JP2006026357A - 身体疲労負荷方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 日常生活において引き起こされる身体疲労の再現を特殊な技術を要することなく実現できる方法およびその装置を提供する。
【解決手段】 被験者の生体信号を測定しつつ、被験者に身体疲労負荷を与える身体疲労負荷方法であって、被験者の生体信号が無酸素性作業閾値になるように被験者に対して身体疲労を与えることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 被験者の生体信号を測定しつつ、被験者に身体疲労負荷を与える身体疲労負荷方法であって、被験者の生体信号が無酸素性作業閾値になるように被験者に対して身体疲労を与えることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ヒトの身体疲労を負荷する方法であって、特に日常的な身体疲労を再現する方法に関するものである。
現代社会に生きる大多数の人々にとって、疲労は日常的に感ずることの多い現象である。例えば、日本国の国立公衆衛生院疫学部が1999年(平成11年)に実施した疲労の実態調査結果によると、「現在、疲労を感じている」と答えた人は全体の59.1%にのぼることが明らかとなっている。
元来、日本人は欧米人に比べて疲労感と肩こりとを訴える割合が突出して高いとされる。例えば、「滋養強壮・肉体疲労」を効能とした医薬品・医薬部外品の販売について見れば、日本の売上高は他国を大きく引き離して世界一の座を有しており、しかも、疲労回復を効能とした漢方薬としては、肩こりのシップ薬が保険適用されている。この点からみても、日本は「世界有数の疲労大国」と言うことができる。
もちろん日本以外の諸外国でも、疲労感を訴える人々は多く存在している。したがって、疲労の緩和や解消は現代における重要な課題の一つであると言うことができるが、疲労に関する研究は未だ発展途上の状況にある。
さらに、疲労に関する問題としては、現代日本で広く知られ、大きな社会問題としてクローズアップされている過労死も挙げられる。過労死とは、長時間過密の働きすぎによる突然死を指す。過労死の問題は医学的、経済的、社会的にも非常に重要であると認識されているにもかかわらず、その科学的メカニズムについてはほとんど解明されていない。
一方、従来から、競技スポーツにおけるトレーニングあるいは心臓リハビリテーションの分野において、効果的な身体作業負荷方法の研究は数多く行われており、ガイドライン化されるなどその方法はすでに確立されている。例えば、競技スポーツ分野においては、対象者の年齢、性、体格、日常生活における活動度によって場合分けされた最大酸素摂取量(peak V02)の推奨値を基準とするトレーニング方法(非特許文献1、2、3参照)、最大心拍数(peak HR)を基準とするトレーニング方法(非特許文献4参照)、ユーザが所望の運動強度レベルを維持することを援助するための表示手段を有した運動表示システム(特許文献1)、筋肉トレーニングを行うと同時に、その鍛錬度を確認し、筋肉鍛錬の必要度を把握することができる体脂肪率計つき筋肉トレーニング装置(特許文献2)等が挙げられる。また、心臓リハビリテーション方法としてはBruceのプロトコル(非特許文献5参照)及び漸増運動負荷テスト(非特許文献6参照)等が挙げられる。
また、1970年代には無酸素性作業閾値を基準とした運動トレーニング法が開発され、近年では特に心臓リハビリテーションの分野で活用されている(非特許文献7)。
特開平10−225531 特開2002−52000 Beuce,R.A.,Kusumi,F.,Hosmer,D.著 「Maximal oxygen uptake and nomographicassessment of functional aerobic impairment in cardiovascular disease.」Am.Heart J,,85:546−562出版 1973年 Hansen,J.E.,Sue,D.Y.,Wasserman,K.著 「Predicted values for clinical exercise testing.」Am.Rev.Respir.Dis.,129(Suppl.):S49−S55出版 1984年 谷口興一 監訳 Karlman Wassermanら著 「運動負荷テストの原理とその評価法」P126−P127南江堂出版 1999年 谷口興一 監訳 Karlman Wassermanら著 「運動負荷テストの原理とその評価法」P133南江堂出版 1999年 Bruce,R.A.