以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態は、テスト記録で正確な記録条件を求めることが可能な光学的情報記録媒体に関する。
図1は、本発明に係る光学的情報記録媒体100の外観図を示す。以下、光学的情報記録媒体100の具体例として、光ディスク100を説明する。
図2は、本発明に係る光学的記録情報媒体100の断面図を示す。光ディスク100は多層記録媒体の構造を示す。図2に示されるように、光ディスク100は、入射面110と、第1の情報記録層120と、第2の情報記録層130と、第1の情報記録層120と第2の情報記録層130とを分離する分離層150とを備える。
第1の情報記録層120と第2の情報記録層130は、それぞれ第1の基板140と第2の基板145に、溝または位相ピットを予め形成し、その上に保護膜、記録膜、反射膜などを成膜していくことで作成される。成膜した第1の基板140及び成膜した第2の基板145を紫外線硬化樹脂等によって接着し、分離層150を形成する。分離層150によって、第1の情報記録層120と第2の情報記録層130とは分離されている。
レーザ光170は、対物レンズ160によって集束されたレーザ光170が入射面110側から入射し、レーザ光170によって情報記録層に情報が記録される。図2は、第1の情報記録層120を通過したレーザ光170によって情報が第2の情報記録層130に記録される様子を示している。
次に、本実施の形態で用いる光ディスク100のフォーマットについて説明する。
図3は、第1の情報記録層120および第2の情報記録層130のフォーマット図である。図3では、光ディスク100のディスクの中心から半径方向に沿ったフォーマットを示している。光ディスク100の中心を半径方向0で示す。半径方向は、光ディスク100の中心からの距離を示す。図の左方向が光ディスク100の内周側、右方向が光ディスク100の外周側を示す。図3において、図の下方向からレーザ光を照射する場合を想定している。
第1の情報記録層120は、第1の再生専用領域(ROM)122と、第1の記録再生領域(RAM)124とを含む。第1の記録再生領域124は、第1のテスト記録領域(TEST)126と第1のデータ記録領域(DATA)128とを含む。図3において、第1の情報記録層120は、内周から、第1の再生専用領域122、第1のテスト記録領域126、第1のデータ記録領域128の順に配置されている。
第2の情報記録層130は、第2の再生専用領域(ROM)132と、第2の記録再生領域(RAM)134とを含む。第2の記録再生領域134は、第2のテスト記録領域(TEST)136と第2のデータ記録領域(DATA)138とを含む。第2の再生専用領域132と第2のテスト記録領域136との間の領域133は、例えば、使用しない未使用領域である。図3において、第2の情報記録層130は、内周から、第2の再生専用領域132、未使用領域133、第2のテスト記録領域136、第2のデータ記録領域138の順に配置されている。
第1の再生専用領域122および第2の再生専用領域132には、情報を示す位相ピット列が形成される。第1の記録再生領域124および第2の記録再生領域134には、情報を示す溝が形成される。
本明細書において、再生専用領域は、光ディスク自身の情報およびアドレス情報など、書き換える必要がない情報が記録されることを想定している。それに対し、記録再生領域は、書き換えられる可能性の高い情報が記録されることを想定している。このように、再生専用領域と記録再生領域とは、情報の性質が異なることから、上述したように異なる形態で情報を記録する。再生専用領域は書きかえられる必要性がない情報が記録されるので、位相ピット列によって、基板の成形と同時に情報を記録する。一方、記録再生領域は、書きかえられる可能性の高い情報が記録されるので、溝の上に成膜された記録膜に情報が記録マークの形態で記録される。
本明細書において、テスト記録領域は、そのテスト記録領域を含む情報記録層のテスト記録を行なうために使用される。データ記録領域は、ユーザデータ情報を記録するために使用される。
本実施の形態では、第1の情報記録層120および第2の情報記録層130は、ディスク中心からお互いに実質的に平行に、かつ、実質的に同じ長さで設けられている。
なお、本明細書全体に亘って、発明の理解を容易にするために、光学的情報記録媒体の情報記録層が2層の場合、光学的情報記録媒体の入射側により近い情報記録層を第1の情報記録層とよび、光学的情報記録媒体の入射側からより遠い情報記録層を第2の情報記録層とよぶ。ただし、以下に詳述するように、本発明の光学的情報記録媒体の情報記録層は2層に限定されるものでない。本発明は、複数の情報記録層を有する光学的情報記録媒体にも適用可能である。
再び、図3を参照して、光ディスク100のフォーマットを説明する。
第1の記録再生領域124は、第1の情報記録層120において、光ディスク100の中心から半径r1の位置から外周に亘って設けられる。
第2のテスト記録領域136は、第2の情報記録層130において、半径r2の位置から長さaの領域を有するように設けられる。
第1の記録再生領域124の半径方向における開始点は、第2のテスト記録領域136の半径方向における開始点と比べて長さδだけ短い。本明細書において、開始点とは、ある領域のうちの最も半径が短い地点、終了点とは、ある領域のうちの最も半径が長い地点を示す。
ここで、第2の情報記録層130のテスト記録を行なうために、第2のテスト記録領域136に情報を記録することを想定する。
第2のテスト記録領域136に情報を記録するためのレーザ光170は、第1の情報記録層120を通過する。レーザ光170は集束されて入射されるため、レーザ光170が通過する第1の情報記録層内の領域(スポット)175は、第2のテスト記録領域136より広い。本実施の形態では、光ディスク100は、第1の記録再生領域124が、第2のテスト記録領域136に情報を記録するためのレーザ光170が通過する第1の情報記録層内の領域175を含むように構成される。このために、第1の記録再生層124の開始点を、第2のテスト記録再生領域の開始点より、上述した長さδだけ短くしている。図3では、第2のテスト記録領域136の内周側のみを考慮しているが、この構成においては、第1のテスト記録領域126の開始点より外周側は、すべて第1の記録再生領域124が配置されているため、第2のテスト記録領域136の外周側に入射されるレーザ光170を考慮しなくてもよい。
第2のテスト記録領域136に集束されるレーザ光170が通過する第1の情報記録層120内の領域175の長さは、第2のテスト記録領域136と対応する長さaと、第2のテスト記録領域136の対応する領域のそれぞれの端から内周側および外周側への長さδとの和に相当する。すなわち、領域175の長さは、長さδ+a+δで表される。上述したように長さδは、第1の情報記録層120においてレーザ光170が広がっていることに起因する。第1の記録再生領域124が少なくともこの領域175を含むように、第1の記録再生領域124および第2のテスト記録領域136を配置すれば、第2のテスト記録領域136を用いてテスト記録を行なう際に、レーザ光170は第1の情報記録層120のうちの第1の記録再生領域124のみを通過する。
