JP2006075732A - 除塵装置、有機系燃料のガス化システムおよび液体燃料製造システム - Google Patents

除塵装置、有機系燃料のガス化システムおよび液体燃料製造システム Download PDF

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Abstract

【課題】未処理ガスをクリーンなガスに精製することができ除塵装置と、有機系燃料のガス化システムと、液体燃料を高効率に製造することのできる液体燃料製造システムとを提供する。
【解決手段】未処理ガスを洗浄するジェットスクラバ104からの洗浄水を受ける循環水タンク1と、該循環水タンク1の上側部に形成され、該循環水タンク1内の循環水中の浮上分離成分をタンク外にオーバーフローさせるオーバーフロー排液口1bと、前記循環水タンク1の側部に形成され、前記オーバーフロー排液口1bからオーバーフローする前記浮上分離成分を一時的に受ける排液溜め5と、前記循環水タンクの下部に形成され、該循環水タンク1内の循環水を循環ポンプ107により強制排出する循環水排出管とを少なくとも用いて構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、各種ガス化装置、燃焼装置から排出される生成ガスから該ガス中のタールやチャーを含む煤塵を安価かつ高効率に除去することのできる除塵装置、該除塵装置を用いた有機系燃料のガス化システムおよび液体燃料製造システムに関するものである。
石油、石炭などの化石燃料、廃棄物、バイオマス等の可燃性物質を用いた燃焼装置やガス化装置が種々開発されているが、いずれの装置によって生成もしくは排出されるガスには、量の多少はあるものの、微細ダスト状の煤塵成分が含まれている。これらガスを燃料ガス、液体燃料合成用原料ガスとして使用する場合でも、排気ガスとして処理する場合でも、ガス中の煤塵の除去処理を高精度に行う必要がある。
前述のようなガスの除塵装置として、従来、除去媒体として水ジェット水滴噴流を利用した装置が知られており(特許文献1)、その処理対象により一部改良したものが種々提案されている。それらの内、代表的一例を図8に示す。
この水ジェット水滴噴流を利用した除塵装置は、除塵処理を要するガス101を吸引して水ジェット水滴噴流102を鉛直軸方向に形成する駆動ノズル103と、前記駆動ノズル103に連通し、該駆動ノズル103から放出された水ジェット水滴噴流102を覆うように受けることによって前記水ジェット水滴噴流102とガス101とを気液混合し、ガス中のダスト粒子を水滴に付着させることにより、ガス101の除塵を行う筒状のスクラバ部104と、前記水ジェット水滴噴流水を循環水として貯留するとともに、前記スクラバ部104において微粒子成分および水溶性成分が分離されたガス101を次の処理工程に送り出す排出口105aを有する循環水タンク105と、前記循環水タンク105内の貯留水を撹拌する撹拌手段106と、循環水タンク105の側部下端に配設され、該循環水タンク105内の循環水を循環ポンプ107により強制排出する排出管108と、前記排出管108に介装されたストレーナ109とを具備する装置である。
前記スクラバ部104は、一体構造の筒状部材であり、比較的径の大きなチャンバー部104aと、それに順次続く、漏斗状の吸引部104b、縮径直管状のスロート部104c、徐々に拡径するディフューザ部104d、および拡幅直管状の出口管部104eとから構成されている。前記チャンバー部104aの中央には前記駆動ノズル103が配置されており、この駆動ノズル103の噴出口は該スクラバ部104の中心線に位置している。このチャンバー部104aの側部には、前記ガス101の導入口104fが形成されており、ガス101を水ジェット水滴噴流102に巻き込むように設定されている。この水ジェット水滴噴流102とガス101とは、吸引部104bで合流し、縮径直管状のスロート部104cにて高流速で気液混合がなされ、水滴へのダスト粒子の付着合体を促進する。その後、水滴噴流は徐々に拡径するディフューザ部104dに導かれて、流速が低下し、高流速エネルギーを圧力エネルギーに変えてスクラバの圧力損失を減少させる。ガス101から微粒子成分および水溶性成分を吸収した水滴流は、拡幅直管状の出口管部104eから前記循環水タンク105内に低速で流下し、水によって洗浄されたガス101は、循環水タンク105の上部空間を経由してガス排出口105aから次の処理工程に導出される。
