JP2006017930A - 投影スクリーン及びそれを備えた投影システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 照明光などの環境光の影響を効果的に抑制して映像を鮮明に表示したり映像の視野角を可変とすることが可能な視認性に優れた投影スクリーンを提供する。
【解決手段】 投影スクリーン10は、特定の偏光成分を持つ偏光(例えば右円偏光)を選択的に反射する偏光選択反射層11−1と、偏光選択反射層11−1で反射される偏光とは異なる偏光成分を持つ偏光(例えば左円偏光)を選択的に反射する偏光選択反射層11−2とを備えている。偏光選択反射層11−1,11−2はいずれもコレステリック液晶構造を有し、このコレステリック液晶構造の構造的な不均一性により反射光を拡散させる。投影機21から投影スクリーン10上に投射される映像光31は、右円偏光又は左円偏光のいずれかの偏光成分を持つようにその偏光状態が切り替えられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、投影機により投影スクリーン上に映像光を投射して映像を表示する投影システムに係り、とりわけ、照明光などの環境光の影響を効果的に抑制して映像を鮮明に表示したり映像の視野角を可変とすることが可能な視認性に優れた投影スクリーン及びそれを備えた投影システムに関する。
従来の投影システムとしては、投影機により投射された映像光を投影スクリーン上に映し出し、その反射光を観察者が映像として観察するものが一般的である。
このような従来の投影システムで用いられる投影スクリーンとしては、白色の紙材や布材の他、プラスチックフィルム上に光を白色散乱するインキを塗装したものなどが一般に用いられている。また、より高品質な投影スクリーンとして、ビーズやパールなどを練りこんだ散乱層を含み、この散乱層によって映像光の散乱状態を制御するものが市販されている。
ところで、近年では、投影機本体の小型化や価格の低下などに伴って、ホームシアターなどの家庭用途の需要が増加してきており、投影システムが一般家庭で用いられることが多くなってきている。この場合、投影システムは家庭のリビングスペースなどに設置されることが多いが、このような場所は通常、外光や照明光などの環境光が入りやすい設計となっている。このため、家庭用途の投影システムで用いられる投影スクリーンとしては、明るい環境光の下でも良好な映像表示を実現することが可能なものが望まれている。
しかしながら、上述した従来の投影スクリーンでは、外光や照明光などの環境光についても映像光と同様に反射してしまうので、明るい環境光の下で良好な映像表示を実現することが困難であるという問題がある。
具体的には、従来の投影システムでは、投影スクリーン上に投射される投影機からの投射光(映像光)の強度差によって映像の濃淡が作り出されており、例えば、黒地に白の絵を映し出すような場合には、投射光が投影スクリーンに当たる部分が白、それ以外の部分が黒となり、このような白黒の明るさの差により映像の濃淡が作り出されている。この場合、良好な映像表示を実現するためには、白表示の部分をより明るくし、黒表示の部分をより暗くして、コントラスト差を大きくする必要がある。
しかしながら、上述した従来の投影スクリーンでは、外光や照明光などの環境光を映像光との区別なく反射してしまうので、白表示の部分及び黒表示の部分の両方が明るくなり、白黒の明るさの差が小さくなってしまう。このため、上述した従来の投影スクリーンでは、部屋を暗くするための手段や環境などを用いて外光や照明光などの環境光の影響を抑えない限り、良好な映像表示を実現することが困難であるという問題がある。
このような背景の下で、従来から、明るい環境光の下でも良好な映像表示を実現することが可能な投影スクリーンが研究されており、例えばホログラムを利用したものや、偏光分離層を利用したもの(特許文献1及び2参照)などが提案されている。なお、後者の偏光分離層を利用した投影スクリーンとしては、右円偏光及び左円偏光をそれぞれ反射する偏光分離層を備えるものも提案されている(特許文献3参照)。
特開平5−107660号公報 特開2002−540445号公報 特開平3−150546号公報
しかしながら、上述した従来の投影スクリーンのうち、ホログラムを利用した投影スクリーンでは、散乱効果を制御して白表示の部分をより明るくすることができ、明るい環境光の下で比較的良好な映像表示を実現することができるものの、ホログラムは波長選択性はあるものの、偏光選択性を有していないことから、黒表示の部分をより暗くすることが困難であり、一定の限度でしか映像を鮮明に表示することができないという問題がある。また、ホログラムを利用した投影スクリーンでは、製造上の問題から大画面化が困難であるという問題がある。
一方、偏光分離層を利用した投影スクリーンでは、白表示の部分を明るくしつつ、黒表示の部分をより暗くすることが可能であり、ホログラムを利用したものに比べて、明るい環境光の下で映像を鮮明に表示することができる。
しかしながら、このような偏光分離層を利用した投影スクリーンでは、光を映像として視認するために反射光に拡散効果が与えられている必要があるが、上記特許文献1に記載された投影スクリーンではこの点についての考慮が全くなされていない。また、上記特許文献2では、偏光分離層とは別に設けられた拡散要素などにより反射光に拡散効果を与える投影スクリーンが記載されているものの、偏光分離層とは別に設けられた拡散要素などにより拡散効果を与える場合には、本来の偏光分離機能が損なわれてしまい、映像の視認性を十分に向上させることができない。すなわち、偏光分離層の観察者側に拡散要素が設けられているので、偏光分離層に入射する前に光が拡散要素を透過し、その偏光状態が乱されてしまう(これを「消偏」という)。ここで、拡散要素を透過する光には環境光(外光など)と映像光の2種類があるが、環境光の偏光状態が拡散要素により乱された場合には、偏光分離層で本来透過されるべき光が消偏によって偏光分離層で反射される成分に変換されてしまい、不要な光として偏光分離層で反射されてしまう。また、映像光の偏光状態が拡散要素により乱された場合には、偏光分離層で本来反射されるべき光が消偏によって偏光分離層で反射されない成分に変換されてしまい、偏光分離層を透過してしまう。このような2つの現象により、本来の偏光分離機能が損なわれてしまい、映像の視認性を十分に向上させることができない。
さらに、上記特許文献3に記載された投影スクリーンにおいても、偏光分離層の拡散特性は何ら考慮されていない。なお、上記特許文献3には、偏光分離層により異なる偏光状態の光(右円偏光及び左円偏光)を反射する投影スクリーンが記載されているものの、これらの反射光の視野角を制御する点については何ら考慮されていない。
このような背景の下で、本発明者は先に、コレステリック液晶構造を有する偏光選択反射層を備え、コレステリック液晶構造の構造的な不均一性により映像の視認性を低下させることなく映像光の反射光に拡散効果を与えることができる投影スクリーンを提案している(特願2003−165687号)。
本発明はこのような投影スクリーンをさらに改良する目的でなされたものであり、照明光などの環境光の影響を効果的に抑制して、明るい環境光の下でも映像を鮮明に表示することが可能な視認性に優れた投影スクリーン及びそれを備えた投影システムを提供することを目的とする。
また、本発明は、映像の観察状況に応じて映像の視野角を可変とすることが可能な視認性に優れた投影スクリーン及びそれを備えた投影システムを提供することを目的とする。
本発明は、第1の解決手段として、特定の偏光成分を持つ第1偏光を選択的に反射する第1偏光選択反射層と、前記第1偏光選択反射層で反射される前記第1偏光とは異なる偏光成分を持つ第2偏光を選択的に反射する第2偏光選択反射層とを備え、前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層は、それ自体の構造により反射光を拡散させるものであり、かつ、前記第1偏光選択反射層で反射される前記第1偏光の拡散角と前記第2偏光選択反射層で反射される前記第2偏光の拡散角とが互いに異なることを特徴とする投影スクリーンを提供する。
なお、上述した第1の解決手段においては、前記第1偏光及び前記第2偏光のうちの一方が右円偏光であり、他方が左円偏光であることが好ましい。
また、上述した第1の解決手段において、前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層はコレステリック液晶構造を有し、このコレステリック液晶構造の構造的な不均一性により反射光を拡散させることが好ましい。ここで、前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層の前記コレステリック液晶構造は、螺旋軸の方向が異なる複数の螺旋構造領域を含むことが好ましい。
さらに、上述した第1の解決手段において、前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層は、可視光域の一部のみをカバーする特定の波長域の光を選択的に反射することが好ましい。
さらに、上述した第1の解決手段において、前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層の選択反射中心波長は、当該第1偏光選択反射層及び当該第2偏光選択反射層に対して光が垂直に入射する場合を基準にして、430〜460nm、540〜570nm及び580〜620nmの範囲のいずれかであることが好ましい。
さらに、上述した第1の解決手段において、前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層は、重合性の液晶材料からなることが好ましい。
さらに、上述した第1の解決手段においては、前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層を支持する支持基材をさらに備えたことが好ましい。ここで、前記支持基材は、可視光域の光を吸収する光吸収層を含むようにしてもよい。また、前記支持基材は、可視光域の少なくとも一部の光を透過する透明基材としてもよい。
本発明は、第2の解決手段として、上述した第1の解決手段に係る投影スクリーンと、前記投影スクリーン上に映像光を投射する投影機とを備え、前記投影機から投射される映像光が前記第1偏光又は前記第2偏光のいずれかの偏光成分を持つようにその偏光状態が切り替えられるように構成されていることが好ましい。
なお、上述した第2の解決手段においては、前記投影スクリーンへ向けて照明光を照射する照明光源をさらに備え、前記照明光源から照射される前記照明光は、前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層で反射される前記第1偏光及び前記第2偏光の持つ波長分散と実質的に同一の波長分散を持つことが好ましい。
