JP2005531281A - 肺癌の治療および診断 - Google Patents

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Abstract

本発明は、新形成の間に差示的に発現される遺伝子を提供する。これらの遺伝子および遺伝子産物は、肺癌の治療介入のための候補薬剤のスクリーニングにおける使用のためのパネルを含み、治療、予後、および診断の、方法および組成物における使用のためのパネルを含む。治療剤がまた、本発明によって提供される。診断組成物は、肺癌の病原においてアップレギュレートされるか、またはダウンレギュレートされることが示された、1つ以上の遺伝子を検出するための検出薬剤を含有する組成物を含む。例示的な検出薬剤としては、溶液中に存在し得るか、または固体表面に結合され得る(例えば、マイクロアレイの形態)核酸プローブが挙げられる。本発明はまた、肺癌において調節される1つ以上の遺伝子の発現レベルの値を含むコンピューター読み取り可能媒体を提供する。

Description

(発明の背景)
肺癌は、西洋社会において男性および女性の両方において主要な癌の死亡原因である。肺癌は、リンパ節または他の器官に広がる前に、初期に見出され、そして処置される場合、5年生存率は約42%である。しかし、ほとんどの肺癌は、初期病期では見いだされない。肺癌の全ての病期についての5年生存率は、1995年(全国的なデータが利用可能な最新の年)には14%であった。初期の肺癌を有するほとんどの人々が、症状を全く有さないので、肺癌のうち約15%のみが初期病期で見出される。肺癌には、2つの主要な型が存在する。第一は、非小細胞肺癌である。もうひとつは、小細胞肺癌である。癌が両方の特徴を有する場合、その癌は、混合型小細胞/大細胞癌と呼ばれる。
非小細胞肺癌(NSCLC)は、肺癌のなかで最も一般的な型であり、肺癌のほぼ80%を占める。NSCLCの危険因子としては、以前の喫煙、受動的喫煙およびラドン被曝が挙げられる。NSCLCの主な型は、扁平上皮癌(類表皮癌とも称される)、腺癌、気管支肺胞癌、大細胞癌腫、腺扁平上皮癌および未分化癌腫である。扁平上皮癌は、気道内層細胞において形成される。腺癌は、非小細胞肺癌の最も一般的な型であり、喫煙経験のない人々においてしばしば生じ、そして肺の粘液産生細胞において開始する形態である。
肺癌は、早期診断される場合、最良に処置される。しかし、ほとんどの患者は、症状を示すまで診断されない。肺癌の症状としては、咳または胸部痛、呼吸時の喘鳴音、息切れ、喀血、嗄声または顔および頚部における腫脹が挙げられる。患者が肺癌の症状を示す場合、気管支鏡検査が実施され、その結果、気管支の壁由来の細胞が試験され得、そして組織の小片が生検のために取り出される。疑わしい組織をこの方法によって得ることができない場合、針吸引生検(ここで、肺から細胞を引き抜くために肋骨間に針が挿入される)を実施し得るか、または生検のための組織を取り出すための手術が実施される。癌の診断は、顕微鏡下での細胞の特徴の試験によって行われる。
以下の病期が、肺癌を分類するために使用される:
不顕性病期:癌細胞は痰中に見出されるが、腫瘍が肺において見出され得ない。
病期0:癌は、局所的領域において見出されるだけであり、数層の細胞においてのみ見出される。癌は、肺の上部内層を越えて増殖していない。この型の細胞肺癌についての別の用語は、上皮内癌である。
病期IおよびII:記載については、この分野における標準的教科書(例えば、DeVitaら、Principles and Practices of Oncology、第5版、Lippincolt−Ravey、pp.858−911)を参照のこと。
病期III:癌は、肺の近傍の胸壁または横隔膜まで広がっているか;または癌は、2つの肺を隔てる領域(縦隔)のリンパ節まで広がっているか;または胸部の他の側のリンパ節もしくは頚部まで広がっている。病期IIIは、さらに、病期IIIA(通常、手術され得る)および病期IIIB(通常、手術されないかもしれない)に分割される。
病期IV:癌は、身体の他の部分にまで広がっている。
再発:以前の処置後に癌が戻っている(再発)。
肺癌のための処置は、疾患の病期、患者の年齢および患者の全体的状態に依存する。患者は、癌の病期および計画される処置に依存して、3つの群に分割され得る。第一群(病期0、IおよびII)は、癌が手術により除去され得る患者を含む。第二群(病期III)の患者は、近傍の組織または縦隔リンパ節もしくは鎖骨上リンパ節に広がった肺癌を有する。これらの患者は、放射線療法単独、または手術および放射線、化学療法および放射線、もしくは化学療法単独によって、処置され得る。最も進行した肺癌(病期IV)を有する患者の群は、一般に、化学療法単独または化学療法および放射線療法の組み合わせで処置される。手術は、一般に、病期IVの肺癌についての処置の選択肢ではない。最も有効な処置は、単独でか、または放射線両方と組み合わせてかのいずれかの、化学療法である。正確な処置は、癌の程度(限定された病期または広範な病期)に依存する。
特に、中期〜後期の病期の癌が処置され、そして処置がより積極的である場合、手術、化学療法および放射線は、中程度〜重篤な副作用を有する。肺癌についての手術は、大手術である。肺の手術後、空気および流体が、胸部に集まる。患者は、しばしば、残りの肺組織を拡張させ、そして過剰な空気および流体を除去するために、反転し(turn over)、咳をし、そして深呼吸する助けを必要とする。胸部および腕における疼痛または衰弱、ならびに息切れは、癌手術の一般的な副作用であり、肺の全てまたは一部が除去された場合には、慢性の副作用であり得る。患者は、数週間または数ヶ月にわたって、エネルギーおよび強さを回復する必要があり得る。化学療法は、細胞の増殖および分裂を防止することによって作用する。その効果は、非常に迅速に分裂している細胞(例えば、癌細胞)に対して最も強力であるが、正常組織(特に、骨髄、胃腸管すなわちGI管、生殖系、および毛包)もまた影響を受け得る。このことは、疲労、口のただれ、悪心、抜け毛、貧血、免疫抑制および生殖問題のように、現れ得る。放射線療法は、癌性組織を局所的に破壊することによって、作用する。局所的副作用(例えば、やけどまたは抜け毛)が、周りの組織に対する損傷から生じる。一般的副作用もまた、放射線療法から生じ得るが、これらは、化学療法から生じる副作用と類似である。癌処置に関連する副作用は、腫瘍の発達、進行および維持に関するさらなる遺伝子が同定され、その発現が新規治療によって調節され得る場合に、緩和され得る。理想的な標的は、腫瘍形成の間に高レベルで発現される、正常細胞においては低レベルで発現されるかまたは全く発現されない遺伝子を含む。このような標的に対する治療剤は、腫瘍細胞に対して最大の効果を有し、正常な細胞に対してほとんどまたは全く影響のないものであり、毒性副作用を緩和する。
理想的には、積極的な化学療法、放射線および手術処置レジメンの使用は、肺癌の早期診断または検出によって、不要にされ得る。肺癌は、通常、進行した病期に達するまで、無症候である。症状が現れていない個体について、有効な診断は存在しない。胸部X線写真(x線)および痰の細胞形態学的試験(細胞学)は、無症候の個人の慣用的スクリーニングにおいて使用するのに十分な正確さを欠く。胸部X線の正確さは、放射線科医の間での技術能力および観察者のバリエーションによって、限定される。最適未満の技術、不十分な露出ならびに患者の乏しい配置および協力は、肺の結節をあいまいにし得るか、またはアーティファクトを導入し得る。痰細胞学は、さらに有効性の低いスクリーニング試験であり、これは、胸部X線と比較したその感度の悪さに大部分起因する。まとめると、肺癌についてのスクリーニングが、肺癌の死亡率を減少させ得るという良好な証拠はない。胸部X線+痰細胞学を用いたスクリーニングは、より早期の病期で肺癌を検出するようであるが、これは、スクリーニング試験において、これが死亡率を減少させるのに有効であるか否かについて、期待されていない。現在、National Institutes of Healthは、無症候の個人における胸部放射線療法または痰細胞学を用いた肺癌についての慣用的スクリーニングを推奨しておらず、むしろ、全ての患者が、癌を予防するために第一にタバコに対してカウンセリングされるべきであることを推奨している。細胞の小さいサンプルを必要とする、より高感度の技術は、良好な診断(例えば、現在の分子生物学的技術(例えば、現在のスパイラルCT断層撮影法(これは、その改善された画像化アプローチによって、肺癌スクリーニングについての技術的進歩を示し得る))を利用する診断)を提供する。
(発明の要旨)
本発明は、肺細胞の新形成の間に差次的に発現されるような遺伝子発現プロフィールによって同定された、新規遺伝子および/またはコードされた遺伝子産物に関する。本発明はまた、例えば、実施例に記載され、そして図面において示されるような、肺細胞の新形成の間に差次的に調節される遺伝子または遺伝子群から構成され、そしてマイクロアレイ技術ならびに正常肺組織および癌性肺組織の両方の遺伝子発現プロフィールを使用して発見された、分子標的の新規パネルに関する。この同定に基づいて、本発明は、一つの局面において、これらの遺伝子および/またはコードされた遺伝子産物の「パネル」と本明細書中以下で言及される、発現プロフィールを特徴とする。
1実施形態において、このパネルは、肺腫瘍細胞の病理発生の間に差次的に調節される、図2に列挙された遺伝子の群から選択される、少なくとも一つの遺伝子および/またはコードされた遺伝子産物から構成される。特定の実施形態において、このパネルは、肺腺癌の病理発生の間に差次的に調節される、図3に列挙された遺伝子の群から選択される、少なくとも一つの遺伝子および/またはコードされた遺伝子産物から構成される。特定の実施形態において、このパネルは、肺扁平上皮癌の病理発生の間に差次的に調節される、図4に列挙された遺伝子の群から選択される、少なくとも一つの遺伝子および/またはコードされた遺伝子産物から構成される。
本発明はまた、肺細胞の新形成の間に差次的に発現されるような遺伝子発現プロフィールによって同定された、TrkB(例えば、NCBI Reference Sequenceプロジェクト(「RefSeq」)およびGenBank登録番号U12140)および/またはそのコードされた遺伝子産物に関する。本発明は、さらに、肺癌における早期介入において使用するための候補治療剤を同定する方法における、この遺伝子またはその遺伝子産物の使用に関する。このような実施形態において、TrkB遺伝子および/またはそのコードされた遺伝子産物は、これらの方法のための「パネル」を構成する。いくつかの実施形態において、候補治療剤(therapeutic agent)または「治療剤(therapeutics)」は、標的タンパク質に結合するそれらの能力について、評価される。
本発明はまた、肺細胞の新形成の間に差次的に発現されるような遺伝子発現プロフィールによって同定された、Aur2(例えば、RefSeq番号NM003600、GenBank登録番号AF011468、AF008551およびBC001280)および/またはそのコードされた遺伝子産物に関する。本発明は、さらに、肺癌における早期介入において使用するための候補治療剤を同定する方法における、この遺伝子またはその遺伝子産物の使用に関する。このような実施形態において、Aur2遺伝子および/またはそのコードされた遺伝子産物は、これらの方法のための「パネル」を構成する。いくつかの実施形態において、候補治療剤(therapeutic agent)または「治療剤(therapeutics)」は、標的タンパク質に結合するそれらの能力について、評価される。
本発明はさらに、肺癌における早期介入において使用するための候補治療剤を同定する方法における、これらのパネルの使用に関する。本発明の1実施形態において、癌は、腺癌であり、そしてパネルは、図3の少なくとも1つの遺伝子および/またはコードされた遺伝子産物を含む。本発明の別の実施形態において、癌は、扁平上皮癌であり、そしてパネルは、図4の少なくとも1つの遺伝子および/またはコードされた遺伝子産物を含む。本発明のパネル中の個々の遺伝子または遺伝子群、およびそれらのコードされた遺伝子産物は、これらの方法についての「標的」を構成する。1実施形態において、これらの方法についての「標的」は、TrkB遺伝子または遺伝子産物である。別の実施形態において、これらの方法についての「標的」は、Aur2遺伝子または遺伝子産物である。いくつかの実施形態において、候補治療剤(therapeutic agent)または「治療剤(therapeutics)」は、標的タンパク質に結合するそれらの能力について、評価される。候補治療剤は、例えば、以下のクラスの化合物から選択され得る:抗体を含むタンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物または低分子。他の実施形態において、候補治療剤は、標的遺伝子に結合するその能力について評価される。候補治療剤は、例えば、以下のクラスの化合物から選択され得る:アンチセンス核酸、低分子、ポリペプチド、抗体を含むタンパク質、ペプチド模倣物または核酸アナログ。これらの実施形態のいずれにおいても、候補治療剤は、化合物のライブラリーから選択され得る。これらのライブラリーは、コンビナトリアル合成方法を使用して生成され得る。
この候補治療剤が、本発明のパネルを構成する標的分子に結合する能力は、当業者に公知の種々の適切なアッセイを使用して決定され得る。本発明の特定の実施形態において、候補治療剤が標的タンパク質または標的遺伝子に結合する能力は、インビトロアッセイによって評価され得る。いずれかの実施形態において、結合アッセイもまた、インビボアッセイであり得る。
本発明は、本発明の候補治療剤を、標的遺伝子の発現を調節するその能力について評価する方法をさらに提供し、この方法は、これらの候補治療剤と目的の肺細胞とを接触させることによる。特定の実施形態において、この候補治療剤は、遺伝子または遺伝子群の発現レベルを正常化するその能力について評価される。あるいは、候補治療剤は、肺細胞病理発生を促進するタンパク質の活性を阻害するその能力について評価され得、これは、これらの候補治療剤と目的の肺細胞とを接触させること、およびこのタンパク質の活性を阻害するその能力を評価することによる。
上記方法における使用に適切なアッセイを開発するアッセイおよび方法は、当業者に公知であり、当業者によって理解されるように、本記載に基づいて、本発明の方法に適切であるとして使用され得る。
本発明は、肺癌に対する薬物としての、候補治療剤の効力を決定するための方法を提供する。1実施形態において、効力を決定するための方法は、以下の工程を包含し得る:a)被験体の肺腫瘍細胞に対して、候補治療剤を接触させる工程;およびb)この候補治療剤が細胞の病理発生を阻害する能力を決定する工程。別の実施形態において、効力を決定するための方法は、以下の工程を包含し得る:a)被験体の肺腫瘍細胞に対して、候補治療剤を接触させる工程;およびb)この候補治療剤が細胞の発現プロフィールを正常化する能力を決定する工程。あるいは、候補治療剤は、肺癌細胞または類似の細胞(例えば、新生物発生前の病変中の細胞)を有する被験体の細胞を、候補治療剤と共にインキュベートした後、肺細胞新形成に関連する1つ以上の遺伝子の発現レベルを比較することによって、効力についてスクリーニングされ得る。なおより好ましい実施形態において、遺伝子の発現レベルは、マイクロアレイまたはRNA定量の他の方法を使用して、そして試験化合物に応答した細胞の遺伝子発現プロフィールを、肺癌または新生物発生前の病変を有する被験体の細胞に対応する正常細胞の遺伝子発現プロフィール(「参照プロフィール」)と比較することによって、決定される。
薬学的組成物(例えば、薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルまたは希釈剤と一緒に、本明細書中に記載される方法によって同定された治療剤を含む組成物)およびこれらの組成物を使用する治療方法もまた、本発明の範囲内である。特定の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、腺癌を有する患者を処置するために使用される。他の実施形態において、この薬学的組成物は、扁平上皮癌または他の型の非小細胞肺癌、ならびに新生物発生前の病変を有する患者を処置するために使用される。なお他の実施形態において、この薬学的組成物は、肺癌を有するか、または肺癌を発症する危険性のあり得る被験体における、予防的方法において使用され得る。本発明はさらに、肺癌を有する被験体の肺細胞におけるタンパク質活性を調節し、そして正常被験体において見出されるレベルまで、その活性を戻すための、薬学的組成物の使用を提供する。本発明はまた、肺癌を有する被験体の肺細胞における遺伝子の発現レベルを調節し、そして正常被験体において見出されるレベルまで、その発現レベルを戻すための、薬学的組成物の使用を提供する。本発明はまた、悪性肺細胞を殺傷するための薬学的組成物の使用を提供する。このような方法は、肺癌を有する被験体に、薬学的に十分な量の、肺癌の調節に関与する1つ以上の遺伝子またはそのコードされたタンパク質の調節因子(例えば、アゴニストまたはアンタゴニスト)を投与する工程を包含し得る。肺癌においてダウンレギュレートされる遺伝子の発現をアップレギュレートするための組成物は、ポリペプチドまたはその機能的フラグメント(これらは、肺癌に特徴的な遺伝子によってコードされる);これらをコードする核酸;およびこれらのポリペプチドの発現または活性をアップレギュレートするとして同定された化合物、を含む。肺癌においてアップレギュレートされる遺伝子の発現をダウンレギュレートするための組成物は、例えば、アンチセンス核酸;リボザイム;小干渉(small interfering)RNA(siRNA);これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドのドミナントネガティブ変異体およびそれをコードする核酸;これらの遺伝子によってコードされるポリペプチドを認識する抗体;およびこれらのポリペプチドの発現または活性をダウンレギュレートするとして同定された化合物、を含む。本発明の代替的実施形態において、肺癌を有する被験体を処置する方法は、例えば、肺細胞病理発生の間に、そのレベルが不十分である、本発明のパネルによってコードされるタンパク質を、被験体に投与する工程を包含する。
別の局面において、本発明は、被験体における肺癌の存在および/または発達をモニタリングするための診断方法を提供する。例えば、本発明は、被験体が、肺癌を発症する可能性があるか否かを予測するための方法;従来の方法で肺癌を有すると診断された被験体が肺癌(例えば、肺癌に表現型的に関連する疾患)を有するか否かを確認するための方法;ならびに、例えば、処置を受けている被験体において、疾患の進行をモニタリングするための方法、を提供する。好ましい方法は、被験体の肺細胞において、その発現が肺癌に特徴的である1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定する工程を包含する。他の方法は、例えば、マイクロアレイ技術を使用して、その発現が肺癌に特徴的である、10個、100個、または1000個の遺伝子の発現レベルを決定する工程を包含する。次いで、遺伝子の発現レベルは、1つ以上の他の細胞(例えば、正常細胞)または罹患した肺細胞の同じ遺伝子の発現レベルと比較される。
発現レベルの比較は、視覚的に実施され得る。好ましい実施形態において、比較は、コンピューターにより実施される。1実施形態において、肺癌を有する被験体の肺細胞において、その発現が肺癌に特徴的である1つ以上の遺伝子の発現レベルが、コンピューター中に記憶される。このコンピューターは、正常細胞におけるこれらの遺伝子の発現レベルを、必要に応じて含み得る。次いで、診断される患者における遺伝子の発現レベルを示すデータがコンピューターに入力され、そしてコンピューター中に記憶された1つ以上の発現レベルと比較される。コンピューターは、差異を計算し、そして2つの型の細胞における遺伝子の発現の差異を示すデータを表示する。
1実施形態において、患者由来の細胞サンプルが獲得され、その発現が肺癌に特徴的である1つ以上の遺伝子の発現レベルが決定され、そして発現データが、特定の治療に関連する複数の参照発現データを含むコンピューターに入力されて、これらの参照発現データに対して比較されて、その患者について最も適切な治療が決定される。この方法は、さらに、適切な治療の正体を、例えば、介護者に送信する工程を、必要に応じて包含し得る。適切な治療のデータおよび正体は、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して送信され得る。
本発明によって提供される診断方法の他の実施形態において、診断方法は、以下の工程を包含し得る:(a)被験体の肺細胞において、本発明のパネルから選択された遺伝子によってコードされるタンパク質の活性を決定する工程、および(b)同じ型の正常細胞におけるこのタンパク質の活性と、この被験体の細胞におけるこのタンパク質の活性とを比較する工程。特定の実施形態において、特定の型の肺癌が、その活性が決定されるタンパク質が、特定の型の肺癌(例えば、腺癌または扁平上皮癌)に関連するか否かを診断され得る。
本発明はまた、その発現が肺癌に特徴的である遺伝子の発現を検出するため(例えば、診断アッセイにおいて使用するため)の1つ以上の検出薬剤を含有する組成物を提供する。これらの薬剤(例えば、核酸またはポリペプチドであり得る)は、溶液中に存在し得るか、または、例えば、マイクロアレイの形態の固体表面に結合され得る。本発明の他の実施形態は、データベース、コンピューター読み取り可能媒体、本発明の遺伝子発現プロフィールまたはその発現が疾患肺細胞における肺癌に特徴的である1つ以上の遺伝子の発現レベルを含むコンピューターを包含する。
本発明はさらに、複数の遺伝子発現パターンおよび遺伝子発現レベルを決定するための試薬を含むキットを提供する。一例ではあるが挙げると、発現レベルは、適切な試薬を含むキットおよび被験体の肺細胞における発現レベルを決定するための適切なマイクロアレイを提供することによって、決定され得る。他の実施形態において、本発明は、本発明の組成物を含むキットを提供する。上記のキットのいずれかは、それらの使用のための指示書をさらに備え得る。このようなキットは、種々の用途(例えば、画像化、診断および治療を含む)を有し得る。
本発明のこれらの実施形態、他の実施形態、ならびにこれらの特徴および特性は、以下の説明、図面および特許請求の範囲からさらにより明らかとなる。
(発明の詳細な説明)
(1.概要)
本発明のパネルが、39の個々の臨床学的サンプルのライブラリーにおける、マイクロアレイによる差次的な遺伝子発現の分析によって提供された。ライブラリーを、個々の腫瘍を示す外科的に切除した臨床学的サンプル、または生検材料由来の正常な肺組織サンプルから作製した。このライブラリーは、全ての段階(潜在性、I〜IV段階、および再発性)の腺癌および扁平上皮癌の両方を含む24個の肺腫瘍サンプル、1個の神経内分泌腫瘍、1個の気管支肺胞、1個の大細胞腫瘍由来の腫瘍組織サンプルおよび13個の正常な肺組織サンプルから構成された。これらのサンプルの中で、8個が、所定の腫瘍組織サンプルについて、同じ個体由来の正常な組織もまた得られ得るという点で、「一致した対」であった。腫瘍発生の間の差示的な遺伝子発現を、発生の複数の段階における同じタイプの肺癌の遺伝子発現プロフィールを分析することによって、これらのサンプルにおいて特徴付けた。
サンプルの遺伝子発現プロフィールの分析を、種々の基準に基づくヒトゲノムのサブセットを含むように設計されたカスタムAffymetrix GeneChip(登録商標)(Santa Clara,CA)を使用して達成した。これらの遺伝子を、Incyte GeneAlbum(登録商標)(Palo Alto,CA)データベースから選択した。別個の腫瘍型を示す臨床的肺組織サンプルおよび正常なサンプルを、GeneChipおよび各々のサンプルについて作製した遺伝子発現プロフィールを使用して問い合わせた。これを、標準的なAffymetrix法(Mahadevappa,M.およびWarrington,J.A.,(1999)Nat.Biotechnol.,17:1134−1136)を使用して実施した。簡単に述べると、mRNAを、正常なサンプルおよび腫瘍サンプルから単離し、cRNAをこのmRNAから作製し、そしてチップにハイブリダイズさせ、これを分析して、腫瘍の発生、進行または維持の間に制御される遺伝子を同定した。
正常なサンプルと腫瘍サンプルとの間で差次的に制御されると同定された1000個以上の遺伝子の機能および生物学的活性を、遺伝子配列を生化学的経路に関連付けるデータベースを介して同定した(例えば、Kyoto UniversityからのKyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)および/またはEuropean Bioinformatics Institute(EBI)により提供されるPFBPデータベース協会を参照のこと)。遺伝子のより小さなサブセットを、例示においてより徹底的に記載される基準に基づいて、この遺伝子プールから選択した。
(2.定義)
便宜上、本発明のさらなる説明の前に、明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲において用いたいくつかの用語をここで定義する。
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が他に明確に示さない限り、複数を指すことを包含する。
アレイ(例えば、マイクロアレイ)上の「アドレス」とは、エレメント(例えば、オリゴヌクレオチド)がそのアレイの固体表面と付着する位置をいう。本明細書で用いられる場合、アレイと付着する核酸または他の分子は「プローブ」または「捕捉プローブ」と称される。アレイが1つの遺伝子に対応する幾つかのプローブを含む場合、これらのプローブは「遺伝子−プローブセット」と称される。遺伝子−プローブセットは、例えば2〜10個のプローブ、好ましくは2〜5個のプローブ、そして最も好ましくは約5個のプローブから成り得る。
「腺癌」とは、その起源が、任意の腺細胞(glandular cellまたはadeno cell)にある癌をいう。「肺の腺癌」とは、肺の粘液生成細胞の癌をいう。
「アゴニスト」とは、タンパク質(例えば、ポリペプチドX)の生物活性を模倣またはアップレギュレート(例えば、増強または補足)する薬剤をいう。アゴニストは、野生型タンパク質の少なくとも1つの生物活性を有する、野生型タンパク質またはその誘導体であり得る。アゴニストは、遺伝子の発現をアップレギュレートするか、またはタンパク質の少なくとも1つの生物活性を増加させる化合物でもあり得る。アゴニストは、別の分子(例えば、標的ペプチドまたは核酸)とのポリペプチドの相互作用を増加させる化合物でもあり得る。
「対立遺伝子」とは、本明細書中で「対立遺伝子改変体」と交換可能に用いられ、遺伝子またはその一部の代替形態をいう。対立遺伝子は、相同染色体上の同一の座または位置を占める。被検体が遺伝子の2つの同一の対立遺伝子を有する場合、この被検体は遺伝子または対立遺伝子に対して同型であると言われる。被検体が遺伝子の2つの異なる対立遺伝子を有する場合、この被検体はこの遺伝子に対して異型であると言われる。特定の遺伝子の対立遺伝子は、1つのヌクレオチドまたは幾つかのヌクレオチドにおいて互いに異なっていてもよく、ヌクレオチドの置換、欠失および挿入を含んでいてもよい。遺伝子の対立遺伝子は、変異を含む遺伝子の形態でもあり得る。
「増幅」とは、核酸配列のさらなるコピーの産生をいう。増幅は一般に、当該技術分野において周知の、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて行われる(Dieffenbach,C.W.およびG.S.Dveksler (1995) PCR Primer,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.)。
「アンタゴニスト」とは、タンパク質の少なくとも1つの生物活性をダウンレギュレート(例えば、抑制または阻害)する薬剤をいう。アンタゴニストは、タンパク質と別の分子(例えば、標的ペプチドまたは酵素基質)との間の相互作用を阻害するかまたは減少させる化合物であり得る。アンタゴニストは、遺伝子の発現をダウンレギュレートするか、または存在する発現されたタンパク質の量を減少させる化合物でもあり得る。
「抗体」とは、全抗体、例えば任意のアイソタイプ(IgG、IgA、IgM、IgEなど)を含み、脊椎動物(例えば、哺乳動物)のタンパク質と特異的反応性でもあるその断片を含むことを意味する。抗体は、従来技法を用いて断片化されてもよく、断片は上記と同様の方法で、有用性に関して全抗体に対してスクリーニングされる。従って、この用語は、あるタンパク質と選択的に反応することができる抗体分子の、タンパク質分解により切断された部分または組換えにより調製された部分のセグメントを含む。このようなタンパク質分解性および/または組換え型断片の非限定的例としては、Fab、F(ab’)2、Fab’、Fv、およびペプチドリンカーにより結合したV[L]および/またはV[H]ドメインを含む単鎖抗体(scFv)が挙げられる。scFvは、2箇所以上の結合部位を有する抗体を形成するために、共有結合または非共有結合で結合してもよい。本発明は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体または他の精製された抗体調製物、および組換え型抗体を含む。
「アンチセンス」核酸とは、例えば、細胞のmRNAおよび/またはゲノムのDNAレベルにおいて、細胞条件下で遺伝子配列と特異的にハイブリダイズ(例えば、結合)し、例えば、転写および/または翻訳を阻害することによって遺伝子の発現を阻害するオリゴヌクレオチドをいう。結合は、従来の塩基対によって相補的に、または、例えばDNA二重鎖と結合する場合、二重らせんの主要な溝における特異的相互作用によるものであり得る。
「アレイ」または「マトリクス」とは、デバイス上のアドレス可能位置または「アドレス」の配置をいう。この位置は、二次元アレイ、三次元アレイまたは他のマトリクスフォーマットにおいて配置され得る。位置の数は、数個から少なくとも数十万個に及び得る。最も重要なことは、各位置が完全に独立した反応部位を表すことである。「核酸アレイ」とは、オリゴヌクレオチドや遺伝子の大部分等の核酸プローブを含むアレイをいう。アレイ上の核酸は、好ましくは一本鎖である。プローブがオリゴヌクレオチドであるアレイは、「オリゴヌクレオチドアレイ」または「オリゴヌクレオチドチップ」または「遺伝子チップ」と称される。「マイクロアレイ」は、「チップ」、「バイオチップ」または「バイオロジカルチップ」とも称されるが、例えば、各領域が少なくとも100/cm、好ましくは少なくとも約1000/cmの適切な密度の領域を有するアレイである。マイクロアレイにおけるこの領域は、好ましくは、約10〜250ミクロンの範囲の寸法(例えば、直径)を有し、アレイにおける他の領域と同一距離だけ離れている。
「生体活性(biological activity)」または「生物活性(bioactivity)」または「活性」または「生物学的機能」とは、交換可能に用いられるが、ポリペプチド(天然コンホメーションであるか変性コンホメーションであるかにかかわらない)によって、またはその任意の部分配列(subsequence)によって、直接的または間接的に行われるエフェクターまたは抗原の機能をいう。生体活性としては、ポリペプチドとの結合、他のタンパク質または分子との結合、DNA結合タンパク質としての活性、転写調節因子としての活性、損傷を受けたDNAを結合する能力などが挙げられる。生物活性は、被検体のポリペプチドに直接影響を与えることによって変調されてもよい。あるいは生物活性は、対応する遺伝子の発現を変調すること等により、ポリペプチドのレベルを変調することにより変更されてもよい。
「生体サンプル」または「サンプル」とは、生物体から、または生物体の構成成分(例えば、細胞)から得られたサンプルをいう。サンプルは、任意の生体組織または流体のサンプルであってもよい。サンプルは、患者由来のサンプルである「臨床サンプル」であることが多い。このようなサンプルとしては、痰、血液、血球(例えば、白血球)、組織また細針生検サンプル、尿、腹水、および胸膜液、またはそれらからの細胞が挙げられるが、これらに限定されない。また、生体サンプルは、組織学的目的のために採取された凍結切片等の組織の切片を含んでもよい。
「バイオマーカー」とは、その存在、濃度、活性または翻訳後改変状態が検出され得、そして目的のタンパク質の活性と相関し得る生物学的分子をいう。
「細胞周期」とは、以下の2つの期から成る真核細胞において繰り返す連続の事象をいう:第一は、第一のギャップ期または成長期(G1)、DNA合成期(S)、および第二のギャップ期または成長期(G2)を含む細胞成長期であり;第二は、有糸分裂(M)を含む細胞分裂期である。
罹患細胞「〜の対応する正常細胞」または「〜に対応する正常細胞」または「の正常対応細胞」とは、罹患細胞と同型の正常細胞をいう。「疾患肺細胞」とは、悪性肺細胞をいう。
「コンビナトリアルライブラリー」または「ライブラリー」は複数の化合物であり、これは「メンバー」と呼ばれ得、ライブラリーにおける各反応で同一のまたは異なる反応物質または反応条件のいずれかを用いることによって、1つまたは複数の出発材料から合成され、さもなければ調製されてもよい。一般に、任意のライブラリーのメンバーは少なくとも幾つかの構造的多様性を示し、これが化学的多様性をもたらすことが多い。ライブラリーは、2個の異なるメンバーから約10個以上のメンバーまでのどれでも有し得る。ある実施形態においては、本発明のライブラリーは、約12、50および90個より多くのメンバーを有する。本発明のある実施形態においては、出発材料およびある反応物質は同一であり、このようなライブラリーにおける化学的多様性は、ライブラリーの調製の間に少なくとも1つの反応物質または反応条件を変えることによって達成される。本発明のコンビナトリアルライブラリーは、溶液中または固相上で調製され得る。
「相補的」または「相補性」とは、許容塩および温度条件下における塩基対合によるポリヌクレオチドの天然結合をいう。例えば、配列「A−G−T」は相補的配列「T−C−A」と結合する。2個の一本鎖分子間の相補性は「部分的」であってもよく、この場合は核酸の一部のみが結合し、または全ての相補性が一本鎖分子の間に存在する場合は完全になり得る。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度へ重大な影響を及ぼす。
「サイトカイン」とは、細胞間の反応を媒介する細胞によって産生され、通常は生物学的応答調節因子に用いられる可溶性生化学物質をいう。