第2の情報記録層130のテスト記録を行なう際に、第1の情報記録層120のうちの第1の記録再生領域124のみをレーザ光170が通過するように、第1の記録再生領域124および第2のテスト記録領域136を配置するのは、以下の理由による。
記録再生領域と再生専用領域とは異なる形態で形成されるため、記録再生領域の透過率が、再生専用領域の透過率と異なる場合が発生し得る。このとき、レーザ光が情報記録層の再生専用領域と記録再生領域との両方を通過すると、それぞれの領域を通過して第2の情報記録層に到達する光量に差が生じてしまう。
一般に、記録再生領域のうちの未記録領域の透過率は、再生専用領域の透過率と同等とみなせるが、記録再生領域に情報が記録されている場合、記録再生領域のうちの記録領域の透過率は、再生専用領域の透過率と異なる。その結果、第1の情報記録層の記録再生領域が記録状態である場合に、第1の情報記録層120の再生専用領域122と記録再生領域124とで透過率が異なるためである。
記録再生領域は、記録マーク(アモルファス)の形成される。記録マークが形成されると、記録再生領域の透過率が増大する場合と減少する場合があるが、以下では増大する場合について説明する。このときには、記録再生領域における透過光量は再生専用領域よりも大きくなる。
比較のため、図4に、第1の情報記録層のフォーマットが、第2の情報記録層のフォーマットと同一である光ディスク400のフォーマット図を示す。
光ディスク400は、第1の情報記録層420と、第2の情報記録層430と、第1の情報記録層420と第2の情報記録層430とを分離する分離層450とを備える。
第1の情報記録層420は、第1の再生専用領域(ROM)422と、第1の記録再生領域(RAM)424とを含む。第1の記録再生領域424は、第1のテスト記録領域(TEST)426と第1のデータ記録領域(DATA)428とを含む。
第2の情報記録層430は、第2の再生専用領域(ROM)432と、第2の記録再生領域(RAM)434とを含む。第2の記録再生領域434は、第2のテスト記録領域(TEST)436と第2のデータ記録領域(DATA)438とを含む。
比較例において、第1の情報記録層420のフォーマットは、第2の情報記録層430のフォーマットと同一であるため、第1の記録再生領域424の開始点r1’は、第2のテスト記録領域436の開始点r2’と等しい。
この場合、第2の情報記録層430のテスト記録のために第2のテスト記録領域436の最内周側(すなわち、図4に示されるように第2のテスト記録領域436の左端)にレーザ光470が照射されると、レーザ光470の第1の情報記録層420内のスポットの半分は第1の再生専用領域422を透過している。
その結果、第1の情報記録層420を通過して第2の情報記録層430に到達するレーザ光470の光量は第1の再生専用領域422および第2の記録再生領域424の両方を通過する際に差が生じるため、正確なテスト記録を行なうことができない。例えば、記録再生領域の光の透過率が、再生専用領域の光の透過率よりも大きい場合、再生専用領域を通過するレーザ光の記録パワーをより高くした結果を所望の記録パワーと判断する。
従って、第2のテスト記録領域436の最内周(すなわち、図4の第2のテスト記録領域436の左端)でパワー学習のためのテスト記録を行うと、適正な記録パワーよりも高い記録パワーをテスト記録結果としてしまうので、実際のデータ情報の記録の際に、過大なパワーで記録することになる。
しかも、第2のテスト記録領域436に情報を記録するためのレーザ光470全体に対する第1の再生専用領域422を透過するレーザ光の割合によって、第2の情報記録層430まで到達するレーザ光470の光量は変化する。その結果、第2のテスト記録領域436のうちの情報を記録する位置によってテスト記録結果が異なってしまう。
これに対し、図3に示す本実施の形態でのフォーマットは、第2のテスト記録領域136のいずれの場所でテスト記録を行っても、レーザ光170が第1の再生専用領域122の影響を受けることはない。従って、テスト記録により正確な記録条件を求めることが可能となる。
以下、図5を用いて、第1の情報記録層120でのスポット175の広がりについてより詳細に説明する。図5は、第2の情報記録層130にレーザ光170を集束したときの、第1の情報記録層120におけるスポット175の長さを説明する図である。ここでは、説明を簡略化するために、第2の情報記録層130の集束点172に、レーザ光170を集束する場合を示している。このとき、集束点172にレーザ光が集束される角度θは、
θ=sin−1(NA/n)
となる。第1の情報記録層120と第2の情報記録層130との厚さ方向の距離をd、対物レンズ160の開口率をNA、分離層150の屈折率をnとすると、第1の情報記録層120におけるスポット175の半径δは、
δ=d・tanθ=d・tan(sin−1(NA/n))
と表される。
このことから、図3における第1のテスト記録領域126の開始点は、第2のテスト記録領域136の開始点よりも、少なくとも上式で示す長さδだけ離れていれば、第1の記録再生領域124は、レーザ光170による第1の情報記録層120内のスポット175を含む。従って、テスト記録により正確な記録条件を求めることができる。
以上述べたように、本実施の形態に係る光学的情報記録媒体100は、第1の記録再生領域124が、第2のテスト記録領域136に情報を記録するレーザ光170が通過する第1の情報記録層120内の領域175を含むように構成されているので、テスト記録により正確な記録条件を求めることが可能となる。
なお、図3では、第2の再生専用領域132と第2のテスト記録領域136との間を未使用領域133としたが、本発明はこれに限定されない。
例えば、図6に示すように未使用領域133を第3のデータ記録領域137に置き換えてもよい。このとき、第3のデータ記録領域137の長さは少なくとも長さδ設けることができる。図6に示される光ディスク600は、未使用領域133を第3のデータ記録領域137に置き換えた点を除いて、図3に示した光ディスク100のフォーマットと同じである。このフォーマットのように構成することで、図3に示される光ディスク100と比較してデータ記録領域を増加させることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態において、2つの情報記録層の中心がずれて配置される場合を説明する。
実際に多層記録媒体を作製する場合、複数の情報記録層を接着する工程で情報記録層の位置にずれが生じることがある。このように情報記録層間の位置ずれに起因して、テスト記録領域の開始点にずれが生じる場合、実施の形態1で考慮したずれの長さδだけでは不足してしまう。本実施の形態を適用することにより、2つの情報記録層が光ディスクの中心からずれて配置されてしまう場合にも、本発明の効果を得ることができる。
図7は、第1の情報記録層720と第2の情報記録層730との間にδmの位置ずれが存在する場合の光ディスク700のフォーマット図である。
光ディスク700は、第1の情報記録層720と、第2の情報記録層730と、第1の情報記録層720と第2の情報記録層730とを分離する分離層750とを備える。
