JP2006039147A - ファイバ部品及び光学装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光軸方向に延びる複数の空孔を有する光ファイバの出力端面への異物の付着が抑制されたファイバ部品及び光学装置を提供する。
【解決手段】 光学装置50Aは、入力端面1aから出力端面1bに向かって光軸方向に貫通している複数の空孔1c,1dを有する光ファイバ1を含むファイバ部品5Aと、光ファイバ1の入力端面1aに光学的に結合する光源9と、光ファイバ1の空孔1c,1dにガスGを入力端面1a側から導入するガス導入手段12と、を備えている。そして、光学装置50Aは、ガス導入手段で導入されたガスを出力端面1bから吹き出す。その結果、光を出力する出力端面1bに異物が付着することが抑制される。
【選択図】図4

Description

本発明は、光軸方向に延びている複数の空孔が形成された光ファイバを有するファイバ部品と、そのようなファイバを備えた光学装置とに関するものである。
近年、光軸方向に沿って複数の空孔が設けられた光ファイバ(ホーリーファイバ)が開発されつつある。ホーリーファイバは、複数の空孔による、コア領域とクラッド領域との間の実効的な屈折率差や、或いはフォトニック結晶構造によるフォトニックバンドギャップを利用して光をコア領域内に閉じ込めて伝播させる。このホーリーファイバでは、光軸に直交する断面での空孔の配列や大きさを調整することによって、空孔を有しない光ファイバと比較して曲げ損失の低減が可能になり、或いは、より広い波長帯域の光の伝送などが可能になる。このように、ホーリーファイバの光学特性は空孔に依存しているので、空孔内に異物が入ると光学特性が劣化する場合がある。そのため、特許文献1及び特許文献2には、空孔内に異物が入らないように端部を封止する技術が開示されている。
特開2003―307653号公報 特開2002―323625号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の技術を用いて出力端面が封止されたホーリーファイバを光学装置(例えば、レーザ加工装置や光通信装置など)に適用して使用すると、出力端面に異物が付着する場合がある。そして、出力端面に異物が付着すると、ホーリーファイバから出力される光量が減少したり、伝搬光による異物の焼き付きによって出力端面が破損して光を所望の方向に出力できなくなるおそれがある。
そこで、本発明は、光軸方向に延びる複数の空孔を有する光ファイバの出力端面への異物の付着が抑制されたファイバ部品及び光学装置を提供する。
上記課題を解決するために、本発明に係る光学装置は、入力端面から出力端面に向かって光軸方向に貫通している複数の空孔を有する光ファイバと、光ファイバの入力端面に光学的に結合する光源と、光ファイバの空孔に入力端面側からガスを導入するガス導入手段と、を備え、光ファイバの出力端面からガスを吹き出すことを特徴とする。
この構成では、光源から出力された光は、光源と光学的に結合している入力端面に入射して光ファイバ内を伝搬した後、出力端面から出力される。また、ガス導入手段によって入力端面側から空孔内に導入されたガスは、光ファイバを貫通している空孔内を通って出力端面から前方に向かって吹き出す。そのため、光源からの光を出力する出力端面に異物が付着しにくい。
また、本発明に係る光学装置においては、出力端面側に取り付けられ光ファイバの外周を覆うファイバカバーを更に備え、ファイバカバーの先端部には、出力端面から出力される光を外部に出力する出力孔部が形成されていることが好適である。
この場合、光ファイバの外周は、光ファイバの出力端面側に取り付けられたファイバカバーによって覆われているので、ファイバカバーによって光ファイバが保護される。その際、ファイバカバーには、出力孔部が形成されているので、出力端面から出力された光をファイバカバーの外部に出力することが可能である。
更に、本発明に係る光学装置においては、出力孔部における光軸方向の任意の位置pまでの出力端面からの距離をXとし、光ファイバのコア半径をrとし、光ファイバの開口数(NA)をAとし、θ=sin-1Aとしたとき、出力孔部における光軸方向の上記位置pでの出力孔部の半径rが、
Figure 2006039147
なる関係を満たすことが好適である。
この構成では、出力孔部における光軸方向の任意の位置pでの半径rが、上記(式1)を満たすので、出力端面から出力された光を出力孔部を通して確実に外部に出力できる。
更にまた、本発明に係る光学装置においては、光ファイバの出力端面と出力孔部との間に、出力孔部における出力端面側の半径より大きい半径を有する内側空間が形成されていることが好適である。
この場合、内側空間が形成されていることによって、ファイバカバーが光ファイバの出力端面よりも前方に延びている。そのため、出力端面から見た出力孔部の立体角は小さくなり、この立体角の外側である側方から異物が飛来しても、出力端面には到達できず、出力端面への異物の付着を抑制できる。また、内側空間の半径が、出力孔部の半径より大きいことから、内側空間が陽圧のバッファ槽の役割を果たす。その結果、内側空間が一定の陽圧に保たれやすくなり、内側空間が無い場合に比較して、出力孔部から吹き出すガスの勢いは常に一定に保たれ、出力端面に異物が付着しにくくなる。
また、本発明に係る光学装置においては、複数の空孔のうちの少なくとも1つの空孔は、光ファイバのコア領域に形成されていることが好ましい。この構成では、光がコア領域の空孔内を伝搬するため、コアがガラスで構成されている光ファイバではガラス固有の吸収により伝搬不可能な波長範囲の光をも伝搬させることが可能である。また、ガラス中の非線形光学現象が問題となる高強度、極端パルスの光も、非線形現象の影響を受けることなく伝搬することが可能である。
更に、本発明に係る光学装置においては、光ファイバの入力端面とガス導入手段とが共に接続されるチャンバ、及び、チャンバ内の気体を排気する排気手段を更に備えることが好適である。
この場合、光ファイバの入力端面側が接続されたチャンバ内の気体を排気手段によって排気することにより、光ファイバの空孔内の気体を排気することができる。そして、チャンバに接続されたガス導入手段からチャンバ内にガスを導入することによって、空孔内の気体を、ガス導入手段から導入するガスに置換することができる。これにより、光ファイバの空孔内を所望のガスで満たすことができ、水蒸気による1.38μm帯などの吸収や、真空紫外域での酸素分子による吸収を抑制できる。