著 「Exercise testing of patients with coronary artery disease.」Ann.Clin.Res.,3:323−332出版 1971年 谷口興一 監訳 Karlman Wassermanら著 「運動負荷テストの原理とその評価法」P107−P117 南江堂出版 1999年 Wasserman.K.,Whipp,B.J.,Koyal,S.N.,Beaver,W.L.著 「Anaerobic threshold and respiratory gas exchange during exercise」J.Appl.Physiol.,35:236−243出版 1973年
上記過労死を予防あるいは治療する点も含め、疲労に関する研究を進める上では、その根本現象である「疲労という状態」を科学的にとらえる、すなわち再現性よく定量することが必要となる。そのためには、日常生活において引き起こされる精神的又は身体的疲労を的確に再現する疲労負荷モデルの構築が不可欠である。
しかしながら、日常生活における身体的疲労を想定した負荷方法については、確立された方法が存在しないのが現状である。上記競技トレーニングやリハビリテーションで採用される身体疲労負荷方法では、非日常的な強度の身体作業や疾病治療を目的とした軽微な運動を行うため、日常的な身体疲労の再現は困難である。
したがって、疲労を科学的にとらえ、エビデンスに基づいた疲労回復または予防食品・薬品の開発のために、日常生活において引き起こされる身体疲労の再現を、特殊な技術を要することなく実現する方法の開発が強く求められていた。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、日常生活における身体疲労負荷状態の再現を実現する身体疲労負荷方法及びその装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、無酸素性作業閾値を基準として身体負荷強度を調整ながら身体負荷作業を数時間に及び行うことにより、過度な身体負荷を与えることなく被験者に十分な身体的疲労を負荷できることを見出した。そして、身体的トレーニングにより血液中の乳酸値が上昇するという公知事実等と本現象とに基づき、日常生活において引き起こされる身体疲労の再現を、特殊な技術を要することなく実現できるという本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、産業上有用な方法として、下記1)〜5)の発明を含むものである。
1)被験者の生体信号を測定しつつ、被験者に身体疲労負荷を与える身体疲労負荷方法であって、被験者の生体信号が所定の値になるように被験者に対して身体疲労を与えることを特徴とする身体疲労負荷方法。
2)被験者の生体信号が心拍数である1)の身体疲労負荷方法。
3)被験者の生体信号が心拍数であって、上記心拍数が上記被験者の無酸素性作業閾値を基準とすることを特徴とする1)ない2)の身体疲労負荷方法
4)上記身体疲労が日常的な身体疲労であることを特徴とする1)ないし3)の身体疲労負荷方法
5)被験者の生体信号を測定する生体信号測定手段と、被験者に対して身体負荷を与える身体負荷手段と、これらを制御する制御手段とをそなえ、該制御手段は、該生体信号測定手段によって得られる該生体信号に基づいて該身体負荷手段の負荷強度を制御するものであることを特徴とする身体疲労負荷装置
6)被験者の生体信号が心拍数である4)の身体疲労負荷装置
7)上記制御手段は、生体信号測定手段によって得られる生体信号が無酸素性作業閾値の70%から85%の値で維持され続ける身体負荷手段の負荷強度を制御するものであることを特徴とする5)ないし6)の身体疲労負荷装置
8)被験者の生体信号が心拍数である6)ないし7)の身体疲労負荷装置
2)被験者の生体信号が心拍数である1)の身体疲労負荷方法。
3)被験者の生体信号が心拍数であって、上記心拍数が上記被験者の無酸素性作業閾値を基準とすることを特徴とする1)ない2)の身体疲労負荷方法
4)上記身体疲労が日常的な身体疲労であることを特徴とする1)ないし3)の身体疲労負荷方法
5)被験者の生体信号を測定する生体信号測定手段と、被験者に対して身体負荷を与える身体負荷手段と、これらを制御する制御手段とをそなえ、該制御手段は、該生体信号測定手段によって得られる該生体信号に基づいて該身体負荷手段の負荷強度を制御するものであることを特徴とする身体疲労負荷装置
