JP2006001043A - 光学部品用金型の製造方法及び光学部品用金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】 多大な加工時間を要することなく、所定の成型パターンを金型用部材の表面に対して高い精度で容易に形成する。
【解決手段】 光学部品用金型10の製造方法が、金型用部材11の表面に感光性材料層12を形成する工程と、感光性材料層12を所定の成型パターン13の形状に感光させる工程と、感光した感光性材料層12を現像し、所定の成型パターン13を形成する工程と、現像された感光性材料層12の表面に保護層14を形成する工程と、保護層14が表面に形成された感光性材料層12を溶融させる工程と、感光性材料層12が溶融して形成された空間15内に高剛性材料を充填する工程と、充填された高剛性材料を硬化させて高剛性材料層16を形成する工程と、を備える。
【選択図】 図5

Description

本発明は、例えばレンズアレイを有するレンズシートなどの光学部品を成型するために用いられる光学部品用金型に関するものである。
リアプロジェクションテレビの透過型スクリーン、CCD及び液晶ディスプレイパネルなどに用いられる光学部品として、略半球状をなす微細なマイクロレンズが格子状に複数配列されてなるレンズアレイを有するマイクロレンズシートが知られている。このようなマイクロレンズシートにおけるレンズアレイは、そのマイクロレンズ群の外形に対応する成型パターンが金型用部材の表面に形成された光学部品用金型によって成型される。
従来、光学部品用金型の成型パターンは、金型用部材の表面をレーザー光の熱で昇華させて彫刻する方法や、成型パターンの各部に対応する複数の部品を組み合わせる方法などによって形成されていた。
しかしながら、従来の光学部品用金型の製造方法は、いずれも平面形状の金型を製造するためのものであり、シリンダ形状の金型を製造する場合に、球面形状の加工精度が十分得られないことに起因して加工を容易に行うことができないという問題があり、また、多大な加工時間が必要となって製造コストの増大を招いてしまうという問題があった。
これに対して、特許文献1には、銅メッキ処理が施された金型用部材の表面にレジスト層を形成し、このレジスト層にレーザー光を照射して所定の加工パターンを形成し、この加工パターンをマスクとして露出する銅メッキ層を酸で腐食させることにより、金型用部材の表面に所定の成型パターンを形成する方法が開示されている。
特開2001−30273号公報
しかしながら、特許文献1に開示された光学部品用金型の製造方法では、レジスト層に高い精度で微細な加工パターン(とくに100μm以下の加工パターン)を形成した後、この加工パターンをマスクとして銅メッキ層を酸で腐食させているため、金型用部材の表面における酸の濃度のバラツキや、温度、銅メッキ層の状態などにより、レンズアレイを成型するための成型パターンが不均一な形状で形成されてしまうという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、多大な加工時間を要することなく、所定の成型パターンを金型用部材の表面に対して高い精度で容易に形成することができる光学部品用金型の製造方法及び光学部品用金型を提供することを目的としている。
上記の課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明による光学部品用金型の製造方法は、被転写基材に転写する所定の成型パターンが金型用部材の表面に形成されてなる光学部品用金型の製造方法であって、金型用部材の表面に感光性材料層を形成する工程と、前記感光性材料層を所定の成型パターンの形状に感光させる工程と、感光した前記感光性材料層を現像し、前記所定の成型パターンを形成する工程と、現像された前記感光性材料層の表面に保護層を形成する工程と、前記保護層が表面に形成された前記感光性材料層を溶融させる工程と、前記感光性材料層が溶融して形成された空間内に高剛性材料を充填する工程と、充填された前記高剛性材料を硬化させて高剛性材料層を形成する工程と、を備えていることを特徴としている。
また、本発明による光学部品用金型は、本発明の光学部品用金型の製造方法によって製造されていることを特徴としている。
本発明では、金型用部材(例えばシリンダ形状あるいは平面形状)の表面に、感光性材料層(例えばレジスト層)によって所定の成型パターンを形成してから、この成型パターンを保護層(例えば金属層)で保護するようにしているため、多大な加工時間が必要になることなく、球面形状を含む微細な成型パターン(とくに100μm以下の成型パターン)を金型用部材の表面に対して高い精度で容易に形成することができる。
