JP2006035105A - 水素吸蔵材料及び水素吸蔵材料の製造方法 - Google Patents

水素吸蔵材料及び水素吸蔵材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 十分な水素吸蔵能を有する水素吸蔵材料を提供する。
【解決手段】炭素材料に、有機ラジカル化合物を含浸させることにより水素吸蔵材料を得る。有機ラジカル化合物としてはスピン濃度が10の20乗[spin/g]以上のものが望ましく、フェノール系ラジカル化合物またはニトロキシラジカル化合物がさらに適している。炭素材料としては活性炭、高分子を600〜1000℃で焼成することにより得られる炭化が進行した焼成体、またはグラファイトとアルカリ金属水酸化物とを混合した後300〜800℃で加熱して得られるグラファイト層間化合物が望ましい。
【選択図】 なし

Description

この発明は、水素吸蔵材料及び水素吸蔵材料の製造方法に関し、特に炭素を主たる構成元素とした炭素系水素吸蔵材料に関する。
近年、深刻化する地球環境問題を解決するために、クリーンなエネルギー源として水素が着目されており、水素の製造、貯蔵、利用技術の開発が活発に進められている。水素吸蔵材料を用いた水素貯蔵システムの現状においては、水素吸蔵合金が最も実用化に近いレベルにあると考えられるが、最も良く知られているLaNi系の水素吸蔵合金では、常温、水素圧力1[MPa]下における水素吸蔵割合は1.4[wt%]である。また、最近注目されているバナジウム系の水素吸蔵合金でも、同じ条件下において2.4[wt%]であり、水素吸蔵能はまだ実用のレベルに達していないと考えられている。特に、水素吸蔵合金ではコストが高いレアメタルを用いる必要がある。また、レアメタルを使用する場合には、精製度の高い金属を用いる必要があるため、よりコストを上昇させる原因となっている。このように、水素吸蔵合金は、自動車のように大量に金属を用いる用途に対しては一般的ではない。また、炭素を基材とするいわゆる炭素系材料としては、グラファイト、活性炭、カーボンナノチューブなどが知られている。しかし、グラファイトはほとんど水素吸蔵能を示さない。また、活性炭ではその水素吸蔵割合が1[wt%]未満である。さらに、カーボンナノチューブに関しては、まだ正確な数字が明らかにされていない他、製造コストがきわめて高く、大量に用いることができないため、やはり現時点においては一般的ではない。しかし、大量に用いることを前提に考えると、炭素系材料は水素吸蔵能が低いとはいえ、将来的にコストが安くなる材料として着目すべき材料である。
ここで、炭素系材料の水素の水素吸蔵能が上がらない原因の一つには、前述の各水素吸蔵材料の分子構造が水素を吸蔵しやすい形状ではないことが考えられる。例えば、グラファイトでは、グラファイトを構成する平面状分子、すなわちグラフェンの層間距離は約0.34[nm]と小さいため、この状態では水素を吸蔵しない。
そこで、グラフェン層間にアルカリ金属を挿入することで層間距離を調節し、水素の吸蔵量を増加させた水素吸蔵材料が提案されている(特許文献1参照。)。
特開2003−225563号公報(第3頁、第1図)
しかしながら、上記特許文献1に記載された方法であっても、得られる水素吸蔵能は1[wt%]程度であり、十分な水素吸蔵能を示さない。アメリカエネルギー省の燃料電池用水素源に関する水素吸蔵目標値は、6.5[wt%]である。この数字は、水素吸蔵材料を充填するための筐体を含んだ水素吸蔵システムとしての数字であるため、水素吸蔵材料単独では少なくとも8.0[wt%]以上の数値が必要となる。このため、8.0[wt%]以上の水素吸蔵能を得るためには、単に層間を広げただけでは目標値をクリアすることは困難である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の特徴は、ラジカル化合物が炭素材料中に含有されていることを要旨とする。
また、本発明の第2の特徴は、炭素材料に、有機ラジカル化合物、または、加熱により有機ラジカル化合物を形成する有機ラジカル化合物の前駆体を含浸させることを要旨とする。
本発明の第1の特徴に係る発明によれば、ラジカル化合物が含有されていることにより、水素吸着力を向上させることが可能となり、結果として、水素吸蔵能を向上させることが可能となる。