更にまた、本発明に係る光学装置において、上記ガスは、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びキセノンの少なくとも1つからなることが好ましい。この場合、ガスによる光の吸収がより少ないため、光ファイバ中での光の強度の減衰を低減できる。
また、本発明に係るファイバ部品は、光軸方向に延びている複数の空孔を有する光ファイバと、光ファイバの出力端面側に取り付けられ光ファイバの外周を覆うファイバカバーと、を備え、ファイバカバーの先端部には、出力端面から出力される光を外部に出力する出力孔部が形成されており、ファイバカバーは、出力孔部から外部にガスを吹き出すガス吹出し手段を有することを特徴とする。
この場合、光ファイバの出力端面側に取り付けられたファイバカバーによって光ファイバの外周が覆われるので、光ファイバが保護されている。このファイバカバーによって外周が覆われた光ファイバの出力端面から出力された光は、出力孔部を通って外部に出力される。そして、ガス吹出し手段が、その出力孔部からガスを外部に吹き出すので、異物が出力端面に届きにくい。
更に、本発明に係るファイバ部品におけるファイバカバーには、光ファイバの出力端面と出力孔部との間に、出力孔部における出力端面側の半径より大きい半径を有する内側空間が形成されており、ガス吹出し手段は、内側空間を介して出力孔部から外部にガスを吹き出すことが好適である。
この場合、出力孔部と出力端面との間に形成されている内側空間を介して、ガス吹出し手段は出力孔部からガスを吹き出す。その際、内側空間の半径が出力孔部の半径より大きいことから、内側空間が陽圧のバッファ槽の役割を果たす。その結果、内側空間は一定の陽圧に保たれやすくなり、内側空間が無い場合に比較して、出力孔部から吹き出すガスの勢いは一定に保たれ、出力端面に異物が付着しにくくなる。また、内側空間が形成されることによって、ファイバカバーが出力端面より前方に延びているので、出力端面から見た出力孔部の立体角は小さくなっている。そのため、この立体角の外側である側方から異物が飛来しても、出力端面には到達できず、出力端面への異物の付着を抑制できる。
更にまた、本発明に係るファイバ部品においては、出力孔部における光軸方向の任意の位置pまでの出力端面からの距離をXとし、光ファイバのコア半径をrとし、光ファイバの開口数をAとし、θ=sin-1Aとしたとき、出力孔部における光軸方向の上記位置pでの出力孔部の半径rが、
Figure 2006039147
なる関係を満たすことが好適である。
この場合、出力孔部における光軸方向の任意の位置pでの出力孔部の半径rが、上記(式2)の関係を満たすので、出力端面から出力された光を出力孔部を通して確実に外部に出力できる。
また、本発明に係るファイバ部品においては、内側空間は、出力端面側から順に配置された第1小室と第2小室とを有し、第1小室と第2小室とを隔てる仕切壁には、第1小室と第2小室とを互いに連通すると共に出力端面から出力される光を第1小室側から第2小室側に通す連通孔部が形成されており、連通孔部における光軸方向の任意の位置pまでの出力端面からの距離をXとし、光ファイバのコア半径をrとし、光ファイバの開口数をAとし、θ=sin-1Aとしたとき、連通孔部における光軸方向の上記位置pでの連通孔部の半径rが、
Figure 2006039147
なる関係を満たすことが好ましい。
この場合、第2小室が前述の内側空間と同様に陽圧のバッファ槽としての役割を果たすので、出力孔部から吹き出すガスの勢いを一定に保つ効果がある。また、第1小室は、光ファイバの出力端面と第2小室の間のバッファ槽としての役割を果たし、光ファイバの空孔からもガスが吹き出す場合に、第1小室と第2小室の間の流れを一定に保つ働きがある。更に、仕切壁に設けられた連通孔部における光軸方向の任意の位置pでの半径rが(式3)の関係を満たすので、出力端面から出力された光を確実に第1小室側から第2小室側に通すことができる。
更に、本発明に係るファイバ部品においては、複数の空孔のうちの少なくとも1つの空孔は、光ファイバのコア領域に形成されていることが好適である。この構成では、光がコア領域の空孔内を伝搬するため、コアがガラスで構成されている光ファイバではガラス固有の吸収により伝搬不可能な波長範囲の光をも伝搬させることが可能である。また、ガラス中の非線形光学現象が問題となる高強度、極端パルスの光も、非線形現象の影響を受けることなく伝搬することが可能である。
更にまた、本発明に係る光学装置は、本発明に係るファイバ部品と、ファイバ部品が有する光ファイバの入力端面と光学的に結合する光源と、ファイバ部品が有するファイバカバーのガス吹出し手段にガスを導入するガス導入手段と、を備えることを特徴とする。
この場合、ファイバ部品が有する光ファイバの入力端面と光源とが光学的に結合しているので、光源からの光は、ファイバ部品が有する光ファイバの入力端面に入射して出力端面から出力された後に、ファイバカバーの出力孔部を通って外部に出力される。また、ファイバカバーのガス吹出し手段にガス導入手段からガスを導入するので、ファイバカバーの出力孔部から外部にそのガスを吹き出すことができる。そのため、光源からの光が出力される出力端面に異物が付着しにくい。
更にまた、本発明に係る光学装置におけるガス吹出し手段は、ガス導入手段に接続されるガス導入口部を有しており、ガス導入手段は、ガス導入口部を通してガス吹出し手段にガスを導入することが好ましい。この構成では、ガス導入口部を通してガス導入手段からガス吹出し手段に不活性ガスが導入されるので、ガス吹出し手段によって吹き出すガスの勢いを調整しやすい。
また、本発明に係る光学装置において、ガスは、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びキセノンの少なくとも1つからなることが好適である。この場合、ガスによる光の吸収がより少ないため、光ファイバ中での光の強度の減衰を低減できる。
本発明のファイバ部品及び光学装置によれば、光軸方向に延びる複数の空孔を有する光ファイバの出力端面への異物の付着を抑制することができる。
