JP2006062831A - 物品処理装置への被処理物品給排方法 - Google Patents

物品処理装置への被処理物品給排方法 Download PDF

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晃 菊嶌
Masaru Kawahara
勝 河原
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Abstract

【課題】 物品受入れ部位を移動しながら全ての部位へ順次隙間無く物品を供給すると、最後に、物品受入れ部位全体を一気に初期位置へ戻す必要があり、このとき被処理物品の位置偏倚が発生する。更に物品受入れ部位の流れが間欠運動となり動きに円滑さを欠き、タクトタイムに大きな損失が発生する。
【解決手段】 1方向へ移動する物品受入れ部位へ複数ピッチ置きに被処理物品を供給し、次いで物品受入れ部位が反対方向へ移動してきたときに残りの部位へ順次物品を供給する。全ての部位へ物品が供給されたとき最初の部位が当初の位置へ近接した部所に位置する。同様の手順で処理後の物品を排出する。これにより物品受入れ部位の流れを円滑にし、位置偏倚を防止しかつタクトタイムの短縮化及び作業の効率化を図る。
【選択図】 図1

Description

発明の詳細な説明
発明の属する技術分野
本発明は、物品処理装置に関し、特に、処理されるべき板状の物品即ち被処理物品を例えば加圧又は真空処理する際に有用に使用される物品処理装置へ対して供給しかつ処理後の物品を当該装置から排出する被処理物品給排方法に関する。より詳細には、本発明は、例えば、液晶デイスプレー装置を構成する偏光板やガラス基板、更には配向膜や、カラーフィルター等の部材を組付けかつこれらを加圧脱泡処理する際に極めて有効に機能する被処理物品給排方法に関する。より具体的には、本発明は、所望の物品、例えば偏光板をガラス基板に貼り付けた状態の被処理物を、加圧脱泡処理する偏光板加圧脱泡処理装置へ対して供給し、所望の処理を施した後、その処理済の物品を次工程へ送り出すため当該処理装置から排出するための新規な被処理物品給排方法を提供するものである。しかし本件発明は、上記加圧脱泡処理装置以外の種々の加圧処理装置又は真空処理装置においても有効に使用することが出来る被処理物品給排方法である。本発明の装置は、被処理物品を枚葉式にて給排する方法について特に述べるが、複数枚の被処理物品を、所定間隔をおいて積層し一度に複数枚の被処理物品を給排するカセット式又はバッチ式の被処理物品給排方式においても有効に使用出来るものである。
従来の技術
これまで、例えば偏光板をガラス基板に貼り付けた状態の被加工物即ち被処理物品を加圧脱泡処理する際に使用される加圧脱泡処理装置は、一方の端部から被処理物品を装置内へ導入し、内部で処理した後、他方の端部から送り出すような中空のトンネル形状を有していた。更に当該装置はその両端部が密封扉で封止されており、被処理物品を装置へ出し入れする時だけそれらの密封扉を開閉する構成となっている。公知のように一般に、このような加圧脱泡処理は、例えば、内部圧力が約0.5MPa(5Kg/cm2)程度で、温度が約50℃程度の恒温状態に保持された高温高圧の密封容器内に、当該被処理物品を15〜30分間滞留させることにより行なわれている。しかして、公知の加圧脱泡処理装置においては、当該装置内における作業効率の向上を図るため、通常、偏光板をガラス基板に貼り付けて構成した被処理物品を、当該装置の外部で予め例えば20〜50枚程所定の間隙をおいてカセット状に積載し、装置の入口からカセット単位でトンネル装置内へ供給し、トンネル内へ所定時間だけ滞留させて、例えば50℃、0.5MPa圧力で加圧脱泡処理した後、当該装置の出口から処理済みの物品を取出していた。
このような作業様式においては、被処理物品を装置へ出し入れするため当該装置の入口及び出口の扉を開放するたびに、装置内の圧力と温度が大気中に放出され、当該装置内の温度及び圧力が容易に室温(常温)及び大気圧(常圧)まで下がる。このため、当該装置内において被処理物品に加圧脱泡処理を施そうとするときには、装置内の圧力と温度とを常温及び常圧から所望の50℃、0.5MPaまで上げ直さねばならない。そして、カセット状に積載した被処理物品の加圧脱泡処理が終了してそれらを装置から取出すため装置の出口扉を開放し、次のカセットを装置内へ導入するため入口扉を開放すると、再び装置内の温度と圧力とが常温常圧まで下がる。そのため、加圧脱泡処理を施こそうとする度ごとに、装置内の圧力と温度とを常温常圧状態から所望の50℃、0.5MPaまで上げ直さねばならない。このため、これまでの装置では圧力及び熱エネルギー損失が非常に多いという課題があった。
