JP2006042643A - 無細胞タンパク質合成法を用いる新規ヌクレアーゼのスクリーニング方法 - Google Patents

無細胞タンパク質合成法を用いる新規ヌクレアーゼのスクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】遺伝子組換えや、遺伝子解析などの遺伝子工学の分野で有用なヌクレアーゼ簡便に見出し、更に迅速に解析する技術を提供する。
【解決手段】候補遺伝子を無細胞タンパク質合成法にて合成し、そのヌクレアーゼ活性の有無を調べることを特徴とする、新規なヌクレアーゼのスクリーニング方法。
【選択図】図7

Description

本発明は、候補遺伝子を無細胞タンパク質合成法にて合成し、その活性を調べることを特徴とする新規なヌクレアーゼのスクリーニング方法、および無細胞タンパク質合成により合成した新規ヌクレアーゼを用いる、認識配列、切断個所の解析方法に関する。
ヌクレアーゼ(核酸分解酵素)とは、広義には核酸の分解に関与するすべての加水分解酵素の総称である。一般的には、核酸に特異的に作用するホスホジエステラーゼの総称である。基質に対する特異性で分類すると、RNAだけに作用するデオキシリボヌクレアーゼ、DNAだけに作用するデオキシリボヌクレアーゼ、DNAにもRNAにも作用する酵素に分けられる。また、分解様式からはエンドヌクレアーゼとエキソヌクレアーゼとに大別される。また、近年の遺伝子組換え技術、遺伝子解析技術に大きく貢献した、制限エンドヌクレアーゼもヌクレアーゼに分類される。
制限エンドエンドヌクレアーゼ(制限酵素)とはある特定のDNA塩基配列を特異的に認識し、切断することのできるエンド型ヌクレアーゼであり、現在まで様々タイプの酵素が見出されている。制限酵素にはI型とII型のクラスに分類できる。クラスI型酵素は特定塩基配列を認識するが切断個所に特異性が無いため、遺伝子組換えなどへの応用は、特定の認識配列および切断個所を有するタイプII型酵素が広く使われている。現在までに、300以上のII型制限酵素が見出され、それらの多くは遺伝子組換え技術や、遺伝病などの解明とうの解析等に必須な酵素として、使用されている。しかし、これらのII型制限酵素が認識できないDNA塩基配列の組合せがはまだ存在する。さらに、認識配列は同じでも異なる切断部位を生じさせる可能性のある酵素はまだまだ存在する可能性があり、様々な面で利用される可能性を秘めており、その酵素の発見には大変重要な意味があると考えられている。
本発明の目的は、遺伝子組換えや、遺伝子解析などの遺伝子工学の分野で有用なヌクレアーゼ簡便に見出し、更に迅速に解析する技術を提供することである。
組換え微生物を用いるヌクレアーゼのスクリーニング法は、合成されたタンパク質が宿主の核酸を切断してしまうため、微生物が死滅するなどして、実質的に不可能であると考えられる。制限酵素の場合は、同じ部位を認識する制限メチラーゼを発現させることにより宿主の死滅を防止することが可能となるが、すべてについてその作業を行うことはかなり困難であるといえる。
そこで今回我々は、タンパク質のスクリーニングの方法として、無細胞タンパク質合成法を選択した。無細胞タンパク質合成法とは、生細胞の代わりに、種々の細胞系の破砕物を準備し、基質やエネルギー源等を必要に応じて添加することで、細胞の成育とは無関係にタンパク質を合成・発現させる技術である。そのため、大量に発現させることにより、宿主に毒性を与えてしまうようなタンパク質なども含めほぼあらゆる種類のタンパク質を合成することが可能で、その応用範囲はきわめて広い。制限酵素の菌体での発現は、通常、制限酵素と制限メチラーゼの両方をうまく菌体内で発現させる必要があり、非常に煩雑であることが知られている。そのような酵素でも、無細胞タンパク質合成法を用いれば簡単に発現させることができ、非常に有用である。
現在無細胞タンパク合成系として知られているものは、大腸菌の細胞破砕物、哺乳類の網状赤血球の抽出物、およびコムギなどの植物種子のエキストラクト等である。これらを用いることで、無細胞系においてタンパクの合成が可能である。