また、上述した第2の解決手段において、前記照明光源から照射される前記照明光は、前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層で反射される前記第1偏光及び前記第2偏光のうち拡散角が小さい方の偏光の偏光成分と同一の偏光成分を持つことが好ましい。
本発明によれば、特定の偏光成分を持つ第1偏光を選択的に反射する第1偏光選択反射層と、第1偏光選択反射層で反射される第1偏光とは異なる偏光成分を持つ第2偏光を選択的に反射する第2偏光選択反射層とを備え、第1偏光選択反射層及び第2偏光選択反射層において、それ自体の構造により反射光を拡散させるとともに、第1偏光選択反射層で反射される第1偏光の拡散角と第2偏光選択反射層で反射される第2偏光の拡散角とが互いに異なるようにしている。
このとき、本発明によれば、各偏光選択反射層(第1偏光選択反射層及び第2偏光選択反射層)において、異なる偏光成分の光が異なる拡散角で選択的に反射されるので、このような偏光選択反射層からなる投影スクリーンに入射する環境光(照明光など)及び映像光の偏光状態を制御することにより、各偏光選択反射層で反射される環境光(照明光など)及び映像光の拡散角を調整することができる。具体的には例えば、各偏光選択反射層に入射する環境光(照明光など)及び映像光の偏光状態を制御して、より大きな拡散角を持つ偏光選択反射層で映像光が反射され、より小さな拡散角を持つ偏光選択反射層で環境光(照明光など)が反射されるようにすれば、投影スクリーンに対して斜め方向から入射する環境光(照明光など)は、各偏光選択反射層で拡散反射はされるが指向性が強いので、その反射光は鏡面反射に近い形で観察方向とは異なる方向へ反射される。このため、照明光が存在するような明るい環境光の下でも、映像光に環境光(照明光など)が重なることが効果的に軽減されるので、黒表示などの暗表示の部分の明るさがより暗くなり、映像のコントラストを向上させることができる。
なお、各偏光選択反射層(第1偏光選択反射層及び第2偏光選択反射層)においては、それ自体の構造(例えば構造的な不均一性を有するコレステリック液晶構造)により反射光を拡散させるようにしているので、映像光が鏡面反射でなく拡散反射され、映像が視認しやすくなる。なおこのとき、各偏光選択反射層は、それ自体の構造により反射光を拡散させるので、特定の偏光成分の光を拡散させながら反射する一方で、その他の光については拡散させずに透過させることができる。このため、各偏光選択反射層とは別に拡散層を設ける場合とは異なり、各偏光選択反射層を透過する環境光(照明光など)や映像光について、上述したような「消偏」の問題は起こらず、各偏光選択反射層の本来の偏光分離機能を維持しつつ、映像の視認性を向上させることができる。なお、コレステリック液晶構造が構造的な不均一性を有する例としては、コレステリック液晶構造に含まれる螺旋構造領域の螺旋軸の方向がばらついたりする場合などを挙げることができる。
また、本発明によれば、各偏光選択反射層(第1偏光選択反射層及び第2偏光選択反射層)において、異なる偏光成分の光が異なる拡散角で選択的に反射されるので、各偏光選択反射層からなる投影スクリーンに入射する映像光の偏光状態を切り替えて制御することにより、投影スクリーンで反射される映像光の拡散角、すなわち映像の視野角を変化させることができる。具体的には例えば、より小さな拡散角を持つ偏光選択反射層で右円偏光が反射され、より大きな拡散角を持つ偏光選択反射層で左円偏光が反射されるものとすれば、投影機から投影スクリーン上に投射される映像光が右円偏光となるようにその偏光状態を制御すれば、当該投影スクリーンを狭視野スクリーン(視野角は狭いが明るいスクリーン)として機能させることが可能となり、少人数での観察に適した高輝度スクリーンを得ることができる。一方、投影機から投影スクリーン上に投射される映像光が左円偏光となるようにその偏光状態を制御すれば、当該投影スクリーンを広視野スクリーン(視野角が広いスクリーン)として機能させることが可能となり、大人数での観察に適したスクリーンを得ることができる。さらに、投影機から投影スクリーン上に投射される映像光が無偏光又は直線偏光となるようにその偏光状態を制御すれば、上述した両スクリーン(狭視野スクリーン及び広視野スクリーン)の中間の特性を持つスクリーンを得ることができる。
さらに、本発明によれば、各偏光選択反射層(第1偏光選択反射層及び第2偏光選択反射層)が、可視光域の一部のみをカバーする特定の波長域の光を選択的に反射するようにすることにより、このような偏光選択反射層からなる投影スクリーンにおいて、外光や照明光などの環境光の影響をさらに抑えて映像のコントラストを高めることができ、映像の視認性をより向上させることができる。すなわち、投影スクリーン上に映像光を投射する投影機は一般に、光の三原色である赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の波長域の光によりカラー表示を実現しており、例えば、投影スクリーンに対して光が垂直に入射する場合を基準にして、選択反射中心波長が430〜460nm、540〜570nm及び580〜620nmの範囲に存在する光を投射している。このため、投影スクリーンにおいて、投影機により投射される映像光の波長域に対応する波長域の光のみを選択的に反射するようにすることにより、外光や照明光などの環境光のうち上述した波長域から外れた範囲にある可視光域の光の反射を防止して映像のコントラストを高めることができる。
さらにまた、本発明によれば、各偏光選択反射層(第1偏光選択反射層及び第2偏光選択反射層)に入射する環境光(照明光など)の波長分散が、各偏光選択反射層で反射される偏光の波長分散と実質的に同一であるようにすることにより、環境光(照明光など)の影響をさらに抑えて映像のコントラストを高めることができ、映像の視認性をより向上させることができる。すなわち、環境光となる照明光を照射する照明光源などは通常、天井や壁などに設置されており、投影スクリーンに対して斜め方向から照明光を照射する。これに対し、映像光を投射する投影機は投影スクリーンの正面位置に設置されている。すなわち、環境光となる照明光は、投影スクリーンに対して映像光とは異なる角度で入射することとなるので、各偏光選択反射層で反射される光の波長は入射角の違いによりシフトすることとなる。具体的には、入射角θで入射する光が各偏光選択反射層で反射される場合の光の波長λ(θ)は、λ(θ)=λ(0)×cosθで表されることとなり、斜め方向から入射する照明光は短波長側へシフトする。このため、各偏光選択反射層で反射される照明光の反射率は映像光の反射率に比べて低下することとなり、映像の視認性を阻害しない。
発明を実施するための形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
まず、図1及び図2により、本発明の一実施の形態に係る投影スクリーンを備えた投影システムについて説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る投影システム20は、投影スクリーン10と、投影スクリーン10上に映像光31を投射する投影機21とを備えている。
このうち、投影スクリーン10は、観察者45側から投影機21により投射された映像光31を反射して映像を表示するものであり、特定の偏光成分を持つ第1偏光(例えば右円偏光)を選択的に反射する第1偏光選択反射層11−1と、第1偏光選択反射層11−1で反射される第1偏光とは異なる偏光成分を持つ第2偏光(例えば左円偏光)を選択的に反射する第2偏光選択反射層11−2と、第1偏光選択反射層11−1及び第2偏光選択反射層11−2を支持する支持基材12とを備えている。
なお、第1偏光選択反射層11−1及び第2偏光選択反射層11−2はいずれもコレステリック液晶構造を有し、このコレステリック液晶構造の構造的な不均一性により反射光を拡散させるようになっている。
また、第1偏光選択反射層11−1及び第2偏光選択反射層11−2は互いに異なる拡散特性を持っており、第1偏光選択反射層11−1で反射される第1偏光(例えば右円偏光)の拡散角と第2偏光選択反射層11−2で反射される第2偏光(例えば左円偏光)の拡散角とが互いに異なっている。具体的には例えば、第1偏光選択反射層11−1で反射される第1偏光(例えば右円偏光)の反射光の拡散角(図1に示す反射光41の拡散角θ参照)は、第2偏光選択反射層11−2で反射される第2偏光の反射光の拡散角(図2に示す反射光42の拡散角θ参照)に比べて小さくなっている。
なお、投影機21から投影スクリーン10上に投射される映像光31は、右円偏光又は左円偏光のいずれかの偏光成分を持つようにその偏光状態が切り替えられるように構成されている。具体的には例えば、投影機21が直線偏光を出射するような場合には、投影機21の出射口に、直線偏光フィルム及び位相差フィルム(1/4λ位相差板)からなる偏光制御部材22が設けられ、位相差フィルム(1/4λ位相差板)の遅相軸の回転に伴って映像光31を任意の偏光状態(右円偏光又は左円偏光)に切り替えられるように構成されている。これにより、投影機21から投影スクリーン10上に投射される映像光31が右円偏光となるようにその偏光状態を制御すれば、当該投影スクリーンを狭視野スクリーン(視野角は狭いが明るいスクリーン)として機能させることが可能となり、少人数での観察に適した高輝度スクリーンを得ることができる。一方、投影機21から投影スクリーン10上に投射される映像光31が左円偏光となるようにその偏光状態を制御すれば、当該投影スクリーンを広視野スクリーン(視野角が広いスクリーン)として機能させることが可能となり、大人数での観察に適したスクリーンを得ることができる。さらに、投影機21から投影スクリーン10上に投射される映像光31が無偏光又は直線偏光となるようにその偏光状態を制御すれば、上述した両スクリーン(狭視野スクリーン及び広視野スクリーン)の中間の特性を持つスクリーンを得ることができる。なお、投影機21の出射口に偏光制御部材22を設ける方法以外にも、投影機21の内部で映像光31の偏光状態を制御する方法をとるようにしてもよく、例えばDMD方式の投影機であれば、光源自体のスイッチングにより偏光状態の制御を実現することができる。
