JP2006070985A - クラッチ制御装置 - Google Patents

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Takeshi Nakajima
中島  剛
Tsuneaki Harada
秩章巨 原田
Yasuro Matsunaga
康郎 松永
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Abstract

【課題】車両のクラッチ制御装置に係り、特にクラッチを解放したときに発生するショックを回避することのできるクラッチ制御装置を提供する。
【解決手段】クラッチ制御装置8Fは、モータ4からの駆動トルクを摩擦係合によって駆動輪へと伝達するメインクラッチ機構12Aと、メインクラッチ機構12Aの接続、解放を行う電磁式のパイロットクラッチ機構12Bと、パイロットクラッチ機構12Bの摩擦係合力をメインクラッチ機構12Aに対する押圧力に変換するカム機構12Cとを備えたクラッチの制御を行い、前記カム機構12Cは、パイロットクラッチ機構12B側の第1カム薄材12Dとメインクラッチ機構12A側の第2カム薄材12Eとを備え、第1カム薄材12Dと第2カム薄材12Eとの間の相対的な回転位相角差によってメインクラッチ機構12Aに対する押圧力を発生させ、回転位相角差が所定範囲内のときにクラッチ12を解放する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両のクラッチ制御装置に係り、特にクラッチを解放するときに発生するショックを回避するクラッチ制御装置に関する。
従来、前輪をエンジンで駆動し、後輪をモータで駆動可能とした4輪駆動の車両があり、このような車両ではモータから後輪軸までのトルク伝達経路に、例えば特開平10−329562号(特許文献1)に記載されているような電磁クラッチや減速機を介装することによって駆動力を制御している。
このような4輪駆動の車両においては、クラッチの解放時に発生するショックを回避するために、例えば特開2004−142472号公報(特許文献2)に記載されているように、車両走行中に4輪駆動状態から2輪駆動状態に移行すると判定したときには、モータの出力トルクが所定のクラッチ解放トルクになったときにクラッチを解放状態にするようにし、少なくともクラッチが解放されるまでの間モータの出力トルクをクラッチ解放トルクとなるように制御している。
特開平10−329562号公報 特開2004−142472号公報
上述した特許文献2に開示された従来例では、モータの出力するトルクを制御することによって、クラッチに負荷されるトルクを制御している。ところが、モータからクラッチまでの間には減速機構があり、この減速機構の潤滑油の温度変化等によるフリクション変化や、さらにモータ及び制御系のばらつきなどが原因となってモータのトルクを制御しただけでは、クラッチに負荷されるトルクを精度良く制御することができずに、クラッチの解放時にショックが発生してしまうという課題があった。
上述した課題を解決するために、本発明のクラッチ制御装置は、駆動源からの駆動トルクを摩擦係合によって駆動輪へと伝達するメインクラッチ機構と、前記メインクラッチ機構の接続、解放を行う電磁式のパイロットクラッチ機構と、前記パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を前記メインクラッチ機構に対する押圧力に変換するカム機構とを備えたクラッチの制御を行うクラッチ制御装置において、前記カム機構は、前記パイロットクラッチ機構側の第1カム薄材と前記メインクラッチ機構側の第2カム薄材とを備え、前記第1カム薄材と前記第2カム薄材との間の相対的な回転位相角差によって前記メインクラッチ機構に対する押圧力を発生させ、前記回転位相角差が所定範囲内のときに前記クラッチを解放することを特徴とする。
本発明に係るクラッチ制御装置では、回転位相角差が所定の範囲内のときにクラッチを解放するようにしたので、クラッチに負荷されるトルクを直接制御することができ、これによって減速機構の温度変化によるフリクション変化やモータ及び制御系のトルクのばらつきの影響を受けずにクラッチ解放時におけるショックの発生を確実に回避することができる。
以下、本発明に係わるクラッチ制御装置を実施するための最良の形態である実施例について説明する。
図2は、実施例1に係るクラッチ制御装置を搭載した車両のシステム構成を説明するための図であり、図3は実施例1に係るクラッチ制御装置及び4WDコントローラと各部との接続を説明するための図である。
