JP2005532042A - 少量の生体試料における遺伝子発現の評価のためのマルチプレックス標準化逆転写酵素‐ポリメラーゼ連鎖反応法 - Google Patents

少量の生体試料における遺伝子発現の評価のためのマルチプレックス標準化逆転写酵素‐ポリメラーゼ連鎖反応法 Download PDF

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Abstract

逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を使用した、遺伝子発現の数値の遺伝子試料間での直接比較のための方法が記載される。CDNA、競合鋳型混合物、複数の遺伝子に対するプライマー対を、少なくとも1種の適切なバッファーおよび少なくとも1種の適切な酵素と合わせ、混合物を形成する。混合物は予め決められたサイクル数で増幅し、PCR産物を形成する。PCR産物は、少なくとも1種の適切なバッファー、少なくとも1種の適切な酵素、およびそれぞれの遺伝子に特異的な1種のプライマー対と混合する。得られた混合物は付加的な予め決められたサイクル数で増幅する。

Description

発明の属する技術分野
本発明は研究助成No.NIH CA85147の下に行われ、その研究助成は本発明に対して一定の権利を有してよい。
本発明は少量の生体試料における遺伝子発現の評価のためのマルチプレックス標準化逆転写酵素‐ポリメラーゼ連鎖反応法に関する。該方法は、細針吸引生検試料、およびレーザー捕捉顕微解剖試料のような、少量の生体試料を評価するために有用である。本明細書に記載の方法がなければ、そのような試料からは、ほんの少数の遺伝子だけしか評価することができないだろう。本明細書に記載の方法を使用することにより、これまでわずか1遺伝子しか評価することができなかったのと同じ標本から、たくさんの遺伝子を標準化測定することが可能になる。
発明の背景
PCR法は、一般に、米国特許第4,683,195号;第4,683,202号;および第4,965,188号に記載される。PCR法は、一般に、核酸分子内に含まれるいずれかの所望する具体的な核酸配列を増幅するための方法を含む。PCRプロセスは、個々の核酸の相補的系統を過剰な2種のオリゴヌクレオチドプライマーで処理することを含む。プライマーは伸長して、相補的プライマー伸長産物を形成し、この伸長産物が、所望する核酸配列を合成するための鋳型となる。PCRプロセスは同時に段階的に行われ、所望する核酸配列の増幅レベルを増大させるために、所望する回数だけ反復ことができる。PCRプロセスに従って、それぞれのDNA系統上のプライマー間のDNA配列は、DNAの残りの部分および選択された試料にわたり選択的に増幅される。PCRプロセスはDNAの所望する領域の特定の増幅を提供する。
PCR産物の収率は、限界のないサイクル数の間、指数関数的に増加する。ある時点で、そして不確定な理由のために、反応は限定され、PCR産物は未知の割合で増加する。結果として、増幅された産物の収率は、同時に進行した同一の試料間で6倍も変化することが報告されている(Gilliand,G.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.87:2725−2729,1990)。(これらの刊行物および他の参考試料は、発明の背景、および具体的な例では本発明の実施に対して付加的な詳細を提供するために包含されていて、すべては本明細書に参照として明確に援用される)。したがって、一定数のPCRサイクル後に、標的遺伝子の初期濃度を外挿により正確に決定することはできない。PCRで定量するために、様々な研究者が、指数的な増幅を提供することが知られているサイクル数だけ増幅された試料を分析している(Horikoshi,T.,et al.,Cancer Res.52:108−116(1992);Noonan,K.E.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.87:7160−7164(1990);Murphy,L.D.,et al.,Biochemistry 29:10351−10356(1990);Carre,P.C.,et al.,J.Clin.Invest.88:1802−1810(1991);Chelly,J.,et al.,Eur.J.Biochem 187:691−698(1990);Abbs,S.,et al.,J.Med.Genet.29:191−196(1992);Feldmam,A.M.et al.,Circulation 83:1866−1872(1991)。一般に、PCR産物の収率が低い場合、これらの分析は、終点より前のPCRプロセスの初期に行われる。結果として、産物が定量可能なレベルに到達するためには、PCR反応物中により多くの出発cDNAが含有されなければならない。また、指数相は、付加的な時間および材料の使用を必要とするそれぞれの実験条件の組に対して定めなければならない。
別の進歩は競合PCRであり、ここではPCRは一塩基が変異した競合鋳型の存在下で行われる(Gilliand,上記;Becker−Andre,et al.,Nucleic Acids Res.17:9437−9446(1989))。既知量の競合鋳型は、未知量の標的配列と共に共増幅される。競合相手は標的と同じ配列(一塩基変異または配列の一部の欠失を除いて)で、標的cDNAと同じ増幅プライマーを使用し、そして標的cDNAと同じ効率で増幅する。標的/標準の出発比は、全増幅過程を通して保存され、指数相が完了した後であっても保存される。
競合PCRは、Siebert,P.D.,et al.,Nature 359:557−558(1992);Siebert,P.D.et al.,BioTechniques 14:244−249(1993)、およびClontech Brochure,1993,Reverse Transcriptase−PCR(RT−PCR)で、一般的に論じられる。しかし、競合PCRだけでは、鋳型の出発量の変化を適切に制御できない。試料の分解およびピペット操作の誤りによって、変化してしまう可能性がある。
遺伝子発現を測定するためのノーザン分析を使用する場合、標的遺伝子と(組織試料間または刺激への反応において変化することが予想されない)“ハウスキーピング”または基準遺伝子の両方に対して、同じブロットを調べることによりこれらの問題を克服することができる。基準遺伝子は標的遺伝子の相対的発現を測定する場合の分母となる。この概念を応用するため、別の研究者らは別個のチューブでPCR‐増幅を行った。しかし、2種の遺伝子が別々のチューブで増幅される場合、増幅条件およびピペット操作の誤りによるチューブ間の変化は避けがたい。また、標的および基準遺伝子が同じチューブで増幅される非競合マルチプレックスPCRが、Noonan(上記)に記載されているが、この方法は増幅核種の指数範囲を決定するために標準曲線の作製を必要とするため、不便である。
他の方法であるリアルタイムRT−PCRは、増幅の対数直線相を自動的に決定する。しかし、リアルタイムRT−PCRにおいても、1種の遺伝子と別の遺伝子の発現を比較するために、標準曲線が必要である。
Willey and Willey et al.の米国特許第5,043,390号;第5,639,606号;および第5,876,978号(それらは参照として本明細書に明確に援用される)は遺伝子発現の定量的測定法を記載し、それらは上記の欠点を1つも持たず、標準的な訓練を受けた技術者によって実施可能である。
本発明は上記のWilley and Willey et al.の‘390、‘606および‘978PCR増幅法の改良であり、“標的遺伝子”、“ハウスキーピング”または基準遺伝子、およびこれらの遺伝子それぞれの競合鋳型の同時増幅を可能にする。“標的DNA配列”および“標的遺伝子”という用語は一般に、その遺伝子またはDNA配列を選択的に増幅することが望まれる、対象となる遺伝子を表す。“ハウスキーピング”または“基準”遺伝子という用語は、PCR反応ごとのRNAの量に対する適切な基準である遺伝子を表す。
一般的かつ全体的な意味において、重要な点は、標的遺伝子のプライマー、ハウスキーピングまたは基準遺伝子のプライマー、および標的遺伝子および基準遺伝子の突然変異体を含む2種の内部標準競合鋳型の同時使用である。これらの突然変異は、点突然変異、挿入、欠失などであってよい。
Willey and Willey et al.の‘390、‘606および‘978の特許は、異種cDNA分子混合物内に存在する選択されたcDNA分子の同定された領域内の標的DNA配列の量を定量するための方法に関する。1種以上の標的遺伝子および/または基準遺伝子を使用することができる。そのような付加的な標的および/またはハウスキーピング遺伝子の定量は、その付加的な標的および/またはハウスキーピング遺伝子の突然変異を含む内部標準競合鋳型をさらに含有することを必要とする。変異した競合鋳型は、標的配列の対応するヌクレオチドに関して変異した少なくとも1種のヌクレオチドを含むと理解すべきである。ハウスキーピング遺伝子配列の対応するヌクレオチドに相補的な、少なくとも1つの単一ヌクレオチドの突然変異が必要とされる。しかし、より長い欠失、挿入または改変も有用であると理解すべきである。標的遺伝子プライマー(それらは標的遺伝子の固有および競合鋳型の両方のプライマーとして役立つ)、ハウスキーピング遺伝子プライマー(それらはハウスキーピング遺伝子の固有および競合鋳型の両方のプライマーとして役立つ)、標的遺伝子の競合鋳型、およびハウスキーピング遺伝子の競合鋳型には、標的遺伝子およびハウスキーピング遺伝子の両方のDNAを含む固有cDNAと一緒にPCRプロセスを実施する。
本発明のPCRプロセスは、1)標的遺伝子およびハウスキーピング遺伝子の固有cDNAのcDNA産物と、2)標的遺伝子およびハウスキーピング遺伝子の変異した競合鋳型cDNAのcDNA産物とを提供する。cDNA産物は、cDNA産物の単離に適した方法を使用して単離される。固有cDNA産物と変異したcDNA産物の存在比は、標的遺伝子をコードする固有cDNAと標的遺伝子の競合鋳型をコードする変異cDNAとの量を測定し、ハウスキーピング遺伝子をコードする固有cDNAとハウスキーピング遺伝子の競合鋳型をコードする変異したcDNAとの量を比較することにより検出される。
