導出した位置をカプセル型内視鏡2の位置として特定する。以上が位置導出部41による位置導出メカニズムである。
次に、位置検出の際に使用される第2直線磁場形成部10の選択メカニズムについて説明する。本実施の形態1にかかる被検体内導入システムでは、第2直線磁場形成部10a〜10dのそれぞれによって形成される磁場形成領域32a〜32dは、カプセル型内視鏡2が位置しうる被検体1内部の一部領域のみを含むよう形成されることから、本実施の形態1では、位置選択部49によって位置検出の際に第2直線磁場形成部10が存在すべき位置を位置P1〜P4の中から選択し、選択した位置に対応した第2直線磁場形成部10のみが駆動するよう駆動制御部50による制御が行われる構成を有する。
図11は、第1時刻におけるカプセル型内視鏡2が存在する位置の一例について示す模式図である。以下、図11に示す例を用いて、位置選択部49による第2直線磁場形成部10の位置の選択および駆動制御部50による駆動制御について説明する。
位置選択部49は、記録部43に記録された情報の中から、過去の第1時刻におけるカプセル型内視鏡2の位置に関する情報を抽出する。また、位置選択部49は、上述したように位置P1〜P4の具体的な値および磁場形成領域32a〜32dの範囲、および位置P1〜P4と磁場形成領域32a〜32dとの間の対応関係を把握しており、この結果、位置選択部49は、第1時刻においてカプセル型内視鏡2がどこに位置し、カプセル型内視鏡2の位置と位置P1〜P4との関係について把握する。
かかる位置の把握に基づき、位置選択部49は、第1時刻から所定時間だけ経過した時刻である第2時刻に行う位置検出の際に、最も適切な磁場形成手段の位置を選択する。本実施の形態1では、位置選択部49は、位置P1〜P4のうち、第1時刻におけるカプセル型内視鏡2の位置に最も近接する位置を選択する。具体的には、図11の例において、第1時刻におけるカプセル型内視鏡2は、位置P1に対して距離r1の領域に位置し、位置P2に対して距離r2(<r1)に位置する。従って、位置選択部49は、最も近接する位置として位置P2を選択し、選択した位置を、第2時刻において第2直線磁場を形成する第2直線磁場形成部10が存在すべき位置として駆動制御部50に対して出力する。
一方、駆動制御部50は、位置選択部49によって選択された位置に対応した第2直線磁場形成部10を駆動させる。上述したように、駆動制御部50は、位置P1〜P4と第2直線磁場形成部10a〜10dとの間の対応関係をあらかじめ把握しているため、例えば、図11の例では位置選択部49から位置P2を選択した旨の情報が入力されたことに対応して、第2直線磁場形成部10bによって第2直線磁場が形成されるよう所定の制御を行う。
なお、選択メカニズムにおいて、位置選択部49によって選択された位置に関する情報は、方位導出部40および位置導出部41に対しても出力される。すなわち、例えば第2直線磁場形成部10aによって形成される第2直線磁場と、第2直線磁場形成部10bによって形成される第2直線磁場との間では進行方向および強度分布が相違することから、方位導出部40および位置導出部41は、それぞれ方位導出および位置導出を行う際に、第2直線磁場形成部10a〜10dのいずれが磁場を形成するかを把握する必要があるためである。
次に、本実施の形態1にかかる被検体内導入システムの利点について説明する。本実施の形態にかかる被検体内導入システムは、強度に関して位置依存性を有し、位置検出用磁場として機能する第2直線磁場を形成する磁場形成手段として機能する第2直線磁場形成部10を複数備えた構成を採用する。上述したように、それぞれの第2直線磁場形成部10a〜10dは、対応する磁場形成領域32a〜32dのいずれに関しても単独で被検体1全体をカバーするのではなく、磁場形成領域32a〜32d全体によって被検体1全体をカバーする構成を有する。従って、第2直線磁場形成部10a〜10dは、単独で被検体1全体をカバーする磁場形成領域を形成する磁場形成手段と比較して、それぞれにおいて磁場形成に要する電力量は少なくなる。そのため、上述したように第2直線磁場形成部10a〜10dの中から選択位置に対応したもののみを駆動させることとした場合には、従来の被検体内導入システムと比較して、位置検出用磁場(第2直線磁場)の形成に必要となる電力量を低減することが可能となる。