第1の情報記録層720は、第1の再生専用領域(ROM)722と、第1の記録再生領域(RAM)724とを含む。第1の記録再生領域724は、第1のテスト記録領域(TEST)726と第1のデータ記録領域(DATA)728とを含む。図7において、第1の情報記録層720は、内周から、第1の再生専用領域722、第1のテスト記録領域726、第1のデータ記録領域728の順に配置されている。
第2の情報記録層730は、第2の再生専用領域(ROM)732と、第2の記録再生領域(RAM)734とを含む。第2の情報記録層730は、未使用領域733を含んでもよい。第2の記録再生領域734は、第2のテスト記録領域(TEST)736と第2のデータ記録領域(DATA)738とを含む。図7において、第1の情報記録層730は、内周から、第2の再生専用領域732、未使用領域733、第2のテスト記録領域736、第2のデータ記録領域738の順に配置されている。
この図において、第1の情報記録層720および第2の情報記録層730のディスク中心を基準に定義した場合の第1の記録再生領域724、第2のテスト記録領域736の開始点のずれδ’は、
δ’=r2−r1=δ+δm=d・tan(sin−1(NA/n))+δmと表される。これは、第1の実施の形態で示したような第1の情報記録層720におけるスポット725の長さδに、第1の情報記録層720および第2の情報記録層730との位置ずれの長さδmを加えた値を表している。
従って、第1の記録再生領域724の開始点は、第2のテスト記録領域736の開始点よりも、少なくとも上式で示す長さδ’だけ離れていれば、第1の情報記録層720と第2の情報記録層730との間に長さδmの位置ずれが生じていても、第1の記録再生領域724は、第1の情報記録層720におけるレーザ光770のスポット775を含む。
すなわち第1の情報記録層720および第2の情報記録層730のディスク中心を基準に定義して考えると、第1の記録再生領域724が、領域775を含むことが必要である。ここで、領域775は、第2のテスト記録領域736に情報を記録するためのレーザ光770が通過する第1の情報記録層720内の領域である。領域775の長さは、第2のテスト記録領域736に対応する長さaと、第2のテスト記録領域736の端のそれぞれからの長さδ’との和が必要である(すなわち、第1の情報記録層720における長さδ’+a+δ’)。第1の記録再生領域724が領域775を含むように、第1の記録再生領域724と第2のテスト記録領域736を配置すれば、テスト記録により正確な記録条件を求めることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態において、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が通過する第1の情報記録層内の領域が記録状態領域である具体例を説明する。
図8は、本実施の形態における光ディスク800のフォーマット図である。
光ディスク800は、第1の情報記録層820と、第2の情報記録層830と、第1の情報記録層820と第2の情報記録層830とを分離する分離層850とを備える。
第1の情報記録層820は、第1の再生専用領域822と、第1の記録再生領域824とを含む。第1の記録再生領域824は、第1のテスト記録領域826と第1のデータ記録領域828とを含む。図8において、第1の情報記録層820は、内周から、第1の再生専用領域822、第1のテスト記録領域826、第1のデータ記録領域828の順に配置されている。
第2の情報記録層830は、第2の再生専用領域832と、第2の記録再生領域834とを含む。第2の記録再生領域834は、第2のテスト記録領域836と第2のデータ記録領域838とを含む。第2の再生専用領域832と第2のテスト記録領域836との間の領域833は、例えば、使用しない未使用領域としてもよい。図8において、第2の情報記録層830は、内周から、第2の再生専用領域832、未使用領域833、第2のテスト記録領域836、第2のデータ記録領域838の順に配置されている。
また、光ディスク800では、第1の記録再生領域824は、第2のテスト記録領域836に情報を記録するためのレーザ光870が通過する第1の情報記録層820内の記録状態領域875を含む。記録状態領域875は、領域内のすべてが記録状態である。記録状態領域875の長さは、第2のテスト記録領域836に対応する長さaと、第2のテスト記録領域836の端のそれぞれの位置から長さδとの和(すなわち、第1の情報記録層820における長さδ+a+δの領域)である。
記録状態領域875は、例えば、第2のテスト記録領域836を使用する前に、第1の記録再生領域824のうちの領域875全体に予め情報を記録することによって、形成される。
これにより、レーザ光870を第2のテスト記録領域836のどの部分に集束させても、第1の記録再生領域824のうちのレーザ光870が通過する部分(すなわち、領域875)の透過率を等しくすることができる。第1の記録再生領域824に情報が記録されているか否かによって光の透過率が異なるが、領域875は全て記録状態であるからである。従って、図8に示される記録状態領域875に何らかの情報を記録しておけば、第2のテスト記録領域836でテスト記録を行う際に到達するレーザ光870の光量が等しくなる。その結果、正しい記録条件を求めることが可能となる。
本実施の形態において、第1の情報記録層820と第2の情報記録層830と間に位置ずれが生じる場合には、実施の形態2で説明したのと同様に、記録状態領域875の長さδ’+a+δ’にあらかじめ情報を記録してもよい。
また、記録する情報は、データ情報に基づいてデータ情報を変調して得られた情報であっても、ダミーデータ情報を変調して得られた情報であってもよい。
また、記録状態領域875への記録は、光ディスク製造後のサーティファイ時に行えば、記録装置でこの記録工程を行う必要性がなくなるため、新しい光ディスクを記録装置に導入する際に起動時間が短縮できる点でより好ましい。
次に、本実施の形態に係る光学的情報記録媒体に記録を行なう光学的記録装置を説明する。
図9は、本実施の形態に係る光学的情報記録媒体を作成するための光学的情報記録装置900である。以下、図9を用いてこの光学的情報記録装置900の動作を説明する。
光学的情報記録装置900は光ディスク800を回転させるスピンドルモーター907と、レーザ光源(図示せず)を備えて光ディスク800の所望の情報記録層の所望の箇所にレーザ光を集束させる光ヘッド903とを備えている。この光学的情報記録装置900全体の動作は、システム制御部901によって制御される。この時点で、光ディスク800の記録状態領域875は、完全に記録された状態であることを意図しない。
光学的情報記録装置900は、さらに、データ情報を変調して得られた情報に応じて、光ヘッド903内のレーザ光源の光強度を変調する記録部902と、光ディスク800からの反射光に基づく再生信号の波形処理を行い再生情報を復調するための再生部904を備えている。また、第1の情報記録層820で、第2のテスト記録領域836への記録時にレーザ光870の光路となり得る領域か否か(すなわち、第2のテスト領域836に情報を記録するためのレーザ光が通過する領域875であるか否か)を判別する干渉領域判別部905と、その第2のテスト領域836に情報を記録するためのレーザ光が通過する領域875を再生して、再生結果に基づいて領域875が記録状態か未記録状態かを判別する記録状態判別部906とを含む。