本発明の第2の特徴に係る発明によれば、水素吸蔵能の高い水素吸蔵材料を製造することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態に係る水素吸蔵材料、及び水素吸蔵体の製造方法の詳細を実施の形態に基づいて説明する。
(水素吸蔵材料)
本発明に係る水素吸蔵材料の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る水素吸蔵材料は、ラジカル化合物が炭素材料中に含有されていることを特徴とする。炭素材料中にラジカル化合物が含有されている場合には、炭素材料の周辺の電子密度が変化するため、水素の吸着力が強くなり、水素吸蔵能が向上する。また、水素と炭素材料中の炭素との間のポテンシャルが上がるため、水素の吸蔵能が向上する。
この結果は、モンテカルロ法と呼ばれる計算手法に基づいた結果より明らかである。ここで、モンテカルロ法とは、分子の配置をある確率法則の下に乱数を用いて作成していく確率論的手法であり、熱力学的平衡状態にある系のシミュレーションによく用いられている。ここでは、炭素材料としてグラファイトを用いた場合を例にとる。
炭素原子すなわちグラフェンと水素分子との間の分子間力、すなわちポテンシャルを、実験結果に合わせて2.9[kJ/mol]の場合と、5.0[kJ/mol]の場合の二通りについて計算した。
図1は、20[℃]、10[MPa]の条件下において、ポテンシャルを2.9[kJ/mol]とした場合における、グラフェンの層間距離d002を変えたときのグラフェンの層間距離[nm]と、単位重量当たりの水素吸蔵量[wt%]との関係を示すグラフである。
グラフより、一般的なグラフェンの層間距離である0.34[nm](図1のA)における水素吸蔵量は0[wt%]であり、まったく水素を吸蔵していないことがわかる。これに対し、層間距離を拡大していくと約0.7[nm]から水素吸蔵能を示すことがわかる。wt%で示した水素吸蔵能は、層間距離が増加するにしたがってその後もさらに6[wt%]程度まで増加する。
次に、図2に、20[℃]、10[MPa]、グラフェンと水素分子との間のポテンシャルを2.9[kJ/mol]とした場合における、グラフェンの層間距離[nm]と単位体積当たりの水素吸蔵量[g/cm]との関係を示す。図1と同様に、一般的なグラフェンの層間距離である0.34[nm](図2のA)における水素吸蔵量は0[g/cm]であり、まったく水素を吸蔵していないことがわかる。これに対し、層間距離を拡大していくと約0.7[nm]から水素吸蔵能を示し、層間距離が0.8[nm]を越えた後は層間距離が増加するにしたがって単位体積当たりの水素吸蔵量[g/cm]は減少する。
このように、図1及び図2の結果より、層間距離が増加するにしたがって単位重量当たりの水素吸蔵量[wt%]は増加するが、単位体積当たりの吸蔵量は図2に示すように減少していく。炭素系の水素吸蔵材料においては、もともとの吸蔵材料の比重が小さいため、特に自動車のように限られた空間に構成要素を配置しなければならないような場合においては、吸蔵性能の評価項目として体積あたり吸蔵量も重要である。これらを勘案すると、グラフェンと水素分子との間のポテンシャルを2.9[kJ/mol]とした場合において、層間を拡げて吸蔵能を向上させるために最適な層間距離は、図1及び図2中矢印Bで示すように0.8〜1.2[nm]となる。また、最大の水素吸蔵量は層間距離が1.2[nm]のときに示され、このときの水素吸蔵能は約6[wt%]である。
一方、炭素材料中にラジカル化合物が含有されている場合の水素とグラフェンの間のポテンシャルを5.0[kJ/mol]とし、ポテンシャルを図1及び図2で示した例の約1.7倍に高めた構成とした例を図3及び図4に示す。図4は、20[℃]、10[MPa]の条件下において、ポテンシャルを5.0[kJ/mol]とした場合における、グラフェンの層間距離d002を変えたときのグラフェンの層間距離[nm]と、単位重量当たりの水素吸蔵量[wt%]との関係を示すグラフである。
グラフより、ポテンシャルが5.0[kJ/mol]であっても、一般的なグラフェンの層間距離である0.34[nm](図3のA)における水素吸蔵量は0[wt%]であり、まったく水素を吸蔵していないことがわかる。これに対し、層間距離を拡大していくと約0.7[nm]から水素吸蔵能を示すことがわかる。wt%で示した水素吸蔵能は、層間距離が増加するにしたがってその後もさらに10[wt%]以上にまで増加する。