一方で、本実施の形態1では、個々の第2直線磁場形成部10a〜10dによって形成される磁場形成領域32a〜32dの範囲を狭めたことによって、位置検出の際に検出対象たるカプセル型内視鏡2が占める位置において有意な磁場を形成できなくなるといった弊害が発生することはない。すなわち、本実施の形態1においては、上述したように磁場形成領域32a〜32dの全体によってカプセル型内視鏡2が位置しうる被検体1全体をカバーする第2直線磁場を形成することが可能である。従って、位置選択部49によって第2直線磁場形成部の位置を適切に選択することで、磁場形成に要する電力量を低減しつつカプセル型内視鏡2の位置検出において有意な磁場を確実に形成することが可能である。
さらに、個々の第2直線磁場形成部10a〜10dによって形成される磁場形成領域32a〜32dの範囲を狭めることによって、被検体1外部に存在する電子機器等に対する磁場の影響を低減できるという利点を有する。すなわち、磁場形成領域を狭く設定することによって被検体1の外部に形成される磁場の強度も低減されることとなり、被検体1の外部に位置する電子機器等に及ぼす影響を低減することが可能である。
また、本実施の形態1では、位置選択部49による位置選択の際の基準として、位置P1〜P4の中から、第1時刻におけるカプセル型内視鏡2の位置に最も近接する位置を選択することとしている。かかる構成を採用することによって、本実施の形態1では、第2時刻においてカプセル型内視鏡2が位置する領域に対して、検出可能な強度の第2直線磁場を確実に形成できるという利点を有する。
選択した位置に対応した第2直線磁場形成部10によって磁場が形成されるのは第1時刻から所定時間だけ経過した第2時刻である。ここで、第1時刻と第2時刻との間にカプセル型内視鏡2が移動した場合には、第2時刻におけるカプセル型内視鏡2の位置は、第1時刻における位置から所定距離だけ異なることとなる。従って、第1時刻における位置に基づき第2直線磁場形成部10の位置を選択する場合には、第2時刻において、対応する磁場形成領域32から外れた領域にカプセル型内視鏡2が位置するおそれがある。
これに対して、本実施の形態1では、第1時刻におけるカプセル型内視鏡2の位置と最も近接する位置を位置P1〜P4の中から選択することによって、第2時刻において、選択した位置Pに対応して形成された磁場形成領域32の範囲内にカプセル型内視鏡2が位置する確実性を向上させることが可能である。すなわち、図11に示す位置関係を例にして説明すると、第1時刻におけるカプセル型内視鏡2は、位置P2に近接する分だけ磁場形成領域32bの周縁部との間の距離が磁場形成領域32aの周縁部との間の距離よりも大きな値となる。従って、図11の例においてカプセル型内視鏡2は、時刻2において、磁場形成領域32aから逸脱する可能性よりも磁場形成領域32bから逸脱する可能性の方が低いこととなり、最も近接した位置を選択することによって、対応する磁場形成領域から逸脱する可能性を低減でき、第2時刻において確実な位置検出を行うことができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる被検体内導入システムについて説明する。本実施の形態2にかかる被検体内導入システムは、単一の第2直線磁場形成部が、位置選択部によって選択された位置に移動して第2直線磁場を形成する構成を有する。
図12は、本実施の形態2にかかる被検体内導入システムに備わる第2直線磁場形成部10と、保持部材54との関係について示す模式図である。なお、本実施の形態2にかかる被検体内導入システムは、基本的には実施の形態1にかかる被検体内導入システムと同様の構成を有し、図示は省略したものの、実施の形態1と同様にカプセル型内視鏡2、表示装置4および携帯型記録媒体5を備える。また、位置検出装置に関しても、保持部材54および後述する処理装置56の他、実施の形態1と同様に受信アンテナ6a〜6d、送信アンテナ7a〜7d、第1直線磁場形成部8、第2直線磁場形成部10および拡散磁場形成部11を有する。また、本実施の形態2において、実施の形態1と同様の名称・符号を有する構成要素は、以下で特に言及しない限り、実施の形態1と同様の構造・機能を有する。
図12に示すように、本実施の形態2においては、第2直線磁場形成部10は、実施の形態1における第2直線磁場形成部10a〜10dのそれぞれと同様の構造・機能を有する一方で、保持部材54に対して固定されるのではなく、可動な状態で保持される。具体的には、保持部材54は、ガイド部材として機能するよう構成される一方、第2直線磁場形成部10は、可動機構55によって、保持部材54に沿って移動するよう構成されている。また、保持部材54上には、実施の形態1における位置P1〜P4に対応した位置に停止ポイント54a〜54dが形成されており、可動機構55は、停止ポイント54a〜54dのそれぞれを検知することによって第2直線磁場形成部10を、位置P1〜P4のそれぞれに対して移動させる機能を有する。
