以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は異常検知装置の一実施形態のブロック図であり、この異常検知装置1は距離画像センサ部2と、信号処理部10とを主要な構成として備える。本実施形態の異常検知装置1は、例えば部屋100の天井101に設置されて部屋100内に置かれた警戒対象物(例えば金庫)Xの安全を監視するために用いられる。
先ず本実施形態で用いる距離画像センサ部2の構成を説明する。図2は距離画像センサ部2のブロック図を示しており、距離画像センサ部2は警戒対象物Xが存在する対象空間Yに光を照射する発光源5を備えるとともに、対象空間Yからの光を受光し受光光量を反映した出力値の電気出力が得られる光検出素子3を備えており、対象空間Yに存在する対象物までの距離は、発光源5から対象空間Yに光が照射されてから対象物での反射光が光検出素子3に入射するまでの時間(「飛行時間」と呼ぶ)によって求められる。ただし、飛行時間は非常に短いから、対象空間Yに照射する光の強度が一定周期で周期的に変化するように変調した強度変調光を用い、強度変調光を受光したときの位相を用いて飛行時間を求めている。
すなわち、図10(a)に示すように、発光源5から空間に放射する光の強度が曲線イのように変化し、光検出素子3で受光した受光光量が曲線ロのように変化するとすれば、位相差ψは飛行時間に相当するから、位相差ψを求めることにより対象物までの距離を求めることができる。また、位相差ψは、曲線イの複数のタイミングで求めた曲線ロの受光光量を用いて計算することができる。たとえば、曲線イにおける位相が0度、90度、180度、270度の位相で求めた曲線ロの受光光量がそれぞれA0、A1、A2、A3であるとする。ただし、各位相における受光光量A0、A1、A2、A3は、瞬時値ではなく所定の時間Twで積算した受光光量を用いる。いま、受光光量A0、A1、A2、A3を求める間に、位相差ψが変化せず(つまり、対象物までの距離が変化せず)、かつ対象物の反射率にも変化がないものとする。また、発光源5から放射する光の強度を正弦波で変調し、時刻tにおいて光検出素子3で受光される光の強度がA・sin(ωt+δ)+Bで表されるものとする。ここに、Aは振幅、Bは外光成分、ωは角振動数、δは位相である。光検出素子3で受光する受光光量A0、A1、A2、A3を時間Twの積算値ではなく瞬時値とすれば、受光光量A0、A1、A2、A3は、次のように表すことができる。
A0=A・sin(δ)+B
A1=A・sin(π/2+δ)+B
A2=A・sin(π+δ)+B
A3=A・sin(3π/2+δ)+B
ここに、δ=−ψであるから、A0=−A・sin(ψ)+B、A1=A・cos(ψ)+B、A2=A・sin(ψ)+B、A3=−A・cos(ψ)+Bであり、結果的に、各受光光量A0、A1、A2、A3と位相差ψとの関係は、次式のようになる。
ψ=tan−1{(A2−A0)/(A1−A3)} …(1)
なお、上記の式(1)では受光光量A0、A1、A2、A3の瞬時値を用いているが、受光光量A0、A1、A2、A3として時間Twにおける積算値を用いても、式(1)より位相差ψを求めることができる。
ところで、対象空間Yに照射する光の強度を変調するために、発光源5としては、たとえば多数個の発光ダイオードを一平面上に配列したものや半導体レーザと発散レンズとを組み合わせたものなどを用いる。また、発光源5は、制御回路部7から出力される所定の変調周波数である変調信号によって駆動され、発光源5から放射される光は変調信号により強度が変調される。制御回路部7では、たとえば20MHzの正弦波で発光源5から放射する光の強度を変調する。なお、発光源5から放射する光の強度は正弦波で変調する以外に、三角波、鋸歯状波などで変調してもよく、要するに、一定周期で強度を変調するのであれば、どのような構成を採用してもよい。
光検出素子3は、規則的に配列された複数個の感光部3aを備える。また、感光部3aへの光の入射経路には受光光学系4が配置される。感光部3aは光検出素子3において対象空間Yからの光が受光光学系4を通して入射する部位であって、感光部3aにおいて受光光量に応じた量の電荷を生成する。また、感光部3aは、平面格子の格子点上に配置され、たとえば垂直方向(つまり、縦方向)と水平方向(つまり、横方向)とにそれぞれ等間隔で複数個ずつ並べたマトリクス状に配列される。
受光光学系4は、光検出素子3から対象空間Yを見るときの視線方向と各感光部3aとを対応付ける。すなわち、受光光学系4を通して各感光部3aに光が入射する範囲を、受光光学系4の中心を頂点とし各感光部3aごとに設定された頂角の小さい円錐状の視野内とみなすことができる。したがって、発光源5から放射され対象空間Yに存在する対象物で反射された反射光が感光部3aに入射すれば、反射光を受光した感光部3aの位置によって、受光光学系4の光軸を基準方向として対象物の存在する方向を知ることができる。