前記水ジェット水滴噴流102によってガス101から分離され水滴に付着したダストおよびタール成分からなる微粒子成分は、循環水タンク105内に水滴とともに落下することによって、一時的に水中に沈下させられる。前記微粒子成分のうち灰分など比重の高い不溶成分はそのまま沈下し、タールなどの油分は疎水性かつ軽量であるため、直ぐに水面に浮上する。常に水滴噴流水が強く流下し続ける状態にあっても、前記浮上分離成分を循環液に均一に分布させることができない。したがって、循環水タンク15の下部の配設されている排出管から循環液を吸引しても、前記浮上分離成分はほとんど回収することができない。そこで、この装置では、循環水タンク105内の水を撹拌する撹拌手段106を設けている。この撹拌手段106を駆動させることにより、前述のように勢いよく流下する水によって水中に潜った浮上分離成分の水中滞在時間を長引かせ、それら浮上分離成分を循環水とともに排出管108を介して循環ポンプ107により吸引し、ストレーナー109により分離して回収する。浮上分離成分をストレーナー109により分離された水は循環モータ107から循環ライン110により前記駆動ノズル103に回送される。
前記循環ライン110には、熱交換型冷却器111が介装されるとともに、開閉弁112および流量計113が設けられている。また、循環ライン110の前記冷却器111の下流側にはバイパス管114が連結されており、循環水の一部を直接に循環水タンク105内に送るように設定されている。このバイパス管114にも開閉弁115および流量計116が取り付けられている。
特開平10−63644号公報
前記除塵装置は、水ジェット水滴噴流による接触によりガス中の水溶性物質およびタールなどの凝縮可能な塵を除くことができるが、凝縮によって生じたタール凝縮成分および低比重な疎水性チャーが循環水タンク105内の循環水の水面に浮上するために、循環水タンク105からストレーナー109に効率的に取り込むことが難しくなる。そのために前記除塵装置では、撹拌手段106を設けているが、疎水性かつ低比重な微粒成分(浮上分離成分)を効率的に排出管108に導くことができない。浮上分離成分は、水面に偏在して常に残留し、浮上層を構成した状態になり、除去効率化のネックとなっている。また、前記ガス中の高比重チャーは水洗浄を受けても循環水中に溶けずに沈積して循環水タンクの底部に堆積する(堆積成分)。これらが循環水中の混入して循環することにより、長期的に循環ポンプの損傷、冷却器の汚れが生じ、除塵装置の効率的稼働を低減させるばかりでなく、除塵装置の低寿命化を引き起こしてしまうことになる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、水ジェット水滴噴流によりガスから分離した浮上分離成分(タール凝縮成分および低比重な疎水性チャー)と堆積成分(高比重チャー)の各効率的な分離手段を有し、それによって除塵効率および装置の長寿命化を実現した除塵装置と、この除塵装置を用いた有機系燃料のガス化システムおよび液体燃料製造システムを提供することを課題とするものである。
前述した課題を解決する[請求項1]の発明の除塵装置は、未処理ガスを吸引して水ジェット水滴噴流を鉛直軸方向に形成する駆動ノズルと、前記駆動ノズルに連通し、該駆動ノズルから放出されたジェット水滴噴流を覆うように受けることによって前記水ジェット水滴噴流と生成ガスとを気液混合し、生成ガスの除塵を行うスクラバ部と、前記気液混合後の水ジェット水滴噴流水と生成ガスとを受けて、前記噴流水を循環水として貯留するとともに、前記ガスを系外に排出する循環水タンクと、前記循環水タンクの上側部に形成され、該循環水タンク内の循環水中の浮上分離成分をタンク外にオーバーフローさせるオーバーフロー排液口と、前記循環水タンクの側部に形成され、前記オーバーフロー排液口からオーバーフローする前記浮上分離成分を一時的に受ける排液溜めと、前記循環水タンクの下部に形成され、該循環水タンク内の循環水を循環ポンプにより強制排出する循環水排出管とを具備していることを特徴とする。
[請求項2]の発明は、請求項1において、前記循環水タンクの底面に堆積成分排出管が設けられ、該堆積成分排出管に向かって前記循環水タンクの底面が下方傾斜していることを特徴とする。
[請求項3]の発明は、請求項1において、前記循環水タンクの底面に堆積成分排出管が設けられ、該循環水タンクの底部には、前記堆積成分排出管に向かって該底部に堆積する堆積成分を掻き出すレーキが取り付けられていることを特徴とする。
[請求項4]の発明は、請求項1から3のいずれか1項において、前記循環水タンクの内側上部に前記浮上分離成分を前記オーバーフロー排液口に向けて掻き出すレーキが設けられていることを特徴とする。
[請求項5]の発明は、請求項1から4のいずれか1項において、前記排液溜めに加熱手段が設けられていることを特徴とする。