以下、図面を参照しながら本発明によるファイバ部品及び光学装置の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本実施形態に係る光学装置は、例えば、レーザ加工装置や、レーザメスなどの医療に用いられる装置であって、レーザ加工用やレーザメス用などに利用されるレーザ光を伝送させるための光ファイバを有している。先ず、この光ファイバについて説明する。
図1は、本実施形態の光学装置に用いられる光ファイバの切欠き斜視図である。この光ファイバ1は、いわゆるホーリーファイバであって、特に、フォトニックバンドギャップファイバと呼ばれているものである。この光ファイバ1は、線状のガラスからなっており、入力端面1aから出力端面1bへ向かって長手方向(光ファイバ1の光軸方向C)に沿って延びる空孔1c及び空孔1dが形成されている。本実施形態における空孔1c,1dは、入力端面1aと出力端面1bとの間を貫通している貫通孔である。
空孔1cは、光ファイバ1の光軸方向Cと直交する断面における中心部分に1つ形成されており、空孔1dは、空孔1cの周囲に複数形成されている。光ファイバ1の光軸方向Cと直交する断面において、空孔1c,1dは、フォトニック結晶構造を形成するように配置されていると共に、そのフォトニックバンドギャップによって、入力端面1aに入射されるレーザ光を空孔1c内に閉じ込めて伝播させるように配置されている。したがって、空孔1cが配置された領域がコア領域1eに相当し、空孔1dが配置されているコア領域1eの周囲の領域がクラッド領域1fに相当している。
上記構成の光ファイバ1では、中空部分(空孔1cの部分)を光が導波するので、従来の中実のコア領域を有する光ファイバではガラスの吸収により導波できなかった波長帯域のレーザ光、例えば、レーザメスへの応用が期待される波長2.94μmのレーザ光や、次世代ステッパへの適用が期待されている真空紫外域のレーザ光の導波が可能である。また、ガラスをコアにした中実のファイバでは、0.2〜2.0μmのガラスの透過率が良い波長範囲の光であっても、自己位相変調などのガラス中の非線形現象が問題となるため、ピコ秒、フェムト秒の極短パルス光の伝送では問題が発生するが、光ファイバ1では、中空部分を光が導波するので、ガラスの非線形現象によるパルス劣化を抑制でき、極短パルス光の伝送も可能となる。
次に、光ファイバ1を有しており、本実施形態の光学装置で用いられるファイバ部品について説明する。
図2は、ファイバ部品の断面図である。ファイバ部品5Aは、樹脂2で被覆された光ファイバ1の外周を、金属製のファイバカバー3Aによって覆ったものである。このファイバカバー3Aは、ファイバ部品5Aを取り扱い易くするために屈曲可能であって、光ファイバ1のほぼ全長に渡って光ファイバ1の外周を保護している。なお、ファイバカバー3Aの材質は、屈曲可能で光ファイバ1を保護できれば、特に限定されない。
ファイバカバー3Aは、光ファイバ1の出力端面1b側の端部(先端部)3aに設けられた端壁3bと出力端面1bとの間を一定距離離して光ファイバ1の出力端面1b側に取り付けられている。その結果、端壁3bと出力端面1bとの間には内側空間4が形成されており、この内側空間4の光軸方向Cに直交する断面の形状は略円形であって、その直径2rは、樹脂2の外径dとほぼ等しい。また、ファイバカバー3Aの端壁3bには、光ファイバ1の光軸を中心軸線とする出力孔部3cが形成されており、出力端面1bから出力されるレーザ光は、出力孔部3cを通ってファイバカバー3Aの外部に出力される。
図3は、図2に示したファイバカバー3Aが有する出力孔部3cの拡大断面図である。出力孔部3cにおける光軸方向Cの任意の位置pでの出力孔部3cの半径rは、
Figure 2006039147
なる関係を満たしている。
ここで、Xは出力端面1bから位置pまでの距離であり、rは光ファイバ1のコア半径である。また、Aは光ファイバ1の開口数であって、θはsin−1Aである。ただし、端壁3bの壁面3d(出力端面1b側の壁面)の位置での出力孔部3cの半径rは、内側空間4の半径rよりも小さくなっている。なお、図3では、出力孔部3cの半径rは光ファイバ1の光軸方向Cに沿って一定としているが、(式4)を満たせば、半径r端壁3bの壁面3d側から壁面3dと反対側の壁面3e側に向かって大きくなっていても良い。
上記ファイバ部品5Aの構成では、出力孔部3cの半径rが(式4)を満たすので、出力端面1bから出力されるレーザ光Lは、出力孔部3cを形成している端壁3bの内壁面によってカットされずにファイバカバー3Aの外部に確実に出力され、更に、その内壁面によって出力端面1bからのレーザ光Lが回折することが抑制されている。そのため、高強度のレーザ光を光ファイバ1で伝搬させても、所望の出力方向にレーザ光を出力させることができる。
また、端壁3bと出力端面1bとの間に内側空間4が形成されており、ファイバカバー3Aが出力端面1bより前方に延びているため、出力端面1bから見た出力孔部3cの立体角は小さくなる。その結果、この立体角の外側である側方から、異物が飛来しても、出力端面1bには到達できず、出力端面1bへの異物の付着を抑制できる。
なお、出力端面1bに異物が飛来することを抑制する観点から、壁面3dの位置での出力孔部3cの半径rは、
Figure 2006039147
を満たすことが好ましい。これにより、開口数A(=sinθ)を約0.2とした場合に光ファイバ1を伝搬するレーザ光Lの最大出射角θよりも外側からの異物の飛来を確実に抑制できる。
次に、このファイバ部品5Aを有する本実施形態の光学装置について説明する。
図4は、本実施形態の光学装置の構成を示す模式図である。光学装置50Aは、上述したファイバ部品5Aを有しており、光ファイバ1の入力端面1a側のファイバ部品5Aの一端が、光学装置50Aの一部をなすチャンバ6に固定されている。より具体的には、ファイバ部品5Aの一端には、チャンバ6に固定された円筒形状のレセプタクル7と嵌合する円柱形状のプラグ8が取り付けられており、ファイバ部品5Aは、プラグ8をレセプタクル7に嵌合させることによって、チャンバ6に固定されている。