また特に近年、高効率コムギ胚芽無細胞タンパク質抽出液を用いる方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96(2),559-564(2000))が注目を集めている。この方法は、コムギ胚芽抽出液中に含まれるとタンパク質合成を阻害する成分であるトリチンをはじめとするリボトキシンの含量を減らすことにより、タンパク質合成能を高めた方法である。真核生物由来のタンパク質合成方法としては、従来ウサギ網状赤血球を用いる方法が主に使用されてきたが、収量が低い、夾雑タンパク質が多い等の理由から、合成されたタンパク質の機能を解析するには、あまり向かない方法であると思われている。コムギ胚芽を用いる方法は、休眠期の胚芽を原料として抽出液を調製していることから、夾雑タンパク質も少なく、合成したタンパク質の機能を解析する場合有利であり、ヒトをはじめとする真核生物由来のタンパク質の解析に広く使われ始めている。
さらに、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系は、大腸菌の無細胞系に比べヌクレアーゼ等のレベルが低いことも知られており、無細胞合成液を直接酵素反応に使用できることが数多くの酵素で確かめられている(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96(2),559-564(2000))。
また、始原菌にも制限エンドヌクレアーゼが存在することが分かっている。始原菌のタンパク質は、どちらかというと原核生物と比べると真核生物に近いということも知られており、コムギ胚芽を用いる無細胞タンパク質合成法は向いていると考えられる。
本発明をまとめると、以下の構成からなる。
(1)候補遺伝子を無細胞タンパク質合成法にて合成し、そのヌクレアーゼ活性の有無を調べることを特徴とする、新規なヌクレアーゼのスクリーニング方法。
(2)ヌクレアーゼがデオキシリボヌクレアーゼもしくはリボヌクレアーゼであることを特徴とする、(1)に記載の新規なヌクレアーゼのスクリーニング方法。
(3)ヌクレアーゼが制限エンドヌクレアーゼであることを特徴とする、(2)に記載の新規なヌクレアーゼのスクリーニング方法。
(4)無細胞タンパク質合成により合成した新規ヌクレアーゼを用いて、認識配列、切断個所を同定することを特徴とする、(1)に記載の新規なヌクレアーゼのスクリーニング方法。
(5)無細胞タンパク質合成に用いるエキストラクトが、植物由来、菌由来、動物由来であることを特徴とする、(1)に記載の新規なヌクレアーゼのスクリーニング方法。
本発明によれば、遺伝子組換えや、遺伝子解析などの遺伝子工学の分野で有用なヌクレアーゼ簡便に見出すことができる。
本発明は、候補遺伝子を無細胞タンパク質合成法にて合成し、そのヌクレアーゼ活性の有無を調べることを特徴とする、新規なヌクレアーゼのスクリーニング方法である。従来の微生物を用いる方法では、制限酵素と思われる遺伝子をコードする遺伝子を発現させると、微生物が死滅してしまう可能性が高く、広くスクリーニングすることは困難である。一方、クローニングした遺伝子を用いて試験管内でタンパク質に変換できる無細胞タンパク質合成法は、生命の維持とは無関係にタンパク質を合成できるため、バイアスなく理論上すべてのヌクレアーゼを発現させ、解析することが可能である。また、制限酵素の菌体での発現と異なり、制限メチラーゼを同時に発現させる必要はなく、操作が簡便である。
活性の測定方法は特に限定されないが、精製したタンパク質を用いても、無細胞タンパク質合成後の溶液をそのまま用いても良い。特に、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いる場合、内在性のヌクレアーゼの混入が少ないため、反応液をそのままもちいることもでき便利である。更に、無細胞タンパク質合成した溶液を、加熱するなどして粗精製して用いることも可能である。
本発明でスクリーニングされるヌクレアーゼは特に限定されないが、デオキシリボヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼであることが好ましい。最も、好ましくは制限エンドヌクレアーゼである。
