JP2006046916A - 衝撃波発生装置及びそれを用いた分光システム - Google Patents

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【課題】
観測窓を破損することなくS/N比の高い衝撃波の測定を行うことができる衝撃波発生装置、及びそれを用いた分光システムを提供すること。
【解決手段】
衝撃波を発生させる衝撃波発生部と、衝撃波を伝播させる管と、管を挟んで対称に配置される一対の観測窓と、を有する衝撃波発生装置であって、観測窓のそれぞれは、管の中心に近い側からカップリングホール付窓板、外筒、外筒を挟んでカップリングホール付窓板と対向するよう配置される光学窓、を有することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は衝撃波発生装置、及びそれを用いた分光システムに関する。
衝撃波発生装置とは、宇宙機が地球の大気圏に再突入する際に発生する程度の衝撃波を任意に発生させることができる装置である。衝撃波発生装置は、高圧の管と低圧の管とを金属膜を隔てて接続し、高圧の管の圧力を更に高圧にして金属膜を破膜し、低空の管に衝撃波を伝播させる、というものである。なおこの衝撃波の観測は、低圧の管に観測窓を取り付けて行われている。
衝撃波発生装置に関する発明としては、例えば下記特許文献1に記載の技術がある。
特開平5−322691号公報
金属膜を破膜して衝撃波を発生させる衝撃波発生装置の場合、破膜の際に金属が蒸発した後観測窓に付着する場合がある。この場合、この金属は観測用のレーザー光を吸収し、観測窓を高温状態にして破損させてしまうおそれがある。また、たとえ金属の付着がない場合であってもS/N比を上げるためにレーザー光の強度を高くした場合、この観測窓によりレーザー光の一部が吸収され、観測窓の破損閾値を越え、破損してしまうおそれがある。なお上記特許文献1に記載の発明は、高圧管におけるシリンダとピストンに有用ではあるが、上記の課題については未検討でありそれだけでは解決できない。
よって本発明は、観測窓を破損することなくS/N比の高い衝撃波の測定を行うことができる衝撃波発生装置、及びそれを用いた分光システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は具体的に以下の手段を採用する。
まず、第一の手段として、衝撃波を発生させる衝撃波発生部と、衝撃波を伝播させる管と、この管を挟んで対称に配置される一対の観測窓と、を有する衝撃波発生装置であって、観測窓のそれぞれは、管の中心に近い側からカップリングホール付窓板、外筒、外筒を挟んでカップリングホール付窓板と対向するよう配置される光学窓、を有することを特徴とする。このように配置することで、光学窓を管の中心となるレーザーの焦点から遠ざけることができ、外部からレーザーを導入して分光測定を行う場合であっても、レーザー光のエネルギー密度を下げることができ、光学窓の破損閾値よりも下げることが可能となるのである。
またこの場合において、カップリングホールの直径は5mm以下であることが望ましい。これ以上大きくなってしまうと、管の内部を伝播する衝撃波が反射を受けるなど、衝撃波の形状に影響を与えることとなり、正確な測定ができなくなってしまう虞があるからである。
また、この場合において、管とカップリングホール付窓板とは管内において平坦な面を形成していることが望ましい。管の内部に凹凸が発生してしまうと、カップリングホールの径を大きくした場合と同様、衝撃波の形状に影響を及ぼし、正確な分光測定ができなくなってしまう虞があるからである。なおここで平坦な面とは、段差がない場合を指し、許容範囲としては段差があったとしても1mm以内に抑える必要がある。
また、第二の手段として、衝撃波を発生させる衝撃波発生部と、衝撃波を伝播させる管と、この管を挟んで対称に配置される一対の観測窓と、この観測窓の一方から前記管内にレーザー光を導入しもう一方の観測窓からレーザー光を取り出して分析を行う光学系と、を有する分光システムであって、観測窓のそれぞれは、管の中心に近い側からカップリングホール付窓板、外筒、該外筒を挟んでカップリングホール付窓板と対向するよう配置される光学窓、を有し、光学系は、レーザー光を発振させるレーザー発振器、該レーザー発振器と前記レーザー光を前記管内に導入する方の観測窓との間に配置される集光レンズ、前記レーザー光を取り出す方の観測窓から出てくるレーザー光を平行光にするコリメートレンズ、前記レーザー光を受光する受光部、を有することを特徴とする。この構成とすることで、光学窓を管の中心となるレーザーの焦点から遠ざけることができ、外部からレーザーを導入して分光測定を行う場合に、レーザー光のエネルギー密度を下げることができ、光学窓の破損閾値よりも下げることが可能となるのである。