「送達複合体」とは、標的化手段(例えば、標的細胞表面への遺伝子、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドのより高い親和性結合および/または標的細胞による細胞または核の増加した取り込みをもたらす分子)をいう。標的化手段の例としては、ステロール(例えば、コレステロール)、脂質(例えば、陽イオン性脂質、ビロゾームまたはリポソーム)、ウイルス(例えば、アデノウィルス、アデノ随伴ウイルスおよびレトロウィルス)、または標的細胞特異的結合剤(例えば、標的細胞特異的レセプターにより認識されるリガンド)が挙げられる。好ましい複合体は、インビボで標的細胞による内在化の前の重大な脱共役を防止するのに十分に安定である。しかしながら複合体は、遺伝子、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドが機能的形態で放出されるような、適切な細胞内条件下で切断可能である。
本明細書において用いられる「〜由来の」という語句は、所定の配列内から選択されたペプチドまたはヌクレオチド配列を示唆する。指定配列由来のペプチドまたはヌクレオチド配列は、親配列に対して少数の変更を有してもよく、ほとんどの場合においては約15%未満、好ましくは10%未満、多くの場合においては約5%未満の、親配列中に存在するアミノ酸残基または塩基対の欠失、置換または挿入を示す。DNAの場合、2つのDNA分子が選択的に互いにハイブリダイズすることが可能であれば、一方のDNA分子はもう一方のDNA分子由来であるとも考えられる。
「誘導体」とは、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列の化学的変更をいう。ポリヌクレオチド配列の化学的変更の例としては、アルキル基、アシル基またなアミノ基による水素の置換が挙げられ得る。誘導体ポリヌクレオチドは、天然分子の少なくとも1つの生体機能または免疫機能を保持するポリペプチドをコードする。誘導体ポリペプチドとは、由来するポリペプチドの少なくとも1つの生体機能または免疫機能を保持する、グリコシル化、ペグ化または任意の類似プロセスによって変更されるものである。
「遺伝子の検出薬剤」とは、遺伝子またはそれに関連する他の生体分子(例えば、遺伝子および遺伝子によりコードされたポリペプチドから転写されたRNA)を特異的に検出するのに用いられ得る薬剤をいう。典型的な検出薬剤は、遺伝子および抗体に対応する核酸とハイブリダイズする核酸プローブである。
「分化」とは、ある遺伝子の選択的遺伝子発現および/または他の遺伝子の選択的抑制によって、特定の構造または機能に対して細胞が特殊化されるプロセスをいう。
「差次的発現」とは、遺伝子の時間的(temporal)および/または組織発現パターンの量的差異および質的差異の双方をいう。差次的に発現する遺伝子は、「標的遺伝子」を表し得る。
細胞Aと細胞Bとの間の「差次的遺伝子発現パターン」とは、細胞Aと細胞Bとの間の遺伝子発現の差異を反映するパターンをいう。差次的遺伝子発現パターンは、ある時点における細胞と別の時点における細胞の間に、あるいは化合物と共にインキュベートしたまたは化合物と接触させた細胞と、化合物と共にインキュベートしなかったまたは化合物と接触させなかった細胞との間にも得られ得る。
「等価物」とは、機能的に等価なポリペプチドをコードするヌクレオチド配列をいう。等価なヌクレオチド配列は、対立遺伝子の改変体等の、1つ以上のヌクレオチドの置換、付加または欠失により異なる配列を含み、したがって、遺伝子コードの縮重が原因で図2〜4中に記載した核酸のヌクレオチド配列とは異なる配列を含む。
「発現プロフィール」とは、本明細書においては細胞の「遺伝子発現プロフィール」や「フィンガープリント」と交換可能に用いられるが、本発明のパネルを含む遺伝子のmRNAレベルを表す一連の値をいう。発現プロフィールは、少なくとも約5個の遺伝子、好ましくは少なくとも約10個、25個、50個、100個、200個以上の遺伝子の発現レベルを表す値を含むことが好ましい。発現プロフィールは、複数の細胞や条件において類似のレベルで発現する遺伝子のmRNAレベルを含むことが好ましい。例えば、疾患Dの罹患細胞の発現プロフィールとは、罹患細胞における20個以上の遺伝子のmRNAレベルを表す一連の値をいう。
「細胞における遺伝子の発現レベル」または「遺伝子発現レベル」とは、細胞における遺伝子によりコードされたmRNA、ならびにmRNA前駆体新生転写物(単数または複数)、転写物プロセッシング中間体、成熟mRNA(単数または複数)および分解産物のレベルもいう。
「遺伝子」または「組換え型遺伝子」とは、オープンリーディングフレームを含み、少なくとも1つのエキソン配列および(必要に応じて)イントロン配列を含む核酸分子をいう。「イントロン」とは、mRNA成熟の間にスプライシングされる、所定の遺伝子に存在するDNA配列をいう。
「遺伝子構築物」とは、ポリペプチドに対する「コード配列」を含むか、またはさもなければ生体活性であるRNA(例えば、アンチセンス、デコイ、リボザイム等)に転写可能なベクター、プラスミド、ウィルスゲノム等をいい、これは細胞、ある実施形態においては哺乳動物細胞にトランスフェクトしてもよく、構築物でトランスフェクトした細胞におけるコード配列の発現を引き起こし得る。遺伝子構築物は、コード配列と動作可能に結合した1つまたは複数の調整エレメントの他に、イントロン配列、ポリアデニル化部位、複製起点、マーカー遺伝子等も含んでもよい。
「異型接合体」とは、相同染色体上の対応する座において異なる対立遺伝子を有する個体を指す。したがって、「異型接合型」とは、相同染色体上の1つまたは複数の対の座において異なる対立遺伝子を有する個体または系統を表す。
「同型接合体」とは、相同染色体上の対応する座において同一の対立遺伝子を有する個体を指す。したがって、「同型接合型」とは、相同染色体上の1つまたは複数の対の座において同一の対立遺伝子を有する個体または系統を表す。
「相同性」あるいは「同一性」とは、2つのペプチド間の配列類似性または2つの核酸分子間の配列類似性を指す。相同性は、比較のために整列され得る各配列における1つの位置を比較することによって確定され得る。比較した配列における1つの位置が同一の塩基またはアミノ酸に占められる場合、それらの分子はその位置において相同である。配列間の相同性の程度は、配列により共有される適合する位置または相同な位置の数の関数である。「同一性パーセント」という用語は、2つのアミノ酸配列間、または2つのヌクレオチド配列間の配列の同一性を指す。同一性はそれぞれ、比較のために整列され得る各配列における1つの位置を比較することによって確定され得る。比較した配列における1つの等価の位置が同一の塩基またはアミノ酸に占められる場合、それらの分子はその位置において同一である。等価の部位が同一または類似(例えば、立体的性質および/または電子的性質が類似)のアミノ酸残基に占められる場合、それらの分子はその位置において相同(類似)と称され得る。相同性、類似性または同一性の割合としての表現は、比較した配列により共有される位置における同一または類似のアミノ酸数の関数を指す。
特にゲノミクスまたはバイオインフォマティクスの分野における当業者により理解されるように、種々のアライメントアルゴリズムおよび/またはプログラムが、使用または開発され得、そのようなアルゴリズムおよび/またはプログラムとしては、FASTA、BLAST、またはENTREZが挙げられる。FASTAおよびBLASTは、GCG配列解析パッケージ(University of Wisconsin,Madison,WI)の一部として入手可能であり、例えばデフォルト設定を用いて使用され得る。ENTREZは、National Center for Biotechnology Information,National Library of Medicine,National Institutes of Health,Bethesda,MDから入手可能である。一実施形態においては、2つの配列の同一性パーセントは、ギャップウェイト1を用いるGCGプログラムによって確定され得、例えば、各アミノ酸ギャップは、2つの配列間の1つのアミノ酸ミスマッチまたはヌクレオチドミスマッチであるかのように重み付けされる。他のアライメント技法としては、Methods in Enzymology,vol.266:Computer Methods for Macromolecular Sequence Analysis(1996),Doolittle編,Academic Press,Inc.,Harcourt Brace & Co.の一事業部,San Diego,California,USAに記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、配列中のギャップを許容するアライメントプログラムが配列を整列するのに用いられる。Smith−Watermanは、配列アライメントにおけるギャップを許容するアルゴリズムの1つの型である。Meth.Mol.Biol.70:173−187 (1997)参照。また、NeedlemanおよびWunschのアライメント方法を用いたGAPプログラムは、配列を整列するのに用いられ得る。代替的検索ストラテジーは、MASPARコンピューター上で実行されるMPSRCHソフトを用いる。MPSRCHは、Smith−Watermanアルゴリズムを用いて超並列コンピューターで配列をスコアリングする。このアプローチは、遠く関連した対合をピックアップする能力を改良し、特に、小さなギャップおよびヌクレオチド誤差に対して寛容である。核酸にコードされたアミノ酸配列は、タンパク質データベースおよびDNAデータベースの双方を検索するのに用いられ得る。個々の配列を有するデータベースは、上記Methods in Enzymology,Doolittle編に記載されている。データベースとしては、Genbank、EMBL、およびDNA Database of Japan(DDBJ)が挙げられる。
「ホルモン」とは、ある細胞または組織によって産生され、体内の他の場所に位置する別の細胞または組織で起こる特異的な生体変化または生体活性を引き起こす、多数の生化学物質の1つを指す。
「宿主細胞」とは、規定の伝達ベクターで形質導入した細胞を指す。必要に応じて、細胞は、細胞培養物由来の細胞等のインビトロ細胞、生物由来の細胞等のエキソビボ細胞、および生物中の細胞等のインビボ細胞から選択される。「組換え宿主細胞」とは、組換えDNA技法を用いて構築されたベクターで形質転換またはトランスフェクトされた細胞を指す。「宿主細胞」または「組換え宿主細胞」は、本明細書において交換可能に用いられる用語である。このような用語は特定の対象細胞のみを指すのではなく、このような細胞の子孫や潜在的子孫も指すことが理解される。変異または環境的影響のいずれかに起因して、後の世代において特定の変更が起こり得るので、このような子孫は、実際には、親細胞と同一ではないこともあるが、それでも本明細書において用いられる場合、この用語の範囲内に含まれる。
「ハイブリダイゼーション」とは、核酸鎖が塩基対合を介して相補鎖と結合する任意のプロセスを指す。テンプレート核酸の標的部位へのプローブの「特異的ハイブリダイゼーション」とは、主に標的へのプローブのハイブリダイゼーションを指し、その結果、ハイブリダイゼーションシグナルがはっきりと解釈され得る。本明細書においてさらに記載されるように、特異的ハイブリダイゼーションをもたらすこのような条件は、相同領域の長さ、その領域のGC含量、ハイブリッドの融解温度「Tm」によって変化する。このため、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション溶液および洗浄液の塩含量、酸性度および温度が異なる。
「相互作用」とは、例えばハイブリダイゼーションアッセイを用いて検出され得る分子間の検出可能な相互作用を含むことを意味する。相互作用はまた、分子間の「結合」相互作用も含む。例えば、相互作用は、事実上、タンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質−核酸相互作用、タンパク質−低分子相互作用または低分子−核酸相互作用であり得る。
DNAまたはRNAなどの核酸に関して「単離された」とは、その高分子の天然供給源に存在する、それぞれ、他のDNAまたはRNAから分離された分子を指す。単離されたとはまた、組換えDNA技法によって産生された場合には細胞物質も、ウイルス物質も、培養培地も実質的に含有しないか、または化学的に合成された場合には化学的前駆体も他の化学物質も実質的に含有しない、核酸またはペプチドを指す。さらに、「単離された核酸」とは、フラグメントとして天然に存在せずかつ天然状態では見出されない、核酸フラグメントを含むことを意味する。「単離された」とはまた、他の細胞タンパク質から単離されたポリペプチドも指し、精製されたポリペプチドおよび組換えポリペプチドの両方を含むことを意味する。
「標識」および「検出可能標識」とは、検出可能な分子を指し、放射性同位体、発蛍光団、化学発光部分、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素インヒビター、色素、金属イオン、リガンド(例えば、ビオチンまたはハプテン)などが挙げられるが、これらに限定されない。「発蛍光団」とは、検出可能な範囲の蛍光を示すことが可能な物質またはその一部を指す。本発明の下で用いられ得る標識の特定の例としては、フルオレセイン、ローダミン、ダンシル、ウンベリフェロン、テキサスレッド、ルミノール、NADPH、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼおよび西洋ワサビペルオキシダーゼが挙げられる。
「肺癌」とは、肺において見出される任意の悪性新形成を一般的に指す。この用語は、本明細書中で使用される場合、完全に発達した悪性新形成、ならびに前悪性病変の両方を包含する。「肺癌を有する被検体」とは、肺において悪性新形成または前悪性病変を有する、被検体である。
「分子標的」または「標的」とは、目的とする別の肺細胞に対して示差的発現を示すような、本発明の方法を用いて同定された遺伝子の分子構造またはその遺伝子由来の分子構造を指す。このような標的の例としては、ポリペプチド、ホルモン、レセプター、dsDNAフラグメント、糖質または酵素が挙げられる。このような標的はまた、「標的遺伝子」、「標的ペプチド」、「標的タンパク質」などとも称され得る。
「調節」とは、応答のアップレギュレーション(すなわち、活性化または刺激)、ダウンレギュレーション(すなわち、阻害または抑制)、またはこの2つの組み合わせもしくはそれぞれを指す。「モジュレーター」とは、調節する化合物または分子であり、例えばアゴニスト、アンタゴニスト、アクチベーター、スティミュレーター、サプレッサー、またはインヒビターであり得る。
「新形成」とは、組織の異常な分化または成熟;組織の細胞構成成分のサイズ、形状、および組織の変化により特徴づけられる前悪性変化;または個々の細胞の均質性の喪失ならびにその構築的方向の喪失を一般に指す。新形成は、一般的には、癌の発生能力を保有する任意の変化を指すために、一般的に使用され得る。
「新生物」とは、異常な塊を形成する正常細胞由来組織の自然発生的新規増殖を指す。用語「腫瘍」の当該分野で認識される同義語である新生物とは、有用な機能を全く提供せず、健常生物を犠牲にして増殖する。「悪性新生物」とは、非侵襲性増殖および転移を介して宿主に対して深刻な有害な影響をもたらす、増殖および機能に対する制御の低下により特徴付けられる新生物をさす。「転移」とは、その元の部位から身体中の他の領域への悪性新生物の伝播を指す。「癌」とは、任煮の悪性新生物または前悪性病変を一般的に指す。「腫瘍形成」とは、正常細胞から腫瘍が形成される、生物学的プロセスおよび細胞段階を指す。「肺細胞の病因」または「肺癌の病因」とは、肺細胞における腫瘍形成プロセス、ならびに転移プロセス(例えば、肺癌の進行における全ての段階)を指す。
「非小細胞肺癌」とは、専用のホルモン産生細胞(例えば、小細胞)以外の肺細胞のいずれかを起源とする癌を指す。
罹患細胞における「遺伝子発現の正常化」とは、罹患細胞における遺伝子発現変化を、対応する非罹患細胞と同じレベルで実質的に発現するように、補う手段を指す。例えば、遺伝子が罹患細胞において過剰発現する場合、罹患細胞における発現の正常化とは、対応する正常な細胞における発現と発現が実質的に同じになるように、罹患細胞を処理することを指す。「正常化」は、発現レベルを、好ましくは約50%以内の発現の差異に、より好ましくは約25%以内に、さらにより好ましくは10%の発現の差異にする。必要な発現レベルの密接さは、特定の遺伝子に依存し、本明細書において記載されたように決定され得る。
「罹患した肺細胞の遺伝子発現の正常化」とは、罹患した肺細胞の実質的に全ての遺伝子の発現を正常化する手段を指す。
「核酸」とはデオキシリボ核酸(DNA)、および適切な場合はリボ核酸(RNA)などの、ポリヌクレオチドを指す。この用語はまた、等価物として、ヌクレオチドアナログから生成されたRNAまたはDNAいずれかのアナログ、および記載されている実施形態に適用されるように、一本鎖(センスまたはアンチセンス)ポリヌクレオチドおよび二本鎖ポリヌクレオチドを包含することが、理解されるべきである。EST、染色体、cDNA、mRNAおよびrRNAは、核酸と称され得る分子の代表的な例である。
「遺伝子に対応する核酸」とは、その遺伝子を検出するのに用いられ得る核酸(例えば、その遺伝子と特異的にハイブリダイズすることが可能な核酸)を指す。
「RNA由来の核酸サンプル」とは、そのRNAから合成された1つまたは複数の核酸分子(例えば、DNAやRNA)を指し、PCR(例えば、RT−PCR)を用いた方法から得られるDNAを含む。
本明細書において用いられる場合、「パネル(群)(panel)」とは、遺伝子発現プロフィールを介して肺細胞の病因の間に示差的に発現すると同定された一群の遺伝子および/またはそのコードタンパク質を指す。
「非経口投与」および「非経口投与された」とは、経腸投与および局所投与以外の、通常は注射による投与態様を意味し、静脈内、筋内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、クモ膜下、髄腔内および胸骨内の注射および注入が挙げられるが、これらに限定されない。
本方法により処置される「患者」、「被検体」または「宿主」とは、ヒト動物または非ヒト動物いずれかを意味し得る。
「ペプチド模倣物」とは、天然の親ポリペプチドの生物学的作用を模倣することが可能なペプチド様構造エレメントを含む化合物を指す。
「同一性パーセント」とは、2つのアミノ酸配列間の配列同一性、または2つのヌクレオチド配列間の配列同一性を指す。同一性はそれぞれ、比較のために整列され得る各配列の1つの位置を比較することによって確定され得る。比較した配列における1つの等価の位置が同一の塩基またはアミノ酸に占められる場合、それらの分子はその位置において同一である。その等価の部位が同一または類似(例えば、立体的性質および/または電気的性質が類似)のアミノ酸残基に占められる場合、それらの分子はその位置において相同(類似)と称され得る。相同性、類似性または同一性の割合としての表現は、比較した配列により共有される位置における同一または類似のアミノ酸数の関数を指す。FASTA、BLASTまたはENTREZを含む様々なアライメントアルゴリズムおよび/またはプログラムを用いてもよい。FASTAおよびBLASTは、GCG配列解析パッケージ(University of Wisconsin,Madison,WI)の一部として入手可能であり、例えばデフォルト設定を用いて使用され得る。ENTREZは、National Center for Biotechnology Information、National Library of Medicine,National Institutes of Health、Bethesda、MDから入手可能である。一実施形態においては、2つの配列の同一性パーセントは、ギャップウェイト 1を用いて、GCGプログラムによって確定され得るが、例えば、各アミノ酸ギャップは、2つの配列間の1つのアミノ酸またはヌクレオチドとして重み付けされる。アラインメントの他の技法は、Methods in Enzymology、vol.266:Computer Methods for Macromolecular Sequence Analysis(1996)、Doolittle編、Academic Press Inc.、Harcourt Brace & Co.の一事業部、San Diego、California、USAに記載されている。好ましくは、配列中のギャップを許容するアライメントプログラムが、配列を整列するのに用いられる。Smith−Watermanは、配列のアラインメントにおけるギャップを許容するアルゴリズムの1つの型である。Meth.Mol.Biol.70:173−187(1997)参照。また、NeedlemanおよびWunschのアライメント方法を用いたGAPプログラムは、配列を整列するのに用いられ得る。代替的検索ストラテジーは、MASPARコンピューター上で実行されるMPSRCHソフトを用いる。MPSRCHは、Smith−Watermanアルゴリズムを用いて超並列コンピューターで配列を記録する。このアプローチは、遠く関連した一致をピックアップする能力を改良し、特に、小さなギャップやヌクレオチド配列の誤差に対して寛容である。核酸によりコードされるアミノ酸配列は、タンパク質データベースおよびDNAデータベースの両方を検索するのに用いられ得る。個々の配列を有するデータベースは、上記Methods in Enzymology,Doolittle編に記載されている。データベースとしては、Genbank、EMBL、およびDNA Database of Japan(DDBJ)が挙げられる。
二重鎖に関して「完全に一致した」とは、各鎖における全ヌクレオチドがもう一方の鎖におけるヌクレオチドとWatson−Crickの塩基対合をするように、その二重鎖を構成するポリヌクレオチド鎖またはオリゴヌクレオチド鎖が互いと二本鎖構造を形成することを意味する。この用語はまた、用いられ得るヌクレオシドアナログ(デオキシイノシン、2−アミノプリン塩基を有するヌクレオシドなど)の対形成も含む。標的ポリヌクレオチドとオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとの二重鎖におけるミスマッチは、その二重鎖における一対のヌクレオチドがWatson−Crick結合しないことを意味する。三重鎖に関して、この用語は、その三重鎖が、完全に一致した二重鎖と、各ヌクレオチドが完全に一致した二重鎖の塩基対とのHoogsteen会合または逆Hoogsteen会合する第三の鎖とからなることを意味する。
「薬学的に受容可能な塩」とは、比較的無毒性で、化合物の無機および有機酸付加塩を指す。
「薬学的に受容可能なキャリア」とは、任意の補充物または組成物あるいはそれらの構成成分を、ある器官または身体部位から別の器官または身体部位へと運搬または輸送することに関与する、薬学的に受容可能な材料、組成物またはビヒクル(液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料など)を指す。各キャリアは、補充物の他の成分と適合し、患者にとって有害でないという意味で、「受容可能」でなければならない。当業者にとって公知であるかまたは当業者によって開発可能である、適切な任意の薬学的に受容可能なキャリアが、使用され得る。薬学的に受容可能なキャリアとして作用し得る物質の幾つかの例としては、(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;(2)コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン類;(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどの、セルロースおよびその誘導体;(4)トラガカント粉末;(5)麦芽、(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオバターおよび坐剤ワックスなどの、賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油などの、油類;(10)プロピレングリコールなどのグリコール類;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール類;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル類;(13)寒天類;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤類;(15)アルギン酸;(16)発熱物質非含有水;(17)等張性生理食塩水;(18)リンガー溶液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;および(21)薬学的処方物において用いられる他の非毒性適合性物質が挙げられる。
細胞の生体状態の「プロフィール」とは、薬物治療および細胞の生体状態の他の摂動に応答して変化することが知られる、細胞の様々な構成要素のレベルを指す。細胞の構成要素としては、RNAのレベル、タンパク質存在量のレベル、またはタンパク質活性レベルが挙げられる。
2つのプロフィールにおける遺伝子の発現レベルが十分に類似し、その類似性が共通の特徴(例えば、同一の型の細胞であること)を示す場合、1つの細胞における発現プロフィールは別の細胞における発現プロフィールと「類似」する。したがって、第一の細胞内で発現した遺伝子の少なくとも75%が、第一の細胞と比較して2倍以内であるレベルで第二の細胞内に発現する場合、第一の細胞と第二の細胞の発現プロフィールは類似する。
「増殖すること」および「増殖」とは、有糸分裂している細胞を指す。
「予防的」処置または「治療的」処置は、本組成物のうちの1つ以上の宿主への投与を指す。望ましくない状態(例えば、宿主動物の疾患または他の望ましくない状態)の臨床的徴候の前に投与される場合、この処置は予防的である(すなわち、望ましくない状態が発生しないよう宿主を保護する)。一方、望ましくない状態の臨床的徴候の後に投与される場合、この処置は治療的である(すなわち、望ましくない状態またはそれによる副作用の存在を減少、軽減または維持することを意図する)。
「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」は、例えばコード配列によってコードされ得るような遺伝子産物を指す場合、本明細書においては互換的に用いられる。「遺伝子産物」とは、遺伝子の転写の結果として産生される分子を意味する。遺伝子産物は、遺伝子から転写されるRNA分子、ならびにこのような転写物から翻訳されたタンパク質を含む。
「組換えタンパク質」、「異種タンパク質」および「外因性タンパク質」は、組換えDNA技法によって産生されるポリペプチドを指すために互換可能に使用され、そのポリペプチドにおいて、一般的には、そのポリペプチドをコードするDNAが適切な発現ベクターに挿入され、次にこのベクターが、異種タンパク質を産生するために宿主細胞を形質転換するのに用いられる。すなわち、そのポリペプチドは異種核酸から発現される。
「低分子」とは組成物を指し、その組成物は約1000kDa未満の分子量を有する。低分子は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、糖質、脂質または他の有機(炭素含有)分子または無機分子であり得る。当業者には明らかなように、本記載に基づき、化学的混合物および/または生物学的混合物(しばしば、真菌抽出物、細菌抽出物または藻類抽出物)の化学物質ライブラリーおよび/または生物学的な広範なライブラリーは、生物活性を調節する化合物を同定する本発明のアッセイのいずれかを用いてスクリーニングされ得る。
「扁平上皮の」とは、その起点が、皮膚、口の内層、咽頭、気道および肺の細管(fine tube)、ならびに身体の他の部分において見いだされる扁平上皮細胞中にある癌を指す。「扁平上皮癌」とは、気道の内層および肺の細管の扁平上皮細胞の癌を指す。
「代理物(surrogate)」とは、生体分子(例えば、核酸、ペプチド、ホルモンなど)であって、この存在、濃度または活性レベル検出され得、疾患状態などの既知の状態と相関し得るものを指す。
「全身投与」、「全身投与された」、「末梢投与」および「末梢投与された」とは、対象のサプリメント、組成物、治療薬または他の物質の中枢神経系への直接投与以外の投与を指し、これによりそれらが患者の器官系(system)に入り、代謝および他の類似プロセスに供される(例えば皮下投与)。
「治療剤」または「治療薬」は、宿主に対する所望の生物学的効果を有することが可能な薬剤を指す。化学療法剤および遺伝子毒性薬は、一般に生体起源ではなく化学物質起源であること、または特定の作用メカニズムにより治療効果を引き起こすことがそれぞれ知られる治療剤の例である。生体起源の治療剤の例としては、成長因子、ホルモンおよびサイトカインが挙げられる。様々な治療剤が当該技術分野において公知であり、その効果によって同定され得る。特定の治療剤は、赤血球の増殖および分化を調節することが可能である。例としては、化学療法のヌクレオチド、薬剤、ホルモン、非特異的(非抗体)タンパク質、オリゴヌクレオチド(例えば、標的核酸配列(例えば、mRNA配列)に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチド)、ペプチドおよびペプチド模倣物が挙げられる。
「治療効果」とは、薬理活性物質によって引き起こされる、動物、特に哺乳動物、さらに特にヒトにおける局所的効果または全身的効果を指す。したがって、この用語は疾患の診断、治癒、緩和、治療または予防において、または動物もしくはヒトにおける望ましい肉体的または精神的な発達あるいは状態の強化において使用するために意図される任意の物質を意味する。「治療有効量」という語句は、任意の処置に適用可能な妥当な利益/危険の比で、いくらかの望ましい局所的効果または全身的効果をもたらすような物質の量を意味する。ある実施形態においては、治療有効量の化合物は、その治療指数、溶解度などによって決まる。例えば、本発明の方法により開発されたある化合物は、このような治療に適用可能な妥当な利益/危険の比をもたらすのに十分な量で投与され得る。
被検体の疾患を「処置すること」または疾患を有する被検体を「処置すること」とは、被検体を医薬治療(例えば、薬物の投与)に供し、その結果少なくとも1つの疾患症状が治癒、緩和、軽減または予防されることを指す。
ポリヌクレオチド配列の文脈において用いられる場合、「改変体」は遺伝子Xのポリヌクレオチド配列、またはそのコード配列に関連するポリヌクレオチド配列を含み得る。この定義は、例えば「対立遺伝子」改変体、「スプライシング」改変体、「種」改変体または「多型」改変体も含み得る。スプライシング改変体は、参照分子に対して有意な同一性を有し得るが、一般に、mRNAプロセッシングの間のエキソンの代替的スプライシングが原因で、より多数またはより少数のポリヌクレオチドを有する。対応するポリペプチドは、付加的な機能ドメインを有しうるかまたはドメインの欠如を有し得る。種改変体は、ある種から別の種の間で変化するポリヌクレオチド配列である。得られるポリペプチドは一般に、互いに比較して有意なアミノ酸同一性を有する。多型改変体は、所定の種の個体間の特定の遺伝子のポリヌクレオチド配列における変化形である。また、多型改変体は、ポリヌクレオチド配列が1塩基だけ変化する「一ヌクレオチド多型」(SNP)を含み得る。SNPの存在は、例えば、特定の集団、疾患状態または疾患状態についての素因を示し得る。
ポリペプチドXの「改変体」とは、1つまたは複数のアミノ酸残基において変更されたペプチドXのアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。改変体は「保存的」変化を有することがあり、この場合、置換されたアミノ酸は類似の構造的性質または化学的性質を有する(例えば、ロイシンのイソロイシンへの置換)。ほとんどないことだが、改変体は「非保存的」変化を有することがある(例えば、グリシンのトリプトファンへの置換)。類似の少数の改変体はまた、アミノ酸の欠失または挿入、あるいはその両方を含み得る。生体活性も免疫活性も失うことなくどのアミノ酸残基を置換、挿入または欠失し得るかを確定する際の手引きは、当該技術分野で周知のコンピュータープログラム(例えば、LASERGENEソフトウェア(DNASTAR))を用いて見出され得る。
「ベクター」とは、そのベクターが結合した別の核酸を輸送することが可能な核酸分子を指す。好ましいベクターの1つの型は、エピソーム(すなわち染色体外複製が可能な核酸)である。好ましいベクターは、ベクターが結合する核酸の自律複製および/または発現が可能なベクターである。ベクターが作動可能に結合された遺伝子の発現を導くことが可能なベクターは、本明細書において「発現ベクター」と称される。一般に、組み換え型DNA技法において有用な発現ベクターは、ベクター形態では染色体に結合しない、一般に環状の二本鎖DNAループを指す「プラスミド」の形態であることが多い。本明細書においては、プラスミドが最も広く用いられる形態のベクターであるため、「プラスミド」および「ベクター」は互換的に用いられる。しかしながら、当業者には理解されるように、本発明は、等価な機能を果たし、かつ本明細書後に当該技術分野において公知になるこのような他の形態の発現ベクターを含むことが意図される。
(3.本発明の新規な標的)
本発明は、遺伝子プロファイリングによって同定されるように、新生物形成の間に肺細胞において差次的な発現を示すことが発見された既知の遺伝子または遺伝子産物のパネルを含む。1つの実施形態において、このパネルを含む遺伝子および/またはコードされた遺伝子産物は、肺細胞の病因の間に差次的に調節される、図2に列挙される遺伝子群から選択される。特定の実施形態において、このパネルを含む遺伝子および/またはコードされたタンパク質は、肺腺癌の病因の間に差次的に調節され、図3に列挙される遺伝子の群から選択される。特定の実施形態において、このパネルを含む遺伝子および/またはコードされた遺伝子産物は、肺扁平上皮細胞癌の病因の間に差次的に調節され、図4に列挙される遺伝子の群から選択される。当業者に理解されるように、肺腫瘍細胞において差次的に調節されるこれらの遺伝子またはそれらの遺伝子産物は、診断技術または治療技術に対する標的として使用され得る。
所定の遺伝子についての複数の登録がデータベース中に存在し、図面に列挙されるRefSeq番号およびGenBank登録番号が、このような登録1つだけを示し得ることが当業者に理解される。図面に列挙されるデータベース番号は、従って、本発明のパネルの遺伝子を含む配列の単に一つの例である。このパネルの遺伝子は、図中に番号によって示される配列、他の関連するデータベース登録を含む配列、本発明の前述および他の遺伝子の全てについてのヌクレオチド置換、付加、または欠失を有する配列、配列のスプライシング改変体、配列の対立遺伝子改変体、ならびに遺伝コードの縮重によって得られる配列を含み得る。
