JP2006043050A - 癒着防止具 - Google Patents

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Abstract

【課題】留置後の体外への取り出し操作をより容易に、低侵襲で行うことができ、患者の負担を軽減することができる癒着防止具を提供すること。
【解決手段】本発明の癒着防止具1は、扁平部3と直線部4とで構成されている。扁平部3は、可撓性を有する中実または中空の線状体2をうず巻状に巻回して略円形の板状としたものである。この扁平部3は、癒着を防止すべき生体組織同士の間(例えば臓器と体壁との間)に介挿、留置して使用される。また、直線部4は、扁平部3の外周部から離間して延びており、線状体2を体外へ引き抜く際の引き抜き操作部として機能する。扁平部3は、それを構成する線状体2が互いに離間しないよう自己形状保持性を有しているか、あるいは隣接する線状体2同士が分離可能に接合(接着、融着、縫着等)されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば胸部、腹部等の外科的手術後の臓器と体壁または近隣臓器の癒着を防止するための癒着防止具に関するものである。
外科的手術により、傷害を受けた臓器が体壁もしくは近隣臓器と直接もしくはフィブリン等の浸出液産物を介して接触した状態が続くと、その治癒の過程でこれら組織が一体化した組織(癒着)が発生する。この癒着は、強固に臓器や周辺臓器に癒着することがある。
このような癒着が生じた場合、腹部ではイレウスまたは腹部閉塞症となり、さらに、重篤な合併症を引き起こすおそれがある。
また、再手術を行う場合、体壁と臓器の癒着は再手術の大きな障害となり、最初の癒着を剥離する操作に多くの時間と手間を要するだけでなく、時には、剥離操作の過程で臓器に傷害を与えるおそれもある。
特に、胸部の冠動脈バイパス術や弁治療術等の心臓周囲の手術には再手術を要する症例がある。また、先天性心疾患を持つ小児の手術においては、一時的手術を行い、成長後、本格的治療を行う2期的手術が行われている。このように、必然的に再手術が必要となる症例もあり、これらの手術において、癒着防止は必要不可欠である。
この癒着を防止するための手段の一つとして、生体内で分解・消失しない材料で、傷害を受けた組織と他組織との間を遮断し、傷害を受けた組織の治癒を待って、体外へ引き抜き、体内に異物を残さず、傷害を受けた組織の癒着を防止する癒着防止装置が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
この癒着防止装置は、膨張可能なクッション状スリーブと、このスリーブを膨張可能にスリーブ上に設けた膨張領域と、癒着防止装置を適用する体腔の体組織にスリーブを固定する少なくとも1つの固定領域とを有するものであり、前記スリーブは扁平な伸長バルーンとして構成されている。
しかし、この癒着防止装置では、次のような欠点がある。すなわち、癒着防止が必要となる部分として非常に大きな面積が要求されることがあり、この場合には、一定期間体内に留置されるスリーブもそれに伴って大きな面積のものとなるが、それが故に留置後の体外への取り出しがし難く、取り出しのために再度皮膚切開等の手術を行わねばならなくなる場合もあり、患者の負担(侵襲)が大きい。
特開平5−237122号公報
本発明の目的は、留置後の体外への取り出し操作をより容易に、低侵襲で行うことができ、患者の負担を軽減することができる癒着防止具を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(16)の本発明により達成される。
(1) 可撓性を有する中空または中実の線状体で構成され、当該線状体をその一部を残して湾曲または屈曲させて扁平形状とした扁平部を備え、
前記扁平部を、癒着を防止すべき生体組織同士の間に介挿して使用することを特徴とする癒着防止具。
(2) 前記扁平部は、前記線状体をうず巻き状に巻回して略円形または楕円形の板状としたものである上記(1)に記載の癒着防止具。
