JP2006067113A - 電気音響変換器 - Google Patents

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Masahide Sumiyama
昌英 隅山
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Abstract

【課題】本発明は音響機器や映像機器、情報通信機器に使用される電気音響変換器、モジュールさらには電子機器および装置に関するものであり、薄型化可能な電気音響変換器を提供することを目的とするものである。
【解決手段】磁気回路15を形成するプレート14に少なくとも1つ以上の窪み部14bを設けることにより、窪み部14bまたはその周辺で磁気飽和を発生させて、漏洩した磁束を利用したところに特徴を有するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は各種音響機器や映像機器、情報通信機器に使用される電気音響変換器に関するものである。
電気音響変換器は、これが搭載されるセットとして携帯電話やステレオセット、テレビ等の電子機器、さらには自動車等の移動装置に使用されることが多かった。
これらの電子機器は、最近の市場動向として、小型化、薄型化が図られ、特に携帯電話等の情報通信分野では、カメラ機能搭載などの高機能化とともに、従来にない小型化、薄型化が要望されるようになってきた。
このような市場動向を背景に、これら電子機器や装置に使用されている電気音響変換器について薄型化が強く求められている。
従来の電気音響変換器の振動系は、電気信号を入力するボイスコイルと、このボイスコイルに結合され、ボイスコイルの振動の伝達を受け、この振動を音響変換する振動板とにより構成している。
このため、この振動板とボイスコイルとは電気音響変換器を構成する上で必要不可欠の構成部品となっている。
図3は従来構造の磁気回路を備えた電気音響変換器の一種であるスピーカーの断面図である。
図3において、101は永久磁石であり、その磁軸を垂直方向に着磁されており、鉄等からなる上部プレート102と、ヨーク103により挟み込まれ、磁気ギャップ105を有する内磁型の磁気回路104を構成し、フレーム106に結合している。
このフレーム106の周縁部に、振動板107を結合し、この振動板107にボイスコイル108を結合するとともに、磁気回路104の磁気ギャップ105にボイスコイル108がはまり込むように結合している。
このような構成により、ボイスコイル108に電流が流れると、ボイスコイル108は磁気回路104によって形成される磁界に影響を受けるため、フレミングの左手の法則により、図中上下方向の電磁力を受けるため、振動板107はボイスコイル108に流れる電流によって上下に振動し、音が発生することになる。
尚、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2002−78082号公報
しかしながら、前記スピーカーは音を発生させるために必要不可欠な構成部品として、ボイスコイル108を磁気回路104の磁気ギャップ105の中で、上下振幅させる必要がある。
そのため、その駆動力とリニアリティーを得るために、上下方向の振幅ストロークが必要となる。よって、スピーカーの薄型化を図るため磁気回路104を薄型化するには前記振幅ストロークと磁気ギャップ105の幅を小さくする必要があり、薄型化に限界を有するものであった。
前記目的を達成するために、本発明は特に磁気回路の上部プレートに窪みを設けることによって上部プレートで意図的に磁気飽和を起こさせ、漏洩磁束を発生させ、その漏洩磁束を用いて振動板を駆動させるという構造にすることで、従来のような磁気ギャップを持たないという特徴を有するものである。
本発明は前記特徴構成により、磁気回路に従来のような磁気ギャップを有しないため、磁気回路の薄型化を図ることができる電気音響変換器を提供できるものである。
(実施の形態1)
図1は、本発明における実施の形態1のスピーカーの構成を示し、図1(a)は(b)および(c)におけるA−A’面での断面図、(b)は平面図、(c)は(a)におけるX−X’面での上部プレートの断面図である。
図1(a)において、11は鉄等からなる一方を開放した箱型のヨークであり、ヨーク11の周囲は非磁性体のポリカーボネイト等のフレーム12によって囲まれている。