6)被験者の生体信号が心拍数である4)の身体疲労負荷装置
7)上記制御手段は、生体信号測定手段によって得られる生体信号が無酸素性作業閾値の70%から85%の値で維持され続ける身体負荷手段の負荷強度を制御するものであることを特徴とする5)ないし6)の身体疲労負荷装置
8)被験者の生体信号が心拍数である6)ないし7)の身体疲労負荷装置
本発明のかかる身体疲労負荷方法によれば、無酸素性作業閾値を基準として身体負荷強度を調整ながら身体負荷作業を数時間に及び行うことにより、過度な身体負荷を与えることなく被験者に十分な身体的疲労を負荷できる。このため、本発明による身体疲労負荷方法によって、被験者に身体疲労を負荷することにより、日常生活において引き起こされる身体疲労の再現を、特殊な技術を要することなく実現できるという効果を奏する。そして、本発明にかかる身体疲労負荷方法は、例えば、疲労回復および予防成分のスクリーニング方法や疲労の効果的な回復又は予防方法等の開発に有用な応用が可能である。
本発明は、無酸素性作業閾値を基準として身体負荷強度を調整ながら身体負荷作業を数時間に及び行うことにより、日常生活において引き起こされる身体疲労の再現を、特殊な技術を要することなく実現できる身体疲労負荷方法及び装置を提供するものである。このため、以下の説明では、まず本発明にかかる身体疲労負荷方法について説明し、続いてその装置について順に説明する。
〔1〕 身体疲労負荷方法
本発明にかかる身体疲労負荷方法は、無酸素性作業閾値を基準として身体負荷強度を調整ながら身体負荷作業を数時間に及び行うことであればよく、その他の具体的な工程、材料、条件等は特に限定されるものではない。
本発明にかかる身体疲労負荷方法は、無酸素性作業閾値を基準として身体負荷強度を調整ながら身体負荷作業を数時間に及び行うことであればよく、その他の具体的な工程、材料、条件等は特に限定されるものではない。
本発明における身体負荷とは、被験者に身体的作業を強いることにより、身体に負荷をかけることを意味する。
また、本発明における身体疲労負荷とは、被験者に身体的作業を強いることにより、身体に負荷をかけ、身体的疲労をもたらすことをいう。
〔1〕−(i)無酸素性作業閾値の決定
ここでいう「無酸素性作業閾値」とは、従来から有酸素運動状態の目安とされてきた値で、無酸素運動から有酸素運動への変遷閾値と考えられている。筋肉運動の指標である乳酸と乳酸/ピルビン酸比の増加が起こる運動強度は、個々の被験者ではっきりとされており、また同じ運動様式では一定のV02(酸素摂取量)で起こる。このV02を超えると、無酸素的エネルギー産生メカニズムが有酸素的エネルギー産生メカニズムに加わって起こるので、このV02閾値を無酸素性作業閾値と呼んでいる(AT(Anaerobic threshold)とも呼ばれている)。
ここでいう「無酸素性作業閾値」とは、従来から有酸素運動状態の目安とされてきた値で、無酸素運動から有酸素運動への変遷閾値と考えられている。筋肉運動の指標である乳酸と乳酸/ピルビン酸比の増加が起こる運動強度は、個々の被験者ではっきりとされており、また同じ運動様式では一定のV02(酸素摂取量)で起こる。このV02を超えると、無酸素的エネルギー産生メカニズムが有酸素的エネルギー産生メカニズムに加わって起こるので、このV02閾値を無酸素性作業閾値と呼んでいる(AT(Anaerobic threshold)とも呼ばれている)。
無酸素性作業閾値の決定方法は特に限定されないが、例えば、V−slope法が挙げられる。V−slope法とは、漸増運動を行っている被験者の呼気組成の変遷をグラフにプロットし、その傾きが変化する変曲点のV02値を上記被験者の無酸素性作業閾値とする方法である。 漸増運動とは、被験者に対する負荷強度を一定時間毎に高める運動である。漸増運動としては、例えばエルゴメータをもちいた自転車漕ぎ、トレッドミルをもちいた歩行運動が挙げられるが、特にエルゴメータを用いた自転車漕ぎが好ましい。
ここでエルゴメータとは、運動を行うときの心拍量を増加させるための自転車であって、車輪はないが負荷抵抗を電気的に可変することができるため、身長、体重、年齢に応じた目標運動量を決めて負荷をかけることができる機器である。
〔1〕−(ii)身体疲労負荷時の負荷強度の決定
身体疲労負荷時の負荷強度は、上記無酸素性作業閾値を示した時の心拍数を基準とする。