制限酵素(制限エンドヌクレアーゼ)とはある特定のDNA塩基配列を特異的に認識し、切断することのできるエンド型ヌクレアーゼであり、現在まで様々タイプの酵素が見出されている。制限酵素にはI型とII型のクラスに分類できる。クラスI型酵素は特定塩基配列を認識するが切断個所に特異性が無いため、遺伝子組換えなどへの応用は、特定の認識配列および切断個所を有するタイプII型酵素が広く使われている。現在までに、300以上のII型制限酵素が見出され、それらの多くは遺伝子組換え技術や、遺伝病などの解明等の解析に必須な酵素として、使用されている。しかし、これらのII型制限酵素が認識できないDNA塩基配列の組合せがまだ存在する。さらに、認識配列は同じでも異なる切断部位を生じさせる可能性のある酵素はまだまだ存在する可能性があり、様々な面で利用される可能性を秘めており、その酵素の発見には大変重要な意味があると考えられている。
スクリーニングの時に用いる鋳型核酸は、特に限定されないが、ゲノムDNA、ウイルスDNA、プラスミドDNA、ウイルスRNA、合成RNAなど種々のものを用いることができる。制限エンドヌクレアーゼのスクリーニングの場合、比較的長いラムダファージやアデノウイルスなどのDNAを用いると便利である。
さらに、活性を測定する際に、ナトリウムもしくはカリウム塩、およびマグネシウム塩を適量存在させておくことが好ましい。
活性測定に用いるバッファーは特に限定されないが、グッドバッファーが適しており、pH5〜9、好ましくはpH7〜8の緩衝液を用いる。また、反応は分離した生物(特に菌などの微生物)の至適生育温度付近で行うことが好ましい。
また、本発明は無細胞タンパク質合成により合成した新規ヌクレアーゼを用いて、認識配列、切断個所を同定することを特徴とする、新規ヌクレアーゼの解析方法である。上記の方法で選択されたヌクレアーゼは、更に簡便に認識配列や切断箇所などを同定することが可能である。本手法は特に、デオキシリボヌクレアーゼ、および制限エンドヌクレアーゼ、好ましくは制限エンドヌクレアーゼの認識配列および切断箇所を同定するのに有効である。
制限エンドヌクレアーゼの認識配列の決定は特に限定されないが、配列既知のDNAを切断しその切断パターンから認識配列を推定する方法が好ましく用いられる。このとき、複数の既知配列のDNAを用いると、より迅速に認識配列を決定することができる。
制限エンドヌクレアーゼの切断箇所の決定は特に限定されないが、好ましくはシーケンス法が用いられる。
本発明でスクリーニング、および解析されるヌクレアーゼは、デオキシリボヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼ、制限エンドヌクレアーゼである。
本発明の1つの実施形態では、いくつかの候補遺伝子を網羅的に高効率コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いて発現させ、λファージのDNAへの切断活性を指標として、スクリーニングを実施した。その結果、Pyrococcus abyssi由来PAB0105、およびPyrococcus horikoshii由来のPH0583に切断活性が認められた(図2、表1)。PAB0105には隣接する形でメチラーゼにホモロジーを示す遺伝子が存在することから、PAB0105が制限エンドヌクレアーゼである可能性が高いと推測される。
今回の候補遺伝子の絞込みには、上に示したように、ホモロジーを指標に見出すことのできるメチラーゼ遺伝子を指標とした。また制限酵素遺伝子は変異により活性を失っている場合が多い。そこで活性を失った制限酵素遺伝子と活性を保持した制限酵素遺伝子を見分ける指標としてGC含量とコドン使用に注目した。GC含量とコドン使用のゲノムとの違いが大きいほど、活性を保った制限酵素遺伝子である可能性が高いと考えられている。またホモロジーではなく二次構造予測による機能予測からも制限酵素遺伝子を予測することもできる。今回のPAB0105は、GC含量とコドン使用を指標として、制限酵素であることの推定を行った。