またこの場合において、カップリングホールの直径は5mm以下であることも望ましい。これ以上大きくなってしまうと、管の内部を伝播する衝撃波が反射を受けるなど、衝撃波の形状に影響を与えることとなり、正確な測定ができなくなってしまう虞があるからである。
またこの場合において、管とカップリングホール付窓板とは管内において平坦な面を形成していることが望ましい。管の内部に凹凸が発生してしまうと、カップリングホールの径を大きくした場合と同様、衝撃波の形状に影響を及ぼし、正確な分光測定ができなくなってしまう虞があるからである。なおここで平坦な面とは、段差がない場合を指し、許容範囲としては段差があったとしても1mm以内に抑える必要がある。
この場合において、レーザーのエネルギーをE(W)、光レンズからレーザー光の焦点までの距離をD(cm)、光学窓の前期焦点に近い側の面と焦点との距離をd(cm)、絞る前のレーザー光の半径をR(cm)、光学窓の破壊閾値をSとすると、D・E/(d・R・π)<Sを満たすことが望ましい。この式を満たすことで、エネルギー密度を光学窓の破壊閾値以下とし、光学窓の破壊を防ぎ安定的に分光システムを作動させることができる。
以上により、観測窓を破損することなくS/N比の高い衝撃波の測定を行うことができる衝撃波発生装置、及びそれを用いたパルスレーザー分光システムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
図1は本実施形態における衝撃波発生装置を示す図である。本衝撃波発生装置1は、高圧管2、圧縮管3、中圧管4、低圧管5、低圧タンク6が順次接続された構造となっている。高圧管2の内部空間と圧縮管3の内部空間は高速バルブ7により隔てられており、圧縮管3の内部空間と中圧管4の内部空間は鉄膜8により隔てられており、中圧管4の内部空間と低圧管5の内部空間はアルミ膜9により夫々隔てられている。また圧縮管3の内部にはピストン10が配置され、管の内部を摺動可能に配置されている。各管内の圧力は窒素ガスが導入されており、高圧管2から低圧タンク6に向かうに従い低くなっており、衝撃波を発生させる前の値としては、高圧管2の圧力は約4MPa、圧縮管3の圧力は約160kPa、中圧管4の圧力は約13kPa、低圧管5および低圧タンク6の圧力は約50Paとなっている。
高圧管2内には、シリンダ11が配置されており、シリンダ11の内部空間12とその外の空間13とは高速バルブ7によって空間が隔てられている。つまり衝撃波を発生させる前は、シリンダ11の内部空間12、その外の空間13、圧縮管3の空間は高速バルブ7によって隔てられている。なお高速バルブ7はシリンダ11内部を摺動可能に配置されており、またシリンダ11の内部空間12とその外の空間13は同じ圧力になっている。また、図1では図示していないが、シリンダ11の内部空間は弁を介して大気圧とつながっている。
次に衝撃波発生装置1の衝撃波を発生させる際の動作について説明する。
まず、高圧管2内におけるシリンダ11の内部空間12につながっている弁(図示せず)を開き、大気圧とつなげる。すると、シリンダ11の内部空間12の圧力は急激に下がり、高速バルブ7はシリンダ11の内部に引き込まれる。すると高圧管2と圧縮管3の内部の空間がつながる。すると高圧管2の高圧ガスが圧縮管3に移動し、圧縮管3内のピストン10を急速に押し始める。すると圧縮管3内のピストン10と鉄膜8との間の体積が急激に圧縮され始め、高圧の状態となる。そしてその圧力が鉄膜8の破損閾値を超えると、鉄膜が破膜し、第一の衝撃波を発生させる。そしてこの第一の衝撃波は中圧管4の内部を伝播することとなる。
そして、第一の衝撃波は中圧管4の内部を伝播し、中圧管4と低圧管5の間に配置されるアルミ膜9に到達するが第一の衝撃波がアルミ膜に当たると第一の衝撃波はアルミ膜により反射するとともにアルミ膜9を破膜させる。この結果、第二の衝撃波が生じ、低圧管5の内部を伝播することになる。そして、この第二の衝撃波(以下、単に言及する場合を除き「衝撃波」というときは第二の衝撃波をいうものとする。)を観測することで、様々なデータを得ることができるのである。なお本実施例における衝撃波発生部は、高圧管2、圧縮管3、中圧管4、高速バルブ7、シリンダ11、ピストン10、鉄膜8、アルミ膜9等の第二の衝撃波を発生させるまでの構成要素を指す。ただし、他の構成要件によっても衝撃波を発生させることができるのであれば上記構成要件に限られない。