(3) 前記扁平部は、前記線状体を複数回交互に反対方向に折り曲げて蛇行させ、略矩形の板状としたものである上記(1)に記載の癒着防止具。
(4) 前記線状体は、単一の材料または複数の材料を組み合わせて構成されており、外表面が平滑である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の癒着防止具。
(5) 前記扁平部における前記線状体の端部に、前記線状体の外径より大きい拡径部を有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の癒着防止具。
(6) 前記扁平部における前記線状体の端部は、丸みをおびている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の癒着防止具。
(7) 前記扁平部は、それを構成する前記線状体が互いに離間しないよう自己形状保持性を有している上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の癒着防止具。
(8) 前記扁平部における前記線状体は、隣接する線状体同士が分離可能に接合されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の癒着防止具。
(9) 隣接する線状体同士の接合は、融着、接着または縫着によりなされている上記(8)に記載の癒着防止具。
(10) 前記線状体の平均外径は、0.1〜20mmである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の癒着防止具。
(11) 前記線状体の引張破断強度は、0.2kgf以上である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の癒着防止具。
(12) 前記扁平部の面積は、6〜600cmである上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の癒着防止具。
(13) 前記線状体の前記扁平部以外の部位は、前記扁平部から離間して延びており、前記線状体を体外へ引き抜く際の引き抜き操作部として機能する上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の癒着防止具。
(14) 前記線状体は、中空の部材で構成され、かつその管壁を貫通する少なくとも1つの側孔を有する上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の癒着防止具。
(15) 前記側孔は、前記扁平部の少なくとも一方の面側に複数個配置されている上記(14)に記載の癒着防止具。
(16) 生体表面を貫通するように設置して使用され、内腔に前記線状体を挿通可能な管体を備える上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の癒着防止具。
本発明によれば、留置後の体外への取り出し操作をより容易に、低侵襲で行うことができ、患者の負担を軽減することができる。また、かかる効果は、癒着防止が必要とされる部分の面積にかかわらず、得ることができる。
以下、本発明の癒着防止具について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は、それぞれ、本発明の癒着防止具の実施形態を示す斜視図である。図1および図3に示すように、癒着防止具1は、可撓性を有する線状体2で構成されており、この線状体を湾曲させて変形形状とした扁平部3を有している。図1および図3に示す構成では、扁平部3は、線状体2をうず巻状に巻回して略円形の板状としたものである。また、図2に示すように、扁平部3は、線状体2をうず巻状に巻回して略楕円形の板状としたものでもよい。
図1および図2に示すように、扁平部3の外周側(最外周)の線状体2は、扁平部3から離間して、略直線状または曲率小さい湾曲状(円弧状)に延びている。この部分を直線部4と言う。
図3に示す構成では、直線部4は、扁平部3の中心部の線状体2が扁平部3から離間し、扁平部3に対し略垂直方向に延びている。