本発明に従って、本明細書では“試料”は通常、植物、個体または動物のin vitro細胞培養構成成分から単離された組織または流体の試料を示す。
“プライマー”、“核酸”および“オリゴヌクレオチド”という用語は、ポリリボヌクレオチドおよびポリデオキシヌクレオチドを表すと理解すべきであり、これらの用語によって表される配列の長さに意図的な区別はない。むしろ、これらの用語は分子の一次構造を表す。これらの用語は2本鎖および1本鎖RNAならびに2本鎖および1本鎖DNAを包含する。オリゴヌクレオチドは任意の現存または天然の配列に由来し、そして任意の方法で作製してよいと理解すべきである。また、オリゴヌクレオチドは、化学合成、逆転写、DNA複製およびこれらの作製方法の組み合わせにより作製できることも理解すべきである。
“プライマー”という用語は、条件がプライマー伸長産物の合成に適する場合、相補鎖に沿った合成の開始点としての役割を果たすオリゴヌクレオチドを表す。合成条件は、4種の異なるデオキシリボヌクレオチド三燐酸および逆転写酵素またはDNAポリメラーゼのような少なくとも1種の重合誘導物質の存在を含む。これらは適切なバッファー中に存在し、そして補助因子や、種々の適切な温度においてpH等の条件に影響を与える構成成分を含んでいてよい。プライマーは、好ましくは増幅効率が最適化されるような1本鎖配列であるが、別の2本鎖配列が本発明で使用されてもよい。
“標的遺伝子”、“配列”または“標的核酸配列”という用語はオリゴヌクレオチドの領域を表し、そしてそれは増幅および/または検出されるかのいずれかである。標的配列は増幅過程で使用されるプライマー配列間に位置すると理解すべきである。
Willey and Willey et al.の‘490、‘606および‘978の特許はまた、a)少なくとも1種の標的遺伝子および少なくとも1種の“ハウスキーピング”遺伝子由来のcDNAのPCR増幅、および、b)対象となる標的遺伝子および人工的に短縮されている“ハウスキーピング”遺伝子の配列を含む競合鋳型のPCR増幅を記載する。これらの短縮配列はPCR増幅に使用される標的遺伝子およびハウスキーピング遺伝子プライマーの両方に相同な配列を保持する。試料細胞または組織から抽出されたRNAは逆転写される。cDNAの系列希釈物は、標的遺伝子および“ハウスキーピング”遺伝子に相同なオリゴヌクレオチドの存在下でPCR増幅され、内部の変異した標準競合鋳型の量が定量される。増幅されたDNAは制限消化され、エチジウムブロマイドにより染色されたアガロースゲル上で電気泳動されるか、またはAgilentもしくはAB1 310のような他の電気泳動法で、変異した産物と固有のものを分離する。デンシトメトリーを行い、バンドを定量する。“ハウスキーピング”遺伝子に対する標的遺伝子の発現比を測定するこの技術は正確で、同じマスター混合物および内部標準希釈物により行われた研究に対して再現性を有する。具体的な試料に対する遺伝子発現の反復評価が行われる場合、標準偏差は一般に平均の約50%未満である。この技術は遺伝子発現変化の測定に役立つ。この方法は、研究試料の量が限定される場合や、遺伝子発現のレベルが低い場合に、とりわけ有用である。
ヒトゲノムプロジェクトの最近の進歩により我々の知識は増え、公知の表現型と遺伝的基礎とを相関させる機会が増している。正常な発達および多くの疾患過程の理解を向上させる遺伝子発現パターンの測定は、標準化RT−PCR(StaRT−PCR)逆転写酵素‐ポリメラーゼ連鎖反応を使用することにより容易に行われ、これは、Willey and Willey et al.の米国特許第5,876,978号、第5,639,606号および第5,643,765号に詳細に記載される。
StaRT−PCRプロセスの主な利点の1つは、多くの遺伝子に対する標準化した、定量データを同時に速やかに再現可能に得る能力である。それぞれの遺伝子発現量は、値の組み合わせを指標にすること、および実験間の直接比較を考慮して数字で表された値で報告される。データは共通の内部対照に対して標準化されるため、試料間および研究室間で直接比較することも可能である。
しかし、遺伝子発現パターンを臨床的に適切な表現型と相関させるためには、約50〜100遺伝子の発現レベルを評価する必要があるかもしれない。さらに、これらの遺伝子発現パターンは、少量の貴重な試料において評価する必要があるかもしれない。
多くの臨床的状況において得られる生検標本のサイズは、細胞学的方法が改良され、そして経費軽減のための経済的圧力の増大により、年々減少している。たとえば、肺、乳房、前立腺、甲状腺、および膵臓における癌の疑いのある病変の生検標本は、一般に、細針吸引(FNA)生検により行われる。さらに、レーザー捕捉顕微解剖試料および流動選別細胞集団を含む、解剖学的に小型であるが機能的に重要な脳、成長胚、および動物モデル組織試料の発現パターンを評価する必要性がある。さらに、表現型を十分に性状解析するためには50〜100種の遺伝子を測定することが必要かもしれない(Heldenfalk,I.et al.,NEJM 344:539,2000)ので、cDNAの消費、およびそれぞれのアッセイの経費をできるだけ減らすことが重要である。
自動化および少量化における最近の進歩によって、PCR反応容積を非常に縮小し、それによって試薬および試料の消費を減らすことが可能になった。しかし、それぞれの反応においては、まれな転写物を検出するために十分なcDNAを使用し、1種の転写物と他のものとの関係が検出方法により変化しないことを確かめることが重要である。
したがって、StaRT−PCRプロセスを改善させる必要がある。また、まれな転写物を検出するために、遺伝子発現アッセイごとにかなり少ないcDNAを使用しつつ、感度は維持する必要性がある。
とりわけ、以下の疾患に関連した遺伝子発現のパターンを同定するためにStaRT−PCRが使用された最近の研究において、これらの必要性が示される:肺癌(Crawford,E.L.et al."Normal bronchial epithelial cell expression of glutathione transferase P1, glutathion transferase M3, and glutathione peroxidase is low in subjects with bronchogenic cartinoma." Cancer Res.,60:1609−1618,2000;DeMuth,et al., "The gene expression index c-mycxE2F-1/p21 is highly predictive of malignant phenotype in human bronchial epitherial cells." Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.,19:18−24,1998);肺サルコイドーシス(Allen,J.T.et al., "Enhanced insulin-like growth factor binding protein-related protein 2 (connective tissue growth factor) expression in patients with idiopathic pulmonary fibrosis and pulmonary sarcoidosis." Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.,21:693−700,1999);嚢胞性線維症(Allen,et al.上記);および小児白血病における化学療法抵抗性(Rots,M.G.,et al., "Circumvention of methotrexate resistance in childhood leukemia subtypes by rationally designed antifolates." Blood,94(9):3121−3128,1999;Rots,M.G.,et al.,"mRNA expression levels of methotrexate resistance-related proteins in childhood leukemia as determined by a competitive template-based RT-PCR method." Leukemia,14:2166−2175(2000))。
ロボットおよびキャピラリー電気泳動(CE)装置の実現に伴い、遺伝子発現測定のスループット能力が増大するため、cDNAおよび必要な他の試薬量を減らす方法を開発することが重要である。
これを成し遂げるための1つの方法は、それぞれのPCR反応における多くの遺伝子の多重増幅であろう。単一のPCR反応において2種の遺伝子の固有鋳型(NT)と競合鋳型(CT)とをStaRT−PCRにより増幅することは可能であるが、本発明に到るまで、単一反応によって2種より多い遺伝子について定量可能なバンドを生成することは達成されていない。
本発明は、cDNAが2ラウンドでPCRにより増幅されるStaRT−PCRプロセスの改良法を提供する。ラウンド1では、複数の遺伝子のプライマーが、cDNAと同じ遺伝子のCTを含むCT混合物と一緒に存在する。ラウンド2では、ラウンド1の増幅産物のアリコートがただ1つの遺伝子のプライマーと共にさらに増幅される。
したがって、本発明の目的は、遺伝子発現の定量測定のための改善された方法を提供することである。
本発明の別の目的は、市販のプロセスとして適した、PCRを基にした遺伝子発現の定量測定のための方法を提供することである。
本発明の別の目的は、臨床的に適切な表現型と遺伝子発現パターンとを正確で効率的に相関させるための方法を提供することである。
本発明のこれらの目的および他の目的、態様、ならびにこれに付随する多くの利点は、本明細書に添付された図面と共に考慮する場合、以下の詳細な説明を読むことでよりよく理解されるであろう。
発明の概要
本発明は、数字で表した遺伝子発現値を試料間および実験室間で直接比較するマルチプレックス標準化RT−PCR(StaRT−PCR)プロセスに関する。1つの側面において、本発明は、cDNA量を増やさず、そしてまれな転写物を検出するための能力を損なわずに、統計的に有意な方法で実質的により多い遺伝子発現値を測定する新規マルチプレックスStaRT−PCRプロセスに関する。