図2に示すように、本実施例の車両は、左右前輪1L、1Rが、内燃機関であるエンジン2によって駆動される主駆動輪であり、左右後輪3L、3Rが、モータ4によって駆動可能な従駆動輪である。
すなわち、エンジン2の出力トルクTeが、トランスミッション30及びディファレンスギア31を通じて左右前輪1L、1Rに伝達されるように構成されている。
このトランスミッション30には、現在の変速のレンジを検出するシフト位置検出部32が設けられ、このシフト位置検出部32は、検出したシフト位置信号を4WDコントローラ8に出力する。
次に、エンジン2の吸気管路14(例えばインテークマニホールド)には、メインスロットルバルブ15とサブスロットルバルブ16が介装されている。メインスロットルバルブ15は、アクセルペダル17の踏み込み量等に応じてスロットル開度が調整制御される。このメインスロットルバルブ15は、アクセルペダル17の踏み込み量に機械的に連動するか、あるいはアクセルペダル17の踏み込み量を検出するアクセルセンサ40の踏み込み量検出値に応じて、エンジンコントローラ18が電気的に調整制御することで、そのスロットル開度が調整される。上述したアクセルセンサ40の踏み込み量検出値は、4WDコントローラ8にも出力される。
また、サブスロットルバルブ16は、ステップモータ19をアクチュエータとし、そのステップ数に応じた回転角により開度が調整制御される。ステップモータ19の回転角は、モータコントローラ20からの駆動信号によって調整制御される。なお、サブスロットルバルブ16にはスロットルセンサが設けられており、このスロットルセンサで検出されるスロットル開度検出値に基づいて、上記ステップモータ19のステップ数はフィードバック制御される。ここで、上記サブスロットルバルブ16のスロットル開度をメインスロットルバルブ15の開度以下等に調整することによって、運転者のアクセルペダルの操作とは独立して、エンジン2の出力トルクを制御することができる。
また、エンジン2には、エンジン2の回転数を検出するエンジン回転数検出センサ21が備えられ、このエンジン回転数検出センサ21は、検出した信号をエンジンコントローラ18及び4WDコントローラ8に出力する。
また、符号34はブレーキペダルであって、そのブレーキペダル34のストローク量がブレーキストロークセンサ35によって検出される。このブレーキストロークセンサ35は検出したブレーキストローク量を制動コントローラ36及び4WDコントローラ8に出力する。
制動コントローラ36は、入力されたブレーキストローク量に応じて、各車輪1L、1R、3L、3Rに装備したディスクブレーキなどの制動装置37FL、37FR、37RL、37RRを通じて、車両に作用する制動力を制御する。
また、上記エンジン2の回転トルクTeの一部は、無端ベルト6を介して発電機7に伝達されることで、上記発電機7はエンジン2の回転数Neにプーリ比を乗じた回転数Nhで回転する。
上記発電機7は、図3に示すように、出力電圧Vを調整するための電圧調整器22(レギュレータ)を備え、4WDコントローラ8によって発電機制御指令値c1(デューティ比)が制御されることで、界磁電流Ifhを通じて、エンジン2に対する発電負荷トルクTh及び発電する電圧Vが制御される。すなわち、電圧調整器22は、4WDコントローラ8から発電機制御指令c1(界磁電流値)を取得し、その発電機制御指令c1に応じた値に発電機7の界磁電流Ifhを調整すると共に、発電機7の出力電圧Vを検出して4WDコントローラ8に出力可能となっている。
そして、発電機7が発電した電力は、電線9を介してモータ4に供給可能となっている。その電線9の途中にはジャンクションボックス10が設けられている。
次に、モータ4の駆動軸は、減速機11及びクラッチ12を介して後輪3L、3Rに接続可能となっている。符号13はデフを表している。
また、上記ジャンクションボックス10内には電流センサ23が設けられ、この電流センサ23は、発電機7からモータ4に供給される電力の電流値Iaを検出し、検出した電気子電流信号を4WDコントローラ8に出力する。また、電線9を流れる電圧値E(モータ4の電圧)が4WDコントローラ8で検出される。符号24はリレーであり、4WDコントローラ8からの指令によってモータ4に供給される電圧(電流)の遮断及び接続が制御される。
また、モータ4は4WDコントローラ8からの指令によって界磁電流Ifmが制御され、その界磁電流Ifmの調整によって駆動トルクが調整される。なお、符号25はモータ4の温度を測定するサーミスタである。