次に、図4に、20[℃]、10[MPa]、グラフェンと水素分子との間のポテンシャルを5.0[kJ/mol]とした場合における、グラフェンの層間距離[nm]と単位体積当たりの水素吸蔵量[g/cm]との関係を示す。図1〜図3と同様に、一般的なグラフェンの層間距離である0.34[nm](図4のA)における水素吸蔵量は0[g/cm]であり、まったく水素を吸蔵していないことがわかる。これに対し、層間距離を拡大していくと約0.6[nm]から水素吸蔵能を示し、層間距離が約1.2[nm]を越えた後は層間距離が増加するにしたがって単位体積当たりの水素吸蔵量[g/cm]は減少する。このため、グラフェンと水素分子との間のポテンシャルを5.0[kJ/mol]とした場合において、層間を拡げて吸蔵能を向上させる場合の最適な層間距離は、図3及び図4中矢印Bで示すように0.8〜1.2[nm]となる。また、最大の水素吸蔵量は層間距離が1.2[nm]のときに示され、その値は約10[wt%]、0.062[g/cm]である。
上記結果より、水素とグラフェンの間のポテンシャルを高めた構成として計算すると、水素吸蔵量の計算結果は高い値を示すことが分かる。
なお、ラジカル化合物は不対電子を有した化合物である。不対電子を有する物質としては、有機系ラジカル化合物や0価の金属原子などがあげられる。0価の金属原子は、その不安定性から事実上1原子として存在するのが困難であるため、複数の原子が集まって結晶化したり、他の原子を取り込んで金属化合物を形成する。このように0価の金属原子が反応すると、0価の金属原子が結果として水素の吸着力向上に寄与しない可能性がある。一方、有機系ラジカル化合物も一般的には不安定であり、周辺に存在する物質と反応し、ある寿命をもって消失する。しかしながら、有機系ラジカル化合物の中には、周辺に立体障害やπ電子の共鳴構造を導入することによりラジカルが安定化されるものがあり、本実施の形態に係る水素吸蔵材料では、周辺に立体障害やπ電子の共鳴構造を導入することによりラジカルがを安定化するラジカル化合物を用いて、吸着力を向上させることが可能となる。
このように安定するラジカル化合物としては、ラジカル化合物のスピン濃度が、1020[spin/g]以上であることが好ましい。これ以下のスピン濃度では十分な水素吸着力を得ることが困難であるため、水素吸蔵能を向上させることが不可能である。
また、本実施の形態に係る水素吸蔵材料に用いられるラジカル化合物としては、反応性が低く化学的に安定した安定ラジカル化合物であり、さらには、分子量当たりのスピン濃度を考慮すると、ラジカル化合物は、下記の一般式(I)
Figure 2006035105
(式中、Rは任意の置換基を示す。)で示されるフェノール系ラジカル化合物、または、下記の一般式(II)
Figure 2006035105
(式中、Rは任意の置換基を示す。)で示されるニトロキシ系ラジカル化合物であることが好ましい。ここで、一般式(I)及び(II)に示した置換基Rは、安定にラジカルが存在すれば限定されるものではなく、任意の置換基を意味する。
一般的にラジカルは、反応性に富んだ化学種であり、各種反応の中間体として発生する不安定な物が多い。これらの不安定なラジカルは、周辺に存在する物質と結合を作り、ある寿命をもって消失する。しかしながら、安定ラジカル化合物は、周辺物質と結合を作らずに安定に存在する物がある。一般式(I)及び(II)で示した化合物が、安定ラジカルとして存在する場合として、置換基Rが嵩高い置換基である場合、例えば、立体障害が導入された場合や、π電子が非局在化している場合がある。嵩高い置換基としては、t−ブチル基、t−ブチル基をベースに任意の置換基がついた物(t−アルキル基、t−アルコキシ基他)があげられ、これらはR同士が結合して環化してもかまわない。π電子が非局在化している場合としては、アリール基、アリール基をベースに任意の置換基がついた物があげられる。なお、共役系を崩さなければ、ヘテロ原子が導入されたアリール基でも構わない。
更に、フェノール系ラジカル化合物、ニトロキシ系ラジカル化合物のスピン濃度を上げるため、フェノール系ラジカル化合物は、ベンゼン環1個当たり3官能性のラジカル置換基を有すること、つまり、フェノール系ラジカル化合物は下記の一般式(III)