本発明のマルチプレックスStaRT−PCRプロセスは、2ラウンドの増幅を使用して行われる。ラウンド1では、cDNA、競合鋳型(CT)混合物および所望する遺伝子数(例えば、9または96遺伝子)に対するプライマー対をバッファーおよび酵素と合わせ、所望するサイクル数(たとえば、約3〜約40の間、そしてある態様では約5、8、10または35サイクル)増幅して、PCR産物を形成する。ラウンド2では、ラウンド1のPCR産物を使用して、ラウンド1のPCR産物のアリコートをバッファー、酵素およびラウンド1で使用された所望する数の遺伝子の1種に特異的なプライマー対と共に新しい反応チューブに入れ、予め決めた付加的なサイクル数だけ増幅する(たとえば、付加的な35サイクル)。この第2反応には付加的なcDNAまたはCT混合物は添加されない。
ラウンド1のPCR産物を1/100,000に希釈して、その後のラウンド2における増幅で定量することができる。対照的に、ラウンド1で使用したcDNAおよびCT混合物の1/100,000の希釈物を、1プライマー対と共に1ラウンド、35サイクルで増幅しても検出可能な産物は何も生じなかった。したがって、2ラウンドの増幅を使用することにより、ただ1回の増幅ラウンドで1種の遺伝子発現量を得るために一般に使用されるのと同じ量のcDNAとCT混合物から、まれな転写物を検出するための感度を損なうことなく、100,000遺伝子の発現量を得ることができる。この方法により得られた遺伝子発現値と対照反応により得られた値との間には有意な差は検出されなかった。
本発明に従って、数字で表した遺伝子発現値を臨床的に適切な表現型と関連づけ、遺伝子発現値の組み合わせを少なくとも1種の具体的な表現型を説明する少なくとも1種の指標とすることが可能になる。内部標準鋳型はそれぞれの遺伝子に対して作製され、クローニングされて、少なくとも約1010アッセイのための競合鋳型を生成する。ある態様では、約1000までの遺伝子に対する競合鋳型を一緒に混合する。さらに、アッセイは約6分子以下の感度を有することが可能である。
好ましい態様では、CT混合物は、少なくとも1種の基準、または少なくとも1種の標的遺伝子に対するハウスキーピング遺伝子およびCTを含む。あるいは、CT混合物は、少なくとも1種の基準遺伝子のCTおよび複数の標的遺伝子のCTの組み合わせを含む。
遺伝子発現は、i)基準遺伝子の固有鋳型対競合鋳型(CT)の比;ii)それぞれの標的遺伝子のNT/CT比;およびiii)工程(ii)の比と工程(i)の比との比を計算することにより定量する。
ある側面において、該方法はさらに定量RT−PCR後にPCR産物を測定するための高密度オリゴヌクレオチドまたはcDNAアレイの使用を包含する。増幅されるそれぞれのcDNAのセンス鎖またはリバース鎖にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドまたはcDNAは蛍光標識される。また、PCR反応におけるオリゴヌクレオチド内の1種以上のdNTPを蛍光色素で標識してもよい。標的遺伝子の発現は、基準遺伝子およびそれぞれの標的遺伝子のNTおよびCTのアレイ中におけるスポットの蛍光強度を比較することにより定量する。
高密度オリゴヌクレオチドアレイは以下の特性を有する;それぞれの遺伝子に対し、少なくとも1種のオリゴヌクレオチドアレイ上に2種の遺伝子座が作製される;i)アレイ上の1遺伝子座は、PCRにより増幅された遺伝子の固有鋳型に特有の配列に相同で、結合することになるオリゴヌクレオチドをそれに結合させること;およびii)アレイ上の別の遺伝子座が、競合鋳型の5′末端と、切断されて不適切に配列された競合鋳型の3′末端間の連結部にまたがる配列に相同で、結合することになるオリゴヌクレオチドをそれに結合させること。
別の側面において、本発明は上記の方法を使用して対象となる複数の標的遺伝子の遺伝子発現を定量的に測定し、以下の工程を実行するためのプロセスに関する:a)試料の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)の競合型をその標的遺伝子に実施する場合に使用されるCT試薬の望ましい濃度を決定する工程;b)少なくとも1種の望ましい試薬を選択し、RT−PCRプロセスが実施されることになる複数の反応チェンバーにそれを分配する;そしてたとえばキャピラリー電気泳動(CE)装置を流すことにより、同定および/または標識するための適切な装置に送り;そして時にはそこでプロセスを終わらせる工程。ある態様では、標的遺伝子の発現を定量的に測定するために、CE装置からの情報は得られた産物についての定量データを分析するための工程c)に送られ、工程(c)からの情報は“レポート”に提供され、“データベース”に送られ、および/またはデータをさらに分析するためにプロセスを繰り返して行う工程d)に送られる。
さらに別の側面において、本発明はツーステップ定量RT−PCRプロセスにより対象となる標的遺伝子の遺伝子発現を定量的に測定するためのコンピュータプログラム製品に関する。コンピュータプログラム製品は、定量的に遺伝子発現を測定するために、コンピュータ可読媒体と、コンピュータ可読媒体上に記憶された指令(instructions)を含む。指令を使用して上記の工程を行う。
ソフトウェアプログラムおよび製品はまた、定量RT−PCR後のPCR産物を測定するための高密度cDNAおよび/またはオリゴヌクレオチドアレイにPCR反応混合物を分配するための指令を含んでいてよい。
コンピュータプログラムおよび製品は、増幅されるそれぞれのcDNAのセンス鎖および/またはアンチ‐センス鎖にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを蛍光標識するための指令を含んでいてよい。
コンピュータプログラムおよび製品は、PCR反応物のオリゴヌクレオチド内の1種以上のdNTPを蛍光色素でさらに標識するための指令を含んでいてよい。
コンピュータプログラムおよび製品は、基準またはハウスキーピング遺伝子および標的遺伝子の固有およびCTに対するアレイの蛍光強度を比較することにより、標的遺伝子を定量する指令を含んでいてよい。
本発明はまた、ツーステップRT−PCRプロセスを使用した、対象となる複数の標的遺伝子の遺伝子発現を定量的に測定するためのコンピュータ処理法に関する。該方法は以下の工程を含む:
a)試料の競合型逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を標的遺伝子に実施する場合に使用される、CT試薬の望ましい濃度を決定する工程;
b)所望する試薬を選択し、RT−PCRが実施されることになる複数の反応チェンバーに分配すること;そしてキャピラリー電気泳動(CE)装置を流すか、またはそこに送る工程。
ある態様では、情報は得られた産物についての定量データを分析し、定量的に標的遺伝子の発現を測定するための工程c)に送られ、“レポート”を作製し、“データベース”に記憶され、および/またはさらに分析される。
さらに別の側面では、本発明は以下の別の工程d)を使用して遺伝子の定量的測定を最適化することを含む:
d)計算された比が所望する範囲内(たとえば、10倍比内)にあるかどうかを確かめるための工程c)から受け取ったデータを分析する工程。
計算された比が所望する範囲内にない場合、CT試薬の新規な所望する濃度(すなわち、工程(a)で選択された初めの濃度と異なる)が選択され、そして工程(b)〜(c)が新規濃度のCT試薬により反復される。
発明の詳細な説明
遺伝子発現のパターンを同定するためのマルチプレックスStaRT−PCRプロセスの使用は、多くの利点を有する。データが標準化されるため、データを試料間および実験室間で容易に比較することができる。臨床的に関連する表現型と遺伝子発現とを数字で表した相関により、遺伝子発現値の組み合わせが、具体的な表現型をよりよく説明する指標となる。別の遺伝子発現を測定する方法に比べ、マルチプレックスStaRT−PCRプロセスは、迅速、安価で、感度が高い。また、cDNAおよびCTが2ラウンドで増幅される定量マルチプレックスStaRT−PCRプロセスには、それぞれの反応物における内部標準(CT)の存在が考慮される。さらに、発現を測定するために必要とする出発試料材料の量は、別の方法で必要な量よりも、かなり少ない。標準化RT−PCRプロセス(StaRT−PCR)は、多くの遺伝子データを、同時に、迅速で、再現可能に、標準化して定量測定する。
本発明の方法に従って、内部標準競合鋳型(CT)がそれぞれの遺伝子に対して作製され、クローニングされて、少なくとも10、そして好ましくは>10アッセイに必要な十分な競合鋳型を生じ、そして少なくとも約1000遺伝子までに対するCTが一緒に混合される。
競合鋳型(CT)は本質的にCeliの方法(Celi,F.S.et al.,Nucleic Acids Res.21,1047(1993))に基づいて構築された。プライマーは初めにPrimer 3.1ソフトウェアを使用して設計され、アニーリング温度58℃(許容範囲+/−1℃)で標的遺伝子のコード領域の200〜800塩基を増幅した。これにより、すべての標準化分析PCR反応を同一条件下で進行させることが可能になり、さらに微小流体キャピラリーゲル電気泳動を含む、自動化およびハイスループットな応用が可能となる。それぞれのCTが構築される前に、それぞれのプライマー対は、対象となる遺伝子を表すことが知られている多様な組織または個体のcDNAクローンから逆転写されたRNA(Research Genetics,Inc.)を使用して試験された。作動しないプライマー対(1回に約10%)に対して、新しいものが設計され、プロセスが反復された。次にそれぞれの遺伝子に対してCTプライマー(約40bpの融合オリゴ)が作製された。それぞれの融合プライマーの3′末端は、リバースプライマーに対して3′側の50〜100塩基の領域に相同な、約20塩基の配列から構成された。5′末端は20bpのリバースプライマーであった。次に、固有フォワードプライマーおよびCTプライマーを使用して10μlのPCR反応を5回行うことにより競合鋳型を作製した。これらのPCR反応物を合わせ、1X TAE中の3% NuSieveゲル上で電気泳動し、正しいサイズのバンドをゲルから切り出し、QiaQuick法(Qiagen,Valencia,Ca)を使用して抽出した。精製されたPCR産物はTOPO TAクローニングキット(Invitrogen,Carlsbad,CA)を使用して、PCR2.1ベクターにクローニングされ、HS996(DH10BのT1‐ファージ抵抗性変異体)に形質転換された。