上記モータ4の駆動軸の回転数Nmを検出するモータ用回転数センサ26を備え、このモータ用回転数センサ26は、検出したモータ4の回転数信号を4WDコントローラ8に出力する。
各車輪速センサ27FL、27FR、27RL、27RRは、各車輪1L、1R、3L、3Rに設けられ、対応する車輪1L、1R、3L、3Rの回転数に応じたパルス信号を車輪速検出値として4WDコントローラ8に出力する。
次に、4WDコントローラ8とクラッチ制御装置8F、クラッチ12の構成を図1に基づいて説明する。図1に示すように、4WDコントローラ8は発電機制御部8A、リレー制御部8B、モータ制御部8C、4WD制御部8D、記憶部8Eを備えており、クラッチ制御装置8Fと相互に接続されている。
上記発電機制御部8Aは、電圧調整器22を通じて、発電機7の発電電圧Vをモニターしながら、発電機7の発電機指令値c1を出力して界磁電流Ifhを調整する。
リレー制御部8Bは、発電機7からモータ4への電力供給の遮断及び接続を、リレー24を制御することによって行なっている。
モータ制御部8Cは、モータ4の界磁電流Ifmを調整することで、モータ4のトルクを所定の値に調整する。
4WD制御部8Dは、各センサからの情報に基づいて4輪駆動と2輪駆動の切り換えを制御しており、とくにクラッチ制御装置8Fに対してはクラッチON/OFF指令を出力したり、4輪駆動から2輪駆動へ切り換えるときには4輪駆動を終了させる信号を出力したりしている。
記憶部8Eは、4輪駆動と2輪駆動の切り換えを制御するための処理に必要となる各種のデータやプログラムを格納している。とくに、クラッチ制御装置8Fで行われる処理に対しては、回転位相角差の所定値や回転位相角差の単位時間当たりの変化量の所定値などを格納している。
クラッチ12は、例えば図12に示すような電磁クラッチであって、駆動源であるモータ4からの駆動トルクを摩擦係合によって駆動輪となる後輪3L、3Rへと伝達するメインクラッチ機構12Aと、このメインクラッチ機構12Aの接続、解放を行う電磁式のパイロットクラッチ機構12Bと、このパイロットクラッチ機構12Bの摩擦係合力をメインクラッチ機構12Aに対する押圧力に変換するカム機構12Cとを備えている。なお、このような機構の電磁クラッチは、例えば特開平10−329562号公報等に開示されている公知のクラッチ機構である。
このカム機構12Cは、入力軸側となるパイロットクラッチ機構側の第1カム薄材12Dと出力軸側となるメインクラッチ機構側の第2カム薄材12Eとを備え、第1カム薄材12Dと第2カム薄材12Eとの間の相対的な回転位相角差によってメインクラッチ機構12Aに対する押圧力を発生させるような構造になっている。そして、4WDコントローラ8からのクラッチON/OFF指令に応じてクラッチ制御装置8Fがクラッチ12を制御して接続状態又は解放状態となる。
また、クラッチ12には、例えば角度センサなど設置して第1カム薄材12Dと第2カム薄材12Eの回転位相角を検出できるようにする。
クラッチ制御装置8Fは、第1カム薄材12D及び第2カム薄材12Eの回転位相角差を算出し、この回転位相角差に基づいてクラッチ12を解放するタイミングを決定してクラッチ12にクラッチ制御指令を出力する。
また、クラッチ制御装置8Fは、モータ用回転数センサ26からモータ4の回転数を取得するとともに、車輪速センサ27RL、27RRからの情報に基づいて車軸の回転数も取得するようにしている。
次に、本実施例に係るクラッチ制御装置8Fによるクラッチ12を開放するときの制御処理を図4のフローチャートに基づいて説明する。
図4に示すように、まずクラッチ制御装置8Fはクラッチ12から入力軸側である第1カム薄材12Dの回転位相角を取得するとともに(S401)、出力軸側である第2カム薄材12Eの回転位相角を取得する(S402)。これらの回転位相角はクラッチ12に設けられた角度センサなどから取得する。
そして、これらの回転位相角の差を求めて回転位相角差を算出し(S403)、予め設定された所定の回転位相角差の範囲を記憶部8Eから取得して(S404)回転位相角差が所定範囲内になっているか否かを判定する(S405)。
ここで、回転位相角差が所定範囲外のときにはステップS403に戻って再び回転位相角差を算出するようにし、回転位相角差が所定範囲内のときには、次にクラッチ12をOFFにするか否かを判定する(S406)。このとき、クラッチ制御装置8Fは4WD制御部8DからのクラッチON/OFF指令が入力されていれば(S407)、このクラッチON/OFF指令に基づいてクラッチ12の接続、あるいは解放を行うが、クラッチON/OFF指令が入力されていなければ、とくにクラッチ12の制御を行わずにステップS403に戻って回転位相角差を算出する。
