JP2006029672A - 潜熱流体ループを使用する熱輸送装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 閉ループを形成する2相流体ループ式の熱輸送装置は、熱源から熱を吸収し作動流体を蒸気にするための蒸発器(11)と、作動流体の熱を放熱し凝縮させるための凝縮器(12)と、前記蒸発器の出口と前記凝縮器の入口を連結する蒸気管(14)と、前記凝縮器の出口と前記蒸発器の入口を連結する液管(15)と、前記液管の途中に設けられたポンプと(13)、作動流体に圧力をかけるため、前記液管の途中に接続されたアキュムレータ(16)と、前記蒸気管に設けられ、前記蒸発器から前記凝縮器へ輸送される蒸気の量を調節するための、開度を変化させることが出来る絞り(17)と、前記蒸発器の表面温度を測定する温度測定器(18)と、前記蒸発器の表面温度を設定温度に合わせるため、前記絞りの開度を調節する制御器(19)と、を備える。
【選択図】 図1
Description
そのため、発熱体である搭載機器の周囲に作動流体を循環させ、この作動流体の相変化による潜熱を利用して熱を輸送する2相流体ループ式熱輸送装置が使用されている。
この熱輸送装置では、作動流体を蒸発させることによって蒸発潜熱を利用して熱負荷を吸収して輸送するので、作動流体の単位質量あたりの熱輸送量が大きく、ポンプ動力が少なくてすみ、また熱輸送装置を小型化、軽量化することが出来るという利点がある。
そのため、2相流体ループの一部に圧力調整用のアキュムレータを接続し、このアキュムレータでループ内の圧力を調整することにより、安定した熱輸送が行えるようにしている。
このシステムにおいては、電子機器等の搭載機器(図示せず)からの熱は、搭載機器に接続された蒸発器1内の液体状態の作動流体に吸熱される。蒸発器1内の作動流体は吸熱して蒸気となり、蒸気管4を通って、凝縮器2へ輸送される。この蒸気の作動流体は、凝縮器2で、ラジエータ(図示せず)の作用によって、凝縮して液体に戻る。この液体の作動流体は、ポンプ3へ移動し、ここで加圧されて再度蒸発器1へ輸送される。
アキュムレータ6の内部圧力を制御するために、従来は熱式アキュムレータが用いられていた。熱式アキュムレータでは、加熱装置6aと冷却装置(図示せず)を用いて、アキュムレータ内の蒸気と液体の容積比を変えて、流体ループ内の圧力を調整していた。しかし、この熱式アキュムレータは、無重力の宇宙空間では上記と液を分離する工夫が必要であり、また相変化に要する時間遅れが生じ、高精度の制御ができないという問題があった。
しかし、この熱輸送装置では、アキュムレータに付随する機械的な機器が複雑になり、システム全体の重量が増大する。その結果、小型軽量で熱輸送量が大きいという2相流体ループの利点が損なわれてしまう。
特に本発明の目的は、簡単、軽量な構造で温度制御することが出来る2相流体ループ式の熱輸送装置を提供することである。
熱源から熱を吸収し作動流体を蒸気にするための蒸発器と、
作動流体の熱を放熱し凝縮させるための凝縮器と、
前記蒸発器で蒸気になった作動流体を前記凝縮器へ輸送するため、前記蒸発器の出口と前記凝縮器の入口を連結する蒸気管と、
前記凝縮器で液体になった作動流体を前記蒸発器へ輸送するため、前記凝縮器の出口と前記蒸発器の入口を連結する液管と、
作動流体を前記蒸発器の入口へ向かって送るため、前記液管の途中に設けられたポンプと、
作動流体に圧力をかけるため、前記液管の途中に接続されたアキュムレータと、
前記蒸気管に設けられ、前記蒸発器から前記凝縮器へ輸送される蒸気の量を調節するための、開度を変化させることが出来る絞りと、
前記蒸発器の表面温度を測定する温度測定器と、
前記蒸発器の表面温度と設定温度の差に応じて、前記絞りの開度を調節する制御器と、を備える。
前記制御器は、前記温度測定器に温度を測定させる温度測定部と、予め設定した設定温度、上限温度、下限温度を記憶する記憶部と、測定した温度と、前記記憶部に記憶した温度とを比較する温度比較部と、温度比較の結果により、前記絞りを開閉制御する弁制御部とを備えてもよい。