候補遺伝子は、天然の遺伝子だけでなく、活性を失った遺伝子の変異体を使用することもできる。例えば、公知のヌクレアーゼ(特に制限酵素)と比較してフレームシフトを起こすような挿入乃至欠失や、終止コドンを形成するような突然変異が起こっている場合、このような変異を取り除くことで候補遺伝子を準備できる場合があり、このようなものも候補遺伝子として使用できる。
実施例に詳細を述べるが、今回主に高効率コムギ胚芽無細胞タンパク質合成システムを用いて検討を進めることで、効率良く、制限酵素であることの同定、認識配列・切断個所の解明に至ることができた。
無細胞タンパク質合成によって合成したPAB0105を用いた様々な検討の結果、PAB0105は以下のような4塩基配列を認識して切断することが分かった。この配列は、4塩基配列認識酵素RsaIとCsp6Iと同じである。
Figure 2006042643
(式中、Aはアデニン、Gはグアニン、Tはチミン、Cはシトシンを示す。)
さらなる検討の結果、本発明の制限酵素は、以下の二重鎖デオキシリボ核酸中の矢印で示された結合を切断することが明らかとなった。
Figure 2006042643
この認識配列は、Csp6IとRsaIと同一であるが、切断個所は異なる。更に詳細な検索によると、該酵素の同一の切断個所で二本鎖DNAを切断し、一本鎖のTAを生じる
II型制限酵素は存在しない。よって、本発明によって、全く新しいタイプの制限酵素を見出せたことにより、本発明の有用性を確認することができた。
無細胞タンパク質合成に用いる細胞抽出液は特に限定されないが、植物由来、菌由来、動物由来の抽出液が好ましく用いられ、特に好ましくは植物由来、最も好ましくはコムギ胚芽抽出液が用いられる。無細胞タンパク質合成方法としては、特に限定されないが、好ましくは、大腸菌ライゼート、動物細胞ライゼート、もしくは植物由来ライゼートを用いる。最も好ましくはコムギ胚芽ライゼートが用いられる。最も好ましくは、高効率コムギ胚芽無細胞タンパク質抽出液を用いる方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96(2),559-564(2000))が用いられる。
さらに、無細胞タンパク質合成法は「重層法」(FEBS Letter 514, 102-105(2000))を併用することで、高収率でタンパク質を得ることができる。また、スピリン等によって開発された「透析法」(Science 242(4882),1162-1164(1988))を応用することによって、更に高収量なタンパク質合成が可能である(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96(2),559-564(2000))。すなわち、タンパク質合成に必要な、ATP、GTPやアミノ酸などを連続的に供給することにより、タンパク質合成量を向上させる方法である。また、これらの方法は、反応によって生じた副精製物の濃度を下げる効果もある。
実際に、本発明の制限酵素を使用する際には、精製された酵素を用いる法が好ましいといえる。精製方法としては、特に限定されないが、菌で生産された場合は、菌体を破砕した後、塩析、カラムクロマトグラフィーなどの方法で精製を行う。また、無細胞タンパク質合成で生産した場合も、塩析、カラムクロマトグラフィーなどの方法が有効である。
以下に本発明の実施例をあげることにより、本発明による効果をより一層明瞭なものとする。ただし、これらの実施例によって本発明の範囲は限定されるものではない。
実施例1:PAB0105のクローニングおよび様々な制限酵素候補遺伝子のクローニング