受光光学系4は一般に感光部3aを配列した平面に光軸を直交させるように配置されるから、受光光学系4の中心を原点とし、感光部3aを配列した平面の垂直方向と水平方向と受光光学系4の光軸とを3軸の方向とする直交座標系を設定すれば、対象空間Yに存在する対象物の位置を球座標で表したときの角度(いわゆる方位角と仰角)が各感光部3aに対応する。なお、受光光学系4は、感光部3aを配列した平面に対して光軸が90度以外の角度で交差するように配置することも可能である。
本実施形態では、上述のように、対象物までの距離を求めるために、発光源5から対象空間Yに照射される光の強度変化に同期する4点のタイミングで受光光量A0、A1、A2、A3を求めている。したがって、目的の受光光量A0、A1、A2、A3を得るためのタイミングの制御が必要である。また、発光源5から対象空間Yに照射される光の強度変化の1周期において感光部3aで発生する電荷の量は少ないから、複数周期に亘って電荷を集積することが望ましい。そこで、図2に示すように各感光部3aで発生した電荷をそれぞれ集積する複数個の電荷集積部3cを設けるとともに、各感光部3aにおいて利用できる電荷を生成する領域の面積を変化させることにより各感光部3aの感度をそれぞれ調節する複数個の感度制御部3bを設けている。
各感度制御部3bでは、感度制御部3bに対応する感光部3aの感度を上述した4点のうちのいずれかのタイミングで高め、感度が高められた感光部3aでは当該タイミングの受光光量A0、A1、A2、A3に対応する電荷を主として生成するから、当該受光光量A0、A1、A2、A3に対応する電荷を当該感光部3aに対応する電荷集積部3cに集積させることができる。
ところで、感度制御部3bは感光部3aにおいて利用できる電荷を生成する領域の面積(実質的な受光面積)を変化させることにより各期間の電荷の生成量を変化させるものであるから、電荷集積部3cに集積された電荷は必ずしも受光光量A0、A1、A2、A3が得られる期間に生成された電荷だけではなく、他の期間に生成された電荷も混入することになる。いま、感度制御部3bにおいて、受光光量A0、A1、A2、A3に対応した電荷を生成する期間の感度をα、それ以外の期間の感度をβとし、感光部3aは受光光量に比例する電荷を生成するものとする。この条件では、受光光量A0に対応した電荷を集積する電荷集積部3cには、αA0+β(A1+A2+A3)+βAx(Axは受光光量A0、A1、A2、A3が得られる期間以外の受光光量)に比例する電荷が蓄積され、受光光量A2に対応した電荷を集積する電荷集積部3cには、αA2+β(A0+A1+A3)+βAxに比例する電荷が蓄積される。上述したように、位相差ψを求める際には(A2−A0)を求めており、A2−A0=(α−β)(A2−A0)になり、同様にしてA1−A3=(α−β)(A1−A3)になるから、(A2−A0)/(A1−A3)は電荷の混入の有無によらず理論上は同じ値になるのであって、電荷が混入しても求める位相差ψは同じ値になる。
なお感光部3aと感度制御部3bと電荷集積部3cとを備える光検出素子3は1つの半導体装置として構成され、光検出素子3には電荷集積部3cに集積された電荷を半導体装置の外部に取り出すために電荷取出部3dが設けられる。電荷取出部3dはCCDイメージセンサにおける垂直転送部および水平転送部と同様の構成を有する。
上述のように各感光部3aでは受光光量に応じた量の電荷を生成するから、各受光光量A0、A1、A2、A3は対象物の明るさを反映している。つまり、受光光量A0、A1、A2、A3の加算値あるいは平均値は濃淡画像における濃度値に相当する。換言すれば、各感光部3aでの受光光量A0、A1、A2、A3から対象物までの距離を求めるほか、対象物の濃度値も得ることが可能になる。しかも、同じ位置の感光部3aを用いて対象物の距離と濃度値とを求めるから、同じ位置について濃度値と距離との両方の情報を得ることができる。
このようにして電荷取出部3dから取り出された電荷はA/D変換部9によりデジタル量に変換された後、DSPよりなる画像生成部8に画像信号として与えられ、画像生成部8において対象空間Y内の対象物までの距離が上述の数式を用いて受光光量A0、A1、A2、A3から算出される。すなわち、画像生成部8では各感光部3aに対応した各方向における対象物までの距離が算出され、対象空間Yの三次元情報が算出される。この三次元情報を用いると、対象空間Yの各方向に一致する画素の画素値が距離値である距離画像を生成することができる。また、画像生成部8では各感光部3aで得られた濃度値に基づいて対象空間Yの濃淡画像を生成しており、この濃淡画像は受光光量A0、A1、A2、A3の平均値を濃淡値に用いるようにすれば、発光源5からの光の影響を除去できる。すなわち、画像生成部8は濃淡画像と距離画像とを生成するものであり、本実施形態では画像生成部8と制御回路部7とを1チップのASIC6で構成している。