ここで、投影機21としては、CRTや液晶プロジェクター、DLP(digital light processing)プロジェクター、レーザープロジェクターなどを用いることができるが、特に限定はされない。ただし、投影機21により投影スクリーン10上に投射される映像光31は、円偏光であることが好ましい。ここで、投影機21として液晶プロジェクターを用いる場合には、その動作原理から、実質的に直線偏光が出射されている場合が多い。このような場合には、投影機21から出射された映像光31を位相差板などを介して出射させることにより、光量の損失なく直線偏光を円偏光へと変換することができる。なお、このような位相差板を設ける場合には、上述した偏光状態の制御(スイッチング)を、当該位相差板の光軸を回転させることにより実現することができる。
なお、位相差板としては、1/4波長位相差を持つものが好ましく用いられ、具体的には視感度が最も高い550nmに合わせて137.5nmの位相差を持つものが理想的である。また、出射される赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の全ての波長域の光に適用することができるという意味で、広帯域1/4波長位相差板がさらに好ましい。さらに、材料の複屈折を制御することで得られる単体の位相差板、又は、1/4波長位相差板と1/2波長位相差板とを組み合わせたものなどを用いることもできる。このような位相差板は、外付けで投影機21の出射口に装着される他、投影機21の内部に組み込まれていてもよい。なお、投影機21としてCRTやDLPプロジェクターが用いられる場合には、投影機21から出射される光が無偏光状態の光であるので、円偏光を出射する場合には、直線偏光板及び位相差板からなる円偏光板を配置する必要がある。この場合、投影機21自体の光量は半減するが、投影スクリーン10の偏光選択反射層11−1,11−2で選択的に反射される光の偏光成分と異なる偏光成分の光に起因した迷光などの発生を効果的に防止して映像のコントラストを高めることができる。
ここで、投影機21は一般に、光の三原色である赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の波長域の光によりカラー表示を実現しており、例えば、投影スクリーン10に対して光が垂直に入射する場合を基準にして、選択反射中心波長が430〜460nm、540〜570nm及び580〜620nmの範囲に存在する光を投射している。
なお、投影システム20は通常、図3に示すように、室内の天井などの照明光源設置部25に設置された照明光源23を備えており、投影スクリーン10が設置される観察空間を照明するようになっている。
ここで、照明光源23から投影スクリーン10へ向けて照射される照明光34は、各偏光選択反射層11−1,11−2で反射される偏光(右円偏光及び左円偏光)のうち拡散角が小さい方の偏光(例えば右円偏光)の偏光成分と同一の偏光成分を持つことが好ましい。これにより、投影スクリーン10に対して斜め方向から入射する照明光34は、偏光選択反射層11−1,11−2で拡散反射はされるが指向性が強いので、その反射光43は鏡面反射に近い形で観察方向とは異なる方向へ反射される。このため、照明光34が存在するような明るい環境光の下でも、映像光31に照明光34が重なることが効果的に軽減されるので、映像のコントラストを向上させることができる。
なお、照明光源23から照射された照明光34の偏光状態は、照明光源23の近傍に、左円偏光を透過する偏光フィルム24を設けることにより制御することができる。ここで、偏光フィルム24としては、吸収型の円偏光板や偏光分離板(反射型の円偏光板)を用いることができる。なお、偏光分離板としては、コレステリック液晶層を利用した円偏光分離板や、直線偏光分離板の出射側に、直線偏光を円偏光へ変換するための位相差板を設けたものを用いることができる。なお、このような偏光分離板は、吸収型の円偏光板に比べて光量の損失が少ないという意味で好ましいものである。
また、照明光源23から照射される照明光34は、偏光選択反射層11−1及び第2偏光選択反射層11−2で反射される右円偏光及び左円偏光の持つ波長分散と実質的に同一の波長分散を持つことが好ましい。すなわち、照明光34は、その選択反射中心波長が430〜460nm、540〜570nm及び580〜620nmの範囲に存在することが好ましい。ここで、照明光源23は投影スクリーン10に対して斜め方向から照明光34を照射するのに対し、投影機21は投影スクリーン10に対して照明方向から映像光31を照射する。すなわち、照明光34は、投影スクリーン10に対して映像光31とは異なる角度で入射することとなるので、各偏光選択反射層11−1,11−2で反射される光の波長は入射角の違いによりシフトすることとなる。具体的には、入射角θで入射する光が各偏光選択反射層11−1,11−2で反射される場合の光の波長λ(θ)は、λ(θ)=λ(0)×cosθで表されることとなり、斜め方向から入射する照明光34は短波長側へシフトする。このため、各偏光選択反射層11−1,11−2で反射される照明光34の反射率は映像光31の反射率に比べて低下することとなり、映像の視認性を阻害しない。
以下、図1及び図2に示す投影スクリーン10の各偏光選択反射層11−1,11−2の詳細について説明する。
各偏光選択反射層11−1,11−2は、コレステリック規則性を示す液晶性組成物からなり、液晶分子の物理的な分子配列として、液晶分子のダイレクターが層の厚さ方向に連続的に回転してなる螺旋構造をとっている。
そして、各偏光選択反射層11−1,11−2は、このような液晶分子の物理的な分子配列に基づいて、一方向の円偏光成分と、これと逆回りの円偏光成分とを分離する偏光分離特性を有している。すなわち、各偏光選択反射層11−1,11−2において、螺旋軸に沿って入射した無偏光状態の光は、2つの偏光状態の光(右円偏光及び左円偏光)に分離され、一方は透過され、残りは反射される。この現象は、円偏光二色性として知られ、液晶分子の螺旋構造における螺旋巻き方向を適宜選択すると、この螺旋巻き方向と同一の旋光方向を有する円偏光成分が選択的に反射される。
この場合の最大旋光光散乱は、次式(1)の波長λで生じる。
λ=nav・p … (1)
ここで、pは液晶分子の螺旋構造における螺旋ピッチ長(液晶分子の分子螺旋の1ピッチ当たりの長さ)、navは螺旋軸に直交する平面内での平均屈折率である。
また、このときの反射光の波長バンド幅△λは次式(2)で表される。ここで、△nは複屈折値である。
△λ=△n・p … (2)
すなわち、図5において、各偏光選択反射層11−1,11−2の観察者(図面の上方)側から入射する無偏光状態の光(選択反射波長域内の右円偏光31R及び左円偏光31L、選択反射波長域外の右円偏光32R及び左円偏光32L)は、各偏光選択反射層11−1,11−2において、上述したような偏光分離特性に従って、選択反射中心波長λを中心とした波長バンド幅△λの範囲(選択反射波長域)に属する一方の円偏光成分(例えば選択反射波長域内の右円偏光31R)が反射光33として反射され、その他の光(例えば選択反射波長域内の左円偏光31L、選択反射波長域外の右円偏光32R及び左円偏光32L)が透過される。
なお、このような各偏光選択反射層11−1,11−2のコレステリック液晶構造は、図6(a)に示すように、螺旋軸Lの方向が異なる複数の螺旋構造領域30を含んでいる。そして、このようなコレステリック液晶構造の構造的な不均一性により、選択的に反射される光(反射光33)を拡散させるようになっている。ここで、コレステリック液晶構造が構造的な不均一性を有する状態とは、コレステリック液晶構造に含まれる螺旋構造領域30の螺旋軸Lの方向がばらついた状態の他、ネマチックレイヤー面(液晶分子のダイレクターがXY方向で同一である面)の少なくとも一部が各偏光選択反射層11−1,11−2の面に対して平行でないような状態(染色処理したコレステリック液晶構造膜の断面TEM写真を撮ったときに濃淡パターンで現われる層の1つながりの曲線が基板面と平行でない状態)などをいう。また、このようなコレステリック液晶構造の構造的な不均一性に起因して生じる「拡散」とは、このような各偏光選択反射層11−1,11−2からなる投影スクリーン10で反射された映像光を観察者が映像として認識することができる程度に拡げることをいう。
これに対し、一般的なコレステリック液晶構造は、プラーナー配向状態となっており、図6(b)に示すように、コレステリック液晶構造に含まれる各螺旋構造領域30の螺旋軸Lの方向は全て層の厚さ方向に一様に平行に延びており、選択的に反射される光(反射光36)は鏡面反射される。
なお、各偏光選択反射層11−1,11−2のコレステリック液晶構造に含まれる螺旋構造領域30は、可視光域(例えば400〜700nmの波長域)の一部のみをカバーする特定の波長域の光を選択的に反射するように、すなわち各偏光選択反射層11−1,11−2の最大反射強度に対して半分以上の反射強度を有する波長域が可視光域(例えば400〜700nmの波長域)の一部のみであるように、特定の螺旋ピッチ長を有していることが好ましい。より具体的には、各偏光選択反射層11−1,11−2のコレステリック液晶構造は、液晶プロジェクターなどの投影機21により投射される映像光31の波長域に対応する波長域の光のみを選択的に反射するように、不連続的に異なる少なくとも2種類以上の螺旋ピッチ長を有していることが好ましい。なお、投影機21は一般に、光の三原色である赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の波長域の光によりカラー表示を実現しているので、例えば、各偏光選択反射層11−1,11−2に対して光が垂直に入射する場合を基準にして、選択反射中心波長が430〜460nm、540〜570nm及び580〜620nmの範囲に存在する光を選択的に反射するように、コレステリック液晶構造の螺旋ピッチ長を決定するようにするとよい。
なお、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の波長域として用いられる、430〜460nm、540〜570nm及び580〜620nmは、光の三原色によって白色を表現するディスプレイに用いられるカラーフィルターや光源などの波長域として一般的なものである。ここで、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の各色は特定の波長(例えば緑色(G)は代表的なものでは550nm)にピークを持つ輝線として表される。しかしながら、このような輝線にはある程度の幅があり、また、装置の設計や光源の種類などによって波長に差があることから、各色について、30〜40nmの波長バンド幅を持つことが好ましい。なお、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の各色の波長域を上述した範囲以外に設定した場合には、白色を表現することができず、白色が、黄味がかった白色や赤味がかった白色などになってしまう。