前記絞りの開度を段階的又は連続的に変化させても良い。
(a)前記蒸発器の表面の設定温度と、上限温度と、下限温度とを設定し、
(b)前記蒸発器の表面温度を測定し、
(c)測定した前記表面温度を、前記上限温度、前記下限温度と比較し、
(d)前記表面温度が前記上限温度より高いときは、前記絞りの開度を大の位置にし、
前記表面温度が前記下限温度より低いときは、前記絞りの開度を小の位置にし、
前記表面温度が前記上限温度と前記下限温度の間のときは、前記絞りの開度を変化させない、
ステップを備える。
ステップ(b)〜(d)を複数回繰り返し実施することが出来る。
熱輸送装置は、熱を放熱するための凝縮器12を備える。凝縮器12内では、蒸気の作動流体は、ラジエータ(図示せず)の作用によって熱を吸収され、液体に戻る。凝縮器12については公知なので、これ以上詳述しない。
熱輸送装置は、凝縮器12の出口と、蒸発器11の入口を接続する液管15を備える。液管15は、凝縮器12で液相に戻された作動流体を蒸発器11へ輸送する。液管15は、例えば、外径6mmの銅管又はアルミニウム管である。液管15の外径は、蒸発器11で吸熱する熱量によって変えることが出来る。
液管15の途中には、凝縮器12の出口から蒸発器11の入口へ向かって、作動流体を駆動するためのポンプ13が設けられる。本実施の形態では、ポンプ13はギアポンプであるが、他のポンプを使用することも出来る。また、液管15の凝縮器12とポンプ13の間には、液管15内の液体に圧力をかけるため、アキュムレータ16が接続されている。
熱輸送装置は、温度計を備え、温度計の熱電対は、蒸発器11の表面に設けられ、表面温度を測定するようになっている。また、制御器19が設けられる。制御器19は、温度計18により測定した蒸発器11の表面温度を予め記憶した設定温度と比較し、比較した結果に基づいて蒸気弁17の開度を制御し、その結果、蒸発器11の表面温度を制御することが出来る。制御器19については、図2を参照して後述する。また、制御方法については、図3を参照して後述する。
本実施の形態では、蒸気−液体の2相の作動流体として、HCFC123を使用した。作動流体としては、作動温度、圧力に応じて他の流体、例えばアンモニア等も使用することが出来る。
Tmax = T0 + Δt
Tmin = T0 − Δt
とし、蒸発器11の表面温度TをT0±Δtの範囲内に維持するように制御する。
ステップ107で、表面温度Tが下限温度Tminより低くないとき、即ち表面温度Tが下限温度Tminと上限温度Tmaxの間に入っているときは、制御器19の弁制御部34は、蒸気弁17の開度を変化させずに、ステップ102へ戻る。
即ち、表面温度Tが上限温度Tmaxより高ければ、蒸気弁17の開度は大に保たれ、表面温度Tが下限温度Tminより低ければ、蒸気弁17の開度は小に保たれる。表面温度Tが下限温度Tminと上限温度Tmaxの間であれば、蒸気弁17の開度は大であるか小であるかにかかわらず変化させない。
このようにして、装置を運転している間、温度制御を継続して行う。
本実施の形態では、蒸気弁17の開度を、絞った小の位置と開いた大の位置の2段階とした。
この場合、1回目の測定で、蒸発器11の表面温度Tが設定温度T0に等しければ、蒸気弁17の開度を変化させない。蒸発器11の表面温度Tが上限温度Tmaxより高ければ、蒸気弁17の開度を最大にする。
逆に、蒸発器11の表面温度Tが下限温度Tminより低ければ、蒸気弁17の開度を最小にする。蒸発器11の表面温度Tが設定温度T0と下限温度Tminの間のときは、表面温度Tが設定温度T0より低いほど、蒸気弁17の開度が小さくなるように蒸気弁17の開度を小さくする。表面温度Tが、設定温度T0と上限温度Tmaxの間のときは、表面温度Tが設定温度T0より高いほど、蒸気弁17の開度が大きくなるように蒸気弁17の開度を大きくする。制御器19の弁制御部34は、表面温度Tと設定温度T0の差に応じて蒸気弁17の開度を制御する。
又は、蒸気弁17の開度は、PID制御とすることも出来る。