以下、図8と図9を用いて、本実施の形態による光学的情報記録装置900の動作について説明する。まず、システム制御回路901がスピンドルモーター907を回転させ、光ヘッド903が光ディスク800上の第1の情報記録層820上にレーザ光870を集束して、第1の情報記録層820を再生する。再生部904からのアドレス再生情報に基づいて、干渉領域判別部905は、再生している領域が領域875であるか否かを判断する。この判断結果に基づき、システム制御部901は領域875内のある領域まで光ヘッド903をシークし、領域875内のある領域を再生する。
そして再生部904からの再生情報に基づき、領域875内のある領域で再生しているトラックが記録状態か未記録状態かを記録状態判別部906で判断する。この判断結果に基づき、未記録状態の場合には領域875内のある領域のトラックに何らかの情報を記録し、領域875のある領域を記録状態にする。あるいは、記録状態判別部906の判断結果に基づき、既に記録状態の場合には、領域875内の再生したある領域が既に記録状態であることを確認する。これらの動作を領域875全体にわたって行う。
このようにすれば、領域875は全て記録状態となり、したがって、記録状態領域として機能する。レーザ光870を第2のテスト記録領域836のどの部分に集束させたときでも、第2のテスト記録領域836に情報を記録するためのレーザ光が通過する第1の情報記録層内の領域875の光の透過率を等しくすることができる。従って、第2の情報記録層のテスト記録領域836中のどの部分でテスト記録を行うときでも到達するレーザ光の光量が等しくなり、正しい記録条件を求めることが可能となる。
(実施の形態4)
実施の形態3では、第2のテスト記録領域836に情報を記録するためのレーザ光が通過する第1の情報記録層内の領域875を記録状態領域にする動作を説明した。それに対し、本実施の形態では、第2のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が通過する第1の情報記録層内の領域をすべて未記録状態にする具体例を説明する。
図10は、本発明による実施の形態4に係る光ディスク1000のフォーマット図である。
光ディスク1000は、第1の情報記録層1020と、第2の情報記録層1030と、第1の情報記録層1020と第2の情報記録層1030とを分離する分離層1050とを備える。
第1の情報記録層1020は、第1の再生専用領域1022と、第1の記録再生領域1024とを含む。第1の記録再生領域1024は、第1のテスト記録領域1026と第1のデータ記録領域1028とを含む。図10において、第1の情報記録層1020は、内周から、第1の再生専用領域1022、第1のテスト記録領域1026、第1のデータ記録領域1028の順に配置されている。
第2の情報記録層1030は、第2の再生専用領域1032と、第2の記録再生領域1034とを含む。第2の記録再生領域1034は、第2のテスト記録領域1036と第2のデータ記録領域1038とを含む。第2の再生専用領域1032と第2のテスト記録領域1036との間の領域1033は、例えば、使用しない未使用領域としてもよい。図10において、第2の情報記録層1030は、内周から、第2の再生専用領域1032、未使用領域1033、第2のテスト記録領域1036、第2のデータ記録領域1038の順に配置されている。
また、光ディスク1000では、第1の記録再生領域1024は、第2のテスト記録領域1036に情報を記録するためのレーザ光1070が通過する第1の情報記録層1020内の未記録領域1075を含む。未記録領域1075は、領域全体が未記録な領域である。未記録領域1075の長さは、第2のテスト記録領域1036に対応する長さaと、第2のテスト記録領域1036の端のそれぞれの位置からの長さδとの和(すなわち、第1の情報記録層1020における長さδ+a+δの領域)である。
図10に示すように第1の記録再生領域1024については、第2のテスト記録領域1036に対応する領域と、第2のテスト記録領域1036の端のそれぞれの位置からδ離れた位置までの範囲(すなわち、第1の情報記録層1020におけるδ+a+δの範囲)は、テスト記録時には未記録としておく。
また、テスト記録結果をもとに最適な記録条件を算出するための情報を、第1の情報記録層1020および第2の情報記録層1030のうちの任意の領域に記録してもよい。この場合、最適な記録条件を算出するための情報は、例えば、未記録状態と記録状態での透過光量の差から、未記録状態での記録条件に一定の係数を乗じるための情報である。本実施の形態においては、第2のテスト記録領域1036に情報を記録するためのレーザ光が通過する第1の情報記録層1020内の領域はすべて未記録状態である。したがって、この条件で求めた記録条件は、情報が記録された第1の情報記録層1020を通過したレーザ光によって第2のデータ記録領域1038において記録を行なう際に最適でない可能性がある。
以下に、未記録状態と記録状態での透過光量の差から、未記録状態での記録条件に一定の係数を乗じる具体例を説明する。
未記録状態での透過光量に対して記録状態での透過光量がs倍になる光ディスクの場合、未記録状態でテスト記録して求めた最適記録パワーがPmであったとすると、記録状態での最適記録パワーPkは以下のように算出することができる。
Pk=Pm/s
ここで、sを透過率補正係数と定義する。このような算出をすれば、あらかじめ第1の情報記録層1020の特定の領域を記録しなくても、第1の情報記録層1020を通過する領域が記録状態の場合の最適な記録パワーを推定することができる。そのため、実施の形態3を用いる場合に、第1の情報記録層820の記録状態領域875を作成するのに時間がかかる場合には、実施の形態3のように最適な記録条件を直接的に求めるのではなく、本実施の形態のように最適な記録条件を算出してもよい。
なお、本実施の形態で第1の情報記録層1020と第2の情報記録層1030との位置にずれが生じる可能性がある場合には、実施の形態2で説明したのと同様に、長さδ’+a+δ’の未記録領域1075を、テスト記録時に未記録としておくことが好ましい。
また本実施の形態では、最適記録パワーを決定するための透過率補正係数sを光ディスク1000の特定の領域(例えば、第1の再生専用領域1022または第2の再生専用領域1032)に記録しておくことがより好ましい。この場合、光ディスク毎に透過率補正係数sが異なる場合でも、光ディスクを光ディスク記録装置に投入すれば、光ディスク記録装置はこの係数を即座に知ることができるので、光ディスク記録装置が、実際に情報を記録するまでの時間を短縮することができる。
また、本実施の形態において、テスト記録時の未記録領域は、常に情報を記録しない記録禁止領域でもよい。あるいは、トラッキングサーボのためのガイド溝を形成しないミラー領域でもよい。
(実施の形態5)