Figure 2006035105
(式中、Rは任意の置換基を示す。)
で示される化合物であることが好ましい。また、ニトロキシ系ラジカル化合物は、下記の一般式(IV)
Figure 2006035105
(式中、Rは任意の置換基を示す。)で示される化合物あることが好ましい。ここで、一般式(III)及び(IV)に示した置換基Rは、安定にラジカルが存在すれば限定されるものではなく、任意の置換基を意味する。
また、炭素材料としては、上記したように水素吸着に適した0.8〜1.2[nm]の層間または細孔を有する炭素材料であることが望ましい。この炭素材料としては、活性炭、高分子を600〜1000[℃]で焼成することにより得られる炭化が進行した焼成体、またはグラファイトとアルカリ金属水酸化物と混合した後300〜800[℃]で加熱して得られるグラファイト層間化合物があげられる。
高分子の焼成温度を600〜1000[℃]としているのは、600[℃]以下では炭化が進行せず、1000[℃]ではグラファイト化が進行しすぎて目的とした0.8〜1.2[nm]層間または細孔が形成されないためである。ここで使用される高分子としては、焼成したときに比較的グラファイト化し易い、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリオキサゾール、フェノール樹脂系高分子材料を用いることが可能である。また、グラファイト層間化合物の加熱温度を300〜800[℃]としている理由としては、300[℃]以下ではグラファイトが活性化しないため層間化合物が形成されず、一方800[℃]以上では反応が激しく進行して層間が広がりすぎるため、目的とした0.8〜1.2[nm]の層間が形成されないためである。
更に、本実施の形態に係る水素吸蔵材料のより好ましい実施形態としては、炭素材料に、有機ラジカル化合物を含浸、または有機ラジカル化合物の前駆体を含浸し加熱反応により有機ラジカル化合物を形成させること、または、モノマーを溶解した溶液を含浸させ炭素材料の内外で加熱重縮合させて高分子ラジカル化合物を成長させたものが好ましい。
本実施の形態に係る水素吸蔵材料の使い方としては、水素吸蔵材料を内部に貯蔵することが可能な高圧タンクを用いる。現在、気体の水素を貯蔵するタンクは35[MPa]、70[MPa]等、超高圧での使用が前提となっている。ここで、本実施の形態に係る水素吸蔵材料をタンク内部に貯蔵することで、このような高圧を付与しなくても水素吸蔵タンクとして機能させることができる。
また、本実施の形態に係る水素吸蔵材料を充填した水素吸蔵タンクを用いたシステムを構成することで、高圧対策のための特殊部品や検知器等を用いない水素吸蔵システムとすることができる。更には、この水素吸蔵システムを、水素を燃料とする燃料電池自動車に車載することにより、燃料供給部の体積や重量を小さくでき、航続距離が向上するとともに、レイアウトの自由度が向上した燃料電池自動車を実現することが可能となる。
上記したように、本実施の形態に係る水素吸蔵材料では、ラジカル化合物が炭素材料中に含有されていることにより、水素吸着力を向上させることが可能となり、結果として、水素吸蔵能を向上させることが可能となる。
(水素吸蔵材料の製造方法)
次に、本発明の実施の形態に係る水素吸蔵材料の製造方法の実施の形態について説明する。この水素吸蔵材料の製造方法は、炭素材料に、有機ラジカル化合物、または、加熱により有機ラジカル化合物を形成する有機ラジカル化合物の前駆体を含浸させることを特徴とする。このような製造方法を用いることにより、ラジカル化合物が炭素材料中に含有されている水素吸蔵材料を得ることが可能となる。そして、ラジカル化合物が含有されていることにより、水素吸着力を向上させることが可能となり、結果として、水素吸蔵能を向上させることが可能な水素吸蔵材料を得ることができる。
なお、 炭素材料に、モノマーを溶解した溶液を含浸させ、炭素材料の内外、つまり、層間またはそれ以外の場所でモノマーを加熱重縮合させて高分子ラジカル化合物を成長させても上記した水素吸蔵材料を得ることが可能である。
このように、本実施の形態に係る水素吸蔵材料の製造方法では、水素吸蔵能の高い水素吸蔵材料を製造することが可能となる。