身体疲労負荷時の負荷強度は、上記無酸素性作業閾値を示した時の心拍数を基準とする。
負荷強度とは、被験者に強制的に身体作業を行わせる際の作業強度である。例えば、エルゴメータを用いた自転車漕ぎ運動では、ペダルを回転させるために必要な力(Watt)が相当する。
本発明では、日常生活で起こりうる身体的疲労を再現することを目的としているため、被験者に過度な運動を強いることなく、かつ被験者が適度な疲労感を訴える身体負荷強度の設定が重要である。
〔1〕−(iii)身体疲労負荷方法
上記〔1〕−(ii)で決定した身体疲労負荷時の負荷強度を被験者に負荷する。身体疲労負荷時は、被験者の生体信号を測定しつつ、被験者に身体疲労負荷を与える。
上記〔1〕−(ii)で決定した身体疲労負荷時の負荷強度を被験者に負荷する。身体疲労負荷時は、被験者の生体信号を測定しつつ、被験者に身体疲労負荷を与える。
被験者の生体信号は、例えば、血圧、脈波、心拍数等が挙げられるが、特に心拍数が好適である。
上記身体疲労負荷時は、被験者の心拍数が上記無酸素性作業閾値を示した時の心拍数の70〜85%値、好ましくは75〜80%値、さらに好ましくは80%値を示すように、身体負荷強度を調整することとする。たとえば、被験者の心拍数が上記無酸素性作業閾値を示した時の心拍数の80%値より高くなれば、エルゴメータの負荷強度(Watt)を下げ、前記被験者の心拍数が下がればエルゴメータの負荷強度(Watt)を上げる。被験者にとっての最適身体疲労負荷強度は、環境や体調により変動するため、同じ身体負荷強度を課したとしても、必ずしも同じ心拍数を示すとは限らないからである。
身体疲労負荷時間は、好ましくは2〜4時間であり、さらに好ましくは4時間程度である。身体疲労負荷時間が短時間であれば十分な身体疲労を負荷できず、長時間であれば、被験者に過度な運動を強いることになるからである。
〔2〕 身体疲労負荷装置
本発明にかかる身体疲労負荷装置1は、図1に示すように、被験者の生体信号を測定する生体信号測定装置2と、被験者に対して身体負荷を与える身体負荷装置3と、これらの制御する制御装置4とをそなえる。
本発明にかかる身体疲労負荷装置1は、図1に示すように、被験者の生体信号を測定する生体信号測定装置2と、被験者に対して身体負荷を与える身体負荷装置3と、これらの制御する制御装置4とをそなえる。
生体信号計測装置5は、従来公知の被験者の生体信号を計測する装置を用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、従来公知の耳部脈を計測するイヤーセンサー、心拍計、血圧計等が挙げられるが、特にイヤーセンサーを好適に用いることができる。
被験者の生体信号としては、血圧、脈波、心拍数等が挙げられるが、心拍数が好適である。
被験者の生体信号としては、血圧、脈波、心拍数等が挙げられるが、心拍数が好適である。
身体負荷装置3は、被験者に身体作業を負荷できる装置であり、例えば、エルゴメータ、トレッドミルなどが上げられるが、エルゴメータが好適である。
制御装置4は生体信号計測装置1から得られる生体信号の値により、身体負荷装置3の身体負荷強度を制御する装置であって、該制御の一部あるいは全部をコンピュータ等の従来公知の演算装置(情報処理装置)を利用して行うことも可能である。
以下実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明にかかる身体疲労負荷試験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則を遵守して実施した。本疲労負荷試験は、あらかじめ「総合医科学研究所および総医研クリニック特定保健用食品等臨床試験受託に関する審査委員会」(以下臨床試験審査委員会)において本試験実施計画の内容、試験責任医師の適格性等について審査を受け、臨床試験審査委員会が試験の実施を承認した後に実施した。試験開始前に本試験への参加について自由意思による同意を文書により得た。
(1)無酸素性作業閾値の決定
被験者は20〜50歳代の健康な男女20名(男性7名、女性13名、平均年齢34.2±11.0歳)とし、身体疲労負荷を行った。本発明にかかる身体疲労負荷を行う前日に、エルゴメータ(コンビ株式会社製、75XL ME)と呼吸代謝測定システム(ミナト医科学株式会社製、AE−300S)により被験者の無酸素性作業閾値を測定した。