まず、P.abyssiのゲノムDNAを鋳型として目的の制限酵素遺伝子候補のORF(PAB0105;配列番号1)をPCRで増幅し、無細胞タンパク質合成用のベクターpEU3−NIIへクローニングした。具体的には、配列番号2および3に記載のプライマーを用いて、KOD−Plus−(東洋紡製)にて増幅を実施した(配列番号2のプライマーは制限酵素BamHIのサイトを含む)。増幅は、取扱い説明書に記載の一般的な方法に従って実施した。PCR産物はMagExtractor−PCR&Gel Clean up Kit(東洋紡製)にて精製した後、制限酵素BamHIにて消化した。その消化物をもう一度MagExtractor−PCR&Gel Clean up Kitにて精製した後、同様にEcoRVおよびBamHIにて消化したpEU3−NIIベクターと混合し、ライゲーション試薬Ligation High(東洋紡製)を至適量添加し、16℃にて1時間インキュベートし、コンピテントセルJM109(東洋紡製)を形質転換した。翌日コロニーから得られた菌体を培養し、得られたプラスミドをシーケンスし、正しくインサートが挿入されていることを確認した。同様にPyrococcus.abyssiとPyrococcus horikoshiiのゲノム配列中で制限酵素をコードすると思われた遺伝子をPCR増幅し、pEU3−NIIベクターへクローニングした。遺伝子配列は、Pyrococcus.abyssiに関してはhttp://www-archbac.u-psud.fr/Projects/Pab_r/Pab_rGenome.htmlで、Pyrococcus horikoshiiに関してはhttp://www.bio.nite.go.jp/dogan/MicroTop?GENOME_ID=ot3_G1にアクセスして、取得した。クローニングしたPyrococcus.abyssiの遺伝子を以下に示す;
PAB0178、PAB0285、PAB0589、PAB0590、PAB0591、PAB0658、PAB0660、PAB0661、PAB1033、PAB1143、PAB1144、PAB1256、PAB1258、PAB1281、PAB1282、PAB1284、PAB1779、PAB1780、PAB2059、PAB2060、PAB2149、PAB2150、PAB2154、PAB2180、PAB2314、PAB2315、PAB2316、PAB2318。クローニングしたPyrococcus horikoshiiの遺伝子を以下に示す;PH0186、PH0284、PH0583、PH0904、PH1305。その後、Qiafilter plasmid midi kit(Qiagen製)を用いてプラスミドを精製した。また、混入したリボヌクレアーゼを除去する目的でさらにフェノール/クロロホルム抽出したプラスミドを、次の転写へ用いた。
実施例2:無細胞タンパク質合成系による候補遺伝子の発現
まず、実施例1で調製したプラスミドクローンを鋳型として翻訳用のmRNAを合成した。具体的には、各種プラスミド 5μgに10×反応バッファー 5μl(Thermo T7 RNA polymeraseに添付)、25mM NTPs(アマシャムバイオサイエンス製)5μl、 RNase inhibitor(東洋紡製)1μl、Thermo T7 RNA polymerase(東洋紡製)3μl、さらに滅菌水を加え50μlになるようにして、37℃にて4時間反応させた。
反応後、副生成物の白濁を除く目的で12,000r.p.m.×2分間(4℃)遠心し、その上清をゲルろ過カラム(Microspin G−25:アマシャムバイオサイエンス製)を用いて、PROTEIOS Wheat germ Cell−free protein synthesis kit添付のバッファー(Buffer mix)へとバッファー交換した。合成されたmRNAの濃度は、フォトメーターを用いて測定した紫外吸収より以下の式を用いて計算した。
Figure 2006042643
次に、調製したmRNAを用いて、PROTEIOS Wheat germ Cell−free protein synthesis kit(東洋紡製)にて、無細胞タンパク質合成を実施した。具体的には、上述のmRNA溶液 (0.4μg/μl) 16.75 μlに、滅菌水 0.9μl、 Buffer#2(キット添付)1μl、Creatine kinase(10mg/ml:キット添付) 0.85μl、RNase inhibitor(東洋紡製)0.5μl、Wheat germ extract 5.0 μlを加え、反応溶液とした。次に、96穴ELISA用プレート(コースター製)に、まず、キット添付のBuffer mix125μlを添加し、その下に層を形成させるように反応溶液を静かに添加した。詳細はキット取扱い説明書に従って行った。反応は、26℃、16時間実施した。
