JP2006071612A - 学習機能障害評価方法、及び学習機能障害評価用装置 - Google Patents

学習機能障害評価方法、及び学習機能障害評価用装置 Download PDF

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雅治 工藤
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Abstract

【課題】 簡便で、被験動物のストレスが少なく、かつ、短時間で明確な評価が得られ、中枢神経系障害又は疾患のスクリーニング、中枢神経系障害又は疾患の治療薬のスクリーニング、中枢神経系障害又は疾患の治療薬の副作用のスクリーニング、中枢神経系障害又は疾患モデル動物のスクリーニングに好適な学習機能障害評価方法、並びにその装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】 少なくともn種(n≧2)の刺激をr個(r≧2)含む単位刺激を、繰り返し被験動物に与え、該被験動物が、n!/(n−r)!で表される前記単位刺激における前記n種の刺激の順列組合せの集合Xのうち、1つの刺激の順序xを識別したときに報酬が与えられるようにし、該被験動物が該刺激の順序xを識別したか否かを評価することを特徴とする学習機能障害評価方法、並びにその装置及びプログラムである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、刺激の組合せ順序を弁別させることにより、学習機能障害の有無を評価可能な学習機能障害評価方法及び装置に関する。また、前記学習機能障害評価方法及び装置を用いて行うことができる中枢神経系疾患モデル動物スクリーニング方法、中枢神経系疾患治療剤スクリーニング方法、中枢神経系疾患治療剤の副作用スクリーニング方法、並びに、学習機能障害評価用装置及び該装置に好適なプログラムに関する。
従来から、生体の機能障害や疾患の検査方法の開発、新薬の研究開発における薬効評価や副作用のスクリーニングにおいて、動物実験は必須の手段となっており、様々な実験方法、実験装置、及び解析方法が提案されており、マウスやラットを用いたオープンフィールドテスト、聴覚性驚愕反射、水迷路学習、受動的・積極的回避学習などが知られている。これらの行動実験の解析を詳細かつ客観的に行うために、例えば、実験動物の自発運動量、迷路学習、記憶試験等の多目的の行動自動解析装置が提案されている(特許文献1参照)。
一方、薬効評価などの目的で、トランスジェニック動物やノックアウト(ノックイン)動物等の疾患モデル動物が作出されるようになり、各種の生理学的実験や薬理学実験に利用されているが、これらの疾患モデル動物を用いた行動実験における行動解析方法も提案されている(特許文献2参照)。
近年、痴呆やうつ病などの中枢神経系の障害や疾患に対する治療の需要が増大している。中枢神経系の機能、及び中枢神経系に対する治療剤の薬効や副作用を評価するためには、脊椎動物を用いた実験が必須であるとともに、その応答解析のアプローチも複雑化し、さらに、実験装置も大掛かりなものとなる傾向がある(特許文献3〜5参照)。
ところで、動物実験は、倫理的観点から、実験動物に対する苦痛やストレスを最小限のものにすることが強く求められており、また、複雑な実験や長期に渡る実験は、実験者側の労力やコスト負担をも増大させるという問題があることから、簡易かつ短期で評価が可能な実験方法であることが求められる。
よって、簡便で、被験動物のストレスが少なく、かつ、短時間で明確な評価が得られる学習機能障害評価方法、及び学習機能障害評価用装置は、未だ提供されていないのが現状であり、これらの開発が切に望まれている。
特開平8−32959号公報 特開2004−89027号公報 特開2000−55907号公報 特開2003−250780号公報 特開2004−86885号公報
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、被験動物に刺激の順序を識別させる試験を行うことにより、識別に関与する大脳新皮質などの中枢神経系の障害や疾患を検出することが可能で、特に、被験動物のストレスが少なく、かつ、短時間で明確な評価が得られる学習機能障害評価方法、及び学習機能障害評価用装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、少なくとも2種の刺激を含む単位刺激を繰り返し被験動物に与え、前記単位刺激における特定の単位刺激を識別したときに報酬が与えられるようにし、前記被験動物が特定の単位刺激を識別したか否かを評価することにより、学習機能障害及び中枢神経系疾患の検出が可能であるとの新知見を得た。大脳の聴覚野は、記憶や学習の過程に重要であることは知られているが、異なる刺激の組合せの順序(異なる音の組合せの順序)の弁別に関与しており、該順序の弁別の可否を調べることにより、学習機能障害を効率的に評価できる有効な技術は知られておらず、本発明者らの新たな知見である。
本発明は、本発明者らによるかかる知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくともn種(n≧2)の刺激をr個(r≧2)含む単位刺激を、繰り返し被験動物に与え、
該被験動物が、n!/(n−r)!で表される前記単位刺激における前記n種の刺激の順列組合せの集合Xのうち、1つの刺激の順序xを識別したときに報酬が与えられるようにし、
該被験動物が該刺激の順序xを識別したか否かを評価することを特徴とする学習機能障害評価方法である。
<2> 報酬が、正の報酬及び負の報酬のいずれかである前記<1>に記載の学習機能障害評価方法である。
<3> 単位刺激を構成する単一の刺激の間隔a(秒)と、前記単位刺激の繰り返し間隔b(秒)とが、a<bの関係を満たす前記<1>から<2>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法である。
<4> 単位刺激を構成するn種の刺激が、スペクトルが異なるn種の音刺激である前記<1>から<3>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法である。
<5> 単位刺激を構成する単一の音刺激の間隔a(秒)と、前記単位刺激の繰り返し間隔b(秒)とが、a/b=0.000005〜0.01を満たす前記<4>に記載の学習機能障害評価方法である。
<6> 単位刺激を構成する単一の音刺激の長さが0.01〜2秒であり、前記単一の音刺激の間隔が0.001〜0.25秒である前記<4>から<5>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法である。
<7> 単位刺激の繰り返し間隔が、20〜200秒である前記<4>から<6>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法である。
<8> 単位刺激を構成する音刺激の周波数帯域が、100〜100,000Hzである前記<4>から<7>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法である。
<9> 単位刺激が、純音と非純音との組合せからなる前記<4>から<8>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法である。
<10> 単位刺激を構成するn種の刺激が、周波数及び振幅の少なくともいずれかが異なるn種の振動刺激である前記<1>から<3>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法である。
<11> 単位刺激を構成するn種の刺激が、強度、波長、及び提示位置の少なくともいずれかが異なるn種の光刺激である前記<1>から<3>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法である。
<12> 単位刺激を構成するn種の刺激が、音刺激、振動刺激、及び光刺激から選択される少なくとも1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法である。
<13> 1日に4〜12時間行われる前記<1>から<12>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法である。
<14> 被験動物の活動時間帯に行われる前記<13>に記載の学習機能障害評価方法である。
<15> 陰性対照として、中枢神経系障害モデル動物を用いる前記<1>から<14>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法である。
<16> 中枢神経系に発現した受容体に対するアンタゴニスト及びアゴニストのいずれかを投与した被験動物を、比較対照として用いる前記<1>から<15>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法である。
<17> 被験動物が哺乳類である前記<1>から<16>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法である。
<18> 被験動物が3〜20週令のラットである前記<17>に記載の学習機能障害評価方法である。
<19> 少なくともn種(n≧2)の刺激をr個(r≧2)含む単位刺激を、繰り返し被験動物に与え、
該被験動物が、n!/(n−r)!で表される前記単位刺激における前記n種の刺激の順列組合せの集合Xのうち、1つの刺激の順序xを識別したときに報酬が与えられるようにし、
該被験動物が、該刺激の順序xを識別したか否かを評価することを特徴とする中枢神経系疾患モデル動物スクリーニング方法である。
<20> 被験動物が、外科的手法により中枢神経系に損傷を与えた動物、神経細胞特異的な免疫毒性を示す薬剤の投与により中枢神経系に損傷を与えた動物、神経細胞の分化や成長に関連する遺伝子を改変して作出した動物、神経伝達物質生産に関連する遺伝子を改変して作出した動物、及び神経伝達物質受容体に関連する遺伝子を改変して作出した動物のいずれかである前記<19>に記載の中枢神経系疾患モデル動物スクリーニング方法である。
<21> 被験動物に対し、中枢神経系疾患治療剤を投与した後、少なくともn種(n≧2)の刺激をr個(r≧2)含む単位刺激を、繰り返し与え、
該被験動物が、n!/(n−r)!で表される前記単位刺激における前記n種の刺激の順列組合せの集合Xのうち、1つの刺激の順序xを識別したときに報酬が与えられるようにし、
該被験動物が該刺激の順序xを識別したか否かを評価することを特徴とする中枢神経系疾患治療剤スクリーニング方法である。
<22> 中枢神経系疾患治療剤が、中枢神経系受容体アゴニスト、中枢神経系受容体アンタゴニスト、神経伝達物質取り込み阻害剤、及び神経伝達物質分解酵素阻害剤のいずれかである前記<21>に記載の中枢神経系疾患治療剤スクリーニング方法である。