また、図4に示す構成では、扁平部3は、線状体2を複数回交互に反対方向に折り曲げて(屈曲させて)蛇行させ、略矩形の板状としたものである。そして、扁平部3の一端部から線状体2が離間し、直線部4を形成している。
以上のような扁平部3は、癒着を防止すべき生体組織同士の間に介挿、留置して使用され、両生体組織の接触を阻止するバリア部として機能する。これにより、両生体組織の癒着を有効に防止することができる。ここで、癒着を防止すべき生体組織同士としては、例えば、手術などにより傷害を受けた生体組織とこれに隣接する生体組織、体壁と臓器等が挙げられ、具体的には、肝臓、心臓、胃、肺、小腸、空腸、結腸、直腸等の臓器と、腹膜、胸膜、心膜等が挙げられる。
扁平部3における線状体2は、隣接する線状体2同士の間になるべく隙間ができないよう、密に配置されているのが好ましい。これにより、癒着防止効果(バリア効果)が高まるからである。
また、直線部4は、線状体2を体外へ引き抜く際、この部分を把持して引き抜き操作を行う。すなわち、直線部4は、線状体2を体外へ引き抜く際の引き抜き操作部として機能するものである。
このような扁平部3と直線部4とは、連続した1本の線状体2で形成されているのが好ましい。
以下、線状体2の構成について説明する。線状体2は、単一の材料で構成されたものでも、複数の材料を組み合わせて構成されたものでもよい。また、線状体2は、図5(a)に示すように、中実の部材(中実線材)で構成されたものでも、図5(b)に示すように、中空の部材(管状部材:チューブ)で構成されたものでもよく、さらには、図5(c)に示すように、中空の部材(外層25)の内腔にそれとは異なる材質で構成された中実の部材(内層26)が挿入された構成のものでもよい。なお、内層26は、中空の部材であってもよく、また2層以上で構成されていてもよい。
図5(a)に示す構成の場合、線状体2に必要かつ十分な強度を得るのに、比較的線径を小さくすることができるという利点がある。
図5(b)に示す構成の場合、線状体2の軽量化を図ることができ、また、線状体2の柔軟性、弾力性を向上させることができるという利点がある他、次のような利点もある。
扁平部3における線状体2に、管壁を貫通する少なくとも1つの側孔23(孔径が例えば、0.1〜10mm程度)を設け、チューブ内腔を経て送液された薬液等の液体を前記側孔23より体内へ薬液等の液体を注入したり、側孔23より体内(扁平部3近傍)の液体(体液の他、注入された液体も含む)を吸引、体外へ排出したりすることもできる。この場合、側孔23は、線状体2の長手方向に沿って所定間隔(例えば等間隔)をおいて複数個形成されているのが好ましい。これにより、扁平部3に側孔23をほぼ均等に配置することができ、液体の注入・吸引を扁平部3の全体にわたって効率よく行うことができる。なお、注入する液体は、例えば、傷付いた生体組織(臓器等)の治療、再生に寄与する薬液またはその他の薬効を有する薬液(例えば鎮痛剤、抗がん剤、増殖因子等)、細菌汚染(感染)を予防または処置するための薬液(例えば各種抗生物質)や、癒着防止効果を促進する液体(潤滑液、バリア液、洗浄液等)が挙げられる。このような側孔23は、扁平部3のいずれか一方の面側に集中して設けることができ、あるいは、両面にそれぞれ均等または所定の比率で設けることもできる。前者の場合、接触する生体組織の種類や注入する液体の種類との関係で、側孔23を形成する面を選択することができる。例えば、扁平部3の傷害を受けた臓器(例えば図8の臓器10)と接触する面側に側孔23を集中的に設け、当該臓器に対し治療効果のある薬液を側孔23より注入することができる。また、側孔23は、扁平部3上に均等に設ける場合の他、一部分に集中的に(偏在させて)設けてもよい。例えば、扁平部3の中心部または外周部のいずれかに側孔23を集中的に設けることができる。
図5(c)に示す構成の場合、複数種の材料を組み合わせることにより、それらの利点を併有することができる。内層26として、例えば金属材料は高剛性プラスチック等で構成された比較的強度(剛性)の大きい芯線を用い、外層25として、柔軟性に富み、表面が平滑で、生体適合性に優れる樹脂材料を用いることができる。