クローニング、形質転換、そしてX−Gal、IPTG、およびカルベニシリンを含むLBプレートへの接種後、3種の孤立した白色コロニーを採取した。プラスミドミニプレップを作製し、EcoRI消化を行い、消化物を3%Seakemアガロース上で電気泳動にかけた。EcoRI消化による挿入物に陽性のクローンに対して、挿入物の配列は、ベクター特異的プライマーを使用して、同じ未消化プラスミド標本のシークエンシングにより決定した。正しい遺伝子配列に相同性を示し、プラスミド配列に100%一致したクローンだけに大規模CT調製を行い、それらを標準混合物に含めた。その後、この品質管理評価に合格したものが、次の工程に進んだ。次に、それぞれの特性のクローン由来のプラスミドを、>10億のアッセイ(約2.6mg)に必要な量(1.5L)だけ調製した。Qiagen GigaPrepキットを使用して、得られた採取細胞からプラスミドを精製した。プラスミド収率はHoeffer DyNAQuant 210蛍光計を使用して評価した。
この工程において、それぞれのプラスミド調製品のアリコートを再びシークエンシングし、品質を確かめた。所定の品質管理工程のすべてに合格したそれぞれのCTに対して、系列希釈物にPCR反応を行い、依然としてPCR産物を生じる限界濃度を確定することにより、調製品およびプライマーの感度を評価した。60分子を検出する調製品およびプライマーだけが標準CT混合物に引き続き含有された。開発されたアッセイの大部分は6分子以下の感度であった。
品質が確かめられた調製品由来のプラスミドは、24、または96遺伝子のいずれかを表すCT混合物に混合した。24遺伝子混合物中の競合鋳型の濃度は、β‐アクチンCTに対して4x10−9M、GAPDH(CT1)に対して4x10−10M、GAPDH(CT2)に対して4x10−11M、そして他のCTのそれぞれに対して4x10−8Mであった。24遺伝子CT混合物は、以下に記載の実際の希釈物の調製前にNotI消化により線形化した。4組の24遺伝子混合物を等しい量で合わせ、β‐アクチンの10−9M、GAPDH(CT1)の10−10M、GAPDH(CT2)の10−11M、そして他のCTの10−8Mの最高レベル濃度において96遺伝子CT混合物を作製した。次にこれらの最高レベル混合物を、10−9Mのβ‐アクチン、10−10MのGAPDH(CT1)、10−11MのGAPDH(CT2)混合物で系列希釈し、10−12Mのβ‐アクチン、10−13MのGAPDH CT1、10−14MのGAPDH CT2、および10−11(A)、10−12(B)10−13(C)10−14(D)10−15(E)10−16M(F)という他のCT濃度の6種の作業標準化CT混合物(A〜F)を作製した。
それぞれの遺伝子、および基準、またはハウスキーピング遺伝子は、それぞれのCTに関して測定される。次に、それぞれの標的遺伝子は、基準遺伝子に対して標準化し、反応物に添加されたcDNAと比較される。それぞれの遺伝子発現量は、共通のデータバンクへの登録、および対話式遺伝子発現指標と値とを組み合わせるために、実験間の比較が直接できる数字で表した値として報告される。同じ内部標準CT混合物が使用される限り、同じ実験内の試料間、同じ実験室における異なる実験、および異なる実験室の潜在的に異なる実験間で直接比較を行うことができる。本明細書で報告される実験では、多くのStaRT−PCR試験において、β‐アクチンおよびGAPDHは、任意に選択された基準、またはハウスキーピング遺伝子である。しかし、それぞれのマルチプレックスStaRT−PCRプロセスでは、実験データは、共通の内部標準混合物に対して測定されるため、所望するならば、いずれかの測定された遺伝子または遺伝子の組み合わせ(たとえすべての遺伝子でも)を基準遺伝子として使用してよく、データはその基準に関して容易に再計算される。
cDNA試料内で、新規基準に関する再計算は、それぞれの個々の遺伝子の値を変えるが、お互いに関する遺伝子発現値は変化しない。
本発明のマルチプレックスStaRT−PCR法は、cDNAおよびCTを2ラウンドで増幅し、そしてそれは少量のcDNA試料から得ることができる遺伝子発現量を非常に増大させる。
マルチプレックスStaRT−PCR法を使用する場合、Willey and Willey et al.の‘390、‘606および‘978のStaRT−PCRプロセスを使用して一般に1種の遺伝子の発現量を得るために使用するのと同じ量のcDNAから、少なくとも約10,000から少なくとも約100,000遺伝子の発現量が得られる。ユニプレックスSTART−PCRで使用されるものと同じ量のcDNAがマルチプレックス法の1ラウンドで使用されるが、まれな転写物は希釈されずに、依然として統計的に有意に検出可能である。
図1に示すように、PCR反応に使用されるcDNAの量は、測定することができる転写物/細胞の数と直接関係を有する。一般に、RNA抽出は100%に近いが、逆転写は10%の効率であると考えられる。したがって、同種細胞集団が試験され、それぞれの細胞が1種の遺伝子に対して10コピーのmRNAを含む場合、逆転写後に細胞ごとに1コピーが残っていることになる。PCRにおいて10コピー未満の転写物を測定することの統計的意味は疑わしい。したがって、10コピーの転写物を検出するためには、10の細胞を提示するcDNAがPCR反応物に存在しなければならない(図1)。10のうち1つの細胞が特定の転写物を発現する異種細胞集団を調べる場合、10コピーを検出するためには1,000の細胞を提示するcDNAがPCR反応物に存在しなければならない。
ユニプレックスSTART−PCRプロセスにおいて、1回のPCR反応で1遺伝子を測定するために通常100〜1,000細胞を提示するcDNAが使用される。この量を使用して、図1に従い、1細胞につき0.1〜1コピー(または10細胞につき1〜10コピー)の割合で発現される転写物を統計的に有意に検出することができる。同じ量のcDNAがマルチプレックスStaRT−PCRプロセスの第1ラウンドで使用される。このcDNAは測定されるそれぞれの遺伝子のCTと共増幅され、そして内在性cDNAとCTとの関係はPCR後に一定のままであるため、ラウンド1のPCR産物は、ユニプレックスSTART−PCRで得られた数字で表した値を有意に変化させずに、希釈して、1種の遺伝子に特異的なプライマーと共に第2ラウンドで再び増幅することができる。この方法によって、付加的なcDNAを使用せず、かつ、従来のStaRT−PCRプロセスで得られた数値を有意に変化させずに、十分なPCR産物を作製し、多くの遺伝子の遺伝子発現を検出し、測定することができる。
微小流体CE法(T.S.Kanigan et al.,in Advances in Nucleic Acid and Protein Analyses,Manipulation,and Sequencing、P.A.Limbach,J.C.Owicki,R.Raghavachari,W.Tan編、Proc.SPIE 3926:172,2000)は、非常に少ない容量での遺伝子発現の測定を可能にする。しかし、先に述べたように、使用することが可能で、依然として統計的に有意な測定をすることができる最少量のcDNAが存在する。200種以上の異なる遺伝子および100種以上の細胞株ならびに組織試料を含む50,000以上のStaRT−PCR遺伝子発現量において、β‐アクチンより対数で平均して約2少ない遺伝子間の統計的発現分布がある。約1,000の気管支上皮細胞を表す代表的な1μlのcDNA試料は6x10のβ‐アクチンCTに釣り合う。平均レベル(β‐アクチンの1/100)で発現された遺伝子は約6,000のCT分子と釣り合うことになる。しかし、少数の(しかし、しばしば機能的に非常に重要である)遺伝子はβ‐アクチンの1/10,000発現され、そしてこの試料ではそのような遺伝子に対して60分子が提示されることになる。このPCR反応物の容積を10μlから100ナノリットルまでの1/100に減らすと、β‐アクチンの1/10,000発現される遺伝子は0.6分子以下で提示され、確率論的に考慮すると、許容可能な信頼度で定量することは困難であろう。対照的に、マルチプレックスStaRT−PCRプロセスでは、ラウンド1PCR産物10μl中の10ナノリットルを100ナノリットルのラウンド2反応容積で使用することができる。1,000,000倍以上の増幅がラウンド1反応で日常的に行われるため、ラウンド1のPCR産物10μl中の10ナノリットルはラウンド2反応において、十分な固有および競合鋳型を含み、統計的な信頼度で測定されることになる。
図2の表は、いくつかの遺伝子のプライマー配列および位置を示す。
マルチブロックサーマルサイクラーとわずかに改変したCEシステムとを合わせることによるStaRT−PCRの自動化は、24時間で4,000以上の遺伝子発現アッセイを可能にする。さらに、200〜800bp間に分布する固有鋳型(NT)および競合鋳型(CT)産物サイズを増幅するプライマーを設計することにより、単一のCEチャンネルで100以上の遺伝子を定量することが可能である。したがって、96チャンネルCE装置を自動化されたハイスループット(24時間あたり、>300,000の標準化遺伝子発現アッセイ)装置に容易に変換することができる。
cDNA消費および費用の点から最も効率的なStaRT−PCR分析の方法は:1)1μlがβ‐アクチンCTの600,000分子に釣り合うように、試験されるcDNA試料を希釈する(CT混合物1μl);2)ツーステップStaRT−PCRプロセスのラウンド1において、6種(A〜F)のCT混合物のそれぞれと釣り合った1μlのcDNAを使用する;3)混合物D(大部分の遺伝子と釣り合うことになる濃度でCTを含む)を使用して、100ナノリットル容積のラウンド2反応物に対応する10ナノリットルのラウンド1StaRT−PCR産物を使用してすべての96system1遺伝子の発現を測定する;および4)適切な混合物を使用して、混合物Dと釣り合わない遺伝子に対してStaRT−PCRを反復することである。