更に、最近では、一度に大量の被加工物を加圧脱泡処理するために、カセット状に積載する仕掛り品の数量を更に多くしそれらを一度に供給出来るように、トンネル装置の容積を一層大きくしているものもある。しかしそのような装置では、扉の開放時間が長くなり、従って装置内からのエネルギー損失も一層大きくなり、そのため、容積が大きくなったトンネル装置内の温度及び圧力を所定値まで上昇させるための時間が長くなり、結果的に加圧脱泡処理に要する時間が全体として長くなるという課題があった。
そこでこのような問題を解消するため、同一出願人は、先に、図3に示すような物品処理装置を開示した。この物品処理装置1は、装置1の中間部にあり密封構造を有している物品処理室2と、当該処理室2の入口側に設置してある第1室3と、当該処理室2の出口側に設置してある第2室4と、第1室3へ被処理加工物5を導入するための導入手段6と、第2室4から所定の処理が施された被加工物を搬出する排出手段7と、を有しており、これらの第1室3及び第2室4は、それぞれ第1密封扉8及び第2密封扉9により処理室2から開閉自在に封止遮断されており、導入手段6に近接した第1室3の入口端部と搬出手段7に近接した第2室4の出口端部は、それぞれ導入扉10と排出扉11により大気中から第1室3及び第2室4を封止遮断しており、処理室2と第1室3、更には処理室2と第2室4は、導管12、13にて互に連通されており、これらの導管12、13にはそれぞれ調圧弁14、15が設けてあり、更に、第1室3及び第2室4には排気管16、17が設けてあり、これらの排気管16、17には調圧弁18、19が設けてある。
この装置を具体化した一例を示す図4の物品処理装置1においては、物品処理室2内に、枚葉方式にて供給される被処理物品5を順次受入れ、これを処理室2内において垂直上方へ収容案内する物品収容タワー20を有している。このタワー20は所定枚数(図示の例では10枚)の被処理物品5を受入れ出来る物品受入れ部位21を有している。この装置では、初めにタワー20の第1の物品受入れ部位21をパスライン上に配置し、第1の被処理物品5を内部に収容しておりかつ予め調圧した第1室3の第1密封扉8を開放して、当該被処理物品5をタワー20の第1物品受入れ部位へ案内する。その後、第1密封扉8を閉じて、排気管16内の調圧弁18を開放して第1室3を常圧に戻し、次いで導入扉10を開放して次の被処理物品を第1室3へ導入する。この間に、タワー20を1段だけ上昇し、第2物品受入れ部位をパスライン上に配置する。こうして順次被処理物品をタワーの物品受入れ部位へ収容し、図5に示すように、所定(図示の例では10枚)の物品が全てタワーへ搭載される。当業者に明らかなように、この物品収容作業の間においても、物品へ対して、処理室内にて所定の処理が施されるのである。所定の処理が施された物品はその後、処理室から順次排出される。この排出作業は、処理室内へ初めに導入した物品から順次第2室4へ押出され、その後、必要に応じて後続の処理装置へ案内され又は製品として包装されるため包装部所へ案内される。
上に述べたこれまでの被処理物品の供給方法及び排出方法について図6を参照しながら更に詳細に述べる。尚、以下の説明においては、図3〜図5に記載する第1室3及び第2室4の開閉に関係する密封扉8、9、導入扉10、排出扉11、調圧弁14、15、18、19、等の作動については省略し、物品収容タワーの動きを主体に述べる。図4に関して述べたように、タワーの第1物品受入れ部位をパスラインへ整合して初期位置を得る。この初期位置において第1室からの第1の物品を第1物品受入れ部位へ供給する(図6a)。次いでタワーを1ピッチだけ上昇して第2物品受入れ部位をパスラインへ配置し、ここへ第二の物品を供給する(図6b)。同様の手順を順次繰り返し(途中の図示を省略)、更に案内タワーを1ピッチづつ上昇し(図6c)、所定の各物品受入れ部位へ物品を供給し、最後にタワーを最も高い位置まで持上げ、最下部の物品受入れ部位をパスライン上に配置する。ここへ最後(図示の例では10枚目)の被処理物品を供給する(図5及び図6d)。