実施例3:酵素溶液の精製
実施例2で調製した無細胞タンパク質発現させた反応液(酵素溶液)は、続いて加熱処理を行うことにより粗精製を行った。具体的には、実施例2で得られた無細胞反応液を12,000r.p.m.×15分間(4℃)遠心して、不溶化したタンパク質や夾雑物を除去し、上清を90℃・10分間インキュベートした。この加熱した反応液をさらに、12,000r.p.m.×15分間(4℃)することで、加熱により変性した夾雑タンパク質を分離し、その上清を酵素液とした(粗精製酵素液)。
次に、場合に応じて、得られた酵素液を透析と限外ろ過により、任意なバッファーへ置換した用いた。具体的には、透析は300μlの加熱処理酵素液に対して、lLの10mM Tris−HCl(pH7.5)、100mM KCl、1mM DTTに対して行い、さらに限外ろ過により液量が2/3になるまで行った。透析には、Slide−A−Lyser(PIERCE製)、限外ろ過には、CentriconYM−10(ミリポア製)を用いた。精製したPAB0105タンパク質のSDS−PAGEによる解析パターン(CBB染色)を代表として図1に示した。
実施例4:制限酵素活性の検出
実施例3にて調製した粗精製酵素液を用いて活性の測定を実施した。具体的には、λDNA (TaKaRa製)0.3μg、Pab Buffer(500mM Tris−HCl(pH7.5)、100mM MgCl2、1M NaCl、10mM DTT)1μl、滅菌水7μl、酵素溶液(場合に応じて加熱処理していないものも用いた)1μlを加え、10μlとし、65℃で1時間反応させた。反応後、これを1%アガロースゲル電気泳動し、エチジウムブロマイド染色してDNAの切断パターンから、活性の有無および強弱を判定した。ゲル電気泳動結果の一部を図2に示した。N番目のレーンはPAB0105の結果を示しており、明らかにDNAが切断を受けていることが分かる。このようにして調べたすべての結果を表1に示す。

Figure 2006042643
実施例5:至適反応温度、至適反応pHの測定
今回、一連の解析の代表としてPAB0105の翻訳産物を用いて種々の性質を解析した。まず、至適反応温度の検討を実施した。具体的には、pUC19ベクター(東洋紡製)0.2μgを鋳型として、実施例4に示した反応組成中で、様々な温度条件下、1時間反応させ、アガロースゲル電気泳動法により活性を比較した。その結果を図3に示した。pUC19は完全に切断を受けるとb、c、dのバンドを生じる(aは未消化物)。図から、75℃〜90℃においてb、c、dのバンドが強く見られることから、PAB0105の反応は、75〜90℃において至適であることが確認された。
次に、様々なpHのバッファー(実施例4で示した成分のバッファーのみを変更)を用いてpUC19の切断を行った。その結果、図4に示すように、pH4〜8の間でほぼ同じ活性を示すことが分かった。pH2.5におけるDNAの低分子化は、酸による加水分解の結果を示すものであり、酵素としては安定であるが、基質の安定性という意味で至適でない可能性もあると思われる。pH8.9でのパターンは、塩基性条件下でのDNAの変性に起因している可能性もある。
実施例6:認識部位の予測
PAB0105の翻訳産物を用いて認識部位の予測を行った。pUC19 0.4μg(1μl)にBuffer A(500mM Tris−HCl(pH7.5)、100mM MgCl2、1M NaCl、10mM DTT)1μl、粗精製PAB0105の翻訳産物 1μl、滅菌水 7μlを加え85℃、0.5〜12時間反応した。その後、反応物をアガロース電気泳動し、移動度から反応の最終産物であるDNA断片のおおまかな大きさを計算した。
最終産物の大きさの計算値をもとにREBASEのツールREBpredictorで同じ配列を認識する制限酵素 (Isoschizomer)があるか調べた。方法はREBpredictorのWeb上の説明文に従い、あらゆる制限酵素でpUC19を消化した場合にできるDNA断片の大きさを計算させた後PAB0105の場合に近いパターンを示す酵素を検索した。