上記実施の形態1〜4において、第1の情報記録層において記録再生領域がレーザ光のスポットを含む形態を説明してきたが、本発明はこれに限定されない。本実施の形態は、第1の情報記録層の再生専用領域がレーザ光のスポットを含む形態を説明する。
図11は、本発明による実施の形態5に係る光ディスク1100のフォーマット図である。
光ディスク1100は、第1の情報記録層1120と、第2の情報記録層1130と、第1の情報記録層1120と第2の情報記録層1130とを分離する分離層1150とを備える。
第1の情報記録層1120は、第1の再生専用領域1122と、第1の記録再生領域1124とを含む。第1の記録再生領域1124は、第1のテスト記録領域1126と、第1のデータ記録領域1128とを含む。図11において、第1の情報記録層1120は、内周から、第1の再生専用領域1122、第1のテスト記録領域1126、第1のデータ記録領域1128の順に配置されている。
第2の情報記録層1130は、第2の再生専用領域1132と、第3の再生専用領域1133と、第2の記録再生領域1134とを含む。第2の記録再生領域1134は、第2のテスト記録領域1136と、第2のデータ記録領域1138とを含む。図11において、第1の情報記録層1130は、内周から、第2の再生専用領域1132、第2のテスト記録領域1136、第3の再生専用領域1133、第2のデータ記録領域1138の順に配置されている。
図11に示すように、第1の再生専用領域1122は、第2のテスト記録領域1136に情報を記録するためのレーザ光1170が通過する第1の情報記録層1120の領域(スポット)1175を含むように構成される。領域1175の長さは、第2のテスト記録領域1136に対応する長さaと、第2のテスト記録領域1136の端のそれぞれ位置からの長さδとの和(すなわち、第1の情報記録層1120におけるδ+a+δの範囲)である。これにより、第2のテスト記録領域1136のいずれの位置でテスト記録を行っても、第2のテスト記録領域1136に情報を記録するためのレーザ光は、第1の再生専用領域1122を通過したレーザ光である。その結果、テスト記録を行う位置によって、求めた記録条件がばらつくことはなくなる。
さらに、本実施の形態では、実施の形態4で説明したのと同様に、テスト記録結果をもとに最適な記録条件を算出することがより好ましい。これにより、記録マーク列が形成されて記録状態となっている第1の記録再生領域1124を通過して記録する場合の最適な記録条件を推定できる。
なお、本実施の形態で第1の情報記録層1120と第2の情報記録層1130との間に位置ずれが生じる可能性がある場合、実施の形態2で上述したのと同様に、第1の再生専用領域1122が、第1の情報記録層1120における領域1175の長さδ’+a+δ’を含むように配置する。
(実施の形態6)
上記実施の形態1〜5では、第2の情報記録層のテスト記録を行なうために第2の情報記録層内のテスト記録領域に情報を記録する具体例を説明した。しかし、上記実施の形態1〜5によって説明したようなテスト記録時だけでなく、第2の情報記録層の記録再生領域にデータを記録する場合でも、記録時にレーザ光が第1の情報記録層の再生専用領域と記録再生領域の両方を透過すると、第2の情報記録層の記録再生領域に到達するレーザ光の光量が変化するために正確な記録ができず、記録した信号を再生する際の信号品質が低下する可能性がある。
本実施の形態では、第2の情報記録層の記録再生領域に情報を記録する場合の具体例を説明する。
図12は、本発明による実施の形態6に係る光ディスク1200のフォーマット図である。
光ディスク1200は、第1の情報記録層1220と、第2の情報記録層1230と、第1の情報記録層1220と第2の情報記録層1230とを分離する分離層1250とを備える。
第1の情報記録層1220は、第1の再生専用領域1222と、第1の記録再生領域1224とを含む。図12において、第1の情報記録層1220は、内周から、第1の再生専用領域1222、第1の記録再生領域1224の順に配置されている。
第2の情報記録層1230は、第2の再生専用領域1232と、第2の記録再生領域1234とを含む。図12において、第2の情報記録層1230は、内周から、第2の再生専用領域1232、第2の記録再生領域1234の順に配置されている。
図12に示すように第1の再生専用領域1222の面積を第2の情報記録層の再生専用領域1232の面積よりも小さくすることが好ましい。
図12では、第1の記録再生領域1224の開始点が、第2の記録再生領域1234の開始点より長さδだけ短いように配置される。このように構成されることにより、第2の記録再生領域1234のいずれの部分に情報を記録しても、第1の記録再生層1224は、第2の記録再生領域1234に情報を記録するためのレーザ光が通過する第1の情報記録層1220の領域1275を含むので、第2の記録再生領域1234は、第1の記録再生領域1224の影響のみを受けて、第1の再生専用領域1222の影響を受けることはない。したがって、第2の記録再生領域1234に正確に情報を記録することができる。
図12の実施の形態で第1の情報記録層1220および第2の情報記録層1230の位置にずれが生じる可能性がある場合には、実施の形態2と同様に、第1の記録再生領域1224の開始点と第2の記録再生領域1234の開始点とをδ’だけずらした構成とするのが好ましい。
なお、図12において第1の再生専用領域1222の面積をゼロとしてもよい。これにより、第1の情報記録層1220の製造時に第1の再生専用領域1222の位相ピットを形成する必要がないので、ディスク基板の製造工程を簡略化することができる。
(実施の形態7)
なお、上記実施の形態1〜6で用いられる情報記録層の数は2であったが、本発明はこれに限定されない。本発明による情報記録層の数は3層以上あってもよい。
図13は、本発明による実施の形態7に係る光ディスク1300のフォーマット図である。
光ディスク1300は実施の形態1を拡張した別の形態の媒体である。この形態は情報記録層をN層設けたものであり、N層の中から3つの情報記録層i、j、kを対象として、テスト記録で正確な記録条件を求めることができるように記録再生領域を配置した場合を示している。
本実施の形態では、第1の情報記録層1310はレーザ入射側から見てi番目の層であり、第2の情報記録層1320はj番目、第3の情報記録層1330はk番目である。第1の情報記録層1310と第2の情報記録層1320との間の距離をdij、第2の情報記録層1320と第3の情報記録層1330との間の距離をdjk、第1の情報記録層1310と第3の情報記録層1330との間の距離をdikとする。
第1の情報記録層1310は、第1の再生専用領域1312と、第1の記録再生領域1314とを含む。第1の記録再生領域1314は、第1のテスト記録領域1316と、第1のデータ記録領域1318とを含む。
第2の情報記録層1320は、第2の再生専用領域1322と、第2の記録再生領域1324とを含む。第2の記録再生領域1324は、第2のテスト記録領域1326と、第2のデータ記録領域1328とを含む。
第3の情報記録層1330は、第3の再生専用領域1332と、第3の記録再生領域1334とを含む。第3の記録再生領域1334は、第3のテスト記録領域1336と、第3のデータ記録領域1338とを含む。