次に、位置検出装置に備わる処理装置56について説明する。図13は、処理装置56の構成を示す模式的なブロック図である。処理装置56は、実施の形態1における処理装置12と基本的に共通する構成を有する一方で、新たに可動機構55による第2直線磁場形成部10の移動状態を制御する移動制御部57を備えた構成を有する。具体的には、移動制御部57は、位置選択部49によって位置P1〜P4の中から選択された位置に第2直線磁場形成部10を移動させるよう可動機構55を制御する機能を有する。
図14は、位置選択部49によって行われる位置選択に基づく第2直線磁場形成部10の移動態様について説明するための模式図である。位置選択部49は、実施の形態1の場合と同様に第1時刻におけるカプセル型内視鏡2の位置等に基づき、位置P1〜P4のいずれかの中から、第2時刻の位置検出の際に磁場形成手段として機能する第2直線磁場形成部10が配置されるべき位置として、図11の例と同様にP2を選択する。位置選択部49は、選択した位置P2に関する情報を移動制御部57に対して出力し、移動制御部57は、可動機構55に対して第2直線磁場形成部10を位置P2まで移動するよう指示する。かかる指示を受けて、可動機構55は、図14に示すように第2直線磁場形成部10を保持部材54に沿って反時計回りの方向に移動させ、停止ポイント54bを検知することによって、第2直線磁場形成部10が位置P2に配置する。このため、第2時刻の位置検出の際には、第2直線磁場形成部10は、位置P2に配置された状態で第2直線磁場を形成することとなる。
次に、本実施の形態2にかかる被検体内導入システムの利点について説明する。本実施の形態2にかかる被検体内導入システムは、実施の形態1における第2直線磁場形成部10a〜10dと同様に、位置検出用磁場として機能する第2直線磁場を形成する第2直線磁場形成部10が被検体1の一部のみをカバーするよう磁場を形成する機能を有する。従って、実施の形態1の場合と同様に、第2直線磁場を形成する際に必要となる電力を低減することが可能である等の利点を有する。
また、本実施の形態2では、第2直線磁場形成部10を複数設けるのではなく、単一の機構を複数の位置に移動可能な構成を採用することによって、第2直線磁場形成部10を複数設けた場合と同様の機能を実現する。従って、本実施の形態2では第2直線磁場形成部10の個数を実施の形態1と比較して低減することが可能であり、実施の形態1の利点に加えて、構成が単純化し、製造コストを低減することが可能な被検体内導入システムを実現できるという利点を有する。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる被検体内導入システムについて説明する。本実施の形態3にかかる被検体内導入システムは、第1時刻におけるカプセル型内視鏡2の位置に基づき直接的に磁場形成手段の位置選択を行うのではなく、第1時刻における位置に基づいて第2時刻におけるカプセル型内視鏡2の位置を予測し、予測結果に基づき位置選択を行う構成を有する。
図15は、実施の形態3にかかる被検体内導入システムに備わる処理装置59の構成を示す模式的なブロック図である。図15に示すように、処理装置59は、基本的には実施の形態1における処理装置12と同様の構成を有する。一方で、処理装置59は、カプセル型内視鏡2の移動速度を導出する移動速度導出部60と、カプセル型内視鏡2の移動方向を導出する移動方向導出部61と、第1時刻におけるカプセル型内視鏡2の位置および導出された移動速度および移動方向に基づき第2時刻におけるカプセル型内視鏡2の存在可能範囲を導出する範囲導出部62とを備える。そして、位置選択部63は、範囲導出部62によって導出された存在可能範囲に基づき、第2時刻における位置検出の際に第2直線磁場を形成する磁場形成手段の位置を、位置P1〜P4の中から選択する機能を有する。
移動速度導出部60は、記録部43に記録された情報に基づき第1時刻から第2時刻にかけてのカプセル型内視鏡2の移動速度を導出する機能を有する。具体的には、移動速度導出部60は、過去の複数の時刻において検出されたカプセル型内視鏡2の位置の変化量に基づき、例えば平均速度を導出することによって、移動速度の導出を行う機能を有する。
移動方向導出部61は、記録部43に記録された情報に基づき第1時刻から第2時刻にかけてのカプセル型内視鏡2の移動方向を導出する機能を有する。処理装置59は、実施の形態1と同様に方位導出部40を備えた構成を有し、第1時刻において方位導出部40によって導出された、基準座標軸に対して対象座標軸のなす方位に関する情報すなわちカプセル型内視鏡2が基準座標軸に対してどの方向を指向するかに関する情報が記録部43に記録される。これに対して、移動方向導出部61は、第1時刻において検出された方位に関する情報に基づきカプセル型内視鏡2の指向方向(一般には、カプセル型内視鏡2の長手方向)を記録部43から抽出し、かかる方向を移動方向として導出する。