[請求項6]の発明は、請求項1から5のいずれか1項において、前記排液溜めに排出管が取り付けられていることを特徴とする。
[請求項7]の発明は、請求項1から6のいずれかにおいて、前記循環水排出管の循環ポンプの下流にストレーナーが介装されていることを特徴とする。
[請求項8]の発明は、請求項1から7のいずれか1項において、前記循環水タンクの下部に気泡を含んだ加圧水を注入するための加圧水注入口が設けられていることを特徴とする。
[請求項9]の発明は、請求項1から8のいずれか1項において、前記未処理ガスが有機系燃料のガス化炉により生成されたガスであることを特徴とする。
[請求項10]の発明は、有機系燃料のガス化システムであって、請求項1ないし9のいずれか一つの除塵装置を備えたことを特徴とする。
[請求項11]の発明は、有機系燃料を用いた液体燃料製造システムであって、請求項1ないし9のいずれか一つの除塵装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、各種ガス化装置、燃焼装置から排出される生成ガスの除塵を水ジェット水滴噴流を用いて行う除塵装置において、ガス中のタールやチャーを含む煤塵を安価かつ高効率に除去することのでき、それによって効率的な有機系燃料のガス化システムおよび液体燃料製造システムを提供することができる。
本発明の実施の形態を以下に説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る除塵装置の一例を示す全体構成図であり、図8と共通する要素には同一符号を付している。
この水ジェット水滴噴流を利用した除塵装置の特徴は、循環水タンク1およびその周辺の構造にある。前記循環水タンク1は従来の循環水タンク105以上の容量を持つように設計されている。循環水ポンプ1の容量を大きくすることで、循環水ポンプ1内に流下した循環水中の不溶成分が浮上および沈降するに充分なタンク内滞留時間が確保される。すなわち、循環水タンク1の容量を大きくすることにより、前述のタール凝縮成分および低比重な疎水性チャーが循環水中から分離して浮上し、この浮上分離成分2が浮上層3を形成するに至る。一方、循環水中の高比重チャーは沈降して、タンク1の底面1a上に堆積成分4となって堆積する。
前記循環水タンク1の上側部には、オーバーフロー排液口1bが形成されており、その外側には、排液溜め5が付設されている。この排液溜め5の上部空間は前記循環水タンク1と連通しており、上端にガス出口6が形成されている。
前記排液溜め5の底部には排液管7が連結されている。この排液管7にはスラリーポンプ8が介装されており、比較的粘度の高い前記浮上分離成分2を容易に強制排出できるように構成されている。
前記循環水タンク1の底面1aは一端に向かって下方傾斜しており、最も低い部分には、堆積成分排出管9が取り付けられている。前記底面1a上の堆積成分4は傾斜面に沿って前記堆積成分排出管9に集められるので、排出管9を開くことにより堆積成分4を循環水から容易に分離し、回収することができる。
また、循環水タンク1の下部には循環モータ107を有する循環水排出管108が連結されている。この循環水排出管108から循環水を駆動ノズル103に送る循環ライン110の途中にバイパス管10が連結され、循環水の一部を直接に循環水タンク1内の上部に送り込むように設定されている。
前記構成の除塵装置では、比較的容量の大きな循環水タンク1内において、循環水中のタール凝縮成分および低比重な疎水性チャーが循環水中から分離して浮上し、この浮上分離成分2が浮上層3を形成する。一方、循環水中の高比重チャーは沈降して、タンク1の底面1a上に堆積成分4となって堆積する。
循環水タンク1内の水量は、スクラバ部104とバイパス管10とから供給される注水量と、循環水排出管108から排出される排水量とを調節することによって、一定の水位を保つように、設定されている。したがって、循環水タンク1内では、浮上分離成分2と堆積成分4とが増え続けることになる。増え続ける浮上分離成分2は浮上層3から溢れ出して排液溜め5内に流れ落ちる。この時、バイパス管10から注入される循環水の水勢によって浮上層3はオーバーフロー排液口1bに向かって押し流されるため、排液溜め5への浮上分離成分2の流れ出しは、より促進される。排液溜め5に流れ込んだ浮上分離成分2はスラリーポンプ8により排液管7を介して系外に排出され、回収される。
一方、循環水タンク1内の堆積成分4は傾斜した底面1aの傾斜面に沿って堆積成分排出管9に集められ、排出管9を介して系外に排出され、回収される。