この場合、第1の記録再生領域1312の開始点は、第2のテスト記録領域1326の開始点から少なくともδij離れて配置し、かつ、第3のテスト記録領域1336の開始点から少なくともδik離れて配置する。さらに、第2の記録再生層1324の開始点は、第3のテスト記録領域1336の開始点から少なくともδjk離れて配置する。ここで、
δij=dij・tan(sin−1(NA/n))
δik=dik・tan(sin−1(NA/n))
δjk=djk・tan(sin−1(NA/n))
で表される。ここで、NAは、レーザ光1370を集束させる対物レンズの開口率であり、nは、第1の情報記録層1310と、第2の情報記録層1320と、第3の情報記録層1330との間の分離層の屈折率である。
このように構成すれば、第2のテスト記録領域1326に情報を記録ためのレーザ光1370は、第1の情報記録層1310では第1の記録再生領域1314のみを通過する。また、第3のテスト記録領域1336に情報を記録するためのレーザ光1370は、第1の情報記録層1310では第1の記録再生領域1314のみ通過し、第2の情報記録層1320では第2の記録再生領域1324のみを通過する。
本実施の形態のように、対象とする情報記録層が、例えば、第1の情報記録層1310と第2の情報記録層1320との間、あるいは、任意の場所に存在する場合であっても、第2の情報記録層1320が第1の情報記録層1310よりも入射面に対してより遠くに位置し、第2のテスト記録領域1326に情報を記録するレーザ光1370が通過する第1の情報記録層1310内の領域が、全て記録再生領域であれば、実施の形態1と同様の効果が得られる。
(実施の形態8)
図14は、本発明による実施の形態8に係る光ディスク1400のフォーマットを説明するための断面図である。
光ディスク1400は、第1の情報記録層1420と、第2の情報記録層1430と、第1の情報記録層1420と第2の情報記録層1430とを分離する分離層1450とを備える。
第1の情報記録層1420は、第1の再生専用領域1422と、第1の記録再生領域1424と、第2の再生専用領域1429とを含む。第1の記録再生領域1424は、第1のテスト記録領域1426と、第1のデータ記録領域1428とを含む。図14において、第1の情報記録層1420は、内周から、第1のテスト記録領域1426、第1の再生専用領域1422、第1のデータ記録領域1428、第2の再生専用領域1429の順に配置されている。また、第1の情報記録層1420は、第1のリードイン領域1425と、第1のリードアウト領域1427とを含む。第1のリードイン領域1425は、第1のテスト記録領域1426と、第1の再生専用領域1422とを含む。第1のリードアウト領域1427は、第2の再生専用領域1429を含む。
第2の情報記録層1430は、第3の再生専用領域1432と、第2の記録再生領域1434と、第4の再生専用領域1433と、第5の再生専用領域1439とを含む。第2の記録再生領域1434は、第2のテスト記録領域1436と、第2のデータ記録領域1438とを含む。図14において、第2の情報記録層1430は、内周から、第3の再生専用領域1432、第2のテスト記録領域1436、第4の再生専用領域1433、第2のデータ記録領域1438、第5の再生専用領域1439の順に配置されている。また、第2の情報記録層1430は、第2のリードイン領域1435と、第2のリードアウト領域1437とを含む。第2のリードイン領域1435は、第3の再生専用領域1432、第2のテスト記録領域1436と、第4の再生専用領域1433とを含む。第2のリードアウト領域1437は、第5の再生専用領域1439を含む。
本実施の形態において、光ディスク1400の管理を容易にすることを優先する場合、光ディスク1400に示すように第1のデータ記録領域1428と第2のデータ記録領域1438の大きさを等しくしたフォーマットにすることが好ましい。光ディスク1400では、第1のデータ記録領域1428および第2のデータ記録領域1438の内周側に第1のリードイン領域1425および第2のリードイン領域1435、外周側に第1のリードアウト領域1427および第2のリードアウト領域1439とをそれぞれ設ける。また、第1のリードイン領域1425の内部に第1のテスト記録領域1426を設け、第2のリードイン領域1435の内部に第2のテスト記録領域1436を設ける。
ここで、第1のテスト記録領域1426と第2のテスト記録領域1436の位置を長さδ以上ずらし、第1の再生専用領域1422は、第2のテスト記録領域1436に情報を記録するためのレーザ光1470が通過する第1の情報記録層1410内の不均一光防止領域1475を含む。領域1475の長さは、長さδ+a+δで表される。不均一光防止領域1475は、その内部に入射するレーザ光1470を不均一な形状で透過することを防ぐ領域である。
不均一光防止領域1475は、例えば、再生専用領域である。
あるいは、不均一光防止領域1475は、記録禁止領域またはミラー領域であってもよい。これにより、第2のテスト記録領域1436のいずれの位置でテスト記録を行っても、求めた記録条件がばらつくことがなくなる。さらに、このように形成することで、第1リードイン領域1425および第2のリードイン領域1435、第1のデータ記録領域1428および第2のデータ記録領域1438、第1のリードアウト領域1427および第2のリードアウト領域1437のそれぞれの開始点・終了点・容量を、第1の情報記録層1420と第2の情報記録層1430とで等しくすることができるので、光ディスク1400の欠陥管理および記録情報の管理が行ないやすいという利点を有する。なお、第1のテスト記録領域1426、第2のテスト記録領域1436は、第1のリードアウト領域1427、第2のリードアウト領域1437に設けても同様の効果が得られる。
さらに、上記の実施の形態で用いられる各領域の配置、ディスクの形状は上述した形態に限定されるものではなく、媒体自身や記録再生装置に応じた適切な形態とすることが可能であることは言うまでもない。
(産業上の利用可能性)
以上に述べたように、本発明の光学的情報記録媒体によれば、第2の情報記録層でのテスト記録時に、第1の情報記録層の内のレーザ光が通過する領域の全て記録状態または全て未記録状態のいずれか一方とするので、テスト記録により正確な記録条件を求めることが可能となる。
また、本発明の光学的情報記録媒体によれば、第2の情報記録層でのテスト記録時に、第1の情報記録層の内のレーザ光が通過する領域を全て再生専用領域または全て記録再生領域とするので、テスト記録により正確な記録条件を求めることが可能となる。
また、本発明の光学的情報記録媒体によれば、第1の情報記録層の再生専用領域の面積を第2の情報記録層の再生専用領域の面積よりも小さくすることにより、第2の情報記録層の記録再生領域のいずれの部分にも正確に情報を記録することができる。
本発明の光学的情報記録媒体によれば、第2の情報記録層の記録再生領域に情報を記録する際に、第1の情報記録層の内のレーザ光が通過する領域を全て再生専用領域または全て記録再生領域とするので、記録再生領域に情報を正確に記録することが可能となる。