範囲導出部62は、移動速度導出部60および移動方向導出部61による導出結果に基づき、第2時刻においてカプセル型内視鏡2が存在する可能性が高い範囲である存在可能範囲を導出するためのものである。図16は、範囲導出部62による存在可能範囲の導出について説明するための模式図である。図16に示すように、範囲導出部62は、まず第1時刻(図16における時刻t1)におけるカプセル型内視鏡2の位置に関する情報を記録部43から抽出する。そして、抽出した位置に対して、移動方向ベクトル(a1、b1、c1)に向かって移動速度vに第2時刻と第1時刻の差分値Δtを乗算した値だけ延伸した領域を第2時刻(図16における時刻t2)においてカプセル型内視鏡2が存在する位置と推定し、かかる領域を含む存在可能範囲64を導出する。
位置選択部63は、範囲導出部62によって導出された存在可能範囲に基づき位置選択を行う。すなわち、実施の形態1等では、例えば図11に示したように第1時刻におけるカプセル型内視鏡2の位置に基づき第2直線磁場形成部10の位置の選択を行ったが、本実施の形態3では、第2時刻におけるカプセル型内視鏡2の位置の予測範囲である存在可能範囲の位置に基づき、第2直線磁場形成部10の位置の選択を行う機能を有する。なお、位置選択メカニズムそのものに関しては実施の形態1、2と同様であり、位置選択の結果に基づく駆動制御部50等の動作に関しても実施の形態1と同様になることから、ここでの説明を省略する。
次に、本実施の形態3にかかる被検体内導入システムの利点について説明する。本実施の形態3では、範囲導出部62を新たに設け、範囲導出部62によって、第2時刻におけるカプセル型内視鏡2の予測位置に基づく第2直線磁場形成部10の位置選択を行う構成を採用する。このため、本実施の形態3にかかる被検体内導入システムは、実施の形態1等における利点に加え、第2時刻におけるカプセル型内視鏡2の存在する位置において、さらに確実に位置検出用の磁場を形成することが可能である。このため、本実施の形態3にかかる被検体内導入システムは、例えばカプセル型内視鏡2が不規則に移動する領域等における位置検出に対しても消費電力の低減等の利点を享受しつつ確実な位置検出を行うことが可能である。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4にかかる被検体内導入システムについて説明する。実施の形態4にかかる被検体内導入システムは、第1直線磁場の代わりに、地磁気を用いることによって位置検出を行う機能を有する。
図17は、実施の形態4にかかる被検体内導入システムの全体構成を示す模式図である。図17に示すように、本実施の形態4にかかる被検体内導入システムは、実施の形態1〜3と同様にカプセル型内視鏡2、表示装置4および携帯型記録媒体5を備える一方、位置検出装置68の構成が異なるものとなる。具体的には、実施の形態1等で位置検出装置に備わっていた第1直線磁場形成部8が省略され、新たに地磁気センサ69を備えた構成を有する。また、処理装置70についても、実施の形態1等とは異なる構成を有する。
地磁気センサ69は、基本的にはカプセル型内視鏡2に備わる磁場センサ16と同様の構成を有する。すなわち、地磁気センサ69は、配置された領域において、所定の3軸方向の磁場成分の強度を検出し、検出した磁場強度に対応した電気信号を出力する機能を有する。一方で、地磁気センサ69は、磁場センサ16とは異なり、被検体1の体表面上に配置され、被検体1に対して固定された基準座標軸におけるx軸、y軸およびz軸の方向にそれぞれ対応した磁場成分の強度を検出する機能を有する。すなわち、地磁気センサ69は、地磁気の進行方向を検出する機能を有し、x軸方向、y軸方向およびz軸方向に関して検出した磁場強度に対応した電気信号を処理装置70に対して出力する構成を有する。
次に、本実施の形態4における処理装置70について説明する。図18は、処理装置70の構成を示すブロック図である。図18に示すように、処理装置70は、基本的には実施の形態1における処理装置12と同様の構成を有する一方で、地磁気センサ69から入力される電気信号に基づいて基準座標軸上における地磁気の進行方向を導出し、導出結果を方位導出部40に対して出力する地磁気方位導出部71を備えた構成を有する。