それぞれの遺伝子に対するNT/CT比に基づいて、反復実験で使用する適切なCT混合物を選択するソフトウェアプログラムは有用で、そしてまた本発明の範囲内である。図8は、対象となる複数の標的遺伝子の遺伝子発現を定量的に測定するためのプロセスにおける方法の組み合わせにおいて、以下の工程を実行するソフトウェアプログラムを示す概略図である:a)試料の競合型逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)をその標的遺伝子に実施する場合に使用するCT試薬の所望する濃度を決定する工程;b)少なくとも1種の所望する試薬を選択し、RT−PCRが実施されることになる複数の反応チェンバーにそれを分配する;そしてたとえばキャピラリー電気泳動(CE)装置を流すことにより、同定および/または標識するための適切な装置に送り;そして時にはそこでプロセスを終了する工程。ある態様において、CE装置からの情報は、標的遺伝子の発現を定量的に測定するために、得られた産物についての定量データを分析するための工程c)に進む。工程(c)からの情報は、“レポート”で提供され、“データベース”に送られ、および/またはデータをさらに分析するために方法を繰り返して行う工程d)に送られる。
ツーステップ定量RT−PCR法により対象となる標的遺伝子の遺伝子発現を定量的に測定するためのコンピュータプログラムおよび製品には、遺伝子発現を定量的に測定するためのコンピュータ可読媒体;およびコンピュータ可読媒体上に記憶された指令が挙げられる。指令は好ましくは、先に説明した工程を含む。
コンピュータプログラムおよび製品はさらに、定量RT−PCR後のPCR産物を測定するための高密度cDNAおよび/またはオリゴヌクレオチドアレイにPCR反応混合物を分配するための指令を含んでいてよい。
コンピュータプログラムおよび製品はさらに、増幅されるそれぞれのcDNAのセンス鎖および/またはアンチ‐センス鎖をハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを蛍光標識するための指令を含んでいてよい。
コンピュータプログラムおよび製品はさらに、PCR反物中のオリゴヌクレオチド内の1種以上のdNTPを蛍光色素で標識するための指令を含んでいてよい。
コンピュータプログラムおよび製品はさらに、ハウスキーピング遺伝子および標的遺伝子の固有鋳型およびCTに対するアレイの蛍光強度を比較することにより標的遺伝子の発現を定量するための指令を含んでいてよい。
本発明はまた、上記の工程を使用したマルチプレックスRT−PCRプロセスを使用して、対象となる複数の標的遺伝子の遺伝子発現を定量的に測定するためのコンピュータ処理法を含む。
図8は、計算された比が所望する範囲内(たとえば10倍以内)であるかどうかを確かめるために受け取ったデータをさらに分析するための別の工程(d)を使用して、遺伝子の定量測定を最適化するための、本発明の図式フローチャートである。計算された比が所望する範囲内でない場合、CT試薬の新規の所望する濃度(すなわち、工程(a)に対して選択された初めの濃度とは異なる)が選択され、そして工程(b)〜(c)が新規濃度のCT試薬により反復される。
遺伝子発現はmRNA、蛋白質、または機能的レベルで測定可能であるが、遺伝子発現のための共通の言語の開発にはmRNAレベルでの測定がとりわけ適する。このことは、mRNA発現が翻訳に利用可能な転写物の数により主に調節されるためである。対照的に、蛋白質レベルでは、コピー数は、りん酸化、二量体化、および/または蛋白質分解開裂を含む改変のため、しばしば重要ではない。mRNA発現は、主にコピー数に関連するため、それぞれの遺伝子に対する内部標準を開発し、そしてさらに遺伝子発現量のための共通単位を確立することができる。逆転写効率は可変であるが、得られたcDNAにおいて1種の遺伝子の別の遺伝子に対する提示は影響されないため、標的遺伝子のcDNAコピー数/10 β‐アクチンのcDNAコピー数は、標的遺伝子のmRNA/10 β‐アクチンのmRNAと同等である。
本明細書の実験では、遺伝子発現はβ‐アクチンmRNAに関して測定される。しかし、別の遺伝子(たとえばGAPDH)、もしくは測定された別の遺伝子、または測定されたすべての遺伝子であっても、試料間でより安定であることが確定された場合、試料内の相対的発現値を変化させずにその基準遺伝子に対して再びデータを計算することができる。
基準遺伝子としてGAPDHまたはいずれか別の遺伝子を使用して遺伝子発現データを計算し直す場合、遺伝子間の発現比は同じままである。mRNA/10 β‐アクチン分子基準からmRNA/10 GAPDH分子基準への変換は、単にそれぞれの遺伝子発現値に10/(GAPDHmRNA/10 β‐アクチン分子)を乗じることにより行われる。これが行われた場合、同じ試料内の遺伝子発現比は変化しない。したがって、ある試料内の2種の遺伝子間の発現値の比は、基準としてのGAPDH、β‐アクチン、または遺伝子の組み合わせに対して同じことになる。この理由は、遺伝子のそれぞれの発現量はCT混合物に関連し、同じCT混合物が使用される限り、1種のCTと別のものとの濃度比は依然として同じままであるためである。遺伝子発現指標の場合、1種の基準遺伝子から別のものに変換後に得られた値の差は、いくつの遺伝子が分子にあり、そしていくつの遺伝子が分母にあるかに依存する。遺伝子発現指標におけるそれぞれの遺伝子は指標の計算前に新規の基準に変換されなければならない。分子と分母に等しい数の遺伝子がある場合、新規基準への変換は試料間の相対指標値に対して影響を与えない。しかし、分子と分母の遺伝子数が等しくない場合、試料間の相対指標値は試料間の相対基準遺伝子値のいずれかの差に従って変化することになる。
1種の試料から別のものへの発現において変化する基準遺伝子の効果は、釣り合った(分子と分母における発現値の等しい数)相互作用する(interactive)遺伝子発現指標において中和される。このためと、相互作用する遺伝子発現指標が個々の遺伝子の発現より表現型とよく相関することのため、対象となる表現型と相関する、釣り合った相互作用する遺伝子発現指標を探し出すことが望ましい。
ヒトおよびマウスの約30%の遺伝子をPCR増幅するプライマーを同定することが可能であり、そのための試薬は現在入手可能である。プライマーは、いっそう幅広い種の間で適用できるように開発中である。したがって、マルチプレックスRT−PCR試薬は、種にわたって、遺伝子発現のための共通の言語を提供する。
以下の実施例で提示されるデータは、マルチプレックスRT−PCRプロセスが実験室間の遺伝子発現データの、信頼度の高い比較を可能にすることを確証する。マルチプレックスRT−PCRプロセスにより、少量の試料で多くの遺伝子の反復測定が可能になる。マルチプレックスRT−PCRは、ハイスループット自動化および小型化に非常に好都合である。本明細書に提示された感度および再現性のレベルにより、マルチプレックスRT−PCRプロセスは重要な遺伝子発現データベースの開発を促進し、そして遺伝子発現のための共通言語として役立つ。
実施例1
材料および方法
試薬
Rapidcyclerのための10XPCRバッファー(500mM Tris、pH8.3、2.5mg/μl BSA、30mM MgCl)は、Idaha Technology,Inc.(Idaho Falls、Idaho)から得た。Thermo 10X バッファー(500mM KCl、100mM Tris−HCl、pH9.0、1.0% Triton X−100)、taqポリメラーゼ(5U/μl)、オリゴdTプライマー、RNasin(25U/μl)、pGEMサイズマーカー、およびdNTP混合物は、Promega(Madison,WI)から得た。M−MLV逆転写酵素(200U/μl)および5X 第1鎖バッファー(250mM Tris−HCl、pH8.3、375mM KCl、15mM MgCl、50mM DTT)は、GibcoBRL(Gaithersberg,MD)から得た。NuSieve and SeaKem LEアガロースは、FMC BioProducts(Rockland,ME)から得た。TriReagentは、Molecular Research Center(Cincinnati,OH)から得た。RNアーゼ‐フリーの水は、Research Genetics(Huntsville,AL)から得た。色素、マトリクス、および標準を含むDNA 7500アッセイキットは、Agilent Technology(Palo Alto,CA)から得た。肺腺癌細胞株、A549は、American Type Culture Collection(Rockville,MD)から購入した。RPMI−1640細胞培養培地は、Sigma(St.Louis,MO)から得た。Universal Human Reference RNAは、Stratagene(La Jolla,CA)から得た。オリゴヌクレオチドプライマーは、Biosource International(Menlo Park,CA)が注文により合成した。G.E.N.E.system1およびsystem1a遺伝子発現キットは、Gene Express National Enterprises,Inc.(Huntsville,AL)から快く供与された。他のすべての化合物および試薬は、分子生物学等級であった。
RNA抽出および逆転写
単層培養した細胞の全RNAは、TriReagent Manufacturer Protocolに従って抽出した。Universal Human Reference RNAは、指令に従って沈殿させた。約1μgの全RNAは、M−MLV逆転写酵素およびオリゴdTプライマーを使用して逆転写した。
ユニプレックスStaRT−PCR