被験者は20〜50歳代の健康な男女20名(男性7名、女性13名、平均年齢34.2±11.0歳)とし、身体疲労負荷を行った。本発明にかかる身体疲労負荷を行う前日に、エルゴメータ(コンビ株式会社製、75XL ME)と呼吸代謝測定システム(ミナト医科学株式会社製、AE−300S)により被験者の無酸素性作業閾値を測定した。
無酸素性作業閾値は、図2に示す方法で測定した。
(2)身体疲労負荷
(1)で求めた無酸素性作業閾値をもとに、身体疲労負荷の際の負荷強度を算出した。算出式方法は以下のとおりである。
(1)で求めた無酸素性作業閾値をもとに、身体疲労負荷の際の負荷強度を算出した。算出式方法は以下のとおりである。
(i)無酸素性作業閾値(Anaerobic threshold、以下ATという。)に達した際の心拍数をAT時心拍数とし、80%AT時心拍数を算出した(式1)。
(式1)80%AT時心拍数=安静時心拍数+(AT時心拍数−安静時心拍数)×0.8
(ii)上記(i)で求めた80%AT時心拍数を示す時に被験者に課されていた身体負荷強度を上記呼吸代謝測定システムに表示されたグラフ上で算出した。算出した負荷強度を見かけの80%AT時負荷強度とした(式2)。
(式2)80%AT時心拍数に達した点での負荷強度(Watt)=見かけの80%AT時負荷強度
(iii)上記(ii)で求めた見かけの80%AT時負荷強度をもとに、80%AT時負荷強度を算出した。この時、負荷強度が呼吸代謝に反映されるまでの時間は被験者各人で異なることから、その時間差を補正する必要がある。ここで上記時間差を埋めるために補正値を含む(式3)により算出した負荷強度を80%AT時負荷強度とした。
(式3)80%AT時負荷強度=見かけの80%AT時負荷強度−補正負荷強度
ただし、補正負荷強度=Warming up(負荷強度20watt、図2参照)時のV02の立ち上がり時間(分)×20
(iv)上記(iii)において、V02の立ち上がり時間が算出できなかった場合は、上記立ち上がり時間は一律1分とする。
(式1)80%AT時心拍数=安静時心拍数+(AT時心拍数−安静時心拍数)×0.8
(ii)上記(i)で求めた80%AT時心拍数を示す時に被験者に課されていた身体負荷強度を上記呼吸代謝測定システムに表示されたグラフ上で算出した。算出した負荷強度を見かけの80%AT時負荷強度とした(式2)。
(式2)80%AT時心拍数に達した点での負荷強度(Watt)=見かけの80%AT時負荷強度
(iii)上記(ii)で求めた見かけの80%AT時負荷強度をもとに、80%AT時負荷強度を算出した。この時、負荷強度が呼吸代謝に反映されるまでの時間は被験者各人で異なることから、その時間差を補正する必要がある。ここで上記時間差を埋めるために補正値を含む(式3)により算出した負荷強度を80%AT時負荷強度とした。
(式3)80%AT時負荷強度=見かけの80%AT時負荷強度−補正負荷強度
ただし、補正負荷強度=Warming up(負荷強度20watt、図2参照)時のV02の立ち上がり時間(分)×20
(iv)上記(iii)において、V02の立ち上がり時間が算出できなかった場合は、上記立ち上がり時間は一律1分とする。
身体疲労負荷は上記80%AT時負荷強度で始め、身体疲労負荷開始後30分以内に被験者の心拍数が上記80%AT時心拍数になるように負荷強度を調整し、4時間の身体疲労負荷を行った。
身体疲労負荷中、被験者の疲労度および体調検査のため、血圧測定、血液検査および主観的疲労評価を行った。
(3)結果
身体疲労負荷前、身体疲労負荷2時間後(身体疲労負荷中)、身体疲労負荷4時間後、身体疲労負荷終了4時間後および翌朝における血液中の乳酸値、主観的疲労評価であるVAS(Visual Analogue Scale、注1および図3)Face Scale(注2、図4)の結果をそれぞれ図5、図6、図7に示す。
身体疲労負荷前、身体疲労負荷2時間後(身体疲労負荷中)、身体疲労負荷4時間後、身体疲労負荷終了4時間後および翌朝における血液中の乳酸値、主観的疲労評価であるVAS(Visual Analogue Scale、注1および図3)Face Scale(注2、図4)の結果をそれぞれ図5、図6、図7に示す。
被験者の血液中の乳酸値は、身体疲労負荷2時間後および身体疲労負荷4時間後において身体負荷前と比較して上昇していることが認められた。一方、無酸素作業閾値を示す指標とされている乳酸値(4mM)および臨床検査の基準乳酸値(2mM)を超える被験者は認められなかった。この結果より、無酸素作業閾値を基準とした有酸素状態による身体疲労負荷が行われていたことが明らかとなった。