ここで、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の波長域が互いに独立した選択反射波長域として表される場合には、各偏光選択反射層11−1,11−2のコレステリック液晶構造は、不連続的に異なる3種類の螺旋ピッチ長を有することが好ましい。なお、赤色(R)及び緑色(G)の波長域は一つの螺旋ピッチ長での選択反射波長域の波長バンド幅に含まれる場合があるが、この場合には、コレステリック液晶構造は、不連続的に異なる2種類の螺旋ピッチ長を有することが好ましい。
なお、各偏光選択反射層11−1,11−2のコレステリック液晶構造が不連続的に異なる2種類以上の螺旋ピッチ長を有する場合には、各偏光選択反射層11−1,11−2は、螺旋ピッチ長が互いに異なる少なくとも2層以上の部分選択反射層を互いに積層することにより構成することができる。具体的には、図4に示すように、青色(B)の波長域の光を選択的に反射する部分選択反射層11a−1(11a−2)と、緑色(G)の波長域の光を選択的に反射する部分選択反射層11b−1(11b−2)と、赤色(R)の波長域の光を選択的に反射する部分選択反射層11c−1(11c−2)とを、支持基材12側から順に積層するようにするとよい。なお、部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1(11a−2,11b−2,11c−2)の積層の順番は必ずしもこれに限られるものではない。なお、図4において、各部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1(11a−2,11b−2,11c−2)は、図5及び図6(a)に示す各偏光選択反射層11−1(11−2)と同様に、特定の偏光成分の光(例えば右円偏光又は左円偏光)を選択的に反射するコレステリック液晶構造であって、その構造的な不均一性により、選択的に反射される光を拡散させるコレステリック液晶構造を有している。ここで、各部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1で選択的に反射される光の偏光成分は互いに同一であり、また、各部分選択反射層11a−2,11b−2,11c−2で選択的に反射される光の偏光成分も互いに同一である。
なお、各偏光選択反射層11−1,11−2(又は各偏光選択反射層11−1,11−2を構成する各部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1,11a−2,11b−2,11c−2)の厚さは、選択的に反射される特定の偏光状態の光を略100%反射する程度の大きさ(反射率が飽和する程度の大きさ)とすることが好ましい。これは、選択的に反射される特定の偏光成分の光(例えば右円偏光)に対して100%未満の反射率であれば、映像光を効率的に反射することができないからである。なお、各偏光選択反射層11−1,11−2(又は各偏光選択反射層11−1,11−2を構成する各部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1,11a−2,11b−2,11c−2)の反射率は直接的には螺旋ピッチ数に依存しているが、螺旋ピッチ長が固定であるとすれば間接的には当該偏光選択反射層又は当該各部分選択反射層の厚さに依存している。具体的には、100%の反射率を得るためには、4〜8ピッチ程度必要といわれているので、液晶性組成物の材料の種類や選択反射波長域にもよるが、例えば赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)のいずれかの波長域の光を反射する一層分の部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1,11a−2,11b−2,11c−2であれば1〜10μm程度の厚さが必要である。一方で、部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1,11a−2,11b−2,11c−2の厚さは、厚くなればなるほどよいというわけではなく、厚くなりすぎると配向の制御などが困難となったり、ムラが生じたり、また材料自体による光吸収の程度が大きくなるので、上述した範囲が適切である。
なお、図4に示す投影スクリーン10において、支持基材12と第2偏光選択反射層11−2(又は第2偏光選択反射層11−2を構成する部分選択反射層11a−2)との間、隣接する部分選択反射層同士の間には易接着層などの中間層を設けてもよく、これにより、第1偏光選択反射層11−1(又は第1偏光選択反射層11−1を構成する各部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1)及び第2偏光選択反射層11−2(又は第2偏光選択反射層11−2を構成する各部分選択反射層11a−2,11b−2,11c−2)のコレステリック液晶構造の配向状態を制御したり、各部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1,11a−2,11b−2,11c−2間の密着性を高めることが可能となる。なお、上述した中間層としてはバリア層を設けるようにしてもよい。この場合には、一つの部分選択反射層上に他の部分選択反射層を直接積層する場合でも、隣接する部分選択反射層間で液晶性組成物が混合してしまうことを効果的に防止することができ、これにより、より良好な光学特性を得ることができる。
次に、支持基材12について説明する。
支持基材12は、偏光選択反射層11−1,11−2を支持するためのものであり、プラスチックフィルムや金属、紙材、布材、ガラスなどの材料を用いて形成することができる。
ここで、支持基材12は、可視光域の光を吸収する光吸収層を含むようにするとよい。具体的には例えば、黒い顔料を練りこんだアクリル板やプラスチックフィルム(例えばカーボンを練りこんだ黒色PETフィルム)などを用いて支持基材12を形成したり(この場合には、支持基材12の全体が光吸収層(光吸収基材)となる)、プラスチックフィルムなどの透明な支持フィルムのいずれかの側の表面上に、黒い顔料などからなる光吸収層を形成したりするとよい。これにより、投影スクリーン10の観察者側から入射する無偏光状態の光のうち反射光として本来反射されるべきでない光(選択反射波長域外の右円偏光及び左円偏光など)や、投影スクリーン10の背面側から入射する光を吸収して、外光や照明光などの環境光に起因した反射光や、映像光に起因した迷光などの発生を効果的に防止することができる。
なお、支持基材12の厚さは、巻き取りできるようにすることを考慮するならば15〜300μmが好ましく、より好ましくは25〜100μmである。一方、パネルとして用いられる場合のように支持基材12にフレキシブル性が必ずしも必要とされない場合には制限なく厚くすることができる。
また、支持基材12の材料として用いられるプラスチックフィルムとしては、ポリカーボネート系高分子、ポリアリレートやポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル系高分子、ポリイミド系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリスチレン系高分子、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、酢酸セルロース系高分子、ポリ塩化ビニル系高分子、ポリアクリレート系高分子、ポリメチルメタクリレート系高分子などの熱可塑性ポリマーなどからなるフィルムを用いることができる。なお、支持基材12の材料はこれに限定されるものではなく、上述したように、金属や紙材、布材、ガラスなどの材料を用いることもできる。
なお、支持基材12上に偏光選択反射層11−1,11−2(又は各偏光選択反射層11−1,11−2を構成する各部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1,11a−2,11b−2,11c−2)を積層する場合には、後述するように、コレステリック規則性を示す液晶性組成物を塗布した後、配向処理及び硬化処理を行うのが一般的である。
この場合、各偏光選択反射層11−1,11−2(又は各偏光選択反射層11−1,11−2を構成する各部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1,11a−2,11b−2,11c−2)のコレステリック液晶構造がプラーナー配向状態とならないように制御する必要があるので、支持基材12としては、液晶性組成物が塗布される側の表面に配向能を有していないものを用いることが好ましい。ただし、支持基材12のうち液晶性組成物が塗布される側の表面の材料が、延伸フィルムなどのように表面に配向能を有しているものであっても、支持基材12としての延伸フィルムの表面に表面処理を施したり、液晶性組成物の材料や、液晶性組成物を配向処理する際のプロセス条件などを制御することにより、各偏光選択反射層11−1,11−2(又は各偏光選択反射層11−1,11−2を構成する各部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1,11a−2,11b−2,11c−2)のコレステリック液晶構造がプラーナー配向状態とならないように制御することが可能である。
また、支持基材12のうち液晶性組成物が塗布される側の表面が配向能を有している場合には、支持基材12側に設けられる偏光選択反射層11−2(又は偏光選択反射層11−2を構成する11a−2)と支持基材12との間に易接着層などの中間層を設けることにより、各偏光選択反射層11−1,11−2(又は各偏光選択反射層11−1,11−2を構成する各部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1,11a−2,11b−2,11c−2)のコレステリック液晶構造の配向状態を制御し、各偏光選択反射層11−1,11−2(又は各偏光選択反射層11−1,11−2を構成する各部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1,11a−2,11b−2,11c−2)のコレステリック液晶構造のうち中間層との界面近傍の液晶分子のダイレクターが複数の方向に向くようにすることも可能である。なお、易接着層などの中間層を設ける場合には、偏光選択反射層11−2(又は偏光選択反射層11−2を構成する11a−2)と支持基材12との間の密着性を高めることもできる。なお、このような中間層としては、偏光選択反射層11の材質及び支持基材12の材質の両方に対して高い密着性が得られるものであればよく、一般に市販されているものを用いることができる。具体的には例えば、東洋紡社製の易接着層付PETフィルムA4100や、パナック社製の易接着材料AC−X、AC−L、AC−Wなどが挙げられる。なお、中間層は、黒い顔料などを練りこみ、可視光域の光を吸収する光吸収層として用いることもできる。