そして、距離画像センサ部2の画像生成部8で得られた対象空間Yの距離画像および濃淡画像は信号処理部10に入力され、信号処理部10によって対象空間Y内で異常の有無を検出する処理が行われる。
信号処理部10は例えばマイクロコンピュータからなり、画像入力手段11と警戒領域設定手段12と異常判定手段13と警報手段14とを備え、警戒領域設定手段12および異常判定手段13はマイクロコンピュータの演算機能により実現される。
画像入力手段11は画像メモリ(図示せず)を有し、距離画像センサ部2から入力される距離画像および濃淡画像の画像データを画像メモリに一旦記憶させるとともに、画像メモリに記憶された画像データを用いてTVモニタのような表示手段(図示せず)に対象空間Yの距離画像および濃淡画像を表示させる。
警戒領域設定手段12は例えばマウスやペン入力装置などの入力装置を備え、表示手段に表示された距離画像内で保安担当者が入力装置を操作して警戒領域を指定することで、以上の有無を判定する対象領域(例えば警戒対象物Xに対応する画素の集合体)が設定さる。ここに、警戒領域設定手段12を用いて警戒領域を設定する場合は、図3に示すように対象空間Yの距離画像において警戒対象物Xが載置された面(例えば床面)に含まれる3つの基準点P1,P2,P3を保安担当者に入力させるようにし、警戒領域設定手段12が3つの基準点P1,P2,P3を平面に当てはめて、この平面上の点までの距離と画素値の差が小さい画素は平面に含まれる点に対応した画素と判断するとともに、この平面と画素値の差が大きい画素を平面上に載置された警戒対象物Xと判断して、警戒対象物Xに対応する画素を警戒領域に設定しており、保安担当者は載置面となる平面上の3つの点を指定するだけで、警戒対象物Xに対応する画素を警戒領域に設定できるので、警戒領域の設定作業を軽減できる。
なお、保安担当者に載置面となる平面上の基準点P1,P2,P3を入力させる代わりに、警戒領域設定手段12が、対象空間Yの距離画像において距離値が略連続する画素の領域の内一定面積以上の領域を載置面となる平面(床面)と判断し、この床面と距離値の差が大きい画素を床面上に載置された警戒対象物Xと判断して、警戒対象物Xに対応する画素を警戒領域に設定するようにしても良く、警戒領域の設定作業を無くすことができる。
また、図4に示すように対象空間Yの距離画像において警戒対象物Xに対応する点P4を保安担当者に入力させるようにし、警戒領域設定手段12が点P4に対応する画素の8近傍の画素について画素値(距離値)の差が小さい画素を同じグループとしてグルーピングするとともに、点P4の8近傍の画素の各々について隣接する8近傍の画素と画素値を比較して画素値の差が小さい画素を同じグループにグルーピングし、さらにこの処理を続けることで点P4を中心として画素値が略連続する領域を警戒対象物Xとして抽出し、抽出された警戒対象物Xを警戒領域に設定するようにしても良く、警戒対象物Xの1点を指定するだけで、警戒対象物Xに対応する画素を抽出して、警戒領域に設定することができる。
異常判定手段13は、画像入力手段11に入力された距離画像をもとに、警戒領域設定手段12により設定された警戒領域において異常の有無を判定する処理を行い、異常を検出すると発報信号を出力する。
警報手段14は例えばブザーやランプからなり、異常判定手段13から発報信号が入力されると、ブザーを鳴動させたり、ランプを点滅させるなどして、保安担当者に対して異常の発生を報知する。なお警報手段14に外部の装置に対して報知信号を出力する通信手段を設けても良く、別の場所にある装置に対して異常の発生を報知することができる。
次に、上記の構成を有する信号処理部10の動作について以下に説明する。
距離画像センサ部2は、発光源5から対象空間Yに強度変調光を照射し、対象空間Y内の対象物で反射された反射光を光検出素子3で受光することによって、対象空間Yの距離画像および濃淡画像を生成する。
信号処理部10では、画像入力手段11が所定の時間間隔で距離画像センサ部2から距離画像および濃淡画像の画像データを取り込み、取り込んだ画像データを画像メモリに記憶させるとともに、表示手段の画面上に表示させる。
ここで、電源投入時あるいは警戒開始時など警戒領域が設定されていない場合、保安担当者は入力手段を用いて警戒領域の設定作業を行う。例えば保安担当者が、表示手段に表示された対象空間Yの距離画像を見ながら、警戒領域設定手段12の備える入力装置を用いて警戒対象物Xに対応する画素を指定すると、指定された画素を中心として画素値が略連続する領域を警戒領域として設定する。警戒領域設定手段12により警戒領域が設定されると、異常判定手段13は、警戒対象物Xが正常な状態で距離画像センサ部2により生成されて、画像入力手段11に保持された距離画像から警戒領域の画像を切り出して、切り出した画像をテンプレート画像として図示しない記憶手段に登録する。