図5(c)に示す構成において、内層26を中空の部材とした場合、内層26および外層25を貫通する孔として前述の側孔23を設けることができ、この場合にも前述した作用・効果を得ることができる。
また、外層25の中空部材と内層26の中実部材(または中空部材)は、密着させてもよいが、中空部材と中実部材との間に隙間(隙間の形状は、管状、溝状等いかなる形状でもよい)を設けることもできる。この隙間を設けた場合、生体組織間に留置されたときにこの隙間がクッションとなり、柔軟性が増すという利点がある。また、外層25に前述の側孔23を設けた場合、この間隙は、側孔23より注入(噴出)または吸引する液体の流路として用いることができる。
線状体2の横断面形状は、円形に限らず、例えば、楕円形、角部が丸みをおびた多角形、六角形以上の多角形、その他種々の異形など、いかなる形状のものでもよい。
線状体2の横断面形状が円形、楕円形または角部が丸みをおびた多角形である場合、体壁や臓器などの生体組織が接触したときに物理的傷害を最小限にすることができ、また、引き抜き操作時においても通過性が良く、その操作性が向上するという利点がある。
線状体2の構成材料は、生体内非吸収性材料とされ、例えば、Ni−Ti合金等の形状記憶合金(超弾性合金)に代表される金属材料や、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、シリコーン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリアミド系、ポリエステル系、スチレン系、フッ素系等の各種熱可塑性エラストマー等の高分子材料、さらにはこれらのうちの2種以上を組み合わせたものを挙げることができる。
2種以上の材料を組み合わせる場合、例えば形状記憶合金等の金属材料やポリエステル、ポリプロピレン等の剛性の高材料と、例えばシリコーン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、各種熱可塑性エラストマー、延伸加工したポリテトラフルオロエチレン等の柔軟性に富む材料とを組み合わせて用いるのが好ましい。
線状体2が例えば図5(c)に示す構成の場合、内層26として前記剛性の高い材料、外層25として前記柔軟性に富む材料を用いるのが好ましい。これにより、線状体2に十分な強度や剛性を確保しつつ、外表面は柔軟性に富むため周囲の生体組織の損傷を防止する効果がさらに向上する。なお、このような外層25は、線状体2の全長にわたって形成されている場合に限らず、線状体2の一部分、例えば、扁平部3を構成する線状体2に対してのみ形成されていたり、扁平部3における線状体2の端部21付近に対してのみ形成されていてもよい。
線状体2の好ましい平均外径は、扁平部3を留置する部位(例えば、胸腔または腹腔の臓器と体壁間のスペースの大きさ)や線状体2の構成材料等の条件により異なるが、通常は、0.1〜20mm程度であるのが好ましく、0.2〜8mm程度であるのがより好ましい。平均外径が小さすぎると、構成材料によっては引張破断強度が不足する場合があり、平均外径が大きすぎると、臓器や体壁を圧迫するおそれがある。
特に、線状体2が前記剛性の高い材料で構成されたものである場合、線状体2の平均外径は、5mm以下であるのが好ましく、0.2〜4.5mm程度であるのがより好ましい。また、線状体2が前記柔軟性に富む材料で構成されたものである場合、線状体2の平均外径は、0.1〜20mm程度であるのが好ましく、0.2〜8mm程度であるのがより好ましい。
線状体2の外径および/または内径(中空の場合)は、その全長に渡り一定でも、所定方向に向かってに漸減する部分(テーパ状部分)を有していてもよい。例えば、扁平部3における線状体2の端部21付近が、端部21に向かって除々に外径が減少するようなテーパ状とすることができる。これにより、扁平部3の中心部付近において、線状体2同士の隙間をなくすかまたはより小さくすることができる。