ここで、支持基材12の表面が配向能を有しておらず、また偏光選択反射層11−2(又は偏光選択反射層11−2を構成する部分選択反射層11a−2)と支持基材12との間の密着性も十分高い場合には、必ずしも中間層を設ける必要はない。また、偏光選択反射層11−2(又は偏光選択反射層11−2を構成する部分選択反射層11a−2)と支持基材12との間の密着性を高めるための方法としては、コロナ処理やUV洗浄などのプロセス的な方法を用いることもできる。
次に、上述したような投影スクリーン10の製造方法について説明する。
まず、偏光選択反射層11−1,11−2が積層される支持基材12を準備する。また、必要に応じて、支持基材12のうち偏光選択反射層11−1,11−2が設けられる側の表面上に易接着層などの中間層を積層する。なおこのとき、支持基材12のうち液晶性組成物が塗布される側の表面(又は中間層がある場合にはその表面)は配向能を有していないようにする。
次に、このようにして準備された支持基材12上に、特定の螺旋巻き方向(例えば左巻き)のコレステリック規則性を示す液晶性組成物を塗布した後、配向処理及び硬化処理を行うことにより、偏光選択反射層11−2を積層(固着)させる。さらに、このようにして支持基材12上に偏光選択反射層11−2を積層した後、この偏光選択反射層11−2上に、偏光選択反射層11−2の螺旋巻き方向とは異なる螺旋巻き方向(例えば右巻き)のコレステリック規則性を示す液晶性組成物を塗布した後、配向処理及び硬化処理を行うことにより、偏光選択反射層11−1を積層(固着)させる。
以下、偏光選択反射層11−1,11−2を積層(固着)させるための各工程(塗布工程、配向処理工程及び硬化処理工程)の詳細について説明する。
(塗布工程)
塗布工程においては、支持基材12又は支持基材12上に積層された偏光選択反射層11−2上に、特定の螺旋巻き方向(左巻き又は右巻き)のコレステリック規則性を示す液晶性組成物を塗布することにより、コレステリック液晶層を形成する。このとき、液晶性組成物を塗布する方法としては、既存の任意の方法を用いることができる。具体的には、ロールコート法やグラビアコート法、バーコート法、スライドコート法、ダイコート法、スリットコート法、浸漬法などを用いることができる。また、支持基材12としてプラスチックフィルムを用いる場合には、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)システムによるフィルムコーティングなどを用いることができる。
なお、支持基材12又は支持基材12上に積層された偏光選択反射層11−2上に塗布される液晶性組成物としては、コレステリック規則性を示すカイラルネマチック液晶やコレステリック液晶を用いることができる。このような材料としては、コレステリック液晶構造を形成し得る液晶材料であれば特に限定されるものではないが、特に、分子の両末端に重合性の官能基があるような重合性の液晶材料が、硬化後に光学的に安定した偏光選択反射層11−1,11−2を得る上で好ましい。
以下、液晶性組成物としてカイラルネマチック液晶を用いる場合を例に挙げて説明する。なお、カイラルネマチック液晶は、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料とカイラル剤とを混合したものである。ここで、カイラル剤は、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料の螺旋ピッチ長を制御し、液晶性組成物が全体としてコレステリック規則性を呈するようにするためのものである。なお、カイラル剤の種類を変えてカイラルパワーを変えるか、あるいは、カイラル剤の濃度を変化させることにより、重合性の液晶材料の分子構造に起因する選択反射中心波長を制御することができる。また、カイラル剤の種類を変えることにより、液晶性組成物が示すコレステリック規則性の螺旋巻き方向を右巻き又は左巻きのいずれかに設定することができる。なお、このような液晶性組成物には、重合開始剤やレベリング剤、その他の適当な添加剤が添加される。
ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料の一例としては、例えば、下記の一般式(1)で表わされる化合物や、下記の式(2−i)〜(2−xi)で表される化合物を挙げることができる。また、これらの化合物を単独で、もしくは混合して用いることができる。
Figure 2006017930
Figure 2006017930
上記一般式(1)において、R及びRはそれぞれ水素又はメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR及びRはともに水素であることが好ましい。Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基、ニトロ基のいずれであっても差し支えないが、塩素又はメチル基であることが好ましい。また、上記一般式(1)において、分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と芳香環とのスペーサーであるアルキレン基の鎖長を示すa及びbは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(1)の化合物は、安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物自体の結晶性が高い。また、a及びbがそれぞれ13以上である一般式(1)の化合物は、アイソトロピック転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物はどちらも液晶相を示す温度範囲が狭く好ましくない。
なお、以上においては、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料として重合性液晶モノマーの例を挙げて説明したが、これに限らず、重合性液晶オリゴマーや重合性液晶高分子、液晶ポリマーなどを用いることも可能である。このような重合性液晶オリゴマーや重合性液晶高分子、液晶ポリマーとしては、従来から提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
一方、カイラル剤は、光学活性な部位を有する低分子化合物であり、主として分子量1500以下の化合物である。カイラル剤は主として、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料が発現する正の一軸ネマチック規則性に螺旋構造を誘起させる目的で用いられる。この目的が達成される限り、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料との間で溶液状態あるいは溶融状態において相溶し、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料の液晶性を損なうことなく、これに所望の螺旋構造を誘起できるものであれば、カイラル剤としての低分子化合物の種類は特に限定されない。
なお、このようにして液晶に螺旋構造を誘起させるために用いられるカイラル剤は、少なくとも分子中に何らかのキラリティーを有していることが必要である。従って、ここで用いられるカイラル剤としては、例えば1つあるいは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミンやキラルなスルフォキシドなどのようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、あるいはクムレンやビナフトールなどの軸不斉を持つ光学活性な部位を有する化合物が挙げられる。さらに具体的には、市販のカイラルネマチック液晶(例えばキラルドーパント液晶S−811(Merck社製))が挙げられる。
しかしながら、選択されたカイラル剤の性質によっては、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料が形成するネマチック規則性の破壊、配向性の低下、あるいはカイラル剤が非重合性の場合には、液晶性組成物の硬化性の低下や、硬化後のフィルムの信頼性の低下を招くおそれがある。さらに、光学活性な部位を有するカイラル剤の多量な使用は、液晶性組成物のコストアップを招く。従って、短い螺旋ピッチ長のコレステリック規則性を有する偏光選択反射層を形成する場合には、液晶性組成物に含有させる光学活性な部位を有するカイラル剤としては、螺旋構造を誘起させる効果の大きなカイラル剤を選択することが好ましく、具体的には下記の一般式(3)、(4)又は(5)で表されるような、分子内に軸不斉を有する低分子化合物を用いることが好ましい。
Figure 2006017930
Figure 2006017930
Figure 2006017930
上記一般式(3)又は(4)において、Rは水素又はメチル基を示す。Yは上記に示す式(i)〜(xxiv)の任意の一つであるが、中でも、式(i)、(ii)、(iii)、(v)及び(vii)のいずれか一つであることが好ましい。また、アルキレン基の鎖長を示すc及びdは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数をとり得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。c又はdの値が0又は1である上記一般式(3)又は(4)の化合物は、安定性に欠け、加水分解を受けやすく、結晶性も高い。一方、c又はdの値が13以上である化合物は融点(Tm)が低い。これらの化合物では、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料との間の相溶性が低下し、濃度によっては相分離などが起きるおそれがある。
なお、このようなカイラル剤は、特に重合性を有する必要はない。しかしながら、カイラル剤が重合性を有している場合には、ネマチック規則性を示す重合性の液晶材料と重合され、コレステリック規則性が安定的に固定化されるので、熱安定性などの面では非常に好ましい。特に、分子の両末端に重合性の官能基があることが、耐熱性の良好な偏光選択反射層11−1,11−2を得る上で好ましい。