また、クラッチON/OFF指令が入力され、このクラッチON/OFF指令がクラッチ12をOFFにする指令のときには、クラッチ制御装置8FはクラッチをOFFにして(S408)クラッチ12を解放するときの制御処理を終了する。
ここで、クラッチ12の解放時に発生するショックのメカニズムを図5に基づいて説明し、本実施例のクラッチ制御装置8Fがどのようにショックの発生を回避しているかを説明する。図5(a)はクラッチ12を接続しているときのクラッチ伝達トルクとカム薄材の回転位相角差との関係を示す図であり、図5(b)は図5(a)のP部拡大図である。なお、図5(a)の丸数字を本文中では例えば「マル1」というように表記する。
図5(a)に示すように、クラッチ12をONにして図中の原点からカム機構12Cを捩じっていくと(回転位相角差を増大していくと)、パイロットクラッチ機構12Bが引き付けられていき(図中、マル1)、メインクラッチ機構12Aが押し付けられてクラッチ伝達トルクが増大して最大トルクが負荷される点に達する(図中、マル2)。
そして、クラッチをONにしたままの状態でカム機構12Cを反対方向に捩じると、クラッチ伝達トルクは減少し、回転位相角差も微減していく(図中、マル3)。そして、カム薄材やカム薄材の間に設けられたカムフォロワの弾性変形によってクラッチ伝達トルク=0となっても回転位相角差はゼロにならず(図中P部)、さらに反対側にカムを捩じってマイナス側の頂点で弾性変形の影響がなくなって(図中、マル4)回転位相角差はゼロに向かって下がっていく。
その後、カム機構12Cを反対側に捩じると、プラス側で説明したのと同様にマイナス側の最大トルクまでクラッチ伝達トルクは変化していく(図中、マル5)。
次に、図5(a)のP部を拡大した図5(b)に基づいて、クラッチ12をOFFにしたときに発生するショックについて説明する。
クラッチをOFFにしたときにショックが発生するタイミングには3点ある。 まず1つ目のタイミングは、クラッチ伝達トルクが大きいときである。すなわち、図5(b)のA点のように、クラッチ伝達トルクが大きい時点でクラッチをOFFにすると、クラッチを含むトルク伝達系に蓄えられた捩じり力が開放されてショックになる。このとき開放されるエネルギーは、A点を頂点とした三角形の面積になるので、クラッチ伝達トルクが大きいと三角形の面積が大きくなり、発生するショックも大きくなる。
次に、2つ目のタイミングは、回転位相角差の減少速度が大きいときである。このタイミングでクラッチをOFFにすると、バックラッシュによるショックが発生する。例えば、図5(b)のB点である。
さらに、3つ目のタイミングは、マイナスのクラッチ伝達トルクが大きいときである。例えば、図5(b)のC点である。このC点では、クラッチをOFFにするとクラッチを含むトルク伝達系のフリクション等によりショックが発生し、このとき開放されるエネルギーは、C点を頂点とした三角形の面積になる。
このように、クラッチをOFFにするタイミングによってショックが発生してしまう。そこで、本実施例のクラッチ制御装置8Fでは、上述した3つのタイミングを回避できるように、回転位相角差が所定範囲内のときにクラッチをOFFするように制御する。この所定範囲は図5(b)のD点からB点の手前までの範囲であって、この位相差は実験等によって求められる。D点ではクラッチ伝達トルクが小さくなるので、斜線で示した三角形の面積が小さくなり発生するショックも小さくなる。
このように、本実施例に係るクラッチ制御装置8Fでは、回転位相角差が実験等によって予め求めた所定の範囲内のときにクラッチを解放するようにしたので、クラッチの解放時に発生するショックを回避することができ、さらに回転位相角でクラッチを解放するタイミングを制御するので、クラッチに負荷されるトルクを直接制御することができ、これによって減速機構の温度変化によるフリクション変化やモータ及び制御系のトルクのばらつきの影響を受けずにクラッチ解放時におけるショックの発生を確実に回避することができる(請求項1の効果)。
次に、本発明の実施例2を図6に基づいて説明する。なお、車両その他の構成については、実施例1と同一なので詳しい説明は省略する。図6は本実施例に係るクラッチ制御装置8Fによるクラッチ12を開放するときの制御処理を説明するためのフローチャートである。
図6に示すように、まずクラッチ制御装置8Fはクラッチ12から入力軸側である第1カム薄材12Dの回転位相角を取得するとともに(S601)、出力軸側である第2カム薄材12Eの回転位相角を取得する(S602)。