以下、実施例1、実施例2及び比較例により本発明に係る水素吸蔵材料をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。これらの実施例は、本発明に係る水素吸蔵材料の有効性を調べたものであり、異なる材料にて調整した水素吸蔵材料の例を示したものである。
<試料の調製>
(実施例1)
実施例1では、図5(a)に示す1,3,5‐トリスアザシクロヘキサン‐2,4,6‐トリオンを高分子ラジカルのモノマーとして用いた。本化合物は220[℃]で加熱することによりNが脱離し、得られる化合物が溶剤に不溶なため真の構造は明らかにできないが、図5(b)に示す高分子ラジカルが得られると予測される。
具体的には、図5(a)に示す化合物をジオキサンに均一に溶解し、0.8〜1.2[nm]の層間(細孔)を有する粉末状活性炭(関東化学(株)製)に含浸させた。その後、ろ過により溶剤を除去し、モノマーを含浸させた活性炭を得た。次に、得られた活性炭を電気炉に移し、窒素雰囲気中で常温より昇温速度10[℃/min]で250[℃]まで昇温し、約1[時間]250[℃]で一定に保ったのち、電気炉内で自然冷却させて目的の炭素材料を得た。
(実施例2)
実施例2では、図6(a)に示す1,3,5‐トリアミノベンゼンを高分子ラジカルのモノマーとして用いた。得られる化合物が溶剤に不溶なため真の構造は明らかにできないが、本化合物は図6に示した反応経路でヨウ素を用いて200[℃]に加熱することにより、図6(b)に示すヨウ化水素が脱離しトリアミノベンゼンの3次元高分子体を経由し、その後過酸化水素で酸化処理することにより、図6(c)に示す高分子ラジカルが得られると予想される。
具体的には、図6(a)に示す化合物とヨウ素をモル比2:3でジオキサンに均一に溶解し、0.8〜1.2[nm]の層間を有する粉末状活性炭(関東化学(株)製)に含浸させた。その後、ろ過により溶剤を除去し、モノマーを含浸させた活性炭を得た。次に、得られた活性炭を電気炉に移し、窒素雰囲気中で常温より昇温速度10[℃/min]で230[℃]まで昇温後、230[℃]で約1[時間]一定に保ったのち、電気炉内で自然冷却させた。得られた活性炭を10[%]過酸化水素水中に移し、100[℃]で1[時間]還流管を取り付けて煮沸し、ろ過、乾燥を経て目的の炭素材料を得た。
(比較例)
0.8〜1.2[nm]の層間を有する粉末状活性炭(関東化学(株)製)をそのまま用いた。
ここで、上記試料調製によって得られた試料は、以下の方法によって評価された。
<スピン濃度の測定>
実施例、比較例で得られた材料のスピン濃度を測定する為、電子スピン共鳴(ESR)スペクトルを測定した。電子スピン共鳴スペクトルは、Bruker社製 ESP 350Eを用い、マイクロ波出力4[mW]、変調周波数100[kHz]の条件下で測定を行った。吸収面積強度はESRスペクトルを2回積分して求め、スピン濃度は4−ヒドロキシ−TEMPO(2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン−N−オキシル)を既知試料として、同一条件で測定したものと比較して算出した。
<水素吸蔵能の測定>
水素吸蔵能の測定試験は、JIS H 7201に従った。なお、水素が吸蔵されていない原点を正確に得るため、200[℃]で3[時間]真空引きすることにより、残留しているガスを放出させてから測定を行なった。測定温度は25[℃]とした。
次に、実施例1、実施例2及び比較例1で得られた試料のスピン濃度、および10[MPa]における水素吸蔵量[wt%]を示す。測定結果を下表1に示す。
Figure 2006035105
また、図7に実施例1、実施例2、比較例の単位重量当たりの水素吸着量の圧力依存性を示すグラフを示す。表1及び図7より、実施例1及び実施例2で得られた試料は、水素圧力2[MPa]では比較例と比べると5倍程度の水素吸蔵能を有し、10[MPa]の水素圧力下では、比較例と比べると約2倍の水素吸蔵能を有することがわかった。
このように、本実施の形態に係る水素吸蔵材料の製造方法により、水素吸蔵能の高い水素吸蔵材料を製造することが可能となった。