そして、警戒動作中に所定のタイミングで画像入力手段11が距離画像センサ部2から距離画像を取り込むと、異常判定手段13が、画像入力手段11に保持された距離画像から警戒領域の画像を切り出し、切り出した画像と上記のテンプレート画像との間でテンプレートマッチングを行い、2つの画像の相関値(一致度)を求めており、相関値が所定の閾値よりも小さくなると(すなわち警戒対象物Xの距離画像がテンプレート画像から大きく変化すると)、警戒対象物Xに異常が発生したと判断して、発報信号を出力する。このとき、異常判定手段13から警報手段14に発報信号が入力され、警報手段14が警報を出力することで、保安担当者に異常の発生を報知することができる。なお、異常判定手段13では、距離画像から切り取った警戒領域の画像についてテンプレート画像とマッチング処理を行っているが、距離画像から輪郭抽出処理した輪郭画像より切り取った警戒領域の画像についてマッチング処理を行っても良い。
ここで、図5に示すように警戒対象物Xの手前側に他の物体(例えば人M)が現れた場合、警戒対象物Xの一部が人Mの陰に隠れて、警戒対象物Xの画像が変化するのであるが、手前側にある他の物体で警戒対象物Xが隠蔽されただけで、警戒対象物Xの形状が略同じであれば、発報信号を出力しないようにするのが好ましい。そこで、異常判定手段13が、画像入力手段11に保持された距離画像から警戒領域の画像を切り出し、切り出した画像と上記のテンプレート画像との間でテンプレートマッチングを行って、2つの画像の相関値を求めた結果、相関値が所定の閾値よりも低くなった場合に、異常判定手段13がすぐに発報信号を出力するのではなく、警戒対象物の形状が変化していない部分(すなわち画素値の変化していない画素)の割合が一定割合以上であれば発報信号の出力を停止し、上記の割合が一定割合未満であれば発報信号を出力するようにしても良く、警戒対象物Xの一部分が他の物体で隠蔽されただけで、警戒対象物Xの位置や形状が変化していない場合は発報信号の出力を停止させることで、誤発報を防止することができる。
また、図6(a)〜(c)に示すように警戒対象物Xの手前側を人Mが通り過ぎると、同図(b)のように警戒対象物Xが一時的に人Mの陰に隠れて、警戒対象物Xの画像が変化するため、同図(a)(c)のように人Mが通過する前後で警戒対象物Xの位置や形状に変化がない場合でも警報手段14から警報が出力されてしまうことになる。そこで、異常判定手段13がパターンマッチングを行って求めた相関値が所定の閾値よりも低くなった場合に、異常判定手段13がすぐに発報信号を出力せず、相関値が所定の閾値よりも低くなった時点から所定時間が経過するまでの間に相関値が閾値以上になれば(変化前の画像に戻れば)、発報信号を出力せず、相関値が閾値以上にならなければ(変化前の画像に戻らなければ)、所定時間が経過した時点で発報信号を出力するようにしても良く、一時的な隠蔽を異常の発生と誤検出するのを防止できる。
また、図7に示すように警戒対象物Xの位置が、図中に点線で示す位置から実線で示す位置へ僅かに移動した場合、警戒領域に対応する画素の画素値が変化するため、警戒領域の画像とテンプレート画像との相関値が低下して、警報手段14から警報が出力される可能性があるが、警戒対象物Xの形状に変化がないのであれば、このような微小な位置ずれでは警報を出力しないようにするのが好ましい。そこで、異常判定手段13が、画像入力手段11に保持された距離画像から警戒領域の画像を切り出し、切り出した画像と上記のテンプレート画像との間でテンプレートマッチングを行って、2つの画像の相関値を求めた結果、相関値が所定の閾値よりも低くなった場合に、異常判定手段13がすぐに発報信号を出力するのではなく、画像入力手段11から入力された警戒領域付近の距離画像に対し、テンプレート画像の位置を任意の方向に相対的にずらしてパターンマッチングを行い、両者の相関値が所定の基準値以上となるときの位置ずれが所定のしきい値よりも小さくなるという判定条件(1)が成立すれば、警戒対象物Xの形状は変化せずに、僅かに位置がずれただけだと判断して、発報信号の出力を停止するとともに、上記の判定条件(1)が成立しなければ、異常が発生したと判断して、発報信号を出力するようにしても良く、微小な位置ずれを異常の発生と誤検出するのを防止できる。なお、上記の判定条件(1)が成立しない場合としては、警戒対象物Xの位置ずれが大きくて、相関値が基準値以上となるときの位置ずれが所定のしきい値よりも大きくなる場合や、警戒対象物Xがさらに大きく移動して、相関値が基準値以上となる部分画像が存在しない場合などが考えられる。