そして、これらの回転位相角の差を求めて回転位相角差を算出し(S603)、実験等によって予め求められて設定された回転位相角差の所定の範囲を記憶部8Eから取得して(S604)回転位相角差が所定範囲内になっているか否かを判定する(S605)。
ここで、回転位相角差が所定の範囲外のときにはステップS603に戻って再び回転位相角差を算出するようにし、回転位相角差が所定範囲内のときには、次に回転位相角差の単位時間当たりの変化量を算出する(S606)。そして、予め設定された回転位相角差の単位時間当たりの変化量の所定値を記憶部8Eから取得して(S607)算出した変化量が所定値以下になっているか否かを判定する(S608)。なお、この回転位相角差の単位時間当たりの変化量の所定値も予め実験等によって求められた値である。
ここで、変化量が所定値より大きいときにはステップS603に戻って再び回転位相角差を算出するようにし、変化量が所定値以下のときには、次にクラッチ12をOFFにするか否かを判定する(S609)。このとき、クラッチ制御装置8Fは4WD制御部8DからのクラッチON/OFF指令が入力されていれば(S610)、このクラッチON/OFF指令に基づいてクラッチ12の接続、あるいは解放を行うが、クラッチON/OFF指令が入力されていなければ、とくにクラッチ12の制御を行わずにステップS603に戻って回転位相角差を算出する。
また、クラッチON/OFF指令が入力され、このクラッチON/OFF指令がクラッチ12をOFFにする指令のときには、クラッチ制御装置8FはクラッチをOFFにして(S611)クラッチ12を解放するときの制御処理を終了する。
このように、本実施例に係るクラッチ制御装置8Fでは、回転位相角差が予め定められた所定の範囲内であるとともに、回転位相角差の単位時間当たりの変化量が予め定められた所定値以下のときにクラッチ12を開放するようにしたので、図5(b)で示したB点を回避することができ、これによってより確実にクラッチ開放時におけるショックの発生を回避することができる(請求項2の効果)。
次に、本発明の実施例3を図7に基づいて説明する。なお、車両その他の構成については、実施例1と同一なので詳しい説明は省略する。図7は本実施例に係るクラッチ制御装置8Fによるクラッチ12を開放するときの制御処理を説明するためのフローチャートである。
図7に示すように、まずクラッチ制御装置8Fは、モータ4の回転数をモータ用回転数センサ26から取得し(S701)、次に駆動輪である車軸の回転数を車輪速センサ27RL、27RRから取得する(S702)。そして、それぞれの回転数を時間積分して積算し、積算したものの差を求めることによって回転位相角差を算出し(S703)、(実験等によって)予め設定された所定の回転位相角差の範囲を記憶部8Eから取得して(S704)回転位相角差が所定範囲内になっているか否かを判定する(S705)。
ここで、回転位相角差が所定範囲外のときにはステップS703に戻って再び回転位相角差を算出するようにし、算出した回転位相角差が所定範囲内のときには、次にクラッチ12をOFFにするか否かを判定する(S706)。このとき、クラッチ制御装置8Fは4WD制御部8DからのクラッチON/OFF指令が入力されていれば(S707)、このクラッチON/OFF指令に基づいてクラッチ12の接続、あるいは解放を行うが、クラッチON/OFF指令が入力されていなければ、とくにクラッチ12の制御を行わずにステップS703に戻って回転位相角差を算出する。
また、クラッチON/OFF指令が入力され、このクラッチON/OFF指令がクラッチ12をOFFにする指令のときには、クラッチ制御装置8FはクラッチをOFFにして(S708)クラッチ12を解放するときの制御処理を終了する。
このように、本実施例に係るクラッチ制御装置8Fでは、モータ4の回転数と車軸の回転数をそれぞれ積算し、その差を求めることによって回転位相角差を算出するようにしたので、クラッチ12に第1及び第2カム薄材12D、12Eの回転位相角を検出するための角度センサなどを新たに追加して設置する必要がなくなり、コストを削減することが可能になる(請求項3の効果)。
次に、本発明の実施例4を図8に基づいて説明する。なお、車両その他の構成については、実施例1と同一なので詳しい説明は省略する。図8は本実施例に係るクラッチ制御装置8Fによるクラッチ12を開放するときの制御処理を説明するためのフローチャートである。