グラフェンと水素分子との間のポテンシャルを2.9[kJ/mol]とした場合のグラフェンの層間距離と単位重量当たりの水素吸蔵量との関係を示すグラフである。 グラフェンと水素分子との間のポテンシャルを2.9[kJ/mol]とした場合のグラフェンの層間距離と単位体積当たりの水素吸蔵量との関係を示すグラフである。 グラフェンと水素分子との間のポテンシャルを5.0[kJ/mol]とした場合のグラフェンの層間距離と単位重量当たりの水素吸蔵量との関係を示すグラフである。 グラフェンと水素分子との間のポテンシャルを5.0[kJ/mol]とした場合のグラフェンの層間距離と単位体積当たりの水素吸蔵量との関係を示すグラフである。 実施例1の高分子ラジカル反応スキームを説明する説明図である。 実施例2の高分子ラジカル反応スキームを説明する説明図である。 実施例1、実施例2、比較例の単位重量当たりの水素吸着量の圧力依存性を示すグラフである。

Claims (9)

  1. ラジカル化合物が炭素材料中に含有されていることを特徴とする水素吸蔵材料。
  2. 前記ラジカル化合物のスピン濃度が、1020[spin/g]以上であることを特徴とする請求項1に記載の水素吸蔵材料。
  3. 前記ラジカル化合物は、下記の一般式(I)
    Figure 2006035105
    (式中、Rは任意の置換基を示す。)で示されるフェノール系ラジカル化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された水素吸蔵材料。
  4. 前記ラジカル化合物は、下記の一般式(II)
    Figure 2006035105
    (式中、Rは任意の置換基を示す。)で示されるニトロキシ系ラジカル化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された水素吸蔵材料。
  5. 前記フェノール系ラジカル化合物は、下記の一般式(III)
    Figure 2006035105
    (式中、Rは任意の置換基を示す。)
    で示される化合物であることを特徴とする請求項3に記載の水素吸蔵材料。
  6. 前記ニトロキシ系ラジカル化合物が、下記の一般式(IV)
    Figure 2006035105
    (式中、Rは任意の置換基を示す。)で示される化合物あることを特徴とする請求項4に記載の水素吸蔵材料。
  7. 前記炭素材料が、活性炭、高分子を600〜1000[℃]で焼成することにより得られる炭化が進行した焼成体、またはグラファイトとアルカリ金属水酸化物と混合した後300〜800[℃]で加熱して得られるグラファイト層間化合物のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載された水素吸蔵材料。
  8. 炭素材料に、有機ラジカル化合物、または、加熱により有機ラジカル化合物を形成する前記有機ラジカル化合物の前駆体を含浸させることを特徴とする水素吸蔵材料の製造方法。
  9. 炭素材料にモノマーを溶解した溶液を含浸させ、前記炭素材料の内外で前記モノマーを加熱重縮合させて高分子ラジカル化合物を成長させることを特徴とする水素吸蔵材料の製造方法。
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WO2008127749A2 (en) * 2007-01-19 2008-10-23 Air Products And Chemicals, Inc. Hydrogen storage with graphite anion intercalation compounds

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008127749A2 (en) * 2007-01-19 2008-10-23 Air Products And Chemicals, Inc. Hydrogen storage with graphite anion intercalation compounds
WO2008127749A3 (en) * 2007-01-19 2008-12-24 Air Prod & Chem Hydrogen storage with graphite anion intercalation compounds

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