このチャンバ6には、ファイバ部品5Aによって伝搬すべきレーザ光Lを出力するレーザ光源9が固定されており、チャンバ6内部において、光ファイバ1の入力端面1aと、光源9の光出力端とは光学的に結合している。すなわち、光学装置50Aの一部をなす光源9の光出力端と光ファイバ1の入力端面1aとの間には、一対のレンズ10,10が配置されており、光源9から出力されたレーザ光Lは、一対のレンズ10,10を通って入力端面1aに入射する。この際、各レンズ10,10はXYステージ11,11に固定され、XYステージ11,11を制御することによってレンズ10,10の位置を調整できる仕組みとなっていることが好ましい。
また、光学装置50Aは、チャンバ6内部に不活性ガスGを導入するガス導入手段12を有している。不活性ガスGとしては、例えば、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及び、キセノンなど、光を吸収しにくいもののうちの少なくとも1つからなるものである。
このガス導入手段12は、チャンバ6内に導入する不活性ガスGの流量・圧力を調整する流量・圧力コントローラ12aと、開閉可能なバルブ12bが設けられた配管12cと、開閉可能なバルブ12dが設けられた配管12eとを有する。流量・圧力コントローラ12aの一端には、配管12cが接続されており、流量・圧力コントローラ12aは、配管12cを介してチャンバ6に接続されている。また、流量・圧力コントローラ12aの他端には、配管12eが接続されており、流量・圧力コントローラ12aは、この配管12eを流れてくる不活性ガスGを、配管12cを介してチャンバ6内に導入する。
更に、流量・圧力コントローラ12aは、光学装置50Aが有する制御ユニット13に電気的に接続されている。制御ユニット13は、チャンバ6内の圧力を測定する圧力計14が示す圧力値に基づいて、流量・圧力コントローラ12aを制御して流量・圧力コントローラ12aを流れる不活性ガスGの流量・圧力を調整する。
また、チャンバ6内の気体を不活性ガスGに置換する作業を容易にするために、光学装置50Aは、チャンバ6内の気体を排気する排気手段15を有する。排気手段15は、真空ポンプ15aと、開閉可能なバルブ15bが設けられた配管15cとを有しており、真空ポンプ15aは、配管15cを介してチャンバ6内の気体を排気する。なお、排気手段15は、チャンバ6内の気体を排気できればよく、この形態に限定されない。
ここで、チャンバ6に固定されたレセプタクル7とファイバ部品5Aとの接続構造について説明する。図5は、レセプタクル7とファイバ部品5Aとの接続部分の構成を示す分解図である。
ファイバ部品5Aの一端に設けられているプラグ8は、端面8aと端面8bとの間を貫通する挿通孔8cを有しており、挿通孔8cにファイバ部品5Aが挿通されている。このプラグ8とファイバ部品5Aとの隙間は、低融点ガラス16によってシールされており、ファイバ部品5Aとプラグ8とが互いに固定されている。また、プラグ8の外周面8d上に設けられたOリング17によって、プラグ8とレセプタクル7との隙間がプラグ8の外周に沿ってシールされている。また、プラグ8の外周面8dの一部には、プラグ側螺子部8eが形成されている。円筒形状のレセプタクル7の内周面7aの一部には、プラグ側螺子部8eと螺合するレセプタクル側螺子部7bが形成されており、プラグ8とレセプタクル7とが嵌合する際には、プラグ側螺子部8e及びレセプタクル側螺子部7bが互いに螺合してプラグ8とレセプタクル7とを固定する。
このように、互いに嵌合するプラグ8とレセプタクル7との隙間がOリング17によってシールされており、また、ファイバ部品5Aとプラグ8との隙間が、低融点ガラス16によってシールされている。そのため、ファイバ部品5Aの取り付けによってチャンバ6内の不活性ガスGが外部に漏れないように、ファイバ部品5Aをレセプタクル7へ容易に取り付けられる。なお、ここでは、ファイバ部品5Aが挿通孔8cに挿通されているとしたが、例えば、挿通孔8c内には光ファイバ1のみ挿通するようにしてもよい。この場合には、ファイバカバー3Aの全長は光ファイバ1の全長より短く、ファイバカバー3Aによる光ファイバ1の保護はプラグ8の端面8aまでである。
次に、上記光学装置50Aの動作について説明する。チャンバ6にファイバ部品5Aが取り付けられた状態で、真空ポンプ15aによってチャンバ6内部及び光ファイバ1の空孔1c,1d内部を真空状態にする。その後、チャンバ6内に不活性ガスGを導入することでチャンバ6内の圧力を外部より高くしてチャンバ6内を陽圧にする。なお、真空ポンプ15aを使用してチャンバ6内の気体を排気する際には、出力孔部3c(図2及び図3参照)を封止しておくことが望ましい。また、不活性ガスGをチャンバ6内に導入するときの流量及び圧力は、流量・圧力コントローラ12aによって調整される。
上記のようにして、チャンバ6内部及び光ファイバ1の空孔1c,1d内部の気体は、不活性ガスGによって置換される。チャンバ6内が不活性ガスGで置換され陽圧になると、光学装置50Aで用いる光ファイバ1の空孔1c,1dが貫通孔であることから、空孔1c,1d内に導入された不活性ガスGは、出力端面1bから前方に向かって吹き出す(図2参照)。
この状態で、レーザ光源9からレーザ光Lを出力し、一対のレンズ10,10を介して光ファイバ1の入力端面1aにレーザ光Lを入射する。レーザ光Lは、光ファイバ1内部を伝搬して出力端面1bから出力される。この出力端面1bから出力されたレーザ光Lは、更に、ファイバカバー3Aの出力孔部3cを通ってファイバカバー3Aの外部に出力される(図3参照)。このファイバカバー3Aから出力されたレーザ光Lを、例えば、レーザ加工のために使用し、或いは、レーザメスとして使用する。
本実施形態の光学装置50Aでは、チャンバ6を介してガス導入手段12から空孔1c,1d内に不活性ガスGが導入され、その不活性ガスGが出力端面1bから前方に向かって吹き出している。そのため、レーザ加工用やレーザメスとして使用する際に、出力端面1bに向かって飛んでくる異物(例えば、体液など)が出力端面1bまで到達しにくく、出力端面1bに異物が付着することが抑えられている。これにより、光ファイバ1を伝搬してきたレーザ光Lが異物によって散乱することが抑制され、或いは、その異物の焼き付きによって出力端面1bが破損することが抑制される。