なお、液晶性組成物に含有されるカイラル剤の量は、螺旋構造の誘起能力や最終的に得られる偏光選択反射層のコレステリック液晶構造などを考慮して最適値が決められる。具体的には、用いられる液晶性組成物の材料により大きく異なるものではあるが、液晶性組成物の合計量100重量部当り、0.01〜60重量部、好ましくは0.1〜40重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部、最も好ましくは1〜20重量部の範囲で選ばれる。カイラル剤の含有量が上述した範囲よりも少ない場合は、液晶性組成物に十分なコレステリック規則性を付与することができない場合があり、上述した範囲を越える場合は、液晶分子の配向が阻害され、活性放射線などによって硬化させる際に悪影響を及ぼす危惧がある。
なお、液晶性組成物は支持基材12上にそのまま塗布することも可能であるが、粘性を塗布装置に合わせたり、良好な配向状態を得る目的で有機溶媒などの適当な溶媒に溶解させてインキ化するようにしてもよい。
このような溶媒としては、上述したような重合性の液晶材料を溶解することが可能であれば特に限定されるものではないが、支持基材12を浸食しないものであることが好ましい。具体的には、アセトンや、酢酸−3−メトキシブチル、ジグライム、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、塩化メチレン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。重合性の液晶材料の希釈の程度は特に限定されるものではないが、液晶自体が溶解性の低い材料であり、また粘性が高いことなどを考慮して、5〜50%、さらに好ましくは10〜30%程度に希釈することが好ましい。
なお、上述したように、液晶性組成物にはレベリングが添加されることが好ましい。レベリング剤は、偏光選択反射層のコレステリック液晶構造に構造的な不均一性を与えるものである(特願2003−275290号参照)。ここでは、最終的に得られる偏光選択反射層に必要とされる拡散特性に応じて所定量が添加されている。
なお、レベリング剤を添加することによりコレステリック液晶構造に構造的な不均一性が与えられる理由は次のとおりである。すなわち、液晶性組成物にレベリング剤が添加されると、最終的に得られる偏光選択反射層内におけるコレステリック液晶構造のドメインの構築に分子レベルでの影響が及ぼされ、個々のドメインがそれぞれ成長した形で不均一な構造の発現が促されるので、結果的に偏光選択反射層における螺旋軸構造領域の螺旋軸の方向が調整されることとなる。
ここで、液晶性組成物に添加されるレベリング剤の量は、最終的に得られる偏光選択反射層の厚さを考慮して決定する必要がある。すなわち、レベリング剤の含有量が等しい液晶性組成物を同面積の支持基材上に塗布する場合には、得られる偏光選択反射層の厚さが厚いほど偏光選択反射層中に含まれるレベリング剤の量が多くなり、また、偏光選択反射層の厚さが薄いほど偏光選択反射層中に含まれるレベリング剤の量が少なくなってしまう。従って、偏光選択反射層の厚さに応じて偏光選択反射層中に含まれるレベリング剤の量が異なったものとなるので、その点を考慮して液晶性組成物に含まれるレベリング剤の量を変化させるようにし、最終的に得られる偏光選択反射層における螺旋軸構造領域の螺旋軸の方向を所望の角度だけ変化させるようにするとよい。
このようなレベリング剤の含有量は、具体的には、レベリング剤の種類や、液晶性組成物に含まれる重合性の液晶材料の種類、溶媒の種類、さらには液晶性組成物が塗布される支持基材の種類にもよるが、重合性の液晶材料の合計量100重量部に対して0.06〜5重量部、中でも0.06〜3重量部の範囲内であることが好ましい。液晶性組成物中にレベリング剤を上述した範囲内の量で含有させることにより、得られる偏光選択反射層内における螺旋軸構造領域の螺旋軸の方向を調整し、最適な螺旋軸の角度を持つコレステリック液晶構造とすることができるからである。また、レベリング剤の含有量が上述した範囲を超える場合には、重合性の液晶材料の液晶性が発現しなくなる可能性があるからである。
なお、上述したレベリング剤の含有量は、液晶性組成物が塗布される支持基材が配向能を有しない場合のものである。すなわち、支持基材が配向能を有する場合は、支持基材の配向能により重合性の液晶材料が配向してしまうため、レベリング剤を添加させてもコレステリック液晶構造に構造的な不均一性が与えられない場合がある。この場合、コレステリック液晶構造に構造的な不均一性が与えられないレベリング剤の含有量は、上述した範囲から除外することとする。
ここで用いられるレベリング剤としては、(1)イミダゾリン、第四級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド、ポリアミン誘導体などの陽イオン系界面活性剤、(2)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、第一級あるいは第二級アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ポリエチレングリコール及びそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪族あるいは芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物などの陰イオン系界面活性剤、(3)ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタインなどの両性系界面活性剤、(4)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどの非イオン系界面活性剤、(5)パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル・親油基含有オリゴマーパーフルオロアルキル基含有ウレタンなどのフッ素系界面活性剤、(6)ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体、メタクリル酸、メタクリル酸共重合体などのアクリル系界面活性剤などが挙げられる。中でも、アクリル系界面活性剤が好ましく用いられる。
(配向処理工程)
上述した塗布工程において、支持基材12上に液晶性組成物を塗布し、コレステリック液晶層を形成した後、配向処理工程において、コレステリック液晶層をコレステリック液晶構造が発現する所定の温度に保持し、コレステリック液晶層中の液晶分子を配向させる。
なお、最終的に得られるべき偏光選択反射層11−1,11−2のコレステリック液晶構造は、プラーナー配向状態ではなく、図6(a)に示すように、複数の螺旋構造領域30の螺旋軸Lの方向が層内でばらついた配向状態となっているが、この場合でも、配向処理は必要となる。すなわち、コレステリック液晶構造の液晶分子のダイレクターを支持基材12上で一定方向に揃えるような配向処理は必要とされないが、コレステリック液晶構造中に複数の螺旋構造領域30を形成させるような配向処理は必要となるからである。
ここで、支持基材12上に形成されたコレステリック液晶層を、コレステリック液晶構造が発現する所定の温度に保持すると、コレステリック液晶層は液晶相を呈し、液晶分子自体の自己集積作用により、液晶分子のダイレクターが層の厚さ方向に連続的に回転してなる螺旋構造が形成される。そして、このような液晶相の状態で発現したコレステリック液晶構造は、後述するような手法でコレステリック液晶層を硬化させることにより、固定化することができる。
なお、このような配向処理工程は、支持基材12上に塗布された液晶性組成物に溶媒が含有されている場合には、通常、溶媒を除去するための乾燥処理とともに行われる。なお、溶媒を除去するためには、40〜120℃、好ましくは60〜100℃の乾燥温度が適しており、乾燥時間(加熱時間)はコレステリック液晶構造が発現し、実質上溶媒が除去されればよく、例えば、15〜600秒が好ましく、さらに好ましくは30〜180秒である。なお、乾燥後に配向状態が不十分であることが分かった場合には、適宜加熱時間を延長するようにするとよい。なお、このような乾燥処理において減圧乾燥の手法を用いる場合には、配向処理のために別途加熱処理を行うことが好ましい。
(硬化処理工程)
上述した配向処理工程において、コレステリック液晶層中の液晶分子を配向させた後、硬化処理工程において、コレステリック液晶層を硬化させ、液晶相の状態で発現したコレステリック液晶構造を固定化する。
ここで、硬化処理工程で用いられる方法としては、(1)液晶性組成物中の溶媒を乾燥させる方法、(2)加熱により液晶性組成物中の液晶分子を重合させる方法、(3)放射線の照射により液晶性組成物中の液晶分子を重合させる方法、及び(4)それらの方法を組み合わせた方法を用いることができる。
このうち、上記(1)の方法は、コレステリック液晶層の材料である液晶性組成物に含有されるネマチック規則性を示す重合性の液晶材料として液晶ポリマーを用いた場合に適した方法である。この方法では、液晶ポリマーを有機溶媒などの溶媒に溶解させた状態で支持基材12に塗布することとなるが、この場合には、乾燥処理により溶媒を除去するだけで、コレステリック規則性を有する固体化したコレステリック液晶層が形成される。なお、溶媒の種類や乾燥条件などについては、上述した塗布工程及び配向処理工程で述べたものを用いることができる。
上記(2)の方法は、加熱により液晶性組成物中の液晶分子を熱重合させてコレステリック液晶層を硬化させる方法である。この方法では、加熱(焼成)温度によって液晶分子の結合状態が変化するので、加熱時にコレステリック液晶層の面内で温度ムラがあると、膜硬度などの物性や光学的な特性にムラが生じる。ここで、膜硬度の分布を±10%以内にするためには、加熱温度の分布も±5%以内に抑えることが好ましく、より好ましくは±2%以内に抑えることが好ましい。
なお、支持基材12上に形成されたコレステリック液晶層を加熱する方法としては、加熱温度の均一性が得られれば特に限定はなく、ホットプレート上に密着して保持したり、ホットプレートとの間にわずかな気層を設けてホットプレートと平行になるように保持する方法を用いることができる。また、オーブンのような特定の空間全体を加熱する装置内に静置したり当該装置内を通過させる方法でもよい。なお、フィルムコーターなどを用いる場合には、乾燥ゾーンを長くして加熱時間を十分にとることができるようにすることが好ましい。
加熱温度としては一般に、100℃以上の高温が必要となるが、支持基材12の耐熱性から150℃程度までとすることが好ましい。ただし、耐熱性に特化したフィルムなどを支持基材12の材料として用いれば、150℃以上の高温での加熱も可能である。
上記(3)の方法は、放射線の照射により液晶性組成物中の液晶分子を光重合させてコレステリック液晶層を硬化させる方法である。この方法では、放射線として、電子線や紫外線などを条件に応じて適宜用いることができる。通常は、装置の容易性などの観点から紫外線が好ましく用いられ、その波長は250〜400nmである。なお、紫外線によりコレステリック液晶層を硬化させる場合には、酸素がラジカル阻害をして液晶分子の反応性を低下させるので、窒素やアルゴンなどの不活性ガス(酸素濃度が5%以下、さらには0.5%以下)中で硬化させることが好ましい。ここで、紫外線を用いる場合には、液晶性組成物に光重合開始剤が添加されていることが好ましい。