<23> 被験動物が、中枢神経系疾患モデル動物である前記<21>から<22>のいずれかに記載の中枢神経系疾患治療剤スクリーニング方法である。
<24> 被験動物に対し、中枢神経系疾患治療剤を投与した後、少なくともn種(n≧2)の刺激をr個(r≧2)含む単位刺激を、繰り返し与え、
該被験動物が、n!/(n−r)!で表される前記単位刺激における前記n種の刺激の順列組合せの集合Xのうち、1つの刺激の順序xを識別したときに報酬が与えられるようにし、
該被験動物が該刺激の順序xを識別したか否かを評価することを特徴とする中枢神経系疾患治療剤の副作用スクリーニング方法である。
<25> 中枢神経系疾患治療剤が、中枢神経系受容体アゴニスト、中枢神経系受容体アンタゴニスト、神経伝達物質取り込み阻害剤、及び神経伝達物質分解酵素阻害剤のいずれかである前記<24>に記載の中枢神経系疾患治療剤の副作用スクリーニング方法である。
<26> 被験動物が、健常な被験動物である前記<24>から<25>のいずれかに記載の中枢神経系疾患治療剤の副作用スクリーニング方法である。
<27> 前記<1>から<18>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法に用いられ、
(1)被験動物に対して単位刺激を行う刺激付与手段と、(2)該被験動物の報酬を獲得しようとする行動を検出する応答検出手段と、(3)前記付与された単位刺激中、特定の単位刺激に対し、該被験動物が応答したときに報酬を付与する報酬付与手段と、を備えることを特徴とする学習機能障害評価用装置である。
<28> 刺激付与手段が、被験動物の聴覚、体性感覚、及び視覚のいずれかに対する刺激を与える前記<27>に記載の学習機能障害評価用装置である。
<29> 刺激付与手段が、スピーカー、起振器、発光器、及びディスプレイから選択される少なくとも1種を備える前記<28>に記載の学習機能障害評価用装置である。
<30> 刺激付与手段が、単位刺激選択手段を備え、
前記単位刺激選択手段により設定された刺激を付与する前記<27>から<29>のいずれかに記載の学習機能障害評価用装置である。
<31> 応答検出手段が、応答受容部、発振器、及びシュミットトリガを備え、
前記応答受容部が、一定の電圧が印加された電極を有し、該電極は前記発振器と電気的に接続されており、被験動物が前記応答受容部に接触することにより電圧変化が生じ、該電圧変化を前記シュミットトリガが応答信号に変換して出力する前記<27>に記載の学習機能障害評価用装置である。
<32> 応答検出手段が、応答記録手段を備え、
前記応答記録手段が、シュミットトリガから出力された応答信号をデジタル変換し、これを情報蓄積部へ記録する前記<31>に記載の学習機能障害評価用装置である。
<33> 報酬付与手段が、報酬付与を判別するAND回路、報酬供給器、報酬供給口、及び報酬供給制御手段を備え、
前記AND回路に、特定の単位刺激の出力中に前記報酬供給制御手段から出力された報酬許可信号と、シュミットトリガから出力された応答信号とが同時に入力したとき、前記AND回路が報酬付与信号を出力し、該報酬付与信号により前記報酬供給器が作動し、前記報酬供給口から被験動物に対して報酬を付与する前記<27>に記載の学習機能障害評価用装置である。
<34> 刺激の情報が格納された刺激情報格納部と、単位刺激の組合せを選択する単位刺激選択手段と、前記単位刺激の種類に応じて報酬の供給を制御する報酬供給制御手段と、被験動物の応答を記録する応答記録手段と、前記応答記録手段からの情報を蓄積する情報蓄積部とを含むコンピュータを備える前記<27>から<33>のいずれかに記載の学習機能障害評価用装置である。
<35> 情報蓄積部に蓄積された情報を用い、学習機能障害の評価を行う評価手段を含むコンピュータを備える前記<27>から<34>のいずれかに記載の学習機能障害評価用装置である。
<36> 前記<19>から<20>のいずれかに記載の中枢神経系疾患モデル動物スクリーニング方法に用いられる、前記<27>から<35>のいずれかに記載の学習機能障害評価用装置である。
<37> 前記<21>から<23>のいずれかに記載の中枢神経系疾患治療剤スクリーニング方法に用いられる、前記<27>から<35>のいずれかに記載の学習機能障害評価用装置である。
<38> 前記<24>から<27>のいずれかに記載の中枢神経系疾患治療剤の副作用スクリーニング方法に用いられる、前記<27>から<35>のいずれかに記載の学習機能障害評価用装置である。
<39> 前記<1>から<18>のいずれかに記載の学習機能障害評価方法に用いられ、
コンピュータを、
刺激の情報が格納された刺激情報格納部、
前記刺激情報格納部に格納された情報に基づき、単位刺激を構成する刺激の種類、刺激の組合せ、単位刺激の間隔、及び単位刺激の出力時間などの刺激条件の入力を促す入力欄を画面に表示させ、前記入力欄に入力された内容に基づき単位刺激の組合せを選択する単位刺激選択手段、
前記単位刺激の種類に応じて報酬の供給を制御する報酬供給制御手段、
被験動物の応答を記録する応答記録手段、
前記応答記録手段から入力された前記単位刺激に対する被験動物の応答の有無と、単位刺激付与から被験動物の応答までの潜時と、単位刺激直前の応答の有無とを、前記単位刺激の種類と関連づけて蓄積する情報蓄積部、
前記情報蓄積部に蓄積された情報を用いて被験動物の学習機能障害の評価を行う評価手段、
として機能させるための学習機能障害評価用プログラムである。
<40> コンピュータを、特定の単位刺激に対する被験動物の応答の情報、該応答までの潜時の情報、及び前記単位刺激開始時の応答の有無の情報を用いて、報酬獲得の有無を判断する評価手段として機能させる前記<39>に記載の学習機能障害評価用プログラムである。
<41> 前記<19>から<20>のいずれかに記載の中枢神経系疾患モデル動物スクリーニング方法に用いられる、前記<39>から<40>のいずれかに記載の学習機能障害評価用プログラムである。
<42> 前記<21>から<23>のいずれかに記載の中枢神経系疾患治療剤スクリーニング方法に用いられる、前記<39>から<40>のいずれかに記載の学習機能障害評価用プログラムである。
<43> 前記<24>から<26>のいずれかに記載の中枢神経系疾患治療剤の副作用スクリーニング方法に用いられる、前記<39>から<40>のいずれかに記載の学習機能障害評価用プログラムである。
本発明によると、被験動物のストレスが少なく、かつ、短時間で明確な評価が可能な学習機能障害評価方法、及び学習機能障害評価用装置を提供することができる。また、前記学習機能障害評価方法、及び前記学習機能障害評価用装置を用いて行うことができる中枢神経系疾患モデル動物のスクリーニング、中枢神経系疾患治療剤のスクリーニング、中枢神経系疾患治療剤の副作用のスクリーニングを提供することができる。
(学習機能障害評価方法)
本発明の学習機能障害評価方法は、少なくともn種(n≧2)の刺激をr個(r≧2)含む単位刺激を、繰り返し被験動物に与え、該被験動物が、n!/(n−r)!で表される前記単位刺激における前記n種の刺激の順列組合せの集合Xのうち、1つの刺激の順序xを識別したときに報酬が与えられるようにし、該被験動物が該刺激の順序xを識別したか否かを評価することを特徴とする。
前記報酬は、正の報酬及び負の報酬のいずれかである。前記正の報酬とは、ある行動に対して該報酬を与えることにより、被験動物がとる該行動頻度が高くなるような報酬であり、例えば褒美やエサ等である。前記負の報酬とは、ある行動に対して該報酬を与えることにより、被験動物がその行動を取らなくなるような報酬であり、例えば嫌悪刺激や罰等である。
<単位刺激>
前記単位刺激を構成する刺激としては、被験動物が、聴覚、視覚、体性感覚によって受容できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、音刺激、光刺激、振動刺激などが挙げられる。
刺激を受容する脳の領域である聴覚野は、視覚野の2倍大きな長期増強を生じ(Kudoh,M., Shibuki,K.:J.Neuroci.,17, 9458-9465(1997))、学習効果が明確に検出できるという観点から、音刺激が好ましい。
前記n種の刺激とは、例えば、刺激が音刺激であれば、振幅(音の大小)、周波数(音の高低)、及びスペクトル(音色)のいずれかが異なる複数の音を意味し、刺激が光刺激であれば、強度、波長、及び提示位置のいずれかが異なる複数の光を意味し、刺激が振動刺激であれば、周波数及び振幅のいずれかが異なる複数の振動を意味する。
前記n種の刺激は、前記被験動物の習性や嗜好に起因する特異的な反応を惹起せず、かつ、前記被験動物が感知可能な範囲の刺激から選択される限り、特に制限は無い。
前記n種の刺激としては、スペクトルが異なるn種の音刺激が好ましい。
n種(n≧2)の刺激をr個(r≧2)含む単位刺激における、前記n種の刺激の順列組合せXは、n!/(n−r)!で表すことができる。
例えば、スペクトルが異なる2種の音刺激を2個含む単位刺激の場合、集合Xは、スペクトルが異なる2種の音刺激A及びBが、「AB」及び「BA」の順からなる単位刺激が存在する。このうち一方の単位刺激xを報酬が与えられる単位刺激とし、他方の単位刺激を報酬が与えられない単位刺激として定めることができる。
また、振幅が異なる3種の音刺激を3個含む単位刺激の場合、集合Xは、振幅が異なる3種の音刺激C、D、及びEが、「CDE」、「CED」、「DCE」、「DEC」、「ECD」、「EDC」の順からなる単位刺激が存在する。これらのうち、1つの単位刺激xを報酬が与えられる単位刺激とし、他の5種の単位刺激を報酬が与えられない単位刺激として定めることができる。
前記単位刺激を構成する単一の刺激の間隔a(秒)と、前記単位刺激の繰り返し間隔b(秒)とは、a<bの関係を満たす必要がある。
被験動物に対し、前記単位刺激をランダムに与え、該被験動物の前記報酬が与えられる単位刺激に対する応答頻度(報酬を得ようとして行動する頻度)が、前記報酬が与えられない単位刺激に対する応答頻度よりも、カイ二乗検定などの方法によって有意に高いと認められた状態をもって、「刺激の順序を識別した」という。
以下、スペクトルが異なる2種の音刺激を2個含む単位刺激について説明する。
前記単位刺激を構成する単一の音刺激の間隔a(秒)と、前記単位刺激の繰り返し間隔b(秒)とが、a/b=0.000005〜0.01を満たすことが好ましく、a/b=0.00004〜0.007を満たすことがより好ましい。
前記単位刺激を構成する単一の音刺激の長さは、0.1〜2秒が好ましく、0.2〜1秒がより好ましい。聴覚性神経には潜時が約0.1秒のものもあるため、前記単一の音刺激の長さは、0.1秒以上であることが好ましい。
また、前記単一の音刺激の間隔、すなわち第一音と第二音との間隔は0.005〜0.2秒が好ましく、0.01〜0.05秒がより好ましい。
前記単位刺激は、ランダムに複数回繰り返し出力される。前記単位刺激の繰り返し間隔、すなわち単位刺激と単位刺激との間隔は20〜200秒が好ましく、30〜120秒がより好ましい。