本発明はまた、TrkB(例えば、RefSeqおよびGenBank登録番号U12140)および/またはそのコードされる遺伝子産物)に関し、これは、肺細胞の新生物形成の間に差次的に発現されるような遺伝子発現プロフィールによって同定された。特定の実施形態において、このTrkB遺伝子および/またはそのコードされる遺伝子産物は、これらの方法についての「パネル」を含む。本発明はまた、Aur2(例えば、RefSeq番号NM_003600、GenBank登録番号AF011468、AF008551、およびBC001280)および/またはそのコードされる遺伝子産物に関し、これはまた、肺細胞の新生物形成の間に差次的に発現されるような遺伝子発現プロフィールによって同定された。特定の実施形態において、このAur2遺伝子および/またはそのコードされる遺伝子産物は、これらの方法についての「パネル」を含む。
(4.肺細胞における初期介入のための治療薬)
(4.1.治療薬スクリーニング)
当該分野で周知であるように、肺癌は、西洋社会において全ての癌に関連する死亡の主要な原因である。上記のように、肺細胞の新生物形成の間に差次的に調節される遺伝子のパネルが同定されており、薬物設計および薬物開発における標的として、本発明における使用のために提供される。本発明の一実施形態において、癌は、腺癌であり、そのパネルは、図3における遺伝子および/またはコードされる遺伝子産物を含む。本発明の別の実施形態において、癌は、扁平上皮癌であり、パネルは、図4における遺伝子および/またはコードされる遺伝子産物を含む。本発明のパネルにおける個々の遺伝子または遺伝子群、ならびに/あるいはそれらのコードされる遺伝子産物は、これらの方法についての「標的」を含む。いくつかの実施形態において、候補治療剤または「治療薬」は、標的タンパク質を結合するそれらの能力について評価される。候補治療薬は、以下のクラスの化合物から選択され得る:タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物、または低分子。他の実施形態において、候補治療薬は、標的遺伝子に結合する能力について評価される。候補治療薬は、以下のクラスの化合物から選択され得る:アンチセンス核酸、低分子、ポリペプチド、タンパク質(抗体を含む)、ペプチド模倣物、または核酸アナログ。いくつかの実施形態において、この候補治療薬は、化合物のライブラリーから選択される。これらのライブラリーは、コンビナトリアル合成法を使用して作製され得る。
本発明は、本発明の候補治療剤を、被験体の肺細胞と上記候補治療剤とを接触させることにより、標的遺伝子の発現を調節するそれらの能力について、評価するための方法をさらに提供する。特定の実施形態において、この候補治療薬は、遺伝子または遺伝子群の発現レベルを正常にするその能力について評価される。あるいは、候補治療剤は、被験体の肺細胞と、上記候補治療剤とを接触させることにより、タンパク質の活性を阻害するそれらの能力について、評価され得る。特定の実施形態において、候補治療薬は、肺癌の病因を通常は促進するタンパク質の活性を阻害するその能力について評価され得る。これらの薬剤はまた、肺癌を発症する危険性が高い無症候性の個体において有用性を有する。
(4.2.治療剤スクリーニングアッセイ)
当業者は、本発明のパネルを含む標的分子を結合する上記候補治療薬の能力が、種々の適切なアッセイのいずれかを使用することによって決定され得ることを本発明から理解する。例えば、本発明のある実施形態においては、候補治療薬が標的タンパク質または標的遺伝子を結合する能力は、インビトロアッセイによって評価され得る。いずれの実施形態においても、結合アッセイはインビボアッセイでもあり得る。アッセイは、遺伝子の発現または活性を調節する分子を同定するために行われ得る。あるいは、アッセイは、遺伝子によりコードされたタンパク質の活性を調節する分子を同定するために行われ得る。
当業者は、あるスクリーニングアッセイにおいては1つの遺伝子の発現レベルを評価することが十分であり、他のスクリーニングアッセイにおいては2つ以上の発現レベルの評価が好ましく、これに対してさらに他のスクリーニングアッセイにおいては肺細胞新形成に関与する実質的に全ての遺伝子の発現が評価されるのが好ましいと認識する。同様に、幾つかのスクリーニングアッセイにおいては、1つのタンパク質の活性を評価することが十分であり、これに対して他のスクリーニングアッセイにおいては、複数のタンパク質の活性を評価してもよい。本発明において使用され得るアッセイの例としては、競合結合アッセイ、直接結合アッセイ、ツーハイブリッドアッセイ、細胞増殖アッセイ、キナーゼアッセイ、ホスファターゼアッセイ、核ホルモン輸送体アッセイ、およびポリメラーゼ連鎖反応アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。このようなアッセイは当業者に周知であり、本発明の記載に基づいて、慣用的実験だけで本発明の方法に適応し得る。
上記スクリーニング方法は全て、様々なアッセイ形式を用いて達成され得る。本開示を考慮して、本明細書において明確に記載されていないことは、それにもかかわらず当業者に知られ、理解される。このアッセイは、目的の標的遺伝子発現の、または目的の標的のタンパク質:タンパク質相互作用またはタンパク質−基質相互作用の、または正常細胞もしくは異常細胞の生理機能、増殖および/または分化ならびにこれらに関連する障害の病原における標的遺伝子産物の役割の、例えば、アゴニストまたはアンタゴニストのいずれかである薬物を同定し得る。タンパク質複合体またはタンパク質−核酸複合体の形成、酵素活性、さらに特異的シグナル伝達経路のような状態を近似するアッセイ形式は、当業者が本明細書の記載に基づいて認識するように、多くの異なる形態で作製されてもよく、それらとしては、無細胞系(例えば、精製タンパク質または細胞溶解物)に基づいたアッセイ、ならびにインタクトな細胞を利用する細胞系アッセイが挙げられるが、これに限定されない。
当業者は、タンパク質−タンパク質相互作用またはタンパク質−核酸相互作用の結合あるいはこのような複合体または各タンパク質もしくは核酸の基質への引き続く結合を破壊することによって、所定の相互作用から生じるシグナル伝達または他の効果を阻害し得る薬剤を検出するのに結合アッセイが用いられ得ることを、本発明の説明に基づいて理解するであろう。例えば、1つのポリペプチドが別のポリペプチドと結合すると、第二のポリペプチド(本明細書においては「結合パートナー」または「結合パートナー」と称される)へのその結合を調節することにより、第一のポリペプチドの活性を調節する薬物が開発され得る。無細胞アッセイは、ポリペプチドまたは結合パートナーと相互作用することによりそのポリペプチドまたはその結合パートナーの活性を変化させることが可能な化合物を同定するのに用いられ得る。このような化合物は、例えばポリペプチドまたは結合パートナーの構造を変化させることにより、その活性に影響を与え得る。無細胞アッセイは、ポリペプチドと結合パートナーの間の相互作用を調節する化合物を同定するのにも用いられ得る。好ましい実施形態においては、このような化合物を同定するための無細胞アッセイは、本質的に、結合パートナーの存在下または非存在下でポリペプチドおよび試験化合物または試験化合物のライブラリーを含む反応混合物にある。試験化合物は、例えば、結合パートナーとの誘導体(例えば、生体不活性ペプチドまたは低分子)であり得る。相互作用阻害因子として作用する能力に関して試験される薬剤は、例えば、細菌、酵母または他の生物体によって産生され得(例えば、天然産物)、化学的に産生され得(例えば、ペプチド模倣物を含む低分子)、または組み換えにより産生され得る。好ましい実施形態においては、治療剤候補は、例えばペプチドまたはオリゴヌクレオチド以外の、約2,000ダルトン未満の分子量を有する有機低分子である。
化合物および天然抽出物のライブラリーを試験する多くの薬物スクリーニングプログラムにおいては、所定の期間に調べる化合物の数を最大にするために、高スループットアッセイが望ましい。無細胞系(例えば、精製もしくは半精製されたタンパク質または溶解物を用いて得られ得る)で行われる本発明のアッセイは、試験化合物により媒介される分子標的における変化の迅速な発生およびしばしば容易な検出を可能にするためにそれらが作製され得るという点で、「一次」スクリーニングとして好ましい場合が多い。さらに、試験化合物の細胞毒性および/またはバイオアベイラビリティの影響は、インビトロ系では一般に無視されてもよく、アッセイはその代わりに、他のタンパク質との結合アフィニティにおける変化または分子標的の酵素特性の変更において顕著であり得るような、分子標的に対する薬剤の影響に主に注目する。したがって、潜在的な変更因子(例えば、目的のタンパク質−基質相互作用、タンパク質−タンパク質相互作用または核酸:タンパク質相互作用の活性化因子または阻害因子)は、細胞溶解物における目的の機能相互作用の構成(constitution)によって作製された無細胞アッセイにおいて検出され得る。代替的形式においては、このアッセイは、下記のような溶解物ベースのアッセイを超える多数の利得を提供する、再構成タンパク質混合物として得られてもよい。
一局面においては、本発明は、タンパク質−タンパク質相互作用、核酸−タンパク質相互作用またはタンパク質−基質相互作用を調節する薬剤をスクリーニングするのに用いられ得るアッセイを提供する。例えば、本発明の薬物スクリーニングアッセイは、タンパク質−タンパク質相互作用の結合部分の結合を破壊する薬剤を検出するために設計され得る。他の実施形態においては、本アッセイは、タンパク質またはタンパク質−タンパク質相互作用複合体の酵素活性の阻害因子を同定する。好ましい実施形態においては、化合物は、タンパク質−タンパク質相互作用の1つのメンバーまたはタンパク質の1つの化学基を化学的に変える、そのメンバーの特異的阻害因子である(例えば、相同なタンパク質と比較して10倍、100倍、より好ましくは1000倍異なる阻害定数を有する)、メカニズムに基づく(mechanism based)阻害因子である。
本発明の一実施形態においては、所定のタンパク質−基質相互作用、タンパク質−タンパク質相互作用または核酸−タンパク質相互作用の構成成分の結合を妨げる能力に基づいて、阻害因子を検出するアッセイが提供される。例示的な結合アッセイにおいては、タンパク質−タンパク質相互作用の構成成分ポリペプチドから作製された混合物と、目的の化合物を接触させる。所定のタンパク質−タンパク質相互作用から予想される活性を検出および定量することにより、2つのポリペプチド間の複合体形成を阻害する(または増強する)際の化合物の有効性を確定するための手段が提供される。化合物の有効性は、様々な濃度の試験化合物を用いて得られたデータから用量応答曲線を作製することによって評価され得る。さらに、比較用のベースラインを提供するため、対照アッセイも行われ得る。対照アッセイにおいては、複合体の形成を試験化合物の非存在下で定量する。
構成成分ポリペプチド間、ポリペプチドと遺伝子との間の、または構成成分ポリペプチドと基質との間の複合体形成は、様々な技法によって検出され得るが、これらの技法の多くは上に有効に記載されている。例えば、複合体の形成の調節は、例えば、検出可能に標識(例えば、放射性同位体標識、蛍光標識または酵素標識)されたタンパク質を用いてか、イムノアッセイによってか、またはクロマトグラフィー検出によって定量され得る。
したがって、本発明の典型的なスクリーニングアッセイの1つは、ポリペプチドまたはその機能的フラグメントまたは結合パートナーを、試験化合物または試験化合物のライブラリーと接触させる工程と、複合体の形成を検出する工程とを含む。検出目的のために、例えば、分子は特異的マーカーで標識されてもよく、試験化合物または試験化合物のライブラリーは異なるマーカーで標識されてもよい。その後、ポリペプチドもしくはその断片または結合パートナーとの試験化合物の相互作用は、インキュベート工程および洗浄工程後に2つの標識のレベルを確定することによって検出され得る。洗浄工程後の2つの標識の存在は、相互作用を示す。
分子間の相互作用はまた、表面プラズモン共鳴(SPR)、すなわち光学現象を検出するリアルタイムBIA(Biomolecular Interaction Analysis,Pharmacia Biosensor AB)によって同定され得る。検出は、生体特異的界面(biospecific interface)での高分子の質量濃度の変化に依存し、相互作用物質の標識を全く必要としない。一実施形態においては、試験化合物のライブラリーは、例えば、マイクロフローセルの一方の壁を形成するセンサー表面に固定化されてもよい。その後、ポリペプチド、その機能的断片、ポリペプチドアナログまたは結合パートナーを含む溶液が、センサー表面に連続的に流される。シグナルの記録において示される共鳴角の変化は、相互作用が起こったことを示す。この技法は、例えばPharmaciaによるBIAtechnology Handbookにさらに記載されている。
本発明の別の例示的なアッセイは、(a)(i)ポリペプチド、(ii)結合パートナー、および(iii)試験化合物を含む反応混合物を形成する工程;ならびに(b)このポリペプチドと結合パートナーとの相互作用を検出する工程を包含する。このポリペプチドおよび結合パートナーは、本明細書中に記載されるように、組換え的に産生されても、供給源(例えば、血漿)から精製されても、または化学的に合成されてもよい。試験化合物の非存在下での相互作用と比較して、試験化合物の存在下でのポリペプチドと結合パートナーとの相互作用の統計学的に有意な変化(増強作用または阻害)は、試験化合物について、ポリペプチド生体活性の有効なアゴニスト(ミメティックまたは増強剤)またはアンタゴニスト(インヒビター)を示す。このアッセイの化合物は、同時に接触され得る。あるいは、ポリペプチドは、最初に試験化合物と適切な量の時間の間接触され得、その後、結合パートナーがこの反応混合物に加えられる。化合物の有効性は、種々の濃度の試験化合物を使用して得られたデータから用量応答曲線を作成することにより評価され得る。さらに、コントロールアッセイもまた、比較のためのベースラインを提供するために実行され得る。コントロールアッセイにおいて、単離されそして精製されたポリペプチドまたは結合パートナーは、結合パートナーまたはポリペプチドを含む組成物に加えられ、そして複合体の形成は、試験化合物の非存在下で定量される。
ポリペプチドと結合パートナーとの間の複合体形成は、種々の技術により検出され得る。複合体形成のモジュレーションは、例えば、検出可能に標識されたタンパク質(例えば、放射標識したか、蛍光標識したか、または酵素標識したポリペプチドまたは結合パートナー)を使用して、イムノアッセイにより、またはクロマトグラフィー検出により、定量され得る。
好ましい実施形態において、ポリペプチドまたはその結合パートナーのいずれかを固定して、これらのタンパク質の一方または両方の非複合体化形態からの複合体の分離を容易にし、かつこのアッセイの自動化に適合させることが望ましい。結合パートナーへのポリペプチドの結合は、反応物を収容するのに適切な任意の容器において達成され得る。例としては、マイクロタイタープレート、試験管、およびミクロ遠心分離チューブが挙げられる。一実施形態において、タンパク質がマトリックスに結合されることを可能にするドメインを付加する融合タンパク質が提供され得る。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/ポリペプチド(GST/ポリペプチド)融合タンパク質を、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical,St.Louise,MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着し得、次いでこれを、結合パートナー(例えば、35S−標識結合パートナー)、および試験化合物を合わせ、そしてこの混合物を、複合体形成を行う条件下(わずかによりストリンジェントな条件が所望され得るが、例えば、塩およびpHについて生理学的条件)でインキュベートする。インキュベーション後、このビーズを洗浄して、任意の未結合標識を除去し、そしてマトリックスを固定し、そして放射標識を直接的に検出する(例えば、シンチラント(scintilant)に配置されたビーズ)か、または複合体をその後に解離させた後に、上清中で検出する。あるいは、複合体を、マトリックスから解離し得、SDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム−アクリルアミドゲル電気泳動)により分離し、そしてビーズ画分に見出されるポリペプチドまたは結合パートナーのレベルを、添付の実施例に記載されるような標準的な電気泳動技術を使用してゲルから定量する。
タンパク質をマトリックスに固定するための他の技術はまた、本発明のアッセイにおける使用に利用可能である。例えば、ポリペプチドまたはその同族の結合パートナーのいずれかは、ビオチンおよびストレプトアビジンの結合体化を利用して固定化され得る。例えば、ビオチン化ポリペプチド分子は、当該分野で周知の技術(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals,Rockford,IL)を使用してビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製され得、そしてストレプトアビジンでコーティングした96ウェルプレート(Pierce Chemical)のウェルで固定化され得る。あるいは、ポリペプチドと反応性の抗体を、このプレートのウェルに誘導体化し得、そしてポリペプチドは抗体結合体化によりウェルに捕捉され得る。上記のように、結合パートナーおよび試験化合物の調製を、ポリペプチドを提示するプレートのウェル中でインキュベートし、そしてそのウェルに捕捉された複合体の量を定量し得る。GST固定化複合体について上記した方法に加えて、このような複合体を検出するための例示的な方法としては、結合パートナーと反応性であるか、またはポリペプチドと反応性でありかつ結合パートナーと競合する抗体を使用する複合体の免疫検出;および結合パートナーに関連する酵素活性(内因性活性または外因性活性のいずれか)の検出に依存する酵素連結アッセイが挙げられる。後者の場合において、酵素は、化学的に結合体化されても、結合パートナーとの融合タンパク質として提供されてもよい。例示するために、結合パートナーは、化学的に架橋されても遺伝的にセイヨウワサビペルオキシダーゼと融合されてもよく、そして複合体に捕捉されたポリペプチドの量は、酵素の色素形成性基質(例えば、3,3’−ジアミノ−ベンザジンテトラヒドロクロリドまたは4−クロロ−1−ナフトール)を用いて評価され得る。同様に、ポリペプチドおよびグルタチオン−S−トランスフェラーゼを含む融合タンパク質が提供され得、そして複合体形成が、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼンを使用してGST活性を検出することにより定量され得る(Habigら(1974)J Biol Chem 249:7130)。
複合体に捕捉されたタンパク質の1つを定量するための免疫検出に依存するプロセスのために、このタンパク質に対する抗体(例えば、抗ポリペプチド抗体)が使用され得る。あるいは、複合体で検出されるタンパク質は、このポリペプチドの配列に加えて、抗体が容易に利用可能(例えば、市販の供給源から)である第2のポリペプチドを含む融合タンパク質の形態で「エピトープタグ化」され得る。例えば、上記のGST融合タンパク質はまた、GST部分に対する抗体を使用する結合の定量化のために使用され得る。他の有用なエピトープタグとしては、mycエピトープ(c−myc由来の10残基配列を含む)(例えば、Ellisonら(1991)J Biol Chem 266:21150−21157を参照のこと)、およびpFLAG系(International Biotechnologies,Inc.,New Haven,CT)またはpEZZ−プロテインA系(Pharmacia,NJ)が挙げられる。
本発明のアッセイの好ましいインビトロ実施形態において、タンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質−基質相互作用、またはタンパク質−核酸相互作用に関与するタンパク質またはタンパク質のセットは、少なくとも半精製されたタンパク質の再構成されたタンパク質混合物を含む。半精製により、再構成された混合物において利用されるタンパク質が、他の細胞タンパク質またはウイルスタンパク質から以前に分離されていることを意味する。例えば、細胞溶解物と対照的に、タンパク質−基質相互作用、タンパク質−タンパク質相互作用または核酸−タンパク質相互作用に関与するタンパク質は、混合物中の他の全てのタンパク質と比較して少なくとも50%の純度で混合物中に存在し、そしてより好ましくは90〜95%の純度で存在する。本発明の方法の特定の実施形態において、再構成されたタンパク質混合物は、高度に精製されたタンパク質を混合することにより誘導され、その結果、再構成された混合物は、所定のタンパク質−基質相互作用、タンパク質−タンパク質相互作用、または核酸−タンパク質相互作用から生じる活性を測定する能力と干渉し得るか、そうでなければこの能力を変更し得る他のタンパク質(例えば、細胞またはウイルス起源のもの)を実質的に欠いている。
一実施形態において、再構成されたタンパク質混合物の使用は、タンパク質基質相互作用条件、タンパク質−タンパク質相互作用条件、または核酸−タンパク質相互作用条件のより注意深い制御を可能にする。さらに、この系は、タンパク質−タンパク質相互作用の特定の中間状態のインヒビターの発見を有利にするように誘導され得る。例えば、再構成されたタンパク質のアッセイは、候補薬剤の存在下および非存在下の両方で行われ得、それにより、所定のタンパク質−基質相互作用、タンパク質−タンパク質相互作用、または核酸−タンパク質相互作用のインヒビターの検出を可能にする。
候補インヒビターの存在下および非存在下において、所定のタンパク質−基質相互作用、タンパク質−タンパク質相互作用、または核酸−タンパク質相互作用から生じる生物学的活性をアッセイすることは、反応物を収容するために適切な任意の容器中で達成され得る。例としては、マイクロタイタープレート、試験管、およびミクロ遠心分離チューブが挙げられる。
好ましい実施形態において、ポリペプチドの1つを固定化して、タンパク質の1つの非複合体化形態からの複合体の分離を容易にし、かつこのアッセイを自動化に適合させることが望ましい。例示的実施形態において、タンパク質が、不溶性マトリックスに結合されるのを可能にするドメインを加える融合タンパク質が、提供され得る。例えば、タンパク質−タンパク質相互作用構成要素の融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical,St.Louis,MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着され得、次いで潜在的な相互作用タンパク質(例えば、35S標識ポリペプチド)および試験化合物と合わせ、そして複合体形成を行う条件下で(例えば、4℃にて、2mM Tris−HCl(pH8)、1nM EDTA、0.5% Nonidet P−40、および100mM NaClの緩衝液中)インキュベートされる。インキュベーション後、ビーズを洗浄して、任意の未結合相互作用タンパク質を除去し、そしてマトリックスビーズ結合放射標識を、直接的に測定する(例えば、シンチラント(scintillant)に配置されたビーズ)か、または複合体が乖離した後に上清中で測定する(例えば、マイクロタイタープレートが使用される場合)。あるいは、未結合タンパク質を洗い流した後、複合体をマトリックスから解離させて、SDS−PAGEにより分離し、そしてマトリックス結合フラクションにおいて見いだされる相互作用ポリペプチドのレベルを、標準的電気泳動技術を使用してゲルから定量し得る。
さらに別の実施形態において、タンパク質−タンパク質相互作用成分または潜在的相互作用ポリペプチドを使用して、互いに対する相互作用成分の結合を引き離す因子を続けて検出するための、ツーハイブリッドアッセイまたは相互作用トラップアッセイを作成し得る(米国特許第5,283,317号;Zervosら(1993)Cell 72:223−232;Maduraら(1993)J Biol Chem 268:12046−12054;Bartelら(1993)Biotechniques 14:920−924;およびIwabuchiら(1993)Oncogene 8:1693−1696)も参照のこと)。
特定の実施形態において、この方法は、ハイブリッドタンパク質を発現するキメラ遺伝子の使用を包含する。例示するために、第1のハイブリッド遺伝子は、転写活性化因子のDNA結合ドメインが、「餌(bait)」タンパク質(例えば、潜在的相互作用タンパク質に結合するのに十分な長さのタンパク質−タンパク質相互作用成分ポリペプチド)のコード配列にインフレームで融合され得るためのコード配列を含む。第2のハイブリッドタンパク質は、「魚(fish)」タンパク質(例えば、餌融合タンパク質のタンパク質−タンパク質相互作用成分ポリペプチド部分と相互作用するに十分な長さの潜在的相互作用タンパク質)をコードする遺伝子にインフレームで融合される転写活性化ドメインをコードする。この餌タンパク質および魚タンパク質が、相互作用し得る(例えば、タンパク質−タンパク質相互作用成分複合体を形成する)場合、これらは、転写活性化因子の2つのドメインに非常に近くになる。この近接は、転写活性化因子に応答性の転写調節部位に作動可能に連結されるレポーター遺伝子の転写を引き起こし、そしてこのレポーター遺伝子の発現は、検出され得、そして餌タンパク質および魚タンパク質の相互作用を評価するために使用され得る。
本発明によれば、この方法は、宿主細胞、好ましくは酵母細胞(例えば、Kluyverei lactis、Schizosaccharomyces pombe、Ustilago maydis、Saccharomyces cerevisiae、Neurospora crassa、Aspergillus niger;Aspergillus nidulans、Pichia pastoris、Candida tropicalis、およびHansenula polymorpha(最も好ましくは、S.cerevisiaeまたはS.pombeであるが))を提供する工程を包含する。宿主細胞は、餌タンパク質において使用される転写活性化因子のDNA結合ドメインについての結合部位を有するレポーター遺伝子を含む。その結果、このレポーター遺伝子が、この遺伝子が転写活性化される場合に検出可能な遺伝子産物を発現する。第1のキメラ遺伝子は、宿主細胞の染色体に存在し得るか、または発現ベクターの一部として存在し得る。
宿主細胞はまた、その宿主細胞において発現され得る第1のキメラ遺伝子を含む。この遺伝子は、キメラタンパク質をコードし、このタンパク質は、(i)宿主細胞中のレポーター遺伝子上の応答性エレメントを認識するDNA結合ドメイン、および(ii)餌タンパク質(例えば、タンパク質−タンパク質相互作用成分ポリペプチド配列)、を含む。
第2のキメラ遺伝子もまた提供され、これは、宿主細胞において発現され得、そして「魚」融合タンパク質をコードする。一実施形態において、第1のキメラ遺伝子および第2のキメラ遺伝子の両方が、プラスミドの形態で宿主細胞に導入される。しかし、好ましくは、この第1のキメラ遺伝子は、宿主細胞の染色体に存在し、そして第2のキメラ遺伝子は、プラスミドの一部として宿主細胞中に導入される。
好ましくは、第1のハイブリッドタンパク質のDNA結合ドメインおよび第2のハイブリッドタンパク質の転写活性化ドメインは、分離可能なDNA結合ドメインおよび転写活性化ドメインを有する転写活性化因子から誘導される。例えば、これらの分離可能なDNA結合ドメイン結合ドメインおよび転写活性化ドメインは、酵母GAL4タンパク質において見いだされることが公知であり、そして酵母GCN4タンパク質およびADR1タンパク質において見いだされることが公知である。転写に関与する多くの他のタンパク質もまた、分離可能な結合ドメインおよび転写活性化ドメインを有し、これらは、そのタンパク質を本発明に有用にし、これらとしては、例えば、LexAタンパク質およびVP16タンパク質が挙げられる。他の(実質的に)転写不活性なDNA結合ドメインを、対象の構築物(例えば、ACE1、λcI、lacリプレッサ、junまたはfosのドメイン)において使用し得る。別の実施形態において、DNA結合ドメインおよび転写活性化ドメインは、異なるタンパク質由来であり得る。LexA DNA結合ドメインの使用は、特定の利点を提供する。例えば、酵母において、LexA部分は、活性化機能を含まず、そして酵母遺伝子転写に対して公知の効果を有さない。さらに、LexAの使用は、相互作用のレベルに対してアッセイの感受性に対する制御を可能にする(例えば、Brentら、PCT公開WO94/10300を参照のこと)。
好ましい実施形態において、餌タンパク質または魚タンパク質に関連する任意の酵素活性が不活化される(例えば、タンパク質−タンパク質相互作用成分のドミナントネガティブ変異体または他の変異体を使用し得る)。
例示された実施例に続けて、従って、宿主細胞における餌タンパク質と魚タンパク質との間のタンパク質タンパク質相互作用成分媒介相互作用は、存在する場合、活性化ドメインに、レポーター遺伝子の転写を活性化させる。この方法は、第1のキメラ遺伝子および第3のキメラ遺伝子を宿主細胞中に導入し、そしてその細胞を、餌融合タンパク質および魚融合タンパク質が、レポーター遺伝子が活性化されるのに十分な量で発現される条件下に供することにより行われる。タンパク質−タンパク質相互作用成分/相互作用タンパク質複合体の形成は、レポーター遺伝子の発現により産生される検出可能なシグナルを生じる。従って、試験化合物の存在下および試験化合物の非存在下での複合体の形成レベルは、各場合におけるレポーター遺伝子の発現レベルを検出することにより評価され得る。種々のレポーター構築物は、本発明の方法に従って使用され得、そして例えば、酵素シグナル、蛍光シグナル、燐光シグナルおよび薬物耐性からなる群より選択される様な検出可能なシグナルを産生するレポーター遺伝子を含む。
本発明の一局面は、再構築されたタンパク質調製物(例えば、タンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質の組み合わせ)を提供する。
本発明のアッセイのなおさらなる実施形態において、目的のタンパク質−タンパク質相互作用は、本発明のアッセイを支持する細胞培養技術を利用して、全細胞において生成される。例えば、以下に記載されるように、目的のタンパク質−タンパク質相互作用は、真核生物細胞培養系(哺乳動物細胞および酵母細胞を含む)において継続され得る。インタクトな細胞において本発明のアッセイを生成することに対する利点としては、インヒビターの治療的使用に必要とされる能力(薬剤を細胞中に進入させる能力を含む)をより密接に近似する環境において機能的であるインヒビターを検出する能力が挙げられる。さらに、このアッセイの特定のインビボ実施形態(例えば、以下に示される実施例)は、候補薬剤のハイスループット分析に感受性である。
目的のタンパク質−タンパク質相互作用の成分は、このアッセイを支持するように選択された細胞に対して内因性であり得る。あるいは、これらの成分のうちのいくらかまたは全てが外因性供給源由来であり得る。例えば、融合タンパク質は、組み換え技術(例えば、発現ベクターの使用による)、および融合タンパク質自体またはこの融合タンパク質をコードするmRNAをマイクロインジェクトすることにより、細胞に導入され得る。
この細胞を、タンパク質−タンパク質相互作用媒介シグナル伝達事象(例えば、タンパク質−タンパク質相互作用成分基質の翻訳後修飾(例えば、リン酸化)の調節、細胞シグナル伝達に応じた遺伝子の転写の調節の調節など)の検出を容易にするために、候補インヒビターとのインキュベーション後に、最終的に操作される。再構成されたタンパク質混合物または溶解物において行われるアッセイについて上で記載したように、候補インヒビターの有効性は、タンパク質−タンパク質相互作用成分ポリペプチドの直接的特徴(例えば、電気泳動手段により分子量のシフト)の測定または結合アッセイにおける検出により評価され得る。これらの実施形態に関して、細胞は、代表的には、候補薬物とのインキュベーションの終点において溶解され、そしてこの溶解物を、例えば、上記のように、再構成されたタンパク質混合物または溶解物と同じ様式で検出工程において操作する。
タンパク質−タンパク質相互作用の間接的測定はまた、タンパク質−タンパク質相互作用媒介シグナル伝達事象により調節されるタンパク質−タンパク質相互作用成分に関連する生物学的活性を検出することにより達成され得る。上述のように、タンパク質−タンパク質相互作用成分ポリペプチドを含む融合タンパク質および酵素活性の使用は、関連する酵素活性を定量することによるタンパク質−タンパク質相互作用成分ポリペプチドの間接的測定に、検出手段が依存する、本発明のアッセイの代表的実施形態である。
他の実施形態において、核酸−タンパク質、タンパク質−基質またはタンパク質−タンパク質の相互作用成分ポリペプチドの生物学的活性を、標的化細胞の表現型の変化をモニタリングすることにより評価し得る。例えば、検出手段は、いくつかの形態で、相互作用成分または相互作用成分基質のレベルに依存する、転写調節エレメントを含むレポーター遺伝子構築物を含み得る。タンパク質相互作用成分は、レポーター遺伝子構築物のDNAエレメントに結合するドメインとの融合タンパク質として提供され得る。融合タンパク質の付加されたドメインは、そのDNA結合能力により、レポーター遺伝子の転写を増加するかまたは減少する、ドメインであり得る。どの場合であっても、融合タンパク質中のその存在により、タンパク質−タンパク質相互作用媒介シグナル伝達経路に応答性にする。従って、レポーター遺伝子の発現レベルは、タンパク質相互作用成分の発現レベルによって変動する。
レポーター遺伝子産物は、検出可能な標識(例えば、ルシフェラーゼ、β−ラクタマーゼまたはβ−ガラクトシダーゼ)であり、そしてインタクトな細胞中で産生される。標識は、細胞のその後の溶解物中で測定され得る。しかし、溶解工程は、好ましくは回避され、そして標識を測定するために細胞を溶解する工程を提供することは、代表的には、標識の検出が、全細胞において達成され得ない場合にのみ使用される。
さらに、本発明のアッセイの全細胞実施形態において、レポーター遺伝子構築物は、発現の際に選択マーカーを提供し得る。レポーター遺伝子は、検出可能な遺伝子産物(RNAでもタンパク質でもよい)を発現する任意の遺伝子を含む。好ましいレポーター遺伝子は、容易に検出可能なレポーター遺伝子である。レポーター遺伝子はまた、所望の転写調節配列を含むかまたは所望の特性を示す遺伝子と共に融合遺伝子の形態で構築物中に含まれ得る。例えば、レポーター遺伝子の産物は、抗生物質または他の薬物に対する耐性を付与する酵素、または宿主細胞における欠損を補う酵素(例えば、チミジンキナーゼまたはジヒドロ葉酸レダクターゼ)であり得る。例示のために、細菌トランスポゾン遺伝子Tn5 neoによりコードされるアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼは、細胞中に存在するタンパク質−タンパク質相互作用成分ポリペプチドのレベルに応答性のプロモーターエレメントの転写制御下に置かれ得る。本発明のアッセイのこのような実施形態は、細胞の増殖が相互作用の阻害の単純な尺度を提供し得る点において、ハイスループット分析に特に感受性である。