まずPAB0105でpUC19を消化したときの最終消化産物を決めるために、pUC19をPAB0105で長時間消化し消化産物の経時変化を調べた。最終消化産物の大きさを移動度から計算するとの大まかに1875bp、700bp、211bpと推定された。
この値をもとに制限酵素データベースREBASEの制限酵素の認識配列を予測するツールREBpredictorで同様の切断パターンを示す制限酵素を検索したところ、RsaI(GTACを認識)の切断パターンが最も似ていた。
そこで次に、pUC19(東洋紡製)、pBR322(TaKaRa製)、およびφX174(TaKaRa製)それぞれ0.2μgに精製したPAB0105の翻訳産物 1μl、または、RsaI(New England Biolabs製)1μl、Buffer A(500mM Tris−HCl(pH7.5)、100mM MgCl2、1M NaCl、10mM DTT)1μlを加え、全体で10μlになるよう滅菌水を添加し、PAB0105は85℃、RsaIは37℃で4時間反応させた(PAB0105の反応には反応液の上にミネラルオイルを重層した)。反応後のサンプルを1%アガロースゲルで電気泳動した結果を、図5に示す。結果、すべてほとんど同じ切断パターンを示していることが分かる。つまりPAB0105はRsaIと同じGTACという配列を認識するRsaIのIsoschizomerであることが分かった。
実施例7:切断部位の決定
切断部位の決定は石野の方法に手を加えて行った(図6)(Nucleic Acids Res. 27, 4167−4174(1999)。
まず、pUC19の一本鎖DNAを得るためにアルカリ変性を行った。6pmol のpUC19を0.2N NaOH、0.2mM EDTAに加え、液の全体積を120μl とし、37℃で5分間静置したのちエタノール沈殿後60μl の滅菌水に溶解した。
シーケンス反応とKlenow Fragmentによる伸長反応には配列番号4、5 に示したオリゴヌクレオチドをT4 polynucleotide kinase(TaKaRa製)にて末端ラベル化したものを用いた。具体的には、10pmol のオリゴヌクレオチドに、酵素添付Buffer 1μl、 γ-33P−ATP(アマシャム
バイオサイエンス製)5μl、T4 polynucleotide kinase(TaKaRa製)1μl、滅菌水2μlを加え37℃、30分間反応させ、90℃、2分間DNAを変性させた。
制限酵素反応の基質となるdsDNAはKlenow Fragment(TaKaRa製)で合成した。上述の一本鎖pUC19 20μl(2 pmol)にラベルされたオリゴヌクレオチドを2 pmol 加え滅菌水を加え全体の容量を35μl として95℃で3分間加熱した後、ただちに氷上に移し5分間静置した。これに8μl のdNTPs(dATP、dTTP、dGTP、dCTP:それぞれ1mM)とKlenow Fragment添付Buffer5μl、Klenow Fragment 2μl(4U)を加え37℃で3時間反応させた。続いてMicrospin G−25 Columns(アマシャムバイオサイエンス製)を用いたゲル濾過により、未反応のヌクレオチドを除去し、さらにフェノール/クロロホルム処理で除タンパクしエタノール沈殿後20μl の滅菌水に溶解した。
次に、Klenow Fragment で合成された二本鎖pUC19をRsaI または、精製したPAB0105の翻訳産物で消化した。上述のラベルされた二本鎖pUC19を2μlに0.5μl(5U)のRsaI、RsaI添付Buffer 5μl、滅菌水42.5μl を加え37℃で一時間反応させた。また、同様に2μl のラベルされた二本鎖pUC19に加熱処理、バッファー置換したPAB0105の翻訳産物を2μl、Buffer A(500mM Tris−HCl(pH7.5)、100mM MgCl2、1M NaCl、10mM DTT)5μl、滅菌水 41μlを添加し、85℃で1時間反応した。酵素処理後それぞれのサンプルをMagExtractor−PCR&Gel Clean up Kit(東洋紡製)で精製し9μl の滅菌水で溶出した。これに次に述べるSequencing kitのStop solutionを4.5μl加え、95℃、3分間加熱した後、直ちに氷上で急冷した。