個々の単位刺激の長さは、0.2〜1秒であることが好ましい。
また、学習効果を高める目的で、同一の単位刺激を連続させたセット(例えば、「AB、AB、AB」及び「BA、BA、BA」)をランダムに出力してもよい。この場合、1セットにおける同一の単位刺激の連続回数は2〜10回であることが好ましい。前記同一の単位刺激の間隔は、0.05〜1秒が好ましく、0.01〜0.5秒がより好ましい。
前記単位刺激を構成する音刺激の周波数帯域は、被験動物の可聴周波数帯に応じて適宜選択することができるが、20〜100000Hzであることが好ましく、100〜60000Hzであることがより好ましい。例えば、前記被験動物がラットの場合、1000〜60000Hzが好ましく、前記被験動物がネコの場合、200〜40000Hzが好ましい。
前記単位刺激を構成する単一音は、純音であってもよく、非純音(例えば、鋸歯状振幅変調音、正弦波振幅変調音、パルス列、白色雑音等)であってもよいが、識別性の観点から、前記単位刺激が純音の単一音と非純音の単一音とを含むことが好ましい。
<実施条件>
本発明の学習機能障害評価方法による試験は、被験動物に対し、1日あたり4〜12時間行われることが好ましく、8〜12時間行われることがより好ましい。
また、前記試験は、被験動物の活動時間帯に行われることが好ましい。活動時間帯は、被験動物の生来の概日リズムに基づいたものであってもよく、被験動物の飼育条件において照明サイクルなどにより昼夜環境を設定し、これに馴化させて調整したものであってもよい。
前記試験の実施期間は、被験動物の種類や、試験の難易度によって適宜選択することができる。ただし、被験動物のストレス、及び、実験者の労力やコスト負担の観点から3〜4日で結果が得られることが好ましく、そのように試験の条件を設定することが好ましい。
本発明の学習機能障害評価方法は、単一の被験動物に対して試験を実施することにより、学習機能障害の有無を評価することができる。
また、目的の被験動物の試験とあわせて、比較対照となる被験動物に対して試験を実施し、その結果に基づいて比較を行うことにより、目的の被験動物の学習機能障害の程度や、薬剤投与を行った被験動物の学習機能の変化などを相対的に評価をすることもできる。
前記比較対照となる被験動物としては、正常な被験動物であってもよく、学習機能傷害を有する被験動物であってもよい。
具体的には、中枢神経障害モデル動物を、陰性対照の被験動物として用いることができる。前記中枢神経障害モデル動物としては、外科的手法や、神経細胞特異的な免疫毒性を示す薬剤の投与によりにより中枢神経系に損傷を与えた動物、神経細胞の分化や成長に関連する遺伝子を改変して作出した動物、神経伝達物質生産に関連する遺伝子を改変して作出した動物、神経伝達物質受容体に関連する遺伝子を改変して作出した動物、などが挙げられ、具体的には、ヒト変異型タウ(V337M変異)トランスジェニックマウス、ムスカリンM1受容体ノックアウトマウス、ドーパミンD2受容体ノックアウトマウス、NMDA受容体ノックアウトマウス、特開2001−204297号公報に記載の学習・記憶障害モデル動物などが挙げられる。
また、中枢神経系に発現している受容体に作用する薬剤(アゴニスト又はアンタゴニスト)を投与した被験動物を使用することにより、前記受容体に依存する学習機能の特定や、学習機能における前記受容体の関与を解析することもできる。
中枢神経系に発現した受容体としては、例えば、脳内に存在するドーパミン受容体、ノルアドレナリン受容体、セロトニン受容体、ムスカリン(アセチルコリン)受容体などが挙げられる。
前記受容体に作用する薬剤は、受容体アゴニスト及び受容体アンタゴニストのいずれであってもよく、これらは1種であってもよく、2種以上を適宜組み合わせて同時に投与してもよい。
<被験動物>
本発明の学習機能障害評価方法の被験動物としては、報酬獲得の条件付けが可能であり、前記報酬獲得の行動が明確に検出できる動物であればよく、例えば、ラット、マウス、ネコ、イヌ、サル、スナネズミ、イタチなどの哺乳類が挙げられる。
これらの中でも、飼育が容易で、かつ、学習能力が高いことからラットが好ましく、3〜20週令のラットがより好ましく、5〜6週令のラットが特に好ましい。
本発明の学習機能障害評価方法は、大脳新皮質の感覚野に入力した音刺激の識別、特に、音刺激の順序識別のような高次学習機能の評価が可能であることから、前記高次学習機能に影響を及ぼすような中枢神経系の障害や疾患のスクリーニングに適用することができる。前記中枢神経系の障害又は疾患としては、例えば、パーキンソン病、アルツハイマー型痴呆症、脳血管型痴呆症、統合失調症、うつ病、睡眠障害、てんかん、不安障害などが挙げられる。これらの中でも、特に、アルツハイマー型痴呆症における学習機能障害や記憶障害などの初期症状の検出に好適である。
さらに、中枢神経系障害又は疾患モデル動物のスクリーニング、中枢神経系障害又は疾患に対する治療薬のスクリーニング、及び、該治療薬の副作用のスクリーニングなどにも適用することができる。
(中枢神経系疾患モデル動物スクリーニング方法)
本発明の中枢神経系疾患モデル動物スクリーニング方法は、少なくともn種(n≧2)の刺激をr個(r≧2)含む単位刺激を、繰り返し被験動物に与え、該被験動物が、n!/(n−r)!で表される前記単位刺激における前記n種の刺激の順列組合せの集合Xのうち、1つの刺激の順序xを識別したときに報酬が与えられるようにし、該被験動物が(正常であれば識別できる)該刺激の順序xを識別したか否かを評価することを特徴とする。
前記中枢神経系疾患モデル動物としては、例えば、外科的手法により中枢神経系に損傷を与えた動物、神経細胞特異的な免疫毒性を示す薬剤の投与により中枢神経系に損傷を与えた動物、神経細胞の分化や成長に関連する遺伝子を改変して作出した動物、神経伝達物質生産に関連する遺伝子を改変して作出した動物、及び神経伝達物質受容体に関連する遺伝子を改変して作出した動物などが挙げられる。
また、前記中枢神経系疾患モデル動物は、報酬獲得の条件付けが可能であり、報酬を獲得する行動自体は維持されていることが好ましい。
前記刺激の順序xを識別できないこと、又は、試験結果が同種の健常な被験動物の結果よりも明らかに劣っていることにより、所望の前記中枢神経系疾患モデル動物が得られたことを確認することができる。
(中枢神経系疾患治療剤スクリーニング方法)
本発明の中枢神経系疾患治療剤スクリーニング方法は、被験動物に対し、中枢神経系疾患治療剤を投与した後、少なくともn種(n≧2)の刺激をr個(r≧2)含む単位刺激を、繰り返し与え、該被験動物が、n!/(n−r)!で表される前記単位刺激における前記n種の刺激の順列組合せの集合Xのうち、1つの刺激の順序xを識別したときに報酬が与えられるようにし、該被験動物が該刺激の順序xを識別したか否かを評価することを特徴とする。
該スクリーニング方法は、新規治療剤の開発において有効性の評価に特に好適であるが、既存の治療薬の有効性評価及び適合性評価にも用いることができる。
前記中枢神経系疾患治療剤スクリーニング方法は、同一個体に対し、前記中枢神経系治療剤を投与する前に試験を行い、それぞれの結果を比較することもできる。
前記中枢神経系疾患治療剤としては、中枢神経系疾患の治療を目的として合成された組成物や化合物を有効成分とするものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、中枢神経系受容体アゴニスト、中枢神経系受容体アンタゴニスト、神経伝達物質取り込み阻害剤、及び神経伝達物質分解酵素阻害剤などが挙げられる。
(中枢神経系疾患治療剤の副作用スクリーニング方法)
本発明の中枢神経系疾患治療剤の副作用スクリーニング方法は、被験動物に対し、中枢神経系疾患治療剤を投与した後、少なくともn種(n≧2)の刺激をr個(r≧2)含む単位刺激を、繰り返し与え、該被験動物が、n!/(n−r)!で表される前記単位刺激における前記n種の刺激の順列組合せの集合Xのうち、1つの刺激の順序xを識別したときに報酬が与えられるようにし、該被験動物が該刺激の順序xを識別したか否かを評価することを特徴とする。
前記中枢神経系疾患治療剤の副作用スクリーニング方法は、例えば、健常な被験動物(少なくとも学習機能障害がみられない被験動物)に対して中枢神経系疾患治療剤を投与し、投与前後における学習機能の変化を評価することにより、該中枢神経系疾患治療剤の副作用の有無を検証することができる。
前記中枢神経系疾患治療剤としては、中枢神経系に作用する既存の治療薬、例えば、痴呆治療薬、パーキンソン病治療薬、及び抗精神病薬などが挙げられる。
例えば、アトロピン、ピレンゼピン、テレンゼピン等のムスカリン受容体アンタゴニスト;ハロペリドール、ラクロプリド、スルピリド、クロザピン等のドーパミン受容体(D2ファミリー)アンタゴニスト;アリセプト、リバスチグミン、ガランタミン等のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤;リスペリドン、ブロナンセリン等のドーパミン受容体及びセロトニン受容体アンタゴニスト;塩酸サートラリン、塩酸デュロキセチン、塩酸フルオキセチン等の選択的セロトニン取り込み阻害剤;塩酸ベンラファキシン等のセロトニン−ノルアドレナリン取り込み阻害剤;塩酸ネファゾドン等のセロトニン選択阻害及びセロトニン受容体アンタゴニスト;ミルタザピン等のセロトニン受容体アンタゴニスト;モクロベミド等の選択的モノアミンオキシターゼ阻害剤;リノピルジン等の神経伝達物質活性化剤、などが挙げられる。
(学習機能障害評価用装置)
本発明の学習機能障害評価用装置は、(1)被験動物に対して単位刺激を行う刺激付与手段と、(2)該被験動物の報酬を獲得しようとする行動を検出する応答検出手段と、(3)前記付与された単位刺激中、特定の単位刺激に対し、該被験動物が応答したときに報酬を付与する報酬付与手段と、を備えることを特徴とする。
前記応答検出手段と、前記報酬付与手段とは、電気的に接続されていることが好ましい。また、前記刺激付与手段と、前記応答検出手段と、前記報酬付与手段とは、それぞれ、コンピュータに対して信号を出入力することができるように接続され、前記信号により動作が制御されることが好ましい。
また、本発明学習機能障害評価用装置は、刺激の情報が格納された刺激情報格納部と、単位刺激の組合せを選択する単位刺激選択手段と、前記単位刺激の種類に応じて報酬の供給を制御する報酬供給制御手段と、被験動物の行動を記録する記録手段と、該記録手段からの情報を蓄積する情報蓄積部とを含むコンピュータを備えることが好ましい。
本発明の学習機能障害評価用装置の例を図1(A)に、構成例を図2に、回路図の例を図3に示す。これらは、異なる音刺激からなる単位刺激を出力し、特定の単位刺激の順序を識別した報酬(正の報酬)としてサッカリン水を供給するラット用の学習機能障害評価用装置の一例である。
<(1)刺激付与手段>