また、本発明の光学的情報記録方法によれば、第2の情報記録層のテスト記録時に、第1の情報記録層の記録再生領域の内のレーザ光が通過する領域に、予め情報を記録しておくので、テスト記録により正確な記録条件を求めることが可能となる。
また、本発明の記録再生方法によれば、第2の情報記録層のテスト記録時に、第1の情報記録層の記録再生領域のうちの、レーザ光が通過する領域が未記録状態の時には、テスト記録結果に基づいて、最適な記録条件を算出することにより、正確な記録条件を求めることが可能となる。
本発明による媒体は、再生専用領域または記録再生領域の一方が、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する第1の情報記録層内の領域を含む。第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光は、再生専用領域または記録再生領域のいずれか一方を通過した光である。したがって、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光は、第1の情報記録層の再生専用領域と記録再生領域との両方を通過する場合に生じる通過光量の変化の影響を受けない。その結果、第2の情報記録層のテスト記録領域を用いて正確な記録条件を求めることができる。
第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域は、テスト記録領域に対応する領域の端からテスト記録領域の外側方向に長さδ離れた領域であり、長さδは、δ=d・tan(sin−1(NA/n))、ここで、第1の情報記録層と第2の情報記録層との厚さ方向の距離をd、分離層の屈折率をn、レーザ光を集束するための対物レンズの開口率をNAとして表すことができる。
第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域は、テスト記録領域に対応する領域の端からテスト記録領域の外側方向に長さδ’離れた領域であり、長さδ’は、δ’=d・tan(sin−1(NA/n))+δm、ここで、δmは情報記録層の最大の位置ずれ量で表すことができる。
したがって、情報記録層の相対的な位置にずれや偏心が無視できない場合でも、第2の情報記録層でのテスト記録時に、第1の情報記録層による光量変化の影響を受けることなく、第2の情報記録層において正確な記録条件を求めることができる。
また、第2の情報記録層で、少なくともテスト記録領域の端の位置からδ(各情報記録層の相対的な位置にずれや偏心が無視できない場合にはδ’)離れた位置までの領域をデータ記録領域とすることが、データ記録領域を増加させることができる点でより好ましい。
本発明による媒体は、全て記録状態または全て未記録状態の所定の領域が、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する第1の情報記録層内の領域を含む。第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が通過する第1の情報記録層の記録状態は、記録状態または全て未記録状態のいずれかである。したがって、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光は、記録状態の領域と未記録状態の領域が両方を通過する存在することよって生じる通過光量の変化の影響を受けない。その結果、第2の情報記録層のテスト記録領域を使用して正確な記録条件を求めることができる。
全て未記録状態の所定の領域は、例えば、記録禁止領域、ミラー領域、リードイン領域である。
また、本発明に係る第2の光学的情報記録媒体については、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域は、テスト記録領域に対応する領域の端からテスト記録領域の外側方向に長さδ離れた領域であり、長さδは、δ=d・tan(sin−1(NA/n))であり、ここで、第1の情報記録層と第2の情報記録層との厚さ方向距離をd、光学的情報記録媒体の分離層の屈折率をn、レーザ光を集束するための対物レンズの開口率をNAと表すことができる。
本発明に係る第2の光学的情報記録媒体については、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域は、テスト記録領域に対応する領域の端からテスト記録領域の外側方向に長さδ’離れた領域であり、長さδ’は、δ’=d・tan(sin−1(NA/n))+δm、ここで、情報記録層の最大の位置ずれ量をδmとして表すことができる。
この媒体により、各情報記録層の相対的な位置にずれや偏心が無視できない場合でも、第2の情報記録層でのテスト記録時に、第1の情報記録層による光量変化の影響を受けることなく、第2の情報記録層のテスト記録領域を用いて正確な記録条件を求めることができる。
本発明に係る第2の光学的情報記録媒体については、第2の情報記録層で、少なくともテスト記録領域の端の位置からδ(各情報記録層の相対的な位置にずれや偏心が無視できない場合にはδ’)離れた位置までの領域をデータ記録領域とすることが、データ記録領域を増加させることができる点でより好ましい。
テスト記録領域における最適な記録条件を算出するための情報が、複数の情報記録層のうちのいずれかの特定の領域に記録されている。したがって、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域の透過率が、第2の情報記録層の記録再生領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域の透過率と異なっても、一方の記録条件さえ求めることができれば、他方の正確な記録条件を算出することができる。その結果、この光学的情報記録媒体を起動させる記録再生装置は、未記録状態の時と記録状態の時の透過光量の相違から決定される計算方法を即座に知ることができる。よって、記録再生装置に光学的情報記録媒体を導入した後速やかに正確な記録条件を求めることができる。
この媒体により、第1の情報記録層の再生専用領域または記録再生領域の一方が、第2の情報記録層の記録再生領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する第1の情報記録層内の領域を含む。第2の情報記録層の記録再生領域に情報を記録するためのレーザ光は、再生専用領域または記録再生領域のいずれか一方を通過した光である。したがって、第2の情報記録層の記録再生領域に情報を記録するためのレーザ光は、第1の情報記録層の再生専用領域と記録再生領域との両方を通過する場合に生じる通過光量の変化の影響を受けない。その結果、第2の情報記録層の記録再生領域に正確な記録を行なうことができる。
第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域は、記録再生領域に対応する領域の端から記録再生領域の外側方向に長さδ離れた領域であり、長さδは、δ=d・tan(sin−1(NA/n))、ここで、第1の情報記録層と第2の情報記録層との厚さ方向距離をd、光学的情報記録媒体の分離層の屈折率をn、レーザ光を集束するための対物レンズの開口率をNAと表すことができる。