StaRT−PCRは、以前に公表されたプロトコール(Willey,J.C.et al.,Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.19:6−17,1998;Gene Express system1 Instruction Manual,Gene Express National Enterprises,Inc.www.genexnat.com 2000)を使用して、G.E.N.E.system1またはsystem1a遺伝子発現キット(Gene Express National Enterprises,Inc.)により行った。手短に述べると、G.E.N.E.system1またはsystem1aキットの、バッファー、MgCl、dNTP混合物、cDNA、競合鋳型(CT)混合物およびtaqポリメラーゼを含むマスター混合物を作製し、遺伝子特異的プライマーを含むチューブに分取し、そしてRapidcycler(Idaho Technology,Inc.)またはPrimus HT Multiblock thermal cycler(MWG−BIOTECH,Inc.High Point,NC)のいずれかで35サイクル循環させた。それぞれのプロトコールにおいて、変性温度は94℃、アニーリング温度は58℃、そして伸長温度は72℃であった。Rapidcyclerでは、変性時間は5秒、アニーリング時間は10秒、伸長時間は15秒、そして勾配は9.9であった。Primus HT Multiblockでは、変性、アニーリングおよび伸長時間はそれぞれ1分、リッド(lid)温度は110℃およびリッド圧は150ニュートンであった。PCR産物は以下に記載のように、アガロースゲルまたはAgilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies,Inc.)で評価した。
9遺伝子のマルチプレックスStaRT−PCRによる増幅
それぞれのマルチプレックスStaRT−PCR反応物は、2ラウンドで増幅した。マルチプレックスStaRT−PCRプロセスの第1ラウンドでは、バッファー、MgCl、dNTPs、予め作製したcDNAとCT混合物との混合物(1:1のA549p85由来のcDNAとG.E.N.E.system1 1a由来のCT混合物の1種)、taqポリメラーゼ、および9遺伝子のプライマー対を含む1つの反応物が用意された。この反応物を、5、8、10または35サイクル循環させた。プライマー混合物中のそれぞれのプライマー濃度は、0.05μg/μlであった。この増幅後、このPCR産物はラウンド2の鋳型としての使用のために、水で希釈した。
ラウンド2では、バッファー、MgCl、taqポリメラーゼおよび1種の遺伝子に特異的なプライマー対を含むマスター混合物を、第1ラウンドのPCR産物の以下の希釈物をそれぞれ1μlずつ含むチューブに分取した:未希釈、1/5、1/10、1/50、1/100、1/1,000、1/10,000、1/100,000および1/1,000,000。これらの反応物を35回循環させ、以下に記載のようにアガロースゲルまたはAgilent 2100 Bioanalyzerで検出した。このラウンドで使用されたプライマー対は、ラウンド1で使用されたプライマー対の中から選択された。ラウンド2では、付加的なcDNAまたはCT混合物はPCR反応物に添加されなかった。
対照ユニプレックスStaRT−PCR反応では、9遺伝子のマルチプレックス反応のラウンド1で使用するために作製されたcDNAおよびCT混合物の混合物を、増幅前に系列希釈した:未希釈、1/5、1/10、1/50、1/100、1/1,000、1/10,000。それぞれの希釈物の1μlアリコートは、バッファー、MgCl、Taqポリメラーゼおよび1種の遺伝子に特異的なプライマー対(それぞれのプライマーの0.05μg/μl)を含むマスター混合物のアリコート1μlと合わせた。これらの反応物は35サイクルの1ラウンドだけで増幅された。
96遺伝子のマルチプレックスStaRT−PCR増幅
これらの実験では、Stratagene Universal Human Reference RNAおよびG.E.N.E.system1(96遺伝子のCTを含む)のCT混合物の試料を使用した。G.E.N.E.system1のCTにより提示された96遺伝子のそれぞれに対するプライマーを含む溶液は第1ラウンド反応物に含有された。この96遺伝子のプライマー混合物は、それぞれのプライマーの濃度が0.005μg/μlになるように希釈した。どのラウンド1反応物も皆35回循環させた。次にラウンド1PCR産物を1/100に希釈した(99μlの水に1μlのラウンド1産物を添加)。それぞれのラウンド2反応では、希釈されたラウンド1PCR産物1μlとラウンド1で増幅されたものの中から選択された単一遺伝子に対するプライマーを一緒に使用し、35回循環させた。
対照ユニプレックス反応は、先に記載のStratagene Universal Human Reference RNAおよびG.E.N.E.system1のCT混合物の試料を使用して行った。これらの実験では、増幅前にcDNAおよびCT混合物の希釈は行わなかった。
電気泳動および定量
アガロースゲル電気泳動:
増幅後、PCR産物を、0.5μg/μl エチジウムブロマイドを含む4% アガロースゲル(3:1 NuSieve:SeaKem)上に直接加えた。ゲルは約1時間、225Vで電気泳動した。電気泳動バッファーを冷やし、電気泳動中再循環させた。ゲルはFoto/Eclipse画像分析システム(Fotodyne,Hartland,WI)で可視化した。デジタル画像は、Power Mac7100/66コンピュータに保存し、Collage software(Fotodyne)をデンシトメトリー分析に使用した(またはAgilent 2100 Bioanalyzer(以下で説明する)を使用して分析した)。
遺伝子発現の定量を行った。初めに、ハウスキーピング遺伝子、β‐アクチンの固有鋳型(NT)/CT比、およびそれぞれの標的遺伝子に対するNT/CT比を計算した。PCR反応物に添加された初期CT濃度が既知のため、初期NT濃度を確定することができた。それぞれのNT/CT比はPCR産物のエチジウムブロミド染色に基づき、この染色は塩基対に存在する分子数および分子長の両方により影響されるため、NT/CT比を利用する前にNTはCT産物のサイズに対して任意に修正された。測定可能な場合、ヘテロダイマー(HD)はCTのサイズに対して修正され、2つに分けられた。HD鎖の1つはNTに由来し、そして他の1つはCTに由来するため、NT/CT比を計算する前に、HD値の半分はNTに添加され、他の半分はCTに添加された。次に、計算された標的遺伝子NT分子数は、計算されたβ‐アクチンNT分子数により分割され、添加差に対して修正された。
マルチプレックスStaRT−PCRでは、それぞれの条件下(希釈および/またはラウンド1サイクル数を変える)で検出された標的遺伝子は、同じ条件下で検出されたβ‐アクチンに対して測定された。たとえば、9遺伝子のマルチプレックス反応のラウンド1は、β‐アクチンおよびc−mycを含む9遺伝子のプライマーを含有した。ラウンド1のPCR反応物の1/100,000希釈物が作製され、ラウンド2で使用された。この希釈物のアリコートはラウンド2で使用され、β‐アクチンおよびc−mycの両方を増幅させた。これらの条件下で、ラウンド1において35回、そしてラウンド2において35回循環させた場合、c−mycは3.40x10分子/10 β‐アクチン分子として測定された(図3)。
Agilent 2100 Bioanalyzer微小キャピラリー電気泳動:
増幅後、それぞれのPCR反応物10μlのうちの1μlを、DNA7500アッセイの指令に従って作製したチップのウェルに添加した。手短に述べると、ゲル‐色素マトリクス9μlを1ウェル中のチップに添加し、チップを30秒間加圧した。別の2つのウェルをゲル‐色素マトリクスで満たし、残りのウェルのそれぞれは分子量マーカー5μlを添加した。DNAラダー1マイクロリットルをラダーウェルに添加し、PCR産物1μlをそれぞれの試料ウェルに添加した。チップはボルテックスし、Agilent 2100 Bioanalyzerに入れた。それぞれの試料に順次電流を適用し、試料を分離するDNA 7500アッセイプログラムを実施した。DNAはゲル‐色素マトリクス中の介在色素の蛍光により検出された。NT/CT比はそれぞれのPCR産物の曲線下面積から計算し、エチジウムブロミド染色アガロースゲル電気泳動のようにDNAを検出するために介在色素が使用されたため、サイズ修正を行った。
統計解析:
すべての統計解析はWindowsのSPSSバージョン9.0を使用して行った。ユニプレックスStaRT−PCRにより得られた遺伝子発現値をマルチプレックスStaRT−PCRにより得られたものと比較するために、対数変換したデータに対して両側(two-tailed)ポアソン相関試験を行った。p値が0.05未満の場合、相関は統計的に有意であるとみなした。
結果
9遺伝子のマルチプレックスStaRT−PCR増幅
ラウンド1において9遺伝子のプライマー対と共に35回の増幅後、PCR産物のアリコートを希釈し、9遺伝子の1種のプライマーと共に増幅した。明るく、明瞭なバンドがそれぞれの遺伝子に対して観察された(図1)。したがって、1ラウンドの増幅で1種の遺伝子を測定するための代表的なユニプレックスStaRT−PCR反応で使用されるcDNAおよびCT混合物の同じ量が、マルチプレックスStaRT−PCRにおいて9遺伝子の発現量を得るために使用された。
さらに、ラウンド1PCR産物はカタラーゼまたはc−mycに対して1/1,000,000に希釈され(β‐アクチンでは、1/100,000)、ラウンド2における1種の遺伝子のプライマー対を用いた次の増幅を定量することができる(図1および3)。対照的に、ラウンド1において使用されたcDNAおよびCT混合物が増幅前に1/1,000以下(β‐アクチンに対しては1/100以下)に希釈され、その後35回の単一ラウンドにおいてこれらの遺伝子のいずれか1つに対する単一のプライマー対と共に増幅される場合、産物は全く観察されなかった。
ラウンド1で使用されるサイクル数を増やすと、ラウンド2前に希釈されて、ラウンド2増幅後でも依然として検出可能なPCR産物の量が増大した。したがって、より少ないサイクル数(5、8および10サイクル)をラウンド1で使用するか、またはユニプレックスStaRT−PCRを使用するより、それぞれのラウンドで35サイクルを使用するマルチプレックスStaRT−PCRを使用して試料を増幅する場合、試料上でより多くの遺伝子発現量を得ることができる。それぞれの遺伝子およびそれぞれの条件に関する詳細は図3に示す。対照ユニプレックス反応およびマルチプレックス反応の代表的なゲルは図1に示す。