図8に示すように、まずクラッチ制御装置8Fはクラッチ12からクラッチ12に負荷されているクラッチ伝達トルクを取得し、このクラッチ伝達トルクが最大トルクになったか否かを監視する(S801)。そして、最大トルクが負荷されると、回転位相角差を「0」にセットする(S802)。
次に、クラッチ制御装置8Fはモータ4の回転数をモータ用回転数センサ26から取得し(S803)、駆動輪である車軸の回転数を車輪速センサ27RL、27RRから取得して(S804)それぞれの回転数の積算を開始する。以下、クラッチ制御装置8Fは図7で説明した実施例3と同様の処理を行ってクラッチ12を解放するときの制御処理を行う。
このように、本実施例に係るクラッチ制御装置8Fでは、クラッチ12のクラッチ伝達トルクが最大になったときから回転数の積算を開始するようにしたので、クラッチ12を構成しているカム薄材やメインクラッチ機構12Aのクラッチ板によるばらつきの影響を軽減することができ、これによってより精度良くクラッチ12をOFFするときに発生するショックを回避することができる(請求項4の効果)。
このようにしてばらつきの影響を軽減できるのは、図5で説明したクラッチ伝達トルクと回転位相角差との特性を示したグラフにおいて、最大トルクへと立ち上がる部分(図中、マル2)では、カム薄材とメインクラッチ機構12Aのクラッチ板の製造ばらつきによる隙間の影響を受けるのでばらつきが大きくなってしまうが、最大トルクから下がる部分(図中、マル3)では、メインクラッチ機構12Aのうねり成分のばらつきしかないので、ばらつきの影響を小さく抑えることができるからである。
次に、本発明の実施例5を図9に基づいて説明する。なお、車両その他の構成については、実施例1と同一なので詳しい説明は省略する。図9は本実施例に係るクラッチ制御装置8Fによるクラッチ12を開放するときの制御処理を説明するためのフローチャートである。
図9に示すように、まずクラッチ制御装置8Fは4WD制御部8DからのクラッチON/OFF指令がクラッチ12をOFFする指令、すなわち4WDを終了させる信号であるか否かを監視し(S901)、4WDを終了させる信号を受信したときには、回転位相角差を「0」にセットする(S902)。
そして、モータ4の回転数をモータ用回転数センサ26から取得し(S903)、次に駆動輪である車軸の回転数を車輪速センサ27RL、27RRから取得して(S904)それぞれの回転数の積算を開始する。以下、クラッチ制御装置8Fは図7で説明した実施例3と同様の処理を行ってクラッチ12を解放するときの制御処理を行う。
このように、本実施例に係るクラッチ制御装置8Fでは、4WDを終了させる信号を取得したときから回転数の積算を開始するようにしたので、実施例4と同様にクラッチ12を構成しているカム薄材やメインクラッチ機構12Aのクラッチ板によるばらつきの影響を軽減することができ、これによってより精度良くクラッチをOFFするときに発生するショックを回避することができる(請求項5の効果)。
次に、本発明の実施例6を図10に基づいて説明する。なお、車両その他の構成については、実施例1と同一なので詳しい説明は省略する。図10は本実施例に係るクラッチ制御装置8Fによるクラッチ12を開放するときの制御処理を説明するためのフローチャートである。
図10に示すように、まずクラッチ制御装置8Fはクラッチ12から入力軸側である第1カム薄材12Dの回転位相角を取得するとともに(S1001)、出力軸側である第2カム薄材12Eの回転位相角を取得する(S1002)。
そして、これらの回転位相角の差を求めて回転位相角差を算出し(S1003)、予め設定された回転位相角差の所定の範囲を記憶部8Eから取得して(S1004)回転位相角差が所定範囲内になっているか否かを判定する(S1005)。
ここで、回転位相角差が所定の範囲外のときにはステップS1003に戻って再び回転位相角差を算出するようにし、回転位相角差が所定範囲内のときには、次に回転位相角差の単位時間当たりの変化量を算出する(S1006)。そして、予め設定された回転位相角差の単位時間当たりの変化量の所定値を記憶部8Eから取得して(S1007)算出した変化量が所定値以下になっているか否かを判定する(S1008)。
ここで、変化量が所定値より大きいときにはクラッチ制御装置8Fはモータ制御部8Cにモータ4のトルクを所定値だけ増加させる信号を送信してモータ4のトルクを増加させてから(S1009)ステップS1003に戻って再び回転位相角差を算出する。