液晶性組成物中に添加される光重合開始剤としては、ベンジル(ビベンゾイルともいう)や、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどを挙げることができる。なお、光重合開始剤の他に増感剤を、本発明の目的が損なわれない範囲で添加することも可能である。
なお、液晶性組成物に添加される光重合開始剤の含有量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の範囲であることが好ましい。
以上のような一連の工程(塗布工程、配向処理工程及び硬化処理工程)を行うことにより、支持基材12上に単層のコレステリック液晶層からなる偏光選択反射層11−1,11−2を形成することができるが、上述した一連の工程を繰り返すことにより、複数層のコレステリック液晶層(部分選択反射層11a−1,11b−1,11c−1(11a−2,11b−2,11c−2))からなる偏光選択反射層11−1(11−2)を形成することが可能である。これにより、例えば、図4に示すように、偏光選択反射層11−1(11−2)として、青色(B)の波長域の光を選択的に反射する部分選択反射層11a−1(11a−2)と、緑色(G)の波長域の光を選択的に反射する部分選択反射層11b−1(11b−2)と、赤色(R)の波長域の光を選択的に反射する部分選択反射層11c−1(11c−2)とが、支持基材12側から順に積層された偏光選択反射層11−1(11−2)を形成することができる。
なお、偏光選択反射層11−2上に偏光選択反射層11−1を積層する場合、又は、部分選択反射層(例えば部分選択反射層11a−1)上に部分選択反射層(例えば部分選択反射層11b−1)を積層する場合には、下層のコレステリック液晶層が形成されてそれが固定化されていれば、2層目以降のコレステリック液晶層の液晶性組成物を塗布するときも同様の手法により行うことができる。この場合、上層のコレステリック液晶層のコレステリック液晶構造(配向状態)は下層のコレステリック液晶層のコレステリック液晶構造(配向状態)を継続したものとなり、積層されるコレステリック液晶層の間に配向制御などのための層を設ける必要はない。ただし、必要に応じて、積層されるコレステリック液晶層の間に易接着層などの中間層を設けるようにしてもよい。なお、2層目以降のコレステリック液晶層を形成するに際しての、塗布工程、配向処理工程及び硬化処理工程に関する条件や用いる材料などに関しては、上述した通りであるので、ここでの説明は省略する。
なお、以上において、投影スクリーン10を構成する偏光選択反射層11−1,11−2の積層体は、支持基材12から剥離して偏光選択反射層11−1,11−2の積層体単独で用いることも可能である。
このように本実施の形態によれば、各偏光選択反射層11−1,11−2において、異なる偏光成分の光が異なる拡散角で選択的に反射されるので、例えば、各偏光選択反射層11−1,11−2に入射する環境光(照明光34など)及び映像光31の偏光状態を制御して、より大きな拡散角を持つ偏光選択反射層(偏光選択反射層11−2)で映像光31が反射され、より小さな拡散角を持つ偏光選択反射層(偏光選択反射層11−1)で環境光(照明光34など)が反射されるようにすれば、投影スクリーン10に対して斜め方向から入射する環境光(照明光34など)が鏡面反射に近い形で観察方向とは異なる方向へ反射される。このため、照明光34が存在するような明るい環境光の下でも、映像光31に環境光(照明光34など)が重なることが効果的に軽減されるので、黒表示などの暗表示の部分の明るさがより暗くなり、映像のコントラストを向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、各偏光選択反射層11−1,11−2において、異なる偏光成分の光が異なる拡散角で選択的に反射されるので、例えば、より小さな拡散角を持つ偏光選択反射層(偏光選択反射層11−1)で右円偏光が反射され、より大きな拡散角を持つ偏光選択反射層(偏光選択反射層11−2)で左円偏光が反射されるものとすれば、投影機21から投影スクリーン10上に投射される映像光31が右円偏光となるようにその偏光状態を制御すれば、当該投影スクリーン10を狭視野スクリーン(視野角は狭いが明るいスクリーン)として機能させることが可能となり、少人数での観察に適した高輝度スクリーンを得ることができる。一方、投影機21から投影スクリーン10上に投射される映像光31が左円偏光となるようにその偏光状態を制御すれば、当該投影スクリーン10を広視野スクリーン(視野角が広いスクリーン)として機能させることが可能となり、大人数での観察に適したスクリーンを得ることができる。さらに、投影機21から投影スクリーン10上に投射される映像光31が無偏光又は直線偏光となるようにその偏光状態を制御すれば、上述した両スクリーン(狭視野スクリーン及び広視野スクリーン)の中間の特性を持つスクリーンを得ることができる。
さらに、本実施の形態によれば、各偏光選択反射層11−1,11−2が、可視光域の一部のみをカバーする特定の波長域の光を選択的に反射するようにしているので、このような偏光選択反射層11−1,11−2からなる投影スクリーン10において、外光や照明光などの環境光の影響をさらに抑えて映像のコントラストを高めることができ、映像の視認性をより向上させることができる。
さらにまた、本実施の形態によれば、各偏光選択反射層11−1,11−2に入射する環境光(照明光34など)の波長分散が、各偏光選択反射層11−1,11−2で反射される映像光31の波長分散と実質的に同一であるようにしているので、斜め方向から入射することで短波長側へシフトする環境光(照明光34など)の反射率は映像光31の反射率に比べて低下することとなる。このため、環境光(照明光34など)の影響をさらに抑えて映像のコントラストを高めることができ、映像の視認性をより向上させることができる。
なお、上述した実施の形態においては、第1偏光選択反射層11−1で反射される第1偏光が右円偏光であり、第2偏光選択反射層11−2で反射される第2偏光が左円偏光である場合を例に挙げて説明したが、第1偏光選択反射層11−1で反射される第1偏光が左円偏光であり、第2偏光選択反射層11−2で反射される第2偏光が右円偏光であってもよいことはもちろんである。また、第1偏光選択反射層11−1で反射される第1偏光及び第2偏光選択反射層11−2で反射される第2偏光が互いに異なる偏光成分を持つようにすればよく、例えば、第1偏光及び第2偏光のうちの一方が円偏光であり、他方が直線偏光であってもよい。
また、上述した実施の形態においては、偏光選択反射層11−1,11−2自体のコレステリック液晶構造の螺旋巻き方向を異ならせることにより当該偏光選択反射層11−1,11−2で反射される偏光が互いに異なる偏光成分を持つようにしているが、これに限らず、偏光選択反射層11−1,11−2自体のコレステリック液晶構造の螺旋巻き方向は同一として、これら偏光選択反射層11−1,11−2の間に1/2λ位相差板を配置することにより当該偏光選択反射層11−1,11−2で反射される偏光が互いに異なる偏光成分を持つようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態においては、投影スクリーン10の支持基材12が、可視光域の光を吸収する光吸収層を含む場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、支持基材12が、可視光域の少なくとも一部の光を透過する透明基材であってもよい。この場合には、映像が表示されていないときの投影スクリーン10の透明度が高いので、背景がクリアに透けて見えることとなり、ショーウィンドウに設置したりといったデザイン性の高い利用が可能である。また、シチュエーションに応じて視野角を切り替えることにより効果的なアイキャッチ効果を生み出すこともできる。このため、明るい環境下では映えなかった、プロジェクターを用いた従来の情報ツールの欠点を解消して、広告板や情報掲示板、案内板等の用途で効果的に用いることができる。なお、上述した透明基材としては、ヘイズが少ないものが好ましいが、光を透過する材料であれば、アクリルやガラス、塩化ビニル等の任意の材料を用いることができる。また、上述した透明基材は、必ずしも無色である必要はなく、色のついたものでもよい。具体的には例えば、間仕切りや窓などに用いられる、茶や青、橙などの有色でかつ透明なプラスチック板やガラス板などを用いることができる。
なお、上述した実施の形態において、投影スクリーン10の支持基材12としては、支持基材12上への液晶性組成物の塗布方法や、支持基材12上に形成される偏光選択反射層11−1,11−2の配向制御方法などとの関係で最適なものを決めることが好ましい。具体的には例えば、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)システムによるフィルムコーティングなどにより支持基材12上へ液晶性組成物を塗布する場合には、支持基材12としてフィルム状の基材を用いることが好ましく、また、枚葉式のコーティングにより支持基材12上へ液晶性組成物を塗布する場合には、支持基材12として板状の基材を用いることが好ましい。しかしながら、最終的に得られる支持基材12として、平面性や曲げ特性、透明性、遮光性などに関して種々の異なる特性を持つものが必要とされる場合には、これらの特性を一つの基材で満たすようにする必要は必ずしもなく、複数の基材の組み合わせにより支持基材12を構成するようにしてもよい。具体的には例えば、プラスチックフィルム上に液晶性組成物を塗布して偏光選択反射層を形成した後に、当該プラスチックフィルムを平面性の高いプラスチック板に貼り付けることにより、プラスチックフィルム及びプラスチック板からなる支持基材12を構成するようにしてもよい。
次に、上述した実施の形態の具体的実施例について述べる。
(実施例)
紫外線硬化型のネマチック液晶からなる主剤に右巻き用カイラル剤を添加したモノマー混合液晶をシクロヘキサノンに溶解し、440nmに選択反射中心波長を有するコレステリック液晶溶液1を調整した。ここで、ネマチック液晶としては、上記の化学式(2−xi)で表される化合物を含む液晶を用い、また、重合性カイラル剤としては、上記の化学式(5)で表される化合物を用いた。
さらに、コレステリック液晶溶液1には、光重合開始剤(Ciba Speciality Chemicals社製)を5重量%添加し、また、レベリング剤(ビックケミー製)を0.05重量%添加した。