このときには、最上部の物品受入れ部位にある被処理物品の処理は完了状態になっているか、若しくは必要な時間だけこの状態でタワーを処理室内へ放置して所望の処理を施すことが出来る。その後、今や処理完了状態となっている第1の物品をタワーの最上部の物品受入れ部位から取出して処理室から次工程へ送出す必要がある。そこで、物品受入れ部位の全てに物品が収容されているタワー20を図6aに示す初期位置まで降下する(図6e)。次いで、当該処理室内での処理作業が終了した物品をタワーの第1物品受入れ部位から公知の手段で第2室内へ送出すと共に、新たな被処理物品を当該第1物品受入れ部位へ供給する(図6f)。第2室へ排出された処理済の物品は次工程へ送出される。タワーの第1物品受入れ部位での物品の入換えが完了したなら、当該タワーを1ピッチだけ上昇し、第2の物品受入れ部位がパスラインに整合するようにタワーを1ピッチだけ上昇して同様に処理が終了した第2の物品受入れ部位にある物品をタワーから排出すると同時に新たな被処理物品を第2物品受入れ部位へ供給する(図6g)。以下、順次同様の手順を繰り返して、未処理物品の処理作業を継続していた。
特願2003―160583
然しながら、このような方法による物品給排方式においては、特に、図5及び図6dに示すようなタワーの物品受入れ部位の全てに被処理物品を装填した状態から、タクトタイムの関係上、当該タワーを初期位置(図4及び図6e)まで一気に降下すると、この降下の際に、タワーの物品受入れ部位に配置されている被処理物品が物品受入れ部位から浮き上がり、当初の正規位置から偏倚したり、下方の被処理物体が上方の被処理物体又は物品受入れ手段に衝突し、センサー作動により装置の作動が停止することがある。また、被処理物品がガラスなどの物品である場合には、それらのガラスが破損するという課題があった。その上、このような破損が発生した場合には処理装置内の圧力及び/又は温度を常圧常温まで下げて処理室内の清掃を行なわねばならず、その後、作業を継続するためには処理装置内の圧力及び/又は温度を所定の作業条件まで再度上げ直さねばならず、本来の作業を大幅に遅らせる原因となっており、作業性を著しく阻害するという課題もあった。このような課題を解決するために、タワーを降下させる際に物品が物品受入れ部位から浮き上がらないように、被処理物品を物品受入れ部位へ固定することも可能であろうが、そのような固定を行なうためには物品着脱にかなりの時間がかかり、本来の処理作業の効率を下げることになる。また、浮き上がりが発生しない程度の低速でタワーを降下させることも可能であろう。しかしそのような方法では作業効率に著しい悪影響が発生する。更に例えば、処理室が圧力室の場合には、下降速度を遅くしても長い距離移動すると、物品が高密度流体により位置偏倚をもたらす危険がある。このことは物品を水平方向に長い距離移動する場合にも物品の側面にかかる力により同様の危険がある。もし物品を固定手段によって物品受入れ手段へ固定した場合にはガラス等の脆性の弱い物品の場合には物品が破損する危険もある。
これらの課題は、単に、物品が枚葉式にて給排される場合に限定されるものではなく、バッチ方式にて給排される場合にも同様に発生する課題である。更にまた、今日ではかなり大型のデイスプレー装置が要求されるようになっており、ガラス等の被処理物品の寸法もかなり大型化している。それに伴って、被処理物品の価格がかなり高価になっており、物品の破損が大きな経済的な損失を伴うものである。従って、物品の損傷を出来るだけ少なくすることが要求されている。
また、これまでの被処理物品給排方法では、供給時から排出時に至る際に常にタワーが大きな動きを要求されるためタワー移動装置自体が大きな衝撃力に耐えるような頑丈な構造を持たねばならず、昇降装置、それに付属する駆動装置、緩衝装置その他の装置がかなり高価なものとなるという課題があった。
本発明は上記諸課題を解決するため、物品処理装置内において直線方向に往復動可能な物品受入れ手段であって、被処理物品を受入れる複数の物品受入れ部位を有している物品受入れ手段を用意し、物品受入れ手段を初期位置へ位置付け、初期位置へ位置付けられた物品受入れ手段の物品受入れ部位へ最初の被処理物品を供給し、物品受入れ手段を1方向に複数ピッチづつ移動し、被処理物品が供給されている物品受入れ部位に隣接する物品受入れ部位を飛び越した次の物品受入れ部位へ被処理物品を供給し、順次この作業を繰り返しながら初期位置へ位置付けられた物品受入れ部位から1つ置きの物品受入れ部位へ順次被処理物品を供給し、物品受入れ手段を1方向又は反対方向に1ピッチだけ移動することにより物品受入れ部位の調整を行ない、物品受入れ手段を反対の方向に複数ピッチづつ移動しながら、初期位置から離れた物品受入れ部位から順次残りの物品受入れ部位へ被処理物品を供給しながら物品受入れ手段を初期位置まで戻し、被処理物品へ所定の処理を施した後、物品受入れ手段を1方向に次いで反対方向に移動しながら、供給手順と同様の手順で、処理済物品を物品受入れ手段から排出すること、の諸工程からなる物品処理装置への被処理物品給排方法を開示する。