このように、前記構成の除塵装置においては、未処理ガス中のタール成分および低比重疎水性チャー由来の浮上分離成分は、その低比重性ゆえに自然と浮上される現象を利用してオーバーフロー排液口1bから排液溜め5および排出管8を介して循環水タンク1外に効率的に排出される。また、未処理ガス中の高比重チャー由来の堆積成分は、その高比重性ゆえに自然と沈降分離される現象を利用して堆積成分排出管9から循環水タンク1の外に効率的に排出される。したがって、本除塵装置では、循環水排出管108および循環ライン110内に循環される循環水の浮上分離成分および堆積成分の混入率は大幅に低減される。そのため、循環ポンプやストレーナなどの部品を傷めることがなく、装置の寿命を大幅に延ばすことが可能になる。
さらに、この除塵装置には、図2に示すように、排液溜め5内にヒータなどの加熱手段11を設けても良い。排液溜め5内に一次的に貯留される浮上分離成分2は主成分がタール由来成分であるため流動性がかなり低く排出しにくい。特に冬場の低温度下では流動性をほぼ失う場合がある。そこで、加熱手段11によって温度を上げることにより粘度を低下させ、流動性を高めれば、スラリーポンプ8によって容易に排液管7中を流し出すことができる。
また、この除塵装置には、図3に示すように、循環水排出管108の循環ポンプ107の下流にオートストレーナー12を介装しても良い。このオートストレーナー12によって、通常状態では、さらに循環水の精製が促進される。
(第2の実施の形態)
図4は、本発明に係る除塵装置の他の形態を示すもので、前記図1〜図3に示した構成と同一構成要素には同一符号を付して説明を簡略化する。
本実施形態の特徴は、循環水タンク1の底面1cが水平面となっている点と、循環水タンク1内にレーキ13、14を設けた点とにある。
前記レーキ13は、タンク1の上部の浮上層2内に位置するように設置されており、浮上分離成分2を排液溜め5に強制的に掻き出す役目を果たす。他方のレーキ14はタンク1の底部に設置されており、水平な底面1c上の堆積成分を強制的に排出管9に掻き出す役目を果たす。これらレーキ13、14は別々のモータにて駆動するようにしても良いし、図示のように同一のモータ15によって同時に駆動しても良い。また、これらレーキ13、14は、この実施形態例でのように、同時に設けても良いし、どちらか片方だけ設けても良い。上方のレーキ13だけを設ける場合は、タンク1の底面は、図1に示したような傾斜底面1aとすることが好ましい。
(第3の実施の形態)
図5は、本発明に係る除塵装置のさらに他の形態を示すもので、前記図1〜図3に示した構成と同一構成要素には同一符号を付して説明を簡略化する。
本実施形態の特徴は、循環水タンク1の下部に気泡を含んだ加圧水を注入するための加圧水注入口16が設けられていることにある。この加圧水は系外から供給しても良いし、この実施形態例でのように、循環ポンプ107の直後の循環ライン110に分岐配管17を接続し、この分岐配管17を前記加圧水注入口16に連結することによって、加圧水を供給するようにしても良い。この分岐配管17に加圧水を発生させるために、循環水タンク1の側部中央に吸引管18を接続し、その先端を循環ポンプ107の上流に連結するとともに、循環ポンプ107にて気泡を噛み込ませるように設定する。
循環水ポンプ1の底面から気泡を発生させることにより、循環水中に分散している低比重および高比重な微粒状成分の凝縮を促進することができ、前記浮上分離成分2および堆積成分4の生成速度を高めることができる。
その他の形態として、前記第1の実施形態の除塵装置の場合を図示するが、図6に示すように、本発明の除塵装置において、循環水タンク1の上部に薬剤注入口19を設けてもよい。この薬剤注入口19から種々の薬剤を投入して循環水のより一層の浄化や混入物の制御を行うことができる。例えば、凝集剤を注入することによってタール成分や低比重疎水性のチャーの浮上速度を速めたり、酸性化剤を注入してシアンの溶解を防止したりすることができる。
(第4の実施の形態)
図7は、前述の本発明の除塵装置を有機系燃料の代表例であるバイオマスを用いた液体燃料合成システムに用いた実施例を示している。
一般にバイオマスとは、エネルギー源または工業原料として利用することのできる生物体(例えば、農業生産物または副産物、木材、植物等)をいい、太陽エネルギー、空気、水、土壌等の作用により生成されるので、無限に再生可能である。
上記バイオマスを利用することで燃料用のガスおよびメタノール等のクリーンなエネルギー源の製造が可能となる。また、廃棄物としてのバイオマスを処理できるので、環境の浄化にも役立つとともに、新規に生産されるバイオマスも光合成によりCO2の固定により生育されるので、大気のCO2を増加させないので、COの抑制につながるので好ましい技術である。