レポーター遺伝子としては、さらに以下が挙げられるが、これらに限定されない:CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)(AltonおよびVapnek(1979),Nature 282:864−869)ルシフェラーゼ、および他の酵素検出系(例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−ラクタマーゼ、(G.Zlokarnikら(1998)Science,279:84−88);ホタルルシフェラーゼ(deWetら(1987),Mol.Cell.Biol.7:725−737);細菌ルシフェラーゼ(EngebrechtおよびSilverman(1984),PNAS 1:4154−4158;Baldwinら(1984),Biochemistry 23:3663−3667);アルカリホスファターゼ(Tohら(1989)Eur.J.Biochem.182:231−238,Hallら(1983)J.Mol.Appl.Gen.2:101)、ヒト胎盤分泌アルカリホスファターゼ(CullenおよびMalim(1992)Methods in Enzymol.216:362−368))。
レポーター遺伝子からの転写量は、適切なものとして当業者に公知の任意の方法を用いて測定され得る。例えば、特異的mRNA発現はノーザンブロットを用いて検出され、あるいは特異的タンパク質産物は特徴的染色、ウェスタンブロット、または固有の活性によって同定され得る。
好ましい実施形態においては、レポーター遺伝子の産物は、その産物に関連する固有の活性によって検出される。例えば、レポーター遺伝子は、色、蛍光または発光に基づいた検出シグナルを、酵素活性によって引き起こす遺伝子産物をコードし得る。
次いで、レポーター遺伝子からの発現量は、試験化合物の非存在下での同一の細胞における発現量と比較され、または目的のタンパク質−タンパク質相互作用の構成成分を欠如する実質的に同一の細胞における転写量と比較されてもよい。
(5.治療剤の効力および最適化)
本発明は、肺癌のための薬物としての候補治療剤の効力を決定するための方法を提供する。1つの実施形態では、効力を決定するための方法は、a)被験体の肺腫瘍細胞に候補治療剤を接触させる工程;およびb)細胞の病原性を阻害する当該候補治療剤の能力を決定する工程を包含し得る。別の実施形態では、効力を決定するための方法は、a)候補治療剤を被験体の肺腫瘍細胞に接触させる工程;およびb)当該細胞の発現プロフィールを正常化する当該候補治療剤の能力を決定する工程を包含し得る。
さらに、候補治療剤は、肺癌を有する被験体の細胞または同様の細胞を試験化合物と共にインキュベートした後に、肺細胞新生物と関連した1つ以上の遺伝子の発現レベルを比較することによって効力についてスクリーニングされ得る。さらにより好ましい実施形態では、この遺伝子の発現レベルは、マイクロアレイを用いて、および試験化合物に応じた細胞の遺伝子発現プロフィールを、肺癌を有する被験体の細胞に対応する正常細胞の遺伝子発現プロフィール(「参照プロフィール」)と比較することにより、決定される。必要に応じて、この発現プロフィールはまた、肺癌を有する被験体由来の細胞の発現プロフィールと比較される。好ましくは、この比較は、適切なアルゴリズムを用いて、コンピューター読み取り可能な形態で保存されている参照遺伝子発現プロフィールを含むコンピューターシステムに、薬物で処置した細胞の遺伝子発現プロフィールデータを導入することによりなされる。試験化合物は、癌に特徴的である遺伝子の発現レベルを変化させ、それらを、罹患細胞と同じタイプの細胞中のレベルと同様のレベルにする化合物についてスクリーニングされる。このような化合物(すなわち、特定の肺癌に特徴的である本質的に全ての遺伝子の発現を正常化し得る化合物)は、候補治療剤である。
化合物の効力は、次いで、さらなるインビトロアッセイおよびインビボアッセイ、ならびに腫瘍異種移植片研究で試験され得る。試験化合物は試験動物に投与され得、そして腫瘍増殖の阻害がモニタリングされ得る。肺癌に特徴的である1つ以上の遺伝子の発現がまた、動物への試験化合物の投与前および後に測定され得る。これらの遺伝子の1つ以上の発現の正常化は、動物における肺癌の処置についての化合物の有効性を示す。
本発明の別の実施形態では、薬物は、合理的薬物設計によって開発される。すなわち、それは、コンピューター読み取り可能形態で保存され、そしてアルゴリズムによって分析される情報に基づいて設計または同定される。現在はより多くの発現プロフィールのデータベースが確立されており、多数のものが公的に利用可能である。罹患肺細胞からの遺伝子発現プロフィールの、その罹患肺細胞に対応する正常細胞の遺伝子発現プロフィールに対する変化と類似の様式で、肺癌に特徴的である遺伝子の少なくとも幾つかの発現に影響を与える薬物の記述についてこのようなデータベースをスクリーニングすることにより、罹患肺細胞における遺伝子発現を正常化する化合物が同定され得る。次いで、このような化合物の誘導体およびアナログは、化合物の活性を最適化するために合成され、上記のように試験および最適化され得る。
上記の方法によって同定された化合物は、本発明の範囲内である。また、このような化合物を含む組成物、特に、薬学的に許容可能なキャリア中に薬学的有効量の薬物を含む組成物が提供される。ある組成物は、肺癌を処置するための1つ以上の活性化合物を含む。
本発明はまた、関連の癌を処置するための治療剤を設計するための方法を提供する。関連の癌は、実際、たとえ肺癌の遺伝子発現プロフィールと同一でなくても、いくらかの相同性を示す遺伝子発現プロフィールを有し得、従って肺癌を処置するための薬物が、関連の疾患を処置するための化合物の研究を開始するために使用され得る。肺癌を処置するための化合物は、本明細書中でさらに記載されるように、誘導体化され、そして試験され得る
(6.治療剤の薬学的組成物)
本発明により提供された方法を用いて同定された治療剤は、薬学的組成物中に取り込まれ得る。例えば、薬学的組成物は、治療剤と、例えば、薬学的に許容可能なキャリア、ビヒクル、賦形剤、または希釈剤とを含み得る。本発明の化合物は、本明細書の記載に基づいて、当該技術分野で周知であるように、例えば、対象とする使用に応じて、任意の適切な手段で投与され得る。例えば、本発明の化合物が経口投与されるべきである場合、この化合物は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤またはシロップ剤として製剤化される。あるいは、本発明の処方物は、注射(静脈内、筋肉内または皮下)、点滴調製物または坐剤として、非経口で投与されてもよい。眼粘膜経路による適用のために、本発明の化合物は目薬または眼軟膏として製剤化されてもよい。これらの処方物は従来の手段によって調製されてもよく、所望であれば、この化合物は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、矯味剤、可溶化剤、懸濁助剤(suspension aid)、乳化剤または被覆剤等の、任意の従来の添加剤と混合されてもよい。
本発明の処方物において、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム等の湿潤剤、乳化剤および潤滑剤の他に、着色剤、放出剤、被覆剤、甘味剤、着香料および芳香剤、保存料および抗酸化剤が、製剤化された薬剤中に存在してもよい。
本発明の化合物は、経口、経鼻、局所(頬および舌下を含む)、直腸、膣、エーロゾルおよび/または非経口投与に適し得る。処方物は、便宜上、単位投薬形態で提供されてもよく、薬学技術分野で周知の任意の方法によって調製されてもよい。単一用量を製造するためにキャリア材料と組み合わせられ得る薬剤量は、処置される被験体および特定の投与態様により変化する。
これらの処方物を調製する方法は、キャリア、ビヒクル、または希釈剤、および必要に応じて1つ以上の副成分と本発明の化合物とを関連(association)させるステップを含む。一般に、薬剤を液体キャリアと、または微粉化した固体キャリアと、あるいは双方と均一かつ密接に関連させ、必要に応じて、次いで産物を成型することによって、処方物を調製する。
経口投与に適した処方物は、例えば、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(風味基剤を使用、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカント)、散剤、顆粒剤の形態で、あるいは水溶性または非水溶性液体中の溶液または懸濁液として、あるいは水中油型または油中水型液体エマルジョンとして、あるいはエリキシル剤またはシロップ剤として、あるいは香錠(不活性基剤を使用、ゼラチンおよびグリセリン、あるいはスクロースおよびアラビアゴム等)としてであってもよく、それぞれ活性成分としてその所定量の化合物を含む。また、本発明の化合物は、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与されてもよい。
経口投与のための固体投薬形態(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖剤、散剤、顆粒剤等)においては、治療剤は、例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム等の1つ以上の薬学的に許容可能なキャリアおよび/または以下のいずれか:(1)デンプン類、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸等の充填剤や増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアラビアゴム等の結合剤;(3)グリセロール等の保湿剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、じゃがいもデンプン、タピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩類および炭酸ナトリウム等の崩壊剤;(5)パラフィン等の難溶化剤(solution retarding agents);(6)四級アンモニウム化合物等の吸収促進剤;(7)例えば、アセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール等の湿潤剤;(8)カオリンおよびベントナイトクレイ等の吸着剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウムおよびその混合物等の滑沢剤;および(10)着色剤と混合される。また、カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、組成物は緩衝剤を含んでもよい。また、類似の型の固体組成物は、ラクトースや乳糖のような賦形剤、ならびに高分子量のポリエチレングリコール等の賦形剤を用いて、軟充填ゼラチンカプセル剤および硬充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として用いられてもよい。
錠剤は、必要に応じて1つ以上の副成分と共に圧縮または成形することによって作製されてもよい。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、グリコール酸デンプンナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて調製されてもよい。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた補充物またはその構成成分の混合物を、適切な機械で成形することにより作製されてもよい。錠剤および他の固体投薬形態(糖剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤等)は、必要に応じて、腸溶被覆および医薬的製剤化技術分野において周知の他の被覆のような、被覆および殻(shell)で分割(scored)または調製されてもよい。
経口投与のための液体投薬形態としては、薬学的に許容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。化合物の他に、液体投薬形態は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤等(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル類、およびその混合物等)の、当該技術分野で広く用いられる不活性希釈剤を含んでもよい。
懸濁液は、化合物の他に、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール類、ポリオキシエチレン配位ソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天−寒天(agar−agar)およびトラガカント、およびその混合物等の懸濁剤を含んでもよい。
直腸または膣投与のための処方物は、坐剤として提供されてもよく、これは、本発明の治療剤を、例えばカカオバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックスまたはサリチル酸塩を含む1つ以上の適切な非刺激性賦形剤またはキャリアと混合することによって調製されてもよく、室温で固体であるが体温で液体であるため、体腔中で溶解して活性剤を放出する。また、膣投与に適した処方物としては、適切なものとして当該技術分野で公知のこのようなキャリアを含むペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル、ペースト、泡またはスプレー剤処方物が挙げられる。
補充物または構成成分の経皮投与のための投薬形態としては、散剤、スプレー剤、軟膏、ペースト、クリーム剤、ローション剤、ゲル、溶液、パッチおよび吸入剤が挙げられる。活性構成成分は、無菌条件下で、薬学的に許容可能なキャリアと、および必要とされ得る任意の保存料、緩衝剤または噴霧剤と混合されてもよい。遷移金属錯体の経皮投与のために、錯体は親油性基および親水性基を含んで、所望の水溶解度および輸送特性を達成してもよい。
軟膏、ペースト、クリーム剤およびゲルは、補充物またはその構成成分の他に、動物性脂肪、植物性脂肪、油類、ワックス類、パラフィン類、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体類、ポリエチレングリコール類、シリコーン類、ベントナイト類、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはその混合物等の賦形剤を含んでもよい。
散剤およびスプレー剤は、補充物またはその構成成分の他に、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド散剤、またはこれらの物質の混合物等の賦形剤を含んでもよい。スプレー剤は、クロロフルオロ炭化水素類等の通常の噴霧剤、およびブタンやプロパン等の揮発性無置換炭化水素類をさらに含んでもよい。
あるいは、本発明の化合物は、エーロゾルによって投与されてもよい。これは、化合物を含む水性エーロゾル、リポソーム調製物または固体粒子を調製することによって達成される。非水性(例えば、フルオロカーボン噴霧剤)懸濁液を用いてもよい。音波ネブライザーは、薬剤の剪断への曝露を最小化し、これにより化合物の分解をもたらし得るため、用いられ得る。
通常、水性エーロゾルは、化合物の水性溶液または懸濁液を従来の薬学的に許容可能なキャリアおよび安定化剤と共に製剤化することによって作製される。キャリアおよび安定化剤は、特定の化合物の要件によって変化するが、代表的には、非イオン性界面活性剤(Tween(登録商標)類、Pluronic(登録商標)類またはポリエチレングリコール)、血清アルブミンのような無害性タンパク質、ソルビタンエステル類、オレイン酸、レシチン、グリシン等のアミノ酸、緩衝剤、塩類、糖類または糖アルコール類が挙げられる。一般に、エーロゾルは等張性溶液から調製される。
非経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な、無菌で等張性の水性または非水性の溶液、分散液、懸濁液またはエマルジョン、あるいは使用直前に無菌の注射可能な溶液または分散液に再構成され得る無菌の散剤と組み合わせて、1つ以上の補充物構成成分を含み、これは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、処方物を対象レシピエントの血液と等張にする溶質、懸濁剤または増粘剤を含んでもよい。
本発明の薬学的組成物において用いられ得る適切な水性または非水性キャリアの例としては、水、エタノール、ポリオール類(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびその適切な混合物、オリーブ油等の植物油、オレイン酸エチル等の注射可能な有機エステル類が挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチン等の被覆材料を使用すること、分散液の場合は必要な粒子サイズを維持すること、および界面活性剤を使用することにより維持され得る。
(7.薬学的組成物を用いる肺癌の処置方法)
本発明の薬学的組成物は、肺癌を処置するための種々の方法において使用され得る。1つの実施形態では、肺癌を有する被験体を処置するための方法は、当該被験体に治療有効量の薬学的組成物を投与し、本発明の標的遺伝子から選択される遺伝子または遺伝子群の発現を調節する工程を包含し得る。別の実施形態では、肺癌を有する被験体を処置するための方法は、当該被験体に治療有効量の薬学的組成物を投与して、本発明の標的遺伝子から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質の活性を阻害する工程を包含し得る。なお別の実施形態では、肺癌を有する被験体を処置するための方法は、当該被験体に治療有効量の1つまたは複数の薬学的組成物を投与して、被験体の肺細胞の発現プロフィールを正常化する工程を包含し得る。本発明の代替の実施形態では、肺癌を有する被験体を処置するための方法は、当該被験体に、そのレベルが肺細胞病原の間は不十分である、本発明のパネルによってコードされるタンパク質を投与する工程を包含し得る。
本発明の薬学的組成物は、例えば、癌化学防御療法において、肺癌を発症している被験体、またはその発症の危険性を有し得る被験体を処置するために、防御的に使用され得る。
当業者が理解するように、本発明の任意の薬剤(化合物、薬物など)の投薬量は、患者の症状、年齢および体重、処置または予防されるべき障害の性質および重篤度、投与経路、および補充物の形態によって変化する。対象の処方物はいずれも、任意の適切な用量で、例えば、単一用量または分割用量で、投与され得る。単独でまたは本発明の任意の他の化合物と共に、あるいは、処置されることが考えられる特定の障害、疾患、または状態に有用であるとみなされる任意の化合物と組み合わせた、本発明の化合物のための投薬量は、本明細書の記載に基づいて、および本明細書中に教示されるように、当業者に公知の技法で容易に確定され得る。また、本発明は、1つより多くの対象化合物の混合物、ならびに他の治療剤との混合物を提供する。
正確な投与時間および所定の患者に最も有効な治療をもたらす任意の特定の化合物の量は、特定の化合物の活性、薬物動態学およびバイオアベイラビリティ、患者の生理条件(年齢、性別、疾患の型および段階、全般的な身体状態、所定の用量に対する反応性および投薬形態等)、投与経路等によって決まる。本明細書で提供される指針は、処置を最適化する(例えば、最適な時間および/または投与量を確定する)ために用いられ得、これは、被検体のモニタリングならびに用量および/またはタイミングの調節から成る慣用的な実験を必要とするだけである。
被検体を治療する間、患者の健康は、24時間、所定の時間で1つ以上の関連指標を測定することによってモニタリングされ得る。投与および処方物の補充物、量、時間を含む治療は、このようなモニタリングの結果に従って最適化され得る。同一のパラメータを測定することによって改善の程度を確定するために、患者を定期的に再評価してもよく、初めのこのような再評価は、代表的には、治療開始から4週間目の最後に行い、その後の再評価は治療の間4〜8週毎、その後3ヶ月毎に行う。治療は数ヶ月間あるいは数年間継続してもよく、最短でも1ヶ月が、ヒトに対する治療の代表的な長さである。投与される薬剤の量および場合によっては投与時間の調節は、これらの再評価に基づいて行われ得る。
処置は、最適用量の化合物より少ない、低用量で開始され得る。その後、最適な治療効果が得られるまで少量ずつ用量を増加させ得る。
本発明の幾つかの化合物あるいは他の化学療法剤を組み合わせて使用することにより、異なる構成成分の効果の発生および継続が喜ばしいものであり得るため、いずれの各構成成分に必要な投薬量も減少させることができる。このような組み合わせ治療においては、異なる活性剤が、共にまたは別々に、かつ同時にまたはその日の異なる時間に送達され得る。
(8.肺癌の処置のためのキット)
本発明は、肺癌を処置するためのキットを提供する。例えば、キットは、肺癌に特徴的である1つ以上の遺伝子に対応する1つ以上の核酸をまた含み得る(例えば、その癌を有する患者を処置するにおいて使用するため)。この核酸は、プラスミドまたはベクター(例えば、ウイルスベクター)中に含まれ得る。他のキットは、肺癌に特徴的である遺伝子によってコードされたポリペプチド、またはポリペプチドに対する抗体を含む。なお他のキットは、肺癌に特徴的である遺伝子のアゴニストまたはアンタゴニストとして本明細書中で同定された化合物を含む。この組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤を含む薬学的組成物であり得る。
例えば、キットはまた、例えば、を処置する用途のためにTrkBに対応する1以上の核酸を含み得る。これらの核酸は、プラスミドまたはベクター(例えば、ウイルスベクター)に含まれ得る。他のキットは、TrkBによってコードされたポリペプチドまたはポリペプチドに対する抗体を備える。なおさらなるキットは、TrkBのアゴニストまたはアンタゴニストとして本明細書中で同定される化合物を含む。別の例において、キットはまた、癌を有する患者を処置する用途のためにAur2に対応する1以上の核酸を含む。この核酸は、プラスミドまたはベクター(例えば、ウイルスベクター)を含み得る。他のキットは、Aur2によってコードされたポリペプチドまたはポリペプチドに対する抗体を備える。なおさらなるキットは、Aur2のアゴニストまたはアンタゴニストとして本明細書中で同定される化合物を含む。
キットの構成要素は、上述の方法の手動による実施または部分的なもしくは全体の自動化による実施のいずれかのために、パッケージにされ得る。キットに関連する他の実施形態において、本発明は、本発明の組成物を含むキットを備える。任意の上述のキットは、必要に応じて、それらの使用のための指示書を備え得る。このようなキットは、種々の用途(例えば、画像化、診断および治療を含む)を有し得る。
(9.本発明の標的由来のプローブを含む組成物)
本発明は、本発明のパネルを含む、遺伝子の配列由来のプローブまたはそれにコードされるタンパク質から成る組成物を提供する。これらの組成物は、本明細書において考察されたような診断的適用において使用され得る。本発明による使用のために好ましい組成物は、その発現が図2のパネルから選択される肺癌に特徴的である、1以上の遺伝子のプローブを含む。特定の実施形態において、この組成物のプローブは、その発現が図3に列挙される腺癌に特徴的である標的遺伝子から選択される核酸配列由来である。さらに他の実施形態においては、組成物のプローブは、その発現が図4に列挙される扁平上皮細胞癌腫に特徴的ある標的遺伝子から選択される核酸配列由来である。その組成物は、新形成に関連する少なくとも10個、好ましくは少なくとも20個、少なくとも50個、少なくとも100個または少なくとも1000個の遺伝子に対応するプローブを含み得る。組成物は、図2、図3または図4に列挙された各遺伝子あるいは図2、図3、または図4における遺伝子の部分集合に対応するプローブを含み得、これらの遺伝子は、肺細胞の新生物形成の間にアップレギュレートまたはダウンレギュレートされる。特定の実施形態において、その組成物は、TrkBの核酸配列に由来するプローブを含む。他の実施形態において、その組成物は、Aur2の核酸配列に由来するプローブを含む。
本発明の一実施形態においては、組成物はマイクロアレイである。マイクロアレイ上の各遺伝子に対応する1つまたは複数のプローブが存在し得る。例えば、マイクロアレイは、1つの遺伝子に対応する2〜20個、好ましくは約5〜10個のプローブを含んでもよい。それらのプローブは、肺癌の病理に関連する遺伝子の全長RNA配列またはその相補体に対応しても、あるいはその一部と対応してもよく、この部分は特異的ハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な長さである。このようなプローブは、約50ヌクレオチド〜約100、200、500または1000ヌクレオチド、あるいは1000を超えるヌクレオチドを含み得る。本明細書でさらに記載されるように、マイクロアレイはオリゴヌクレオチドプローブを含んでもよく、これは約10〜50ヌクレオチド、好ましくは約15〜30ヌクレオチド、さらに好ましくは20〜25ヌクレオチドから成る。プローブは、一本鎖であることが好ましい。プローブは、所望のレベルの配列特異的ハイブリダイゼーション(以下参照)を提供するのに十分な、その標的に対する相補性を有する。
代表的には、本発明において使用されるアレイは、任意の適切な部位密度が本発明に含まれるが、1cmあたり異なるプローブが100個を超える部位密度を有する。好ましくは、アレイは、500/cmを超える、より好ましくは約1000/cmを超える、最も好ましくは10,000/cmを超える部位密度を有する。好ましくは、アレイは単一基板上に100個を超える異なるプローブを有し、より好ましくは約1000個を超える異なるプローブ、さらにより好ましくは約10,000個を超える異なるプローブ、最も好ましくは100,000個を超える異なるプローブを単一基板上に有する。
マイクロアレイは、以下に記載するような当該技術分野で公知の方法で調製されてもよく、企業(例えば、Affymetrix)により受託製作されてもよい。
一般に、2つの型のマイクロアレイが用いられ得る。これら2つの型は、「合成」および「送達」と称される。合成型においては、ヌクレオチドから核酸をインサイチュで合成することによるステップワイズ方式でマイクロアレイを調製する。合成の各ラウンドでは、所望の長さが達成されるまでヌクレオチドを成長鎖に付加する。送達型のマイクロアレイにおいては、様々な送達技法を用いて、予め調製された核酸を既知の場所に付着させる。多数の論文(例えば、Shenaら(1998)Tibtech 16:301;Dugganら(1999)Nat.Genet.21:10;Bowtellら(1999)Nat.Genet.21:25)において異なるマイクロアレイ技法が説明されている。
1つの新規合成技法がAffymetrixにより開発され、これはフォトリソグラフィ技法をDNA合成化学と組み合わせており、高密度のオリゴヌクレオチドマイクロアレイ製造を可能にする。このようなチップは、約1.6cmの面積中に400,000群までのオリゴヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドを3’末端で固定することにより、ハイブリダイゼーション用の一本鎖核酸の有効性を最大化する。一般に、このようなチップは「GeneChips(登録商標)」と称されるが、特定の遺伝子の幾つかのオリゴヌクレオチド(例えば15〜20、例えば16オリゴヌクレオチド)を含む。特注したマイクロアレイ(例えば、肺癌に関与する遺伝子に対するマイクロアレイ)が市販されており、Affymetrixのような供給業者から購入され得る。
また、マイクロアレイは、機械的マイクロスポット(例えば、Synteni(Fremont,CA)で市販されるもの)によって調製されてもよい。これらの方法に従って、少量の核酸を固体表面にプリントする。Synteniで調製されたマイクロスポットアレイは、約3.6cmの面積中に10,000群ものcDNAを含む。
マイクロアレイ技法の第三の群は、「ドロップオンデマンド」輸送アプローチにあり、このうちの最先端はインクジェット技法であり、これは核酸を小型ノズルから固体表面へ移送するための圧電および他の形態の推進力を利用するものである。インクジェット技法は、Incyte Pharmaceuticals(Palo Alto,CA)およびProtogene(Palo Alto,CA)等の幾つかの拠点で開発されている。この技法により1cmあたり10,000スポットという密度が得られる。Hughesら(2001)Nat.Biotechn.19:342もまた参照。
アレイは、好ましくは、対照核酸と参照核酸を含む。対照核酸は、ハイブリダイゼーションが有効であることを示唆する役目をする核酸である。例えば、Affymetrixの全発現アレイは、幾つかの原核生物遺伝子用のプローブの組を含む(例えば、大腸菌のビオチン合成からのbioB、bioCおよびbioD、ならびにP1バクテリオファージからのcre)。これらのアレイに対するハイブリダイゼーションは、これらの遺伝子またはその一部の混合物(例えば、その目的でAffymetrixにより提供されるミックス(Part Number 900299))の存在下で行われることにより、ハイブリダイゼーションが有効であったことが確認される。また、標的核酸と共に含まれる対照核酸は、インビトロ転写によりcDNAクローンから合成されたmRNAであってもよい。アレイに含まれ得る他の対照遺伝子は、dap、lys、phe、thrおよびtrp等のポリA対照である(これらはAffymetrixのGeneChips(登録商標)に含まれる)。
参照核酸は、ある実験から別の実験までで得られた結果を正常化し、定量レベルで複数の実験を比較することを可能にする。典型的な参照核酸としては、既知の発現レベルのハウスキーピング遺伝子(例えば、GAPDH、ヘキソキナーゼおよびアクチン)が挙げられる。
また、ミスマッチ対照は、標的遺伝子に対するプローブのため、発現レベル対照のため、または正常化対照のために提供され得る。ミスマッチ対照は、1つまたは複数のミスマッチ塩基の存在以外は対応する試験プローブまたは対照プローブと同一のオリゴヌクレオチドプローブまたは他の核酸プローブである。
また、アレイは、遺伝子の1より多い対立遺伝子にハイブリダイズするプローブを含み得る。例えばアレイは、対立遺伝子1を認識するあるプローブと、特定の遺伝子の対立遺伝子2を認識する別のプローブを含んでもよい。
マイクロアレイは任意の様式(例えば、オリゴヌクレオチドのアレイは、固体支持体上に合成され得る)で調製され得る。例示的な固体支持体としては、ガラス、プラスチック、ポリマー、金属、半金属、セラミックス、有機物等が挙げられる。チップマスキング技法および光保護化学を用いて、核酸プローブの規則的なアレイを作製することが可能である。これらのアレイは、例えば「DNAチップ」として、あるいは非常に大規模な固定化ポリマーアレイ(「VLSIPSTM」アレイ)として知られており、約1cm〜数cmの面積を有する基板上に何百万もの規定のプローブ領域を含むことにより、数個〜何百万個のプローブの組を組み込み得る(例えば、米国特許第5,631,734号参照)。
標的核酸を検出する固相核酸アレイの構成は、文献に詳細に説明されている。Foderら、(1991)Science,251:767−777;Sheldonら(1993)Clinical Chemistry 39(4):718−719;Kozalら(1996)Nature Medicine 2(7):753−759およびHubbell、米国特許第5,571,639号;PinkelらPCT/US95/16155(WO 96/17958号);米国特許第5,677,195号;5,624,711号;5,599,695号;5,451,683号;5,424,186号;5,412,087号;5,384,261号;5,252,743号および5,143,854号;PCT特許公開 WO 92/10092号および93/09668号;およびPCT WO 97/10365号参照。すなわち、組み合わせストラテジーにより、最小数の合成ステップを用いて多数のプローブを含むアレイを合成することができる。例えば、たった32回の化学合成ステップを用いて、可能なDNAの8マーのオリゴヌクレオチド全て(48、すなわち65,536個の可能な組み合わせ)を合成し、付着することが可能である。一般に、VLSIPSTM手順は、たった4回の合成ステップを用いて、アレイ上の4個の異なるオリゴヌクレオチドプローブを製造する方法を提供する(例えば、米国特許第5,631,734号;5,143,854号およびPCT特許公開番号WO 90/15070号;WO 95/11995号およびWO 92/10092号参照)。
ガラス表面上のオリゴヌクレオチドアレイの光特異的(light−directed)組み合わせ合成は、コンピュータチップ業界のフォトレジスト技法と類似の自動ホスホラミダイト化学およびチップマスキング技法を用いて行われてもよい。代表的には、ガラス表面は、官能基(例えば、光不安定(photolabile)保護基によりブロックされた水酸基またはアミン基)を含むシラン試薬を用いて誘導体化される。フォトリソグラフィマスクによる光分解を選択的に用いて、生じる5’光保護ヌクレオシドホスホラミダイトとその後反応する用意のある官能基を感光させる。ホスホラミダイトは、光を当てられた部位とのみ反応する(したがって、光不安定ブロック基を除去することによって感光される)。したがって、ホスホラミダイトは、前のステップから選択的に感光された領域にのみ付加される。これらのステップは、所望の配列のアレイが固体表面上に合成されるまで繰り返される。
合成サイクル数を減少させるためのマスクの設計用アルゴリズムは、Hubbel等によって、米国特許第5,571,639号および米国特許第5,593,839号に記載されている。コンピューターシステムは、基板上の核酸プローブを選択し、例えば、米国特許第5,571,639号に記載されているようなアレイのレイアウトを設計するのに用いられ得る。