また、図8に示すように警戒対象物Xの向きが図中に点線で示す向きから実線で示す向きに僅かにずれた場合、警戒領域に対応する画素の画素値が変化するため、警戒領域の画像とテンプレート画像との相関値が低下して、警報手段14から警報が出力される可能性があるが、警戒対象物Xの形状や位置に変化がないのであれば、このような微小な角度のずれでは警報を出力しないようにするのが好ましい。ここで、警戒対象物Xの全体の向きが僅かにずれたり、警戒対象物である人間の姿勢が変わると、警戒対象物Xの角部、或いは、警戒対象物が人間の場合には人間の頭部や腰部などエッジ画素を多く含む特徴ブロックの画像が僅かにずれると考えられる。そこで、異常判定部13が、画像入力手段11に保持された距離画像から警戒領域の画像を切り出し、切り出した画像と上記のテンプレート画像との間でテンプレートマッチングを行って、2つの画像の相関値を求めた結果、相関値が所定の閾値よりも低くなった場合に、異常判定手段13がすぐに発報信号を出力するのではなく、予めテンプレート画像にエッジ抽出処理を行ってエッジ画素を一定以上含むブロック(例えば3×3画素、5×5画素)を特徴ブロックB1〜B4として抽出しておき、警戒領域の画像に対して各特徴ブロックB1〜B4の位置を相対的にずらしてブロックマッチングを行い、各特徴ブロックB1〜B4毎に相関値が所定の基準値以上となるときの位置ずれが所定のしきい値よりも小さくなるという判定条件(2)が成立すれば、警戒対象物Xの形状や位置は変化せず、微小な角度のずれが発生したと判断して、発報信号の出力を停止するとともに、上記の判定条件(2)が成立しなければ、警戒対象物Xの向きが大きく変化するか形状や位置が変化したと判断して、発報信号を出力するようにしても良く、微小な角度のずれや向きの変化を異常の発生と誤検出するのを防止できる。なお、上記の判定条件(2)が成立しない場合としては、警戒対象物Xの向きが大きく変化して、相関値が基準値以上となるときの位置ずれが所定のしきい値よりも大きくなる場合や、警戒対象物Xの向きがさらに大きく変化して、相関値が基準値以上となるブロックが存在しない場合などが考えられる。
以上説明したように本実施形態では、距離画像センサ部2により撮像された警戒領域(警戒対象物X)の距離画像についてテンプレートマッチングやフレーム間差分を行って、警戒領域の距離画像が変化するか否かを判定しており、警戒領域の距離画像が変化する場合は、警戒対象物Xに何らかの変化が生じたと判断することができる。また異常判定手段13は、警戒領域の距離画像をもとに異常の有無を判定しており、距離画像は濃淡画像のように警戒領域の照明変動によって変化しないから、照明条件の変化を異常の発生と誤検出するのを防止できる。
なお警戒領域設定手段12では、対象空間Yの距離画像から警戒対象物Xに対応する画素を抽出して、抽出した画素の集合体を警戒領域として設定しているが、警戒対象物Xから一定距離の範囲を警戒領域として設定し、この警戒領域の距離画像の変化を検出することで、警戒対象物Xから一定距離の範囲に他の物体が侵入したことを検出するようにしても良い。ここで、警戒対象物Xから一定距離の範囲を警戒領域に設定する方法としては、例えば警戒領域設定手段12が警戒対象物Xに対応する画素を抽出した際に、抽出した画素から3×3画素又は5×5画素程度の小領域の平面を抽出して、この平面をその法線方向において警戒対象物Xから一定距離だけ離れた位置に平行移動させた平面M1,M2,M3を設定し、これらの平面M1,M2,M3で囲まれる空間を警戒領域X0として設定すれば良く、警戒対象物Xの検出結果を用いて自動的に警戒領域X0の設定を行うことができる。
次に本実施形態に用いる光検出素子3の具体的構造例を図11〜図14に基づいて説明する。図11に示す光検出素子3は、複数個(たとえば、100×100個)の感光部3aをマトリクス状に配列したものであって、たとえば1枚の半導体基板上に形成される。感光部3aのうち垂直方向の各列では一体に連続する半導体層21を共用するとともに半導体層21を垂直方向への電荷(本実施形態では、電子を用いる)の転送経路として用い、さらに各列の半導体層21の一端から電荷を受け取って水平方向に電荷を転送するCCDである水平転送部Thを半導体基板に設ける構成を採用することができる。
すなわち、図12に示すように、半導体層21が感光部3aと電荷の転送経路とに兼用された構造であって、フレーム・トランスファ(FT)方式のCCDイメージセンサと類似した構造になる。また、FT方式のCCDイメージセンサと同様に、感光部3aを配列した撮像領域Daに隣接して遮光された蓄積領域Dbを設けてあり、蓄積領域Dbに蓄積した電荷を水平転送部Thに転送する。撮像領域Daから蓄積領域Dbへの電荷の転送は垂直ブランキング期間に一気に行い、水平転送部Thでは1水平期間に1水平ライン分の電荷を転送する。図2に示した電荷取出部3dは、半導体層21における垂直方向への電荷の転送経路としての機能とともに水平転送部Thを含む機能を表している。ただし、電荷集積部3cは蓄積領域Dbを意味するのではなく、撮像領域Daにおいて電荷を集積する機能を表している。言い換えると、蓄積領域Dbは電荷取出部3dに含まれる。