前記刺激付与手段は、被験動物の聴覚、体性感覚、及び視覚のいずれかに対する刺激を与えるように構成される限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記刺激の種類に応じて、スピーカー、起振器、発光器、及びディスプレイから選択される少なくとも1種を備えることが好ましい。
前記刺激付与手段としては、選択された条件に基づき刺激を設定し、設定された刺激を信号として発振し、該信号を調整し、及び該調整された信号を被験動物に刺激として与えるための手段を備えることが好ましい。
例えば、音刺激用の刺激付与手段の一例である図2の装置は、設定された刺激をコンピュータに備えられたD/A変換器からの音信号として発信し、フィルタ及びアッテネータを介して前記音信号の周波数及び電圧を調整した後、ミキサーアンプに送り、これをスピーカーから発振させることにより、被験動物に対して音刺激を与えることができる。なお、D/A変換器は、図2のように2チャンネルとすることにより、識別試験において、個々の刺激の音圧を調節することができるため好ましいが、単一チャネルであってもよい。
前記単位刺激は、前記コンピュータの前記刺激情報格納部に格納された情報に基づき、前記単位刺激選択手段により、単位刺激を構成する刺激の種類、刺激の組合せ、単位刺激の間隔、及び単位刺激の出力時間などの刺激条件の入力を促す入力欄を画面に表示させ、前記入力欄に入力された内容に基づき単位刺激の組合せが選択される。前記画面の一例を、図5に示す。
図5は、刺激設定のための入力用項目として、刺激音選択(純音、正弦波振幅変調音、鋸歯状波振幅変調音、パルス列、白色雑音)、刺激音パラメータ(周波数、変調周波数、変調度)、持続時間、立ち上がり・立ち下がり時間、刺激間隔、繰り返し時間、及び繰り返し回数があり、これらを選択、指定する欄が表示されている。
また、単一音波形、単位刺激波形、現在の試行数、試行中であることを示すランプなども備えている。
さらに、試行開始時に記録ファイルを作成するか否かを選択する入力欄を備えている。
<応答検出手段>
前記応答検出手段は、応答受容部、発振器、及びシュミットトリガを備え、該応答受容部は一定の電圧が印加された電極を有し、該電極は前記発振器と電気的に接続されており、被験動物が前記応答受容部に接触することにより電圧変化が生じ、該電圧変化をシュミットトリガが応答信号に変換して出力する。
前記発振器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、出力周波数が100〜1000Hzのものが挙げられる。
前記応答受容部は、前記被験動物の応答を検出しやすくする目的で、前記電極と電気的に接続された受容領域(例えば、金属板等)を含んでもよい。
また、前記応答受容部は、以下に説明する前記報酬供給口と一体に備えられていてもよい。
例えば、ラットの水舐め行動を検出する応答検出手段の一例である図2の装置では、応答受容部に接続された発振器からの500Hzの信号が発信されている。
前記応答受容部を図1(B)に示す。該ラットが、前記報酬供給口から供給されるサッカリン水を摂取するために、応答受容部に接触した結果ショートが起こり、電圧変化として伝達される。前記応答受容部には、常時0.3〜0.5Vの電圧が印加されている。該電圧は、接触したラットの不快感を回避するために交流電源であることが好ましい。
前記電圧変化は、シュミットトリガに入力されて応答信号に変換されることにより、前記ラットの水舐め行動の有無を正確に電気信号に変換することができる。前記応答信号は、前記報酬付与手段へ伝達される。
前記シュミットトリガから出力された前記応答信号は、前記コンピュータの応答入力手段によりデジタル変換され、前記コンピュータの情報蓄積部へ記録される。前記応答信号は、応答した単位刺激の種類、刺激から応答開始までの潜時、及び前記単位刺激開始時の応答(エラー)の有無が、それぞれ関連づけられて記録される。
<報酬付与手段>
前記報酬付与手段は、報酬付与を判別するAND回路、報酬供給器、報酬供給口、及びコンピュータに含まれた報酬供給制御手段を備え、前記AND回路に、特定の単位刺激の出力中に前記報酬供給制御手段から出力された報酬許可信号と、シュミットトリガから出力された応答信号とが同時に入力したとき、前記AND回路が報酬付与信号を出力し、該報酬付与信号により前記報酬供給器が作動し、前記報酬供給口から被験動物に対して報酬を付与する。
前記報酬付与手段は、報酬を前記報酬供給口に安定的に送る機能と、前記被験動物が摂取しやすい形態の前記報酬供給口とを備えることが好ましい。また、前記報酬供給口は、常に開口している形態であってもよく、供給のタイミングで開口し、開口と同時に報酬が供給される形態であってもよい。
前記報酬が正の報酬として、エサ等が与えられる場合は、前記報酬供給口に対して、前記応答検出手段における前記応答受容部が、前記被験動物が報酬を得ようとして前記報酬供給口に接近する行動を妨げることなく、該行動により自然に接触するような近接した位置に設けられることが好ましく、前記報酬供給口と前記応答受容部とが一体となっている形態であってもよい。
例えば、ラットの水舐め行動を検出する応答検出手段の一例である図2の装置では、報酬付与信号により、報酬供給器であるシリンジポンプが作動し、シリンジポンプ中のサッカリン水が報酬供給口へ送り出される。報酬として与える0.1%サッカリン水は、ラットの1日あたりの水分摂取量の60〜70%が与えられるように設定することが好ましい。報酬供給量を1日あたりの水分摂取量の80%以上にすると、ラットが水舐め行動の動機を損なうため、正確な評価が困難となる。
<コンピュータ>
本発明の学習機能障害評価用装置は、刺激情報格納部と、単位刺激の組合せを選択する単位刺激選択手段と、前記単位刺激の種類に応じて報酬の供給を制御する報酬供給制御手段と、被験動物の応答を記録する応答記録手段と、前記応答記録手段からの情報を蓄積する情報蓄積部とを少なくとも含むコンピュータを備えることが好ましい。
前記コンピュータとしては、少なくとも図3に示すシステムを備え、後述する本発明の学習機能障害評価用プログラムによって所望の機能が発揮されるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<刺激情報格納部>>
前記刺激情報格納部には、任意の刺激を設定するための各種パラメータが格納されている。前記パラメータを選択することによって、所望の刺激を設定することができる。
前記パラメータとしては、前記単位刺激が音刺激からなる場合、例えば、純音における周波数;振幅変調音における搬送周波数、変調周波数、変調度;パルス列におけるパルスの繰り返し周波数;音の持続時間、刺激時間のパターンなどが挙げられる。
前記単位刺激が振動刺激からなる場合、例えば、正弦波刺激における周波数、振幅;振幅変調波形における変調周波数、変調度などが挙げられる。
前記単位刺激が光刺激からなる場合、例えば、波長、強度、点滅頻度、刺激提示位置、空間パタンなどが挙げられる。
<<単位刺激選択手段>>
前記単位刺激選択手段は、前記刺激情報格納部の前記パラメータを選択し、前記単位刺激を構成する刺激及びその組合せを設定する手段である。
前記パラメータの選択は、例えば、図5に示す入力欄を有する選択用画面に、所望のパラメータ値を指定することにより行われる。指定されたパラメータに基づき、単位刺激が生成される。前記選択画面は、前記コンピュータのディスプレイに表示されてもよく、別途設けられた端末などに表示されてもよい。前記選択画面に入力を行う手段は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
刺激の出力は、前記単位刺激選択手段で設定された単位刺激の集合から、乱数によりその都度選択され、前記刺激付与手段から行われる。
<<報酬供給制御手段>>
前記報酬供給制御手段は、単位刺激の種類に応じて報酬の供給を制御する制御手段であり、報酬が与えられるように設定された単位刺激が行われていることを示す前記報酬許可信号を、前記報酬付与手段における前記AND回路へ送信する。前記AND回路が前記報酬許可信号と、被験動物が前記応答検出手段における前記応答受容部に接触した場合に発信される前記応答信号とを同時に受信した場合に、報酬の供給が行われるように制御する。
<<応答記録手段>>
前記応答記録手段は、前記被験動物が応答したことを記録する手段であり、前記応答検出手段における前記シュミットトリガからの前記応答信号を、A/D変換器を介し、デジタル情報に変換して記録される。記録された情報は、前記情報蓄積部に蓄積される。前記情報としては、例えば、図5のファイル構造に示されるように、刺激の種類、水舐め行動の有無、刺激前の水舐め行動の有無、刺激から水舐め開始までの潜時などが挙げられる。
<<情報蓄積部>>
前記情報蓄積部には、前記記録手段によって記録された刺激の種類、水舐め行動の有無、刺激前の水舐め行動の有無、刺激から水舐め開始までの潜時などの情報がそれぞれ関連づけられた状態で蓄積される。また、要求に応じて情報を抽出し、出力することができる。
<<評価手段>>
評価手段は、特定の単位刺激に対して、被験動物の応答があり、該応答までの潜時から、前記単位刺激に対する応答であることが明確に判別できた場合(前記単位刺激直前の応答がない場合)に報酬を獲得したと判断するように機能する。
また、前記情報蓄積部に蓄積された他の個体の試験結果との対比により評価を行う評価手段を備えていてもよい。
前記評価手段を用いることにより、比較対照のための試験を省略することが可能となるため有利である。
(学習機能障害評価用プログラム)
本発明の学習機能障害評価用プログラムは、本発明の学習機能障害評価方法に用いられるプログラムであって、前記学習機能障害評価用装置における前記コンピュータを、刺激の情報が格納された刺激情報格納部、
前記刺激情報格納部に格納された情報に基づき、単位刺激を構成する刺激の種類、刺激の組合せ、単位刺激の間隔、及び単位刺激の出力時間などの刺激条件の入力を促す入力欄を画面に表示させ、前記入力欄に入力された内容に基づき単位刺激の組合せを選択する単位刺激選択手段、
前記単位刺激の種類に応じて報酬の供給を制御する報酬供給制御手段、
被験動物の応答を記録する応答記録手段、
前記応答記録手段から入力された前記単位刺激に対する被験動物の応答の有無と、単位刺激付与から被験動物の応答までの潜時と、単位刺激直前の応答の有無とを、前記単位刺激の種類と関連づけて蓄積する情報蓄積部、
前記情報蓄積部に蓄積された情報を用いて被験動物の学習機能障害の評価を行う評価手段、
として機能させる。
前記学習機能障害評価用プログラムは、プログラムソフトウェアであってもよく、これを記録した記録媒体(コンピュータハードウェア、CD−ROM、FD等)であってもよい。
前記学習機能障害評価用プログラムは、前記コンピュータを、刺激情報格納部に格納された情報に基づき、単位刺激を構成する刺激の種類、刺激の組合せ、単位刺激の間隔、単位刺激の出力時間、単位刺激の繰り返し回数、及び試験開始時刻などの刺激条件の入力を促す入力欄を画面に表示させ、前記入力欄に入力された内容に基づき単位刺激を構成するように機能させる。