線状体2の外表面は、段差がない平滑な面で構成されているのが好ましい。これにより、引き抜き操作の際に、線状体2の体外への移動(引き抜き)を容易、円滑、迅速に行うことができるとともに、引き抜き時に部分的(特に段差がある部分など)に応力集中が生じなくなり、線状体2に亀裂が入ったり切断されたりすることが防止できるという利点がある。
線状体2の引張破断強度は、特に限定されないが、通常、0.2kgf以上であるのが好ましい。これにより、線状体2を引き抜く際の抵抗により、線状体2に亀裂が入ったり切断したりすることが防止される。
図1〜図4に示すように、扁平部3は、線状体2をうず巻状に巻回したり蛇行させたりして板状に形成されているが、線状体2の物理的特性(剛性、弾性等)により、扁平部3が自己形状保持性(線状体2同士が互いに離間しないよう、それらの位置関係が保たれているような特性)を有する場合と、十分な自己形状保持性を有さない場合とがある。前者は、例えば、予め扁平部3と同形状に形成された型内に溶融材料または液状材料(硬化前の材料)を充填し、これを固化(硬化)して扁平部3を製造する方法、前記形状記憶合金や前記剛性の高い材料(またはこれらの材料による内層26)を用い、これを予め扁平部3の形状を形成しておく方法、線状体2を扁平部3の形状に成形し、加熱等の方法により曲がり癖をつけて固定する等がある。また、後者の場合には、生体内に留置された扁平部3が崩れないように、扁平部3に形状保持性を付与する必要がある。
扁平部3に形状保持性を付与する手段としては、扁平部3を構成する線状体2の離間(移動)を規制する方法が挙げられる。その方法の好ましい例として、扁平部3において隣接する線状体2同士が剥離可能に接合されているようにする。この隣接する線状体2同士の接合の方法は、特に限定されず、例えば、熱融着、超音波融着、高周波融着等の融着、接着剤(溶剤)による接着、または糸(生体に対し吸収性または非吸収性の縫合糸)を用いた縫着による方法が挙げられる。
図6に示すように、扁平部3における隣接する線状体2同士の接合部31は、線状体2の外周部に形成される。この場合、接合部31は、扁平部3における線状体2の全長にわたって隙間なく形成されていても、線状体2の長手方向に沿って間欠的に形成されていてもよい。
接合部31の接合強度は、線状体2を引き抜く際に接合された線状体2同士が分離(剥離)することができる程度とされる。この接合強度は、前述した線状体2の引張破断強度より小さい値とされる。
図7(a)(b)に示すように、扁平部3における線状体2の端部21は、角のない形状、特に丸みをおびた形状とするのが好ましい。これにより、線状体2の引き抜き時に、周囲の生体組織を損傷させることをより確実に防止することができる。
また、図7(b)に示すように、扁平部3における線状体2の端部には、線状体2の外径より大きい拡径部22を設けることもできる。この拡径部22は、前記と同様の理由から、例えば、球体、または楕円回転体、砲弾型、円盤状等の丸みをおびた形状のものであるのが好ましい。このような拡径部22は、扁平部3の中心部において、線状体2同士の隙間をなくすかまたはより小さくすることに寄与する。
扁平部3の好ましい大きさは、生体組織の癒着を防止する範囲によって左右される。小さい場合は小児心臓断面積程度、大きい場合は成人横隔膜下腹部断面積程度で、例えば6〜600cm程度とすることができる。
本発明の癒着防止具1では、扁平部3の大きさは、用いる線状体2の外径と、扁平部3における線状体2の巻き数の選択により容易に設定することができる。このことは、前述した従来技術にはない本発明の利点である。すなわち、例えば、癒着を防止すべき領域が予想以上に大きいと判断された場合には、それに対応すべく、医療現場等において扁平部3における線状体2の巻き数増やし、逆に、癒着を防止すべき領域が予想以上に小さいと判断された場合には、扁平部3において線状体2を巻き出して、巻き数を減らす操作を行うことができる。また、扁平部3の大きさを予想し得る最大の大きさに設定しておき、医療現場等において、必要に応じ(癒着を防止すべき領域の大きさに応じ)、扁平部3の線状体2を適宜巻き出し、扁平部3を最適な大きさに調整して使用するようにしてもよい。このようにすることにより、癒着防止具1の留置時および抜き取り操作時の患者の負担をより軽減することができる。