また、第2の情報記録層の記録再生領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域は、記録再生領域に対応する領域の端から記録再生領域の外側方向に長さδ’離れた領域であり、長さδ’=d・tan(sin−1(NA/n))+δm、ここで、δmは情報記録層の最大の位置ずれ量として表すことができる。
また、本発明の光学的情報記録再生媒体は、第1の情報記録層の再生専用領域の面積をゼロとして、第2の情報記録層の記録再生領域への記録の際に、第1の情報記録層の再生専用領域の影響を受ける部分を最小にし、第2の情報記録層に正確に情報を記録することができる。
この媒体により、第1の情報記録層の製造時に再生専用領域の位相ピットを形成する必要がないので、ディスク基板の製造工程を簡略化することができる。
対応する情報記録層のリードイン領域またはリードアウト領域は、第1のテスト領域と記録再生領域と第2のテスト領域とを含むので、リードイン領域またはリードアウト領域のいずれかのみで、異なる情報記録層の記録条件を求めることができる。このとき、第1の情報記録層の不均一光防止領域が、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域を含む。
また、不均一光防止領域は、例えば、再生専用領域である。
不均一光防止領域は、例えば、再生専用領域と記録禁止領域とミラー領域とからなる群の少なくとも1つからなる領域である。
第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域は、テスト記録領域に対応する領域の端からテスト記録領域の外側方向に長さδ離れた領域であり、長さδ’は、δ’=d・tan(sin−1(NA/n))+δm、ここで、第1の情報記録層と第2の情報記録層との厚さ方向距離をd、分離層の屈折率をn、レーザ光を集束するための対物レンズの開口率をNAとして表すことができる。
第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域は、テスト記録領域に対応する領域の端からテスト記録領域の外側方向に長さδ’離れた領域であり、長さδ’は、δ’=d・tan(sin−1(NA/n))+δm、ここで、δmは情報記録層の最大の位置ずれ量で表すことができる。
したがって、情報記録層の相対的な位置にずれや偏心が無視できない場合でも、第2の情報記録層でのテスト記録時に、第1の情報記録層による光量変化の影響を受けることなく、第2の情報記録層において正確な記録条件を求めることができる。
本発明の方法により、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録する前に、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域に情報が格納される。したがって、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光は、第1の情報記録層に記録状態と未記録状態の領域が両方存在することに起因して光量変化の影響を受けることがなく、その結果、第2の情報記録層のテスト記録領域において正確な記録条件を求めることができる。
なお、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域は、テスト記録領域に対応する領域の端からテスト記録領域の外側方向に長さδ離れた領域であり、長さδは、δ=d・tan(sin−1(NA/n))で表され、ここで、dは、第1の情報記録層と第2の情報記録層との厚さ方向距離、nは、光学的情報記録媒体の分離層の屈折率、NAは、レーザ光を集束するための対物レンズの開口率である。
第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域は、テスト記録領域に対応する領域の端からテスト記録領域の外側方向に長さδ’離れた領域であり、長さδ’は、δ’=d・tan(sin−1(NA/n))+δmで表され、ここで、第1の情報記録層と第2の情報記録層の最大の位置ずれ量をδmである。
この方法により、各情報記録層の相対的な位置にずれや偏心が無視できない場合でも、第2の情報記録層でのテスト記録において、第1の情報記録層に記録状態と未記録状態の領域が両方存在することによる光量変化の影響を受けることのない、正確な記録条件を求めることができる。
予め記録する情報は、例えば、ダミーデータを変調することにより得られる情報であってもよい。
予め情報を記録する際に、サーティファイ工程で記録してもよい。
本発明の方法により、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域の機能および/またはその状態に基づいて、第2の情報記録層の最適な記録条件を算出することができる。
なお、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域は、テスト記録領域に対応する領域の端からテスト記録領域の外側方向に長さδ離れた領域であり、長さδは、δ=d・tan(sin−1(NA/n))で表され、ここで、dは、第1の情報記録層と第2の情報記録層との厚さ方向距離、nは、光学的情報記録媒体の分離層の屈折率、NAは、レーザ光を集束するための対物レンズの開口率である。
第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域は、テスト記録領域に対応する領域の端からテスト記録領域の外側方向に長さδ’離れた領域であり、長さδ’は、δ’=d・tan(sin−1(NA/n))+δmで表され、ここで、第1の情報記録層と第2の情報記録層の最大の位置ずれ量をδmである。
この方法により、各情報記録層の相対的な位置にずれや偏心が無視できない場合でも、第2の情報記録層でのテスト記録において、第1の情報記録層が未記録状態の時と記録状態の時の透過光量の差から正確な記録条件を求めることができる。
また、最適な記録条件の算出に関する情報を光学的情報記録媒体の特定の領域に記録しておくことがより好ましい。
これにより、媒体によって算出の方法が異なる場合でも、記録再生装置が算出の方法を即座に知ることができるので、媒体を装置に投入した後から実際に情報を記録するまでの時間を短縮することができる。
また、本発明による光学的情報記録装置により、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域の中に、未記録状態の領域が存在しても、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録する前に、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が第1の情報記録層を通過する領域に情報を記録するため、第2の情報記録層のテスト記録領域に情報を記録するためのレーザ光が記録状態の領域と未記録状態の領域が両方存在する領域を通過することによって生じる光量の変化の影響を受けることがない。その結果、第2の情報記録層における正確な記録条件を求めることができる。