また、空孔1c,1dが貫通孔であることから、出力端面1bにおける光軸上には開口部が形成されている。そのため、仮に異物が出力端面1bまで飛来してきても、光ファイバ1の光軸上には付着するべき場所がないため、異物の焼き付きによる出力端面1bの破損が防止されている。
更に、本実施形態のファイバ部品5Aでは、ファイバカバー3Aの端壁3bと出力端面1bとの間に内側空間4が形成されており、この内側空間4の直径2rが光ファイバ1の外径dより大きいことから、全ての空孔1c,1dから不活性ガスGが内側空間4側に吹き出す。更に、内側空間4の直径2rは、出力孔部3cの出力端面1b側の直径(壁面3dの位置での直径)2rよりも大きいので、内側空間4内に不活性ガスGが溜まって内側空間4が陽圧のバッファ槽として作用する。このバッファ槽があることで、出力端面1bから吹き出される不活性ガスGの流量・圧力の揺らぎなどが低減されて、出力孔部3cから不活性ガスGが前方に向かってより安定して吹き出す結果、異物が出力端面1bまで更に届きにくくなっている。
更に、前述したように、内側空間4が形成されていることで、出力端面1bから見た出力孔部3cの立体角は小さくなる結果、この立体角の外側である側方から異物が飛来しても、出力端面1bには到達できず、出力端面1bへの異物の付着を抑制できている。
なお、本実施形態では、ファイバ部品5Aは、ファイバカバー3Aを有しているとしたが、必ずしもファイバカバー3Aを備えていなくてもよい。この場合でも空孔1c,1dから不活性ガスGが吹き出すので、出力端面1bに異物が付着することが抑制される。また、ガス導入手段12は、光ファイバ1の空孔1c,1dに不活性ガスGを導入できれば本実施形態の形態に限定されない。
(第2の実施形態)
図6及び図7を参照して、第2の実施形態に係る光学装置及びその光学装置に用いられるファイバ部品について説明する。なお、以下の説明においては、第1の実施形態と同一の要素には同一の符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図6は、本実施形態の光学装置に用いられるファイバ部品の断面図である。このファイバ部品5Bは、(1)光ファイバ1の出力端面1b(及び入力端面1a)が封止されている点、(2)ファイバカバー3Bが、ガス通路31aを有する点、及び、(3)ガス通路31aに不活性ガスGを導入するガス導入口部31bが、ファイバカバー3Bの周壁31cに形成されている点で、主に第1の実施形態のファイバ部品5Aと相違する。これらの点を中心にしてファイバ部品5Bについて説明する。
ファイバカバー3Bが有するガス通路31aは、内側空間4に連通すると共に、光ファイバ1の出力端面1bから入力端面1aへ向かう方向に延びており、ガス導入口部31bを有している。そして、ガス導入口部31bを介してガス通路31aと後述するガス導入管18aとが接続され、ガス通路31に不活性ガスGが導入される。また、ガス通路31aは、ガス導入口部31bよりも光ファイバ1の入力端面1a側で閉じており、ガス導入管18aを通して導入された不活性ガスGは内側空間4に流入して、出力孔部3cから吹き出す。このように、ガス通路31aは、出力孔部3cから不活性ガスGを吹き出すためのガス吹出し手段として機能する。
なお、ガス通路31aは、ファイバカバー3Bの中心軸線に直交する断面において、周壁31cの周方向にわたって形成してもよいし、特定の位置(例えば、中心軸線に対象な位置)にのみ形成してもよい。
次に、ファイバ部品5Bを用いた本実施形態の光学装置について説明する。
図7は、本実施形態に係る光学装置の構成を示す模式図である。この光学装置50Bは、前述したガス通路31aに不活性ガスGを導入するためのガス導入手段18を有する点で、第1の実施形態の光学装置50Aと主に相違する。この点を中心にして光学装置50Bについて説明する。
光学装置50Bが有するガス導入手段18は、バルブ12b,12dが設けられた配管12c,12e、流量・圧力コントローラ12a、ガス導入管18a、及び、バッファ槽18bを含んで構成される。
そして、流量・圧力コントローラ12aは、配管12eから流れてくる不活性ガスGを、配管12cを介してバッファ槽18bに導入する。このバッファ槽18bにはガス導入管18aが接続されている。そして、このガス導入管18aは、ガス導入口部31bに着脱可能であって、バッファ槽18bに流入してきた不活性ガスGをガス導入口部31bを介してガス通路31aに導入する。このように、ガス導入管18aは、ファイバ部品5Bに接続されるため、ファイバ部品5Bの動きに応じて屈曲できるようになっていることが好ましい。
また、光学装置50Bの圧力計14は、不活性ガスGを一度溜めるバッファ槽18bに接続されており、バッファ槽18b内の圧力を測定する。そして、制御ユニット13は、圧力計14が示す圧力値に基づいて、流量・圧力コントローラ12aを制御し、不活性ガスGの流量・圧力を調整する。
また、光学装置50Bは、ファイバ部品5B及び光源9が第1の実施形態と同様に固定されたチャンバ6を有しており、このチャンバ6で光ファイバ1の入力端面1aと光源9の光出力端との間が覆われるので、入力端面1aに外部からの異物が付着することが抑制される。
次に、光学装置50Bの動作について説明する。まず、第1の実施形態の場合と同様にしてチャンバ6にファイバ部品5Bを取り付けると共に、ガス導入口部31b(図6参照)にガス導入管18aを接続する。そして、流量・圧力コントローラ12aによってガス通路31aに流す不活性ガスGの流量・圧力を調整しながら、ガス導入手段18から不活性ガスGをガス通路31aに導入する。ガス通路31aは、光ファイバ1の入力端面1a側で閉じているため、ガス導入口部31bから導入された不活性ガスGは、ガス通路31aを通って内側空間4に流入した後、出力孔部3cから前方に向かって吹き出す(図6参照)。
続いて、光源9からレーザ光Lを出力し、一対のレンズ10,10を介して光ファイバ1の入力端面1aにレーザ光Lを入射する。このレーザ光Lは、光ファイバ1内部を伝搬して出力端面1bから出力される。そして、出力端面1bから出力されたレーザ光Lは、ファイバカバー3Bの出力孔部3cを通って外部に出力される。そして、このファイバカバー3Bから出力されたレーザ光Lが加工などに用いられる。