半導体層21は不純物が添加してあり、半導体層21の主表面は酸化膜からなる絶縁膜22により覆われ、半導体層21に絶縁膜22を介して複数個の制御電極23を配置している。この光検出素子3はMIS素子として知られた構造であるが、1個の光検出素子3として機能する領域に複数個(図示例では5個)の制御電極23を備える点が通常のMIS素子とは異なる。絶縁膜22および制御電極23は発光源5から対象空間に照射される光と同波長の光が透過するように材料が選択され、絶縁膜22を通して半導体層21に光が入射すると、半導体層21の内部に電荷が生成される。図示例の半導体層21の導電形はn形であり、光の照射により生成される電荷として電子eを利用する。図11は1個の感光部3aに対応する領域のみを示したものであり、半導体基板(図示せず)には上述したように図11の構造を持つ領域が複数個配列されるとともに電荷取出部3dとなる構造が設けられる。電荷取出部3dとして設ける垂直転送部は、図11の左右方向に電荷を転送することを想定しているが、図11の面に直交する方向に電荷を転送する構成を採用することも可能である。また、電荷を図の左右方向に転送する場合には、制御電極23の左右方向の幅寸法を1μm程度に設定するのが望ましい。
この構造の光検出素子3では、制御電極23に正の制御電圧+Vを印加すると、半導体層21には制御電極23に対応する部位に電子eを集積するポテンシャル井戸(空乏層)24が形成される。つまり、半導体層21にポテンシャル井戸24を形成するように制御電極23に制御電圧を印加した状態で光が半導体層21に照射されると、ポテンシャル井戸24の近傍で生成された電子eの一部はポテンシャル井戸24に捕獲されてポテンシャル井戸24に集積され、残りの電子eは半導体層21の深部での再結合により消滅する。また、ポテンシャル井戸24から離れた場所で生成された電子eも半導体層21の深部での再結合により消滅する。
ポテンシャル井戸24は制御電圧を印加した制御電極23に対応する部位に形成されるから、制御電圧を印加する制御電極23の個数を変化させることによって、半導体層21の主表面に沿ったポテンシャル井戸24の面積(言い換えると、受光面において利用できる電荷を生成する領域の面積)を変化させることができる。つまり、制御電圧を印加する制御電極23の個数を変化させることは感度制御部3bにおける感度の調節を意味する。たとえば、図11(a)のように3個の制御電極23に制御電圧+Vを印加する場合と、同図(b)のように1個の制御電極23に制御電圧+Vを印加する場合とでは、ポテンシャル井戸24が受光面に占める面積が変化するのであって、同図(a)の状態のほうがポテンシャル井戸24の面積が大きいから、同図(b)の状態に比較して同光量に対して利用できる電荷の割合が多くなり、実質的に感光部3aの感度を高めたことになる。このように、感光部3aおよび感度制御部3bは半導体層21と絶縁膜22と制御電極23とにより構成されていると言える。ポテンシャル井戸24は光照射により生成された電荷を保持するから電荷集積部3cとして機能する。
ポテンシャル井戸24から電荷を取り出すには、FT方式のCCDと同様の技術を採用すればよく、ポテンシャル井戸24に電子eが集積された後に、電荷の集積時とは異なる印加パターンの制御電圧を制御電極23に印加することによってポテンシャル井戸24に集積された電子eを一方向(たとえば、図の右方向)に転送することができる。つまり、半導体層21をCCDの垂直転送部と同様に電荷の転送経路に用いることができる。さらに、電荷は図12に示した水平転送部Thを転送され、半導体基板に設けた図示しない電極から光検出素子3の外部に取り出される。要するに、制御電極23への制御電圧の印加パターンを制御することにより、各感光部3aごとの感度を制御するとともに、光照射により生成された電荷を集積し、さらに集積された電荷を転送することができる。
本実施形態における感度制御部3bは、利用できる電荷を生成する面積を大小2段階に切り換えることにより感光部3aの感度を高低2段階に切り換えるのであって、受光光量A0、A1、A2、A3のいずれかに対応する電荷を感光部3aで生成しようとする期間にのみ高感度とし(電荷を生成する面積を大きくし)、他の期間には低感度にする。高感度にする期間と低感度にする期間とは、発光源5を駆動する変調信号に同期させて設定される。また、変調信号の複数周期に亘ってポテンシャル井戸24に電荷を集積した後に電荷取出部3dを通して光検出素子3の外部に電荷を取り出すようにしている。変調信号の複数周期に亘って電荷を集積しているのは、変調信号の1周期内では感光部3aが利用可能な電荷を生成する期間が短く(たとえば、変調信号の周波数を20MHzとすれば50nsの4分の1以下)、生成される電荷が少ないからである。つまり、変調信号の複数周期分の電荷を集積することにより、信号電荷(発光源5から照射された光に対応する電荷)と雑音電荷(外光成分および光検出素子3の内部で発生するショットノイズに対応する電荷)との比を大きくとることができ、大きなSN比が得られる。