衝撃波の測定は、先ほど述べたように観測窓にレーザーを入射することによって求めるが、本実施例にかかる衝撃波発生装置では観測窓の構造に特徴を有している。
図2は、図1における低圧管5の観測窓周辺の拡大図である。本実施形態の衝撃波発生装置は、低圧管5に副室14を有する観測窓15が低圧管5を挟んで対向して備え付けられていることを特徴の一つとする。
観測窓15は、図2で示されるように、低圧管5に設けられた穴に嵌合してなるカップリングホール付窓板16と、このカップリングホール窓付板16に外筒17を介して対向するよう配置される光学窓18と、を少なくとも有して構成されている。
カップリングホール付窓板16は、直径が約3cm、厚さ約5mm円板状で、中心に2mmのカップリングホール19があけられている。またカップリングホール付窓板16の低圧管5への嵌合は、低圧管5の内壁側に突起部分20を形成するとともに、カップリングホール付窓板16の一方の面をこの突起部分20に合う切り欠きを設けて嵌め合わせることによって行われる。なおカップリングホール付窓板16はステンレスで構成されている。なお、本実施形態では、レーザーの径にあわせてカップリングホールの大きさを調整しやすくする観点、メンテナンスの容易性から、カップリングホール付窓板16を低圧管5とは別の部材として構成しているが、低圧管5の内壁にカップリングホールを空けただけの構成、即ちカップリングホール付窓板を低圧管5の一部とすることも構成上可能ではある。
外筒17は、光学窓18を衝撃波の測定点となる低圧管5の中心部(レーザーの焦点21)から離し、かつカップリングホール付窓板16に対向して光学窓18を配置するものであり、低圧管5の穴に挿入され、カップリングホール付窓板16に押し当てられて配置されている。また、この筒を十分固定するために、外筒抑え蓋22と冶具23によって低圧管5に固定されている。なおこの材質はステンレスで構成されており、高さは約9.5cm、内径は1.5cmとした。
光学窓18は、カップリングホール付窓板16に対向し、かつ、外筒17に固定して配置されており、更に光学窓抑え蓋24を用いて固定されている。なお光学窓抑え蓋24は、外筒17と適合するねじ溝が形成されてねじ止め可能となっている。また、光学窓抑え蓋24と光学窓18、光学窓18と外筒17との間には、固定する際に光学窓18を傷つけないようにするためゴムからなるOリング25、26が配置されている。なお、光学窓18と外筒17との間、外筒17の側面と低圧管5に設けられた穴の側面との間、には、低圧管5内部の圧力と副室14内部の圧力とを同じにする即ち副室14を外部から密封するためのOリング26、27が配置されている。なお光学窓18は石英ガラスで構成されているが、測定光の波長領域で透明であればよく、他の材料、例えばBK7で構成することも可能である。
そして更に、この光学窓18の外側には外部からレーザー光を導入するための光学系が配置され、例えば集光レンズ28によって低圧管5の内部にレーザーの焦点21が形成され、衝撃波を測定することとなる。
本実施形態にかかる衝撃波発生装置は、以上の構成を採用することにより、レーザーの焦点21から光学窓18を遠ざけることで、光学窓18を透過するレーザー光のエネルギー密度を低くし、光学窓18破損の虞を極めて低くできる。より具体的に説明すると、レーザー光の進行方向に垂直な断面におけるレーザー光の断面積は焦点からの距離の二乗に比例して大きくなる。そしてその面積に比例してレーザー光のエネルギー密度は小さくなる。従って、外筒17を設けて光学窓18を焦点から離すことでレーザー光のエネルギー密度を破損閾値よりも小さくすることができるようになるのである。そしてそれと同時にレーザー光が透過するに十分な大きさ程度のカップリングホールを設けておくことで、副室を設けたとしても衝撃波伝播にほとんど影響を与えることなく光学窓の破損防止と測定の正確性との両立を図ることができる。なお、カップリングホール付窓板16にはカップリングホール18が形成されているためレーザー光によって加熱されることはなく、衝撃波が発生する際にアルミ膜がカップリングホール付窓板16に付着したとしても、その付着したアルミを加熱して破壊に至ることはない。