(発明の実施の形態)
以下、本発明の物品処理装置へ対する被処理物品の給排方法について述べる。本発明の被処理物品給排方法は種々の加圧処理装置、加熱処理装置、更には偏光板加圧脱泡装置その他の物品処理装置へ対する被処理物品給排方法として有効に使用出来る。そのため、物品処理装置自体については、特に特定することはしない。以下において述べる物品処理装置は、図3において述べたと概ね同様な構造を有しているものと理解されたい。従って被処理物品は、パスライン上を移動する導入手段によって第1室へ導入され、その後、順次物品処理室へ供給され、所定の処理の後で、パスライン上を移動する排出手段によって第2室へ排出され、その後、排出扉を介して、次工程へ搬送されるものとする。よって、以下の記載においては、図6において示したと同様に、導入扉を介して第1室へ導入された被処理物品が第1密封扉を介して物品処理室内の物品受入れ部位へ供給され、所定の処理後に当該物品受入れ部位から第2密封扉を介して第2室へ排出されるまでの被処理物品給排手順について述べる。
図1において、物品受入れ手段としての物品収容タワー30は、10個の物品受入れ部位32(1)〜32(10)を有しており、このタワー30は図4に示すと同様な物品処理室内に収容されているものとする。勿論、タワーの物品受入れ部位はこれよりも多くても良いし、少なくても良いことは当業者に明らかなところである。本発明における被処理物品給排方法においては、初めに、パスライン34上にタワー30の最上部即ち第1の物品受入れ部位32(1)を位置付ける。この状態で、第1室(図3参照)内に位置している被処理物品36を第1密封扉(図3参照)を開放して、図1Aに示すように、タワーの第1の物品受入れ部位32(1)へ公知の手段で供給する。勿論、被処理物品の最初の供給は、タワーの最上部の第1物品受入れ部位であることに限定されるものではなく、どの部位へ最初に供給するかは自由に選択出来、望みの部位をパスライン34上に配置すればよい。図示の例では初めにタワーの第1の物品受入れ部位32(1)へ被処理物品を供給しているが、タワーを図1Dに示すような上方位置にセットしておき、最初に最下部の物品受入れ部位32(10)へ物品を供給することも勿論可能であり、その場合には、実施例のようにタワーを順次上方移動するのではなく、順次下方移動することは当然である。また、最初に中間位置の物品受入れ部位へ供給することも可能であり、さらにその場合、その後、タワーを上方へ移動することも可能であり、また下方へ移動するも可能である。
次いで、公知の上下機構により、タワー30の物品受入れ部位を1つ置きに充填するようにタワーを2ピッチ分だけ垂直上方へ移動させ、タワー30の第3の物品受入れ部位32(3)がパスライン34上に整合するようにタワー30の位置を調整する。こうしてこの第3の物品受入れ部位32(3)へ対して被処理物品36を供給する(図1B)。従って、第2の物品受入れ部位32(2)には物品が未だ供給されていない点において図6bに示す従来の供給方法と異なっている。
次いで、同様の手法に従って、タワー30の第5物品受入れ部位32(5)へ、次いで第7物品受入れ部位32(7)へと、それぞれ1つの部位を残した部位へ被処理物品36を供給し、更に第9物品受入れ部位32(9)へ、被処理物品36を供給する(図1C)。その後、物品受入れ部位の調整を行なう。この調整は、タワー30を1ピッチ分だけ上方へ移動して、最下部の物品受入れ部位である第10物品受入れ部位32(10)へ対して被処理物品36を供給する(図1D)ことにより行なう。受入れ部位の数が図示の例の様に偶数の場合には、上述のような方法で行なうが、もし受入れ部位の数が奇数の場合には、最後の受入れ部位には既に物品が供給されているので、その場合には、タワー30を1ピッチ分だけ下方に移動して、下から2段目の受入れ部位に被処理物品を供給することにより行なう。処理済の物品を排出する場合も同様である。