蒸気弁17の開度を連続的に変化させることもできる。蒸発器11の表面温度Tが設定温度T0に等しければ、蒸気弁17の開度を変化させない。蒸発器11の表面温度Tが上限温度Tmaxより高ければ、蒸気弁17の開度を最大にする。蒸発器11の表面温度Tが下限温度Tminより低ければ、蒸気弁17の開度を最小にする。蒸発器11の表面温度Tが下限温度Tminと上限温度Tmaxの間のときは、表面温度Tに応じて、蒸気弁17の開度を最大と最小の間の位置に調節する。
No.1 600W → 500W
No.2 600W → 700W
No.3 600W → 1000W
蒸発器の圧力と表面温度の変化を比較した結果を表1に示す。
左側の蒸気弁の制御がない場合では、熱負荷を600Wから500Wに減少させると、蒸発器圧力と、蒸発器表面温度は変化する。
右側の本発明の実施の形態では、熱負荷を600Wから500Wに減少させると、蒸発器圧力と、蒸発器表面温度は一時的に変化するが、蒸気弁の開度を小さくすることにより、蒸発器圧力と、蒸発器表面温度は元に戻ることがわかる。
No.3の600Wから1000Wに変化させた場合は、弁制御無しの従来例では、ドライアウトを起こしたが、本発明の実施の形態では、蒸発器圧力と、蒸発器表面温度は元に戻る。
2 凝縮器
3 ポンプ
4 蒸気管
5 液管
6 アキュムレータ
11 蒸発器
12 凝縮器
13 ポンプ
14 蒸気管
15 液管
16 アキュムレータ
17 蒸気弁
18 温度計
19 制御器
Claims (6)
- 閉ループを形成する2相流体ループ式の熱輸送装置において、
熱源から熱を吸収し作動流体を蒸気にするための蒸発器と、
作動流体の熱を放熱し凝縮させるための凝縮器と、
前記蒸発器で蒸気になった作動流体を前記凝縮器へ輸送するため、前記蒸発器の出口と前記凝縮器の入口を連結する蒸気管と、
前記凝縮器で液体になった作動流体を前記蒸発器へ輸送するため、前記凝縮器の出口と前記蒸発器の入口を連結する液管と、
作動流体を前記蒸発器の入口へ向かって送るため、前記液管の途中に設けられたポンプと、
作動流体に圧力をかけるため、前記液管の途中に接続されたアキュムレータと、
前記蒸気管に設けられ、前記蒸発器から前記凝縮器へ輸送される蒸気の量を調節するための、開度を変化させることが出来る絞りと、
前記蒸発器の表面温度を測定する温度測定器と、
前記蒸発器の表面温度と設定温度の差に応じて、前記絞りの開度を調節する制御器と、
を備えることを特徴とする熱輸送装置。 - 請求項1に記載した熱輸送装置であって、前記絞りは蒸気弁である熱輸送装置。
- 請求項1に記載した熱輸送装置であって、前記制御器は、
前記温度測定器に温度を測定させる温度測定部と、
予め設定した設定温度と、上限温度と、下限温度とを記憶する記憶部と、
測定した温度と、前記記憶部に記憶した前記上限温度と下限温度温度とを比較する温度比較部と、
温度比較の結果により、前記絞りの開度を制御する弁制御部とを備える熱輸送装置。 - 請求項1に記載した熱輸送装置であって、前記絞りの開度を段階的又は連続的に変化させることができる熱輸送装置。
- 蒸発器と、凝縮器と、蒸気管と、液管と、ポンプと、アキュムレータと、絞りとを備える2相流体ループ式の熱輸送装置において、前記蒸発器の表面温度を制御する方法であって、
(a)前記蒸発器の表面の設定温度と、上限温度と、下限温度とを設定し、
(b)前記蒸発器の表面温度を測定し、
(c)測定した前記表面温度を、前記上限温度、前記下限温度と比較し、
(d)前記表面温度が前記上限温度より高いときは、前記絞りの開度を大の位置にし、
前記表面温度が前記下限温度より低いときは、前記絞りの開度を小の位置にし、
前記表面温度が前記上限温度と前記下限温度の間のときは、前記絞りの開度を変化させない、
ステップを備えることを特徴とする方法。 - 請求項5に記載した前記蒸発器の表面温度を制御する方法であって、ステップ(b)〜(d)を複数回繰り返し実施する方法。
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