さらに、本発明では、保護層が表面に形成された感光性材料層を溶融させ、これによって保護層と金型用部材の表面との間に生じる空間内に、高剛性材料(例えば金属あるいは樹脂)を充填して硬化させることにより、高剛性材料層を形成している。そのため、比較的強度の低い感光性材料層を、十分な強度を有する高剛性材料層(例えばヤング率が0.5GPa〜100GPa及び/またはテンシロン強度が50MPa〜500MPa)で置き換えることができ、金型用部材の表面に形成された成型パターンに対して十分な強度を付与することができる。
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照しながら説明する。
本実施形態による光学部品用金型10は、図1及び図2に示すように、例えば中空のシリンダ形状をなす金型用部材11(平面形状をなす金型用部材であってもよい)の表面(外周面)に、被転写基材としての光学部品に転写する所定の成型パターン13が形成されてなるものである。
この光学部品用金型10によって成型される光学部品の一例としては、リアプロジェクションテレビの透過型スクリーン、CCD及び液晶ディスプレイパネルなどに用いられる光学部品として知られている、略半球状をなす微細なマイクロレンズが格子状に複数配列されてなるレンズアレイを有するマイクロレンズシートを挙げることができる。
この場合、成型パターン13は、図1〜図3に示すように、上記レンズアレイのマイクロレンズ群の外形に対応して、略半球状をなす微細な凹部が格子状に複数配列されてなるものとなり、上記レンズアレイを反転させた状態となる。
なお、光学部品用金型10によって成型される光学部品の一例としては、上記マイクロレンズシートだけではなく、例えば、レンチキュラーレンズシート、クロスレンチレンズシート、フレネルレンズシート、光拡散シート、プリズムシート、偏光板、位相差板、液晶光学フィルムなどを挙げることができる。
ここで、本実施形態による光学部品用金型10の構成を具体的に説明すると、図3に示すように、まず、金型用部材11の表面に、例えば低融点金属あるいは硬化収縮の少ない樹脂である高剛性材料が硬化してなる高剛性材料層16が形成されている。
そして、この高剛性材料層16に、上記成型パターン13が形成され、さらに、この成型パターン13を含む高剛性材料層16の表面に、例えば金属層である保護層14が形成されているのである。
次に、本実施形態による光学部品用金型10の製造方法を説明する
まず、図4(a)に示すように、例えば中空のシリンダ形状をなす金型用部材11、具体的には、長さ2m、直径100mm〜300mm、厚み10mm、表面(外周面)の表面精度が2〜3μm/mの平滑差となるような中空のシリンダ形状をなす金型用部材11(平面形状をなす金型用部材であってもよい)を用意する。
そして、図4(b)に示すように、この金型用部材11の表面に、例えば、特定波長の光に感度を有するポジ型レジストなどのポジ型感光性材料をディップコート法で塗布することにより、金型用部材11の表面に所定の厚み(例えば50μm〜80μm)の感光性材料層12を形成する。
すなわち、図6に示すように、一度、金型用部材11を、浴槽30に溜められた、感光性材料を有機溶剤に溶解させた溶液に浸漬した後、所定の一定速度で図6における引っ張り方向に引き上げることにより、感光性材料を金型用部材11の表面に均一に塗布して感光性材料層12を形成するのである。
次に、金型用部材11の表面に形成された感光性材料層12を、図7に示すようなレーザー走査装置Mによって、所定の成型パターン13の形状に感光させる。
このレーザー走査装置Mは、現在市場に出回っている一般的な複写機やレーザープリンタなどの光学エンジンを用いて容易に構成することができ、そのレーザー装置20には、上記感光性材料がポジ型レジストの場合、He−Cdレーザが用いられる。
レーザー走査装置Mは、レーザー装置20から出射されたレーザー光を、一旦コリメートレンズ21により平行光に変換した後、ポリゴンミラー22へ照射させる。そして、平行光に変換されたレーザー光Laを、ポリゴンミラー22により所定の速度で走査させ、この走査されたレーザー光Lbを、fθレンズ23により感光性材料層12の表面である平らな像面に集光させる。