その後、今度は、タワー30を2ピッチ分だけ下方へ移動して、空所となっていた第8物品受入れ部位32(8)をパスライン34上に配置する。この状態で被処理物品36を第8物品受入れ部位32(8)へ供給する(図1E)。以下、同様の手順で、順次、タワー30を2ピッチ分づつ下方へ移動して、それぞれ第6物品受入れ部位32(6)へ、第4物品受入れ部位32(4)へ、次いで第2物品受入れ部位32(2)へ対して被処理物品36を供給する(図1F)。これによりタワー25の全ての物品受入れ部位32(1)〜32(10)が被処理物品36で満たされる。このとき、被処理物品36は受入れ部位32へは、それぞれ1―3―5―7―9―10―8―6―4―2の順序で物品受入れ部位を埋めている。このことはこの順序で被処理物品36が処理室内にて処理反応を受けていることを意味する。最後に、タワー30を1ピッチ分だけ下方へ移動しタワーを初期位置(図1G)へ復帰させる。もし、上記の順序で物品を供給している間に所望の処理が十分施されるなら、その後、直ちに、排出工程に入る。しかし、更に所定の時間だけ処理作業を施したい場合には、更に処理室内において所用の時間だけ処理を施す。その後は、品質の安定性の上から、上記順序で、処理済の物品を処理室から排出することが望まれることになる。勿論、処理室内での処理は、図1Gに示す初期位置において行なうことも可能であるが、必要なら、図1Fに示す初期位置の前段階の状態において行なうことも可能である。
被処理物品36に対する所望の処理が完了したなら、順次処理済の物品をタワー30から排出する。そこで、次に、排出手順について述べる。最終の被処理物品36を第2物品受入れ部位32(2)へ供給した後(図1F)、タワー30を1ピッチ分だけ下方へ移動して、第1物品受入れ部位32(1)をパスライン34上へ整合する(図1G)。この状態において、初めに第2密封扉(図3の符号9参照)を開放して第1物品受入れ部位32(1)から処理済の物品36を第2室(図3の符号4参照)内へ排出する(図1H)。次いで、該第2室内から排出扉(図3の符号11参照)を介して次工程へ搬出される。
その後、タワー30を2ピッチ分だけ上方へ移動して、第3物品受入れ部位32(3)をパスライン34へ整合して当該部位から処理済の物品を第2室内へ排出する(図1I)。次いで、同様にして、タワー30を順次2ピッチ分だけ上方へ移動して、それぞれ、第5物品受入れ部位32(5)を、第7物品受入れ部位32(7)を、第9物品受入れ部位32(9)をパスライン34へ整合して、それぞれの部位から処理済の物品を排出する。その後において、図1Dに示すと同様にして、受入れ部位の調整を行なうため、タワーを1ピッチ分だけ上方へ移動して第10物品受入れ部位32(10)をパスライン34へ整合して、この部位から処理済の物品を排出する。
次いで、図1Eに示すと同様にして、タワー30を2ピッチ分だけ下方へ移動して、第8物品受入れ部位32(8)をパスライン34へ整合して当該部位から、更にタワーを順次2ピッチ分だけ下方へ移動して、それぞれ、第6物品受入れ部位32(6)を、第4物品受入れ部位32(4)を、第2物品受入れ部位32(2)をパスライン34へ整合して、それぞれの部位から処理済の物品を排出する。この手順によれば、処理済物品の排出は、被処理物品の供給手順と同様に、1―3―5―7―9―10―8―6―4―2の順序で第2室内へ排出される。その後、図1Gに示すと同様に、タワー30を1ピッチ分だけ下方へ移動して第1物品受入れ部位32(1)をパスライン34へ整合して、次の処理作業のためにこの第1物品受入れ部位への被処理物品の受入れを可能とする。このような手順を繰り返すことにより、処理室内への被処理物品の供給順序に従って処理済物品の排出が行なわれることになる。
本件の物品給排手順によれば、タワーが上昇する工程で第1の部位、第3の部位、第5の部位、第7の部位、第9の部位、次いで最後に第10の部位に対する物品供給が行なわれ、タワーが下降する工程で第8の部位、第6の部位、第4の部位、次いで最後に第2の部位へ対する物品供給が行なわれる。このため、物品が全ての部位に供給されたときには、タワーが殆ど初期位置に戻っており、タワーが2ピッチより多く移動することはない。このため、タワー下降時に被処理物品が物品受入れ部位から浮き上がるという問題は発生しないことが判明した。更に、処理装置が圧力容器である場合でも、当該圧力容器内部での下降運動において被処理物品が物品受入れ部位から浮上すると言う問題が全く発生しないことが分かった。図示の例においては、説明が容易な様に、最初の被処理物品を第1の物品受入れ部位へ供給することについて述べたが、必要に応じて、最初の被処理物品を第2の物品受入れ部位、第9の物品受入れ部位、又は第10の物品受入れ部位へ供給することも可能であり、初期位置の特定は自由に出来る。勿論もし図1Dの位置を初期位置としたときには、タワーは初めに下降運動をし、その後上昇運動することになることは明らかである。