本発明の癒着防止具は、特願2000−107740号に記載の形態で体液排出用のドレナージチューブと組み合わせて用いることもできるし、線状体2をチューブ形状(中空部材)とし、部分的に孔(側孔23等の貫通孔)や端部開口を設けて、癒着を防止すると同時に、薬液等の液体を注入したり、体内に貯留した滲出液等の液体を排出するチューブとして兼用してもよい。
本発明は、さらに、線状体2の引き抜き操作の際に用いられる補助具として、生体表面を貫通するように設置して使用され、内腔に線状体2を挿通可能な管体5(図8参照)を備えていてもよい。この管体5としては、例えば、トロッカー管またはそれに類するものを用いることができる。
管体5の形状は、特に限定されず、例えば管体の先端に、生体への穿刺を可能とする刃部を有するものが挙げられる。また、基端部にフランジ、ハブ等を設け、操作性を向上させてもよい。
管体5の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、チタンまたはチタン合金等の各種金属材料、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
以下、この管体5を用いた線状体2の引き抜き操作の一例を、図8に基づいて説明する。
外科手術により傷害を受けた臓器10と体壁11との間には、これらの癒着を防止するために、癒着防止具1の扁平部3が挿入、留置されている。一定期間留置後、癒着防止具1の体外への取り出しが行われる。
この癒着防止具1の取り出し操作は、まず、患者の体外に露出している線状体2の直線部4を管体5の内腔に挿通するとともに管体5を患者の体壁11に刺通し、体壁11を貫通させる。
次に、管体5を固定しつつ、直線部4を把持し、図8中矢印で示すように、徐々に引き抜いて行く。このとき、患者の体内にある線状体2は、管体5の先端開口より管体5の内腔に順次引き込まれて行く。そして、扁平部3を構成する線状体2は、直線部4に近い側(図1の場合、扁平部3の外周側、図2の場合扁平部3の中心側)から接合部31が順次分離(剥離)し、1本の線状体2となって体外へ引き抜きかれて行く。なお、接合部31の接合強度が比較的大きい場合でも、管体5の先端開口を通過する際にその縁部51により接合部31が強制的に剥離されるので、線状体2を容易かつ確実に抜き取ることができる。
以上のようにして全ての線状体2を引き抜いたら、体壁11を貫通している管体5を抜き取り、必要に応じてその傷穴を縫合して手技を終える。
なお、線状体2の端部に拡径部22を有し、この拡径部22が管体5の先端開口を通過できない大きさである場合には、拡径部22が管体5の先端に当接した状態(管体5の先端開口を塞いだ状態)で、これを管体5と共に抜き取る。
このような本発明の癒着防止具1では、癒着を防止すべき領域の大きさ、すなわち扁平部3の大きさに係わらず、線状体2の端部21が管体5の内部または先端に到達するまで線状体2を引き抜けばよいため、癒着防止具1を患者の体外へ取り出す操作を、容易かつ迅速に、低侵襲で行うことができ、患者の負担を軽減することができる。
以上、本発明を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意の構成と置換することができ、また、任意の構成が付加されていてもよい。
(実施例1)
内径1.5mm、外径2.5mmのシリコーン製チューブを用意し、先端側の10mmを折り曲げてシリコーン系接着剤で接着して封止した。この部分を中心として内側から外側に向かってチューブを密に巻いていき、部分的にチューブ間を前記接着剤で接着しつつ直径3.6cm(面積10.2cm)のうず巻状(蚊取り線香状)の扁平部を作製し、さらに該扁平部の最外周部のチューブ間を接着した。この部分からさらに10cm分チューブを延長して直線部(引き抜き操作部)を形成し、癒着防止具(図1に示す構成)を得た。
(実施例2)