前記入力欄の一例を図5に示す。
本発明の学習機能障害評価用プログラムによって実行される動作のフローは、例えば、図6及び図7で表される。
図6のフローチャートにしたがって、本発明のプログラムによる動作を説明する。
スタートの指示が出されると、前記刺激情報蓄積部に格納された刺激情報に基づき、前記単位刺激を構成する刺激の種類、刺激の組合せ、単位刺激の間隔、単位刺激の出力時間、単位刺激の繰り返し回数、及び試験開始時刻などの刺激条件のうち、既存値に対して変更がある場合に入力を促す入力欄とが画面に表示される(S1)。表示された前記刺激条件に基づき、前記刺激選択手段において、刺激に用いられる音の波形が計算される(S2)。選択画面は、試験開始ボタンをONにするまで表示され(S3)、新たな刺激条件の入力が行われると(S4)、新たな入力情報に基づき、音波形が計算される(S5)。
試験開始ボタンがONになると(S6)、記録用のデータファイルが作成される(S7)。選択した前記単位刺激のうち、出力される単位刺激(報酬を与える刺激と報酬を与えない刺激のいずれか)が乱数により決定される(S8)。前記報酬を与える刺激の出力と、出力中にみられた水舐め行動の検出(S9)、及び、前記報酬を与えない刺激の出力と、出力中にみられた水舐め行動の検出(S10)とが行われ、それぞれ記録され、ファイルに蓄積される(S11)。前記S8からS11が、設定した試行回数に達するまで繰り返され(S12)、設定した試行回数に達すると、再び刺激条件の入力画面に戻り、次の試験の条件の入力を行うことができる。
図7のフローチャートにしたがって、本発明のプログラムによる前記学習機能障害評価用装置の動作を説明する。図7のフローチャートは、ラットの水舐め行動の検出用のプログラムを示したものである。
試験開始の指示が出されると、前記単位刺激選択手段において設定された単位刺激の集合から、乱数により、出力される単位刺激が決定される(S13)。前記単位刺激手段において指定された条件に基づき、試行開始時刻になると(S14)、前記応答検出手段によりラットの水舐め行動の検出が行われ、検出された行動はA/D変換器を介して、コンピュータの記録手段により記録される(S15)。前記単位刺激の出力直前に水舐め行動がみられた場合、刺激の出力は中断され、この試行の結果はエラーとして記録される(S16)。
前記刺激出力手段からの乱数によって選択された前記単位刺激の出力、及び、前記応答検出手段への前記水舐め行動検出の入力が行われ、さらに、前記単位刺激が報酬を与えるように設定された単位刺激の場合には、前記報酬供給制御手段から、報酬が与えられるように設定された単位刺激が行われていることを示す信号が出力される(S17)。一回の施行(設定された単位刺激の出力)が完了すると(S18)、前記刺激検出手段からの入力、及び前記報酬供給制御手段への出力が停止される(S19)。次いで、該施行の記録が行われ(S20)、次の施行において出力される単位刺激が乱数により決定される(S13)。
前記情報蓄積部には、被験動物が応答した単位刺激の種類、応答の有無、単位刺激開始から応答開始までの潜時、及び前記単位刺激開始時の応答(エラー)の有無が、それぞれ関連づけられて記録されている。前記学習機能障害評価用プログラムは、これらの情報から、報酬が付与される単位刺激に対して、前記単位刺激を構成する単一刺激の順序を識別したと判断されるタイミングで被験動物の応答が見られた場合に、被験動物が報酬を獲得したという処理を実行させ、さらにこれを記録させる。
また、前記学習機能障害評価用プログラムは、前記コンピュータを、前記情報蓄積部に蓄積された他の被験動物の情報との対比により評価を行う手段として機能させる。
例えば、前記情報蓄積部に蓄積された情報から、指定された刺激条件や被験動物の条件に対し、該当する情報を抽出し、これを比較対照用のデータとして活用することができる。
本発明の学習機能障害評価方法、並びにその装置及びプログラムは、簡便で、被験動物のストレスが少なく、かつ、短時間で明確な評価が得られ、特に、中枢神経系障害又は疾患のスクリーニング、中枢神経系障害又は疾患の治療薬のスクリーニング、中枢神経系障害又は疾患の治療薬の副作用のスクリーニング、中枢神経系障害又は疾患モデル動物のスクリーニングに好適である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
(試験例1)
−シナプス増強の刺激順序依存性−
ラットの聴覚野スライス標本を調製し、該スライスの異なる2点(図8(A)の点A及び点B)に対し、1秒程度の時間差をつけて、図8(B)に示すテタヌス刺激を行った。この結果、図8に示すように、先に刺激与えた点Aに対する経路で、広範囲なテタヌス後増強がみられ、後に刺激を与えた点Bと前記点Aとの中間部位では、点Aにのみテタヌス後増強がみられた。このことから、聴覚野におけるシナプス増強には刺激順序依存性があることがわかった。
(実施例1)
−刺激の順序の識別−
実験用装置に、試験開始12時間前から飲水制限を行ったラット(Wister系ラット、6週令、オス)を1匹投入し、6kHzの純音(以下、PTと略すことがある)、及び、搬送周波数9kHzの鋸歯状振幅変調音(以下、AMと略すことがある)からなる2種の単位刺激を与えた。試験に用いるラットは、6時から18時を点灯時間とした照明サイクルの下で飼育した。
試験は防音室内で実施し、図9(A)の概略図に示す実験装置を用いた。被験動物が投入されるアクリル製のスキナーボックス内部には応答受容部と、報酬供給口とを備え、上部に音刺激を出力するスピーカーを備えている。また、これらを制御するプログラムが格納されたコンピュータが接続されている。
報酬供給時には、報酬供給口に接続されたシリンジポンプ(CFV−3200、日本光電社製)が作動し、3μL/秒で10秒間、前記報酬供給口から正の報酬として0.1%サッカリン水が供給される。
<トレーニング>
試験開始前に、各被験ラットに対し、音刺激に応答して供給口を舐めることにより、供給口から0.1%サッカリン水が与えられることを学習させるためのトレーニングを45分間実施した。なお、前記サッカリン水は、試験時の水舐め行動に影響を与えないよう、供給量の上限を1.2mLとしてトレーニングを行った。
<刺激条件>
単位刺激を構成する2種の音の波長、波形を選択し、発振時間、発振間隔、発振順序、及び報酬付与の有無を、装置に接続されたコンピュータ画面に表示された入力画面で選択した。
前記単位刺激は、2秒間にPT及びAMがそれぞれ1回ずつ、50m秒間隔で200m秒間発振されるように指定し、発振の順序が「PT、AM」であるものを、S+(報酬が与えられる順序)とし、発振の順序が「AM、PT」であるものを、S−(報酬が与えられない順序)とした。S+、及びS−を、図9(B)に示した。
被験ラットが、S+の刺激中に、報酬供給口を舐める水舐め行動を起こすことにより、正の報酬として0.1%サッカリン水を供給した。正の報酬として与えられる前記サッカリン水は、1日に必要とされる水分摂取量の70%程度となるようにし、実験期間中に被験ラットの体重減少が10%未満となるよう配慮した。
1試行として、1分ごとに、前記S+の単位刺激及び前記S−の単位刺激のいずれかが2秒間隔で5回繰り返されるセットをランダムに提示し(図9(B)参照)、1日あたり720試行を4日間連続して行った。1日あたりの実験時間は、ラットの活動時間帯にあたる20時〜8時の12時間とした。実験サイクルを図9(C)に示した。なお、被験ラットは、実験時間帯以外は、飲水制限を行う以外は通常の飼育条件下にて維持した。
14匹のラットについて試験を行った。1試行ごとに水舐め行動の有無を記録し、S+からなる試行に対して水舐め行動が起こった割合(%)と、S−からなる試行に対して水舐め行動が起こった割合(%)とを、それぞれ2時間ごとにまとめ、図10に示した。
また、正の報酬が与えられる刺激の順序を識別し、報酬を獲得した効率(以下、弁別成績という)の変化として、前記S+からなる試行に対して水舐め行動が起こった割合(%)と、前記S−からなる試行に対して水舐め行動が起こった割合(%)との差を図11に示した。なお、図11は、水舐め行動が頻繁にみられる試験前半6時間の結果を、2時間ごとに示したものである。
図10及び図11より、3日目からS−よりもS+に対して水舐め行動をする割合が有意に多くなり、S−とS+との識別が成立したことがわかった。
実施例1の装置は、ラットに単位刺激における単一刺激の順序を識別させ、これを評価するための試験に用いることができることが確認された。
(実施例2)
−順序識別の検証−
実施例1において、S+とS−とを逆にした以外、すなわち、「PT、AM」をS−(報酬が与えられない順序)とし、「AM、PT」をS+(報酬が与えられる順序)とした以外は、実施例1と同様にして、6匹のラットに対して試験を行った。
前記S+と前記S−のそれぞれに対して水舐め行動を起こした割合の差を、実施例1の結果とあわせて図12に示した。なお、図12は、水舐め行動が頻繁にみられる試験前半6時間の結果を、2時間ごとに示したものである。実施例1の結果を●、実施例2の結果を□で示した。
図12より、報酬が与えられる順序を構成する2音の順序を逆にした場合でも、実施例1と同様に、3日目からS+に対して水舐め行動をする割合が有意に多くなり、音の順序の識別が成立したことがわかった。
(実施例3)
−刺激の間隔−
実施例1において、前記単位刺激における前記PT及び前記AMの間隔を10m秒、及び、100m秒に変更した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。結果を図13に示した。なお、図13は、水舐め行動が頻繁にみられる試験前半6時間の結果を、2時間ごとに示したものである。
前記PT及び前記AMの間隔を10m秒として、5匹のラットに対して行った試験結果を○、前記PT及び前記AMの間隔を100m秒として、7匹のラットに対して行った結果を□、実施例1(前記PT及び前記AMの間隔が50m秒)の結果を●であわせて示した。
図13の結果から、単位刺激における2種の音の間隔を変化させることにより、報酬獲得の学習効率が大きく異なることから、ラットが音の配列として、時間の要素も認識していることがわかった。
(実施例4)
−順序識別の成立要素の解析−
(1)単音の識別成立後の順序識別
実施例1の装置を用い、1日目は前記PT及び前記AMのいずれかを識別させ、2日目から4日目は、前記PT及び前記AMからなる単位刺激における順序を識別させるようにした以外は、実施例1と同様にしてラット7匹に対して試験を行った。
1日目は、前記PT及び前記AMのいずれか単音が200m秒間、50m秒間隔で10回繰り返されるセットを1試行とし、ランダムに選択された前記セットを1分に1回発振し、前記PTを報酬が与えられる刺激として試験を行った。この結果、試験開始から8時間で、報酬獲得の学習効率が飽和した。