13はヨーク11の片面にその磁軸が垂直になるように設置された永久磁石であり、この永久磁石13の上部には鉄等からなるプレート14が載置されており、ヨーク11と永久磁石13とプレート14とから磁気回路15を構成している。プレート14には漏洩磁束を発生させるための複数の窪み部14bが設けられているとともに、複数の材厚薄肉部14aを有している。
16はプレート14から所定距離だけ離して配設された振動板であり、柔軟性に富むウレタン等からなる支持部材17によって支持されており、これにより振動板16は上下にスムーズに振幅できるように構成されている。
また、この振動板16は、絶縁性を有するポリイミド等のフィルム基材18の片面または両面に、アルミニウムのワイヤー等の導電体を巻回することにより形成した渦巻状ボイスコイル19を接着固定して構成されている。
なお、ボイスコイル19の導電体部分はプレート14における材厚薄肉部14aに対応した位置に配置されている。
ボイスコイル19の両端部分19a,19bをフレーム12上に固定することにより、音声電気信号を入力するターミナル(図示せず)として使用する。このときボイスコイル19の両端部分19a,19bのそれぞれとターミナルとの接続には金糸線等の柔軟性に富む導電体(図示せず)を用いることが好ましい。それによりボイスコイル19が接着固定された振動板16と、フレーム12上に設けられたターミナルとの間に、振動板16の上下振幅を容易に確保することができるものである。
このように構成された本実施の形態のスピーカーは以下のように動作するものである。
永久磁石13の磁気エネルギーは、磁気回路15を構成することで、永久磁石13のN極すなわち上側から、プレート14とヨーク11とを経て、永久磁石13のS極すなわち下側に向かって、磁束が通過する。
このとき、永久磁石13が磁気回路15の中央部に配置されているため、その磁束の通過経路は、図1(a)に示す断面図の永久磁石13を中心として、右側と左側に均等に分かれて磁束が通過する。
これは、永久磁石13が中央部に配置されているため、右側も左側も磁気抵抗値が均等に構成されているためである。
そして、プレート14を通過しようとする磁束は、その材厚薄肉部14aが存在するため、磁束の全てが通過しきれず磁気飽和を起こし、通過できなかった磁束が漏洩して、窪み部14bに現れることになる。
この窪み部14bに現れた磁束の上部近傍分を利用して、渦巻状ボイスコイル19に作用させることにより、振動板16を駆動させている。
この磁気回路15の構成により、永久磁石13を中心として、それぞれ右側と左側、とともに上側と下側に方向の異なる磁束が通過する。
また、図1(b)に示す渦巻状に形成されたボイスコイル19を通過する電流方向についても、振動板16の中心部から、それぞれ右側と左側で方向の異なる電流が通過するとともに上側と下側でも方向の異なる電流が通過する。
よって、この図1(a)に示す磁気回路15と振動板16の右側と左側、および上側と下側で、振動板16全体の駆動方向を一致させる構成とすることができ、図中H方向の磁界に対し、同じく図示する方向の電流は、フレミングの左手の法則により、F方向の電磁力を受けるため、振動板16は渦巻状ボイスコイル19に流れる電流によって上下に振動し、音が発生することになる。
ここで、プレート14の窪み部14bの形状は同一中心の多重方形の溝としているが、これはボイスコイル19の導電体に効率よくフレミングの左手の法則に従う磁界を発生させることのできる形状パターンであればよい。
また、プレート14の窪み部14bの数を多くする、またはピッチを大きくすることによって、窪み部14b一つあたりの漏洩磁束は減少するが、音を発する面積は増加する。したがって、必要な出力に応じて窪み部14bの形状を設計することが望ましい。
このように本実施の形態では、磁気回路15を構成しているプレート14に所望の形状に窪み部14bを設けることで、プレート14を通過する磁束を意図的に漏洩させ、その漏洩した磁束を利用して振動板16を駆動させるという特徴を有している。
従来の構成では磁気ギャップ105にのみ磁束を発生させていたので、磁束の供給範囲は限られたものであったが、本実施の形態では、漏洩磁束を使用することで広範囲に磁束を供給させることができる。