さらに、主観的疲労評価であるVASおよびFace Scaleでは、いずれも負荷前と比較して負荷4時間後で有意な数値上昇が認められた。この結果より、本発明にかかる身体疲労負荷方法により、被験者が身体的疲労を感じていることが認められた。
(注1)VAS
被験者の主観的な疲労感を捉えるために一般的に実施されている方法であって、線分の両端に基準となる表現を記した紙を見せ、被験者は測りたい内容が、その線分のどのあたりに相当するかをチェックする評価方法である。線分の左端からの長さを測定することにより、質問項目に対して定量的に結果が出て、多くの人の結果を平均するなどの処理ができるという利点を持つ方法である。
被験者の主観的な疲労感を捉えるために一般的に実施されている方法であって、線分の両端に基準となる表現を記した紙を見せ、被験者は測りたい内容が、その線分のどのあたりに相当するかをチェックする評価方法である。線分の左端からの長さを測定することにより、質問項目に対して定量的に結果が出て、多くの人の結果を平均するなどの処理ができるという利点を持つ方法である。
(注2)Face Scale
被験者の当日の気分を知るための尺度で、顔の絵を1(笑顔)から20(悲しい顔)までの20段階で示し、被験者自身の気分がどれに該当するかを選択する検査方法である。
被験者の当日の気分を知るための尺度で、顔の絵を1(笑顔)から20(悲しい顔)までの20段階で示し、被験者自身の気分がどれに該当するかを選択する検査方法である。
以上のように、本発明に係る身体疲労負荷方法等は、日常生活において引き起こされる身体疲労の再現を、特殊な技術を要することなく実現できるため、例えば、疲労回復および予防成分のスクリーニング方法や疲労の効果的な回復又は予防方法等の開発に有用な応用が可能である。このように、本願発明は、医療業、食品業など幅広い分野に産業上の利用可能性を有するものである。
1 身体疲労負荷装置
2 生体信号測定装置
3 身体負荷装置
4 制御装置
2 生体信号測定装置
3 身体負荷装置
4 制御装置
Claims (8)
- 被験者の生体信号を測定しつつ、被験者に身体疲労負荷を与える身体疲労負荷方法であって、被験者の生体信号が所定の値になるように被験者に対して身体疲労を与えることを特徴とする身体疲労負荷方法。
- 被験者の生体信号が心拍数である請求項1記載の身体疲労負荷方法。
- 被験者の生体信号が心拍数であって、上記心拍数が上記被験者の無酸素性作業閾値を基準とすることを特徴とする請求項1ないし2記載の身体疲労負荷方法。
- 上記身体疲労が日常的な身体疲労であることを特徴とする請求項1ないし3記載の身体疲労負荷方法。
- 被験者の生体信号を測定する生体信号測定手段と、被験者に対して身体負荷を与える身体負荷手段と、これらを制御する制御手段とをそなえ、該制御手段は、該生体信号測定手段によって得られる該生体信号に基づいて該身体負荷手段の負荷強度を制御するものであることを特徴とする身体疲労負荷装置。
- 被験者の生体信号が心拍数である請求項4記載の身体疲労負荷装置。
- 上記制御手段は、生体信号測定手段によって得られる生体信号が無酸素性作業閾値の70%から85%の値で維持され続ける身体負荷手段の負荷強度を制御するものであることを特徴とする請求項5ないし6記載の身体疲労負荷装置。
- 被験者の生体信号が心拍数である請求項5ないし7記載の身体疲労負荷装置。
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JP2008067864A (ja) * | 2006-09-13 | 2008-03-27 | Sanae Harada | 運動負荷心電図システム |
US10337880B2 (en) | 2016-12-07 | 2019-07-02 | Toyota Jidosha Kabushiki | Burden estimation device and burden estimation method |
WO2023243492A1 (ja) * | 2022-06-15 | 2023-12-21 | オムロン株式会社 | 情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム |
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2004
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