第1直線磁場として地磁気を利用した場合に問題となるのは、被検体1に対して固定された基準座標軸上における地磁気の進行方向の導出である。すなわち、被検体1はカプセル型内視鏡2が体内を移動する間も自由に行動することが可能であることから、被検体1に対して固定された基準座標軸と地磁気との間の位置関係は、被検体1の移動に伴い変動することが予想される。一方、基準座標軸に対する対象座標軸の位置関係を導出する観点からは、基準座標軸における第1直線磁場の進行方向が不明となった場合には、第1直線磁場の進行方向に関して基準座標軸と対象座標軸の対応関係を明らかにすることができないという問題を生じることとなる。
従って、本実施の形態4では、被検体1の移動等によって基準座標軸上において変動することとなる地磁気の進行方向をモニタするために地磁気センサ69および地磁気方位導出部71を備えることとしている。すなわち、地磁気センサ69の検出結果に基づいて、地磁気方位導出部71は、基準座標軸上における地磁気の進行方向を導出し、導出結果を方位導出部40に出力する。これに対して、方位導出部40は、入力された地磁気の進行方向を用いることによって、地磁気の進行方向に関して基準座標軸と対象座標軸との対応関係を導出し、第2直線磁場における対応関係とあわせて方位情報を導出することを可能としている。
なお、被検体1の方向によっては地磁気の進行方向と第2直線磁場形成部10によって形成される第2直線磁場とが互いに平行となる場合がある。かかる場合には、直前の時刻における対象座標軸の方位および原点の位置に関するデータも用いることによって、位置関係の検出を行うことが可能である。また、地磁気と第2直線磁場とが互いに平行となることを回避するために、第2直線磁場形成部10を構成するコイル34の延伸方向を図3に示したように基準座標軸におけるy軸方向とするのではなく、例えばz軸方向に延伸する構成とすることも有効である。
次に、本実施の形態4にかかる位置関係検出システムの利点について説明する。本実施の形態4にかかる位置関係検出システムは、実施の形態1における利点に加え、地磁気を利用したことによるさらなる利点を有している。すなわち、第1直線磁場として地磁気を利用する構成を採用することによって、第1直線磁場を形成する機構を省略した構成とすることが可能であり、カプセル型内視鏡2の導入時における被検体1の負担を軽減しつつ基準座標軸に対する対象座標軸の位置関係を導出することが可能である。なお、地磁気センサ69は、MIセンサ等を用いて構成することが可能であることから小型化が十分可能であり、地磁気センサ69を新たに設けることによって被検体1の負担が増加することはない。
また、地磁気を第1直線磁場として利用する構成を採用することにより、消費電力低減の観点からも利点を有することとなる。すなわち、コイル等を用いて第1直線磁場を形成した場合には、コイルに流す電流等に起因して電力消費量が増加することとなるが、地磁気を利用することによって、かかる電力消費の必要が無くなることから、低消費電力のシステムを実現することが可能である。
以上、実施の形態1〜4に渡って本発明について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、当業者であれば様々な実施例、変形例等に想到することが可能である。例えば、実施の形態1〜4においては、位置検出用磁場の例として第2直線磁場を採用し、磁場形成手段の例として第2直線磁場形成部10を用いて説明したが、かかる構成に限定する必要はなく、第1直線磁場、拡散磁場またはその他の磁場を位置検出用磁場として使用し、第1直線磁場形成部8、拡散磁場形成部11またはその他の磁場形成部を磁場形成手段として使用することとしても良い。すなわち、例えば被検体1内部を複数の領域に分割し、分割した領域毎に第1直線磁場形成部8を複数備えた構成を採用し、複数の第1直線磁場形成部8に対応した位置を位置選択部によって選択する構成を採用すること等の変形例が考えられる。また、位置選択部による位置の選択態様としては、第1時刻におけるカプセル型内視鏡2の位置に基づき第2時刻においてカプセル型内視鏡が位置する領域を磁場形成領域が包含するよう選択するものであれば、例えば位置P1〜P4との間の距離を用いるもの以外の選択態様を採用することとしても良い。
また、本発明は、位置検出装置の適用対象として被検体内導入システムに限定する必要はない。上述の説明からも明らかなように、本発明は、位置検出用磁場を用いて位置検出を行う位置検出装置全般に対して適用可能であり、一般的な位置検出装置に対して本発明の利点を享受しうるためである。
さらに、実施の形態1〜4を互いに組み合わせた構成を採用することも可能である。例えば、実施の形態2で示したように、単一の第2直線磁場形成部10を選択位置に移動させる機構と、実施の形態3で示したように、範囲導出部等の機構のように、互いに矛盾することのない組み合わせを用いた位置検出装置、被検体内導入システムについても本発明の利点を享受しうる。