この構成により、略平面状の振動板の広い範囲にボイスコイルを形成することができ、振動板を一様に駆動できることから、振動板の分割共振を低減させることができ、歪みの少ない良好な音質を実現することができる。
さらに、従来の構成では従来形状の磁気ギャップ105があったので、縦型形状のボイスコイル108を上下振幅させるため、上下方向の振幅ストロークが必要になり、薄型化には限界があったが、本実施の形態では、従来形状の磁気ギャップ105を必要としなくなり、略平面状のボイスコイルを使用することでさらなる薄型化を図ることができるものである。
(実施の形態2)
図2は、本発明における実施の形態2を示す、図2(a)は(b)および(c)におけるB−B’面での断面図、(b)は平面図、(c)は(a)におけるY−Y’面での上部プレートの断面図である。
本実施の形態の特徴は導電体を渦巻状でなく、直線状にかつ並列に配置したことであり、これに伴い、磁気回路も磁束の方向が一方向になるように構成したことを特徴とした点である。
図2(a)において、ヨーク21は右側と左側の2体に分割されており、その間に磁軸を水平方向に着磁された永久磁石23が挟持されており、周囲は非磁性体のポリカーボネイト等のフレーム22によって囲まれている。
永久磁石23から所定距離離して、鉄等からなるプレート24が載置されている。ヨーク21と永久磁石23とプレート24とから磁気回路25を構成している。プレート24には漏洩磁束を発生させるために窪み部24bを設けることで、材厚薄肉部24aを形成する。
振動板26はプレート24から所定距離だけ離して配設され、絶縁性を有するポリイミド等のフィルム基材28の片面または両面にアルミニウムのワイヤー等の導電体29を直線状にかつ並列に接着固定して配置されており、柔軟性に富むウレタン等からなる支持部材27によって支持されている。
また、直線状にかつ並列に接着固定された導電体29はプレート24における材厚薄肉部24aに対応した位置に配置されている。
なお、導電体29の各両端部は電気的にも接続されており、その両端部29aおよび29bをフレーム22上に固定することにより音声電気信号を入力するターミナル(図示せず)として使用している。
このとき導電体29の両端部分29a,29bのそれぞれとターミナルとの接続には金糸線等の柔軟性に富む導電体(図示せず)を用いることが好ましい。それにより導電体29が接着固定された振動板26と、フレーム22上に設けられたターミナルとの間に、振動板26の上下振幅を容易に確保することができるものである。
このように構成された本実施の形態のスピーカーは以下のように動作するものである。
永久磁石23の磁気エネルギーは、磁気回路25を構成することで、永久磁石23のN極すなわち右側から、ヨーク21とプレート24とを経て、永久磁石23のS極すなわち左側に向かって磁束が通過する。
このとき、その磁束の通過経路は図2(a)に示す断面図のプレート24の右側から左側に向かって通過する。そして、プレート24を通過しようとする磁束は、その材厚薄肉部24aが存在するため、磁束の全てが通過しきれず磁気飽和を起こし、通過できなかった磁束が漏洩して、窪み部24bに現れることになる。
この窪み部24bに現れた磁束の上部近傍分を利用して、導電体29に作用させることにより、振幅板26を駆動させている。
よって、この図2(a)に示すh方向の磁界に対し、同じく図示する方向の電流は、フレミングの左手の法則により、f方向の電磁力を受けるため、振動板26は導電体29に流れる電流によって上下に振動し、音が発生することになる。
また、本実施の形態においては実施の形態1における振動板16の渦巻状コイル19の巻線工程が不要となるので生産性の向上を図ることができる。
ここで、プレート24の窪み部24bの形状は直線状の溝としているがこれは導電体29に効率よくフレミングの左手の法則に従う磁界を発生させることのできる形状パターンであればよい。
また、プレート24の窪み部24bの数を多くする、またはピッチを大きくすることによって、窪み部24b一つあたりの漏洩磁束は減少するが、漏洩磁束が発生する面積は拡大する。よって、音を発する面積は増加する。したがって、必要な出力に応じて窪み部24bの形状を設計することが望ましい。