この光学装置50Bでは、ガス導入手段18に接続されたガス通路31aを利用して不活性ガスGを出力孔部3cから吹き出させるので、その不活性ガスGの勢いを調整しやすい。これにより、例えば、異物がより飛来しやすい状況では、不活性ガスGの勢いを高めるなどの調整が容易であり、出力端面1bへの異物の付着を更に抑制しやすくなっている。
また、不活性ガスGをガス通路31aに通すために両端面が封止された光ファイバ1を用いていることから、真空ポンプを要しないため、装置構成が簡易になっている。ただし、光学装置50Bが有する光ファイバ1の入力端面1a及び出力端面1bが封止されていなくても同様の効果を得ることができるので、入力端面1a及び出力端面1bが開放された装置構成としてもかまわない。
また、ガス通路31aは、光ファイバ1の入力端面1a側で閉じているとしたが、入力端面1a側のファイバカバー3Bの端部まで延ばし、貫通孔とすることもできる。この場合は、チャンバ6側のファイバカバー3Bの端部に形成される開口部がガス導入口部31bに相当する。そして、第1の実施形態で示したガス導入手段12をチャンバ6に接続することにより、チャンバ6側のファイバカバー3Bの端部に位置するガス導入口部31bを介して不活性ガスGをガス通路31aに導入することができる。
(第3の実施形態)
図8〜図10を参照して、第3の実施形態に係る光学装置及びその光学装置に用いられるファイバ部品について説明する。なお、以下の説明においては、第1及び第2の実施形態と同一の要素には同一の符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図8は、本実施形態の光学装置に用いられるファイバ部品の断面図である。ファイバ部品5Cは、ファイバカバー3Cが仕切壁31dを有しており、仕切壁31dによって、内側空間4が第1小室4a及び第2小室4bに仕切られている点で、第2の実施形態のファイバ部品5Bと主に相違する。この点を中心にしてファイバ部品5Cについて説明する。なお、ファイバ部品5Cが有する光ファイバ1の空孔1c,1dは、第1の実施形態の場合と同様に、入力端面1aから出力端面1bまで貫通した貫通孔である。
第1小室4a及び第2小室4bは、出力端面1bに対峙する仕切壁31dによって内側空間4が仕切られて形成されており、第2小室4bにガス通路31aが連通している。第1小室4a及び第2小室4bは、出力端面1b側から順に配置されており、仕切壁31dに形成された連通孔部31eによって互いに連通している。連通孔部31eは、光ファイバ1の光軸を中心軸線として形成されているので、出力端面1bから出力されるレーザ光Lは、この連通孔部31eを通って第1小室4a側から第2小室4b側に出力される。
図9は、図8に示したファイバカバー3Cが有する連通孔部31eの拡大断面図である。連通孔部31eにおける光軸方向Cの任意の位置pでの半径rは、
Figure 2006039147
なる関係を満たす。ここで、Xは、出力端面1bから位置pまでの距離であり、rは光ファイバ1のコア半径である。また、Aは、光ファイバ1の開口数であって、θはsin−1Aである。ただし、仕切壁31dにおける出力端面1b側の壁面31fの位置での連通孔部31eの半径rは、第1小室4aの半径r(すなわち、内側空間4の半径r)よりも小さくなっている。なお、図9では、連通孔部31eの半径rは光軸方向Cに沿って一定としているが、(式6)を満たせば、第1小室4a側から第2小室4b側に向かって大きくなっていても良い。
上記構成では、連通孔部31eの光軸方向Cの任意の位置pでの半径rが(式6)を満たすので、出力端面1bからのレーザ光Lが、連通孔部31eをなしている仕切壁31dの内壁面でカットされたり回折されたりせずに、確実に第2小室4b側に出力される。なお、第1の実施形態の場合と同様に、出力端面1bに異物が飛来するのを低減する観点から、壁面31fの位置での連通孔部31eの半径rは、
Figure 2006039147
を満たすことが好ましい。
次に、ファイバ部品5Cを用いた本実施形態の光学装置について説明する。
図10は、本実施形態に係る光学装置の構成を示す模式図である。光学装置50Cは、ファイバ部品5C及び光源9が第1の実施形態と同様に接続されたチャンバ6を有している。このチャンバ6には、光学装置50Cの一部をなしており、第1の実施形態のガス導入手段12に相当するガス導入手段19が接続されている。
ガス導入手段19は、チャンバ6内に導入する不活性ガスG1の流量・圧力を調整する流量・圧力コントローラ19a、開閉可能なバルブ19bが設けられた配管19c、及び開閉可能なバルブ19dが設けられた配管19eを有している。そして、流量・圧力コントローラ19aは、配管19eを流れてくる不活性ガスG1を、配管19cを介してチャンバ6内に導入する。なお、不活性ガスG1は、第1及び第2の実施形態の不活性ガスGと同様のガスである。
このガス導入手段19を利用して、チャンバ6内の気体を不活性ガスG1に置換する作業を容易にするために、光学装置50Cは、第1の実施形態の場合と同様に、チャンバ6内の気体を排気する排気手段15を有する。
また、光学装置50Cは、第2の実施形態のガス導入手段18に相当するガス導入手段20も有している。ガス導入手段20は、ガス通路31aを流れる不活性ガスG2の流量・圧力を調整する流量・圧力コントローラ20a、開閉可能なバルブ20bが設けられた配管20c、同様に開閉可能なバルブ20dが設けられた配管20e、及び、ガス導入管18aが接続されたバッファ槽18bを有する。
そして、流量・圧力コントローラ20aは、配管20eから流れてくる不活性ガスG2を、配管20cを介してバッファ槽18bに導入する。これにより、バッファ層18bに導入された不活性ガスG2はガス導入管18aを通ってガス通路31aに流入する。なお、不活性ガスG2は、第1及び第2の実施形態の不活性ガスGと同様のガスである。
更に、光学装置50Cが有する制御ユニット13は、チャンバ6内の圧力を測定する圧力計14Aが示す圧力値に基づいて、流量・圧力コントローラ19aを流れる不活性ガスG1の流量・圧力を調整すると共に、バッファ槽18b内の圧力を測定する圧力計14Bが示す圧力値に基づいて、流量・圧力コントローラ20aを流れる不活性ガスG2の流量・圧力を調整する。