バイオマス30を炉本体31内に供給するバイオマス供給手段32と、酸素または酸素と水蒸気の混合物からなる燃焼用の酸化剤33を炉本体31内に供給する酸化剤供給手段34とを備えてなるバイオマスガス化炉35と、該バイオマスガス化炉35でガス化した生成ガス36中の粉塵を除去するサイクロンなどの分離手段37と、この分離手段37で3μm以上の比較的大きな粒径の粉塵を除去されたガスをさらに高精度に除塵処理する前記本発明の除塵装置11と、高精度に除塵したガスを精製するガス精製装置38と、該精製後のガスを用いてメタノール(液体燃料)を合成し、排ガス39とメタノール40とに分離する蒸留装置41を備えたメタノール合成装置42とから液体燃料製造システム43を構成している。
供給するバイオマス30としては、生産または廃棄されたバイオマスを粉砕・乾燥したものを供給するのが好ましい。本発明で言うバイオマスとは、エネルギー源または工業原料として利用することのできる生物資源(例えば、農業生産物または副産物、木材、植物等)をいい、例えば、スイートソルガム,ネピアグラス,スピルリナ等が用いられている。
前記バイオマスを原料として生成したガスには、チャーなどの微粒子成分、タール成分、硫化水素、塩素などが含まれるため、そのままでは、合成触媒を利用した液体燃料や、燃料電池へのエネルギー源を合成するためのガスには適さない。そのため、本発明では、前述の各実施の形態に示した水ジェット水滴噴流を利用した除塵装置Aを用いて、前記微粒子、タール成分、硫化水素、塩素などの微量成分を効率的に除去している。その除去の仕組みは、前記各実施形態に説明した通りである。液体燃料や燃料電池へのエネルギー源を得るための原料ガスとしては、実際の運用に当たっては、前記微量成分は、その許容含有量を検出限界量程度までに低減する必要があるが、本発明の除塵装置Aを用い、さらに必要に応じて高精度吸着精製装置を組み合わせて用いれば、従来困難であった前記微量成分の充分なる低減が可能になる。なお、バイオマスから主にクリーンな生成ガスを得る場合のシステムは、図7のガス精製装置38までの構成要素にて実現することができる。
以上説明したように、本発明に係る除塵装置は、未処理ガスを吸引して水ジェット水滴噴流を鉛直軸方向に形成する駆動ノズルと、前記駆動ノズルに連通し、該駆動ノズルから放出されたジェット水滴噴流を覆うように受けることによって前記水ジェット水滴噴流と生成ガスとを気液混合し、生成ガスの除塵を行うスクラバ部と、前記気液混合後の水ジェット水滴噴流水と生成ガスとを受けて、前記噴流水を循環水として貯留するとともに、前記ガスを系外に排出する循環水タンクと、前記循環水タンクの上側部に形成され、該循環水タンク内の循環水中の浮上分離成分をタンク外にオーバーフローさせるオーバーフロー排液口と、前記循環水タンクの側部に形成され、前記オーバーフロー排液口からオーバーフローする前記浮上分離成分を一時的に受ける排液溜めと、前記循環水タンクの下部に形成され、該循環水タンク内の循環水を循環ポンプにより強制排出する循環水排出管とを具備していることを特徴とするものである。
また、本発明に係る有機系燃料のガス化システムおよび有機系燃料を用いた液体燃料製造システムは、前記除塵装置を用いたことを特徴としたものである。
本発明の除塵装置においては、大容量な循環水タンク内の「未処理ガス中のタール成分および低比重疎水性チャー由来の浮上分離成分」は、その低比重性ゆえに自然と浮上される現象を利用してオーバーフロー排液口から排液溜めおよび排出管を介して循環水タンク外に効率的に排出される。また、未処理ガス中の高比重チャー由来の堆積成分は、その高比重性ゆえに自然と沈降分離される現象を利用して堆積成分排出管から循環水タンクの外に効率的に排出される。したがって、本除塵装置では、循環水排出管および循環ライン内に循環される循環水の浮上分離成分および堆積成分の混入率は大幅に低減される。そのため、循環ポンプやストレーナなどの部品を傷めることがなく、装置の寿命を大幅に延ばすことが可能になる。
本発明の除塵装置によれば、前述のように、装置に負担を掛けることなく、高精度の除塵が可能になり、ガス化装置や燃焼装置から排出されたガスをクリーンなガスに精製することができる。特にバイオマスを始めとした有機系燃料のガス化システムおよび有機系燃料を用いた液体燃料製造システムに適用した場合には、ガスの精製度が高いため、有用な燃料ガス、および液体燃料を高い収率で製造することが可能となる。