高密度アレイを合成する別の方法は、米国特許第6,083,697号に記載されている。この方法は、ポリマー配列の合成を補助する照射によって開始する触媒システムを用いた、新規の化学増幅プロセスを利用する。本発明の方法は、ポリマー配列の形成を促進する様式で合成中間体を化学的に変化させる触媒として作用する感光性化合物を使用することを含む。このような感光性化合物としては、一般に照射活性触媒(RAC)、より具体的には光活性触媒(PAC)と称されるものが挙げられる。RACは、それ自体が合成中間体を化学的に変化させ得るか、あるいは合成中間体をその後のさらなる合成中間体または他の化合物と化学的に結合することができる方法で合成中間体を化学的に変化させる自己触媒化合物を活性化し得る。
アレイは、機械的に抑制された流路によって支持体の細胞にモノマーを輸送することによって、組み合わせ方式でも合成され得る。Winklerら、ヨーロッパ特許第624,059号参照。アレイは、インクジェットプリンタを用いて、支持体上にモノマー試薬をスポットすることによっても合成され得る。同書およびPeaseら、ヨーロッパ特許第728,520号参照。
cDNAプローブは、当該技術分野で既知の、本明細書でさらに説明される方法(例えば、配列特異的ポリマーを用いたRNAの逆転写PCR(RT−PCR))に従って調製され得る。オリゴヌクレオチドプローブは、化学的に合成されてもよい。遺伝子またはプローブが作製されるcDNAの配列は、例えば、GenBank、他の公共のデータベースまたは出版物から得られ得る。
核酸プローブは、結合化学物質(linking chemistry)と適合性の活性化水酸基を有する限り、天然核酸、例えばヌクレオチドアナログから構成される化学的に修飾された核酸であってもよい。保護基自体は光不安定性であり得る。あるいは、保護基、特定の化学的条件(例えば、酸性)下で不安定であり得る。この例においては、固体支持体表面は、光に露光すると酸を生成する組成物を含み得る。したがって、基板のある領域を光へ露光することにより、露光領域の中の保護基を除去する酸がその領域に生成される。また、合成方法は、3’保護5’−0−ホスホラミダイト活性化デオキシヌクレオシドを使用してもよい。この場合、オリゴヌクレオチドは5’から3’方向に合成され、これにより遊離の5’末端をもたらす。
一実施形態においては、アレイのオリゴヌクレオチドは、何千ものオリゴヌクレオチドを作製することが可能な96ウェル自動複合オリゴヌクレオチド合成器(A.M.O.S.)を用いて合成される(Lashkariら(1995)PNAS 93:7912)。
オリゴヌクレオチドの設計は、意図する用途に影響されることが理解される。例えば、全プローブが類似の融解温度を有することが望ましくあり得る。従って、アレイ上の全プローブの融解温度が極めて類似するように、プローブの長さを調整する(異なるプローブの異なる長さは、異なるプローブが異なるGC含量を有する特定のT(m)に達することが必要とされ得ることが理解される)。融解温度がプローブ設計における第一の考慮事項であるが、必要に応じて、さらにプローブ構成を調整するために他の因子が用いられる(プライマーの自己相補性に対する選択等)。
アレイ(例えば、マイクロアレイ)は、生産またはその後使用するための購入の後に便利に保存され得る。適切な条件下で、対象のアレイは、少なくとも約6ヶ月間保存可能であり、1年以上までの間保存され得る。一般に、アレイは、約−20℃〜室温の温度で保存され、この場合、アレイは、好ましくは、プラスチック容器(例えば、バッグ)中に密閉され、かつ遮光される。
(9.1 標的核酸のマイクロアレイへのハイブリダイゼーション)
次のステップは、プローブとアレイの標的との間の結合にとって十分な条件下で、標識核酸をアレイと接触させることである。好ましい実施形態においては、マイクロアレイ上で標識核酸とプローブの間にハイブリダイゼーションが起こるのに十分な条件下で、プローブをアレイと接触させるが、このハイブリダイゼーション条件は、所望のレベルのハイブリダイゼーション特異性を提供するために選択される。
アレイとプローブの接触は、プローブを含む水性媒体とアレイを接触させること含む。接触は、アレイの特異的構成に依存して、様々な異なる方法で達成され得る。例えば、アレイが「板様」硬質基板の表面上にサイズ分割標的パターンを含むだけである場合、プローブ溶液を含む容器(例えば、ポリエチレンバッグ等)にアレイを単に収容することによって接触が達成され得る。2つの硬質板によって結合される分離媒体にアレイが捕捉される他の実施形態において、電気泳動手段を介してプローブを輸送する機会がある。あるいは、アレイが流体の入口ポートおよび出口ポートを有するバイオチップデバイスに組み込まれる場合、プローブ溶液は、標的分子のパターンが入口ポートを通ってチャンバに導入され得るが、この場合、流体の導入は手動または自動デバイスで行われ得る。マルチウェルの実施形態においては、プローブ溶液は、手動(例えば、ピペットで)または自動流体操作デバイスのいずれかで、アレイを含む反応チャンバに導入される。
プローブ溶液と標的との接触は、プローブと標的の間の結合が起こるのに十分な時間維持される。プローブと標的の性質に依存して、一般に、約10分〜24時間、通常は約30分〜12時間、さらに通常は、約1時間〜6時間の間、接触が維持される。
市販のマイクロアレイを用いる場合、適切なハイブリダイゼーション条件は製造業者によって提供される。市販でないマイクロアレイを用いる場合、適切なハイブリダイゼーション条件は以下のハイブリダイゼーション指針、およびマイクロアレイの使用に関する多数の出版論文に記載されるハイブリダイゼーション条件に基づいて決定され得る。
核酸ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、プローブが特定のアレイ部位に「特異的に結合」または「特異的にハイブリダイズ」するように、すなわち、プローブが相補的核酸配列を有する配列アレイ部位にハイブリダイズ、二重鎖化(duplex)または結合するが、非相補的核酸配列を有する部位にはハイブリダイズしないように最適に選択される。本明細書において用いられる場合、短い方のポリヌクレオチドが25塩基以下である場合に、標準的な塩基対合規則を用いたミスマッチが存在しない場合、あるいは短い方のポリヌクレオチドが25塩基より長い場合に、わずか5%のミスマッチしか存在しない場合、あるポリヌクレオチド配列はもう一方のポリヌクレオチド配列と相補的であるとみなされる。好ましくは、ポリヌクレオチドは完全に相補的(ミスマッチなし)である。特異的ハイブリダイゼーション条件は、陰性対照を含むハイブリダイゼーションアッセイを行うことによって特異的ハイブリダイゼーションをもたらすことが容易に実証され得る。
本質的に特異的なハイブリダイゼーションを可能にする条件で、ハイブリダイゼーションは行われる。プローブの長さおよびGC含量によってハイブリッドのT(m)、つまりテンプレート核酸に対するプローブの特異的ハイブリダイゼーションを得るのに必要なハイブリダイゼーション条件が決定される。これらの因子は当業者には既知であり、またアッセイにおいて試験され得る。核酸のハイブリダイゼーションに対する詳細なガイドは、Tijssen(1993)「Laboratory Techniques in biochemistry and molecular biology−hybridization with nucleic acid probes」,Elsevier,New Yorkに見られる。一般に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度およびpHにおける特異的配列のための熱融点(T(m))よりも約5℃低いように選択される。このT(m)は、標的配列の50%が完全に対合したプローブとハイブリダイズする(所定のイオン強度およびpH下での)温度である。高ストリンジェント条件は、特定のプローブのためのT(m)点と等しいように選択される。「Td」という用語は、しばしば、プローブの少なくとも半分が完全に対合した標的核酸から解離する温度として定義するのに使用される。いずれの場合においても、T(m)またはTdを概算するための様々な概算技法が利用可能であり、一般に、上記Tijssen(前出)に記載されている。通常、二重鎖におけるG−C塩基対は、理論的最大である約80〜100℃まで、Tmに対して約3℃寄与すると概算される一方、A−T塩基対はT(m)に対して約2℃寄与すると概算される。しかしながら、G−Cスタッキング相互作用、溶媒効果、所望のアッセイ温度等を考慮したT(m)およびTdのより高度なモデルが利用可能であり、適切である。例えば、プローブは、以下の式:Td=(((((3×#GC)+(2×#AT))×37)−562)/#bp)−5(式中、#GC、#ATおよび#bpはそれぞれ、グアニンーシトシン塩基対数、アデニン−チミジン塩基対数および全塩基対数であり、テンプレートDNAに対するプローブのアニーリングに関与する)を用いて、約60℃の解離温度(Td)を有するように設計され得る。
完全に対合した二重鎖とミスマッチした二重鎖の間の安定性の差異は、特にミスマッチが1つの塩基のみである場合は非常に小さく、2つのT(m)の間の差異は0.5度もの小さな差異に相当し得る。Tibanyenda,N.ら、Eur.J.Biochem.139:19(1984)およびEbel,S.ら、Biochem.31:12083(1992)参照。さらに重要なことに、相同領域の長さが増加するにつれて、1つの塩基のミスマッチの二重鎖安定性全体への影響が減少することが理解される。
核酸ハイブリダイゼーションの理論と実践は、例えば、S.Agrawal(編)Methods in Molecular Biology,volume 20;およびTijssen(1993)「核酸プローブを用いた生化学および分子生物学ハイブリダイゼーションにおける実験技法(Laboratory Techniques in biochemistry and molecular biology−hybridization with nucleic acid probes)に記載されており、例えば、第I部第2章「ハイブリダイゼーション原理の概要および核酸プローブアッセイのストラテジー(「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays」)、Elsevier,New Yorkは、核酸ハイブリダイゼーションに対する基本的なガイドを提供する。
特定のマイクロアレイは、「活性な」性質であり、すなわち、各特異的微小位置(microlocation)で起こるハイブリダイゼーション反応(または任意の他のアフィニティ反応)の全局面にわたり、独立した電子制御を提供する。これらのデバイスは、電子的ストリンジェンシー制御(electronic stringency control)(ESC)と呼ばれる、ハイブリダイゼーション反応に影響を与えるための新規メカニズムを提供する。本発明の活性デバイスは、各微小位置で「異なるストリンジェンシー条件」を電子的にもたらし得る。従って、全ハイブリダイゼーションは、最適には、同一の大量溶液中で行われ得る。これらのアレイは、例えば、Sosnowski等による米国特許第6,051,380号に記載されている。
好ましい実施形態において、バックグラウンドシグナルを、非特異的結合を減少させるためにハイブリダイゼーションの間に洗浄剤(例えば、C−TAB)またはブロッキング試薬(例えば、精子DNA、cot−1 DNA等)を使用することによって減少させる。特に好ましい実施形態において、約0.5mg/mlのDNA(例えば、ニシン精子DNA)の存在下でハイブリダイゼーションを行う。ハイブリダイゼーションにおけるブロッキング剤の使用は、当業者には周知である(例えば、生化学および分子生物学における実験技法第24巻の第8章:核酸プローブを用いたハイブリダイゼーション(Chapter 8 in Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology.Vol.24:Hybridization With Nucleic Acid Probes)、P.Tijssen編、Elsevier N.Y.,(1993)参照)。
この方法は、標的核酸に用いた特定の標識に応じて、検出工程前に非結合標識の除去工程をさらに含んでも含まなくてもよい。例えば、あるアッセイ形式(例えば、「均一アッセイ形式」)において、検出可能なシグナルは、標的がプローブへ特異的に結合する際にのみ生成される。従って、これらのアッセイ形式において、ハイブリダイゼーションパターンは、非結合標識の除去工程なしに検出され得る。他の実施形態において、標的がそのプローブと特異的に結合しようとしまいと、用いられる標識はシグナルを生成する。このような実施形態において、非結合標識標的は支持体表面から除去される。非結合標識標的を除去する一手段は、周知の洗浄技法を行うことである。様々な洗浄溶液、および非結合標識の除去におけるその使用のためのプロトコルが、当業者には既知であり、用いられ得る。あるいは、非結合標識標的は電気泳動手段によって除去され得る。
全標的配列が同一の標識を用いて検出される場合、異なるアレイが各生理的供給源(physiological source)に対して用いられる(この場合、異なるとは、同一のアレイを別の機会に用いることを含み得る)。上記の方法は、異なる標的集団(アッセイされる、異なる各生理的供給源を示す)について異なる区別可能な標識を用いることにより、複合解析を供給するように変えられてもよい。この複合方法により、同一のアレイが異なる標的集団のそれぞれに対して同時に用いられる。
別の実施形態において、ハイブリダイゼーションは、電荷結合デバイス画像化カメラを用いて、リアルタイムでモニタリングされる(Guschinら(1997)Anal.Biochem.250:203)。光ファイバーバンドル上のアレイの合成は、容易かつ高感度な読み取りを可能にする(Healyら(1997)Anal.Biochem.251:270)。別の実施形態において、リアルタイムのハイブリダイゼーション検出は、表面に結合した発蛍光団のみを励起する消滅波効果を用いて洗浄をせずにマイクロアレイ上で行われる(例えば、Stimpsonら(1995)PNAS 92:6379参照)。
(9.2.ハイブリダイゼーションの検出および結果解析)
上記の工程は、アレイ表面上の標識化された標的核酸のハイブリダイゼーションパターンの作製をもたらす。標識化された核酸の得られるハイブリダイゼーションパターンは、様々な方法で可視化または検出され得、検出の特定の方法が標的核酸の特定の標識に基づいて選択され、代表的な検出手段はとしては、シンチレーション計数、オートラジオグラフィ、蛍光測定、比色測定、発光測定、光散乱等が挙げられる。
検出の一方法としては、アレイスキャナが挙げられ、これは、Affymetrixから市販されている(例えば、417TMArrayer、418TMArray ScannerまたはAgilent GeneArrayTMScanner)。このスキャナーは、Windows(登録商標)インターフェースおよび使いやすいソフトウェアツールを備えたシステムコンピュータにより制御される。アウトプットは、様々なソフトウェアアプリケーションに直接インポートされるか、またはそれによって直接読み込まれ得る16ビットtifファイルである。好ましいスキャンデバイスは、米国特許第5,143,854号および第5,424,186号に記載されている。
蛍光標識プローブを用いる場合、転写物アレイの各部位における蛍光発光は、好ましくは、走査型共焦点レーザ顕微鏡によって検出され得る。一実施形態において、適切な励起ラインを用いて、使用した2つの発蛍光団のそれぞれに対して別々にスキャンを行う。あるいは、2つの発蛍光団に特異的な波長における同時の標本照射を可能にするレーザを用いてもよく、2つの発蛍光団からの発光は同時に解析され得る(Shalonら、1996、2色蛍光プローブハイブリダイゼーションを用いた複合体DNAサンプル解析用DNAマイクロアレイシステム(A DNA microarray system for analyzing complex DNA samples using two−color fluorescent probe hybridization)、Genome Research 6:639−645(あらゆる目的のために参照によりその全体を本明細書に援用する)参照)。好ましい実施形態において、アレイは、コンピューター制御のX−Yステージおよび顕微鏡対物レンズを有するレーザ蛍光スキャナーによりスキャンされる。2つの発蛍光団の連続的励起は、マルチラインの混合ガスレーザで達成され得、放出された光は波長毎に分割され、2つの光電子増倍管を用いて検出される。蛍光レーザスキャンデバイスは、Schenaら、1996,Genome Res.6:639−645および本明細書に引用した他の参照に記載されている。あるいは、Ferguson等により1996,Nature Biotech.14:1681−1684に記載の光ファイバーバンドルは、mRNA存在量レベルをモニタリングするのに用いられ得る。
蛍光標的核酸が用いられる一実施形態において、プローブアレイの領域にハイブリダイズされた蛍光標識標的を励起させるレーザを用いてアレイをスキャンしてもよく、これはその後、アレイの広範領域のスキャンのために電荷結合デバイス(「CCD」)を用いて画像化され得る。あるいは、アレイからデータを収集するための、別の特に有用な方法は、容易に自動化されたプロセスの容易さおよび速度を高解像度検出と組み合わせるレーザ共焦点顕微鏡の使用による。特に。
データ収集操作に続いて、データは、代表的には、データ解析操作に報告される。サンプル解析操作を促進するために、読み取り装置によってデバイスから得られたデータは、代表的に、デジタルコンピュータを用いて解析される。代表的に、デバイスからのデータの受け取りおよび保存、ならびに収集されたデータの解析および報告のためにコンピューターを適宜プログラムする(例えば、バックグラウンドの減算、デコンボルーションマルチカラー画像、アーティファクトのフラッギングまたは除去、制御が適切に行われたことの立証、シグナルの標準化、ハイブリダイズ標的の量を決定するための蛍光データの解釈、バックグラウンドおよび一塩基ミスマッチハイブリダイゼーションの標準化等)。好ましい実施形態において、システムは、特異的パターン、例えば、差次的遺伝子発現(例えば、赤血球生成障害を有する被験体の細胞の発現プロフィールと被験体の対応する健常細胞の発現プロフィールとの間)に関連するパターンを検索することを可能にする検索機能を含む。システムは、好ましくは、2つより多くのサンプル間の遺伝子発現パターンを検索することを可能にする。
データを解析するための望ましいシステムは、遺伝子発現データの可視化、操作および解析のための、一般的で柔軟なシステムである。このようなシステムは、好ましくは、発現データによるブラウジングおよびナビゲーティングのためのグラフィカルユーザインターフェースを含み、ユーザが目的の遺伝子を選択的に見て強調表示することを可能にする。このシステムはまた、好ましくは、機能のソート機能および検索機能を含み、そして好ましくは、PC、MacまたはUnix(登録商標)ワークステーションを所有する一般的なユーザが利用可能である。また、システムに含まれるのが好ましいのは、既存のものより質的に効率的なクラスター化アルゴリズムである。このようなアルゴリズムの精度は、好ましくは、クラスター化の詳細レベルが所望されるように系統的に洗練され得るように、階層的に調節可能である。
様々なアルゴリズムが、遺伝子発現プロフィールデータ(例えば、行う比較の型)を解析するために利用可能である。特定の実施形態において、共調節される遺伝子を集団化することが好ましい。このことにより、多数のプロフィールの比較が可能になる。このような遺伝子群を同定するための好ましい実施形態は、クラスター化アルゴリズムを含む(クラスター化アルゴリズムの総説については、例えば、Fukunaga,1990,Statistical Pattern Recognition,第2版,Academic Press,San Diego;Everitt,1974,Cluster Analysis,London:Heinemann Educ.Books;Hartigan,1975,Clustering Algorithms,New York:Wiley;SneathおよびSokal,1973,Numerical Taxonomy,Freeman;Anderberg,1973,Cluster Analysis for Applications,Academic Press:New Yorkを参照のこと)。
クラスター化解析は、何千もの時間曲線の複雑なパターンを、代表的クラスターのより小さな組に減少させるのを助ける際に有用である。いくつかのシステムは、配列に基づいて遺伝子のクラスター化および観察を可能にする。他のシステムは、遺伝子の他の特徴(例えば、その発現レベル)に基づいたクラスター化を可能にする(例えば、米国特許第6,203,987号参照)。他のシステムは、時間曲線のクラスター化を可能にする(例えば、米国特許第6,263,287号参照)。クラスター解析は、hclustルーチンを用いて行われてもよい(例えば、ソフトウェアパッケージS−Plus(MathSoft,Inc.,Cambridge,MA.)からの「hclust」ルーチン参照)。
いくつかの特定の実施形態において、例えば米国特許第6,203,987号に記載されるように、遺伝子はその転写の共変動(おそらく、共調節)の程度によって集団化される。共変動する転写物を有する遺伝子群は、「遺伝子組(geneset)」と称される。クラスター解析または他の統計的分類方法は、例えば、疾患または薬物によって引き起こされる、様々な摂動に応答する遺伝子転写の共変動を解析するのに用いられ得る。1つの特定の実施形態において、クラスター化アルゴリズムは、示される共調節の量によって遺伝子を指す「類似ツリー」または「クラスター化ツリー」を構築するために発現プロフィールに適用される。遺伝子組は、分岐階層の異なるレベルにクラスター化ツリーをまたがせる(cut across)ことによって、クラスター化ツリーの分枝上に規定される。
いくつかの実施形態において、遺伝子発現プロフィールは、射影された(projected)遺伝子発現プロフィールに変換される。この射影された遺伝子発現プロフィールは、遺伝子組発現値の集合である。いくつかの実施形態において、各遺伝子組の中の遺伝子の発現レベルを平均化することによって、この変換を達成する。いくつかの実施形態において、他の線形射影プロセスを用いてもよい。射影操作は、より小型で生物学的により重要な座標の組上のプロフィールを表し、各細胞成分の組にわたり測定誤差を平均化し、プロフィールの生物学的解釈を補助することによって、この測定誤差の影響を減少させる。
(10.肺癌についての診断および予後診断)
本発明は、肺癌を診断する方法を提供する。本発明はまた、肺癌の進行または肺癌に対して向けられた治療の結果を評価するための予後方法を提供する。本発明は、肺細胞の新形成に関与するような遺伝子発現プロファイリングによって同定される遺伝子のパネルを提供する。肺細胞新形成においてアップレギュレートまたはダウンレギュレートされる遺伝子は、本明細書中で、「肺細胞新形成に関与する遺伝子」と呼ばれる。従って、このパネル中の遺伝子の発現プロフィールは、肺癌について、診断的におよび予後的に使用され得る。代表的な診断ツールおよびアッセイは、以下の(i)〜(iv)に記載され、これらのアッセイを行うための例示的な方法が続く。このアッセイは、必要に応じて本発明のマイクロアレイを利用してもよい。
(i)一実施形態において、本発明は、被験体が肺癌を有するかまたは発生する可能性を有するか否かを決定する方法を提供し、この方法は、被験体の細胞における肺細胞新形成の間にアップレギュレートまたはダウンレギュレートされる1つ以上の発現レベルを決定する工程、およびこれらの発現レベルを、肺癌を有していることが知られている被験体の罹患細胞における遺伝子の発現レベルと比較する工程を包含し、その結果、この遺伝子の類似の発現レベルは、被験体が肺癌または少なくともその症状を有するかまたは発生する可能性を有することを示唆する。好ましい実施形態において、細胞は、被験体において罹患している型と本質的に同型である。
(ii)別の実施形態において、本発明のパネル中の遺伝子の発現プロフィールは、被験体が特定の型の肺癌を有すること、特に、被験体が関連疾患または類似の症状を有する疾患を罹患しないことを確認するために用いられ得る。特に、被験体に対する最適な処置レジメンを設計する際にこれは重要であり得る。ある型の疾患を類似の疾患と区別するのに発現プロフィールが用いられ得ることは、当該分野で記載されている。例えば、非ホジキンリンパ腫の2つのサブタイプ(一方は、現在の処置方法に応答し、他方は、応答しない)を、広汎性ラージB細胞リンパ腫を罹患している患者の試料における17,856個の遺伝子を調べることにより区別し得る(Alizadehら、Nature(2000)405:503)。同様に、皮膚の黒色腫のサブタイプは、8150個の遺伝子のプロファイリングに基づいて予測された(Bittnerら、Nature(2000)406:536)。この場合、非常に攻撃的な転移性黒色腫の特性が認識され得る。癌細胞と正常細胞の発現プロフィールを比較する多数の他の研究が記載されており、これは、高転移性癌と低(less)転移性癌とを区別する発現プロフィールを記載する研究、および疾患の新規サブタイプ(例えば、新規腫瘍型)を記載する研究を含む(例えば、Perouら(1999)PNAS 96:9212;Perouら(2000)Nature 606:747;Clarkら(2000)Nature 406:532;Alonら(1999)PNAS 96:6745;Golubら(1999)Science 286:531を参照のこと)。
従って、本発明の発現プロフィールは、肺癌を関連疾患と区別することを可能にする。このような区別は、「差次的診断」として、当該分野で公知である。好ましい実施形態において、発現が肺癌に特有である1つ以上の遺伝子の発現レベルは、被験体の細胞において決定される。さらにより好ましい実施形態において、肺細胞新形成に関与する遺伝子の本質的に全ての発現レベルは、例えば、図2において同定された遺伝子の全てまたは本質的に全てに対応するプローブを含むマイクロアレイを用いて、被験体の細胞において確定される。肺癌を有していることが知られている参照被験体の細胞中の同じ遺伝子の発現レベルと類似している、第一の被験体の細胞の肺癌に関与する1つ以上の遺伝子の発現レベルは、この第一の被験体が、肺癌に関連する疾患または肺癌に類似する疾患でなく、肺癌を有していることを示唆する。
被験体が肺癌または関連疾患を有するか否かを決定するためのこの方法を使用する前に、肺癌に類似の疾患の細胞、および伝統的な(すなわち、マイクロアレイベースではない)方法で診断されるような肺癌を有する多数の被験体からの細胞の発現プロフィールを初めに決定することが必要であり得る。これは、本明細書においてさらに説明される方法に従って、肺細胞新形成に関与する遺伝子のパネルを含むマイクロアレイを用いて行われてもよい。
(iii)さらに別の実施形態において、本発明は、被験体における肺癌の段階を決定するための方法を提供する。肺癌に特徴的である遺伝子の発現レベルは、疾患の段階とともに変化すると考えられる。これは、例えば、伝統的な方法によって決定されるように、種々の段階において、肺癌を有する被験体におけるこれらの遺伝子の発現レベルを分析することによって、確認され得る。例えば、疾患の種々の段階での、被験体における罹患細胞の発現プロフィールは、本明細書中に記載されるように決定され得る。次いで、被験体における肺癌の段階を決定するために、この障害に特徴的である1つ以上の遺伝子の発現レベル、およびどの発現レベルがその疾患の段階とともに変化するかが、決定される。被験体とその疾患の特定の段階の参照プロフィールとの間でその発現が肺癌に特徴的である、1つ以上の遺伝子の類似の発現レベルは、被験体の肺癌が特定の段階であることを示す。
(iv)同様に、この方法を使用して、治療を受ける被験体における疾患の段階を決定し、それによって、この治療が有効か否かを決定し得る。従って、1つの実施形態において、肺細胞新形成に関与する1つ以上の遺伝子の発現レベルは、処置の前、および処置の間に数回、被験体において決定される。例えば、RNAサンプルは、治療の開始前、およびその治療の間12時間、24時間または72時間ごとに被験体から得られ得る。サンプルはまた、1週間に1回または1ヶ月に1回分析され得る。発現が肺細胞の病原に特徴的である遺伝子の発現レベルの、経時変化ならびに疾患した細胞および正常細胞に対する変化は、その治療が有効であるか否かを示す。
(v)なお別の実施形態において、本発明は、肺癌を有する被験体における特定の治療の成功の可能性を決定するための方法を提供する。1つの実施形態において、被験体は、特定の治療を開始し、そしてその治療の有効性を、例えば、被験体の細胞中で発現が肺癌に特徴的である1つ以上の遺伝子の発現レベルを決定することによって、決定される。これらの遺伝子の発現レベルの正常化(すなわち、これらの発現レベルが非罹患細胞の発現レベルと似ているような、遺伝子の発現レベルの変化)は、この処置が被験体において有効であるはずであることを示す。
被験体における肺癌処置の成果の予測はまた、インビトロで行われてもよい。一実施形態において、細胞を、処置への反応性について評価されるべき被験体から得て、治療薬物と共にインビトロでインキュベートする。その後、肺細胞新形成に関与する1つ以上の遺伝子の発現レベルを細胞内で測定し、これらの値を、罹患細胞に対応する正常細胞である細胞におけるこれらの1つ以上の遺伝子の発現レベルと比較する。この発現レベルはまた、正常細胞における発現レベルと比較されてもよい。好ましい実施形態において、その発現が肺癌に特徴的である本質的に全ての遺伝子(すなわち、図2、図3および図4に示される遺伝子、またはTrkBもしくはAur2)の発現レベルが、決定される。比較解析は、好ましくは、罹患細胞および/または正常細胞における肺癌に特徴的な、少なくとも1つの遺伝子の発現レベルを含むデータベースを含むコンピューターを用いて行われる。健常細胞における発現レベルと類似し、罹患細胞における発現レベルとは異なる、薬物と共にインキュベートした後の被験体の細胞における、その発現が肺癌に特徴的な1つ以上の遺伝子の発現レベルは、被験体が薬物での処置にポジティブに応答するようであることを示唆する。これに対して、罹患細胞における発現レベルと類似し、正常細胞における発現レベルとは異なる、薬物と共にインキュベートした後の被験体の細胞における、その発現が肺癌に特徴的な1つ以上の遺伝子の発現レベルは、被験体が薬物での処置にポジティブに応答しないようであることを示唆する。
肺癌を処置するための薬物は、罹患細胞に直接作用しないが、例えば、代謝されるかまたはその後に罹患細胞に影響を与える因子を分泌する別の細胞に作用する可能性があるので、上記アッセイはまた、罹患細胞以外の細胞を含む、被験体の組織サンプルにおいて行われてもよい。例えば、罹患細胞を含む組織サンプルを被験体から得て、この組織サンプルを潜在的な薬物とともにインキュベートし、必要に応じて、1つ以上の罹患細胞を、例えば顕微解剖またはLaser Capture Microdissection(LCM、以下を参照)によって、組織サンプルから単離し、そしてその発現が肺癌に特徴的である1つ以上の遺伝子の発現レベルを試験する。
(vi)本発明はまた、幾つかの異なる処置の選択から患者に対する肺癌用の療法を選択する方法を提供し得る。肺癌を有するある被検体は、別の型の療法よりも1つの型の療法により応答し得る。好ましい実施形態においては、この方法は、患者の肺癌に特有の少なくとも1つの遺伝子の発現レベルを、幾つかの治療薬物の1つによりインビトロまたはインビボで処置された被検体(被検体は、治療薬物の1つに対して応答するまたは応答しない)の細胞における発現レベルと比較すること、および1つまたは複数の遺伝子の、患者の発現レベルと最も類似の発現レベルを有する細胞を同定することを含むことにより、患者のための療法を同定する。さらにこの方法は、被検体に同定された療法を投与することを含む。
当業者は、ある診断および予後アッセイの実施形態においては、肺癌に特有の1つの遺伝子の発現レベルを評価することが望ましく、他のアッセイにおいては2つ以上の発現が好ましく、一方さらに他のアッセイにおいては肺細胞新形成に関与した本質的に全ての遺伝子の発現が評価されるのが好ましいことを理解する。
例えば上記方法における使用のための、肺細胞新形成に関与した1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを決定するのに用いられ得る典型的な方法を以下に述べる。例えば、遺伝子の発現レベルは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR);ドットブロット解析;ノーザンブロット解析およびインサイチュハイブリダイゼーションによって決定され得る。好ましい実施形態においては、発現レベルは、肺細胞新形成の間にアップレギュレートまたはダウンレギュレートされた遺伝子のプローブを含むマイクロアレイを用いることによって決定される。別の実施形態においては、肺細胞新形成の間にアップレギュレートまたはダウンレギュレートされた1つまたは複数の遺伝子によりコードされたタンパク質のレベルは、罹患型の細胞において決定される。これは、様々な方法(例えば、免疫組織化学)によって行われ得る。
(10.1.発現が肺癌に特有である遺伝子の発現レベルを決定するためのマイクロアレイの使用)
一般に、マイクロアレイを用いて発現プロファイルを決定することは、以下の:(a)被検体からmRNAサンプルを得て、それから標識核酸を調製する工程(「標的核酸」または「標的」);(b)標的核酸がアレイ上の対応するプローブと、例えばハイブリダイゼーションまたは特異的結合によって結合するのに十分な条件下で標的核酸をアレイと接触させる工程;(c)必要に応じて、非結合標的をアレイから除去する工程;および(d)結合標的を検出し、例えばコンピュータベースの解析方法を用いて結果を解析する工程を含む。本明細書において用いられる場合、「核酸プローブ」または「プローブ」は、アレイに付着した核酸であるのに対して、「標的核酸」は、アレイにハイブリダイズした核酸である。これらの工程のそれぞれを以下でより詳細に説明する。
(i)被検体のmRNAサンプルの取得
核酸標本は、「侵襲的」サンプリング手段または「非侵襲的」サンプリング手段のいずれかを用いて、試験される個体から得られ得る。サンプリング手段は、動物(特に、マウス、ヒト、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌまたはネコ科の動物等)の皮膚または臓器内から核酸を採取することを含む場合に「侵襲的」であると言われる。侵襲的方法の例としては、血液採取、精液採取、針生検、胸膜吸引、臍帯生検等が挙げられる。このような方法の例は、Kim,C.H.等によって考察されている(J.Virol.66:3879−3882(1992));Biswas,B.et al.(Annals NY Acad.Sci.590:582−583(1990));Biswas,B.et al.(J.Clin.Microbiol.29:2228−2233(1991))。