次に、上記光学装置50Cの動作について説明する。まず、第1の実施形態の場合と同様にしてチャンバ6にファイバ部品5Cを取り付けると共に、ガス導入口部31b(図8参照)にガス導入管18aを接続する。そして、第1の実施形態と同様に、真空ポンプ15a及びガス導入手段19を利用してチャンバ6内の気体を不活性ガスG1で置換して陽圧にする。光学装置50Cが有する光ファイバ1の空孔1c,1dは貫通孔であることから、チャンバ6内を陽圧にすることによって、出力端面1bから不活性ガスG1が第1小室4a内に吹き出す。この第1小室4a内に吹き出された不活性ガスG1は、連通孔部31eを通って第2小室4bに流入した後、出力孔部3cから前方に向かって吹き出す(図8参照)。
また、ガス導入手段19からチャンバ6内に不活性ガスG1を導入するとき、或いは、出力孔部3cから不活性ガスG1が吹き出している状態で、ガス導入手段20からガス通路31aを介して第2小室4bに不活性ガスG2を導入する。この第2小室4bに導入された不活性ガスG2は出力孔部3cから吹き出す(図8参照)。
前述した不活性ガスG1,G2を第1小室4a及び第2小室4bに導入するとき、第1小室4a内の圧力が第2小室4b内の圧力よりも僅かに高くなるように、流量・圧力コントローラ19a,20aを利用して不活性ガスG1,G2の流量・圧力を調整する。これにより、第2小室4b内の不活性ガスG1,G2が第1小室4aに逆流することを防止することができ、不活性ガスG1,G2が確実に出力孔部3cから吹き出す。
上記のようにして、不活性ガスG1,G2が出力孔部3cから吹き出しているときに、第1の実施形態の場合と同様に、レーザ光源9からレーザ光Lを出力して、出力端面1bからレーザ光Lを出力させる。この出力端面1bから出力されたレーザ光Lは、更に、ファイバカバー3Cの連通孔部31e及び出力孔部3c(図8参照)を通ってファイバカバー3Cの外部に出力される。そして、このファイバカバー3Cから出力されたレーザ光Lを、例えば、レーザ加工のために使用し、或いは、レーザメスとして使用する。
この光学装置50Cでは、ガス通路31aから不活性ガスG2を導入して出力孔部3cから不活性ガスG2を吹き出すと共に、出力端面1bからも不活性ガスG1を吹き出している結果、出力端面1bから出力されるレーザ光Lを、レーザ加工用やレーザメスとして使用するときに、出力端面1bに異物が付着することが抑えられている。これにより、光ファイバ1を伝搬してきたレーザ光Lが異物によって散乱することが抑制され、或いは、その異物の焼き付きによって出力端面1bが破損することが抑制される。
更に、空孔1c,1dが貫通孔であるため、第1の実施形態と同様に、仮に異物が出力端面1bまで飛来してきても、光ファイバ1の光軸上には付着するべき場所がないため、異物の焼き付きによる出力端面1bの破損が防止されている。
また、内側空間4が形成されていることで、出力端面1bから見た出力孔部3cの立体角は小さくなる結果、この立体角の外側である側方から異物が飛来しても、出力端面1bには到達できず、出力端面1bへの異物の付着を抑制できることは、第1の実施形態と同様である。
また、この内側空間4の一部をなす第1小室4aは、光ファイバ1の出力端面1bと第2小室4bの間のバッファ槽としての役割を果たしており、出力端面1bから吹き出す不活性ガスG1の流量・圧力の揺らぎが低減されるため、第1小室4aと第2小室4bとの間の流れを一定に保つことができる。そして、端壁3b側の第2小室4bは、ガス通路31aから導入され出力孔部3cから吹き出される不活性ガスG2及び第1小室4aから導入され出力孔部3cから吹き出される不活性ガスG1のバッファ槽としての役割を果たすので、出力孔部3cから吹き出す不活性ガスG1,G2の勢いを一定に保つことができる。このように、第1小室4a及び第2小室4bがそれぞれバッファ槽としての機能を果たすため、出力孔部3cから不活性ガスG1,G2が安定して吹き出す結果、出力端面1bに異物が更に付着しにくい。
更に、光学装置50Cでは、ガス導入手段19で不活性ガスG1の流量・圧力を調整し、ガス導入手段20で不活性ガスG2の流量・圧力を調整することから、第1小室4a内の圧力を第2小室4b内の圧力よりも僅かに高くするための不活性ガスG1,G2の流量・圧力の調整が容易になっている。そのため、前述したように、第2小室4bから第1小室4aへの逆流が発生しにくく、不活性ガスG1,G2がより安定して出力孔部3cから吹き出す。その結果、出力端面1bへの異物の飛来をより効果的に抑制できる。
なお、第1小室4a及び第2小室4b内の圧力をコントロールするために、不活性ガスG1,G2は、ガス導入手段19,20を利用することによって別系統で導入することが好ましいが、1つのガス導入手段で(すなわち、1系統で)第1小室4a及び第2小室4bに不活性ガスGを導入してもよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記第1〜第3の実施形態に限定されないことは言うまでもない。第1〜第3の実施形態において、光源はレーザ光源としているが、レーザ光源に限らず、光ファイバで伝搬させるべき光を出力できる光源ならばよい。また、ガス導入手段12,18〜20から空孔1c,1d及びガス通路31aに導入するガスは不活性ガスG,G1,G2としているが、不活性ガスに限らなくてもよい。
また、光ファイバ1は、ホーリーファイバであって、特に、中空のフォトニックバンドギャップファイバとして説明したが、光軸方向に延びる複数の空孔が形成されていればよく、例えば、中実のコア領域を有する、空孔アシスト型ファイバやフォトニック結晶型ファイバでもよい。光ファイバの形態は、伝送すべき光の特性及び光学装置の用途に応じて選択すればよいことは言うまでもない。
第1の実施形態の光学装置に用いられる光ファイバの切欠き斜視図である。 第1の実施形態の光学装置に用いられるファイバ部品の断面図である。 図2に示したファイバカバーが有する出力孔部の拡大断面図である。 第1の実施形態の光学装置の構成を示す模式図である。 図4に示された光学装置におけるファイバ部品とレセプタクルとの接続構造を説明するための図である。 第2の実施形態の光学装置に用いられるファイバ部品の断面図である。 第2の実施形態の光学装置の構成を示す模式図である。 第3の実施形態の光学装置に用いられるファイバ部品の断面図である。 図8に示したファイバカバーが有する連通孔部の拡大断面図である。 第3の実施形態の光学装置の構成を示す模式図である。
符号の説明