ここで、fθレンズ23は、入射角θに比例した像高を有しており、入射角と鏡高との関係が焦点距離をfとしたときに「Y=fθ」であるため、この特性からfθレンズ23を使用することにより、感光性材料層12の表面において、図7におけるZ方向へレーザー光Lbの等速度スキャンを行う。
このとき、制御装置25は、ポリゴンミラー22を制御してレーザー光Lbのスキャンを行い、金型用部材11の長さ方向の一端部分から他端部分までのレーザー光Lbのスキャンが終了する毎に、ステッピングモータなどで構成された回転装置24により所定の角度だけ金型用部材11を回転させ、この金型用部材11の回転後にポリゴンミラー22により新たな部分にレーザー光Lbのスキャンを行う。
このレーザー光Lbのスキャンと金型用部材11の回転とを繰り返すことにより、感光性材料層12の表面全体を所定の成型パターン13の形状に感光させるためのレーザー光の露光を行う。このとき、fθレンズ23からの集光ポイントに感光性材料層2の表面が位置するように、ポリゴンミラー22、fθレンズ23、金型用部材11のそれぞれの位置を調整して配置する。
また、上記レーザー光の露光において、制御装置25は、焦点におけるレーザー光Lbの滞在時間及びレーザー装置20の放射強度、具体的には積算レーザーパワー量(照射されるレーザー光Lbの積算された光量)を、図示しない描画装置(設計されたレンズ形状のデータが記憶され、このデータを制御装置25へ出力する)からの成型パターンのデータに基づいて制御する。
そのため、上記スキャン走査では、レーザー光の積算レーザーパワー量を時系列的に調整して、感光性材料層12における化学結合(架橋)が切断される深さを制御することにより、所定の成形パターン13の形状が感光性材料層12に残存するようにレーザー照射を行う。
次に、所定の成型パターン13の形状に感光した感光性材料層12を有機溶剤などで現像することにより、化学結合が切断された部分の感光性材料が溶解して、図4(c)に示すように、この感光性材料層12に所定の成型パターン13が形成される。
そして、感光性材料層12が現像されることによって形成された成型パターン13を含む感光性材料層12の表面に、図5(d)に示すように、例えば金属層である保護層14を所定の厚み(例えば1μm〜5μm)で形成する。
この保護層14は、スパッタリング法によってCu、Ni、Crなどからなる金属層として形成してもよいし、銀鏡反応法によってAgからなる金属層として形成してもよいし、あるいは、金属蒸着法、EB(電子ビーム)蒸着法、メッキ法などによって金属層として形成してもよい。また、これらの方法を単独ではなく複合で用いて、保護層14を形成してもよい。
次に、保護層14が表面に形成された感光性材料層12を、金型用部材11に熱を加えながら例えばMBK(メチルブチルケトン)などの有機溶剤で溶融させることにより、図5(e)に示すように、保護層14と金型用部材11の表面との間に空間15を形成する。
ここで、上記保護層14は、シリンダ形状をなす金型用部材11の外周面を周回するシームレスの構造となって十分な強度を有しているため、感光性材料層12が溶融することによって形成された空間15がつぶれてしまうようなことはなく、成型パターン13の形状を良好に維持することができている。
次に、この感光性材料層12が溶融することによって形成される空間15内に、例えば低融点金属あるいは硬化収縮の少ない樹脂である高剛性材料を充填する。
高剛性材料である低融点金属としては、融点が30°C〜400°Cの金属、具体的にはタングステン合金、Cu、低融点合金などが挙げられ、また、高剛性材料である硬化収縮の少ない樹脂としては、硬化収縮率が0%〜5%の樹脂、具体的にはエポキシを骨格とする樹脂などが挙げられる。
最後に、上記空間15内に充填された高剛性材料を、例えば必要に応じて加熱して液相部分を蒸発させるなどの方法で硬化させることにより、例えばヤング率が0.5GPa〜100GPa及びテンシロン強度が50MPa〜500MPaのうちの少なくとも一方を満たす高剛性材料層16を形成する。
以上のような工程を経ることにより、本実施形態による光学部品用金型10を製造することができる。
以上説明した本実施形態では、シリンダ形状の金型用部材11の表面に対して、例えばポジ型レジスト層である感光性材料層12を用いて所定の成型パターン13を形成してから、この成型パターン13を例えば金属層である保護層14で保護するようになっている。
そのため、このような成型パターン13の加工に関して、多大な加工時間が必要にならず、しかも、球面形状を含む微細な成型パターン(とくに100μm以下の成型パターン)を金型用部材11の表面に対して高い精度で容易に形成することができる。