直径0.85mmφのポリエチレンテレフタレート製線材を用意し、その先端を直径1.7mmの球体に熱成型した。この球体を中心として線材を内側から外側に向かって密に巻いていき、直径3.5cm(面積9.6cm)のうず巻状(蚊取り線香状)の扁平部を作製し、さらに扁平部の最外周から10cm分線材を延長して直線部(引き抜き操作部)を形成した。このものに対し180℃×2時間熱処理して扁平部の型付けを行い(扁平部に自己形状保持性を付与し)、癒着防止具(図1に示す構成)を得た。
(実施例3)
直径0.6mmφの形状記憶合金(Ni−Ti合金)線材を外側から内側に向ってうず巻状(直径3.5cm)に巻いた。線材間は1.6mmの隙間を持たせ、中心部はうず巻状に巻いた面に対して垂直に直線部(3cm)を設け、熱(500℃)による型付けを行なった。これを芯材として、外径1.4mm、壁厚0.3mmのポリウレタンチューブを被せて癒着防止具(図3に示す構成)を得た。
(実施例4)
両端部がそれぞれ丸みをおびており、横断面が楕円形(長径2.6mm、短径2.1mm)のシリコーン製中実線材用意し、直線部(引き抜き操作部)となる長さ12cm分を残して、中心から外側に向かって中実線材をその短径同士が接触するように密に巻いていき、部分的に線材間をシリコーン系接着剤で接着しつつ直径3.8cm(面積11.3cm)のうず巻状(蚊取り線香状)の扁平部を作製し、さらに該扁平部の最外周部の中実線材を接着、固定した。扁平部の中心部からは、長さ12cmの直線部(引き抜き操作部)が略垂直に延びた癒着防止具(図3に示す構成)を得た。
(実施例5)
両端部がそれぞれ丸みをおびており、横断面が円形(外径2.4mm)のシリコーン製中実線材用意し、一端側から長さ3.6cm毎に反対方向に交互に複数回折り曲げて線材同士を密着させ、3.6cm×3.6cmの略正方形の扁平部(面積13.0cm)を形成し、さらに線材間の略全体をシリコーン系接着剤で接着した。さらに扁平部の他端側から、長さ10cm分線材を延長して直線部(引き抜き操作部)を形成し、癒着防止具(図4に示す構成)を得た。
(実施例6)
内径3.8mm、外径4.9mmのポリ塩化ビニル製チューブを用意し、先端側の8mmを折り曲げてシクロヘキサンで接着した。この部分を中心として内側から外側に向かってチューブを密にしてうず巻状に巻いていき、直径10cm(面積78.5cm)のうず巻状の扁平部を作製し、巻き終わりの長さ1cmの部分をシクロヘキサンで接着した。巻き終わりからさらにチューブを直線状に5cm延長して直線部を形成し、癒着防止部(図1に示す構成)を得た。
なお、上記各実施例における線状体(チューブ、線材)の外表面は、全長にわたり段差のない平滑面を形成している。これら各線状体について、癒着防止具を製造する前に予めその引張破断強度を測定しておいた。その結果を下記表1に示す。
また、実施例1〜5については、ラット癒着モデルを用いて癒着防止効果を調べた。
(実験)
ラットを全身麻酔した後、正中切開により盲腸をガーゼで擦過し、この上に実施例1および2の癒着防止具の扁平部を留置した。次いで、腹壁側に対しメス刃とガーゼで傷害を加えて閉創した。また、腹壁を穿孔し、この孔を介して癒着防止具の直線部を体外に出した。
癒着防止具の留置開始から3日後、ラットを全身麻酔し、前述した操作方法により、管体を介して直線部から引き抜き操作を行い、癒着防止具を体外に取り出した。このとき、引き抜き操作の操作性を評価した。その結果を下記表1に示す。
なお、引き抜き操作の操作性は、引き抜き力の大小、操作の再現性、操作の迅速性等を考慮し、
A:操作性極めて良好、
B:操作性良好、
C:操作性普通、
D:操作性不良または操作不能、
の4段階で評価した。
さらに4日後(癒着防止具の留置開始から1週間後)、ラットの腹壁と盲腸との間の癒着の発生状況を調べた。
また、比較例として、癒着防止具を使用していない以外は同様とした場合についても、同様に癒着の発生状況を調べた。これらの結果を下記表1に示す。
Figure 2006043050
上記表1に示すように、実施例1〜5の各癒着防止具を用いた場合、いずれも、盲腸と腹壁との間の癒着は観察されず、高い癒着防止効果が確認された。また、実施例1〜5の各癒着防止具は、いずれも、引き抜き操作の操作性が極めて良好または良好であった。