一実施形態においては、試験される被検体から1つまたは複数の細胞を得て、細胞からRNAを単離する。好ましい実施形態においては、肺細胞のサンプルは被検体から得られる。細胞を得る場合、主に所望の型の細胞、例えば、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、さらにより好ましくは少なくとも約70%、80%、さらにより好ましくは少なくとも約90%の細胞が所望の型の細胞である細胞のサンプルを含むサンプルを得るのが好ましい。このようなサンプルは明確な遺伝子発現データを提供する可能性があるので、所望の型の細胞の比率が高いことが好ましい。血液サンプルは、当該技術分野で既知の方法により得られ得る。
被検体から細胞サンプルを得て、その後それを所望の細胞型に濃縮する(enrich)ことも可能である。例えば、様々な技法(例えば、所望の細胞型の細胞表面上のエピトープと結合する抗体を用いた単離)を用いて、細胞を他の細胞から単離してもよい。
一実施形態においては、RNAは1つの細胞から得られる。被検体から細胞を得て、インビトロで細胞を培養すること、例えば、RNAが抽出され得る細胞の大型集団を得ることも可能である。非形質転換細胞の培養(すなわち、一次細胞培養)を確立する方法は、当該技術分野で知られている。
RNAを組織サンプルまたは個体由来の細胞から単離する場合、組織または細胞が被検体から除去された後の遺伝子発現の任意のさらなる変化を防止することが重要であり得る。発現レベルの変化は、摂動(例えば、熱ショックまたはリポ多糖(LPS)もしくは他の試薬による活性化)後に急速に変化することが知られている。さらに、組織および細胞中のRNAは、素早く分解状態になり得る。したがって、好ましい実施形態においては、被検体から得られた細胞をできるだけ早く急速(snap)凍結する。
RNAは、様々な方法(例えば、グアニジンチオシアネート溶解した後、CsCl遠心すること(Chirgwin et al.,1979,Biochemistry 18:5294−5299))によって組織サンプルから抽出され得る。1つの細胞からのRNAは、1つの細胞からcDNAライブラリーを調製する方法(例えば、Dulac,C.(1998)Curr.Top.Dev.Biol.36,245およびJena et al.(1996)J.Immunol.Methods 190:199に記載される方法)に記載されるように得られ得る。例えば、RNAsinを含有させること(inclusion)によって、RNAの分解を回避するように注意を払わねばならない。
その後、RNAサンプルは特定の種に濃縮され得る。一実施形態においては、ポリ(A)+RNAは、RNAサンプルから単離される。一般に、このような精製は、mRNA上のポリ(A)尾部を利用する。特に上記のように、ポリTオリゴヌクレオチドを、固体支持体上に固相化してmRNAのためのアフィニティリガンドとして働かせてもよい。この目的のためのキットは市販されている(例えば、MessageMakerキット(Life Technologies, Grand Island, NY))。
好ましい実施形態においては、RNA集団は目的の配列(例えば、肺細胞新形成に関与した遺伝子の配列)に濃縮される。濃縮は、例えば、プライマー特異的cDNA合成、またはcDNA合成およびテンプレート特異的インビトロ転写に基づく複数回の線形増幅によって行われてもよい(例えば、上記Wang et al.(1989)PNAS 86,9717;Dulac et al.および上記Jena et al.参照)。
特定の種あるいは配列に濃縮されたまたはされていないRNA集団は、さらに増幅され得る。このような増幅は、1つのまたは数個の細胞からのRNAを用いる場合に特に重要である。様々な増幅方法が本発明の方法における使用に適しており、例えば、PCR;リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、Wu and Wallace,Genomics 4,560(1989),Landegren et al.,Science 241,1077(1998));自律配列複製(SSR)(例えば、Guatelli et al.,PNAS,87,1874(1990)参照);核酸系配列増幅(NASBA)および転写増幅(例えば、Kwoh et al.,PNAS 86,1173(1989)参照)が挙げられる。PCR技法に関しては、例えば、PCR技法(PCR Technology):DNA増幅の原理と応用(Principles and Applications for DNA Amplification(H.A.Erlich編,Freeman Press,N.Y.,N.Y.,1992);PCRプロトコル(PCR protocols):方法および応用の手引き(A Guide to Methods and applications)(Innis,et al.編,Academic Press,San Diego,Calif.,1990);Mattila et al.,核酸リサーチ(Nucleic Acids Res.)19,4967(1991);Eckert et al.,PCRの方法および応用(PCR Methods and Applications)1,17(1991);PCR(McPherson et al.編,IRL Press Oxford);および米国特許第4,683,202号参照。増幅方法は、例えば、Ohyama et al.(2000)Bio Thechniques 29:530;Luo et al.(1999)Nat.Med.5,117;Hegde et al.(2000)Bio Techniques 29:548;Kacharmina et al.(1999)Meth.Enzymol.303:3;Livesey et al.(2000)Curr.Biol.10:301;Spirin et al.(1999)Invest.Ophtalmol.Vis.Sci.40:3108;およびSakai et al.(2000)Anal.Biochem.287:32に記載されている。また、RNA増幅およびcDNA合成は、インサイチュで細胞で行われ得る(例えば、Eberwine et al.(1992)PNAS 89:3010参照)。
定量的結果が望まれる場合、いかなる増幅方法を用いたとしても、定量的増幅を達成するために、増幅核酸の相対頻度を維持または制御する方法を使用するように注意を払わねばならないことを当業者は理解する。「定量的」増幅の方法は、当業者には周知である。例えば、定量的PCRは、同一のプライマーを用いて既知量の対照配列を同時に共増幅することを含む。これは、PCR反応を較正するのに用いられ得る内部標準を提供する。次いで、高密度アレイは、増幅核酸の定量のための内部標準に特異的なプローブを含み得る。
好ましい内部標準の1つは、合成AW106RNAである。AW106RNAは、当業者に公知の標準技法に従ってサンプルから単離されたRNAと結合させる。次いで、逆転写酵素を用いてRNAを転写してコピーDNAを提供する。次いで、標識プライマーを用いて(例えばPCRによって)cDNA配列を増幅する。増幅産物を、通常は電気泳動によって分離し、放射活性の量(増幅産物の量に比例)を決定する。次いで、サンプル中のmRNAの量は、既知のAW106RNA標準により生成されたシグナルと比較することによって算出される。定量的PCRの詳細なプロトコルは、PCRプロトコル、方法および応用の手引き(PCR Protocols,A Guide to Methods and Applications)(Innis et al.,Academic Press,Inc.N.Y.,(1990))において提供されている。
好ましい実施形態においては、逆転写酵素ならびにオリゴ(dT)およびファージT7プロモータをコードする配列から成るプライマーとを用いて、サンプルmRNAを逆転写し、一本鎖DNAテンプレートを提供する。第二のDNA鎖は、DNAポリメラーゼを用いて重合される。二本鎖cDNAの合成後、T7RNAポリメラーゼを追加し、RNAをcDNAテンプレートから転写する。それぞれ1つのcDNAテンプレートからの転写を連続的に数回行うことによりにより、RNAが増幅される。インビトロ重合の方法は、当業者には周知であり(例えば、Sambrook(上記)参照)、この特定の方法は、この方法によるインビトロ増幅が様々なRNA転写物の相対頻度を維持することを示す、Van Gelder等(1990)PNAS,87:1663−1667によって詳細に記載されている。さらに、Eberwine et al.PNAS,89:3010−3014は、インビトロ転写を介した2回の増幅を用いて、最初の出発材料の10倍を超える増幅を達成し、生体サンプルが限定される場合でさえ発現モニタリングを可能にするプロトコルを提供する。
当業者は、上記の直接転写方法によってアンチセンス(aRNA)プールが提供されることを理解する。標的核酸としてアンチセンスRNAが用いられる場合、アレイに提供されたオリゴヌクレオチドプローブは、アンチセンス核酸の部分配列(subsequence)に相補的であるように選択される。逆に、標的核酸プールがセンス核酸のプールである場合、オリゴヌクレオチドプローブはセンス核酸の部分配列に相補的であるように選択される。最後に、核酸プールが二本鎖である場合、プローブは、センス鎖およびアンチセンス鎖の双方を含む標的核酸としてどちらか一方のセンスのものであり得る。
((ii)解析される核酸の標識)
一般に、標的分子を標識して標的分子のマイクロアレイへのハイブリダイゼーションの検出を可能にする。標識されることは、プローブがシグナル生成系のメンバーを含み、それにより直接またはシグナル生成系の1つまたは複数の追加メンバーとの結合作用を介して検出可能となることを意味する。直接検出可能な標識の例としては、ヌクレオチドモノマー単位(例えば、プライマーのdNMP)またはプローブ分子の機能的部位に結合し得る検出可能な標識の光活性または化学的に活性な誘導体等の、プローブの部分に組み込まれた(通常は共有結合した)同位体および蛍光部分が挙げられる。
核酸は、RNAの濃縮および/または増幅の後またはその間に標識され得る。例えば、標識cDNAは、オリゴdTプライマーを用いた(oligo dT−primed)またはランダムプライマーを用いた(random−primed)逆転写によってmRNAから調製され、これらの双方は、当該技術分野で周知である(例えば、Klug and Berger,1987,Methods Enzymol.152:316−325参照)。逆転写は、検出可能な標識と結合したdNTP、最も好ましくは蛍光標識dNTPの存在下で行われ得る。あるいは、単離mRNAは、標識dNTPの存在下で二本鎖cDNAのインビトロ転写によって合成された標識アンチセンスRNAに変換され得る(Lockhart et al.,1996,Nature Biotech.14:1675(あらゆる目的のためにその全体を本明細書に参考として援用する))。代替的実施形態においては、cDNAまたはRNAプローブを検出可能な標識の非存在下において合成した後、例えばビオチン化dNTPもしくはrNTPを組み込むことによって、または何らかの類似手段(例えば、ビオチンのソラレン誘導体の、RNAへの光架橋)によって標識してもよく、次いで標識ストレプトアビジン(例えば、フィコエリスリン結合体化ストレプトアビジン)または等価物を付加する。
一実施形態においては、標識cDNAは、逆転写酵素(例えば、SuperScript.TM.II、LTI Inc.)と共に、0.5mMのdGTP、dATPおよびdCTPならびに0.1mM dTTPおよび蛍光デオキシリボヌクレオチド(例えば、0.1mMのローダミン110 UTP(Perken Elmer Cetus,MA)または0.1mMのCy3 dUTP(Amersham,NJ))を含む混合物を42℃で60分間インキュベートすることによって合成される。
目的の蛍光部分または標識としては、クマリンおよびその誘導体(例えば、7−アミノ−4−メチルクマリン、アミノクマリン)、ボディピー(bodipy)染料(Bodipy(登録商標)FL等)、カスケードブルー、フルオレセインおよびその誘導体(例えば、フルオレセインイソチオシアネート)、オレゴングリーン、ローダミン染料(例えば、テキサスレッド、テトラメチルローダミン、エオシン、およびエリスロシン)、シアニン染料(例えば、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7)、FluorX、ランタニドイオンの大環状キレート(例えば、クアンタム染料TM)、蛍光エネルギー遷移染料(例えば、チアゾールオレンジ−エチジウムヘテロダイマー)、TOTAB、ダンシル等が挙げられる。本発明の装置またはアッセイにおいて望ましく検出されるエレメントと結合する機能を有する、またはこのような機能を組み込むように修飾され得る各蛍光化合物は、例えば、ダンシルクロライド;3,6−ジヒドロキシ−9−フェニルキサンチドロールのようなフルオレセイン;ローダミンイソチオシアネート;N−フェニル1−アミノ−8−スルホナトナフタレン;N−フェニル−2−アミノ−6−スルホナトナフタレン;4−アセトアミド−4−イソチオシアナート−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸;ピレン−3−スルホン酸;2−トルイジノナフタレン−6−スルホネート;N−フェニル−N−メチル−2−アミノフタレン−6−スルホネート;臭化エチジウム;ステブリン;オーラミン−0,2−(9’−アンスロイル)パルミテート;ダンシルホスファチジルエタノールアミン;N,N’−ジオクタデシルオキサカルボシアニン:N,N’−ジヘキシルオキサカルボシアニン;メロシアニン,4−(3’−ピレニル)ステアレート;d−3−アミノデソキシ−エクイレニン;12−(9’−アンスロイル)ステアレート;2−メチルアントラセン;9−ビニルアントラセン;2,2’(ビニレン−p−フェニレン)ビスベンズオキサゾール;p−ビス(2−メチル−5−フェニル−オキサゾリル))ベンゼン;6−ジメチルアミノ−1,2−ベンゾフェナジン;レチノール;ビス(3’−アミノピリジニウム)1,10−デカンジイルジヨージド;ヘリブリエニン(hellibrienin)のスルホナフチルヒドラゾン;クロロテトラサイクリン;N−(7−ジメチルアミノ−4−メチル−2−オキソ−3−クロロメチル)マレイミド;N−(p−(2ベンズイミダゾリル)−フェニル)マレイミド;N−(4−フルオランチル)マレイミド;ビス(ホモバニリン酸);レサザリン;4−クロロ−7−ニトロ−2,1,3−ベンゾオキサゾール;メロシアニン540;レゾルフィン;ローズベンガル;および2,4−ジフェニル−3(2H)−フラノンが挙げられる(例えば、Kricka,1992,非同位体DNAプローブ技法(Nonisotopic DNA Probe Techniques), Academic Press San Diego,CA参照)。多数の蛍光タグは、SIGMA chemical company(Saint Louis,MO.),Amersham,Molecular Probes(Eugene,OR),R&D systems(Minneapolis,Minn.),Pharmacia LKB Biotechnology(Piscataway,N.J.),CLONTECH Laboratories,Inc.(Palo Alto,CA),Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI),GIBCO BRL Life Technologies,Inc.(Gaithersberg,MD.),Fluka Chemica−Biochemika Analytika(Fluka Chemie AG,Buchs,Switzerland),およびApplied Biosystems(Foster City,CA)、ならびに当業者に既知の他の市販元から市販されている。
化学発光標識としては、ルシフェリンおよび2,3−ジヒドロフタラジンジオン類(例えば、ルミノール)が挙げられる。
目的の同位体部分または標識としては、32P、33P、35S、125I、H、14C等が挙げられる(Zhao et al.,1995、高密度cDNAフィルター解析(High density cDNA filter analysis):遺伝子発現の大規模かつ定量的解析の新規アプローチ(a novel approach for large−scale, quantitative analysis of gene expression)、Gene 156:207;Pietu et al.,1996、およびGenome Res.6:492参照)。しかしながら、放射活性粒子の散乱、およびその結果広く離間した結合部位が必要であることのために、放射性同位体の使用は、あまり好ましくない実施形態である。
また、標識は、検出可能なシグナルを提供する同一のシステムの1つまたは複数の追加メンバーに呼応して作用する、シグナル生成システムのメンバーであり得る。このような標識の具体例は、例えば、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、抗原、多価カチオン、キレーター群等のリガンド等の特異的結合ペアのメンバーであり、このメンバーはシグナル生成システムの追加メンバーと特異的に結合し、この場合、追加メンバーは直接または間接的に検出可能なシグナルを提供する(例えば、蛍光部分または基質を発色産物に変換することが可能な酵素部位と結合体化された抗体(例えば、アルカリホスファターゼ結合抗体等))。
目的の追加標識は、関連するプローブが標的分子に特異的に結合する場合にのみシグナルを提供するものを含み、このような標識としては、Tyagi & Kramer,Nature Biotechnology(1996)14:303およびヨーロッパ特許公報第0070685B1号に記載されるような、「分子ビーコン」が挙げられる。目的の他の標識としては、米国特許第5,563,037号;国際公開第97/17471号および国際公開第97/17076号に記載されるものである。
幾つかの実施形態においては、ハイブリダイズした標的核酸は、ハイブリダイゼーション後に標識されてもよい。例えば、ビオチン標識dNTPを、例えば増幅または転写に用いる場合、ストレプトアビジン結合レポーター基を、ハイブリダイズした複合体を標識するのに用いてもよい。
他の実施形態においては、標的核酸は標識されない。この場合、ハイブリダイゼーションは、例えばThiel et al.(1997)Anal.Chem.69:4948に記載されるように、例えばプラズモン共鳴によって決定され得る。
一実施形態においては、標的核酸の複数(例えば、2、3、4、5またはそれ以上)の組を標識し、1つのハイブリダイゼーション反応に用いる(「多重」解析)。例えば、核酸の1つの組は、1つの細胞からのRNAに対応し、核酸の別の組は、別の細胞からのRNAに対応し得る。核酸の複数の組は、それらを区別し得るように、異なる標識(例えば、別個の発光スペクトルを有する、異なる蛍光標識)で標識されてもよい。その後、この組を混合し、1つのマイクロアレイに同時にハイブリダイズする。
例えば2つの異なる細胞は、罹患肺細胞および対応する正常細胞であり得る。あるいは、2つの異なる細胞は、肺癌を有する患者の罹患肺細胞と肺癌を有する疑いのある患者の罹患肺細胞であり得る。別の実施形態においては、1つの生体サンプルは薬物に暴露され、別の同型の生体サンプルは薬物に暴露されない。2つの細胞型のそれぞれ由来のcDNAは、それらが区別されるように別個に標識される。一実施形態においては、例えば罹患細胞からのcDNAは、蛍光標識dNTPを用いて合成され、第二の細胞(すなわち、正常細胞)からのcDNAは、ローダミン標識dNTPを用いて合成される。2つのcDNAを混合してマイクロアレイにハイブリダイズすると、各cDNA組からのシグナルの相対強度がアレイ上の各部位に対して決定され、特定のmRNAの存在量の相対的差異が検出される。
上記の例において、蛍光体が刺激されると、罹患肺細胞からのcDNAは蛍光緑を発し、肺癌を有する疑いのある被検体の細胞からのcDNAは蛍光赤を発する。結果として、2つの細胞が本質的に同一である場合は、特定のmRNAは双方の細胞において均等に行きわたっており、逆転写の場合は、赤標識cDNAおよび緑標識cDNAは均等に行きわたる。マイクロアレイにハイブリダイズされると、そのRNA種に対する結合部位(単数または複数)は、双方の発蛍光団に特有の波長を放出する(そして組み合わせて茶色が現れる)。逆に、2つの細胞が異なる場合は、緑蛍光と赤蛍光との比は異なる。
2色蛍光標識および遺伝子発現における変更を定義する検出スキームの使用は、例えば、Shenaら.,1995、Science 270:467−470、に記載されている。2つの異なる発蛍光団で標識されたcDNAを用いることの利点は、2つの細胞状態における各アレイ遺伝子と対応するmRNAレベルの、直接的な内部制御(internally controlled)比較がなされ得ることであり、実験条件(例えば、ハイブリダイゼーション条件)の軽微な差異による変化は、次の解析に影響を与えない。
複数の標的核酸を1つのアレイにハイブリダイズする場合、使用のための区別可能な標識の例は当該技術分野で周知であり、2つ以上の異なる放出波長の蛍光染料(Cy3とCy5等)、蛍光タンパク質および染料の組み合わせ(フィコエリスリンとCy5等)、異なる放出エネルギーを有する2つ以上の同位体(32Pと33P等)、異なる散乱スペクトルを有する金または銀粒子、異なる処理条件下(温度、pH、追加化学薬剤による処理等)でシグナルを生成する、または処理後に異なる時点でシグナルを生成する標識が挙げられる。シグナルを生成するための1つまたは複数の酵素を使用することにより、酵素(アルカリホスファターゼ/ペルオキシダーゼ)の異なる基質特異性に基づき、さらに多くの様々な区別可能な標識の使用が可能になる。
さらに、実験誤差を減少させるために、2色差次的ハイブリダイゼーション実験において蛍光標識を交換し、各遺伝子またはアレイスポットの位置に特有の偏りを減少させることが好ましい。すなわち、測定される2つの細胞からのmRNAを標識(例えば、第一の細胞からの核酸を第一の蛍光色素で、および第二の細胞からの核酸を第二の蛍光色素で標識)して遺伝子発現を最初に測定し、その後、交換標識(例えば、第一の細胞からの核酸を第二の蛍光色素で、および第二の細胞からの核酸を第一の蛍光色素で標識)で2つの細胞からの遺伝子発現を測定することが好ましい。曝露レベルおよび摂動制御パラメータレベル全体を複数回測定することにより、さらなる実験誤差制御を提供する。
標識核酸の質は、アレイへのハイブリダイゼーションの前に評価されてもよい。例えば、標識核酸のサンプルを、核酸サンプルに存在することが知られるまたは存在する疑いのある遺伝子の5’側部分、中間部分および3’側部分由来のプローブとハイブリダイズしてもよい。これは、標識核酸が全長核酸であるか、または標識核酸が分解しているかに関して示唆する。一実施形態においては、GeneChip(登録商標)Test3 Array(Affymetrix製)をこの目的のために用いてもよい。このアレイは、哺乳動物を含む幾つかの生物からの特徴付けられた遺伝子のサブセットを表すプローブを含む。したがって、標識核酸サンプルの質は、サンプルのフラクションのアレイ(例えば、GeneChip(登録商標)Test3 Array(Affymetrix製))へのハイブリダイゼーションによって確定され得る。
(10.2.遺伝子発現レベルを確定する他の方法)
特定の実施形態では、何百または何千という遺伝子とは対照的に1つのまたはごくわずかな遺伝子の発現を確定することで十分である。これらの実施形態ではマイクロアレイが用いられ得るが、遺伝子発現を検出する様々な他の方法が利用可能である。このセクションでは、mRNAまたはmRNAによりコードされるポリペプチドを検出および定量する幾つかの例示的な方法を説明する。これらの方法の第一の段階が細胞からのmRNAの単離を含む場合、この段階は上記のように行われ得る。1つまたは複数の核酸の標識は上記のように行われ得る。
一実施形態では、サンプルから得られるmRNAを第一のcDNA鎖に逆転写して、PCR、例えばRT−PCRに付す。ハウスキーピング遺伝子または発現が変化しない他の遺伝子を内部対照および実験全体の対照として用いることができる。PCR反応後に、増幅産物を電気泳動により分離して検出し得る。定量的PCRを用いることにより、増幅産物レベルが、サンプル中に存在したRNAのレベルと相関する。増幅サンプルもまた、アガロースまたはポリアクリルアミドゲルで分離し、フィルターに移してよく、このフィルターは目的の遺伝子に特異的なプローブとハイブリダイズされる。並行PCR増幅により、例えばマルチプレックスPCRにより、多くのサンプルを同時に解析することができる。
「ドットブロット」ハイブリダイゼーションは広く使用され、多くのバージョンが開発された(例えば、M.L.M.Anderson and B.D.Young,in Nucleic Acid Hybridization−A Practical Approach,B.D.Hames and S.J.Higgins,Eds.,IRL Press,Washington D.C.,Chapter 4,pp.73−111,1985参照)。
別の実施形態では、mRNAレベルはドットブロット解析および関連の方法により確定される(例えば、G.A.Beltzら.,in Methods in Enzymology,Vol.100,Part B,R.Wu,L.Grossmam,K.Moldave編,Academic Press,New York,Chapter 19,pp.266−308,1985参照)。一実施形態では、細胞から抽出した指定量のRNAをフィルターにブロットし(すなわち非共有結合)、フィルターを目的の遺伝子のプローブとハイブリダイズする。ブロットは複数のRNAスポットを含み得るため、多くのRNAサンプルを同時に解析することができる。ハイブリダイゼーションは、プローブの標識のタイプに応じた方法を用いて検出される。別のドットブロット法では、その発現が肺癌の特徴である1つまたは複数の遺伝子の1つまたは複数のプローブを膜に結合させ、その膜を被検体の細胞または組織のRNAから得られる標識核酸およびこれらに必要に応じて由来する標識核酸と共にインキュベートする。このようなドットブロットは本質的に、マイクロアレイよりも少ないプローブを含むアレイである。
別の形式の、いわゆる「サンドイッチ」ハイブリダイゼーションは、オリゴヌクレオチドプローブを固体支持体に共有結合させること、および複数の核酸標的を捕捉および検出するためにそれらを用いることを含む(例えば、M.Rankiら.,(1983)Gene,21,pp.77−85,;A.M.Palva UK Patent Application GB 2156074A,Oct.2,1985;T.M.Ranki and H.E.Soderlund U.S.Pat.No.4,563,419,Jan.7,1986;A.D.B.Malcolm and J.A.Langdale,PCT WO 86/03782,Jul.3,1986;Y.Stabinsky,U.S.Pat.No.4,751,177,Jan.14,1988;T.H.Adamsら.,PCT WO 90/01564,Feb.22,1990;R.B.Wallaceら.(1979)Nucleic Acid Res.6,11,p.3543,;およびB.J.Connorら.,(1983)PNAS 80 pp.278−282参照)。これらの形式の多重バージョンは、「リバースドットブロット」と呼ばれる。
mRNAレベルは、ノーザンブロットによっても確定することができる。指定量のRNAをゲル電気泳動により分離してフィルターに移し、次にこれを、目的の遺伝子に対応するプローブとハイブリダイズする。この方法は、多くのサンプルおよび遺伝子を解析する場合にはより煩わしいが、非常に正確であるという利点をもたらす。
高スループットの遺伝子発現解析の好ましい方法は、遺伝子発現の連続分析(serial analysis of gene expression)(SAGE)法であり、これはVelculescuら.(1995)Science 270,484−487に最初に記載された。SAGEの利点としては、所与の細胞型で発現した全遺伝子を検出することができ、かかる遺伝子の相対的発現に関する定量的情報を提供し、2つの細胞中の遺伝子の遺伝子発現を容易に比較でき、検出された遺伝子を同定するのに用いられ得る配列情報が得られることが挙げられる。これまで、SAGEの手法は、様々な細胞型における調節された遺伝子および調節されていない遺伝子の発現を確実に検出することがわかっている(Velculescuら(1997)Cell 88,243−251;Zhangら(1997)Science 276,1268−1272およびVelculescuら(1999)Nat.Genet.23,387−388)。
核酸を生成および調査する技法は、例えば、Sambrookら「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」(New York,Cold Spring Harbor Laboratory,1989)にさらに記載されている。
あるいは、肺細胞の病因に関連する1つまたは複数の遺伝子の発現レベルは、インサイチュハイブリダイゼーションにより確定される。一実施形態では、被検体から組織サンプルを得て、組織サンプルをスライスし、当該技術分野で公知の方法によりインサイチュハイブリダイゼーションを行って、目的の遺伝子の発現レベルを確定する。
他の方法では、遺伝子の発現レベルは、遺伝子によりコードされるタンパク質のレベルを測定することにより検出される。これは、例えば免疫沈降法、ELISA、または免疫組織化学法により、例えば遺伝子によりコードされるタンパク質を特異的に検出する作用物質(例えば抗体)を用いて行われ得る。他の技法としては、ウェスタンブロット解析が挙げられる。イムノアッセイは、細胞サンプル中のタンパク質レベルを定量するために一般に用いられ、多くの他のイムノアッセイ法が当該技術分野で公知である。本発明は、特定のアッセイ手順に限定されないため、同一の手順および異なる手順の両方を含むことが意図される。本発明により行われ得るイムノアッセイの例としては、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、比濁阻害イムノアッセイ(nephelometric inhibition immunoassay)(NIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、およびラジオイムノアッセイ(RIA)が挙げられる。指標部分(indicator moiety)すなわち標識群は、対象抗体に結合することができ、アッセイ設備の利用可能性および適合性のイムノアッセイ手順に左右されることが多い方法の様々な使用の必要性を満たすように選択される。上述の様々なイムノアッセイを行う際に用いられる一般的な技法は、当業者には公知である。
細胞から分泌されるポリペプチドの場合、これらのポリペプチドの発現レベルは、生体液において測定され得る。
(10.3 データ解析法)
肺細胞の新生物形成に関連する1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを、参照発現レベル、例えば肺癌を有している被検体の罹患した肺細胞における発現レベルまたは対応する正常細胞での発現レベルとを比較することは、コンピューターシステムを用いて行われることが好ましい。一実施形態では、2つの細胞から発現レベルを得て、これら2組の発現レベルを、比較のためにコンピューターシステムに導入する。好ましい実施形態では、コンピューターシステム内にすでにあるか、またはその後コンピューターシステムに入力されるコンピューター可読形態である値と比較するために、1組の発現レベルをコンピューターシステムに入力する。
一実施形態では、本発明は、本発明の遺伝子発現プロフィールデータ、または肺細胞新形成の罹患細胞に関連する少なくとも1つの遺伝子の発現レベルに対応する値のコンピューター可読形態を提供する。これらの値は、実験、例えばマイクロアレイ解析から得られるmRNA発現レベルであり得る。これらの値は、多くの条件下で多くの細胞において発現が一定である参照遺伝子に関して正常化したmRNAレベルでもあり得る。他の実施形態では、コンピューターの値は、種々のサンプルの正常化された、または正常化されていないmRNAレベル間の比、または差異である。
遺伝子発現プロフィールデータは、Excel表等の表の形態であり得る。データは単独であってもよく、または、例えば他の発現プロフィールを含んだより大きいデータベースの一部であってもよい。例えば、本発明の発現プロフィールデータは、公共データベースの一部であってもよい。コンピューター可読形態は、コンピューター内にあり得る。別の実施形態では、本発明は、遺伝子発現プロフィールデータを表示するコンピューターを提供する。
一実施形態では、本発明は、第一の細胞(例えばある被検体の細胞)において肺細胞の新生物形成に関する1つまたは複数の遺伝子の発現レベルと、第二の細胞のそのような遺伝子の発現レベルとの類似性を確定する方法であって、第一の細胞において肺細胞の新生物形成に関する1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを得ること、およびそれらの値をコンピューターに入力することを含む方法を提供する。このコンピューターは、第二の細胞における、発現が肺癌に特有の1つまたは複数の遺伝子の発現レベルに対応する値を含む記録を含むデータベースと、コンピューターに記憶されているデータと比較するために1つまたは複数の値の選択を受け取ることができるプロセッサー命令(例えばユーザインタフェース)とを含む。コンピューターはさらに、比較データを表またはチャートまたは他のタイプの出力に変換する手段を含み得る。
別の実施形態において、肺細胞新形成に関与する遺伝子の発現レベルを示す値(1つより多い細胞から得られる発現レベルを参照する1つ以上のデータベースを含む)が、コンピューターユータンパク質システム中に入力される。例えば、コンピューターは、疾患した細胞および正常細胞の発現データを含み得る。指示書がコンピューターに備えられ、そしてこのコンピューターは、入力データが、正常細胞のデータまたは罹患した細胞のデータのどちらにより類似しているかを決定するために、入力データをコンピューター中のデータと比較し得る。
別の実施形態において、このコンピューターは、癌の様々な段階にある被験体の細胞中の発現レベルの値を含み、そしてこのコンピューターは、コンピューターに入力される発現データを保存されているデータと比較し得、そのコンピューター中の発現プロフィールのデータに対して最も類似している入力データを示す結果をもたらし、その結果、被験体における肺癌の段階を決定する。