次いで、2日目から4日目は、実施例1と同様に前記単位刺激として、2秒間にPT及びAMがそれぞれ1回ずつ、50m秒間隔で200m秒間発振されるように指定し、前記単位刺激のうち、発振の順序が「PT、AM」であるものを、S+(報酬が与えられる順序)とし、発振の順序が「AM、PT」であるものを、S−(報酬が与えられない順序)とした。1試行として、1分ごとに、前記S+の単位刺激及び前記S−の単位刺激のいずれかが2秒間隔で5回繰り返されるセットをランダムに提示した。結果を図14に示した。なお、図14は、水舐め行動が頻繁にみられる試験前半6時間(1日目のみ8時間)の結果を、2時間ごとに示したものである。
図14から、1日目で前記PTを報酬が与えられる音として識別しても、2日目からの単位刺激に対しては、前記PTがS+の最初の音であるにも関わらず反応を示さず、新たに順序識別の学習が行われたことがわかった。このことから、順序識別において、最初の刺激のみを認識し、後に続く刺激を無視するという仮説を否定することができる。
(2)順序識別成立後の単音の識別
実施例1の装置を用い、試験期間を5日間とし、5日目に前記PTと前記AMのいずれかを識別させる試験を追加した以外は、実施例1と同様にして試験を行った。
5日目の試験は、被験ラットを2群に分け、1群に対しては1〜4日目のS+の最初の音である前記PTを報酬を与える刺激とし、他の1群に対しては1〜4日目のS−の最初の音(※S+の最後の音)である前記AMを報酬を与える刺激として試験を行った。
結果を図15にあわせて示した。なお、図15は、水舐め行動が頻繁にみられる試験前半6時間の結果を、2時間ごとに示したものである。
図15から、5日目に前記PTに対して、新たに学習することなく報酬が与えられる音として識別していることがわかった。このことから、順序識別の要素として、順序を構成するすべての刺激(単位刺激中のすべての単一音)を認識しているが、特に、最初の刺激(単一音)の識別が重要な要素であるといえる。
(実施例5)
−アセチルコリン受容体拮抗阻害薬に対する薬効評価(ムスカリン受容体の関与)−
(1)順序識別に関与するムスカリン受容体の特定
被験ラット15匹を2群に分け、アトロピンを7匹に、メチルアトロピンを8匹に投与した。アトロピン(シグマ社製)及びメチルアトロピン(シグマ社製)は、それぞれ生理食塩水に溶解し、試験開始30分前に1匹あたり10mg/kgを腹腔内へ注射により投与した。
前記アトロピン、又はメチルアトロピンを投与したラットに対し、実施例1と同様にして、試験を行った。結果を図16に示した。この結果、血管脳関門不透過のメチルアトロピンを投与したラットは、実施例1の正常ラットの弁別の成績と同様であったが、アトロピンを投与したラットは、実施例1の正常ラットの弁別の成績と比較して、著しい低下がみられた。このことから、順序識別には、中枢のムスカリン受容体が関与していることがわかった。
(2)アトロピン投与が水舐め行動に与える影響
上記(1)においてアトロピンを投与したラットの水舐め行動頻度を調査した。実施例1の正常ラットの水舐め行動頻度とあわせて図17に示した。図17から、アトロピン投与の影響として、水舐め行動自体の低下はみられず、学習効率の低下が、報酬(正の報酬)獲得の動機の低下によるものではなく、順序識別の阻害によるものであることが明らかになった。
(3)アトロピン投与による単音識別への影響
被験ラット10匹を2群に分け、1群はそのまま、他の1群には試験開始30分前に1匹あたり10mg/kgを腹腔内へ注射により投与した後、前記PT及び前記AMのいずれか単音が200m秒間、50m秒間隔で10回繰り返されるセットを1試行とし、ランダムに選択された前記セットを1分に1回聞かせ、前記PTを報酬が与えられる刺激として試験を行った。結果を図18に示した。2日間試験を行ったところ、1日目はアトロピン投与群では非投与群と比較して、弁別成績の低下がみられたが、2日目には同等の成績を示した。このことから、アトロピンは、単音の識別には重大な影響を与えないことがわかった。
(4)アトロピン作用機序の特定
実施例1と同様にして4日間の試験をラット10匹に対して行った後、1週間通常の飼育条件で飼育し、次いで、1群(5匹)はそのままで、他の1群(5匹)には試験開始30分前に1匹あたり10mg/kgを腹腔内へ注射によりアトロピンを投与した後、実施例1と同様にして1日間のみ試験を行った。アトロピンは、生理食塩水に溶解し、試験開始30分前に1匹あたり10mg/kgを腹腔内へ注射により投与した。結果を図19に示した。図19から、獲得した学習効果が1週間維持され、かつ、アトロピン投与群は、アトロピン非投与群と比較しても学習効果の低下がみられないことがわかった。このことから、アトロピンは、学習効果の維持ではなく、学習効果の獲得過程において作用することがわかった。
(実施例6)
−コリン作動性神経の関与−
(1)コリン作動性神経損傷モデルラットの作成
試験開始1週間前に、被験ラットに対して以下の処置を行い、大脳聴覚野に投射するコリン作動性神経を選択的に破壊することにより、アセチルコリンの放出を抑制した。処置を行ったラットの大脳の切片を免疫染色により観察したところ、聴覚野においてアセチルコリン合成酵素であるコリンアセチルトランスフェラーゼの著しい減少が確認された。結果を図20に示した。
ラットをハロセン(酸素ガス中1.5%)で麻酔し、無菌環境下で処置を行った。該ラットを脳定位固定装置に固定し、頭蓋上の皮膚を局所麻酔後、切開し、頭蓋に孔を開け、直径0.6mmのガイドカニューラを挿入し、以下の方法により192IgG-saporinを聴覚野に注射した。
前記192IgG-saporin(Vector Laboratories社製)は、30〜240ng/1μLとなるようにPBSに溶解し、pH7.4となるように調製したもの1μLを、シリンジポンプ(CFV3200、日本光電社製)を用い、直径0.3mmのステンレス製チューブを通して投与した。前記チューブの先端を、Bregmaを基準として前方へ5.6mm、側方へ5.0mm、下方へ4.0mm(Paxinos, G. and Watson, C., (1986)に従う)の位置に固定し、前記192IgG-saporinを20分間注入し、さらに5分間前記チューブを留置した。頭皮の切開部位は、フラジオマイシン(日本化薬社製)を投与して縫合した。さらに、感染症予防のためにアンピシリン(10mg/kg、明治製菓社製)を投与した。
(2)コリン作動性神経損傷による単音識別への影響
上記(1)の処置によりコリン作動性神経を損傷させたラット3匹と、正常ラット4匹を、それぞれ実施例1と同様の装置を用い、前記PT及び前記AMのいずれか単音が200m秒間、500m秒間隔で10回繰り返されるセットを1試行とし、ランダムに選択された前記セットを1分に1回聞かせ、前記PTを報酬が与えられる刺激(S+)として2日間試験を行った。結果を図21に示した。2日間試験を行ったところ、いずれのラットも同等の成績を示した。このことから、大脳聴覚野のコリン作動性神経の損傷は、単音識別には重大な影響を与えないことがわかった。
(3)コリン作動性神経損傷による順序識別への影響
前記(1)の処置によりコリン作動性神経を損傷させたラット8匹、及び、正常ラット7匹に対し、実施例1と同様にして、試験を行った。結果を図22に示した。この結果、コリン作動性神経損傷ラットは、正常ラットの弁別学習の成績と比較して、著しい低下がみられた。このことから、順序識別には、大脳聴覚野のコリン作動性神経が関与していることがわかった。
(実施例7)
−リノピルジンの薬効評価−
正常ラット12匹を2群に分け、1群(7匹)はそのままで、他の1群(5匹)には試験開始30分前に1匹あたり10mg/kgを腹腔内へ注射によりリノピルジンを投与した後、実施例1と同様にして4日間試験を行った。リノピルジン(シグマ社製)は、エタノールに溶解させたものを、生理食塩水で希釈し5mg/mLに調製したものを、試験開始30分前にラットに注射することにより投与した。結果を図23に示した。図23から、リノピルジン投与により、正常ラットの弁別学習の成績には、向上も低下もみられず、リノピルジンは正常ラットの順序識別に影響を与えないことがわかった。
次いで、実施例6と同様にして作成したコリン作動性神経損傷モデルラット13匹を2群に分け、1群(8匹)はそのままで、他の1群(5匹)には、上記(1)と同様にして試験開始30分前に1匹あたり10mg/kgを腹腔内へ注射によりリノピルジンを投与した後、実施例1と同様にして4日間試験を行った。結果を、正常ラットのデータとあわせて図24に示した。図24から、リノピルジン投与により、コリン作動性神経損傷モデルラットの弁別学習の成績が回復することがわかった。
これらの結果から、リノピルジンは、正常な機能に影響を与えることがなく、学習機能障害の改善が可能な治療剤として有効であるといえる。また、このことから、本発明の検出方法が、治療剤等のスクリーニングや、治療剤副作用のスクリーニングなどとして有用であることがわかった。
(実施例8)
−単音識別の難易度に対するコリン作動性神経の関与−
刺激方法に用いる音の周波数、波形を選択し、単一音の持続時間、単一音の間隔、単位刺激の間隔、及び報酬付与を付与する単位刺激を、装置に接続されたコンピュータ画面に表示された入力画面で選択した。
音は、搬送周波数9kHzの鋸歯状振幅変調音(AM)の振幅を変化させたものを用いた。振幅は、図25(A)に示すように、基本の振幅aに対する振幅の深さの差b(%)で示し、(b/a)が、20%、30%、35%、65%、70%、及び80%の音から2種を選んで試験を行った。
実施例1と同様の装置を用い、前記いずれか単音が200m秒間、500m秒間隔で10回繰り返されるセットを1試行とし、ランダムに選択された前記セットを1分に1回聞かせた。(I)80%と20%との組合せにおいて、80%をS+とした場合、(II)70%と30%との組合せにおいて、70%をS+とした場合、及び(III)65%と35%との組合せにおいて、65%をS+とした場合について、前記(I)は4匹のラット、前記(II)は5匹のラット、前記(III)は4匹のラットを用いて、実施例1と同様にして弁別の成績を調べた。結果を図25(B)に示す。
図23(B)から、組み合わせた2音の振幅の差が大きい前記(I)の組合せと、振幅の差が小さい前記(III)とでは、弁別の学習効率に著しい差がみられることがわかった。このことから、単音の識別においても、識別の難易度が学習効率に影響を与えることが明らかになった。
次いで、コリン作動性神経の学習効率に対する影響を調べた。
前記(II)の組合せにおいて、実施例6の処置によりコリン作動性神経を損傷させたラット5匹、及び、正常ラット5匹に対して試験を行った。結果を図25(C)に示した。この結果、コリン作動性神経損傷ラットの弁別学習の成績は、正常ラットの弁別学習の成績と同様であった。このことから、順序識別の学習に、大脳聴覚野のコリン作動性神経が特異的に関与していることがわかった。
(実施例9)
−順序識別におけるドーパミン受容体の関与−