また、ステップS1008において変化量が所定値以下のときには、次にクラッチ12をOFFにするか否かを判定する(S1010)。このとき、クラッチ制御装置8Fは4WD制御部8DからのクラッチON/OFF指令が入力されていれば(S1011)、このクラッチON/OFF指令に基づいてクラッチ12の接続、あるいは解放を行うが、クラッチON/OFF指令が入力されていなければ、とくにクラッチ12の制御を行わずにステップS1003に戻って回転位相角差を算出する。
また、クラッチON/OFF指令が入力され、このクラッチON/OFF指令がクラッチ12をOFFにする指令のときには、クラッチ制御装置8FはクラッチをOFFにして(S1012)クラッチ12を解放するときの制御処理を終了する。
このように、本実施例に係るクラッチ制御装置8Fでは、回転位相角差の単位時間当たりの変化量が所定値より大きいときには、モータ4の駆動トルクを所定値だけ増加させるようにしたので、モータ4の駆動トルクが増えたことにより回転位相角差の単位時間当たりの変化量を変化させることができ、これによってクラッチ12のON/OFFを容易にすることができる。また、クラッチ12のガタ打ちによるショックの発生を防止することもできる(請求項6の効果)。
次に、本発明の実施例7を図11に基づいて説明する。なお、車両その他の構成については、実施例1と同一なので詳しい説明は省略する。図11は本実施例に係るクラッチ制御装置8Fによるクラッチ12を開放するときの制御処理を説明するためのフローチャートである。
図11に示すように、まずクラッチ制御装置8Fはクラッチ12から入力軸側である第1カム薄材12Dの回転位相角を取得するとともに(S1101)、出力軸側である第2カム薄材12Eの回転位相角を取得する(S1102)。
そして、これらの回転位相角の差を求めて回転位相角差を算出し(S1103)、予め設定された所定の回転位相角差の範囲を記憶部8Eから取得して(S1104)回転位相角差が所定範囲内になっているか否かを判定する(S1105)。
ここで、算出した回転位相角差が所定範囲外のときには、次にモータ用回転数センサ26からモータ4の回転数を取得してこの回転数が所定値よりも高いか否かを判定し(S1106)、モータ4の回転数が高いと判定されたときには、リレー制御部8Bにモータ4を停止する信号を送信してモータ4への電力の供給を一旦停止する(S1107)。このときモータ4がDCモータのときには電機子電流をショートさせ、ACモータのときには三相短絡させて電力の供給を停止する。ただし、モータ4の回転数が下がり過ぎないように電力の供給を停止するのは、例えば100msecのように短時間だけ実施する。こうして、モータ4の回転数を下げてからステップS1103に戻って再び回転位相角差を算出する。
また、ステップS1106においてモータ4の回転数が所定値以下と判定されたときには、クラッチ制御装置8Fはモータ制御部8Cにモータ4のトルクを所定値だけ増加させる信号を送信してモータ4のトルクを増加させてから(S1108)ステップS1103に戻って再び回転位相角差を算出する。
さらに、ステップS1105において、回転位相角差が所定範囲内のときには、次にクラッチ12をOFFにするか否かを判定する(S1109)。このとき、クラッチ制御装置8Fは4WD制御部8DからのクラッチON/OFF指令が入力されていれば(S1110)、このクラッチON/OFF指令に基づいてクラッチ12の接続、あるいは解放を行うが、クラッチON/OFF指令が入力されていなければ、とくにクラッチ12の制御を行わずにステップS1103に戻って回転位相角差を算出する。
また、クラッチON/OFF指令が入力され、このクラッチON/OFF指令がクラッチ12をOFFにする指令のときには、クラッチ制御装置8FはクラッチをOFFにして(S1111)クラッチ12を解放するときの制御処理を終了する。
このように、本実施例に係るクラッチ制御装置8Fでは、回転位相角差が所定範囲外であるとともに、モータ4の回転数が所定値より高いときには、モータ4への電力供給を一旦停止してモータ4の回転数を下げるようにしたので、クラッチ12を解放したときにモータ4の回転が吹き上がり、過回転になることを防止することができる(請求項7の効果)。
以上、本発明に係わるクラッチ制御装置について、図示した実施例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