なお別の実施形態において、コンピューター中の参照発現プロフィールは、肺癌を有する1人以上の被験体からの細胞由来の発現プロフィールであり、この細胞は、肺癌の治療のために使用される薬物で、インビボまたはインビトロで処理される。この薬物よってインビトロまたはインビボで処理される被験体の細胞の発現データが入力される際に、このコンピューターは、入力データをコンピューター内のデータと比較するように命令され、そしてコンピューター中へのこの発現データの入力が、薬物に反応する被験体の細胞のデータに類似しているかまたは薬物に反応しない被験体の細胞のデータに類似しているかを示す結果を提供する。従って、この結果は、この被験体が、薬物での処理に反応する可能性があるか、反応する可能性がないかを示す。
1つの実施形態において、本発明は、1つまたは複数の遺伝子についての遺伝子発現データを受信するための手段;1つまたは複数の遺伝子の各々からの遺伝子発現データを通常の参照フレームと比較するための手段;およびこの比較結果を表示するための手段を備えるシステムを提供する。
別の実施形態において、本発明は、遺伝子発現データを分析するためのコンピュータープログラムを提供し、このプログラムは、以下を含む:(a)複数の遺伝子についての入力遺伝子発現データとして受信するコンピュータコードおよび(b)この複数の遺伝子の各々からの遺伝子発現データを通常の参照フレームと比較するコンピュータコード。
本発明はまた、機械読み取り可能媒体またはコンピューター読み取り可能媒体を提供し、これらとしては、以下の工程を実行するためのプログラム命令を含む:(a)質問細胞中の肺癌細胞の新形成に関与する1つ以上の遺伝子の発現ベクターに対応する複数の値を、1つ以上の参照細胞の参照発現データまたは発現プロフィールデータを含む記録およびその細胞型のアノテーションを含むデータベースとを比較する工程;および(b)質問細胞が、発現プロフィールの類似性に基づいて最も類似している細胞を示す工程。この参照細胞はまた、特定の薬物処理に反応するかまたは反応しない被験体由来の細胞であり得、そして必要に応じて、薬物によってインビトロまたはインビボでインキュベートされる。
参照細胞はまた、いくつかの異なる処理に反応するかまたは反応しない被験体由来の細胞であり得、そしてコンピューターシステムが、この被験体に対する好ましい処置を示す。従って、本発明は、肺癌を有する患者に対する治療を選択するための方法を提供し、この方法は、以下の工程を包含する:(a)患者の疾患細胞中の新形成に関与する1つ以上の遺伝子の発現レベルを提供する工程;(b)複数の参照プロフィール(この各々は、治療と関連する)を提供する工程であって、ここで、この被験体発現プロフィールおよび各参照プロフィールは、複数の値を有し、各値は、肺細胞の新形成に関与する遺伝子の発現レベルを示す、工程;(c)この被験体発現プロフィールに最も類似する参照プロフィールを選択し、それによってこの患者に対する治療を選択する工程。好ましい実施形態において、工程(c)は、コンピューターによって実行される。この最も類似した参照プロフィールは、対応する発現データと関連する重み付け値を使用して、複数の比較値を重み付けすることによって選択され得る。
2つの生物学的サンプル中のmRNAの相対存在量(abundance)は、摂動およびその決定された大きさ(すなわち、この存在量が、試験されたmRNAの2つの供給源において異なる)としてスコア付けされ得るか、または無摂動(すなわち、相対存在量が同じ)としてスコア付けされ得る。種々の実施形態において、少なくとも1つの因子の2つのRNA供給源間の差異は、約25%(ある供給源由来のRNAは、他の供給源よりも25%よりも、大きい存在量である)、より通常は50%、なおよりしばしば、約2(2倍の存在量)、3(3倍の存在量)または5(5倍の存在量)が、摂動としてスコア付けされる。
好ましくは、正または負の摂動として同定することに加えて、摂動の大きさを決定することが有利である。これは、上記のように、異なる標識化のために使用される2つのフルオロフォアの発光比を計算することによってか、または当業者に容易に理解される類似の方法によって実行され得る。
コンピューター読み取り可能媒体は、肺癌の段階の記載のまたは肺癌のための処置に対してのポインターをさらに含み得る。
操作の際に、遺伝子発現データを受容するための手段、遺伝子発現データを比較するための手段、示すための手段、正規化するための手段、および本発明のシステムの範囲内に集合させるための手段は、以下を含み得る:ハードウエアまたはハードウエアとソフトウェア中で実行された、本明細書中に記載されるそれぞれの機能を有するプログラム化されたコンピューター;コンピュータープログラムによって命令される、本明細書中で特に同定される操作を実行する、プログラム化されたコンピュータープログラムの論理回路または他の構成要素;または、コンピューターが本明細書中に記載される特定の様式で機能し得るコンピュータープログラムを示す実行可能な命令でコードされるコンピュータメモリ。
当業者は、本発明のシステムおよび方法が、以下の種々のシステムに提供され得ることを理解する:MS−DOS(登録商標)またはMicrosoft Windows(登録商標)を実行する、IBM(登録商標)互換パーソナルコンピュータ。
このコンピューターは、外部の部品に接続される内部部品を有し得る。この内部部品は、メインメモリと相互接続されるプロセッサエレメントを備え得る。このコンピューターシステムは、Intel Pentium(登録商標)(200MHz以上のクロックレイトのプロセッサーに基づき、32MB以上のメインメモリを有する)であり得る。この外部部品は、1つ以上のハードディスク(これは、典型的には、プロセッサーおよびメモリーと共にパーッケージングされる)であり得る、大容量記憶装置を備え得る。このようなハードディスクは、代表的には、1GB以上の記憶容量である。他の外部部品としては、入力デバイス(これは、「マウス」であり得る)または他のグラフィック入力デバイスを備える、ユーザーインターフェイスデバイス(これは、モニターであり得る)および/またはキーボードを備え得る。印刷デバイスもまた、このコンピューターに接続され得る。
代表的には、このコンピューターシステムはまた、ネットワーク接続に接続され得、これは、他のローカルコンピュータシステム、リモートコンピュータシステム、または広域通信システム(例えば、インターネット)に対するEthernet(登録商標)接続の一部であり得る。このネットワーク接続は、コンピューターシステムのデータを共有させ、そして他のコンピューターシステムによって処理を助けさせる。
このシステムの動作中、幾つかのソフトウェアコンポーネントがメモリーにロードされるが、これらのソフトウェアコンポーネントは、当該技術分野における標準であるとともに、本発明に特殊のものである。これらのソフトウェアコンポーネントはまとめて、本発明の方法に従ってコンピューターシステムが機能するようにする。これらのソフトウェアコンポーネントは代表的に、大容量記憶装置に記憶される。ソフトウェアコンポーネントは、コンピューターシステムおよびそのネットワーク相互接続の管理を担う動作システムを表す。この動作システムは、例えば、Microsoft Windows(登録商標)ファミリー(Windows(登録商標)95、Windows(登録商標)98、またはWindows(登録商標)NT等)であり得る。ソフトウェアコンポーネントは、本発明に特有の方法を実施するプログラムを補助するようにこのシステムに便宜上存在する共通の言語および機能を表す。本発明の解析法をプログラムするために、多くの高レベルまたは低レベルのコンピューター言語が用いられ得る。命令は、ランタイム中に解釈されるか、またはコンパイルされ得る。好ましい言語としては、C/C++およびJAVA(登録商標)が挙げられる。最も好ましくは、本発明の方法は、数学的ソフトウェアパッケージでプログラムされ、この数学的ソフトウェアパッケージは、方程式の記号入力および用いられるアルゴリズムを含む高レベルの処理指定を可能にすることにより、ユーザが個々の方程式またはアルゴリズムを手続き上プログラムする必要をなくす。このようなパッケージとしては、Mathworks(Natick,MA)製のMatlab、Wolfram Research(Champaign,IL)製のMathematica、またはMath Soft(Cambridge,MA)製のS−Plusが挙げられる。したがって、ソフトウェアコンポーネントは、手続き形言語または記号のパッケージにプログラムされる本発明の解析法を表す。好ましい実施形態では、コンピューターシステムは、発現が肺癌に特有の1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを表す値を含むデータベースも含む。データベースは、種々の細胞において発現が肺癌に特有の遺伝子の1つまたは複数の発現プロフィールを含んでもよい。
例示的な実施形態では、本発明の方法を実施するために、ユーザはまず発現プロフィールデータをコンピューターシステムにロードする。これらのデータは、モニターおよびキーボードから、またはネットワーク接続によりリンクされた他のコンピューターシステムから、またはCD−ROMあるいはフロッピー(登録商標)ディスク等の取り外し可能な記憶媒体に、あるいはネットワークを介して、ユーザにより直接入力され得る。次にユーザは、共変動する遺伝子を比較するステップ、および例えばそれらの遺伝子を遺伝子の群にクラスター化するステップを行う発現プロフィール解析ソフトウェアを実行させる。
別の例示的な実施形態では、発現プロフィールは、米国特許第6,203,987号に記載される方法を用いて比較される。ユーザはまず、発現プロフィールデータをコンピューターシステムにロードする。遺伝子組プロフィール定義が、記憶媒体またはリモートコンピュータから、好ましくは、動的遺伝子組データベースシステムから、ネットワークを介してメモリーにロードされる。次に、ユーザは、発現プロフィールを射影発現プロフィールに変換するステップを行う射影ソフトウェアを実行させる。次に射影発現プロフィールが表示される。
さらに別の例示的な実施形態では、ユーザはまず射影プロフィールをメモリーにロードする。次に、ユーザは、参照プロフィールをメモリーにロードさせる。次に、ユーザは、プロフィールを客観的に比較するステップを行う比較ソフトウェアを実行させる。
(10.4 本発明の例示的な診断用および予後用組成物ならびにデバイス)
上記の方法で用いられるいかなる組成物およびデバイス(例えばマイクロアレイ)も、本発明の範囲内にある。
一実施形態では、本発明は、図2、図3および図4の遺伝子またはTrkBもしくはAur2の発現を検出するための複数の検出薬剤を含む組成物を提供する。好ましい実施形態では、組成物は、少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、5個、10個、20個、50個、または100個の異なる検出薬剤を含む。検出薬剤は、核酸プローブ、例えばDNAまたはRNAであってもよく、または、例えば、図2、図3および図4に列挙する遺伝子またはTrkBもしくはAur2によりコードされるポリペプチドと結合する抗体としてのポリペプチドであってもよい。プローブは、溶液中に等量または異なる量で存在し得る。
核酸プローブは、少なくとも約10ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも約15、20、25、30、50、100ヌクレオチド長以上であり得、完全長遺伝子を含み得る。好ましいプローブは、図2、図3および図4に列挙する遺伝子またはTrkBもしくはAur2と特異的にハイブリダイズされるものである。核酸が短い(すなわち、20ヌクレオチド以下である)場合、特異的ハイブリダイゼーションが得られ得るように、配列は標的遺伝子(すなわち、肺細胞の病原に関与する遺伝子)と完全に相補的であることが好ましい。しかしながら、標的遺伝子と完全には相補的でない核酸もまた、短いものであっても、例えばネガティブコントロールとして用いるために、本発明の組成物に含まれ得る。ある特定の組成物は、ある遺伝子の対立遺伝子と相補的であり、かつそれを検出することができる核酸も含み得る。
好ましい実施形態では、本発明は、65℃で0.2〜1×SSCに続いて65℃で0.2×SSCでの洗浄という非常にストリンジェントな条件(high stringency conditions)下で、肺癌に特徴的に発現する遺伝子とハイブリダイズする核酸を提供する。別の実施形態では、本発明は、室温で6×SSCに続いて室温で2×SSCでの洗浄というあまりストリンジェントではない条件(low stringency conditions)下でハイブリダイズする核酸を提供する。他の核酸プローブは、40または50℃で3×SSCで標的にハイブリダイズし、続いて20℃、30℃、40℃、50℃、60℃、または65℃で1×または2×SSCで洗浄する。
肺細胞の病原またはそのcDNAに関連する遺伝子およびその補体と、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%、最も好ましくは少なくとも約98%同一である核酸もまた、本発明の範囲内にある。
核酸プローブは、例えば、ゲノムDNA、cDNA(例えばRT−PCRによる)、またはクローニングされた配列からの遺伝子断片のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅により得てもよい。PCRプライマーは、遺伝子またはcDNAの既知の配列に基づいて選択され、これにより独特の断片の増幅がもたらされる。要求される特異性および最適な増幅特性を有するプライマーの設計にはコンピュータープログラムが用いられ得る。例えば、Oligoバージョン5.0(National Biosciences)を参照されたい。増幅のためのプライマーの設計および選択に適用される因子は、例えば、Rylchik,W.(1993)「ポリメラーゼ連鎖反応のためのプライマーの選択(Selection of Primers for Polymerase Chain Reaction)」(Methods in Molecular Biology,Vol.15,White B.ed.,Humana Press,Totowa,N.J.)に記載されている。配列は、GenBankまたは他の公共の供給源から得てもよい。
本発明のオリゴヌクレオチドは、当該技術分野において既知の標準的な方法により、例えば、自動DNA合成器(Biosearch、Applied Biosystems等から市販されているもの等)の使用により、合成され得る。例として、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、Stein et al.の方法(1988,Nucl.Acids Res.16:3209)により合成されてもよく、メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは、CPG(controlled pore glass)ポリマー支持体(Sarin et al.,1988,PNAS 85:7448−7451)等の使用により調製され得る。別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2’−O−メチルリボヌクレオチド(Inoue et al.,1987,Nucl.Acids Res.15:6131−6148)またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoue et al.,1987,FEBS Lett.215:327−330)である。
図2、図3および図4に列挙する遺伝子またはTrkBもしくはAur2の配列を有するプローブは、合成的に生成されてもよい。多数のオリゴデオキシリボヌクレオチドからの遺伝子の一段階構築は、Stemmer et al.,Gene(Amsterdam)(1995)164(1):49−53により記載されるように行われ得る。この方法では、アセンブリPCR(多数のオリゴデオキシリボヌクレオチド(オリゴ)からの長いDNA配列の合成)が記載されている。この方法は、DNAシャッフリング(Stemmer,Nature(1994)370:389−391)から得られ、構築プロセス中に徐々に長くなるDNA断片を作製するために、DNAリガーゼには依存せず、その代わりDNAポリメラーゼに依存する。例えば、TEM−1 β−ラクタマーゼをコードする遺伝子(bla)を含む1.1kb断片は、それぞれ40ヌクレオチド(nt)長の、合計56のオリゴから1回の反応で構築され得る。合成遺伝子は、PCR増幅され得、この手法を任意の遺伝子の迅速かつ費用効率的な合成の一般的な方法とする。
「cDNA末端の迅速増幅」すなわちRACEは、多くの異なるRNAからcDNAを増幅するために用いられ得るPCR法である。cDNAは、オリゴヌクレオチドリンカーにライゲーションして、2つのプライマーを用いてPCRにより増幅され得る。1つのプライマーは、完全長配列が望ましい本核酸からの配列に基づいてよく、第二のプライマーは、cDNAを増幅するためにオリゴヌクレオチドリンカーとハイブリダイズする配列を含み得る。この方法の説明は、PCT公報WO97/19110号において報告されている。
別の実施形態では、本発明は、肺細胞の病原に関与する遺伝子によりコードされるポリペプチドを検出し得る複数の薬剤を含む組成物を提供する。薬剤は例えば抗体であってもよい。本明細書中に記載されるポリペプチドに対する抗体は、市販されているものであってもよいが、当該技術分野において既知の方法により生成してもよい。
プローブは、紙、膜、フィルター、チップ、ピン、あるいはスライドガラス等の固体支持体、または本明細書中でさらに説明するもの等の任意の他の好適な基板に結合され得る。例えば、肺細胞の病原に関与する遺伝子のプローブは、例えばドットブロットで用いるために膜に、またはアレイ(例えばマイクロアレイ)を形成する等のために固体に、共有結合されても非共有結合されてもよい。
(10.5 代替的な診断方法)
本発明が提供する診断方法の他の実施形態においては、診断方法は、(a)被検体の肺細胞における本発明のパネルから選択される遺伝子がコードするタンパク質の活性を確定する工程、および(b)被検体の細胞におけるタンパク質の活性を同じ型の健常な肺細胞におけるタンパク質の活性と比較する工程を含み得る。特定の実施形態において、肺癌の特定の型は、活性が決定されたタンパク質が肺癌(例えば、腺癌または扁平上皮癌)の特定の型と関連するか否かについて診断され得る。特定のタンパク質の活性を確定するためのアッセイは、当該技術分野で慣用的に用いられ、当業者には周知であり、慣用的実験のみで本発明の方法に適応し得る。
(11.肺癌の診断用および予後用キット)
本発明は、さらに肺癌に特徴的な発現の遺伝子発現レベルを決定するためのキットを提供する。このキットは、肺癌を発症する素因があるか、または肺癌を有する被験体を同定するため、ならびに肺癌のための治療法を同定および確認するために有用であり得る。1つの実施形態において、このキットは、肺癌を有する被験体の疾患細胞の1つ以上の遺伝子発現プロフィール、または少なくとも、肺癌に特徴的な発現の1つ以上の遺伝子の発現レベルを示す値を保存するコンピューター読み取り可能な媒体を備える。このコンピューター読み取り可能な媒体はまた、対応する正常細胞、薬物で処理した疾患細胞の遺伝子発現プロフィール、および本明細書中に記載される他の任意の遺伝子発現プロフィールを含み得る。このキットは、コンピューターシステムのメモリーにロードされ得る発現プロフィール分析ソフトウェアを含み得る。
キットは、被検体の肺細胞におけるタンパク質活性レベルを確定するのに適した試薬を含み得る。
キットは、肺癌に特徴的に発現する遺伝子のプローブを含むマイクロアレイを含み得る。キットは、肺癌に特徴的に発現する1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出するための1つまたは複数のプローブまたはプライマー、および/またはプローブが結合され、サンプル中の肺癌に特徴的に発現する1つまたは複数の遺伝子の発現を検出するのに用いられ得る固体支持体を含み得る。キットはさらに核酸コントロール、緩衝液、および取扱説明書を含み得る。
キットの構成成分は、前述の方法の手動での実施、または一部もしくは全体が自動化された実施のいずれかに対してパッケージされ得る。キットに関連する他の実施形態においては、本発明は、本発明の組成物を含むキットを提供する。上記キットは、必要に応じてその使用のための使用説明書を含み得る。このようなキットは、例えばイメージング、診断、療法等の様々な用途を有し得る。
(例証)
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、これらの実施例は決して限定的なものと解釈されるべきではない。本願中で引用する参考文献、発行済み特許、公開または未公開の特許出願を含む、全ての引用文献の内容は、参照により本明細書に明らかに援用される。本発明の実施では、別段の指示がない限り、当該技術分野の技術範囲内にある細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組み換え型DNA、および免疫学の従来技法を用いる。このような技法は、文献において十分に説明されている(例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual,2nd Ed.,ed.by Sambrook,Fritsch and Maniatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press:1989);DNA Cloning,Volumes I and II (D.N.Glover ed.,1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait ed.,1984);Mullis et al.U.S.Patent No:4,683,195;Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames & S.J.Higgins eds.1984);Transcription And Translation(B.D.Hames & S.J.Higgins eds.1984);(R.I.Freshney,Alan R.Liss,Inc.,1987);Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press,1986);B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning (1984);the treatise,Methods In Enzymology(Academic Press,Inc.,N.Y.);Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells(J.H.Miller and M.P.Calos eds.,1987,Cold Spring Harbor Laboratory);,Vols.154 and 155(Wu et al.eds.),Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Mayer and Walker,eds.,Academic Press,London,1987);Handbook Of Experimental Immunology,Volumes I−IV(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.,1986)(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1986;US5830645;US6040138;US5143854を参照)。
(実施例1.マイクロアレイ分析のための組織サンプルの調製)
全39個の組織サンプル;全病期(潜在、病期I〜IV、および再発)での腺腫および扁平上皮癌の両方を含む24個の腫瘍性組織、1個の神経内分泌腫瘍、1個の細気管支肺胞(bronchiolalveolar)腫瘍、1個の大細胞腫瘍、および13個の正常肺組織サンプルを、Dartmouth Medical SchoolのDr.Ethan Dmitrovskyから得た。これらのサンプルのうち、8個を「一致した対とした。なぜなら、所定の腫瘍組織サンプルに対して、同一個体に由来する正常組織が得られるからである。
全RNAを、外科的に切除した肺腫瘍組織サンプルまたは細胞株から得た。RNAサンプルを、製造業者の推奨に従って、CsCl勾配によって精製し、フェノール−クロロホルム抽出し、Qiagen RNAeasy カラムで再精製した。単離されたRNAの完全性を確認するために、各サンプルのアリコートを1%変性アガロースゲル上で電気泳動した。インタクトな28Sおよび18Sリボソームバンドを示したサンプルを、プローブ生成のために選択した。これらのRNAを、Affymetrixによって提供される材料および方法を使用してAffymetrixマイクロアレイ分析用に調製した。簡単にいうと、全RNAのうちcDNAをT7−dT24プライマーを用いて生成した。アンチセンスc−RNAを、ビオチン標識化リボヌクレオチドおよびインビトロ転写キットを用いて生成した。c−RNAをフラグメント化し、マイクロアレイに一晩ハイブリダイズさせた。ハイブリダイズされたアレイを、SAPE(ストレプトアビジン−フィコエリトリン)で染色した。ハイブリダイゼーションレベル(例えば、SAPE蛍光)を、Hewlett−Packard GeneArray(登録商標)スキャナーを使用して測定した。
(実施例2.マイクロアレイの構築)
過剰な10,000個の個々の遺伝子(およびまたはEST)を、Incyte GeneAlbumデータベースからマイクロアレイに包括させるために選択した。これらの遺伝子を、以下の基準に基づいて選択した:1)正常組織において発現レベルが一定である遺伝子;2)他の癌における腫瘍形成に関連することが文献に記載されている遺伝子;3)正常サンプルと他の種類の腫瘍サンプルとの間で差次的に調節されることが、マイクロアレイを用いて実験的に決定された遺伝子;4)以下のタンパク質ファミリーのタンパク質をコードする遺伝子:プロテインキナーゼ、タンパク質ホスファターゼ、プロテアーゼ、核ホルモンレセプター;5)正常サンプルおよび腫瘍サンプル(ライブラリーは肺、胸部、結腸、前立腺を含む)から生成したライブラリーの電子サブトラクション(electronic subtraction)を用いて少なくとも3倍まで差次的に調節されることを決定した遺伝子;6)他の器官組織と比べて肺上皮細胞または気管支上皮細胞において優先的な発現を示す遺伝子;7)染色体領域3p、9p、12q、15p、15q、17p、19p、20p、および22qに局在する遺伝子;8)形質転換、発癌に関わる公知の遺伝子(オンコジーン、腫瘍サプレッサー、シグナル伝達経路、腫瘍において増幅または欠失した染色体領域上にマッピングされた遺伝子を含む);9)腫瘍による調節:腫瘍でないコントロール組織と比べて腫瘍においてアップレギュレートまたはダウンレギュレートされることが示された遺伝子;ならびに10)異なる組織特異性を示す遺伝子;例えば、肺細胞での発現に制限される遺伝子。
選択された遺伝子の各々の配列を、オリゴヌクレオチドプローブセットの選択のためにAffymetrixに提供した。プローブセットを承認する前に、Affymetrixによって選択されたプローブ配列をまた、配列を除去するように選択し(counter−select)、目的の配列以外の配列と交差反応し得るさらなる配列を除去した。特注のマイクロアレイは8600個のプローブを有した。
(実施例3.マイクロアレイを用いた、組織における遺伝子発現分析)
この目的ために、特注のマイクロアレイを、腫瘍サンプルおよび正常サンプルから単離した細胞性RNAに由来するcRNAと個々に検索した。腫瘍サンプルおよび正常サンプルを、サンプルの組織病理学的診断(すなわち、正常、腺癌、扁平上皮など)に基づいて分類した。Affymetrix GeneChipソフトフェア(専売権付きソフトウェア分析システム)を使用して、各遺伝子についての平均差分値を決定した。次いで、この平均差分値を各遺伝子についてのシグナル強度として使用した。マイクロアレイ内に含めた8600個の遺伝子についてのシグナル強度およびサンプル情報から構成されるデータベースを作製した。従って、マイクロアレイによって分析した各サンプルについて、全8600のシグナル強度を、組織化され検出可能な形式で記録した。
癌に関連するか、または癌を引き起こす候補遺伝子を同定するために、一連の分析を、正常サンプルおよび腫瘍サンプルのハイブリダイゼーションから得られたシグナル強度値を用いて実施した。これらの方法は、統計的アルゴリズム、正常サンプル由来のシグナル強度と腫瘍サンプル由来のシグナル強度とを比較することによって得られる差次的遺伝子発現値、ならびにこれらの方法と遺伝子発現データおよびヒト遺伝子データのさらなる型との組み合わせを利用した。これらの方法を以下に概説する。
(1.共通の参照アプローチ:)
全ての正常プロフィールおよび腫瘍プロフィールを、全体1(正常肺サンプル)に対して比較して、発現における変化(何倍か)を算出した。これらの値を階層的クラスター形成アルゴリズム(hierarchical clustering algorithm)に使用してサンプルを分析し、それらの差次的遺伝子発現パターンの類似性に基づいて分類した。階層的クラスター形成の結果は、腫瘍サンプルの3つの主要な群が存在したことを実証した:扁平上皮癌サンプルが第1群を形成し、腺癌サンプルが第2のクラスターを形成し、そして他の全ての腫瘍型が第3のクラスターを形成した。この分析は、腫瘍サンプルに対してより密接に関連する1つの正常サンプルを同定し、そしてこのサンプルをさらなる分析から除外した。次の分析のために、正常サンプルからのシグナル強度を使用して、個々の腫瘍サンプルと正常サンプルと比べて差次的な遺伝子発現値を得た。任意の1つの参照サンプルへの分析の依存を排除するために、電子化してプールした正常サンプルの複数の参照セットを作製した。3つの電子化してプールした参
照セットを、正常サンプルから作製した。これらのプールの組成を、正常サンプルの多次元スクリーニング(MDS)分析、およびMDS分配によって決定されるものと類似の発現パターンを示した正常サンプルの分類セットから決定した。使用のために選択されたこれら3つの参照セットを、参照1(Ref1)、参照2(Ref2)および参照5(Ref5)と命名した。これらのコンピューター上で得られる参照セットを、各腫瘍サンプルに対して個々に比較し、何倍の差異かを決定した。
(2.一致した対サンプルアプローチ:)
8人の個体(腫瘍および隣接する正常組織の両方が利用可能である)について、各遺伝子のシグナル強度を、各一致した対について比較し得た。これは、8人の個体のうち少なくとも2人において+/−3倍より多い差次的発現を有する1200個の遺伝子を同定した。
(3.統計的アプローチ)
全ての正常な組織遺伝子発現強度を、1つのビンに分類し、全ての腫瘍組織遺伝子発現を、別のビンに分類した。非等分散の対をなさない2標本のt−試験を、全てのデータに対して実施した。これらの結果を、最小のp−値によって分類し、p<0.01を有する160遺伝子およびp<0.05を有する780遺伝子を同定した。
次いで、各型の独立した分析の結果を、互いと比較するか、または互いと合わせて、肺癌の病因における役割を果たす間の全ての参照セット(例えば、全ての腫瘍サンプルにわたって観察される)によって同定された遺伝子のセットを同定する。これらの結果から生じる選択のラウンドを、図1に示す。3つの共通の参照サンプル(Ref1、Ref2、およびRef5)を、各腺癌(Ad)サンプルと個々に比較し、得られた差次的遺伝子発現値を、別々に記録した。同様に、3つの共通の参照を、扁平(Sq)上皮癌腫瘍サンプルの各々と比較した。各腫瘍型の2/3における遺伝子発現において+/−1.8倍より大きな差を示した遺伝子を、選択した。各比較のセットに対する遺伝子の総数を、図1に示し得る(例えば、AdRef1は、941遺伝子を同定した)。
より多くの情報が、特定の遺伝子ファミリー(特に、薬物の標的であることが公知であるこれらの遺伝子ファミリー)に分類される遺伝子について公知であるので、本発明者らは、これらの遺伝子ファミリー遺伝子を、別々の群に分離する。例えば、AdRef1、AdRef2、およびAdRef5内に同定される全ての遺伝子ファミリー遺伝子を、Ad−GF(212遺伝子)を形成するために合わせた。AdRef1、AdRef2、AdRef5によって同定された残りの遺伝子を、非重複セット(AdRef1−2−5)に圧縮(condence)した。類似のアプローチを、扁平上皮癌データについて使用した。
AdRef1、AdRef2、AdRef5、SqRef1、SeRef2、SeRef5セットに共通の遺伝子を同定するために、共通性フィルターをこれらのデータに適用した。全てのデータAdおよびSqに共通の全399遺伝子のデータセット(AdSqCommon)を同定した。さらに、Ad−GFおよびSq−GFデータセット(AdSq−GF)を合わせ、2つのデータセットの間で共通して同定された175遺伝子を含む311の非重複遺伝子を得た。
候補遺伝子の選択の補助および選択のためのさらなる証拠を提供するために、さらなる基準を、分析に組み込む。これらのさらなる基準としては、(1)対様式または一致した対比較から得られた統計学的確率(p−値)、(2)RNA発現データの他の形態(特に、SAGE分析(NCBI、CGAP)から得られたデジタル発現データおよびIncyte Genomics Inc.から得られた転写物画像化データ)、および(3)OMIM(Online Mendelian Inheritance in Man)から得られた遺伝子関連情報および疾患関連情報、が挙げられる。
本発明のパネルを含む遺伝子を、詳細な説明の図2〜4に与える。図2は、分析された肺癌の全ての型において差次的に発現された遺伝子を含み;図3は、腺癌において差示的に発現された遺伝子を含み;そして図4は、扁平上皮癌において差次的に発現された遺伝子を含む。
(実施例4:遺伝子発現をタンパク質発現と関連付ける方法)
差示的遺伝子発現が、肺癌組織中でのタンパク質発現と相関し得ることを説明するために、TrkB−コードタンパク質発現を、肺腫瘍組織中で評価した。TrkBは、ニューロトロフィンファミリーのいくつかのメンバーに対して高い親和性のレセプターである。BDNFは、TrkBに対する主要なリガンドと考えられるが、NT3、4および5はまた、このレセプターに結合し得る。TrkBのリガンド刺激は、レセプターホモ二量体化/コンフォメーショナル変化および関連キナーゼの活性化を導く。Trkファミリーは、TrkA、TrkB、およびTrkCを含み、これらは、細胞内ドメインが高度に相同である。例えば、TrkAおよびTrkBは、ATP結合ポケットの近傍で1つのアミノ酸が変化させる。