また、本実施の形態2ではプレート24の窪み部24bすなわち材厚の差によって漏洩磁束を発生させていたが、これはプレート24に2種類の磁気抵抗の異なる材料を用いることによって発生させることも可能である。すなわち、窪み部24bにあたる部分に磁気抵抗が高くなるように炭素含有量の高い鉄を用いても同様の効果が得られるものである。
また、本実施の形態では、漏洩する磁束を利用しているので磁気回路25を構成するヨーク21には磁気抵抗の低いパーメンジュールなどを用いれば、発生する漏洩磁束による磁界は強くなり、音圧レベルはさらに向上する。
なお、本実施の形態の中で、磁気回路25は図中に1個図示したが、2個以上とすることで磁界は強くなり、音圧レベルはさらに向上する。
また、その磁気回路25は振動板26の片側に限らず振動板26を挟んで両側に配置しても同様の効果となる。
また、本実施の形態では振動板26の形状を方形としたが円形や楕円形、トラック形等のスリム形状でも同様の効果が得られる。
これらは本実施の形態1についても同様のことが言えるものである。
以上のように、本発明にかかる電気音響変換器は、薄型化が必要な映像音響機器や情報通信機器等の電子機器、さらには自動車等の装置に適用できる。
(a)本発明の実施の形態1におけるスピーカーの断面図、(b)本発明の実施の形態1におけるスピーカーの平面図、(c)本発明の実施の形態1におけるスピーカーのプレートの断面図 (a)本発明の実施の形態2におけるスピーカーの断面図、(b)本発明の実施の形態2におけるスピーカーの平面図、(c)本発明の実施の形態2におけるスピーカーのプレートの断面図 従来のスピーカーの断面図
符号の説明
11,21,103 ヨーク
12,22,106 フレーム
13,23,101 永久磁石
14,24,102 プレート
14a,24a 材厚薄肉部
14b,24b 窪み部
15,25,104 磁気回路
16,26,107 振動板
17,27 支持部材
18,28 フィルム基材
19 渦巻状ボイスコイル
19a,19b,29a,29b 両端部
29 導電体
105 磁気ギャップ
108 ボイスコイル

Claims (10)

  1. ボイスコイルが結合された略平面状の振動板と、略平面状のフレームと、前記振動板を駆動させる略平面状の磁束発生手段とからなり、前記磁束発生手段は少なくとも1つ以上の窪み部を有するプレートとマグネットとヨークとを備え、前記プレートに設けた窪み部またはその周辺で磁気飽和を発生させ、この漏洩した磁束を利用して前記振動板を駆動させることを特徴とする電気音響変換器。
  2. 前記フレームと前記振動板との結合は、柔軟性に富む材料を介して構成したことを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
  3. 前記磁束発生手段において、前記マグネットは前記プレートと前記ヨークによって挟持され、前記マグネットの着磁方向は電気音響変換器の高さ方向としたことを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
  4. 前記振動板は基材と導電体からなり、この導電体は渦巻状に配置されたことを特徴とする請求項3記載の電気音響変換器。
  5. 前記磁束発生手段において、2体以上に分割された前記ヨークに前記マグネットを挟み込み、その着磁方向は電気音響変換器の水平方向としたことを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
  6. 前記振動板は基材と導電体からなり、この導電体は並列状に配置されたことを特徴とする請求項5記載の電気音響変換器。
  7. 前記磁束発生手段におけるプレートにおいて磁気抵抗の異なる2種類の材質を用いたことを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
  8. 前記磁束発生手段におけるヨークにおいてパーメンジュールを用いたことを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
  9. 前記磁束発生手段は2つ以上設けたことを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
  10. 前記磁束発生手段は振動板の両側に設けたことを特徴とする請求項9記載の電気音響変換器。
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