図2は、別の実施例について開示している。図1に示した実施例は、被処理物品が処理室内において垂直方向に移動することにより所望の処理を行なうものであるが、図2は被処理物品が水平面内を移動することにより所望の処理を行なうことが可能な実施例である。図2において、符号50は物品処理室、符号52は第1室、符号54は第2室、符号56は第1密封扉、符号58は第2密封扉、符号60は導入扉、符号62は排出扉であり、第1室及び第2室には図示していないが調圧弁付きの導管更には調圧弁付きの排気管が配置されており、その他の構成及び機能も、図3に示す処理室と実質的に同一である。なお、図2において、符号64は物品処理室50内を水平方向に往復移動可能な物品受入れ手段としての物品搬送コンベア、符号66は物品受入れ部位、符号68は被処理物品である。図示の例ではコンベア64は5個の物品受入れ部位を有しているが、これに限定されないことは図1の実施例の場合と同様である。
図2において、導入扉60を介して第1室52内へ導入された第1の被処理物品68は、該物品のパスライン上に一致して配置しているコンベア64の第1の物品受入れ部位66(1)へ、第1密封扉56を介して供給される(図2A)。次いで、第2の被処理物品68を第1室52へ送り込む。この間にコンベア64を図面にて右方へ2ピッチ分だけ移動し、第3の物品受入れ部位が被処理物品のパスライン上に一致するようにする。その後、第1密封扉56を開放して第2の被処理物品を第3の物品受入れ部位66(3)へ供給する(図2B)。次いで、同様に第3の被処理物品68を第1室52へ送り込む。この間にコンベア64を図面にて右方へ更に2ピッチ分だけ移動し、第5の物品受入れ部位が被処理物品のパスライン上に一致するようにする。その後、第3の被処理物品を第5の物品受入れ部位66(5)へ供給する(図2C)。次いで、第4の被処理物品68を第1室52へ送り込む。この間にコンベア64を図面にて左方へ1ピッチ分だけ移動し、第4の物品受入れ部位が被処理物品のパスライン上に一致するよう物品受入れ部位の調整を行なう。この調整は、受入れ部位の数が図示の例の様に奇数の場合には、上述のような方法で行なうが、もし受入れ部位の数が偶数の場合には、コンベア64を1ピッチ分だけ右方へ移動して、末端部の物品受入れ部位へ対して被処理物品を供給することにより行なう。処理済の物品を排出する場合も同様である。その後、第4の被処理物品を第4の物品受入れ部位66(4)へ供給する(図2D)。更に次の第5の被処理物品68を第1室52へ送り込む。この間にコンベア64を図面にて更に左方へ2ピッチ分だけ移動し、第2の物品受入れ部位が被処理物品のパスライン上に一致するようにする。その後、第5の被処理物品を第2の物品受入れ部位66(2)へ供給する(図2E)。これにより、コンベア64の物品受入れ部位66は全て被処理物品で満たされる。
ここで、被処理物品68は受入れ部位66へそれぞれ1―3―5―4―2の順序で物品受入れ部位を埋めている。このことはこの順序で被処理物品68が処理室内にて処理反応を受けていることを意味する。その後、コンベア64を1ピッチだけ左方へ移動し初期位置(図2F)を得る。もし、上記の順序で物品を供給している間に所望の処理が十分施されるなら、その後、直ちに、排出工程に入る。しかし、更に所定の時間だけ処理作業を施したい場合には、更に処理室内において所用の時間だけ処理を施す。その後は、品質の安定性の上から、上記順序で、処理済の物品を処理室から排出することが望まれることになる。勿論、処理室内での処理は、図2Fに示す初期位置において行なうことも可能であるが、必要なら、図2Eに示す状態において行なうことも可能である。
被処理物品68に対する所望の処理が完了したなら、順次処理済の物品をコンベア64から第2室54内へ排出する。そこで、次に、排出手順について述べる。最終の被処理物品68を第2物品受入れ部位66(2)へ供給した後(図2E)、コンベア64を1ピッチ分だけ左方へ移動して、第1物品受入れ部位66(1)をパスライン上へ整合する(図2F)。この状態において、初めに第2密封扉58を開放して第1物品受入れ部位66(1)から処理済の物品68を第2室54内へ排出する(図2F)。その後、該第2室内から排出扉62を介して次工程へ搬出される。