Trkレセプターを、多くの神経内分泌誘導組織において発現する。成人において、TrkBの高いレベルの発現は、神経組織に制限されるように見える。ほとんどの海馬ニューロインおよび運動ニューロンは、TrkBを発現する。これらの同じニューロンはまた、TrkAおよびTrkCを発現する。TrkBを刺激するが、TrkAもTrkCも刺激しないBDNFは、脳中の生存因子として作用すると考えられる。血液脳関門は、脳(TrkB阻害によって有害に影響されるほとんどの可能性のある組織)への接近を防止し得、従って、TrkB遺伝子または遺伝子産物に関する肺癌療法は、ほとんど副作用を有さない可能性がある。
TrkBに対する抗体を、肺癌でのタンパク質の過剰発現を決定するために使用した。
抗体染色からのデータ:
染色された6のパラフィンブロック:4の扁平上皮、2の腺癌が、ポジティブである。隣接する正常組織には染色なし。
33のパラフィン包埋腫瘍組織の100%において強い染色。扁平上皮(10)、腺(8)、大細胞(7)、気管支肺胞(4)小細胞(3)。
凍結肺腫瘍組織における強い腫瘍特異的染色−腺(3)、扁平上皮(3)、大細胞(2)、神経内分泌(Neurodendocrine)(1)−最も強い。
抗体染色のパターンによって支持されるように、本発明の組成物および方法は、肺癌細胞中で発現されるタンパク質の同定を可能にする。
(参考)
本願全体にわたって引用される文献の参考、発行特許、公開特許出願または非公開特許出願ならびに以下に列挙される文献を含む全ての引用された参考の内容は、本明細書によってその全体を参考として明白に援用される。矛盾する場合、本願は、本明細書中の任意の定義を含めて、調整する。
(等価物)
本発明は、ここで、十分に記載され、多くの変化および改変が、慣用的な実験以上を必要とせず、添付の特許請求の範囲の意図または範囲から逸脱することなくなされ得ることが当業者に明らかである。
本明細書(添付の特許請求の範囲および実施例を含む)は、例示としてのみ考えられるべきであり、本発明の真の範囲および意図は、添付の特許請求の範囲によって示唆される。
図1は、肺細胞新形成物において差示的な発現を示す遺伝子から新規の標的を選択するための、本発明に置いて使用され得るインフォマティクスアプローチの概略図を示す。 図2は、肺癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図2は、肺癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図2は、肺癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図3は、肺腺癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図3は、肺腺癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図3は、肺腺癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図3は、肺腺癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図3は、肺腺癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図3は、肺腺癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図3は、肺腺癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図3は、肺腺癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図3は、肺腺癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図3は、肺腺癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図4は、肺扁平上皮癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図4は、肺扁平上皮癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図4は、肺扁平上皮癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図4は、肺扁平上皮癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。 図4は、肺扁平上皮癌の病理の間に差次的に発現されることが決定された遺伝子のリストである。

Claims (142)

  1. 肺癌に対する候補治療剤を同定するための方法であって、該方法は、化合物を、図2に列挙される遺伝子のパネルから選択される遺伝子によってコードされるタンパク質と接触させる工程を包含し、ここで、結合が、候補治療剤を示す、方法。
  2. 前記化合物が、以下のクラスの化合物:
    タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物、および低分子
    から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記癌が腺癌である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記癌が扁平上皮癌である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記化合物が化合物のライブラリーに存在する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ライブラリーがコンビナトリアル合成法を使用して生成される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記結合がインビトロアッセイを使用して決定される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記結合がインビボアッセイを使用して決定される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記タンパク質がTrkBによってコードされる、請求項1に記載の方法。
  10. 前記タンパク質がAur2によってコードされる、請求項1に記載の方法。
  11. 腺癌に対する候補治療剤を同定するための方法であって、該方法は、化合物を、図3に列挙される遺伝子のパネルから選択される遺伝子によってコードされるタンパク質と接触させる工程を包含し、ここで、結合が、候補治療剤を示す、方法。
  12. 扁平上皮癌に対する候補治療剤を同定するための方法であって、該方法は、化合物を、図4に列挙される遺伝子のパネルから選択される遺伝子によってコードされるタンパク質と接触させる工程を包含し、ここで、結合が、候補治療剤を示す、方法。
  13. 肺癌に対する候補治療剤を同定するための方法であって、該方法は、化合物を、図2に列挙される遺伝子のパネルから選択される遺伝子と接触させる工程を包含し、ここで、結合が、候補治療剤を示す、方法。
  14. 前記ライブラリーの前記化合物が、以下:
    アンチセンス核酸、低分子、ポリペプチド、タンパク質、ペプチド模倣物、および核酸アナログ
    から選択される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記癌が腺癌である、請求項13に記載の方法。
  16. 前記癌が扁平上皮癌である、請求項13に記載の方法。
  17. 前記化合物が化合物のライブラリーに存在する、請求項13に記載の方法。
  18. 前記ライブラリーがコンビナトリアル合成法を使用して生成される、請求項13に記載の方法。
  19. 前記結合アッセイがインビトロである、請求項13に記載の方法。
  20. 前記結合アッセイがインビボである、請求項13に記載の方法。
  21. 前記遺伝子がTrkBである、請求項13に記載の方法。
  22. 前記遺伝子がAur2である、請求項13に記載の方法。
  23. 腺癌に対する候補治療剤を同定するための方法であって、該方法は、化合物を、図3に列挙される遺伝子のパネルから選択される遺伝子と接触させる工程を包含し、ここで、結合が、候補治療剤を示す、方法。
  24. 扁平上皮癌に対する候補治療剤を同定するための方法であって、該方法は、化合物を、図4に列挙される遺伝子のパネルから選択される遺伝子と接触させる工程を包含し、ここで、結合が、候補治療剤を示す、方法。
  25. 肺癌に対する候補治療剤を同定するための方法であって、該方法は、化合物を、図2に列挙される遺伝子からなるパネルから選択される、新形成の間に差示的に調節される遺伝子と接触させる工程を包含し、ここで、該遺伝子の発現が正常化される、方法。
  26. 前記遺伝子が、図3に列挙される遺伝子からなるパネルから選択される、請求項25に記載の方法。
  27. 前記遺伝子が、図4に列挙される遺伝子からなるパネルから選択される、請求項25に記載の方法。
  28. 前記遺伝子がTrkBである、請求項25に記載の方法。
  29. 前記遺伝子がAur2である、請求項25に記載の方法。
  30. 肺癌に対する候補治療剤を同定するための方法であって、該方法は、化合物を、タンパク質と接触させる工程を包含し、該タンパク質の活性が、図2に列挙される遺伝子からなるパネルから選択される遺伝子によってコードされる新形成を促進し、ここで、タンパク質の活性を阻害する能力が、候補治療剤を示す、方法。
  31. 前記遺伝子が、図3に列挙される遺伝子からなるパネルから選択される、請求項30に記載の方法。
  32. 前記遺伝子が、図4に列挙される遺伝子からなるパネルから選択される、請求項30に記載の方法。
  33. 前記遺伝子がTrkBである、請求項30に記載の方法。
  34. 前記遺伝子がAur2である、請求項30に記載の方法。
  35. 肺癌を処置するための候補治療剤を同定するための方法であって、該方法は、試験化合物と共にインキュベートされた細胞の発現プロフィールを、疾患肺細胞の正常対照物細胞の発現プロフィールと比較する工程を包含し、ここで、該細胞が、該疾患肺細胞の正常対照物細胞に本質的に同一であり、ここで、該2つの細胞における類似の発現プロフィールが、該化合物が、肺癌に対する治療剤として有効でありそうであることを示す、方法。
  36. 候補治療剤の肺癌に対する薬物としての効力を決定するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    a)候補治療剤を被験体の肺腫瘍細胞へ接触させる工程、および
    b)該候補治療剤が該細胞の病因を阻害する能力を決定する工程
    を包含する、方法。
  37. 候補治療剤の肺癌に対する薬物としての効力を決定するための方法であって、該方法は、以下の工程:
    a)候補治療剤を被験体の肺腫瘍細胞へ接触させる工程、および
    b)該候補治療剤が該細胞の発現プロフィールを正常化する能力を決定する工程
    を包含する、方法。
  38. 請求項1〜37に記載のいずれかの方法を使用して同定される、治療量の薬剤、および
    薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクル、賦形剤、または希釈剤
    を含有する、薬学的組成物。
  39. 肺癌を有する被験体を治療するための方法であって、該方法は、治療有効量の薬学的組成物を、該被験体に投与し、図2に列挙される遺伝子から選択される遺伝子または遺伝子の群の発現を正常化する工程を包含し、該被験体の遺伝子の該発現レベルが、正常な被験体の発現レベルにもどされる、方法。
  40. 前記遺伝子がTrkBである、請求項39に記載の方法。
  41. 前記遺伝子がAur2である、請求項39に記載の方法。
  42. 前記被験体が腺癌を有し、前記遺伝子が図3から選択される、請求項39に記載の方法。
  43. 前記被験体が扁平上皮癌を有し、前記遺伝子が図4から選択される、請求項39に記載の方法。
  44. 肺癌を有する被験体を治療するための方法であって、該方法は、治療有効量の薬学的組成物を、該被験体に投与し、図2に列挙される遺伝子から選択される遺伝子によってコードされる、タンパク質の活性を阻害する工程を包含する、方法。
  45. 前記タンパク質がTrkBによってコードされる、請求項44に記載の方法。
  46. 前記タンパク質がAur2によってコードされる、請求項44に記載の方法。
  47. 前記被験体が腺癌を有し、前記遺伝子が図3から選択される、請求項44に記載の方法。
  48. 前記被験体が扁平上皮癌を有し、前記遺伝子が図4から選択される、請求項44に記載の方法。
  49. 肺癌を有する被験体を治療するための方法であって、該方法は、治療有効量の、図2に列挙される遺伝子から選択される遺伝子によってコードされるタンパク質を投与する工程を包含する、方法。
  50. 前記タンパク質がTrkBによってコードされる、請求項49に記載の方法。
  51. 前記タンパク質がAur2によってコードされる、請求項49に記載の方法。
  52. 前記遺伝子が図3から選択される、請求項49に記載の方法。
  53. 前記遺伝子が図4から選択される、請求項49に記載の方法。
  54. 請求項39〜53に記載の方法のいずれかを含む癌化学予防の方法であって、ここで、前記被験体は、肺癌を罹患するか、または肺癌に対する危険性があり、そして該方法が、予防処置において使用される、方法。
  55. 肺癌を罹患する患者を処置するためのキットであって、該キットは、請求項1〜53に記載の方法のいずれかによって同定される治療剤のいずれかを含み、該治療剤は、薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクル、賦形剤、または希釈剤中に処方され、そして必要に応じて、該キットは、使用のための指示書を含む、キット。
  56. 発現が肺癌に特徴的な、複数の遺伝子の検出薬剤を含む組成物であって、該組成物は、該遺伝子の発現または該遺伝子によってコードされるポリペプチドの発現を検出可能である、組成物。
  57. 前記検出薬剤が、発現が肺癌に特徴的な前記遺伝子に対応する核酸に特異的にハイブリダイズする単離された核酸である、請求項56に記載の組成物。
  58. 図2に列挙される遺伝子に特異的にハイブリダイズする単離された核酸を含有する、請求項57に記載の組成物。
  59. 図3に列挙される遺伝子に特異的にハイブリダイズする単離された核酸を含有する、請求項57に記載の組成物。
  60. 図4に列挙される遺伝子に特異的にハイブリダイズする単離された核酸を含有する、請求項57に記載の組成物。
  61. 少なくとも10の異なる核酸に特異的にハイブリダイズする単離された核酸を含有し、該核酸が、発現が肺癌に特徴的な遺伝子に対応する、請求項58に記載の組成物。
  62. 少なくとも100の異なる核酸に特異的にハイブリダイズする単離された核酸を含有し、該核酸が、発現が肺癌に特徴的な遺伝子に対応する、請求項58に記載の組成物。
  63. 図2に列挙される全ての遺伝子に本質的にハイブリダイズされる単離された核酸を含有する、請求項58に記載の組成物。
  64. 前記検出薬剤が、発現が肺癌に特徴的である遺伝子によってコードされる前記ポリペプチドを検出する、請求項56に記載の組成物。
  65. 前記検出薬剤が、前記ポリペプチドと特異的に反応する抗体である、請求項64に記載の組成物。
  66. 複数の遺伝子の検出薬剤が結合される固体表面であって、該遺伝子の発現は、肺癌に特徴的であり、該検出薬剤が、該遺伝子または該遺伝子によってコードされるポリペプチドの発現を検出し得る、固体表面。
  67. 前記検出薬剤が、発現が肺癌に特徴的である遺伝子に対応する核酸に特異的にハイブリダイズする単離された核酸である、請求項66に記載の固体表面。
  68. 図2に列挙される遺伝子に特異的にハイブリダイズする単離された核酸を含む、請求項67に記載の固体表面。
  69. 図3に列挙される遺伝子に特異的にハイブリダイズする単離された核酸を含む、請求項67に記載の固体表面。
  70. 図4に列挙される遺伝子に特異的にハイブリダイズする単離された核酸を含む、請求項67に記載の固体表面。
  71. 発現が、肺癌に特徴的である遺伝子に対応する少なくとも10個の異なる核酸に特異的にハイブリダイズする核酸を含む、請求項68に記載の固体表面。
  72. 発現が、肺癌に特徴的である遺伝子に対応する少なくとも100個の異なる核酸に特異的にハイブリダイズする単離された核酸を含む、請求項71に記載の固体表面。
  73. 図2に列挙される本質的に全ての遺伝子にハイブリダイズする単離された核酸を含む、請求項72に記載の固体表面。
  74. 前記検出薬剤が、発現が、肺癌に特徴的である前記遺伝子によってコードされる前記ポリペプチドを検出する、請求項66に記載の固体表面。
  75. 前記検出薬剤が、前記ポリペプチドと特異的に反応する抗体である、請求項74に記載の固体表面。
  76. 前記検出薬剤が、前記固体表面に共有結合される、請求項66に記載の固体表面。
  77. 前記固体表面が、マイクロアレイである、請求項76に記載の固体表面。
  78. 発現が、肺癌に特徴的である複数の遺伝子のアゴニストおよび/またはアンタゴニストを含む、組成物。
  79. 前記アゴニストが、前記遺伝子またはその機能的フラグメントもしくは等価物によってコードされるポリペプチドである、請求項78に記載の組成物。
  80. 図2に列挙される遺伝子によってコードされるポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチドまたはポリペプチドの機能的フラグメントもしくは等価物を含む、請求項79に記載の組成物。
  81. 図3に列挙される遺伝子によってコードされるポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチドまたはポリペプチドの機能的フラグメントもしくは等価物を含む、請求項79に記載の組成物。
  82. 図4に列挙される遺伝子によってコードされるポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1つのポリペプチドまたはポリペプチドの機能的フラグメントもしくは等価物を含む、請求項79に記載の組成物。
  83. 前記アゴニストが、発現が肺癌に特徴的である遺伝子によってコードされるポリペプチドまたはその機能的フラグメントもしくは等価物をコードする単離された核酸である、請求項78に記載の組成物。
  84. 前記アンタゴニストが、アンチセンス核酸またはsiRNAである、請求項78に記載の組成物。
  85. 発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子の被験体における発現のレベルと、参照レベルの発現のセットの少なくとも1つの発現のレベルとを比較するための方法であって、該方法は、以下:
    a)被験体の細胞由来の核酸を提供する工程であって、該細胞は、罹患した肺細胞と同じ型である、工程、
    b)発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子の発現のレベルを決定する工程、および
    c)該被験体の細胞由来の少なくとも1つの遺伝子の発現のレベルと、参照レベルの発現のセットの少なくとも1つの発現のレベルとを比較する工程、
    を包含し、それにより、発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子の発現の該被験体におけるレベルと、参照レベルの発現のセットの少なくとも1つの発現のレベルとを比較する、方法。
  86. 前記参照発現レベルのセットが、発現が、肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子の肺癌を有する被験体における発現のレベルを含む、請求項85に記載の方法。
  87. 図2に列挙された遺伝子からなるパネルから選択される少なくとも1つの遺伝子の発現のレベルを決定する工程を包含する、請求項85に記載の方法。
  88. 図3に列挙された遺伝子からなるパネルから選択される少なくとも1つの遺伝子の発現のレベルを決定する工程を包含する、請求項85に記載の方法。
  89. 図4に列挙された遺伝子からなるパネルから選択される少なくとも1つの遺伝子の発現のレベルを決定する工程を包含する、請求項85に記載の方法。
  90. 2本の相補鎖核酸が互いにハイブリダイズする条件下で、発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子に対応する核酸を有する前記被験体の細胞のRNA由来の核酸サンプルをインキュベートする工程を包含する、請求項85に記載の方法。
  91. 発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子に対応する少なくとも1つの核酸が、固体表面に結合される、請求項85に記載の方法。
  92. 前記固体表面が、マイクロアレイである、請求項91に記載の方法。
  93. 少なくとも1つの遺伝子の発現のレベルをコンピューターに入力する工程を包含し、該コンピューターが、参照発現レベルのセット中の少なくとも1つの遺伝子の発現のレベルを表す値を有するメモリーを備える、請求項85に記載の方法。
  94. 前記レベルを比較する工程が、コンピューターで実施するための指示を提供する工程を包含する、請求項93に記載の方法。
  95. 参照発現レベルのセットが、発現が肺癌に特徴的である1つ以上の遺伝子の、肺癌を有する被験体における発現のレベルを含む、請求項85に記載の方法。
  96. 前記参照発現レベルのセットが、発現が肺癌に特徴的である1つ以上の遺伝子の罹患した肺細胞の正常な対応物細胞における発現のレベルをさらに含む、請求項95に記載の方法。
  97. 前記被験体が、肺癌を有するか、または肺癌を発生する可能性があるか否かを決定するための、請求項95に記載の方法。
  98. 核酸を反復的に提供する工程および核酸のレベルを決定する工程をさらに包含し、それにより、発現が肺癌に特徴的である遺伝子の被験体における発現のレベルの進展を決定する、請求項85に記載の方法。
  99. 前記被験体が、肺癌について処置されており、そして、前記方法が、該処置の有効性の評価を提供する、請求項98に記載の方法。
  100. 被験体が肺癌を有するか、または肺癌を発生する可能性があるか否かを決定するための方法であって、該方法は、以下:
    a)発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子の該被験体の細胞における発現のレベルを決定する工程、および
    b)該少なくとも1つの遺伝子の発現のレベルと、肺癌を有することが既知の被験体の細胞における少なくとも1つの遺伝子の発現のレベルとを比較する工程、
    を包含し、
    ここで、該被験体および該肺癌を有することが既知の被験体における遺伝子の発現の類似のレベルが、該被験体が、肺癌を有するか、または肺癌を発生する可能性のあることを示す、方法。
  101. 前記細胞が、罹患した肺細胞である、請求項100に記載の方法。
  102. 前記肺癌を有することが既知の被験体の細胞における少なくとも1つの遺伝子の発現のレベルが、データベースの形式にある、請求項100に記載の方法。
  103. 前記データベースが、コンピューター読み取り可能媒体中に含まれる、請求項102に記載の方法。
  104. 前記データベースが、ユーザーインターフェースを提供して、被験体の発現レベルデータを受け取り、かつ該発現レベルデータと該データベースとを比較するための、マイクロプロセッサおよびマイクロプロセッサ指示書と連絡する、請求項103に記載の方法。
  105. 肺癌を診断する方法であって、該方法は、以下の工程:
    a)被験体の肺細胞において、図2に列挙される遺伝子のパネルから選択される遺伝子によってコードされるタンパク質の活性を決定する工程、ならびに
    b)該被験体の細胞中の該タンパク質の活性と、同じ型の正常な肺細胞のタンパク質の活性とを比較する工程、
    を包含し、ここで、正常細胞に対して減少または増加したタンパク質活性のレベルが、該被験体が、肺癌を有し得ることを示す、方法。
  106. 前記タンパク質が、図3に列挙される遺伝子のパネルから選択される遺伝子によってコードされ、かつ、正常細胞に対して減少または増加したタンパク質活性のレベルが、該被験体が、腺癌を有し得ることを示す、請求項105に記載の方法。
  107. 前記タンパク質が、図4に列挙される遺伝子のパネルから選択される遺伝子によってコードされ、かつ、正常細胞に対して減少または増加したタンパク質活性のレベルが、該被験体が、扁平上皮癌を有し得ることを示す、請求項105に記載の方法。
  108. 肺癌を有する患者に対する治療を選択するための方法であって、該方法は、以下:
    a)肺癌を有する患者から、発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子の発現のレベルに対応する少なくとも1つの質問値を提供する工程、
    b)発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子の発現のレベルに対応する複数の参照値のセットを提供する工程であって、各参照値が、治療に関連する、工程、ならびに
    c)該質問値に最も類似する該参照値を選択し、それにより、該患者に対する治療を選択する工程、
    を包含する、方法。
  109. 選択する工程が、各参照値に関連する重み値を使用して、該参照値について比較値を重み付けする工程をさらに含む、請求項108に記載の方法。
  110. 前記治療を前記患者に施与する工程をさらに包含する、請求項109に記載の方法。
  111. 前記質問値および前記参照値のセットが、発現プロフィールである、請求項108に記載の方法。
  112. 肺癌を有する患者に対する治療を選択するための方法であって、該方法は、以下:
    a)複数の参照発現プロフィールを提供する工程であって、各プロフィールは、治療に関連する、工程、
    b)該患者の罹患した肺細胞のRNAから調製された、標識された標的核酸サンプルを提供する工程、
    c)該標識された標的核酸サンプルと、発現が肺癌に特徴的である本質的に全ての遺伝子に対応するプローブを含むアレイとを接触させて、該患者の発現プロフィールを得る工程、ならびに
    d)該患者の発現プロフィールに最も類似する該参照プロフィールを選択して、それにより、該患者に対する治療を選択する工程、
    を包含する、方法。
  113. 患者についての治療を選択するための方法であって、該方法は、以下:
    a)患者サンプルを得る工程、
    b)発現が肺癌に特徴的である該患者由来の遺伝子の被験体発現プロフィールを同定する工程、
    c)該被験体発現プロフィールに最も類似する一致する参照プロフィールを、複数の参照発現プロフィールから選択する工程であって、該参照プロフィールおよび該被験体発現プロフィールは、複数の値を有し、各値は、発現が特定の細胞における肺癌に特徴的である遺伝子の発現レベルを表し、ここで、各参照プロフィールは、治療に関連する、工程、ならびに
    d)該一致する参照プロフィールに関連する治療の記述子を伝送し、それにより、該患者に対する治療を選択する工程、
    を包含する、方法。
  114. 前記治療が、前記患者に施与された後に、該患者の結果についての情報を受け取る工程をさらに包含する、請求項113に記載の方法。
  115. 前記記述子が、ネットワークを通して伝送される、請求項114に記載の方法。
  116. 薬物を評価するためのキットであって、該キットは、複数のアドレスを含むアレイを含み、ここで、各アドレスは、少なくとも1つの捕捉プローブをその上に配置し、該プローブは、発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子にハイブリダイズする、キット。
  117. 前記アレイが、図2に列挙される遺伝子のパネルから選択される、発現が肺癌に特徴的である本質的に全ての遺伝子に対する捕捉プローブを含む、請求項116に記載のキット。
  118. 前記アレイが、図3に列挙される遺伝子のパネルから選択される、発現が腺癌に特徴的である本質的に全ての遺伝子に対する捕捉プローブを含む、請求項116に記載のキット。
  119. 前記アレイが、図4に列挙される遺伝子のパネルから選択される、発現が扁平上皮癌に特徴的である本質的に全ての遺伝子に対する捕捉プローブを含む、請求項116に記載のキット。
  120. 薬物を評価するためのキットであって、該キットは、複数のデジタル的に暗号化された発現プロフィールを有するコンピューター読み取り可能媒体を含み、ここで、該複数の各々のプロフィールは、複数の値を有し、各値は、発現が肺癌に特徴的である遺伝子の特定の細胞における発現のレベルを表す、キット。
  121. 発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子の罹患した細胞における発現のレベルを表す、少なくとも1つのデジタル的に暗号化された値を含む、コンピューター読み取り可能媒体。
  122. 図2から選択される少なくとも1つの遺伝子の罹患した肺細胞における発現のレベルを表す少なくとも1つの値を含む、請求項121に記載のコンピューター読み取り可能媒体。
  123. 図3から選択される少なくとも1つの遺伝子の腺癌に罹患した細胞における発現のレベルを表す少なくとも1つの値を含む、請求項121に記載のコンピューター読み取り可能媒体。
  124. 図4から選択される少なくとも1つの遺伝子の扁平上皮癌に罹患した細胞における発現のレベルを表す少なくとも1つの値を含む、請求項121に記載のコンピューター読み取り可能媒体。
  125. 発現が肺癌に特徴的である遺伝子の罹患した細胞における発現レベルと該罹患した細胞の正常な対応物細胞の遺伝子の発現のレベルとの間の比を表す少なくとも1つの値を含む、コンピューター読み取り可能媒体。
  126. 少なくとも1つのデジタル的に暗号化された発現プロフィールを含む、コンピューター読み取り可能媒体であって、複数の値を含み、各値が、発現が肺癌に特徴的である遺伝子の罹患した細胞における発現のレベルを表す、コンピューター読み取り可能媒体。
  127. 複数のデジタル的に暗号化された発現プロフィールを含む、コンピューター読み取り可能媒体であって、該媒体は、該複数の各プロフィールが、複数の値を有し、各値は、発現が肺癌に特徴的である1つ以上の遺伝子の特定の細胞における発現のレベルを表す、コンピューター読み取り可能媒体。
  128. 前記複数の各プロフィールが、肺癌の病期に関連する、請求項127に記載のコンピューター読み取り可能媒体。
  129. 前記複数の各プロフィールが、治療的処置に関連する、請求項127に記載のコンピューター読み取り可能媒体。
  130. コンピューターシステムであって、以下:
    a)発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子の罹患した細胞における発現のレベルを表す少なくとも1つの値を有する、データベース、ならびに
    b)発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子の発現の少なくとも1つのレベルを表す少なくとも1つの質問値を受け取り、かつ、少なくとも1つの質問値と少なくとも1つのデータベース値とを比較するための指示書を有する、プロセッサー、
    を含む、コンピューターシステム。
  131. 前記受け取るための指示書が、ユーザーインターフェースを提供するための指示書を含む、請求項130に記載のコンピューターシステム。
  132. 前記指示書が、少なくとも1つの比較を表示するための指示書をさらに含む、請求項131に記載のコンピューターシステム。
  133. 前記指示書が、前記比較に基づく少なくとも1つの記録を作成するための指示書をさらに含む、請求項130に記載のコンピューターシステム。
  134. 少なくとも1つの記録を表示するための指示書をさらに含む、請求項133に記載のコンピューターシステム。
  135. 前記データベース値が、図2、図3、図4に示される本質的に全ての値を含む、請求項130に記載のコンピューターシステム。
  136. 前記データベースが、複数の値を含む少なくとも1つの発現プロフィールを含み、各値は、発現が肺癌に特徴的である遺伝子の罹患した細胞における発現のレベルを表す、請求項130に記載のコンピューターシステム。
  137. 発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子の被験体における発現のレベルを分析するためのコンピュータープログラムであって、該コンピュータープログラムは、コンピューター読み取り可能媒体上に配置され、かつ、プロセッサーが、以下:
    a)被験体における発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子の発現のレベルを表示する少なくとも1つの質問値を受け取り、そして
    b)該少なくとも1つの質問値と少なくとも1つの発現のレベルの値とを比較する、
    ための指示書を含み、該少なくとも1つの発現のレベルの値が、罹患した細胞における発現が肺癌に特徴的である少なくとも1つの遺伝子の発現の少なくとも1つのレベルを表示する、コンピュータープログラム。
  138. 少なくとも1つの比較を表示するための指示書をさらに含む、請求項137に記載のコンピュータープログラム。
  139. 前記比較するための指示書が、コンピューター読み取り可能媒体からの少なくとも1つの発現のレベルの値を受け取るための指示書を含む、請求項137に記載のコンピュータープログラム。
  140. 前記比較するための指示書が、データベースからの少なくとも1つの発現のレベルの値を受け取るための指示書を含む、請求項137に記載のコンピュータープログラム。
  141. 前記受け取るための指示書が、ユーザーインターフェースを提供するための指示書を含む、請求項137に記載のコンピュータープログラム。
  142. 被験体における罹患した肺細胞の発現プロフィールを分析するためのコンピュータープログラムであって、該コンピュータープログラムは、コンピューター読み取り可能媒体上に配置され、かつ、プロセッサーが、以下:
    a)複数の値を含む少なくとも1つの質問発現プロフィールを受け取り、各値は、発現が肺癌に特徴的である遺伝子の罹患した細胞における発現のレベルを表し、そして
    b)該少なくとも1つの質問発現プロフィールと複数の値を含む少なくとも1つの参照発現プロフィールとを比較し、各値は、発現が肺癌に特徴的である遺伝子の特定の細胞における発現のレベルを表す、
    ための指示書を含む、コンピュータープログラム。
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