1…光ファイバ、1a…入力端面、1b…出力端面、1c,1d…空孔、3A〜3C…ファイバカバー、3a…先端部、3c…出力孔部、4…内側空間、4a…第1小室、4b…第2小室、5A〜5C…ファイバ部品、9…光源、12…ガス導入手段、15…排気手段、18〜20…ガス導入手段、31a…ガス通路(ガス吹出し手段)、31b…ガス導入口部(ガス吹出し手段)、31e…連通孔部、50A〜50C…光学装置、G,G1,G2…不活性ガス、C…光軸方向。

Claims (15)

  1. 入力端面から出力端面に向かって光軸方向に貫通している複数の空孔を有する光ファイバと、
    前記光ファイバの入力端面に光学的に結合する光源と、
    前記光ファイバの前記空孔に前記入力端面側からガスを導入するガス導入手段と、
    を備え、
    前記光ファイバの前記出力端面から前記ガスを吹き出す
    ことを特徴とする光学装置。
  2. 前記出力端面側に取り付けられ前記光ファイバの外周を覆うファイバカバーを更に備え、
    前記ファイバカバーの先端部には、前記出力端面から出力される光を外部に出力する出力孔部が形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  3. 前記出力孔部における前記光軸方向の任意の位置pまでの前記出力端面からの距離をXとし、前記光ファイバのコア半径をrとし、前記光ファイバの開口数をAとし、θ=sin-1Aとしたとき、
    前記出力孔部における前記光軸方向の前記位置pでの前記出力孔部の半径rが、
    Figure 2006039147
    なる関係を満たす
    ことを特徴とする請求項2に記載の光学装置。
  4. 前記光ファイバの前記出力端面と前記出力孔部との間に、前記出力孔部における前記出力端面側の半径より大きい半径を有する内側空間が形成されている
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の光学装置。
  5. 前記複数の空孔のうちの少なくとも1つの空孔は、前記光ファイバのコア領域に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の光学装置。
  6. 前記光ファイバの入力端面側と前記ガス導入手段とが共に接続されるチャンバ、及び、前記チャンバ内の気体を排気する排気手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の光学装置。
  7. 前記ガスは、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びキセノンの少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の光学装置。
  8. 光軸方向に延びている複数の空孔を有する光ファイバと、
    前記光ファイバの出力端面側に取り付けられ前記光ファイバの外周を覆うファイバカバーと、
    を備え、
    前記ファイバカバーの先端部には、前記出力端面から出力される光を外部に出力する出力孔部が形成されており、
    前記ファイバカバーは、前記出力孔部から外部にガスを吹き出すガス吹出し手段を有する
    ことを特徴とするファイバ部品。
  9. 前記光ファイバの出力端面と前記出力孔部との間に、前記出力孔部における前記出力端面側の半径より大きい半径を有する内側空間が形成されており、
    前記ガス吹出し手段は、前記内側空間を介して前記出力孔部から外部にガスを吹き出す
    ことを特徴とする請求項8に記載のファイバ部品。
  10. 前記出力孔部における前記光軸方向の任意の位置pまでの前記出力端面からの距離をXとし、前記光ファイバのコア半径をrとし、前記光ファイバの開口数をAとし、θ=sin-1Aとしたとき、
    前記出力孔部における前記光軸方向の前記位置pでの前記出力孔部の半径rが、
    Figure 2006039147
    なる関係を満たす
    ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のファイバ部品。
  11. 前記内側空間は、前記出力端面側から順に配置された第1小室と第2小室とを有し、
    前記第1小室と前記第2小室とを隔てる仕切壁には、前記第1小室と前記第2小室とを互いに連通すると共に前記出力端面から出力される光を前記第1小室側から前記第2小室側に通す連通孔部が形成されており、
    前記連通孔部における前記光軸方向の任意の位置pまでの前記出力端面からの距離をXとし、前記光ファイバのコア半径をrとし、前記光ファイバの開口数をAとし、θ=sin-1Aとしたとき、
    前記連通孔部における前記光軸方向の前記位置pでの前記連通孔部の半径rが、
    Figure 2006039147
    なる関係を満たす
    ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のファイバ部品。
  12. 前記複数の空孔のうちの少なくとも1つの空孔は、前記光ファイバのコア領域に形成されていることを特徴とする請求項8〜請求項11の何れか1項に記載のファイバ部品。
  13. 請求項8〜請求項12の何れか1項に記載のファイバ部品と、
    前記ファイバ部品が有する前記光ファイバの入力端面と光学的に結合する光源と、
    前記ファイバ部品が有する前記ファイバカバーの前記ガス吹出し手段にガスを導入するガス導入手段と、
    を備えることを特徴とする光学装置。
  14. 前記ガス吹出し手段は、前記ガス導入手段に接続されるガス導入口部を有しており、
    前記ガス導入手段は、前記ガス導入口部を通して前記ガス吹出し手段に前記ガスを導入する
    ことを特徴とする請求項13に記載の光学装置。
  15. 前記ガスは、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びキセノンの少なくとも1つからなることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の光学装置。
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