その後、コンベア64を2ピッチ分だけ右方へ移動して、第3物品受入れ部位66(3)をパスラインへ整合して当該部位から処理済の物品を第2室内へ排出する(図2G)。次いで、同様にして、コンベア64を2ピッチ分だけ右方へ移動して、第5物品受入れ部位66(5)をパスラインへ整合して、処理済の物品を排出する(図2H)。その後において、図2Dに示すと同様にして、コンベア64を1ピッチ分だけ左方へ移動して第4物品受入れ部位66(4)をパスラインへ整合して、この部位から処理済の物品を排出する(図2I)。最後に、更にコンベア64を2ピッチ分だけ左方へ移動して第2物品受入れ部位66(2)をパスラインへ整合して、処理済の物品を排出する(図2J)。
この手順によれば、処理済物品の排出は、被処理物品の供給手順と同様に、1―3―5―4―2の順序で第2室内へ排出される。その後、コンベア64を1ピッチ分だけ左方へ移動して第1物品受入れ部位66(1)をパスラインへ整合して、次の処理作業のためにこの第1物品受入れ部位への被処理物品の受入れを可能とする。このような手順を繰り返すことにより、処理室内への被処理物品の供給順序に従って処理済物品の排出が行なわれることになる。
本件の物品給排手順によれば、コンベアが右方へ移動する工程で第1の部位、第3の部位、第5の部位に対する物品供給が行なわれ、コンベアが左方へ移動する工程で、第4の部位、次いで第2の部位へ対する物品供給が行なわれる。このため、物品が全ての部位に供給されたときには、コンベアが殆ど初期位置に戻っており、コンベアが2ピッチよりも多く移動することはない。このため、コンベア移動時に被処理物品が物品受入れ部位から移動するという問題は発生しないことが判明した。更に、処理装置が圧力容器である場合でも、当該圧力容器内部でのコンベア移動時において被処理物品が物品受入れ部位から偏倚すると言う問題が全く発生しないことが分かった。図示の例においては、説明が容易な様に、最初の被処理物品を第1の物品受入れ部位へ供給することについて述べたが、必要に応じて、最初の被処理物品を第2の物品受入れ部位、第4の物品受入れ部位、又は第5の物品受入れ部位へ供給することも可能であり、初期位置の特定は自由に出来る。勿論もし図2Cの位置を初期位置としたときには、コンベアは初めに左方運動をし、その後、右方運動することになることは明らかである。
なお、図示の具体例では、物品受入れ部位の移動ピッチを2として説明したが、移動ピッチを3としても同様の優れた効果が得られることが出願人の実験により確認されている。尚、その場合には、例えばタワーやコンベア等の端部における物品受入れ部位の調整は適宜イレギュラー処理を施しながら行なうことにより容易に行なうことが出来ることが確認されている。
本発明によれば、複数の被処理物品を物品受入れ部位へ積層した物品収容タワーを一気に移動してもその移動距離が極めて少ないため、被処理物品が物品受入れ部位の適正位置から偏倚するということは無く、従って位置偏倚により被処理物体が破損するという問題、更には破損により処理室内を清掃しなければならないという問題、または当該清掃時に処理室内の雰囲気を常温常圧に戻し更に処理開始に際しては再び所定の温度圧力を調整しなければならず、そのとき処理室内に存置している被加工物品を再度処理し直さなければならないという手間も発生しない。よって、処理作業の高効率化が図られる。また、被処理物品の位置移動を防止するために特異な固定用装置を設備するという必要もなく、安価で確実で迅速な処理作業を行なうことが可能である。
今日ではかなり大型のデイスプレー装置が要求されるようになっており、ガラス等の被処理物品の寸法もかなり大型化している。本発明は特にそのような大型化した被処理物品の処理にも完全に適合出来る被処理物品給排方法である。
また、この被処理物品給排方法では、被処理物品の供給が、初期位置にある物品受入れ部位への物品供給に始まり、当該初期位置に隣接した物品受入れ部位への物品供給にて終了し、次いで、処理済物品の排出が、当該初期位置から順次開始する。そのため、物品移送動作に無駄が無く、タクトタイムを短縮することが可能であり、常にスムースな物品給排作業が行なわれる。そのため処理装置の振動が殆ど無く、処理装置の構造が単純で、故障が少ない。更に、被処理物品がひとつ置きの物品受入れ部位へ供給されかつそこから排出されるので、給排時間に余裕があり、そのため物品が給排作業時に詰まりを発生するというような心配がない。また、被処理物品の処理容器内部への滞留時間を短くしたい場合には適当数の物品収容部位を適宜遊ばせて置くことにより自由な調整が可能となる。