報酬獲得による学習には、ドーパミン系の作用が関与すると考えられる。そこで、順序識別におけるドーパミン受容体の関与を調べた。
ドーパミン受容体の非特異的アンタゴニストであるクロルプロマジン2〜5mg/kgをラットの腹腔内に投与したところ、順序識別の学習は抑制され、同時に、水舐め行動の頻度も減少した。クロルプロマジン投与による順序識別における弁別学習の低下は、水舐め行動の減少による二次的効果と分離できないため、さらに、ドーパミン受容体サブタイプごとに特異的なアンタゴニストを用いて試験を行った。
ドーパミン受容体のD1受容体のアンタゴニストであるSCH23390(0.2mg/kg)をラットの腹腔内に投与した後、実施例1と同様にして、順序識別試験を行った。この結果、SCH23390投与から4時間は、弁別成績の上昇がみられないとともに、水舐め行動の頻度も減少したが、SCH23390投与から6時間経過した後、いずれも回復がみられた。ただし、水舐め行動の頻度の減少とは、試験中に起こる報酬獲得のための行動が抑制されたものであり、SCH23390を腹腔内投与したラットに対し、該ラットの口元に給水瓶を近づけると、水舐めを行ったことから、ドーパミン受容体のD1受容体は、水舐め行動のトリガーに関与していることがわかった。
次いで、ドーパミン受容体D2ファミリー(D2受容体、D3受容体、D4受容体)のアンタゴニストであるハロペリドールを腹腔内投与した後、実施例1と同様にして、順序識別試験を行った。ハロペリドールの投与量が、0.2mg/kgを超えると、水舐め行動の頻度が減少したため、投与量を0.5mg/kgとした。
この結果、ハロペリドールの投与により、順序識別における弁別学習の成績の低下がみられた。また、あわせて単音の識別試験を行ったところ、単音の識別における弁別の成績に変化がみられなかったことから、ドーパミン受容体D2ファミリーは、順序識別に関与していることがわかった。
順序識別に関与しているドーパミン受容体の部位を特定するために、以下の試験を行った。
被験ラットに予めデシプラミンを投与し、ノルアドレナリンの再取り込みを抑制した後、内側前頭前野、側座核、及び、聴覚野のいずれかに、6−OHDA(6-hydroxydopamine)8μg/μLを1μL注入した。6−OHDAは、ドーパミンやノルアドレナリンのトランスポーターによりシナプス前部に取り込まれて細胞毒性を示す。6−OHDA投与1週間後に、実施例1と同様にして、順序識別試験と単音識別試験を行った。この結果、内側前頭前野に6−OHDAを投与したラットは6−OHDA投与による変化はみられず、側座核に6−OHDAを投与したラットは、順序識別試験及び単音識別試験のいずれにおいても弁別学習の成績の低下がみられ、聴覚野に6−OHDAを投与したラットは、順序識別のみ弁別学習の成績の低下がみられた。なお、側座核に6−OHDAを投与したラット及び聴覚野に6−OHDAを投与したラットの水舐め行動自体の頻度低下はみられなかった。
このことから、聴覚野へのドーパミン入力が、順序識別学習に特異的に関与していることがわかった。
(参考例1)
−振動刺激に対する識別試験−
実験用装置に、試験開始12時間前から飲水制限を行ったラット(Wister系ラット6週令、オス)を1匹投入し、振動周波数が40Hzの単位刺激、及び、振動周波数が20Hzの単位刺激を与えた。試験に用いるラットは、6時から18時を点灯時間とした照明サイクルの下で飼育した。
試験は防音室内で実施し、図26の概略図に示す実験装置を用いた。該実験装置は、応答受容部と、報酬供給口と、振動刺激を発振して床を振動させるスピーカーとを備えたアクリル製のスキナーボックスで、これらを制御するプログラムが格納されたコンピュータが接続されている。前記応答受容部に被験マウスが接触することにより、通電し、前記給水ポンプが作動し、前記報酬供給口からサッカリン水が供給される。試験中は、報酬が与えられる刺激が発信されている間のみ、給水ポンプが作動するように制御されている。
また、前記コンピュータには、前記応答受容部に被験マウスが接触したことが記録されるデータベースが備えられている。
<トレーニング>
試験開始前に、各被験ラットに対し、振動刺激に応答して供給口を舐めることにより、供給口から0.1%サッカリン水が与えられることを学習させるためのトレーニングを45分間実施した。なお、前記サッカリン水は、試験時の水舐め行動に影響を与えないよう、供給量の上限を1.2mLとしてトレーニングを行った。
<刺激条件>
単位刺激を構成する振動の振動周波数を選択し、発振時間、発振間隔、発振順序、及び報酬付与の有無を、装置に接続されたコンピュータ画面に表示された入力画面で選択した。
前記単位刺激は、周波数40Hzの振動又は周波数20Hzの振動が、500m秒間隔で200m秒間発振されるように指定し、いずれか一方の周波数の振動をS+(報酬が与えられる順序)とし、他方の振動をS−(報酬が与えられない順序)とした。
被験ラットが、S+の刺激中に、報酬供給口を舐める水舐め行動を起こすことにより、報酬(正の報酬)として0.1%サッカリン水を供給した。報酬として与えられる前記サッカリン水は、1日に必要とされる水分摂取量の60〜70%となるようにし、実験期間中に被験ラットの体重減少が10%未満となるよう配慮した。
1試行として、1分ごとに、前記S+の単位刺激及び前記S−の単位刺激のいずれかが連続して5回繰り返されるセットをランダムに提示し、1日あたり720試行を3日間連続して行った。1日あたりの実験時間は、ラットの活動時間帯にあたる20時〜8時の12時間とした。なお、被験ラットは、実験時間帯以外は、飲水制限を行う以外は通常の飼育条件下にて維持した。
5匹のラットについて、周波数20Hzの振動からなる単位刺激をS+として試験を行った。1試行ごとに水舐め行動の有無を記録し、S+(20Hz)からなる試行に対して水舐め行動が起こった割合(%)と、S−(40Hz)からなる試行に対して水舐め行動が起こった割合(%)とを、2時間ごとにまとめ、図27(A)〜(C)に示した。図27(A)は1日目の結果、図27(B)は2日目の結果、図27(C)は3日目の結果を示す。なお、NCは、被験ラットが振動刺激の発振前に刺激受容部に接触したため、試行を中止したことを示す。
また、5匹のラットについて、周波数40Hzの振動からなる単位刺激をS+として、上記と同様にして試験を行った。1試行ごとに水舐め行動の有無を記録し、S+(40Hz)からなる試行に対して水舐め行動が起こった割合(%)と、S−(20Hz)からなる試行に対して水舐め行動が起こった割合(%)とを、2時間ごとにまとめ、図27(D)〜(F)に示した。図27(D)は1日目の結果、図27(E)は2日目の結果、図27(F)は3日目の結果を示す。なお、NCは、被験ラットが振動刺激の発振直前に刺激受容部に接触したため、試行を中止したことを示す。
図27より、3日目からS−よりもS+に対して水舐め行動をする割合が有意に多くなり、S−とS+との識別が成立したことがわかった。このことから、本発明の学習機能障害評価方法、並びにその装置及びプログラムは、体性感覚による刺激の識別学習にも適用できることが明らかになった。
本発明の学習機能障害評価方法、中枢神経系疾患モデル動物のスクリーニング方法、中枢神経系疾患治療剤のスクリーニング方法、中枢神経系疾患治療剤の副作用のスクリーニング方法、並びに学習機能障害評価用装置及びプログラムは、簡便で、被験動物のストレスが少なく、かつ、短時間で明確な評価が得られ、特に、痴呆モデル動物のスクリーニング、遺伝子の表現形質に関する研究におけるスクリーニング、中枢神経系治療剤候補のスクリーニング、既知薬剤の追加効能の実証、既知薬剤の副作用のスクリーニングなどに好適である。
図1(A)は、本発明の学習機能障害評価用装置を説明する概略図の一例であり、(B)は報酬供給口及び応答受容部の拡大図である。 図2は、本発明の学習機能障害評価用装置の構成図の一例である。 図3は、本発明の学習機能障害評価用装置の回路図の一例である。 図4(A)は、学習機能障害評価用装置を構成するシステム構成を示す概略図の一例であり、図4(B)は、データ構造の一例を示す図である。 図5は、単位刺激選択手段における単位刺激を設定するための入力画面の一例を示す図である。 図6は、本発明の学習機能障害評価用プログラムによる動作の一例を示すフローチャートである。 図7は、本発明の学習機能障害評価用プログラムによる装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図8(A)は、試験例1の刺激入力部位及び応答領域を示す模式図であり、図8(B)は、試験例1で用いたのテタヌス刺激の説明図である。 図9(A)は、実施例1の実験装置を示す模式図であり、図9(B)は、実施例1の単位刺激の説明図であり、図9(C)は、実施例1の試験実施時間帯を示す説明図である。 図10は、実施例1において、S+に対して水舐め行動が起こった割合(%)と、S−に対して水舐め行動が起こった割合(%)とを示すグラフである。 図11は、実施例1において、S+に対して水舐め行動が起こった割合(%)と、S−に対して水舐め行動が起こった割合(%)との差を示すグラフである。 図12は、実施例2において、S+に対して水舐め行動が起こった割合(%)と、S−に対して水舐め行動が起こった割合(%)との差を、実施例1の結果とあわせて示すグラフである。 図13は、実施例3の結果を示すグラフである。 図14は、実施例4(1)の結果を示すグラフである。 図15は、実施例4(2)の結果を示すグラフである。 図16は、実施例5(1)の結果を示すグラフである。 図17は、実施例5(2)の結果を示すグラフである。 図18は、実施例5(3)の結果を示すグラフである。 図19は、実施例5(4)の結果を示すグラフである。 図20(A)は、実施例6において調製した大脳聴覚野領域を含むスライスであり、図20(B)は、実施例6において、大脳聴覚野領域に投射するコリン作動性ニューロンを192IgG-saporin投与により破壊した結果を免疫染色した結果を示す写真である。 図21は、実施例6(2)の結果を示すグラフである。 図22は、実施例6(3)の結果を示すグラフである。 図23は、実施例7(1)の結果を示すグラフである。 図24は、実施例7(2)の結果を示すグラフである。 図25(A)は、実施例8で用いた鋸歯状振幅変調波を示す図であり、図25(B)は、実施例8(1)の結果を示すグラフであり、図25(C)は、実施例8(2)の結果を示すグラフである。 図26は、参考例1に用いた振動試験用装置の概略図である。 図27(A)〜(F)は、参考例1の結果を示すグラフである。
符号の説明
10 被験動物
11 スキナーボックス
12 報酬供給口
13 コンピュータ
14 モニター
15 スピーカー
16 シリンジポンプ
20 発振器
21 シュミットトリガ
22 フィルタ
23 アッテネータ
24 アンプ
30 応答受容部(報酬供給口)
32 金属板
33 給水パイプ
34 水溜
35 リード線

Claims (43)

  1. 少なくともn種(n≧2)の刺激をr個(r≧2)含む単位刺激を、繰り返し被験動物に与え、