なお、本実施例において、低圧管5の厚さ及び内径はそれぞれ4cmとし、低圧管5の内壁面から光学窓までの距離は約10cmとし、集光レンズと焦点との距離は約12cmとした。なおレーザー光は80mJの出力、10nsecのパルス幅を有するパルスレーザー光で、絞る前のレーザー光の直径は3mmとした。すると、低圧管5の内壁面におけるレーザーの断面の直径は0.5mm、光学窓18におけるレーザーの断面の直径は2.5mmとなり、それぞれの位置におけるレーザー光のエネルギー密度は約4076MW/cm、約163MW/cmとなる。石英ガラスの破損閾値は約1GW/cmであるため、従来どおり低圧管5の内壁面に石英ガラスを配置した場合は破損閾値を超えてしまうが、外筒17を設けたことでレーザー光が観測窓15に当たる際のエネルギー密度を破損閾値より十分小さくすることができる。つまり、レーザーのエネルギーをE(W)、光学窓に当たる際のレーザー光の半径をr(cm)、光学窓の破損閾値をS(W/cm)とすると、E/(r・π)<Sを満たすよう設定することで効果を達成できる。また別の観点から、集光レンズから焦点までの距離をD(cm)、光学窓の焦点に近い側の面と焦点との距離をd(cm)、絞る前のレーザー光の半径をR(cm)とするとD・E/(d・R・π)<Sを満たすことで効果を達成できるようになる。
本実施形態にかかる衝撃波発生装置を示す図。 本実施形態にかかる衝撃波発生装置における観測窓周辺の拡大図。
符号の説明
1…衝撃波発生装置、2…高圧管、3…圧縮管、4…中圧管、5…低圧管、6…低圧タンク、7…高速バルブ、8…鉄膜、9…アルミ膜、10…ピストン、11…シリンダ、12…シリンダの内部空間、14…副室、15…観測窓、16…カップリングホール付窓板、17…外筒、18…光学窓、19…カップリングホール、20…突起部分、21…レーザーの焦点、22…外筒抑え蓋、23…冶具、24…光学窓抑え蓋、25、26、27…Oリング、28…集光レンズ

Claims (7)

  1. 衝撃波を発生させる衝撃波発生部と、衝撃波を伝播させる管と、該管を挟んで対称に配置される一対の観測窓と、を有する衝撃波発生装置であって、
    前記観測窓のそれぞれは、管の中心に近い側からカップリングホール付窓板、外筒、該外筒を挟んで前記カップリングホール付窓板と対向するよう配置される光学窓、を有する衝撃波発生装置。
  2. 前記カップリングホールの直径は5mm以下であることを特徴とする請求項1記載の衝撃波発生装置。
  3. 前記管と前記カップリングホール付窓板とは前記管内において平坦な面を形成していることを特徴とする請求項1記載の衝撃波発生装置。
  4. 衝撃波を発生させる衝撃波発生部と、衝撃波を伝播させる管と、該管を挟んで対称に配置される一対の観測窓と、前記観測窓の一方から前記管内にレーザー光を導入しもう一方の観測窓からレーザー光を取り出して分析を行う光学系と、を有する分光システムであって、
    前記観測窓のそれぞれは、管の中心に近い側からカップリングホール付窓板、外筒、該外筒を挟んで前記カップリングホール付窓板と対向するよう配置される光学窓、を有し、
    前記光学系は、レーザー光を発振させるレーザー発振器、該レーザー発振器と前記レーザー光を前記管内に導入する方の前記観測窓との間に配置される集光レンズ、前記レーザー光を取り出す方の観測窓から出てくるレーザー光を平行光にするコリメートレンズ、前記レーザー光を受光する受光部、を有することを特徴とする分光システム。
  5. 前記カップリングホールの直径は5mm以下であることを特徴とする請求項4記載の衝撃波発生装置。
  6. 前記管と前記カップリングホール付窓板とは前記管内において平坦な面を形成していることを特徴とする請求項4記載の分光システム。
  7. 前記レーザーのエネルギーをE(W)、前記集光レンズから前記レーザー光の焦点までの距離をD(cm)、前期光学窓の前記焦点に近い側の面と前記焦点との距離をd(cm)、絞る前の前記レーザー光の半径をR(cm)、前記光学窓の破壊閾値をS(W/cm)とすると、D・E/(d・R・π)<Sを満たすことを特徴とする請求項4記載の分光システム。
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