本発明の癒着防止具の実施形態を示す斜視図である。 本発明の癒着防止具の他の実施形態を示す斜視図である。 本発明の癒着防止具の他の実施形態を示す斜視図である。 本発明の癒着防止具の他の実施形態を示す斜視図である。 線状体の構成例を示す横断面図である。 図1中のA−A線断面図である。 扁平部における線状体の端部の形状をしめす平面図である。 本発明の癒着防止具を体外へ取り出す操作を模式的に示す図である。
符号の説明
1 癒着防止具
2 線状体
21 端部
22 拡径部
23 側孔
25 外層
26 内層
3 扁平部(バリア部)
31 接合部
4 直線部(引き抜き操作部)
5 管体
51 縁部
10 臓器
11 体壁

Claims (16)

  1. 可撓性を有する中空または中実の線状体で構成され、当該線状体をその一部を残して湾曲または屈曲させて扁平形状とした扁平部を備え、
    前記扁平部を、癒着を防止すべき生体組織同士の間に介挿して使用することを特徴とする癒着防止具。
  2. 前記扁平部は、前記線状体をうず巻き状に巻回して略円形または楕円形の板状としたものである請求項1に記載の癒着防止具。
  3. 前記扁平部は、前記線状体を複数回交互に反対方向に折り曲げて蛇行させ、略矩形の板状としたものである請求項1に記載の癒着防止具。
  4. 前記線状体は、単一の材料または複数の材料を組み合わせて構成されており、外表面が平滑である請求項1ないし3のいずれかに記載の癒着防止具。
  5. 前記扁平部における前記線状体の端部に、前記線状体の外径より大きい拡径部を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の癒着防止具。
  6. 前記扁平部における前記線状体の端部は、丸みをおびている請求項1ないし5のいずれかに記載の癒着防止具。
  7. 前記扁平部は、それを構成する前記線状体が互いに離間しないよう自己形状保持性を有している請求項1ないし6のいずれかに記載の癒着防止具。
  8. 前記扁平部における前記線状体は、隣接する線状体同士が分離可能に接合されている請求項1ないし6のいずれかに記載の癒着防止具。
  9. 隣接する線状体同士の接合は、融着、接着または縫着によりなされている請求項8に記載の癒着防止具。
  10. 前記線状体の平均外径は、0.1〜20mmである請求項1ないし9のいずれかに記載の癒着防止具。
  11. 前記線状体の引張破断強度は、0.2kgf以上である請求項1ないし10のいずれかに記載の癒着防止具。
  12. 前記扁平部の面積は、6〜600cmである請求項1ないし11のいずれかに記載の癒着防止具。
  13. 前記線状体の前記扁平部以外の部位は、前記扁平部から離間して延びており、前記線状体を体外へ引き抜く際の引き抜き操作部として機能する請求項1ないし12のいずれかに記載の癒着防止具。
  14. 前記線状体は、中空の部材で構成され、かつその管壁を貫通する少なくとも1つの側孔を有する請求項1ないし13のいずれかに記載の癒着防止具。
  15. 前記側孔は、前記扁平部の少なくとも一方の面側に複数個配置されている請求項14に記載の癒着防止具。
  16. 生体表面を貫通するように設置して使用され、内腔に前記線状体を挿通可能な管体を備える請求項1ないし15のいずれかに記載の癒着防止具。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014009948A1 (en) * 2012-07-11 2014-01-16 Magen Orthomed Ltd Temporarily implantable tissue separator
CN112930203A (zh) * 2018-10-31 2021-06-08 株式会社海莱客思 生物体内非分解性的粘连阻止材料
CN115227904A (zh) * 2022-08-01 2022-10-25 南京竹海生物科技有限公司 一次性局部麻醉镇痛系统及使用方法

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