96遺伝子のマルチプレックスStaRT−PCR増幅
Stratagene Universal Human Reference RNA由来のcDNAのユニプレックスおよび96遺伝子マルチプレックスStaRT−PCRにより得られた遺伝子発現値を、図2に示す。96プライマー対がマルチプレックス反応物に含有されたが、以下の理由から93遺伝子だけの遺伝子発現値を報告する:1)それぞれの遺伝子発現値は、β‐アクチンの値が報告されないように標的遺伝子の分子/β‐アクチンの10分子として報告される、2)GAPD遺伝子発現を測定するための2組の試薬セット(GAPD CT1およびGAPD CT2)がG.E.N.E.system1キットに含有されるが、この試料では、GAPD CT1だけが測定された、および3)キットにより提供された、1種の遺伝子、BAXアルファの試薬が、G.E.N.EInc.により行われた品質管理試験に合格しなかったため、この遺伝子はこの試験において評価されなかった。ユニプレックスおよびマルチプレックスStaRT−PCR遺伝子発現値の2変数解析は、きわめて有意な(p=0.001)正の相関を明らかにした(r=0.993)(図3)。
実施例II
本発明のマルチプレックスStaRT−PCR法は、研究者が生検標本、微小解剖組織または選別した細胞集団から入手できる少量のcDNAからより多くの遺伝子を研究し、より多くの複製データを得ることを可能にする。
図6および7は、本発明の方法が首尾よく少量の初代組織細胞に適用されたことを示すデータの表である。図6は、非小細胞肺癌(NSCLC)から集めた細針吸引物のデータを示す。測定された遺伝子が記載され、すべてのデータはGENESystem1のCT混合物を使用して、18マルチプレックスPCRにより測定した。
図7は肺疾患を持たない肺ドナーから採取したデータを示す。また遺伝子発現は、96遺伝子マルチプレックスPCRを使用して、GENESystem1のCT混合物を用いて集めた。
本発明の上記の詳細な記載は説明のためだけに提示される。本発明の範囲から逸脱することなく、多数の変更および改変ができることは当業者には明らかであろう。したがって、上記の記載のすべては、例証的であって、限定的ではない意味において解釈すべきであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ定められる。
図1は、統計的に信頼される、異なるレベルで発現された遺伝子を検出するために必要とされる細胞数/PCR反応の最少数を示すグラフである。PCR反応に提示された細胞数はX軸に沿って示される。PCR反応にかけられたmRNA転写物の初期のコピー数はY軸上に示される。統計的に信頼される遺伝子発現を測定するため、および偶発変異の影響を減らすために、少なくとも10の初期コピーが存在しなければならないと考えられる。代表的なユニプレックスStaRT−PCR反応物は100〜1,000細胞のcDNAを含む。この量の場合、100〜1,000細胞のcDNAは、0.1〜1転写物/細胞にて発現された遺伝子の10転写物を含むと予想される。ヒト肺組織において、以前に測定された遺伝子は0.1転写物/細胞(たとえばGADD45)〜10,000転写物/細胞(たとえばCC10)で発現された。 図2は、記載された遺伝子をユニプレックスおよびマルチプレックスStaRT−PCRにより測定した、Stratagene Human Reference RNA(Seq.ID.Nos.1〜282)に由来するcDNAの平均遺伝子発現を示す表である。p21の“長い”名称は“CDKN1A”である。配列は表2のように、同じ順に記載される。それぞれの遺伝子は3種の配列を有する。初めの配列はフォワードプライマーであり、第2の配列はリバースプライマーであり、そして第3の配列はCTプライマーである。それで、たとえば配列1はHSD11B1フォワードプライマーであり、配列2はHSD11B1リバースプライマーである。 図2は、記載された遺伝子をユニプレックスおよびマルチプレックスStaRT−PCRにより測定した、Stratagene Human Reference RNA(Seq.ID.Nos.1〜282)に由来するcDNAの平均遺伝子発現を示す表である。p21の“長い”名称は“CDKN1A”である。配列は表2のように、同じ順に記載される。それぞれの遺伝子は3種の配列を有する。初めの配列はフォワードプライマーであり、第2の配列はリバースプライマーであり、そして第3の配列はCTプライマーである。それで、たとえば配列1はHSD11B1フォワードプライマーであり、配列2はHSD11B1リバースプライマーである。 図3は、遺伝子発現の程度を変化させずに産物の量を増やすためのマルチプレックスStaRT−PCRプロセスの使用を示す。マルチプレックスPCR反応物は、Rapidcyclerで増幅した。ラウンド1では、バッファー、MgCl、dNTPs、予め作製されたcDNAとCT混合物の混合物(1:1のA549 p85のcDNAとG.E.N.E.system1混合物D)、Taqポリメラーゼおよび9種のプライマー対の10Xストックソルーションの1μl(濃度0.05μg/μl)を含む10μlの反応混合物を作製した。この反応は、5、8、10または35サイクル行った。ラウンド1の増幅後、PCR産物はラウンド2で鋳型として使用するために希釈した。ラウンド2では、バッファー、MgCl、Taqポリメラーゼおよび1種の遺伝子に特有のプライマー対を含むマスター混合物9μlを、ラウンド1のPCR産物の以下の希釈物:未希釈、1/5、1/10、1/50、1/100、1/1,000、1/10,000、1/100,000および1/1,000,000、のそれぞれの1μlを含むチューブに入れることにより、10μlの反応混合物を作製した。これらの反応物は35回循環させた。ラウンド2で使用したプライマー対は、ラウンド1で使用したプライマー対の中から選択した。ラウンド2のPCR反応物に、付加的なcDNAまたはCT混合物は添加されなかった。対照ユニプレックスSTART−PCR反応のためには、9遺伝子のマルチプレックス反応のラウンド1で使用するために作製されたcDNAおよびCT混合物の混合物を増幅前に系列希釈した:未希釈、1/5、1/10、1/50、1/100、1/1,000、1/10,000。これらの反応物は35サイクルの1ラウンドだけで増幅された。それぞれの希釈物のアリコート1μlは、バッファー、MgCl、Taqポリメラーゼ、および1種の遺伝子に特有のプライマー対(0.5μg/μlのそれぞれのプライマー)を含むマスター混合物のアリコートと混合した。遺伝子発現の定量を行った。 図4A〜Dは、マルチプレックスStaRT−PCR対ユニプレックスSTART−PCR反応の代表的な結果を示す。図4A〜Dでは、増幅後、StaRT−PCR産物は4%アガロースゲル上で電気泳動を行った。G.E.N.E.system1a CT混合物DとA549p85のcDNAとを一緒に混合し、ユニプレックスおよびマルチプレックスPCR反応で増幅した。[図4A]β‐アクチンプライマーによる対照ユニプレックス反応。レーン1,pGEMサイズマーカー;レーン2、β‐アクチンCTの300,000分子と、それと釣り合った(in balance with)β‐アクチンNTとである、未希釈cDNAを含むPCR反応物;レーン3、1:5に希釈したcDNA/CT混合物を含むPCR反応物;レーン4、1:10に希釈したcDNA/CT混合物;レーン5、1:50に希釈したcDNA/CT混合物;レーン6、1:100に希釈したcDNA/CT混合物;レーン7、1:1,000に希釈したcDNA/CT混合物;レーン8、1:10,000に希釈したcDNA/CT混合物。[図4B]第2ラウンドマルチプレックスStaRT−PCR反応のPCR産物であって、それらはそれぞれラウンド1PCR産物とβ‐アクチンプライマーのアリコートを含む。レーン1,pGEMサイズマーカー;レーン2、1/500のラウンド1PCR産物10μl(1:50の希釈物1μl);レーン3、1/1,000のラウンド1PCR産物;レーン4、1/10,000のラウンド1PCR産物;レーン5、pGEMサイズマーカー;レーン6、1/10,000のラウンド1PCR産物;レーン7、1/100,000のラウンド1PCR産物;レーン8、1/1,000,000のラウンド1PCR産物;レーン9、1/10,000,000のラウンド1PCR産物。[図4C]カタラーゼプライマーによる対照反応。レーン1,pGEMサイズマーカー;レーン2、未希釈cDNAおよびカタラーゼCTの3,000分子に等価のCT混合物を含むPCR反応物;レーン3、1:5に希釈したcDNA/CT混合物;レーン4、1:10に希釈したcDNA/CT混合物;レーン5、1:50に希釈したcDNA/CT混合物;レーン6、1:100に希釈したcDNA/CT混合物;レーン7、1:1,000に希釈したcDNA/CT混合物;レーン8、1:10,000に希釈したcDNA/CT混合物。[図4D]第2ラウンドマルチプレックスStaRT−PCR反応のPCR産物。反応物はラウンド1PCR産物およびカタラーゼプライマーのアリコートを含む。レーン1,pGEMサイズマーカー;レーン2、1/100のラウンド1PCR産物10μl(1:10希釈物1μl);レーン3、1/500のラウンド1PCR産物;レーン4、1/1,000のラウンド1PCR産物;レーン5、1/10,000のラウンド1PCR産物;レーン6、1/100,000のラウンド1PCR産物;レーン7、1/1,000,000のラウンド1PCR産物;レーン8、1/10,000,000のラウンド1PCR産物。 図5は、96遺伝子マルチプレックスまたはユニプレックスSTART−PCRのいずれかにより得られた遺伝子発現値の相関を示すグラフである。Stratagene Universal Human Reference RNAに由来するcDNAの試料は、CT混合物(G.E.N.Esystem1のB.C.D.EおよびF混合物が使用された)と合わせ、ユニプレックスSTART−PCRまたはG.E.N.Esystem1のすべての遺伝子に対するプライマー対を持つ96遺伝子マルチプレックスStaRT−PCRのいずれかにより増幅した。評価可能であった93遺伝子の平均値を、図2(表2)に示す。これらのうち79は、ユニプレックスおよびマルチプレックスStaRT−PCRの両方により測定され、比較可能であった。遺伝子発現値は、10β‐アクチンmRNA分子ごとのmRNA分子数として表す。ユニプレックスSTART−PCRにより得られた値はX軸にそってプロットし、マルチプレックスStaRT−PCRにより得られた値はY軸に沿ってプロットする。 図6は、初代非小細胞肺癌(NSCLC)におけるカルボプラチン化学抵抗性遺伝子候補の発現量を示す表である。 図7は、マルチプレックスStaRT−PCRによる肺ドナー気道上皮細胞における遺伝子発現量を示す表である。 図8は、マルチプレックスStaRT−PCRプロセスを使用した少量の生体試料の遺伝子発現を定量的に測定するためのプロセスに有用なソフトウェアプログラムを示す概略図である。