実施例1に係るクラッチ制御装置、4WDコントローラ及びクラッチの構成を示すブロック図である。 実施例1に係るクラッチ制御装置を搭載した車両のシステム構成を説明するための図である。 実施例1に係るクラッチ制御装置及び4WDコントローラと各部との接続を説明するための図である。 実施例1に係るクラッチ制御装置によるクラッチを解放するときの制御処理を説明するためのフローチャートである。 クラッチの解放時に発生するショックのメカニズムを説明するための図である。 実施例2に係るクラッチ制御装置によるクラッチを解放するときの制御処理を説明するためのフローチャートである。 実施例3に係るクラッチ制御装置によるクラッチを解放するときの制御処理を説明するためのフローチャートである。 実施例4に係るクラッチ制御装置によるクラッチを解放するときの制御処理を説明するためのフローチャートである。 実施例5に係るクラッチ制御装置によるクラッチを解放するときの制御処理を説明するためのフローチャートである。 実施例6に係るクラッチ制御装置によるクラッチを解放するときの制御処理を説明するためのフローチャートである。 実施例7に係るクラッチ制御装置によるクラッチを解放するときの制御処理を説明するためのフローチャートである。 電磁クラッチの構造を示す断面図。
符号の説明
1L…左右前輪
2…エンジン
3L…左右後輪
4…モータ
6…無端ベルト
7…発電機
8…WDコントローラ
8A…発電機制御部
8B…リレー制御部
8C…モータ制御部
8D…WD制御部
8E…記憶部
8F…クラッチ制御装置
9…電線
10…ジャンクションボックス
11…減速機
12…クラッチ
12A…メインクラッチ機構
12B…パイロットクラッチ機構
12C…カム機構
12D…第1カム薄材
12E…第2カム薄材
13…デフ
14…吸気管路
15…メインスロットルバルブ
16…サブスロットルバルブ
17…アクセルペダル
18…エンジンコントローラ
19…ステップモータ
20…モータコントローラ
21…エンジン回転数検出センサ
22…電圧調整器
23…電流センサ
24…リレー
25…サーミスタ
26…モータ用回転数センサ
27FL、27RL、27RL、27RR…車輪速センサ
30…トランスミッション
31…ディファレンスギア
32…シフト位置検出部
34…ブレーキペダル
35…ブレーキストロークセンサ
36…制動コントローラ
37FL、37FR、37RL、37RR…制動装置
40…アクセルセンサ

Claims (7)

  1. 駆動源からの駆動トルクを摩擦係合によって駆動輪へと伝達するメインクラッチ機構と、前記メインクラッチ機構の接続、解放を行う電磁式のパイロットクラッチ機構と、前記パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を前記メインクラッチ機構に対する押圧力に変換するカム機構とを備えたクラッチの制御を行うクラッチ制御装置において、
    前記カム機構は、前記パイロットクラッチ機構側の第1カム薄材と前記メインクラッチ機構側の第2カム薄材とを備え、前記第1カム薄材と前記第2カム薄材との間の相対的な回転位相角差によって前記メインクラッチ機構に対する押圧力を発生させ、
    前記回転位相角差が予め定められた所定範囲内のときに前記クラッチを解放することを特徴とするクラッチ制御装置。
  2. 前記回転位相角差の単位時間当たりの変化量が予め定められた所定の変化量以下のときに前記クラッチを解放することを特徴とする請求項1に記載のクラッチ制御装置。
  3. 前記駆動源の回転数と前記駆動輪の回転数とをそれぞれ積算し、積算した前記回転数の差を求めることによって前記回転位相角差を算出することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のクラッチ制御装置。
  4. 前記駆動源の回転数と前記駆動輪の回転数とを積算するときには、前記クラッチが伝達するトルクが最大になったときから積算を開始することを特徴とする請求項3に記載のクラッチ制御装置。
  5. 前記駆動源の回転数と前記駆動輪の回転数とを積算するときには、4輪駆動を終了させる信号を受信したときから積算を開始することを特徴とする請求項3に記載のクラッチ制御装置。
  6. 前記回転位相角差の単位時間当たりの変化量が所定の変化量より大きいときには、前記駆動源の駆動トルクを所定の値だけ増加させることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載のクラッチ制御装置。
  7. 前記回転位相角差が所定範囲外であり、前記駆動源の回転数が所定の回転数より大きいときには、前記駆動源への電力供給を停止することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のクラッチ制御装置。
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