本発明の第1の実施例を示す被処理物品の給排手順を示す図である。 本発明の第2の実施例を示す被処理物品の給排手順を示す図である。 本発明の第2の実施例を示す被処理物品の給排手順を示す図である。 同一人の先の出願にかかる物品給排手順を示す図である。 図3に示す装置を具体化した処理装置における物品給排工程の初期位置を示す図である。 図4に示す装置の物品給排工程において物品を全ての物品受入れ部位へ供給した状態を示す図である。 図4及び図5における物品給排手順をより詳細に述べた図1と同様の図である。
符号の説明
30:物品収容タワー 32:物品受入れ部位
34:パスライン 36:被処理物品
50:物品処理室 52:第1室
54:第2室 56:第1密封扉
58:第2密封扉 60:導入扉
62:排出扉 64:コンベア
66:物品受入れ部位 68:被処理物品

Claims (7)

  1. 物品処理装置へ対する被処理物品の給排方法であって、
    物品処理装置内において直線方向に往復動可能な物品受入れ手段であり、被処理物品を受入れる複数の物品受入れ部位を有している物品受入れ手段を用意すること、
    物品受入れ手段を初期位置へ位置付けること、
    初期位置へ位置付けられた物品受入れ手段の物品受入れ部位へ最初の被処理物品を供給すること、
    物品受入れ手段を1方向に複数ピッチづつ移動し、被処理物品が供給されている物品受入れ部位に隣接する物品受入れ部位を飛び越した次の物品受入れ部位へ、被処理物品を供給すること、
    順次この作業を繰り返し、初期位置へ位置付けられた物品受入れ部位から1つ置きの物品受入れ部位へ順次被処理物品を供給すること、
    物品受入れ手段を1方向又は反対方向に1ピッチだけ移動することにより物品受入れ部位の調整を行なうこと、
    物品受入れ手段を反対の方向に複数ピッチづつ移動しながら、初期位置から離れた物品受入れ部位から順次残りの物品受入れ部位へ被処理物品を供給しながら物品受入れ手段を初期位置まで戻すこと、
    被処理物品へ所定の処理を施した後、物品受入れ手段を1方向に次いで反対方向に移動しながら、供給手順と同様の手順で、処理済物品を物品受入れ手段から排出すること、
    の諸工程からなる物品処理装置への被処理物品給排方法。
  2. 物品受入れ手段の移動ピッチが2であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 物品受入れ手段の移動ピッチが3であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 物品受入れ部位への調整が、物品受入れ手段を1方向へ移動し順次被処理物品を物品受入れ部位へ供給したときに当該方向に1つの物品受入れ部位が残ったときには該物品受入れ手段を更に同一方向に1ピッチだけ移動することにより当該残りの物品受入れ部位へ被処理物品を供給することにより行なわれ、その後、前記手段を反対方向に移動しながら、被処理物品の供給を繰り返すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. 物品受入れ部位への調整が、物品受入れ手段を1方向へ移動し順次被処理物品を物品受入れ部位へ供給したときに最終の物品受入れ部位に被処理物品が供給されているときには該物品受入れ手段を反対方向に1ピッチだけ移動することにより当該最終の物品受入れ部位に隣接する物品受入れ部位へ被処理物品を供給することにより行なわれ、その後、前記手段を順次当該反対方向に移動しながら、被処理物品の供給を繰り返すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 物品受入れ手段が物品処理装置内にて上下方向に直線状に往復移動する物品収容タワーであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の方法。
  7. 物品受入れ手段が物品処理装置内にて水平方向に直線状に往復移動するコンベアであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の方法。
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