そして、以上のようにして調整したコレステリック液晶溶液1を、200mm□の黒色PETフィルム上に易接着層を成膜した基材(ルミラー/AC−X、パナック社製)上に、バーコート法により塗布した。
次に、80度のオーブンで90秒間に亘って乾燥及び配向処理を行い、溶剤が除去されたコレステリック液晶層を得た。
その後、窒素雰囲気下でコレステリック液晶層に対して365nmの紫外線を50mW/cmで1分間照射し、コレステリック液晶層を硬化させた。なお、このようにして硬化されたコレステリック液晶層のコレステリック液晶構造はプラーナー配向状態ではなかった。
以上により、440nmに選択反射中心波長を有する1層目の部分選択反射層を形成した。
次に、以上のようにして形成された1層目の部分選択反射層上に直接、コレステリック液晶溶液2を、1層目の部分選択反射層を形成する方法と同様の方法で塗布し、乾燥、配向処理及び硬化処理を行い、550nmに選択反射中心波長を有する2層目の部分選択反射層を形成した。なお、コレステリック液晶溶液2は、カイラル剤の含有量を調製することにより550nmに選択反射中心波長を有するようにした点以外は、コレステリック液晶溶液1と同様に調製されたものである。
同様にして、以上のようにして形成された2層目の部分選択反射層上に直接、コレステリック液晶溶液3を、1層目及び2層目の部分選択反射層を形成する方法と同様の方法で塗布し、乾燥、配向処理及び硬化処理を行い、600nmに選択反射中心波長を有する2層目の部分選択反射層を形成した。なお、コレステリック液晶溶液3は、カイラル剤の含有量を調製することにより600nmに選択反射中心波長を有するようにした点以外は、コレステリック液晶溶液1,2と同様に調製されたものである。
以上により、440nm、550nm及び600nmに選択反射中心波長を有する3層の部分選択反射層からなる右円偏光選択反射層を形成した。ここで、右円偏光選択反射層を構成する各部分選択反射層の厚さは、1層目は2μm、2層目は3μm、3層目は4μmであり、右円偏光選択反射層全体の厚さは9μmであった。また、右円偏光選択反射層の拡散角βは±15°であった。
次に、右円偏光選択反射層の各部分選択反射層を形成するためのコレステリック液晶溶液1,2,3と同様に調製された3種類のコレステリック液晶溶液4,5,6を、右円偏光選択反射層上に順次塗布し、乾燥、配向処理及び硬化処理を行うことにより、上記右円偏光選択反射層の各部分選択反射層を形成する方法と同様の方法で、440nm、550nm及び600nmに選択反射中心波長を有する3層の部分選択反射層からなる左円偏光選択反射層を形成した。なお、コレステリック液晶溶液4,5,6のそれぞれは、添加されるカイラル剤が左巻き用である点、及び添加されるレベリング剤の含有量が0.3重量%である点を除いて、他はコレステリック液晶溶液1,2,3と同様に調製されたものである。ここで、左円偏光選択反射層を構成する各部分選択反射層の厚さは、1層目は2μm、2層目は3μm、3層目は4μmであり、左円偏光選択反射層全体の厚さは9μmであった。また、左円偏光選択反射層の拡散角βは±35°であった。
以上により、基材上に右円偏光選択反射層及び左円偏光選択反射層が積層された投影スクリーン1を得た。
(比較例)
市販の既存スクリーンとして、マットタイプの投影スクリーン2(オーエス社製)を準備した。
(評価結果)
上述した実施例に係る投影スクリーン1及び比較例に係る投影スクリーン2をそれぞれ床に対して垂直になるように設置した。なお、投影機は投影スクリーン1,2から垂直な方向(床に平行な方向)に約2.5m離れたところに配置した。ここで、投影機としては、DLP方式のプロジェクター(東芝社製のTDP−P5(J))を用いた。また、投影機の射出口には、出射された映像光の偏光状態を制御することができるようにフィルターホルダーを設置して円偏光板を配置した。
室内の照明は白色蛍光灯で、天井からおよそ50度の角度で投影スクリーン1,2に入射するように配置した。この照明は、偏光板により右円偏光として出射されるようにした。なお、このときの投影スクリーン1,2の真下の明るさをトプコン社製の照度計により測定したところ、200lxであった。
そして、このような状況で配置された投影スクリーン1に対して、投影機から出射された映像光を左円偏光板により左円偏光として投射した場合には、視野角が広く、かつ、斜め方向から見た場合でも明るい、コントラストの高い映像が得られた。これに対し、投影スクリーン1に対して、投影機から出射された映像光を右円偏光板により右円偏光として投射した場合には、特に正面付近で観察したときに十分に明るい、さらにコントラストの高い映像が得られた。
一方、投影スクリーン2に対して、投影機から出射された映像光を投射した場合には、映像光の偏光状態にかかわらず、視野角は変化しなかった。また、映像のコントラストも照明光などの環境光の影響により低かった。
本発明の一実施の形態に係る投影スクリーンを備えた投影システムを示す概略横断面図。 図1に示す投影システムにおいて、投影スクリーン上に投射される映像光の偏光状態を切り替えた場合の作用を説明するための概略横断面図。 図1及び図2に示す投影システムの一変形例を示す概略縦断面図。 図1乃至図3に示す投影システムで用いられる投影スクリーンの一変形例を示す概略断面図。 図1乃至図3に示す投影スクリーンで用いられる各偏光選択反射層の光学的機能を説明するための模式図。 図1乃至図3に示す投影スクリーンで用いられる各偏光選択反射層の配向状態を説明するための模式図。
符号の説明
10 投影スクリーン
11−1 第1偏光選択反射層
11−2 第2偏光選択反射層
11a−1,11b−1,11c−1 部分選択反射層
11a−2,11b−2,11c−2 部分選択反射層
12 支持基材
20 投影システム
21 投影機
22 偏光制御部材
23 照明光源
24 偏光フィルム
25 照明光源設置部
30 螺旋構造領域
31 映像光
31R 選択反射波長域内の右円偏光
31L 選択反射波長域内の左円偏光
32R 選択反射波長域外の右円偏光
32L 選択反射波長域外の左円偏光
33,36 反射光
34 照明光
41 右円偏光の反射光(狭視野角の反射光)
42 左円偏光の反射光(広視野角の反射光)
43 照明光の反射光(狭視野角の反射光)
45 観察者

Claims (13)

  1. 特定の偏光成分を持つ第1偏光を選択的に反射する第1偏光選択反射層と、
    前記第1偏光選択反射層で反射される前記第1偏光とは異なる偏光成分を持つ第2偏光を選択的に反射する第2偏光選択反射層とを備え、
    前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層は、それ自体の構造により反射光を拡散させるものであり、かつ、前記第1偏光選択反射層で反射される前記第1偏光の拡散角と前記第2偏光選択反射層で反射される前記第2偏光の拡散角とが互いに異なることを特徴とする投影スクリーン。
  2. 前記第1偏光及び前記第2偏光のうちの一方が右円偏光であり、他方が左円偏光であることを特徴とする、請求項1に記載の投影スクリーン。
  3. 前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層はコレステリック液晶構造を有し、このコレステリック液晶構造の構造的な不均一性により反射光を拡散させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の投影スクリーン。
  4. 前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層の前記コレステリック液晶構造は、螺旋軸の方向が異なる複数の螺旋構造領域を含むことを特徴とする、請求項3に記載の投影スクリーン。
  5. 前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層は、可視光域の一部のみをカバーする特定の波長域の光を選択的に反射することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の投影スクリーン。
  6. 前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層の選択反射中心波長は、当該第1偏光選択反射層及び当該第2偏光選択反射層に対して光が垂直に入射する場合を基準にして、430〜460nm、540〜570nm及び580〜620nmの範囲のいずれかであることを特徴とする、請求項5に記載の投影スクリーン。
  7. 前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層は、重合性の液晶材料からなることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の投影スクリーン。
  8. 前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層を支持する支持基材をさらに備えたことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の投影スクリーン。
  9. 前記支持基材は、可視光域の光を吸収する光吸収層を含むことを特徴とする、請求項8に記載の投影スクリーン。
  10. 前記支持基材は、可視光域の少なくとも一部の光を透過する透明基材であることを特徴とする、請求項8に記載の投影スクリーン。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の投影スクリーンと、
    前記投影スクリーン上に映像光を投射する投影機とを備え、
    前記投影機から投射される映像光が前記第1偏光又は前記第2偏光のいずれかの偏光成分を持つようにその偏光状態が切り替えられるように構成されていることを特徴とする投影システム。
  12. 前記投影スクリーンへ向けて照明光を照射する照明光源をさらに備え、
    前記照明光源から照射される前記照明光は、前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層で反射される前記第1偏光及び前記第2偏光の持つ波長分散と実質的に同一の波長分散を持つことを特徴とする、請求項11に記載の投影システム。
  13. 前記照明光源から照射される前記照明光は、前記第1偏光選択反射層及び前記第2偏光選択反射層で反射される前記第1偏光及び前記第2偏光のうち拡散角が小さい方の偏光の偏光成分と同一の偏光成分を持つことを特徴とする、請求項11又は12に記載の投影システム。
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