【配列表】
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Claims (33)

  1. 以下のことを含む、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を使用した遺伝子試料間の数字で表した遺伝子発現値の直接比較のための方法:
    i)複数の遺伝子に対するcDNA、競合鋳型混合物、およびプライマー対と少なくとも1種の適切なバッファーおよび少なくとも1種の適切な酵素を合わせて第1混合物を形成し、そして第1混合物を予め決めたサイクル数で増幅し、PCR産物を形成すること;
    ii)少なくとも1種の適切なバッファー、少なくとも1種の酵素、およびそれぞれの遺伝子に特異的な1種のプライマー対の予め決めた量を混合して第2混合物を形成し、そして第2混合物を予め決めた付加的なサイクル数で増幅すること。
  2. (i)のPCR産物が約3〜約40サイクルの間で増幅される、請求項1に記載の方法。
  3. (i)のPCR産物が5、8、10または35サイクルで増幅される、請求項1に記載の方法。
  4. (i)のPCR産物が約35サイクルで増幅される、請求項1に記載の方法。
  5. (i)のPCR産物が1/100,000に希釈される、請求項1に記載の方法。
  6. 少なくとも約100,000の遺伝子発現量が(i)PCR産物から得られる、請求項1に記載の方法。
  7. 比較される遺伝子数が増加する場合、プライマー対が約0.05〜約0.005μg/μlに希釈される、請求項1に記載の方法。
  8. 数字で表した遺伝子発現値と臨床的に関連する表現型との相関を明らかにし、遺伝子発現値の組み合わせを少なくとも1種の具体的な表現型を説明する少なくとも1種の指標にする、請求項1に記載の方法。
  9. それぞれの遺伝子の内部標準競合鋳型を作製し、クローニングして少なくとも約1010アッセイのための競合鋳型を作製する、請求項1に記載の方法。
  10. 約1000遺伝子までに対する競合鋳型が一緒に混合される、請求項9に記載の方法。
  11. アッセイが約6分子以下の感度を有する、請求項9に記載の方法。
  12. 競合鋳型(CT)混合物が少なくとも1種の競合鋳型(CT)基準、またはハウスキーピング遺伝子、および少なくとも1種の標的遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
  13. CT混合物が少なくとも1種の基準遺伝子のCTおよび少なくとも1種の標的遺伝子のCTを含む、請求項12に記載の方法。
  14. CT混合物が少なくとも1種の基準遺伝子のCTおよび複数の標的遺伝子のCTの組み合わせを含む、請求項12に記載の方法。
  15. 少なくとも1種の基準遺伝子がβ‐アクチンを含む、請求項12に記載の方法。
  16. 少なくとも1種の基準遺伝子がGAPDHを含む、請求項12に記載の方法。
  17. 遺伝子発現がi)基準遺伝子の固有鋳型(NT)対競合鋳型(CT)の比;ii)それぞれの標的遺伝子のNT/CTの比;およびハウスキーピングNT/CT比(i)に比較した標的遺伝子NT/CT比(ii)の比を計算することにより定量される、請求項1に記載の方法。
  18. 定量RT−PCR後のPCR産物を測定するために高密度オリゴヌクレオチドまたはcDNAアレイの使用をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  19. 増幅されているそれぞれのcDNAのセンス鎖またはリバース鎖にハイブリダイズしているオリゴヌクレオチドまたはcDNAが蛍光標識される、請求項18に記載の方法。
  20. PCR反応物のオリゴヌクレオチドまたはcDNA内の1種以上のdNTPが蛍光色素により標識される、請求項18に記載の方法。
  21. 高密度オリゴヌクレオチドアレイが以下の特性を有する、請求項18に記載の方法:
    それぞれの遺伝子に対して、以下の2種のオリゴヌクレオチドアレイが作製される;
    i)アレイ上の1遺伝子座はPCRにより増幅された遺伝子の固有鋳型に特有の配列に相同で、結合することになるオリゴヌクレオチドをそれに結びつけている;および
    ii)アレイ上の別の遺伝子座は、競合鋳型の5′末端と、競合鋳型の切断されて不適切に配列された3′末端間の連結部分にまたがる配列に相同で、結合することになるオリゴヌクレオチドをそれに結びつけている。
  22. 標的遺伝子の発現がハウスキーピング遺伝子および標的遺伝子の固有鋳型およびCTのアレイの蛍光強度を比較することにより定量される、請求項18に記載の方法。
  23. 対象となる複数の標的遺伝子の遺伝子発現を定量的に測定するためのプロセスの組み合わせにおいて、以下の工程を実行するソフトウェアプログラムを含む、請求項1に記載の方法:
    a)試料の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)の形式を標的遺伝子に実施する場合に使用されるCT試薬の所望する濃度を決定する工程;ならびに
    b)少なくとも1種の所望する試薬を選択し、RT−PCRが実施されることになる複数の反応チェンバーに分配する;およびRT−PCRプロセスの産物を適切に同定する工程。
  24. 同定されたRT−PCR産物に対し、標的遺伝子の発現を定量的に測定するために、得られた産物についての定量データを分析するためのさらなる工程c)を行わせる、請求項23に記載の方法。
  25. 遺伝子発現を定量的に測定する方法を最適化するために所望する試薬を選択し、分配するための情報を提供する工程(d)をさらに含む、請求項24に記載の方法であって、
    標的遺伝子NT/CT比対ハウスキーピング遺伝子NT/CT比の所望する比が所望する範囲内にない場合、それによって第2の所望する濃度が決定され、そして工程(a)〜(c)が反復される、前記方法。
  26. 定量RT−PCR法により対象となる標的遺伝子の遺伝子発現を定量的に測定するためのコンピュータプログラム製品であって、
    該コンピュータプログラム製品は、
    コンピュータ判読可能な媒体;および
    遺伝子発現を定量的に測定するための、コンピュータ判読可能な媒体に記憶された指令
    を含む前記コンピュータプログラム製品;
    を含み、ここで、該指令は以下のことを含む:
    a)試料の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)の形式を標的遺伝子に行う場合に使用されるCT試薬の所望する濃度を自動的に決定すること;
    b)所望する試薬を選択し、RT−PCRを実施するための複数の反応チェンバーに分配すること;そして所望により
    c)得られた産物についてのデータを定量的に分析して標的遺伝子の発現を定量的に測定すること。
  27. 請求項26に記載のソフトウェアプログラム製品であって、指令が遺伝子発現を定量的に測定する方法を最適化するために所望する試薬を選択し、分配するための情報を提供する工程(d)をさらに含み、標的遺伝子NT/CT比対ハウスキーピング遺伝子NT/CT比の所望する比が所望する範囲内にない場合、それによって第2の所望する濃度が決定され、そして工程(a)〜(c)が反復される、前記ソフトウェアプログラム製品。
  28. 指令が、PCR反応混合物を高密度cDNAまたはオリゴヌクレオチドアレイに分配し、定量RT−PCR後のPCR産物を測定することをさらに含む、請求項26に記載のコンピュータプログラム製品。
  29. 指令が、増幅されているそれぞれのcDNAのセンス鎖および/またはアンチ‐センス鎖をハイブリダイズするオリゴヌクレオチドまたはcDNAを蛍光標識することをさらに含む、請求項28に記載のコンピュータプログラム製品。
  30. 指令が、PCR反応物中のオリゴヌクレオチド内の1以上のdNTPを蛍光色素で標識することをさらに含む、請求項26に記載のコンピュータプログラム製品。
  31. ハウスキーピング遺伝子および標的遺伝子の固有鋳型およびCTに対するアレイの蛍光強度を比較することにより標的遺伝子の発現が定量される、請求項30に記載のコンピュータプログラム製品。
  32. RT−PCR法を使用して対象となる複数の標的遺伝子の遺伝子発現を定量的に測定するためのコンピュータを使用した方法であって、
    a)試料の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)の競合型を標的遺伝子に実施する場合に使用されるCT試薬の所望する濃度を決定すること;
    b)所望する試薬を選択し、RT−PCRを実施するための複数の反応チェンバーに分配すること;そして所望により
    c)得られた産物についての定量データを分析して標的遺伝子の発現を定量的に測定すること;
    を含む、上記方法。
  33. 遺伝子発現を定量的に測定する方法を最適化するために所望する試薬を選択し、分配するための情報を提供する工程(d)をさらに含み、標的遺伝子NT/CT比対ハウスキーピング遺伝子NT/CT比の所望する比が所望する範囲内にない場合、それによって第2の所望する濃度が決定され、そして工程(a)〜(c)が反復される、請求項32に記載の方法。
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