本発明に係る水ジェット水滴噴流を利用した除塵装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。 図1の除塵装置の排液溜めに加熱手段を設けた場合の構成図である。 図2の除塵装置にオートストレーナーをさらに取り付けた場合の構成図である。 本発明に係る水ジェット水滴噴流を利用した除塵装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。 本発明に係る水ジェット水滴噴流を利用した除塵装置の第3の実施形態を示す概略構成図である。 図1の除塵装置に薬剤注入口をさらに取り付けた場合の構成図である。 本発明の除塵装置を用いた本発明に係る「有機系燃料(バイオマス)を用いた液体燃料製造システム」の全体構成図である。 従来の水ジェット水滴噴流を利用した除塵装置の一例を示す構成図である。
符号の説明
1 循環水タンク
1a 傾斜底面
1b オーバーフロー排液口
2 浮上分離成分
3 浮上層
4 堆積成分
5 排液溜め
6 ガス出口
7 排液管
8 スラリーポンプ
9 堆積成分排出管
10 バイパス管
11 加熱手段
12 オートストレーナー
13,14 レーキ
15 モータ
16 加圧水注入口
17 分岐配管
18 吸引管
19 薬剤注入口
30 バイオマス
35 バイオマスガス化炉
101 未処理ガス
102 水ジェット水滴噴流
103 駆動ノズル
104 スクラバ部
104a スクラバ部の出口の開口部
105 循環水タンク
105a 排出口
105b 循環水タンク内の液面
107 循環ポンプ
108 排出管
109 ストレーナ
A 本発明の除塵装置

Claims (11)

  1. 未処理ガスを吸引して水ジェット水滴噴流を鉛直軸方向に形成する駆動ノズルと、
    前記駆動ノズルに連通し、該駆動ノズルから放出されたジェット水滴噴流を覆うように受けることによって前記水ジェット水滴噴流と生成ガスとを気液混合し、生成ガスの除塵を行うスクラバ部と、
    前記気液混合後の水ジェット水滴噴流水と生成ガスとを受けて、前記噴流水を循環水として貯留するとともに、前記ガスを系外に排出する循環水タンクと、
    前記循環水タンクの上側部に形成され、該循環水タンク内の循環水中の浮上分離成分をタンク外にオーバーフローさせるオーバーフロー排液口と、
    前記循環水タンクの側部に形成され、前記オーバーフロー排液口からオーバーフローする前記浮上分離成分を一時的に受ける排液溜めと、
    前記循環水タンクの下部に形成され、該循環水タンク内の循環水を循環ポンプにより強制排出する循環水排出管とを具備していることを特徴とする除塵装置。
  2. 前記循環水タンクの底面に堆積成分排出管が設けられ、該堆積成分排出管に向かって前記循環水タンクの底面が下方傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の除塵装置。
  3. 前記循環水タンクの底面に堆積成分排出管が設けられ、該循環水タンクの底部には、前記堆積成分排出管に向かって該底部に堆積する堆積成分を掻き出すレーキが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の除塵装置。
  4. 前記循環水タンクの内側上部に前記浮上分離成分を前記オーバーフロー排液口に向けて掻き出すレーキが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の除塵装置。
  5. 前記排液溜めに加熱手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の除塵装置。
  6. 前記排液溜めに排出管が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の除塵装置。
  7. 前記循環水排出管の循環ポンプの下流にストレーナーが介装されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の除塵装置。
  8. 前記循環水タンクの下部に気泡を含んだ加圧水を注入するための加圧水注入口が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれに記載の除塵装置。
  9. 前記未処理ガスが有機系燃料のガス化炉により生成されたガスであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の除塵装置。
  10. 請求項1ないし9のいずれか一つの除塵装置を備えたことを特徴とする有機系燃料のガス化システム。
  11. 請求項1ないし9のいずれか一つの除塵装置を備えたことを特徴とする有機系燃料を用いた液体燃料製造システム。
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