ところで、位相差ψを求めるのに必要な4種類の受光光量A0、A1、A2、A3に対応する電荷を1個の感光部3aで生成するとすれば、視線方向に関する分解能は高くなるが、各受光光量A0、A1、A2、A3に対応する電荷を求める時間差が大きくなるという問題が生じる。一方、各受光光量A0、A1、A2、A3に対応する電荷を4個の感光部3aでそれぞれ生成するとすれば、各受光光量A0、A1、A2、A3に対応する電荷を求める時間差は小さくなるが、4種類の電荷を求める視線方向にずれが生じ視線方向に関する分解能は低下する。そこで、本実施形態では、2個の感光部3aを用いることにより、変調信号の1周期内で受光光量A0、A1、A2、A3に対応する電荷を2種類ずつ生成する構成を採用している。つまり、2個の感光部3aを組にして用い、組になる2個の感光部3aに同じ視線方向からの光が入射するようにしている。
上述の構成を採用することにより、視線方向の分解能を比較的高くし、かつ受光光量A0、A1、A2、A3に対応する電荷を生成する時間差を少なくすることができる。つまり、受光光量A0、A1、A2、A3に対応する電荷を生成する時間差を少なくしていることにより、対象空間の中で移動している対象物についても距離の検出精度を比較的高く保つことができる。なお、本実施形態の構成では、1個の感光部3aで4種類の受光光量A0、A1、A2、A3に対応する電荷を生成する場合よりも視線方向の分解能が低下するが、視線方向の分解能については感光部3aの小型化や受光光学系4の設計によって向上させることが可能である。
この光検出素子3の動作を以下に具体的に説明する。図11に示した例では、1個の感光部3aについて5個の制御電極23を設けた例を示しているが、両側の2個の制御電極23は、感光部3aで電荷(電子e)を生成している間に隣接する感光部3aに電荷が流出するのを防止するための障壁を形成するものであって、2個の感光部3aを組にして用いる場合には隣接する感光部3aのポテンシャル井戸24の間には、いずれかの感光部3aで障壁が形成されるから、各感光部3aには3個ずつの制御電極23を設けるだけで足りることになる。この構成によって、感光部3aの1個当たりの占有面積が小さくなり、2個の感光部3aを組にして用いながらも視線方向の分解能の低下を抑制することが可能になる。
ここでは、図13に示すように、組にした2個の感光部3aにそれぞれ設けた3個ずつの制御電極23を区別するために各制御電極23に(1)〜(6)の数字を付す。(1)〜(6)の数字を付与した制御電極23を有する2個の感光部3aは、1つの視線方向に対応しておりイメージセンサにおける画素を構成する。なお、1画素ずつの感光部3aに対応付けて、それぞれオーバフロードレインを設けるのが望ましい。
図13(a)(b)はそれぞれ制御電極23に異なる印加パターンで制御電圧+Vを印加した状態(半導体基板に設けた図示しない基板電極と制御電極23との間に制御電圧+Vを印加した状態)を示しており、ポテンシャル井戸24の形状からわかるように、同図(a)では1画素となる2個の感光部3aのうち制御電極(1)〜(3)に正の制御電圧+Vを印加するとともに、残りの制御電極(4)〜(6)のうちの中央の制御電極(5)に正の制御電圧+Vを印加している。また、同(b)では制御電極(1)〜(3)のうちの中央の制御電極(2)に正の制御電圧+Vを印加するとともに、残りの制御電極(4)〜(6)に正の制御電圧+Vを印加している。つまり、1画素を構成する2個の感光部3aに印加する制御電圧+Vの印加パターンを交互に入れ換えている。2個の感光部3aに印加する制御電圧+Vの印加パターンを入れ換えるタイミングは、変調信号における逆位相の(位相が180度異なる)タイミングになる。なお、各感光部3aに設けた3個の制御電極23に同時に制御電圧+Vを印加している期間以外は、各感光部3aに設けた中央部の1個の制御電極23(つまり、制御電極(2)(5))にのみ制御電圧+Vを印加し、他の制御電極23は0Vに保つ状態とする。
たとえば、1画素を構成する2個の感光部3aにおいて受光光量A0、A2に対応する電荷を交互に生成する場合は、図13に示すように、一方の感光部3aで受光光量A0に対応する電荷を生成するために3個の制御電極(1)〜(3)に制御電圧+Vを印加している間に、他方の感光部3aでは受光光量A2に対応する電荷を保持するために1個の制御電極(5)にのみ制御電圧+Vを印加する。同様にして、一方の感光部3aで受光光量A2に対応する電荷を生成するために3個の制御電極(4)〜(6)に制御電圧+Vを印加している間には、他方の感光部3aでは受光光量A0に対応する電荷を保持するために1個の制御電極(2)にのみ制御電圧+Vを印加する。また、受光光量A0、A2に対応する電荷を生成する期間以外では制御電極(2)(5)にのみ制御電圧+Vを印加する。図10(b)(c)に受光光量A0、A2に対応する電荷を蓄積する際の各制御電極(1)〜(6)に制御電圧+Vの印加のタイミングを示す。図において斜線部が制御電圧+Vを印加している状態を示し、空白部が制御電極(1)〜(6)に電圧を印加していない状態を示している。