    該被験動物が、n!/(n−r)!で表される前記単位刺激における前記n種の刺激の順列組合せの集合Xのうち、1つの刺激の順序xを識別したときに報酬が与えられるようにし、
    該被験動物が該刺激の順序xを識別したか否かを評価することを特徴とする学習機能障害評価方法。
  2. 報酬が、正の報酬及び負の報酬のいずれかである請求項1に記載の学習機能障害評価方法。
  3. 単位刺激を構成する単一の刺激の間隔a(秒)と、前記単位刺激の繰り返し間隔b(秒)とが、a<bの関係を満たす請求項1から2のいずれかに記載の学習機能障害評価方法。
  4. 単位刺激を構成するn種の刺激が、スペクトルが異なるn種の音刺激である請求項1から3のいずれかに記載の学習機能障害評価方法。
  5. 単位刺激を構成する単一の音刺激の間隔a(秒)と、前記単位刺激の繰り返し間隔b(秒)とが、a/b=0.000005〜0.01を満たす請求項4に記載の学習機能障害評価方法。
  6. 単位刺激を構成する単一の音刺激の長さが0.01〜2秒であり、前記単一の音刺激の間隔が0.001〜0.25秒である請求項4から5のいずれかに記載の学習機能障害評価方法。
  7. 単位刺激の繰り返し間隔が、20〜200秒である請求項4から6のいずれかに記載の学習機能障害評価方法。
  8. 単位刺激を構成する音刺激の周波数帯域が、100〜100,000Hzである請求項4から7のいずれかに記載の学習機能障害評価方法。
  9. 単位刺激が、純音と非純音との組合せからなる請求項4から8のいずれかに記載の学習機能障害評価方法。
  10. 単位刺激を構成するn種の刺激が、周波数及び振幅の少なくともいずれかが異なるn種の振動刺激である請求項1から3のいずれかに記載の学習機能障害評価方法。
  11. 単位刺激を構成するn種の刺激が、強度、波長、及び提示位置の少なくともいずれかが異なるn種の光刺激である請求項1から3のいずれかに記載の学習機能障害評価方法。
  12. 単位刺激を構成するn種の刺激が、音刺激、振動刺激、及び光刺激から選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載の学習機能障害評価方法。
  13. 1日に4〜12時間行われる請求項1から12のいずれかに記載の学習機能障害評価方法。
  14. 被験動物の活動時間帯に行われる請求項13に記載の学習機能障害評価方法。
  15. 陰性対照として、中枢神経系障害モデル動物を用いる請求項1から14のいずれかに記載の学習機能障害評価方法。
  16. 中枢神経系に発現した受容体に対するアンタゴニスト及びアゴニストのいずれかを投与した被験動物を、比較対照として用いる請求項1から15のいずれかに記載の学習機能障害評価方法。
  17. 被験動物が哺乳類である請求項1から16のいずれかに記載の学習機能障害評価方法。
  18. 被験動物が3〜20週令のラットである請求項17に記載の学習機能障害評価方法。
  19. 少なくともn種(n≧2)の刺激をr個(r≧2)含む単位刺激を、繰り返し被験動物に与え、
    該被験動物が、n!/(n−r)!で表される前記単位刺激における前記n種の刺激の順列組合せの集合Xのうち、1つの刺激の順序xを識別したときに報酬が与えられるようにし、
    該被験動物が、該刺激の順序xを識別したか否かを評価することを特徴とする中枢神経系疾患モデル動物スクリーニング方法。
  20. 被験動物が、外科的手法により中枢神経系に損傷を与えた動物、神経細胞特異的な免疫毒性を示す薬剤の投与により中枢神経系に損傷を与えた動物、神経細胞の分化や成長に関連する遺伝子を改変して作出した動物、神経伝達物質生産に関連する遺伝子を改変して作出した動物、及び神経伝達物質受容体に関連する遺伝子を改変して作出した動物のいずれかである請求項19に記載の中枢神経系疾患モデル動物スクリーニング方法。
  21. 被験動物に対し、中枢神経系疾患治療剤を投与した後、少なくともn種(n≧2)の刺激をr個(r≧2)含む単位刺激を、繰り返し与え、
    該被験動物が、n!/(n−r)!で表される前記単位刺激における前記n種の刺激の順列組合せの集合Xのうち、1つの刺激の順序xを識別したときに報酬が与えられるようにし、
    該被験動物が該刺激の順序xを識別したか否かを評価することを特徴とする中枢神経系疾患治療剤スクリーニング方法。
  22. 中枢神経系疾患治療剤が、中枢神経系受容体アゴニスト、中枢神経系受容体アンタゴニスト、神経伝達物質取り込み阻害剤、及び神経伝達物質分解酵素阻害剤のいずれかである請求項21に記載の中枢神経系疾患治療剤スクリーニング方法。
  23. 被験動物が、中枢神経系疾患モデル動物である請求項21から22のいずれかに記載の中枢神経系疾患治療剤スクリーニング方法。
  24. 被験動物に対し、中枢神経系疾患治療剤を投与した後、少なくともn種(n≧2)の刺激をr個(r≧2)含む単位刺激を、繰り返し与え、
    該被験動物が、n!/(n−r)!で表される前記単位刺激における前記n種の刺激の順列組合せの集合Xのうち、1つの刺激の順序xを識別したときに報酬が与えられるようにし、
    該被験動物が該刺激の順序xを識別したか否かを評価することを特徴とする中枢神経系疾患治療剤の副作用スクリーニング方法。
  25. 中枢神経系疾患治療剤が、中枢神経系受容体アゴニスト、中枢神経系受容体アンタゴニスト、神経伝達物質取り込み阻害剤、及び神経伝達物質分解酵素阻害剤のいずれかである請求項24に記載の中枢神経系疾患治療剤の副作用スクリーニング方法。
  26. 被験動物が、健常な被験動物である請求項24から25のいずれかに記載の中枢神経系疾患治療剤の副作用スクリーニング方法。
  27. 請求項1から18のいずれかに記載の学習機能障害評価方法に用いられ、
    (1)被験動物に対して単位刺激を行う刺激付与手段と、(2)該被験動物の報酬を獲得しようとする行動を検出する応答検出手段と、(3)前記付与された単位刺激中、特定の単位刺激に対し、該被験動物が応答したときに報酬を付与する報酬付与手段と、を備えることを特徴とする学習機能障害評価用装置。
  28. 刺激付与手段が、被験動物の聴覚、体性感覚、及び視覚のいずれかに対する刺激を与える請求項27に記載の学習機能障害評価用装置。
  29. 刺激付与手段が、スピーカー、起振器、発光器、及びディスプレイから選択される少なくとも1種を備える請求項28に記載の学習機能障害評価用装置。
  30. 刺激付与手段が、単位刺激選択手段を備え、
    前記単位刺激選択手段により設定された刺激を付与する請求項27から29のいずれかに記載の学習機能障害評価用装置。
  31. 応答検出手段が、応答受容部、発振器、及びシュミットトリガを備え、
    前記応答受容部が、一定の電圧が印加された電極を有し、該電極は前記発振器と電気的に接続されており、被験動物が前記応答受容部に接触することにより電圧変化が生じ、該電圧変化を前記シュミットトリガが応答信号に変換して出力する請求項27に記載の学習機能障害評価用装置。
  32. 応答検出手段が、応答記録手段を備え、
    前記応答記録手段が、シュミットトリガから出力された応答信号をデジタル変換し、これを情報蓄積部へ記録する請求項31に記載の学習機能障害評価用装置。
  33. 報酬付与手段が、報酬付与を判別するAND回路、報酬供給器、報酬供給口、及び報酬供給制御手段を備え、
    前記AND回路に、特定の単位刺激の出力中に前記報酬供給制御手段から出力された報酬許可信号と、シュミットトリガから出力された応答信号とが同時に入力したとき、前記AND回路が報酬付与信号を出力し、該報酬付与信号により前記報酬供給器が作動し、前記報酬供給口から被験動物に対して報酬を付与する請求項27に記載の学習機能障害評価用装置。
  34. 刺激の情報が格納された刺激情報格納部と、単位刺激の組合せを選択する単位刺激選択手段と、前記単位刺激の種類に応じて報酬の供給を制御する報酬供給制御手段と、被験動物の応答を記録する応答記録手段と、前記応答記録手段からの情報を蓄積する情報蓄積部とを含むコンピュータを備える請求項27から33のいずれかに記載の学習機能障害評価用装置。
  35. 情報蓄積部に蓄積された情報を用い、学習機能障害の評価を行う評価手段を含むコンピュータを備える請求項27から34のいずれかに記載の学習機能障害評価用装置。
  36. 請求項19から20のいずれかに記載の中枢神経系疾患モデル動物スクリーニング方法に用いられる、請求項27から35のいずれかに記載の学習機能障害評価用装置。
  37. 請求項21から23のいずれかに記載の中枢神経系疾患治療剤スクリーニング方法に用いられる、請求項27から35のいずれかに記載の学習機能障害評価用装置。
  38. 請求項24から27のいずれかに記載の中枢神経系疾患治療剤の副作用スクリーニング方法に用いられる、請求項27から35のいずれかに記載の学習機能障害評価用装置。
  39. 請求項1から18のいずれかに記載の学習機能障害評価方法に用いられ、
    コンピュータを、
    刺激の情報が格納された刺激情報格納部、
    前記刺激情報格納部に格納された情報に基づき、単位刺激を構成する刺激の種類、刺激の組合せ、単位刺激の間隔、及び単位刺激の出力時間などの刺激条件の入力を促す入力欄を画面に表示させ、前記入力欄に入力された内容に基づき単位刺激の組合せを選択する単位刺激選択手段、
    前記単位刺激の種類に応じて報酬の供給を制御する報酬供給制御手段、
    被験動物の応答を記録する応答記録手段、
    前記応答記録手段から入力された前記単位刺激に対する被験動物の応答の有無と、単位刺激付与から被験動物の応答までの潜時と、単位刺激直前の応答の有無とを、前記単位刺激の種類と関連づけて蓄積する情報蓄積部、
    前記情報蓄積部に蓄積された情報を用いて被験動物の学習機能障害の評価を行う評価手段、
    として機能させるための学習機能障害評価用プログラム。
  40. コンピュータを、特定の単位刺激に対する被験動物の応答の情報、該応答までの潜時の情報、及び前記単位刺激開始時の応答の有無の情報を用いて、報酬獲得の有無を判断する評価手段として機能させる請求項39に記載の学習機能障害評価用プログラム。
  41. 請求項19から20のいずれかに記載の中枢神経系疾患モデル動物スクリーニング方法に用いられる、請求項39から40のいずれかに記載の学習機能障害評価用プログラム。
  42. 請求項21から23のいずれかに記載の中枢神経系疾患治療剤スクリーニング方法に用いられる、請求項39から40のいずれかに記載の学習機能障害評価用プログラム。
  43. 請求項24から26のいずれかに記載の中枢神経系疾患治療剤の副作用スクリーニング方法に用いられる、請求項39から40のいずれかに記載の学習機能障害評価用プログラム。
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