また、本実施形態では、保護層14が表面に形成された感光性材料層12を溶融させ、これによって生じる保護層14と金型用部材11の表面との間の空間15内に、上記低融点金属あるいは硬化収縮の少ない樹脂である高剛性材料を充填して硬化させることで、例えばヤング率が上記範囲に設定される高剛性材料層16を形成するようになっている。
したがって、比較的強度の低い感光性材料層12を、十分な強度を有する高剛性材料層16で置き換えることが可能となり、金型用部材11の表面に形成された成型パターン13に対して十分な強度を付与して、その寿命の延長を図ることができる。
本発明の実施形態による光学部品用金型を示す斜視図である。 図1におけるA−A線断面図である。 図2における領域Sの詳細図である。 本発明の実施形態による光学部品用金型の製造方法を工程順に示す説明図である。 本発明の実施形態による光学部品用金型の製造方法を工程順に示す説明図である。 本発明の実施形態による光学部品用金型の製造方法において、金型用部材の表面に感光性材料層を形成する方法を示す概念図である。 本発明の実施形態による光学部品用金型の製造方法において、感光性材料層を成型パターンの形状を感光させるためのレーザー走査装置を示す概念図である。
符号の説明
10 光学部品用金型
11 金型用部材
12 感光性材料層
13 成型パターン
14 保護層
15 空間
16 高剛性材料層

Claims (10)

  1. 被転写基材に転写する所定の成型パターンが金型用部材の表面に形成されてなる光学部品用金型の製造方法であって、
    金型用部材の表面に感光性材料層を形成する工程と、
    前記感光性材料層を所定の成型パターンの形状に感光させる工程と、
    感光した前記感光性材料層を現像し、前記所定の成型パターンを形成する工程と、
    現像された前記感光性材料層の表面に保護層を形成する工程と、
    前記保護層が表面に形成された前記感光性材料層を溶融させる工程と、
    前記感光性材料層が溶融して形成された空間内に高剛性材料を充填する工程と、
    充填された前記高剛性材料を硬化させて高剛性材料層を形成する工程と、
    を備えていることを特徴とする光学部品用金型の製造方法。
  2. 請求項1に記載の光学部品用金型の製造方法であって、
    前記高剛性材料層のヤング率が0.5GPa〜100GPaであることを特徴とする光学部品用金型の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の光学部品用金型の製造方法であって、
    前記高剛性材料層のテンシロン強度が50MPa〜500MPaであることを特徴とする光学部品用金型の製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光学部品用金型の製造方法であって、
    前記高剛性材料が金属であることを特徴とする光学部品用金型の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光学部品用金型の製造方法であって、
    前記高剛性材料が樹脂であることを特徴とする光学部品用金型の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の光学部品用金型の製造方法であって、
    前記感光性材料層がレジスト層であることを特徴とする光学部品用金型の製造方法。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の光学部品用金型の製造方法であって、
    前記保護層が金属層であることを特徴とする光学部品用金型の製造方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の光学部品用金型の製造方法であって、
    前記金型用部材がシリンダ形状であることを特徴とする光学部品用金型の製造方法。
  9. 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の光学部品用金型の製造方法であって、
    前記金型用部材が平面形状であることを特徴とする光学部品用金型の製造方法。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれかに記載の光学部品用金型の製造方法によって製造されていることを特徴とする光学部品用金型。
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