1画素を構成する2個の感光部3aにおいて受光光量A1、A3に対応する電荷を生成する場合も同様であって、受光光量A0、A2に対応する電荷を生成する場合とは制御電極23に制御電圧+Vを印加するタイミングが、変調信号の位相における90度異なる点が相違するだけである。また、受光光量A0、A1に対応する電荷を生成する期間と、受光光量A1、A3に対応する電荷を生成する期間との間で撮像領域から蓄積領域に電荷を転送する。つまり、受光光量A0に対応する電荷が制御電極(1)〜(3)に対応するポテンシャル井戸24に蓄積されるとともに、受光光量A2に対応する電荷が制御電極(4)〜(6)に対応するポテンシャル井戸24に蓄積されると、これらの受光光量A0、A2に対応する電荷を外部に取り出す。次に、受光光量A1に対応する電荷が制御電極(1)〜(3)に対応するポテンシャル井戸24に蓄積されるとともに、受光光量A3に対応する電荷が制御電極(4)〜(6)に対応するポテンシャル井戸24に蓄積されると、これらの受光光量A1、A3に対応する電荷を外部に取り出す。このような動作を繰り返すことによって、4区間の受光光量A0、A1、A2、A3に対応する電荷を2回の読出動作で光検出素子3の外部に取り出すことができ、取り出した電荷を用いて位相差ψを求めることが可能になる。なお、たとえば30フレーム毎秒の画像を得るためには、受光光量A0、A1に対応する電荷を生成する期間と受光光量A1、A3に対応する電荷を生成する期間とは60分の1秒よりも短い期間とする。
上述の例では3個の制御電極23((1)〜(3)または(4)〜(6))に同時に印加する制御電圧と、1個の制御電極23((2)または(5))にのみ印加する制御電圧とを等しくしているから、ポテンシャル井戸24の面積は変化するもののポテンシャル井戸24の深さは等しくなっている。この場合、制御電圧を印加していない制御電極23((1)(3)または(4)(6))において生成された電荷は、同程度の確率でポテンシャル井戸24に流れ込む。つまり、感光部3aを構成する3個の制御電極23のうちの1個にのみ制御電圧+Vを印加することによって電荷集積部3cとして機能している領域と、3個の制御電極23のすべてに制御電圧+Vを印加している領域との両方に同程度の量の電荷が流れ込む。つまり、電荷を保持しているポテンシャル井戸24に流れ込む雑音成分が比較的多いものであるから、ダイナミックレンジを低下させる原因になる。
そこで、図14のように、組になる2個の感光部3aに設けた各3個の制御電極(1)〜(3)または(4)〜(6)に同時に印加する制御電圧が、1個の制御電極(2)または(5)にのみ印加する制御電圧よりも低くなるように設定し、小面積のポテンシャル井戸24の深さを大面積のポテンシャル井戸24の深さよりも小さく設定するのが望ましい。このように、主として電荷(電子e)を生成しているポテンシャル井戸24を、主として電荷の保持を行っているポテンシャル井戸24よりも深くすることにより、制御電圧を印加していない制御電極(1)(3)または(4)(6)に対応する部位で生じた電荷は、深いほうのポテンシャル井戸24に流れ込みやすくなる。つまり、制御電極23に一定の制御電圧+Vを印加する場合に比較すると、電荷を保持するポテンシャル井戸24に流れ込む雑音成分を低減することができる。
なお、上述した距離画像センサの構成例では、受光光量A0、A1、A2、A3に対応する4期間を変調信号の1周期内で位相の間隔が90度ずつになるように設定しているが、変調信号に対する位相が既知であれば4期間は90度以外の適宜の間隔で設定することが可能である。ただし、間隔が異なれば位相差ψを求める算式は異なる。また、4期間の受光光量に対応した電荷を取り出す周期は、対象物の反射率および外光成分が変化せず、かつ位相差ψも変化しない時間内であれば、変調信号の1周期内で4個の信号電荷を取り出すことも必須ではない。さらに、太陽光や照明光のような外乱光の影響があるときには、発光源5から放射される光の波長のみを透過させる光学フィルタを感光部3aの前に配置するのが望ましい。図13、図14を用いて説明した構成例では、感光部3aごとに3個ずつの制御電極23を対応付けているが、制御電極23を4個以上設けるようにしてもよい。また、上述の例ではFT方式のCCDイメージセンサと同様の構成を採用しているが、インターライン・トランスファ(IT)方式、フレーム・インターライン・トランスファ(FIT)方式と同様の構成を採用することも可能である。