Sequence 反応はBcaBEST Didexy Sequencing kit(TaKaRa)を用い、基本的には取扱い説明書に従って行った。ただし鋳型DNAとプライマーは上述のKlenow Fragmentによる伸長反応の鋳型に使用したものと同じものを使った。またSequence 反応の基質であるdNTP−ddNTP 溶液はアマシャムバイオサイエンス社より購入したdNTP、ddNTPを表2 に示す組成で調製したものを用いた。
Figure 2006042643
次に、PAB0105によるDNAの切断部位を決定した。具体的には、末端を33Pでラベルした基質を切断し、シーケンスラダーとともにポリアクリルアミドゲル電気泳動した(図7))。RsaIは認識配列GTACのうちTとAの間を切断し平滑末端を生成する。これに対しPAB0105はAとCの間を認識配列の対称な位置で切断し3’側に2塩基突出した末端を生じることが分かった。このことから、PAB0105はRsaIと同じ配列を認識するが異なる部位で二本鎖DNAを切断するため、RsaIのNeoschizomerであるといえる(図8)。この切断様式はGTAを認識する制限酵素のなかで新規のものである(REBASE)。また3’TAという突出末端は制限酵素では新規の突出末端であることが証明された。
加熱精製されたPAB0105のSDS電気泳動パターン(CBB染色)を示す図。1:タンパク質合成前の溶液、2:反応後、3:加熱処理後 無細胞タンパク質合成にて発現させた制限エンドヌクレアーゼ候補タンパク質を用いたλファージ切断実験の結果。A:PAB1258、B:PAB1256、C:PAB1144、D:PAB1143、E:PAB1033、F:PAB0661、G:PAB0660、H:PAB0658、I:PAB0591、J:PAB0590、K:PAB0589、L:PAB0285、M:PAB0178、N:PAB0105、O:ネガティブコントロール(N.C.)。 PAB0105の至適反応温度を示す図。aはPAB0105でpUC19を切断した時の未消化物、b、c、dはPAB0105でpUC19を完全に消化したときに生じるバンドをそれぞれ示している。1:60℃、2:70℃、3:75℃、4:80℃、5:85℃、6:90℃、7:95℃ PAB0105の至適反応pHを示す図。aはPAB0105でpUC19を切断した時の未消化物、b、c、dはPAB0105でpUC19を完全に消化したときに生じるバンドをそれぞれ示している。1:pH2.5、2:pH4.3、3:pH4.9、4:pH5.6、5:pH6.3、6:pH6.7、7:pH7.3、8:pH7.8、9:pH8.9 PAB0105で様々なDNAを切断した場合の、アガロースゲル電気泳動パターンを示す図。1:RsaI、2:PabI 制限酵素の切断配列を解析するための原理を示す図。 RsaI、およびPAB0105の切断配列の解析結果を示す図。 RsaI、およびPAB0105の切断配列を示す図。

Claims (5)

  1. 候補遺伝子を無細胞タンパク質合成法にて合成し、そのヌクレアーゼ活性の有無を調べることを特徴とする、新規なヌクレアーゼのスクリーニング方法。
  2. ヌクレアーゼがデオキシリボヌクレアーゼもしくはリボヌクレアーゼであることを特徴とする、請求項1に記載の新規なヌクレアーゼのスクリーニング方法。
  3. ヌクレアーゼが制限エンドヌクレアーゼであることを特徴とする、請求項2に記載の新規なヌクレアーゼのスクリーニング方法。
  4. 無細胞タンパク質合成により合成した新規ヌクレアーゼを用いて、認識配列、切断個所を同定することを特徴とする、請求項1に記載の新規なヌクレアーゼのスクリーニング方法。
  5. 無細胞タンパク質合成に用いるエキストラクトが、植物由来、菌由来、動物由来であることを特徴とする、請求項1に記載の新規なヌクレアーゼのスクリーニング方法。

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